2024年第1回定例会―西部ただし議員

日本共産党の西部唯史です。
 私は日本共産党江東区議団を代表して大綱3つについて質問します。

  1. 環境問題について
  2. 子育て支援について
  3. 高齢者支援について

 大綱の一点目は、環境問題についてです。
 はじめに、区民の住環境を脅かす羽田新ルートについて伺います。
 2020年、国は、羽田空港増便のため、人口や都市機能が密集する都心の上空を、超低空で飛行する羽田新ルートの運用を、住民の反対を押し切り強行しました。騒音や落下物、事故の不安などから羽田新ルート撤回を求める声が強くあがっています。
羽田新ルートは、北風運用時、本区の荒川上空を通過します。国はこれまで北風運用は6割と住民に説明してきましたが、国交省の実績を見ると、実際には北風運用は年平均7割で、特に秋冬は8割~9割にのぼります。国のこれまでの説明とは食い違っていますが、区はどう認識していますか。国に対し正しい情報を求めるべきです。伺います。
 本区の騒音測定では、掃除機の音に例えられるような最大77デシベルの大きな音が観測されており、東砂の学校では「飛行機が1分30秒に1本飛んでくる。コロナ対策で教室の二酸化炭素濃度計が鳴ると窓を全開にして喚起を行うため、飛行機の音がうるさく、授業の妨げになっている」と、騒音被害に苦しむ声が寄せられています。区はこうした区民の声をどう認識していますか。伺います。
 現在、羽田新ルートの常時騒音測定は東大島文化センターで行われています。一方、2砂中での騒音測定は年2回の短期測定です。より羽田新ルートに近い2砂中においても常時騒音測定を実施するよう求めます。
 品川区では中学生を除く15才以上の全区民アンケートの中で、羽田新ルートに関して、「影響を受けているか。具体的な影響と負担感。新ルートへの意見。」などの質問項目を設けて調査を行いました。その結果、44.5%の区民が影響を受けていると回答。本区でも区民がどのような影響を受けているか把握するために、羽田新ルートに関する区民アンケートの実施を求めます。
 また、経済効果最優先で人の命や安全、暮らしを脅かす危険な羽田新ルートは撤回すべきです。区として国に強く求めるべきと考えますが併せて伺います。

次に、気候危機対策についてです。
 昨年、世界の平均気温は、産業革命前に比べ1.52度上昇し、パリ協定が目指す1.5度以内に抑える目標を超え、史上最も暑い年になりました。
 こうした危機的状況の中、国連は先進国に対し温室効果ガス実質ゼロ目標の達成を2050年から2040年へ早期に達成するよう求めています。また、昨年のCOP28では初めて化石燃料からの脱却が合意されました。
 しかし、日本はCO2排出量世界第5位の国でありながら、その主な原因である化石燃料由来の石炭火力発電等からG7で唯一脱却する姿勢がなく4年連続、不名誉な化石賞を受賞しています。
 本区は世界に遅れた日本の現状をどう認識していますか。伺います。
 また、国に対し、石炭火力発電等と決別し、再生可能エネルギーへの本格的な転換とともにCO2削減目標の見直しを区として求めるべきと考えますが併せて伺います。
 本区は新たなCO2削減プランを来年度から実行します。素案では、中間目標である2030年のCO2削減目標を前回プランの37.6%から50%に引き上げましたが、目標達成には取り組みの強化が必要です。
 区として、本区公共施設を再エネ電力に切り替えるとともに、都営団地、マンションなどを含め、太陽光パネルの設置や断熱化、LED化など、ビルのZEB化に全庁をあげて強力に取り組むべきと考えますが、伺います。
 また、区民ひとりでも取り組める省エネ推進の一環として、古い家電から省エネ家電への買い替えが重要です。例えば、古い家電と比べ、省エネ型家電の消費電力量は冷蔵庫で47%減、LEDランプは86%減と大幅に抑えることができます。区として省エネ家電への買い替えの補助金を支給するよう求めます。
 さらに、熱中症対策として、異常気象による真夏の酷暑で区民が命を落とさぬように、高齢者・低所得者に対し、エアコンの設置代等を助成するよう求めます。

大綱の二点目は、子育て支援についてです。
 まずは、夏休み等、長期休みのきっずクラブの昼食について伺います。
 本区が毎年実施している江東きっずクラブ保護者アンケートでは、質問事項に昼食に関する設問がないにもかかわらず、自由記述欄に昼食の支援を求める声が100件以上寄せられています。
 こども家庭庁は昨年5月時点で夏休みなどに昼食を提供している学童は全国で22.8%と報告。保護者のニーズも高いとして昼食の提供を検討してほしいと全国の自治体に呼びかけています。
 現在、八王子市では1食250円で温かい給食を提供しています。港区ではお弁当の配送料を区が負担している等、23区中、13区が配食サービスの支援を実施しています。
 本区は今後、保護者主体の「宅配弁当導入にかかる手順マニュアル」を策定するとしていますが、保護者任せにせず、アレルギーや宗教食の対応など区が責任を持って昼食の支援をすべきです。
 区として、仕出し弁当事業者と契約を締結し、各きっずクラブへのお弁当の配食ができるように長期休み等の昼食支援を求めます。
 次に、地域の子育て機能強化と子育て応援券についてです。
 誰にも頼ることのできない孤独な子育てほど辛いものはありません。
 区内には行政の手の届かない悩みを解決するために市民が結集し、保育やプレーパーク、学習支援等々を行う地域の子育て団体がいくつも存在します。
 このような、子ども同士、親同士が交流・成長できる身近な居場所は、地域の貴重な財産であり、さらに拡充・発展させていかなければなりません。
 しかし、手弁当で活動するボランティア団体であるために財政的に運営が困難という声が寄せられています。
 区の長期計画では「行政と地域が協同し社会全体で子育て家庭を支える」と謳い、また、大久保区長は「地域の子育て機能の強化」を公約に掲げています。
 ならば区として、区内に子育て支援団体が、いくつあって、どこでどんな活動をしているのか、実態を把握するとともに、子育て支援団体へ運営費等の支援を行うよう求めます。
 また、杉並区では、未就学児のいる家庭に、一時保育や家事代行、子どものインフルエンザ予防接種など、有料子育てサービスに利用できる子育て応援券と呼ばれるチケットを交付しています。本区でも子育て世帯の経済的負担軽減のため、「江東区版・子育て応援券」の導入を併せて求めます。

次に、保育士の配置基準と処遇改善についてです。
 慢性的な保育士不足による現場の疲弊が指摘され、その打開を求める声が相次いでいます。国はこうした声と運動に押され、実に76年ぶりに4・5歳児の保育士配置基準を見直しました。
 しかし、移行期間や財源は明確に示されておらず、これでは、保育現場や保護者の願いには応えられません。国に対して、経過措置の期限や財源を明確に示すよう区として求めるべきです。また、区立保育園については早急に新基準へと移行するよう求めます。
 国が1歳児の配置基準である保育士1人に対し子ども6人から、こども5人への改善を、2025年以降に先送りしたのも大きな問題です。本区はすでに、1才児の、保育士1人に対しこども5人への配置誘導に財政支援を行っているものの、5対1の基準を満たす園は約4割にとどまっています。保育士不足の原因は、低賃金・長時間労働、不安定雇用など処遇の劣悪さが元凶ではありませんか。全産業と比べても低い保育士の賃金を引き上げるため、国に対し、公定価格の引き上げや委託費における弾力運用の見直しを区として求めるとともに、人件比率50%以下は助成金の交付対象としない世田谷区に習い、本区でも人件費率50%以上に定めるよう求めます。
 また、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業費補助金は現在7/8が公費、1/8が事業者負担ですが、保育士確保のため、事業者負担1割は区が負担するよう求めます。

大綱の三点目は高齢者支援についてです。
 まず、介護保険制度について伺います。
 今、高齢者は上がらない年金、物価高騰、負担の重い消費税や高すぎる保険料に苦しみ、生活はどん底です。
 そうした中、今夏、老人保健施設などの居住費が月1800円、年間2万2千円の値上げ、来年夏には多床室の有料化で月8000円、年間9万6000円の値上げとする予定です。本区では約700人が影響を受けます。さらに、今後も国は、利用料原則2割負担への引き上げや、要介護1・2の在宅サービスの保険給付外しなど介護の大改悪を予定しています。これでは高齢者のさらなる負担増につながり、保険あって介護なしというほかありません。
 区は高齢者の暮らしの実態をどのように認識していますか。伺います。
 また、区として、介護保険の利用者負担増は中止するよう国に働きかけることを強く求めます。
 次に介護従事者の処遇改善についてです。
 国は介護報酬を1.59%引き上げるとしていますが、一方で、訪問介護の基本報酬は引き下げるとしています。介護は他産業とくらべ平均月収は約7万円低く、現場からは怒りの声が上がっています。
 訪問介護はヘルパーの人手不足・高齢化が深刻なうえ、物価高騰の直撃で昨年の倒産件数は過去最多の67件(東京商工リサーチ調査)にのぼっています。介護従事者の処遇改善は待ったなしです。
 介護報酬を大幅に引き上げ介護従事者の処遇を改善するよう国に対して働きかけることを求めます。また、区は介護人材確保のため、介護職員宿舎借り上げ支援事業を行っていますが、さらなる人材確保のため、区内介護事業所から要望が出ている採用支援金や江戸川区同様に定着金を支給するよう求めます。
 次に、介護保険料についてです。
 本区の来年度の介護保険料の試算は、基準額の月5800円から、6800円へと月額1000円・年間1万2000円の値上げが示されました。2000年にスタートした介護保険は当初、保険料月2900円でしたが、以来24年間値上げを繰り返し、現在、月5800円。2倍に跳ね上がっています。
 本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしか道はありません。国に対し介護給付費の公費負担割合を50%超へ引き上げることを区として働きかけるよう求めます。また、本区の約35億円の介護給付準備基金を活用するとともに、一般財源を投入するなど、あらゆる手だてを尽くして介護保険料の値上げを中止し、値下げするよう求めます。
 次に、特養ホームについてです。
 本区では特養ホーム待機者が1000人を超える深刻な状況が続いています。「体が不自由でひとり暮らしが大変」「老々介護で共倒れになりそう」など、特養ホーム増設を求める声は切実です。高齢者人口で比べた特養ホームの設置率は23区中15位と遅れています。長期計画では、辰巳団地への特養ホーム増設で残りあと1か所の増設となりますが明らかに足りません。新砂3丁目などの都有地や旧三大中跡地の区有地など、区内空き公有地を活用し、特養ホームの長期計画早期実現とさらなる増設を求めます。
 最後に、認知症予防について伺います。
 2025年には、日本で65歳以上の高齢者が約3500万人、3人に1人が高齢者になり、そのうちの5人に1人、約700万人が認知症になると予測されています。
 いかに早期発見できるか、認知症の予防が大変重要です。
 軽度認知障害MCIと呼ばれる健常者と認知症の中間の段階の方は、日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと約5年でその半数以上が認知症に進行すると言われています。しかし、MCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができると分かっています。
 また、近年、「難聴は認知症の重大な原因」との学説が、国際アルツハイマー病会議の場で報告され、その認識は広がっています。
 認知症を早期発見し予防するために、軽度認知症がい(MCI)のスクリーニング検査や聴力検査などの導入を求めます。また、医療機関で認知症の検査をした際の補助を併せて求めます。
以上で質問を終わります。

~~~~~以下答弁~~~~~
 次に、環境問題についてお答えいたします。
 まず、羽田新ルートについてです。
 国の説明内容に関する区の認識についてですが、国が説明した運用割合は、新ルートの飛行実績と概ね一致し、直近では、北風運用が減少傾向にあり、国に説明を求める考えはありません。
 次に、区立学校での飛行機の音については、授業に影響を与えているものではないと認識していますが、お尋ねの区民の声については、引き続き国に伝えてまいります。
 次に、第二砂町中学校における常時測定の実施についてです。測定場所は、国が他区の常時測定局とのバランスを考慮し、本区においては東大島文化センターに設置しております。そのため、本区としては、第二砂町中学校は、常時測定局を補完する短期測定として実施する場所と認識しております。
 次に、区民アンケートの実施については、本件について実施する考えはありませんが、今後も引き続き、寄せられた区民の声を国や都に伝えるとともに、本区に対する丁寧な説明や情報提供を求めてまいります。
 次に、羽田新ルートの運用については、国の責務に基づき安全対策を徹底しております。そのため、区として撤回を求める考えはありませんが、今後も引き続き、良好な生活環境を維持できるよう国に要望してまいります。
 次に、気候危機対策についてお答えします。
 まず、日本の現状認識についてです。地球温暖化対策は世界的な喫緊の課題であり、現状のままでは目標達成は難しい状況にありますが、わが国の最先端の技術を活用しながら、官民一体となり、ゼロカーボンの実現に向けて取り組んでいるものと認識しております。
 次に、国に現在の取組と目標等の見直しを求めることについてです。国は再生可能なエネルギー政策への転換に向けて、社会経済情勢や各分野の最新技術の活用など、あらゆる視点から議論し設定したCO2削減目標達成に向けて取り組んでおりますので、区として見直しを求める考えはありません。
 次に、公共施設等、建築物の再エネ電力への切替やZEB(ゼブ)化についてです。本区では、いずれの取組も温室効果ガス削減に有効であると認識しており、今後策定する環境基本計画の中で、庁内で具体的な検討を進めることとしております。
次に、省エネ家電買替に対する補助についてです。省エネ家電等の買替促進としては、東京都が東京ゼロエミポイントを実施しており、来年度も同様の事業を予定していますので、区独自の新たな補助の考えはございませんが、今後も東京都の取組を周知啓発してまいります。
 次に、エアコン設置等の助成についてです。現時点ではその予定はございませんが、引き続き、熱中症の注意喚起や予防対策等を周知するとともに、公共施設を休憩所として開放するほか、社会福祉協議会の貸付金をご案内するなど、きめ細やかな対応をしてまいります。

西部ただし議員のご質問にお答えします。
 はじめに、高齢者支援についてのご質問のうち、介護保険制度についてです。
 まず、高齢者の暮らしの実態についてですが、世界的なエネルギー価格の高騰や、食料品等の値上げなどによる物価高が高齢者のみならず区民生活に影響を及ぼしているものと認識しております。
 こうした現状を踏まえ、補正予算や6年度当初予算において、様々な対策を講じているところです。
 次に、介護保険の利用者負担増を中止するよう国に働きかけることについてですが、全国市長会等を通じて、被保険者の保険料負担が過重とならないことや、低所得者の軽減策を講じるよう提言を行っております。
 次に、介護従事者の処遇改善についてです。
まず、介護報酬の改善等につきましては、これまでも全国市長会を通じて、国に提言を行っております。
また、介護人材確保については、介護事業者等の意見も踏まえ、介護職員宿舎借り上げ支援や介護福祉士実務者研修費用助成など、様々な介護人材確保・定着支援策を講じているところであり、更なる人材確保策の充実についても、現在、検討を進めているところです。
 次に、介護保険料についてです。
 国に対し公費負担を50%超とするよう求めるべきとのことですが、一般会計からの財源投入につきましては、給付に応じた負担の関係が不明確になり、介護給付の適正化と制度の持続性を棄損するおそれがあり国に働きかけることは考えておりません。
 また、保険料の値下げについては、これまでも介護給付費準備基金を有効に活用し、保険料の上昇を抑制するなど、負担軽減を図ってきたところであり、第9期についても適切な基金残高とあわせて検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームについてですが、既に亀戸九丁目の都有地において整備を進めているほか、辰巳の都有地についても都との協議を始めたところです。その他の都有地や区有地の活用についても検討を進めており、今後も長期計画に基づき、着実に整備を進めてまいります。
 次に、認知症予防についてです。
 まず、認知症を早期発見し予防するために、軽度認知障害(MCI)のスクリーニング検査や、聴力検査等を導入することについてですが、本区では、これまでも、医師会とも連携した認知症検診を実施しております。
 また、医療機関で認知症の検査をした際の補助についてですが、来年度より認知症検診の対象年齢を、現行の70歳に加え、72歳、74歳に拡大する予定であり、現行の認知症検査を着実に実施し、さらなる認知症予防に取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

次に、子育て支援についてのご質問にお答えします。
 まず、きっずクラブにおける昼食についてです。
 こども家庭庁は、放課後児童クラブへの昼食提供に関し、地域の実情に応じた対応を求めております。本区においては、弁当を保護者が用意することを基本としつつ、きっずクラブ毎に保護者がニーズに合った弁当事業者を選べる、保護者主体による宅配弁当を推進しております。
 既に複数のきっずクラブにおいて導入されておりますが、新たに宅配弁当を検討する保護者に向けて、導入のプロセス等を記した、フローチャート等を示すとともに、今後も宅配弁当に関する情報収集に努めてまいります。
 次に、地域子育て機能強化と子育て応援券についてです。
 区内で活動する子育て支援団体については、引き続き実態の把握に努めてまいります。
 また、子育て支援団体への支援としては、後援名義のほか、子育てハンドブックなどによる紹介を行っております。運営費の補助については、区で実施している既存事業との重複等について慎重に検討する必要があり、現在は、社会福祉協議会による助成制度を紹介しており、今後もこれらの施策を通じて支援してまいります。
 次に、子育て応援券についてです。
 本区では子育ての経済的支援として、今年度、子育て家庭に3万円分の電子クーポンを配布したほか、ベビーシッター費用の助成を開始し、来年度は家事育児支援事業の対象を拡大します。
 お尋ねの子育て応援券については、子育て支援策の一つとして、検討課題と考えております。
 次に、保育士の配置基準と処遇改善についてです。
 まず、国へ基準見直しの経過措置の期限や財源を示すことを求めることについては、見直しに際し、従前の基準で運営することも妨げないとする経過措置を設けるとされており、具体的な期間は今後国から示される予定であるほか、公定価格に新たに職員配置の改善に要する経費加算が措置され、必要な財政措置がなされるものと認識しており、国に求めることは考えておりません。
 次に、区立保育園における新基準への移行については、今後示される経過措置の内容等を踏まえ検討してまいります。
 次に、国に対して公定価格の引き上げや委託費の弾力運用の見直しを求めることについては、公定価格は国が適切に見直しを行うべきものと認識しており、委託費の弾力運用は国の通知に基づいて行うことから、現時点で見直しを求めることは考えておりません。
次に、人件費率を50%以上に定めることについては、保育所ごとに職員の年齢構成や経験年数などの状況が異なるため、人件費の割合のみをもって適否を判断することは困難であり、一定の割合を定めることは考えておりません。
 次に、宿舎借り上げ支援の補助金については、これまでも大幅な公費負担をしており、事業者負担分への支援は、更なる財政負担が伴うことから、慎重に検討すべきものと認識しております。

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2024年第1回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。
 はじめに、能登半島地震で亡くなられた方に対し哀悼の意を表すとともに、被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

  • 前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について
  • 来年度予算案と行財政運営について
  • 防災対策について
  • 住宅問題について

 大綱の第1は、前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について伺います。
 昨年4月の江東区長選挙の際に、有料動画広告の掲載や選挙買収を行ったとして前区長が公職選挙法違反容疑で在宅起訴されるなど、区民の信頼を失墜させる事件が相次いでいます。お金で選挙を歪めることは政治家として絶対やってはならないことです。区政を混乱させた責任は重大です。多くの区民が区政のクリーンな運営を強く求めています。
 大久保区長は、「クリーンで公正な区政」の実現を公約していますが、前区長の公職選挙法違反の買収容疑等の在宅起訴について、どう認識されているのか、伺います。
 また、前区長の当選目的のため、元衆議院議員の柿沢氏側から20万円を受け取ったとして、3人の現職区議会議員が被買収容疑で在宅起訴されました。起訴された事実は極めて重大です。区民に対する説明責任を果たすとともに、ただちに議員を辞職すべきです。
 柿沢氏側から現金を受け取ったとされる複数の区議会議員は立件されなかったものの、金額の多寡の問題ではありません。現在、議会で取り組んでいる「政治倫理条例案」は、政治倫理基準として、「区政運営もしくは議会運営に著しく影響を与え、区民の信用も若しくは信頼を著しく失墜させる行為又は不正の疑惑を持たれる恐れのある行為を行わないこと」「議員は、政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって、真相を明らかにするとともに、区民並びに議会に対して説明責任を果たさなければならない」と規定しています。疑惑を持たれたすべての議員は、自ら誠実に真相と説明責任を果たすべきです。
 大久保区長は、被買収容疑で起訴された現職3区議から先の区長選挙で応援を受けていますが、区長が掲げる「クリーンで公正な区政」の立場とは相容れないのではありませんか。認識を伺います。
 大久保区長は、「区民の信頼を取り戻すためには、我々自身がクリーンで公正でなければならない」「区役所におけるコンプライアンスの順守に徹底的に取り組む」と言明しています。行政内部の規程にとどめず、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定することを求めます。伺います。

 大綱の第1は、来年度予算案と行財政運営について伺います。
 自民党政治がもたらした経済の低迷、「失われた30年」で、経済と暮らしは疲弊し、物価高騰がそれに追い打ちをかけています。都営住宅に住む80代の方は、暖房費が嵩むので寒い部屋の中で服を着重ねて生活しています。飲食業者は、コロナ禍前のお客さんが戻らないうちに原材料の高騰によってやむなく廃業し、運送業者は仕事の激減により事業の困難に直面しています。区民の暮らしと営業の実態について、区長の認識を伺います。
 政府予算案についてです。
 岸田政権は、物価高騰から暮らしを守るまともな賃上げ対策を示さないばかりか、介護保険の予算も現場の人手不足解消にほど遠いうえ、利用者2割負担の拡大や介護保険サービスを要介護3以上に限定するなど社会保障の大削減を狙っています。さらに、子育て支援拡充の財源を医療・介護の削減や国民負担増で生み出す計画です。こうしたやり方は、社会保障と子育て支援の予算を付け替えるだけで、世代間対立をあおるものです。国の社会保障削減に追随せず、国に対し、社会保障の充実、政治の責任による賃上げ、消費税減税やインボイスの中止を毅然として求めるべきではありませんか。伺います。
 本区の予算案についてです。
 来年度予算案は、一般会計で2543億円余、3つの特別会計を合わせた総予算は3,566億円余と過去最大規模です。わが党が求めてきた学校給食無償化の継続、保育料の引き下げ、施設使用料の値上げ据置措置の延長、特養ホームや障害者グループホームの増設など一定の前進がありますが、防災対策の抜本的強化や、子育て、高齢者、障害者への経済的支援、ジェンダー平等、中小業者支援は不十分です。国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の大幅値上げなど、区長が掲げる「区民生活最優先の区政」とは言えません。
 基金総額は、2022年度決算時点で1862億円と過去最高額を更新し、コロナ禍と物価高騰で区民生活が危機的状況のなかで、この4年間だけでも495億円もの基金積み増しは、異常な予算の残し方です。区民の税金は区民の暮らしと営業を豊かにするために使うべきです。以下、提案します。
 首都直下地震に備え、備蓄物資の増強や避難所環境整備、木造住宅・マンション耐震改修助成の増額など防災対策の抜本的強化、小・中学校の学用品無償化、給付型奨学金の拡充、重度介護手当や高齢者入院費助成の創設、パートナーシップ制度の実施、予算構成比1.3%に落ち込んでいる産業経済費を増額し、融資の利子補助引上げ、店舗改修費助成の創設、事務所・店舗家賃助成、ホームページリニューアル助成など、本腰を入れた支援を求めます。医療・介護の保険料の引き下げなど、ただちに取り組むべきです。伺います。
 民間委託についてです。
 区は、「行財政改革」と称して、新たに東砂児童館・福祉会館、東砂第3保育園、辰巳小学校の用務業務、保健所が実施している水質検査、食品の細菌検査、結核レントゲン撮影業務などの民間委託を計画しています。
 民間委託した保育園やきっずクラブでは、委託事業者が、職員の人数を水増し請求する委託料の不正受給が相次いでいます。その背景には、目先の利益のためにコスト削減、人件費削減を最優先する雇用破壊の政治があります。民間委託は、官製ワーキングプアを増大させ、区民サービスの質を低下させています。保健所が行っている水質検査や食品の細菌検査の民間委託は、公衆衛生の公的責任を放棄するものです。民間委託ありきの行財政運営は根本的に改め、直営に戻すことも含め、抜本的に転換すべきです。伺います。
 公契約条例についてです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契約条例が全国で広がり、23区では現在13区で制定されています。公契約条例は、不当な低賃金労働を背景にしたダンピング競争から地元の健全経営の事業者を守り、公共サービスの品質を維持するために熟練労働者の賃金を下支えすることにつながります。公契約条例の制定を求めます。伺います。
 定員適正化計画についてです。
 区は、人件費の削減を続けてきた結果、人口1000人あたりの職員数は23区中で最下位です。こうしたもとで、昨年の古石場川親水公園のポンプの故障による隣接マンションへの床上浸水事故では、区が連絡を受け、土木作業班が現地に到着するのに3時間余りかかり、「なぜすぐ来ないのか」との批判の声が上がりました。
 初動対応が遅れたのは、土木現業職員を退職しても補充せず、この15年間に46人から13人に削減されてきたことにあります。災害時の危機管理上も、技能系職員の退職不補充方針を中止し、計画的な採用を行うべきです。伺います。
 江戸川区において、ケースワーカーが生活保護受給者の遺体を2か月放置していたことが社会に衝撃を与えました。再発防止に関する報告書では、当該ケースワーカーが100世帯を担当しており、社会福祉法の定める標準数である80世帯を超過していたことが要因の一つと指摘しています。本区においても、1人あたり100世帯、中には120世帯を担当しています。対岸の火事にせず、標準数を満たす職員体制の確保を図るべきです。伺います。
 5年間にわたって職員定数を1人も増やさないという定員適正化計画を柔軟に見直し、業務量に見合った適正な職員数とすべきです。伺います。

 大綱の第3は、防災対策について伺います。
 最大震度7を記録した今回の能登半島地震では、避難所での生活用水や食料、トイレ、暖房類等の不足が初動対応の遅れを招きました。これを踏まえ、本区の防災対策の強化を求めます。
 まず、備蓄物資の増強です。
 区は、来年度予算で、新たにウエットシートや段ボールベッド、飲料水、栄養食を配備する計画です。一方、食料備蓄は、区と都で連携して3日分を備蓄することになっていますが、区の備蓄は1日分しかありません。計画通りに支援を受けられる保証はありません。区独自に3日分を備蓄すべきです。また、飲料水は、地震で浄化槽や水道管損傷、道路の寸断等で給水車が遅れる恐れもあるため増配置すべきです。携帯トイレは現在の3日分から一週間分に増やし、段ボールベッドは避難所1か所あたり5個程度の配置予定しかないため、増強が必要です。水害では2週間水が引かず連絡の遮断が想定されます。水害時も含めて現在の備蓄物資を再検証し、計画的に増強を図っていくべきです。伺います。
 避難所等の環境整備です。
 避難所等での災害関連死が大きな問題となっています。医師や専門家でつくる避難所・避難生活学会は、避難所は「不便で不潔なトイレ」「冷たい食事」「床での雑魚寝」に課題があると指摘しています。高齢者や女性が安心して利用できるトレーラートイレ導入など、快適で十分な数のトイレ、あたたかい食事、段ボールベッドの十分な提供など、避難所等の環境整備を求めます。伺います。
 福祉避難所です。
 自宅や避難所での生活が困難な高齢者や障害者等の要配慮者を一時的に受け入れ、保護するための福祉避難所は重要です。区は福祉避難所として特養ホームなど25ヵ所を指定していますが、受け入れ態勢の困難さがあります。各施設管理者との協議を継続するとともに、自主的避難施設に指定した文化センター等を災害時の福祉的避難所として活用すべきです。伺います。
 感震ブレーカーの設置拡充です。
 地震による火災の過半数は電気が原因であり、その対策として感震ブレーカーが効果的です。区は、今年度、感震ブレーカー配付等を行いましたが、実績は配付事業で対象者の2割台、分電盤助成では1割に及びません。都は独自の感震ブレーカー設置事業を促進するため、申込んでいない世帯への個別訪問と直接配付を始めました。本区での取り組み強化を求めます。伺います。
 荒川堤防の液状化対策・耐震化です。
 東砂地区の荒川右岸堤防の整備状況について、国土交通省荒川下流河川事務所に確認したところ、河川敷道路から葛西橋へのアクセス坂路200m部分の液状化対策、耐震化が完了しておらず、「大地震発生時には地盤が液状化し、堤防が60cm沈下する恐れがある」ことが判明しました。このままでは、首都直下の大地震が発生した場合、地盤が液状化し、沈下した堤防から氾濫、大規模浸水となります。早急に液状化対策と耐震化を行うよう国に強く申し入れるべきです。また、耐震化が遅れている横十間川、越中島川、東雲・豊洲・辰巳運河などの耐震護岸整備の促進を都に働きかけるべきです。伺います。

 大綱の第4は、住宅問題について伺います。
 区営・都営住宅の増設についてです。

 国は住宅政策への公的責任を後退させ、ニーズが高いにもかかわらず、公営住宅の削減をすすめてきました。その結果、都営住宅の新規建設は24年間ゼロです。応募倍率は一般募集で10倍以上、単身者向けでは50倍を超えています。区営住宅でも58倍、さらに高齢者住宅は、わずか2戸の募集に133世帯が応募している状況です。区営・都営住宅の入居希望者は、経済的困難だけではなく、ひとり親世帯、高齢者世帯、障害者など様々な困難を抱える人たちです。
 区営住宅の新規建設を行うとともに、UR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げるなど、供給量を増やすべきです。また、都営住宅の新規増設を求めるべきです。合わせて伺います。
 入居収入基準についてです。
 区営・都営住宅は、月収15万8千円以下など、限られた低所得者しか入居できません。
 現行の入居収入基準を、月収20万円に引き上げ、子育て世代や単身者が入居しやすいようにするべきです。また、「孤独死」を防ぐため、単身高齢者等の見守り行う自治会に対する支援を充実すべきです。合わせて伺います。
 修繕負担についてです。
 畳表や畳床の取替えなど、多くの修繕が居住者負担となっています。居住者は、低所得者世帯が多いことに加え、年金生活者が増加し、修繕費の負担が重荷です。畳表の取替え、障子紙、ふすま紙の張替え、給水栓、LED照明の取替えなどを借主負担から外した国交省の賃貸住宅標準契約書の積極的な内容を踏まえ、負担軽減を図るべきです。伺います。
 空き家対策についてです。
 団地自治会の役員さんたちから、「空き家が多すぎて自治会活動が成り立たない」という声が上がっています。都営住宅の空き家総戸数は3万8千戸に達しています。2011年度からの10年間で空き家は倍増しています。区内の都営住宅の空き家の利活用について、高齢者向け優良賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅として提供できるよう都と協議すべきです。伺います。
 次に、UR賃貸住宅についてです。
 高齢者世帯への家賃助成について伺います。

 本区には、UR賃貸住宅が27ヵ所、16,000戸以上が整備されています。
 全国自治協が行ったアンケート調査結果では、現在の家賃が「重い」と答えた方は74%に上ります。築50年の大島6丁目団地における同調査では、高齢者の一人暮らし世帯が43%に増加し、年金受給者が7割を超え、物価高騰と年金切り下げのもとで、家賃負担が「大変重い」「重い」と答えた世帯が実に9割を超えました。
 安心して住み続けられるよう機構法25条4項に基づき、家賃負担が困難な高齢者世帯に家賃減免を行うようURや国に求めるべきです。また、区として家賃助成を行うべきと思いますが、合わせて伺います。
 居住者や自治会の運動が実り、修繕負担区分の見直しが実現しました。さらに、劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳、ふすまの入れ替え等、必要な修繕をURに求めるべきです。伺います。
 マンション対策について伺います。
 大規模修繕についてです。

 区のマンション実態調査では、行政に求める支援で一番多いのが「大規模修繕工事への支援」です。区では、各種アドバイザーによる相談体制や共用部分リフォーム支援等を行っていますが、大規模修繕工事への財政支援の拡充を図るべきです。伺います。
 耐震化についてです。
 マンションの耐震化は、大地震時にマンション居住者の命と財産を守り、倒壊等による道路閉塞を防ぎ、早期の生活再建にも効果的であり、耐震診断、耐震改修の実施が急がれます。しかし、耐震化に向けた費用が高額にのぼり、費用不足のため、診断結果が悪くても耐震工事ができないのが実情です。建築資材や人件費等の高騰も踏まえ、区の耐震化助成額を引上げるべきです。伺います。
 住宅マスタープランについて伺います。
 住宅は、区民生活の基礎であり、都市づくりの要です。しかし、区は、住宅マスタープランを都市計画マスタープランと統合・改定し、テーマ別まちづくりの一つとして位置づけを変えました。住宅の基本政策が縮小、後退していると言わざるを得ません。住まいは人権です。住宅マスタープランは、区の住宅政策の方向性と施策を明確に示す計画として策定すべきです。答弁を求め、質問といたします。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案と行財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、区民生活に対する認識についてですが、長引く物価高が区民生活や中小企業の活動にも影響を及ぼしていることから、区では補正予算や6年度当初予算で中小企業の支援など様々な対策に取り組んでおります。
 次に、政府予算案についてです。国の6年度予算は少子化対策の強化を図るなど、社会保障費は歳出全体の3分の1を占める37兆円余を計上して社会保障の充実に努め、「物価に負けない賃上げ」の実現を必要とした予算となっているものと認識しており、社会保障費の財源となっている消費税の減税やインボイス制度の中止などを本区から要望する考えはありません。
 次に、本区の予算案についてのうち、備蓄物資の増強についてですが、能登半島地震の状況を踏まえ、生活必需品等の備蓄を拡充し、避難所の環境整備については、要配慮者対策の観点から、新たに段ボールベッド等を配備する方針です。
 次に、木造住宅やマンション耐震改修助成ですが、耐震化への意欲醸成が課題であり、その支援に注力していることから、増額は今後の検討課題であります。
 次に、小中学校学用品の無償化ですが、就学援助制度など経済的に困難な世帯への負担軽減については、既に取り組んでおり、現時点で実施する考えはありません。また、奨学金の拡充に関しては今年度より、高校等へ進学を希望する中学3年生を対象とした給付型奨学制度を開始しており、本制度を継続してまいります。
 次に、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を創設すべきとのお尋ねですが、区では高齢者福祉に関するさまざまな施策を着実に取り組んでおり、実施する考えはありません。
 次に、パートナーシップについては、骨子(案)を取りまとめ、制度の実施に向け、区議会のご意見を踏まえ、必要な規定整備を検討しております。
 次に、融資における利子補助の引き上げやホームページ作成費補助金の対象拡大、店舗改修費・事務所家賃補助の創設についてですが、区では、すでに様々な支援策を講じており、現時点で拡充や制度創設などの考えはありません。
 次に、国民健康保険料のこども均等割を無料にすべきとのことですが、制度上の課題は国の責任で実施するよう区長会から要望しており、区で独自に取り組む予定はありません。
 また、介護保険料の引き下げについてですが、今後も増加が予想される介護需要を考え、これまでも基金を有効に活用し、増額幅を抑制しているところであり、現時点では介護保険料の引き下げは考えておりません。
 次に、民間委託についてです。
 民間活力導入は健全な行財政運営に不可欠なものであり、今後とも必要な活用を図ってまいります。
 次に、公契約条例についてです。適正な労働環境の整備は、国の法制で対応すべきものと考えており、現時点で条例を制定する考えはありませんが、本年度から一部の工事案件を対象に開始した労働環境確認の継続実施とともに、最低制限価格の適切な設定などにより、公共サービスの品質維持に努めてまいります。
 次に、定員適正化計画についてです。
 災害時も含め、土木部全体や民間協力会社等との対応体制が構築されており、技能系職員の退職不補充を見直す考えはありません。また、ケースワーカーの配置数については、生活保護受給者数の推移を踏まえ、毎年見直しを図っており、適宜、増員も行っております。
 定員数については、行政需要等による必要数と、行財政改革の進捗による減員数とのバランスを図りながら進行管理を行っており、現行の定員適正化計画を見直す考えはありません。

 次に、前区長と区議会議員らの選挙買収容疑による起訴についてのご質問にお答えします。
 昨年十月二十四日に東京地検特捜部による区長室の捜索が行われ、以降、前区長の辞職と二回目の区長選挙、そして先月十七日の前区長等の在宅起訴など、これまでの間、区がこれまで経験したことのない様々な出来事の連続でありました。
 お尋ねの前区長が公職選挙法違反容疑により在宅起訴されたことについての認識ですが、このような事態となったことに対して、区として大変残念であり、誠に遺憾であります。引き続き、今後の司法の場における審理の状況を注視してまいります。
 次に、被買収容疑で起訴された現職区議にも選挙応援を受けていたことが、クリーンで公正な区政の立場と相容れないのではとのお尋ねですが、区議が起訴されたのは本年一月であったことから、十二月の区長選挙期間中において、当該区議から応援を受けたことが、大久保区長が掲げる公約と関連するものではないものと認識しております。
 次に、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定すべきとのお尋ねですが、現時点で、特別職に関する政治倫理条例を制定する考えはありませんが、現在、他自治体の取り組みなどを参考に、庁内のコンプライアンスの強化に向けた具体的な取り組みについて検討を進めております。

 次に、防災対策についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、備蓄物資の増強についてです。
 区では、能登半島地震の被災地において、道路インフラの断絶等により物資支援に遅れが出た状況を踏まえ、令和6年度に段ボールベッド等の新規備蓄や紙おむつ等生活必需品の増強を図ることといたしました。これは、緊急措置としての対応であり、現在、防災倉庫等の保管スペースの状況を踏まえ、備蓄物資の品目及び量の見直しの検討を進めているところです。
 なお、区単独での大幅な備蓄の強化については、保管場所等の課題があることから、東京都との連携強化や、防災協定の拡充により区の備蓄の補完を図ってまいります。
 次に、避難所等の環境整備についてですが、避難所では、高齢者や障害者等の要配慮者や、女性の視点に立った環境整備が重要であり、これにより避難者のストレス軽減や災害関連死の予防にもつながるものと考えております。このため、今年度は防災授乳服を配備し、また、令和6年度には段ボールベッドやゼリー食を新たに備蓄することといたしました。引き続き、備蓄の見直しと合わせ、避難所における要配慮者の受入れ訓練などのソフト対策も強化するなど、避難所の環境整備に取り組んでまいります。
 次に、福祉避難所についてです。
 現在、庁内の会議体において、福祉避難所の収容人数や人員体制など、受入態勢の様々な課題について検討しております。文化センター等を含めた福祉的避難所の整備についてのお尋ねですが、高齢者・障害者施設等の指定の拡充や、避難所における福祉機能の充実を図る必要があるものと考えております。なお、要配慮者対策にあたっては庁内の組織体制の強化を図る予定であり、災害時に配慮が必要な方々に関係する部署が連携して対策を検討してまいります。
 次に、感震ブレーカーの設置拡充についてです。
 今年度、火災危険度の高い地域を対象に、簡易型感震ブレーカーの無料配付及び、分電盤タイプの設置費用の一部助成を実施しておりますが、各地域での展示会や区報、SNS等により、この事業の周知を図ってまいりました。また、現在、簡易型感震ブレーカーの申込期限は経過しておりますが、引き続き、窓口配付を行っており、一定の反響があるところです。今後も、東京都の取組状況を踏まえ、感震ブレーカーの設置を促進していく考えです。
 次に、荒川堤防の液状化対策・耐震化についてですが、荒川は、本区の水防計画において最重要施設であり、日頃より国と連携し、万が一の水害に備えております。お尋ねのアクセス坂(はん)路(ろ)における液状化対策の未施工箇所については、本区も認識しており、国に対し、耐震対策の早期実施とともに、発災時の緊急復旧対応についても要望しております。
 また、内部河川及び運河につきましては、区民の安全・安心を確保するため、水防連絡会等を通じて、東京都に対して、耐震護岸の整備促進を要望しております。あわせて、私が会長である東京高潮対策促進連盟の要請活動において、東京都が実施する護岸整備事業等の予算確保に向け、国に対しても積極的に働きかけてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、住宅問題についてであります。
 まず、区営・都営住宅の増設についてですが、区内の公営住宅供給量は住宅ストックとして充足している状況です。
 そのため区営・都営住宅の管理戸数は現行水準を維持していく方針であり、借上げを含めた区営住宅の新規供給や都営住宅の増設を求める考えはありません。
 また、入居収入基準については、区営住宅条例に基づき公営住宅法施行令の基準を適用しており、区が独自に上限額を引上げることは困難であります。
 また、高齢者の見守りに係る自治会等への支援制度ですが、高齢者地域見守り支援事業の活用や長寿サポートセンターとの連携を図ることで、孤独死の防止に努めております。
 また、修繕負担についてですが、入居している期間において、畳表やふすま紙など、日常的に使用するもので、入居者の使用状況により破損の程度が異なるものについては、自費で負担することとしており、現段階で見直す考えはありません。
 また、空き家対策についてですが、区内の都営住宅については、複数団地で実施されている建替事業対応のため、仮移転先として空き住戸を確保する必要があるものと認識しております。
 また、サービス付き高齢者住宅など空き住戸の利活用については、都営住宅の管理上または施策的観点から都において検討するものと認識しており、現時点で考えておりません。
 次に、UR賃貸住宅についてのうち、高齢者世帯の家賃についてです。
 URは公的機関として法律に基づき賃貸住宅を供給、運営しており、家賃についても政策的に決定していることから、国やURに対し、区として直ちに減免制度の適用を働きかける考えはありません。
 また、高齢者世帯への区からの家賃助成や修繕負担区分に係る関係機関への働きかけについても、現時点で実施することは考えておりませんが、都営住宅申込みの案内や窓口相談を含め、今後も高齢者の住まいへの思いに寄り添った出来うる限りの支援を継続してまいります。
 次に、マンション対策についてのうち大規模修繕についてであります。
 計画的な大規模修繕工事や修繕積立金の確保は、マンション管理の健全性を示す指標でもあり、工事費助成は現在行っておりませんが、計画修繕調査支援事業の件数拡充を予算に反映するなど、管理組合への支援を強化しております。
 また、耐震化助成の引上げについてですが、まずは耐震化への意欲醸成が課題であるため、その支援に注力しているところであり、資材等高騰への対応については、今後の検討課題といたします。
 次に、住宅マスタープランについてでありますが、本区の住宅政策のあり方を示す基幹の計画であることから、多様な部門を連携させ、総合的な施策展開を図るため、都市計画マスタープランと一体として策定しております。
 掲げる取組方針については、マンション建設方針やマンション管理適正化推進計画など個別具体的に実施計画を定め、多様な暮らしを育む定住都市の実現に取組んでおります。

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区議団ニュース2024年1月号

  • 第4回定例会 不正許さず、命と暮らし守る区政を 大つきかおり議員
  • 能登半島地震・被災者支援に全力
  • 第4回定例会 委員会論戦
  • パートナーシップ制度 先送りするな!
  • 共産党提案「UR住宅の家賃減免を求める」意見書
  • 高すぎる保険料に悲鳴 負担軽減を!!
  • 区内17ヶ所目の特養ホーム開設へ
  • 東京地検 柿沢衆議院議員を選挙買収容疑で逮捕
  • 議会日程(予定)
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2023年第4回定例会―大つきかおり

  • 木村前区長の公職選挙法違反問題について
  • 2024年度予算編成と行政運営について
  • ジェンダー平等社会の実現について
  • 国民健康保険について
  • 教育について

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱5点について質問します。
 初めに、木村前区長の公職選挙法違反問題について伺います。
 木村区長が、11月15日で辞職しました。4月の区長選で、クリーンな区政を掲げていたにもかかわらず、自ら公正であるべき選挙を歪め、区民の信頼を裏切ったことは、決して許されません。
 木村前区長は、9月の本会議で我が党議員の質問に、有料広告は支援者からの提案で、支援者が単独で掲載したかのようなと答弁しましたが、実際には、柿澤未途衆議院議員の勧めであったことが明らかになりました。本会議での木村氏の答弁は、虚偽であり、区民や議会を欺く不誠実な対応だと言わざるを得ません。
 区は、この一連の事態をどう受け止めているのか、改めて見解を伺います。
 わずか半年余りでの再選挙や退職金支給についても、区民から批判の声があがっています。木村前区長への退職金支給はやめるべきだと思いますが、見解を伺います。

 さらに東京地検は、柿沢議員による選挙買収疑惑についても捜査を行なっており、複数の区議会議員の自宅への家宅捜索を行いました。過去には「陣中見舞い」として現金を受け取った議員も選挙買収で有罪となっています。
 区民からは、秋元司・元衆議院議員のカジノ汚職、榎本雄一・元区議会議長の入札汚職、そして今回の公選法違反や選挙買収疑惑など、度重なる汚職や不正に、「江東区は一体何をしているのか」と、厳しい声が寄せられています。
 日本共産党区議団は、議会だけではなく、行政も政治倫理条例を制定するよう求めましたが、区は、内規を策定したことを理由に制定の「考えはない」と9月議会で答弁しました。
 汚職や不正をなくし、区民の信頼を取り戻すために、行政側も政治倫理条例を制定すべきです。改めて見解を伺います。
 また、議会の政治倫理条例も資産公開や問責制度を盛り込むなど、厳しい内容とすることを同僚議員に呼びかけます。
 日本共産党は、企業団体献金も政党助成金も受け取らない政党です。だからこそ、汚職や不正と無縁です。汚職や不正のない区政を実現するため、引き続き力を尽くすことを表明し、次の質問に移ります。

 大綱の2点目は2024年度予算編成と行政運営についてです。
 「失われた30年」ともいわれる、長きにわたる経済の停滞に加え、物価高騰で区民生活は危機的な状況です。
 経済の停滞・衰退をもたらした最大の原因は、「コストカット型経済」です。
 労働法制の規制緩和を繰り返し、目先の利益のためにコスト削減・人件費削減で非正規雇用を広げ、正社員の長時間労働を蔓延させました。大企業の利益は増えても実質賃金は下がり続け、経済成長できない国にしています。また、医療・介護・年金など社会保障のコストカットが繰り返されてきました。
 経済を再生し、暮らしを守るためにも、「コストカット型経済」から賃上げと待遇改善、社会保障充実への転換が必要ではないですか。見解を伺います。
 
 区長不在のもとで来年度予算の編成が行われていますが、区民の暮らしを守るための施策を当初予算から盛り込むべきです。
 江東区の基金総額は、22年度決算時点で過去最高の1862億円にものぼります。危機的状況にある区民の暮らしを支えるため、基金を活用し、子育て支援の拡充、教育費の負担軽減、高齢者や低所得世帯への経済的支援、中小企業支援など、新たな施策を盛り込むこと、保育料だけでなく、公共施設の使用料の値上げ中止など、区民への負担増は行わないよう求めますが、見解を伺います。

 また年末に向け、暮らしを支える緊急支援策を実施すべきです。
 政府は、住民税非課税世帯への追加の給付を決定しました。
 区独自に住民税均等割世帯に対象を広げ、ただちに補正予算を編成し、速やかな支給を行うことを求めます。さらに、年末に向けて倒産・廃業という事態を防ぐため、新たな借換融資の創設や利子補助の拡充、杉並区や新宿区で実施している全事業者を対象とした、電気・ガス・ガソリン代などの物価高騰分に対する支援を行うべきではないですか。伺います。

 国と同様に、江東区でも人件費のコストカットが進められてきました。人口が増加しているにもかかわらず、定員適正化計画の名のもと正規職員を減らしてきた結果、人口1000人あたりの職員数は23区中、最下位です。
 区は少数精鋭を謳っていますが、病欠や定年前の退職も増加し、現場の職員は疲弊しています。また、この間、補助金の申請や税業務でのミスなどが多発し、損失も生まれています。古石場親水公園の漏水事故ではすぐに職員が駆けつけられず、住民からも批判の声が上がるなど、いざ災害の時に区民の暮らしを守れるのか懸念されます。
 労働組合からは、福祉事務所や保健所、窓口対応などの人員増の要求が出されています。
 定員適正化計画を見直し、人口増加に見合った正規職員の採用を行うべきではないですか。伺います。

 区は、正規職員を減らす一方、非正規の会計年度任用職員を増やしてきました。15年前と比べ、正規職員は2956人から2659人に300人あまり減少する一方、非正規労働者は1280人から2325人と1000人以上増えています。全職員に対する非正規の割合は30%から47%になり、今や半分近くが非正規労働者です。

 会計年度任用職員は、福祉事務所の女性相談員や学校の栄養士など、重要な業務を担っていますが、任期は最長1年、契約回数の上限も定められ、経験を積み重ねても、昇給制度も勤勉手当もありません。
 契約回数の上限を撤廃し無期限の任用に改め、雇用の安定を図るべきではないですか、伺います。
 また、人事院勧告の給与の引き上げについては、一般職と同様今年度の給与から反映させるとともに、対応する給料号級の引き上げを行うべきではないですか。伺います。
 区は、10月から最低賃金を、時給1125円に引き上げましたが、労働者の求める1500円には程遠い状況です。
 直ちに、時給1500円に引き上げるべきです。伺います。

 区は、「民間で出来ることは民間で」「経費削減」だとして、公共施設の民間委託を進めることで、職員の削減をおこなってきました。
 この間、保育園やきっずクラブの運営を委託している事業者が、必要な職員を配置していないにもかかわらず、補助金を不正に受給する事件があいつで発生しています。
 民間委託の結果、低い賃金で人が集まらず、結局は区民サービスの低下をもたらしているのではないですか。
 不安定雇用を増やす民間委託は中止すべきです。見解を伺います。

 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契約条例が全国に広がっています。
 今年度は、台東区、墨田区、文京区でも実施予定で、23区では過半数を超える13区で実施となります。
 江東区は、今年4月から、労働環境の整備と人材確保のために、一定価格以上の工事、設計、調査、測量に関わる契約を区と行う事業者に「労働環境報告書」の提出を義務付けました。
 公共サービスの質の確保と労働環境の整備、人材確保を進めるため、「労働環境報告書」を公共施設の指定管理者にも拡大するとともに、公契約条例を制定すべきだと思いますが、伺います。

 大綱の第3は、ジェンダー平等社会の実現についてです。  
 区は、来年4月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を実施する予定です。
 LGBT等の方々は偏見や差別などに直面し、自分らしく生きることが難しい状況に置かれています。
 制度の必要性について、あらためて区の見解をうかがいます。

 この間、当事者が声を上げ運動する中で、全国6割の地域で、パートナーシップ制度が実施されました。その一方で、誤解や偏見も依然根強く、制度創設により、トイレや公衆浴場などで女性の安全が脅かされるとの主張が見受けられます。女性の安全が脅かされている現状は、性暴力の防止、被害者支援の取り組みの不十分さの問題です。
 また、子どもへの影響を懸念する声もありますが、LGBT等の6割近くが小学校入学前には性別違和感を自覚し始めているのに、誰にも相談できない現実があり、LGBTの子どもや若者の自殺未遂は14%にものぼります。学校教育を含め、差別や偏見をなくす取り組みが重要だと思います。
 今後、区はどのような取り組みを進めていくのか、伺います。

 次に、リプロダクティブ・ヘルス&ライツについて伺います。
 リプロダクティブ・ヘルス&ライツとは、「子どもを産む・産まない」「いつ何人産むか」を女性が自分で決めることができ、性と生殖に関する健康や、それについての情報を得ることができる権利のことです。
 SDGsの目標にも記載され、今日、ジェンダー平等の実現とも結びながらこの取り組みが、重要となっています。
 まずは、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」という概念の普及が、重要だと思いますが、見解を伺います。

 今年7月に、不同意性交等罪含む改正刑法が施行されました。
 日本では、性教育が極めて不十分で、子どもたちは、人間の生理や生殖、避妊についての科学的な知識も、互いを尊重し合う人間関係を築く方法も、自分の心や体を傷つけるものから身を守る術も十分に学べないまま、成長していきます。
 望まぬ妊娠や性被害を産まないためにも、法改正を踏まえ「性的同意」について、徹底した教育・啓発を行うことが必要だと思いますが、伺います。
 望まぬ妊娠をした方への支援も重要です。
 区として相談窓口を設置するとともに、緊急避妊薬、中絶薬などの医療費やカウンセリング費用などへの経済的支援を行うべきだと思いますが、伺います。

 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が、来年4月1日に施行されます。
 江東区でも基本計画を策定し、具体的な取り組みを進めるべきだと思いますが、伺います。
 また、地域の支援関係者との連携を深めるとともに、個別の対象者について情報共有を行い、支援内容や支援の方向性の協議を行うため、支援調整会議を設置すべきだと思いますが、伺います。
 現在、江東区では、福祉事務所で女性相談を実施していますが、女性相談員を増員し、体制を強化するとともに、東京都の女性相談センターのような分かりや相談窓口を設置すべきではないですか、伺います。

 大綱の第4は国民健康保険についてです。
 コロナ禍や物価高騰が区民生活に深刻な影響を及ぼしているにもかかわらず、今年度は、一人当たり1万791円もの大幅な値上げが実施されました。    
 40代夫婦と子ども2人、年収400万円の4人家族の場合、年間保険料は44万4千円で、収入の1割を超えます。
 区民からは「これ以上の負担は限界」との声が寄せられています。加入者の4人に1人が保険料を滞納するなど、毎年のように繰り返される値上げは、保険料を払いたくても払えない人を増やすだけです。
 区は、重い保険料の負担について、どう認識しているのか、伺います。
 東京都が9月7日に、都の国保運営協議会に提案した2023年度からの運営方針の改定案には、今後6年間で法定外繰入を解消し、保険料水準の「完全統一化を目指す」と明記されました。
 区は、「法定外繰入を実施して、保険料の抑制を図っている」と述べてきましたが、法定外繰り入れの解消は、保険料の大幅な負担増となり区民の暮らしを一層苦しめるのではないですか。
 都に対し、方針を撤回し、保険料を軽減するための独自の財政支援を行い、財政運営の主体としての責任を果たすよう求めるべきではないですか。
 また区として、一般会計の投入で、高すぎる保険料を引き下げるべきではないですか、伺います。

 政府は、5年で43兆円もの軍事費を確保する一方、少子化対策の財源として社会保険料への上乗せを行おうとしていますが、とんでもありません。結局、子育て世帯にも負担増となり本末転倒です。
 所得のない子どもにも年間60100円もの負担を求める均等割負担の廃止こそ必要です。
 国庫負担を大幅に増やし、就学前の子どもの均等割の半額減免を、18歳まで拡大するよう国に求めるべきではないですか。
 また、区として就学前の子どもの均等割を、全額無料にすべきだと思いますが、見解を伺います。

 大綱の5つめは、教育についてです。  
 教員不足が依然として深刻です。江東区でも4月時点で4人、9月になっても2人、不足しています。中学校の技術の教員が2校を掛け持ちしたり、算数の少人数教育も出来ない事態となっています。
 子どもの学びにも影響が生じていると考えますが、区の認識を伺います。

 教員不足の最大の原因は、異常な長時間労働です。1日平均12時間近く働き、土日も出勤、精神疾患の休職者が全国で毎年5千人を超え、中途退職に追い込まれる教員が後を絶ちません。教員の働き方の改善は急務です。
 日本共産党は、抜本的な定数改善計画の策定や、義務教育給与費の国庫負担の引き上げ、「公立教員給与特例法」を見直し、残業代を支給することなどを国に求めています。
 区としても、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、私費会計を担う職員、クラブ活動の外部指導員など、学校を支える人材を増員し、教員の負担を減らすべきだと思いますが、伺います。
 また、無駄な報告書作成や見せるための公開事業、統一学力テストなど、子どもに直接向き合うこと以外の事業を中止・削減することも重要です。
 現場からは、周年行事を行う年なのに、研究発表校にも手を上げていて、とてもやりきれないとの声も寄せられています。
 現場の教員の声を十分に聞いた上で見直しが必要だと思いますが、伺います。
 さらに、家庭の経済状況に関わらず教員になれる道を確保するために、区として、教員の奨学金返済助成制度を創設すべきではないですか。伺います。
 
 次に、不登校対策について伺います。
 2022年度の江東区の不登校の子どもは、小学校で416人、中学校で586人と前年度と比べ、大幅に増加しています。
 不登校が増加する大もとには、国連子どもの権利委員会が何度も指摘しているように、過度な競争主義的教育があり、是正が必要です。
 江東区は、教室に登校できない子どもを対象に、今年から区内15校で、校内別室指導を開始しました。1日も学校に行けなかった子どもが、別室に登校できるようになったり、学習内容によっては授業にも参加できるなどの効果が出ていると聞いています。
 この事業は、全額都の補助で実施されているものですが、今年度17校が希望したのに15校しか認められませんでした。
 都に対し、予算の増額と対象要件の見直しを求めるとともに、都待ちではなく、区独自に希望するすべての学校で実施すべきではないですか。伺います。
 また、多様な学びの場を確保するため、区内3か所でブリッジスクールを設置していますが、南部地域にも開設すべきだと思いますが、伺います。

 次に、登校時間前の子どもの居場所について伺います。
 共働き世帯の増加を背景に、保護者の出勤時間が子どもの登校時間より早くなってしまうことが問題になっています。
 私のところには、「1年生の子どもを1人で家に残せないので、出勤する時に一緒に家を出ると校門が開くまで時間があり、子どもの安全が心配」との声が寄せられています。
 三鷹市や八王子市では、子どもの居場所を確保するため、民間事業者などに委託し、小学校の校庭を始業時間より早く解放する事業を実施しています。
 江東区でも登校前の子どもの居場所づくりを実施すべきではないですか、伺います。
 以上、区の答弁を求め、私の質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 大嵩崎かおり議員のご質問にお答えします。
 はじめに、木村前区長の公職選挙法違反問題についてのうち、これまでの一連の経過に対する区の認識についてです。
 本件につきましては、十月二十四日の区長室の捜索、そして二十六日には辞職の意向を表明するなど、突然の出来事に対し、職員一同、大きな衝撃を受けたところでございます。
 また、前回本会議の答弁と任意聴取過程での新聞報道等との相違については、仮に、報道内容のとおりであれば、議会ならびに区民の皆様に対して真実とは異なる答弁をしたこととなり、本区にとって非常に遺憾なことであります。
 次に、退職手当の支給をやめるべきとのお尋ねについてです。
 退職手当の支給については「江東区長等の退職手当に関する条例」等の規定に基づき、慎重に対応してまいります。
 次に、区側の政治倫理条例の策定についてです。昨年度立ち上げた「江東区契約にかかる不正行為等防止検討委員会」の中で「一定の公職にある者等からの不正な働きかけ等に関する取扱規定」を策定しており、規定上、区長も対象に含めております。そのため、現時点では政治倫理条例を制定する考えはございません。
 今後とも区政運営に支障のないよう、職員一丸となって、行政運営に取り組んでまいります。

 次に、2024年度予算編成と行政運営についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、2024年度予算編成についてのうち、国の経済対策に対する認識についてです。国は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において、あらゆる政策手段を総動員するとしており、区としても、国の経済対策は、物価高騰などから区民生活を守るために有効な対策であると認識しております。
 また、基金を活用して新たな施策に取り組むべきとのお尋ねですが、これまでも区内の福祉関連施設や運送事業者などへの物価高騰対策に加え、学校給食費の無償化など基金の活用をはじめ、補助金なども積極的に活用して区民の暮らしを支える施策に努めており、引き続き必要に応じた施策展開を図ってまいります。
 さらに、公共施設使用料の引上げなど区民負担増についてですが、特に使用料については、現在も特例的措置を実施しており、4月以降の対応は適正な受益者負担を踏まえ、当初予算編成の中で、総合的に判断する必要があると認識しております。
 次に、国の経済対策のうち、住民税均等割のみ課税世帯にも給付対象を拡充すべきとのお尋ねですが、今後、補正予算の編成時において、判断すべきものと認識しております。
 次に、中小企業の廃業等を防ぐため、新たな借換え等の支援の拡充についてです。今年度は、新たにコロナ融資限定借換資金制度を創設したほか、昨年度から実施している原油や物価高騰等に対応する資金融資では、利子補助の条件を他の資金よりも優遇しており、現時点で新たな融資制度の創設や利子補助の拡充の考えはありません。
 また、物価高騰に伴う光熱水費の支援を全事業者に拡充すべきとのお尋ねですが、全ての業種を対象とする支援は、国等において実施されるべきであり、現時点で対象の拡大は考えておりません。
 次に、定員適正化計画についてです。
 本区の定員管理は、行政需要等による必要数と行財政改革の進捗による減員数とのバランスを図りながら実施しており、必要な採用も毎年実施していることから、人口増に伴う行政需要にも対応しているものと認識しております。
 次に、会計年度任用職員についてのうち、公募によらない再度任用回数の上限を撤廃すべきとのことですが、区では、平等取扱いの原則や成績主義に基づき上限回数を4回としており、適正な運用と認識しております。
 また、会計年度任用職員の報酬を一般職と同様に遡及して引き上げるべきとのことですが、今年度より任期が3か月以内の者等を除き、常勤職員の給与改定の取扱いに準じることとし、今年度は4月に遡及して改定する考えであります。
 さらに、会計年度任用職員の給料号給を引き上げるべきとのことですが、報酬は職務内容や責任の程度等を考慮しつつ常勤職員の給料表に基づき決定しており、これまでも、適宜引き上げを行ってきたところです。
 また、事務支援員の報酬単価を1,500円にするべきとのことですが、職務給の原則を基本に、国が定める最低賃金などの社会経済状況や他団体の動向等を踏まえ決定していることから、現時点で考えておりません。
 次に、民間委託についてですが、アウトソーシングによる民間活力導入は健全な行財政運営に不可欠なものであり、今後とも必要な活用を図ってまいります。
 次に、公共サービスの質の確保についてです。指定管理施設における適正な労働環境の確保については、第一義的には雇用主に法の順守義務があることに加え、事業者の選定過程で一定の確認を行っているところですが、適正な運営となるよう、様々な手法を検討しております。
 また、公契約条例を制定すべきとのお尋ねですが、適正な労働環境の整備については、国の労働法制の中で対応すべきものと考えており、現在のところ、公契約条例を制定する考えはありません。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長並びに所管部長が答弁いたします。

 次に、ジェンダー平等社会の実現についてのご質問にお答えします。
 まず、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度についてです。
 制度の必要性の認識ですが、来年2月の答申に向け、現在、男女共同参画審議会で制度案が審議され、本年11月に、パブリックコメントを実施したところです。お尋ねの制度の必要性については、現時点では、審議会の答申やパブリックコメントの状況等を踏まえ、区として総合的に判断すべきものと考えております。
 また、差別や偏見をなくす取り組みについては、これまでも、LGBT等に関する理解を促進し、差別や偏見をなくすために有効な講座や啓発事業を実施してまいりましたが、引き続き、LGBT理解増進法の趣旨を踏まえ、取り組んで行く考えであります。
 次に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについてです。
 概念の普及についてですが、区は、「生殖に関する健康と権利」と訳されるリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念に基づき、出産に関する権利等「性」と「生き方」に関する権利を踏まえた講座や事業を通して、概念の普及にも努めております。
 また、法改正を踏まえた性的同意についての教育や啓発については、男女共同参画行動計画の目標の一つに「あらゆる暴力の根絶」を掲げ、この目標達成に向けた講座や事業において、性的同意に関する啓発も行っており、今後も、法改正を踏まえた啓発を実施してまいります。
 また、望まぬ妊娠をした方への支援のうち、相談窓口については、匿名で相談したいというニーズが強いことから、匿名での相談が可能な東京都の「妊娠相談ほっとライン」をご紹介しており、区独自での設置は考えておりません。
 また、法整備が進んでいないこと等から、緊急避妊用ピルやカウンセリング費用、経口中絶薬の費用助成を行う考えはありません。
 次に、困難な問題を抱える女性への支援についてです。
 基本計画策定、支援調整会議設置のうえ、具体的な取り組みを進めるべきとのことですが、現在、東京都が令和5年度末を目途に基本計画を策定しており、その内容を踏まえ、本区計画の策定や会議体の設置、具体的な取り組みについて検討して行く考えであります。
 また、わかりやすい女性相談窓口の設置についてですが、相談者の中には、DV被害者も含まれるため、一定の秘匿性を確保する必要があります。そのため支援を必要とする女性の安全性と、相談しやすい環境の両立を考慮しながら、よりわかりやすい相談窓口のあり方について、他自治体の状況も含め、引き続き調査してまいります。

 次に、国民健康保険についてです。
 まず、保険料についてです。
 重い負担への認識についてですが、保険料は主に医療の高度化や高齢化により増加する医療費に起因して毎年増加しており、これが被保険者にとり負担となっていることは認識しております。
 次に、東京都に対し運営方針の撤回を求めるとともに、独自の財政支援をするよう、また財政運営主体としての責任を果たすよう、求めるべきとのことについてです。
 本方針では、決算補填等を目的とする法定外繰入の解消を目指しておりますが、一般会計からの法定外繰入を行うことは、給付と負担の関係が不明確となるほか、国保加入者以外の区民にも負担を求めることになるため、特別区においても既に段階的縮小に取り組んでいるところです。
 また、本方針では保険料水準の統一を目指しておりますが、完全統一がなされた場合、都内のどこに住んでいても、同じ所得・同じ世帯構成であれば同じ保険料となり、被保険者にとりわかりやすく公平性が保たれ、かつ安定した国保運営に繋がることが期待できます。なお、統一化は段階的に進めることとし、今回の改定では、まず納付金ベースにおける統一を目指すこととしております。
 また、独自支援等について都へ求めることにつきましては、特別区長会にて、国保財政の責任主体として、保険料負担軽減策の更なる実施及び財政支援の拡充について要望しているところです。
 以上のことから、方針の撤回等について、都に要望する考えはありません。
 また、区が一般会計を投入し、保険料を引き下げることにつきましては、特別区ではこれまでも一般財源から法定外繰入を実施し、保険料の抑制を図ってきたところであり、来年度の算定についても、被保険者の負担感を考慮しながら検討をしているところです。
 次に、こどもの均等割負担の軽減についてです。
 就学前のこどもに対する均等割軽減を18歳まで拡大するよう国に求めることについてですが、特別区長会では例年軽減措置等の拡充について、国に要望しているところであり、さらに今年度は十一月に、同措置の拡充を含む国民健康保険制度の見直しに関する提言を行ったところです。そのため、区からあらためて要望する考えはありません。
 また、区としても就学前のこどもの均等割全額無料に取り組むべきということにつきましては、こどもの均等割等、制度上の課題については、国の責任で実施すべきものと認識しており、区独自に取り組む予定はありません。

 次に、教育についてお答えします。
 まず、教員不足についてであります。
 年度当初からの教員未配置については、職員の兼務や校内体制を工夫することで、こどもへの影響を最小限に抑えるよう努めております。教員不足は、あってはならないことであり、具体的な解決策を速やかに実行するよう私も直接、東京都教育委員会に強く申し入れを行っております。
 次に、学校の負担軽減のうち、人材の支援については、これまでもスクールソーシャルワーカーや部活動指導員を増やすほか、スクールサポートスタッフや副校長補佐などを配置しており、引き続き必要な人的支援を行ってまいります。また、行事等につきましては、これまでもその狙いに即して精選するなど随時見直しを行っております。改めてこどもを真ん中に置き、教職員、学校の状況を踏まえた内容となるよう努めてまいります。
 次に、教員に区独自の奨学金返済助成制度を創設することについてですが、教員の経済的支援については国や都において制度を検討していくべきものであり、区独自の制度による返済助成については考えておりません。
 次に、不登校対策についてであります。
 まず、校内別室指導支援員配置事業についてですが、東京都に対しては、既に予算増や配置基準等の要望は伝えております。また、現在、配置のない学校についても工夫をして丁寧な対応に努めており、区独自の配置については、今後の検討課題と考えております。
 また、ブリッジスクールの南部地域開設についてですが、現状、南部地域からブリッジスクールに通室する児童・生徒は、主に公共交通機関を利用しており、通室が容易になる新たな教室の開設の必要性は認識しておりますが、場所の確保等課題もあることから引き続き検討してまいります。
 次に、登校時間前のこどもの居場所についてであります。
 ご指摘のような声があることや他地区の事例は把握しておりますが、ご提案の民間事業者による登校時間前の学校開放については、児童生徒の安全な登校、活動の見守り等の安全確保、施設管理の在り方、運営方法など真にこどものための施策として課題も多いことから、先行事例の状況を注視してまいります。

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区議団ニュース2023年11月号

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2023年第3回定例会―すがや俊一

  • 公正・公平でクリーンな区政について
  • 2022年度江東区決算と暮らしの支援について
  • 保育問題について
  • 防災対策について
  • 介護保険について

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱5点について質問します。
 一点目は、公正・公平でクリーンな区政について伺います。
 4月の区長選挙において、木村区長が、選挙期間中に公職選挙法が禁止しているインターネットを使った有料広告を掲載し、自身への投票を呼び掛ける動画を配信していたことが発覚。区長は、8月4日に記者会見を開いて謝罪し、同席した弁護士も「公職選挙法違反の可能性は否定しがたい」と述べています。
 区長は先ほどの答弁で、区民から疑念を持たれる状況にないと答弁しましたが、区民から様々な疑念の声が上がっています。区長自ら区長選で「公正・公平でクリーンな区政」を公約に掲げていましたが、公正な選挙を汚し、区民の信頼を著しく損なう行為です。区議会の場で、改めて説明し、謝罪するべきです。また、区民への信頼回復と再発防止についてどう考えているのか、区長の答弁を求めます。
 9月15日、あっせん収賄容疑で公判中の元自民党区議・榎本雄一被告に対し、東京地裁は、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、追徴金30万円の有罪判決を下しました。この事件を受け、区議会として、再発防止と区民への信頼回復に向け、政治倫理条例制定を準備中です。区としても、議会と同時に制定することを求めますが、区長の答弁を求めます。

 二点目は、2022年度江東区決算と暮らしの支援についてです。
 2022年度江東区決算について伺います。
 本区の一般会計決算は、住民税や東京都の交付金増収、区直営事業の民間委託化や職員削減などで、83億8千万円の黒字です。コロナ禍と物価高騰で区民に行き届いた生活支援が必要であったにもかかわらず、区は、基金に149億3千万円余も積み増し、基金総額は、過去最高の1,862億円余の溜め込み決算となっています。
 また22年度では、コロナ感染症・物価高騰対策など、7回の補正予算が組まれ、コロナワクチン接種助成をはじめ、障害者や介護施設・保育所への運営補助など総額218億5千万円でしたが、国と都の支出が大半を占め、区の支出は8億8千万円にすぎません。毎年繰返す巨額な溜め込み型決算を見直し、区民の仕事・暮らし優先、生活弱者に寄り添う財政運営に転換することを強く求めるものです。区長の見解を伺います。
 今回の黒字決算においては、わが党が求めていたコロナ融資の返済据え置き期間の延長と利子補助の拡充、家賃・水光熱費などの固定費補助の実施、高齢者や低所得者への区独自の生活支援など、実施は十分可能でした。
 低賃金・ワーキングプアを拡大する公立直営の辰巳第二保育園や放課後きっずクラブの民間委託をはじめ、水質検査・食品添加物検査など、区民の健康と命に係わる衛生監視業務の外部委託化。学校用務や災害時に駆け付ける土木職員などの削減を中止し、現場からの職員不足に応え、増員すべきだったのではありませんか。
 経済活性化の要は賃金引上げです。区の非常勤職員・会計年度任用職員の賃金時給1,112円は、物価高騰に見合うよう1,500円以上に引き上げるべきでした。
 毎年値上げの国保料。22年度も加入者一人平均5千円以上の値上げに、区民から「高くて払えない」との悲鳴が上がっていました。国保料値上げは、中止するべきだったと思いますが、併せて、区長の見解を伺います。

 区民の暮らしの支援についてです。
 食料品の値上げや10月からの電気代再値上げ、最高値のガソリン代など、物価高騰が続いています。区内業者は、売上も利益も大幅に減少。労働者の実質賃金も16カ月連続減少、年金も減るなかで区民からは、「もう我慢も限界、助けて欲しい」など切実な声が寄せられており、以下の点について強く求めるものです。
 今年度の補正予算第4号で、障害者施設・介護施設・保育所などへの運営費補助、運送事業者補助が再支給されますが、一回の支給に留めず継続支給すること。
 また、中小業者には、家賃や水光熱費、リース代等、固定経費への補助を行うこと。さらに、原油価格・物価高騰対策緊急融資の返済猶予期間の延長、利子補助の拡充を求めます。
高齢者や低所得者には、1世帯3万円の物価高騰緊急対策支援金の支給対象拡大、電気代やエアコン購入費の助成、UR団地などへの家賃助成を行うこと。
 区は、10月からの施設利用料20%値上げを中止し、3月まで据置いたことは評価しますが、来年度の見直しでは、20%引下げることを求めます。
 コロナ感染症が今年から5類感染症になり、無料だった検査代が、国保3割負担で4千円以上の負担となり、受診しても検査を受けない患者が出ています。高齢者・低所得者への検査代補助の実施を求めます。
 また国は、コロナ治療薬や入院時の負担軽減、病床確保料などの公費負担を今年9月で終了します。区内では、病状悪化でも入院できないケースが出ています。国に対し、公費負担の継続を求め、病床確保など区の独自支援を求めます。区長の答弁を求めます。

 大綱三点目は、保育問題についてです。
 保育の質の確保について伺います。
 本区では、株式会社立認可保育園が増加し73園になっています。国と自治体が支給する保育運営費の中の人件費率は、平均で53%。人件費率50%未満が、全体の4割近い27園。30%台も2園あり、最低は36%で、国が想定する81%と比べ、極めて低い水準です。また、株式会社立園では、保育士の離職率が平均21%、公立園6%の3倍も高く、勤続年数も平均6年以内に退職するなど、保育士の低賃金・不安定就労による保育士不足など、保育の質の低下を招いています。区の見解を伺います。
 株式会社立園の営利本位の運営を改めるために、区として独自ルール設定が必要です。世田谷区では、保育園運営要綱で人件費率50%未満の事業所には、区の補助金支給を停止しています。2015年の制定以降、50%未満の園はありません。本区でも、「人件費率ルール」を定め、人件費率を引上げることが必要です。区の見解を伺います。
 保育大手のグローバルキッズ社は、本区でも13園を運営していますが、目黒区など本区を含む8区で、勤務実態のない職員偽装名簿を提出。2,200万円に及ぶ運営費の水増し不正受給を起こしました。また同社は、本区での2ヵ所の保育園整備において、設計事務所に見積書等の偽装を依頼し、施設整備費の水増し受給事件も起こしています。
 保育運営費の不正受給や人件費率を低くする根源には、国による運営費の「弾力運用」の仕組みがあります。不正を行っていたグローバルキッズ社は、保育士の人件費を抑えて運営費を溜め込み、弾力運用で会社本部に流用。2020年度の弾力運用額は13億2,800万円にのぼり、本部経費の名目で役員報酬や株主配当にも使えるのです。
 不正受給を防ぎ、保育士の処遇を改善させ、保育の質の向上を図るために「弾力運用」の廃止を国に求めるべきです。伺います。
 本区が実施した保育園での虐待調査では、職員6,098人のうち4,556人が回答。その中で虐待を目撃、または行ったかの問いに、「ある」と答えた職員が87.6%に及ぶ深刻なものです。また、その要因については、職員のスキル不足が8割ですが、48%の職員が「職員の配置不足」を挙げています。
 区は、職員研修や通報窓口設置などの虐待防止対策を行うとしていますが、職員の配置不足への対応が必要です。国に対し、76年前に制定された保育士の「配置基準」の引き上げを求めるべきです。伺います。

 大島第三保育園の大規模改修についてです。
 区は、大島6丁目団地内の大島第三保育園の大規模改修について、仮設園舎を大島4丁目公園に設置する計画でしたが、近隣保育園や住民から反対の声が上がり、現在、「計画の再検討」となっています。
 地元住民からは、「再度、4丁目公園に設置するのではないか」など、不安の声と同時に「廃園予定の大島幼稚園の利用が良い」との意見も出ています。園庭もある大島幼稚園を改修し、仮設園舎とすることで、住民合意が得られると思いますが、区の見解を伺います。

 保育料について伺います。
 区は、来年度に向け、保育料改定を予定しています。23区内など、保育料水準を調査した「保育力充実度チェック」では、夫婦共働の年収約640万円の所得層の保育料で、本区は31,200円。他区では2万円台です。年収1千万円層の本区の保育料は6万円。他区は2万円~5万円台であり、本区の保育料水準は高いと思いますが、区の見解を伺います。
物価高騰、実質賃金の連続低下のもとで、来年度の保育料は引き下げることを求めます。伺います。

 大綱四点目は、防災対策についてです。
 震災対策について伺います。
 今年9月で関東大地震から100年。30年以内に70%の確率で首都直下地震が発生するとされ、対策強化が急務です。
 区は、東京都の首都直下地震等の被害想定見直しを受け、「江東区地域防災計画」を今年10月までに改定します。改定する被害想定は、最大死者401人、建物の全壊・焼失数が9,700棟に及び、被害は甚大ですが、区の減災目標は、2030年までに人的・物的被害を概ね半減としています。
 そのためにも、建物の耐震化促進が重要です。
 本区の建物の全壊想定は6,600棟であり、未耐震住宅は2万1千戸です。区の耐震化助成の利用件数は、令和2年度にマンション・木造ともに1棟の実績でしたが、以降は実績がありません。本区の分譲マンション1棟の補助上限は2千万円。江戸川区は、マンション1戸につき100万円が上限、一棟・100戸であれば1億円を助成するなど、戸数に応じて助成し、延べ23件の実績です。
 本区も1戸につき上限100万円とすること。また、木造住宅は、現行上限額150万円の大幅増額を求めます。
 さらに、命を守ることを最優先に、簡易耐震、部分耐震にも助成することを求めます。併せて伺います。

 火災防止対策も急がれます。
 わが党が求めてきた感震ブレーカー設置助成が始まりました。都の調査では、25%の建物に設置されれば、通電火災による死者・焼失棟数が7割も減るなど、有効なものです。設置目標と期限を定め、設置普及を図ることを求めます。
 対象地域は、火災危険度が高い北砂・東砂・南砂・亀戸・大島・三好など6地域ですが、一部の丁目に限られています。大島地域では、2丁目・7丁目のみです。他の丁目地域にも木造密集地が広く点在しており、対象地域の拡大を求めます。併せて伺います。

 帰宅困難者対策についてです。
 被害想定は、6万人増の23万7千人。区は、東京都と連携し、区内事業所等に対し、帰宅困難者の一時滞在施設と備蓄物資の確保を進めていますが、収容できる一時滞在施設が確保されているのか伺います。
 また、東陽町駅など、帰宅困難者が集中する主要ターミナル駅での避難誘導の課題があります。東陽町駅・豊洲駅・亀戸駅などについては、都と連携し、鉄道事業者・近隣事業所などの協議体をつくり、避難誘導計画の早期策定を求めます。伺います。
 障害者などの避難計画についてです。
 国の災害対策基本法が改正され、区においては、障害者や高齢者など、避難行動要支援者ごとの「個別避難計画」作成が努力義務化されるとともに、福祉避難所に関する国のガイドラインも改定され、福祉避難所の確保や直接避難が求められています。
 この間、わが党は、小中学校の一時避難所から福祉避難所に移動する二段階避難を改め、指定された福祉避難所への直接避難を求めてきました。現在、区での進捗状況と共に、いつまでに運営ガイドラインを策定するのか伺います。
 現在、指定福祉避難所は、障害者施設など25施設ですが、文化センターも福祉避難所にするなど、整備促進を求めます。さらに、特別支援学校は、医療的ケアが必要な障害者が、直接避難出来るようにするべきです。併せて伺います。
 障害者団体からは、水害時でのシビックセンターなどへの避難は遠くて困難だとして、至近の大型商業施設の駐車場利用などを求めています。区として、大型商業施設との協定拡充、避難生活を支える運営ガイドライン策定を求めますが、伺います。

 大綱五点目は、介護保険についてです。
 国の制度改定について伺います。
 岸田政権は、65歳以上の高額所得者の介護保険料引上げ、介護利用料2割負担の対象拡大、老人保健施設などの多床室の有料化など、負担増を表明。年末までに結論を得るとしています。
 利用料2割負担の対象拡大案として厚労省は、65歳単身世帯で年収220万円を示しています。これが実行されれば、対象者が大幅に拡大し、本区では、介護利用者の約3割・4,600人を超す区民が負担増となります。
 年収220万円は、月収で約183,000円。UR団地居住者の場合、家賃8万円を納めて残る生活費は約10万円です。要介護2の限度額利用者負担は、2割負担で約4万円。これを支払って残る生活費は6万円で、生活保護以下の水準です。
 年金減額と物価高騰で苦しむ高齢者に、介護利用料の大幅負担を押しつけることは、余りにも過酷であり、容認できません。
 国に対し、利用料2割負担の対象拡大の撤回、本区でも約700人の老人保健施設利用者が負担増となる多床室の有料化など、制度改悪の中止を求めるべきです。伺います。
 いま区内の介護事業所では、職員の処遇改善が進まず、「ヘルパーやケアマネなどの応募者が少なく、職員確保が極めて困難。介護サービスに支障をきたす」との声が上がっています。国に対し、介護報酬の改善を求めること。区として、9月に開始した家賃助成の周知徹底と共に、職員確保支援の拡充を求めます。併せて伺います。

 次に、来年度の介護保険料改定について伺います。
 介護保険制度が2000年度開始以来、介護保険料の値上げが繰返され、開始当初の基準額2,900円が、現在第8期では、2倍の5,800円です。
 高齢者からは、「月6万円の年金から天引きされ生活が困難、保険料を免除して欲しい」、「介護保険料と後期高齢者保険料が夫婦で月5万円を超え、生活苦の元凶」との声が上がっています。
 第8期保険料では、12区が値上げ中止または引下げています。物価対策として値上げは避けるべきです。介護保険料引下げができる介護給付費準備基金は、令和4年度で40億4千万円。基金を活用し、来年度の保険料引下げを求めます。伺います。

 特別養護老人ホームの増設についてです。
 特養ホームの待機者は、現在1,255人で平均1年以上の待機です。区の特養ホームの整備率は、高齢者人口比で23区中下から8番目の低さです。区民からは、「認知症の母親を在宅介護、グループホームは月20万円で払えず、特養ホームに入れて欲しい」など切実です。区の長期計画では、今後6年間で2ヵ所の増設となっていますが、計画は未定です。
 大島地域では、1丁目の旧3大中跡を利用し、「特養ホーム増設と併せて、水害時の避難所を最上階に設置して欲しい」、また「住み慣れた地域で一生を終えたい。安心できる特養ホームを」との要望が出ています。区は、住民の切実な願いに応え、早期設置を求め、質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 菅谷俊一議員のご質問にお答えします。はじめに、公正公平でクリーンな区政についてであります。
 今回の区長選挙期間中におけるインターネットヘの有料広告動画の掲載は、お尋ねにありますように、公職選挙法に規定されている「選挙期間中に選挙運動として、インターネット等を利用する方法による候補者の氏名等を表示した有料広告の禁止等」の規定に抵触する可能性を否定しがたいとの指摘を弁護士から受けております。
 広告動画の掲載については選挙期間中の四月に支援者から「SNSで選挙運動がしたい」との提案を受け、私としては公職選挙法の範囲内で適正に行うものと理解し、本件については当該支援者に任せておりました。選挙後の六月下旬頃に当該支援者より、「法に抵触の可能性がある」との相談を受け、弁護士に確認のうえ、八月四日の記者会見を開いたところであります。
 今回の件は、支援者とのコミュニケーション不足が招いた事態であり、自身の監督行き届きにより、区民の皆様そして区議会の皆様に対し、ご心配をおかけし、大変申し訳なく思っております。
 今後はより一層の法令遵守に努め、よりい区政運営を推進していくことで、区民への信頼回に努めてまいります。

 次に政治倫理条例の制定についてであります。
 昨年七月末に発生した教育センターの清掃管理業務委託契約の入札に伴う、元区議会議員による、あっせん収賄事件を受け、本区では江東区契約にかかる不正行為等防止検討委員会を早急に立ち上げ、外部有識者のご意見を頂戴しながら、昨年度、七回の委員会を開催いたしました。
 本委員会では「契約制度の見直し」「職員の倫理向上」「議員・利害関係者との関わり方」の三つの観点から再発防止策を策定いたしました。
 現時点で政治倫理条例を制定する考えはございませんが、委員会の中で策定した「一定の公職にある者等からの不正な働きかけ等に関する取扱規定」において区長、副区長も規定の対象に含めたところであります。今後とも、私が選挙公約で掲げた「公正・公平でクリーンな区政」を推進してまいります。

 次に、2022年度江東区決算と暮らしの支援についてのご質問にお答えいたします。
まず、2022年度決算は、中長期的な視点を持ちつつ、基金を有効活用する中で、物価高騰対策を含め、区政全般にわたり事業展開を図っており、ため込み型決算という認識はありませんが、基金残高確保の必要性を区民の皆さんにご理解していただけるよう、周知に努めてまいります。
 次に、区民に寄り添う財政転換についてです。
 まず、弱者に寄り添った財政運営に転換すべきとのことですが、安全安心や物価高騰の影響を見極め、区民や事業者への支援に努めていると認識しております。また、コロナ融資の据置期間の延長・利子補助の拡充、固定費への補助の実施については、昨年度は、原油や物価の急激な高騰等への対応が急務であるため、特別資金融資の創設や、運送事業者への燃料費補助等を緊急対策として実施しました。
 また、高齢者や低所得者に対する区独自の生活支援ですが、区では自立支援法に基づき必要な支援を実施しており、区独自で行う予定はありません。
 また、外部委託については、いずれの施設運営においても法人等には国基準等を順守した適正な雇用条件維持を求めており、今後も適正に実施してまいります。
 また、職員定数ですが、民間活力導入は健全な行財政運営の維持に不可欠なものであり、技能系職員の退職不補充を含め、適正な職員配置に努めてまいります。
 また、会計年度任用職員の賃金は、職務給の原則に従い、社会情勢に応じて、適正な額を適用しております。
 また、国保料引き上げの中止についてですが、区では法定外繰り入れを実施し、保険料の抑制を図っております。
 次に、区民の暮らしの支援についてですが、まず、事業者への運営費支援については、国の交付金を活用し、緊急的な支援として実施するものであります。
 また、事業者向けの固定費への補助や、新型コロナ融資の返済猶予期間の延長及び利子補助の拡充については、現段階では行う考えはありません。
 また、物価高騰緊急対策支援金の支給対象者拡大については、国から示される支援策を確実に実施することを第一に考えており、現在実施している給付金の対象者を拡大する考えはありません。
また、電気代やエアコン購入への助成ですが、熱中症対策として、まずは、注意喚起や福祉施設の開放などに取り組む考えであり、現段階で実施の予定はありません。
 また、UR団地等の家賃についてですが、その額は法令に基づき決定されるものであり、補助する考えはありません。
 また、施設使用料の引き上げについてですが、改定は受益者負担の原則に基づき、適正に決定したものであり、改定を中止する考えはありません。
 また、新型コロナに関しては、5類感染症への移行により、通常の健康保険による対応となるため、国に検査や治療に対する公費負担を求めていく考えはありません。
 また、病床についても、一般の病院での受入れも可能となっているため、特別な病床確保の支援策は考えておりません。

 次に、保育問題についてのご質問にお答えいたします。
 まず、保育の質の確保についてです。
 低賃金や不安就労による保育士不足などについてですが、保育士等の処遇については、国の公定価格における処遇改善加算に加えて、都の保育士等キャリアアップ補助による支援を通じて改善を図っております。また、今年度からは、一定の勤続年数に達した保育士等へ区内共通商品券を支給することで定着を支援しております。引き続き保育士等の処遇改善や定着に取り組んでまいります。
 次に、人件費率のルールを定めることについてですが、保育所ごとに職員の年齢構成や経験年数などの状況が異なるため、人件費の割合のみをもって適否を判断することは困難と考えており、ルールを定めることは考えておりません。
 次に委託費の弾力運用の廃止・見直しについてですが、運用については国の通知に基づいて行っており、現時点で国に見直しを求めることは考えておりません。引き続き、指導検査等を通じて運用状況を確認してまいります。
 また、職員配置基準の引き上げについては、本区では国基準よりも手厚い職員配置に誘導する形で、私立保育所等に対して補助金を支給しております。現在、国において1歳児及び4・5歳児の職員配置基準を改善するとしており、引き続き国のき国の動向を注視してまいります。
 次に、大島第三保育園の大規模改修にいてです。
 区では、区立大島第三保育園の施設老朽化に伴う大規模改修へ向けて、工事期間中における仮設舎の建設場所を検討しているところです。
 ご提案の区立大島幼稚園の利活用については、既存園舎では認可保育所の設基準等を満たすことができないため、困難であると認識しております。
 引き続き、大島第三保育園に通園するこどもや保護者の登降園における負担や保育環境等に配慮した仮設園舎の整備方法を検討してまいります。
 次に、保育料についてです。
 まず、本区の保育料については、自治体ごとに保育料決定の際の所得階層の数や各階層における所得等の条件、改定時期や改定の考え方が異なるため、単純に比較することは困難でありますが、適切に見直してきた結果と認識しております。
 見直しについては、保護者が負担している保育料の状況や社会情勢等を総合に勘案し、先ほどの招集挨拶で申し上げたとおり、保護者の負担軽減を図る観点から、検討を進めております。なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、防災対策についてのご質問にお答えいたします。初めに、震災対策についてです。まず、建物の耐震化についてのお尋ねのうち、マンションの耐震改修助成については、耐震改修は構造体ごとに補強内容の検討や設計を行うことから、数の大小が補強の個所数に反映されるとは限らないため、今後も建物をベースとして助成を行ってまいります。
 次に、木造住宅の耐震改修助成については、区では、無料で耐震の一次診断を実施しているほか、老朽建築物の除却助成制度を活用しており、現時点でを拡充する考えはございません。
 また、簡易・部分耐震改修助成についてですが、耐震化は建物の周囲にいる人の命を守るほか、まちの安全性を確保することも目的としています。しかし、簡易鵬部分耐震改修ではこれらを満たすことが難しいため、現時点では、助成を行う考えはありません。
 次に、感震ブレーカーについてのお尋ねのうち、設置目標と期限については、新たな東京都地域防災計画で示された2030年度での都内の設置率25パーセントを一つの指標として進めております。
 また、対象地域の拡大についてですが、まずは、今年度の対象地域での普及率向上に取り組んでまいります。
次に、帰宅困難者対策についてですが、一時滞在施設は、東京都全体で必要な受入人数の約7割分の確保に留まっており、区としても更なる確保が必要な状況であると認識しております。
 また、東陽町などでの協議体の設置等については、乗降客数の多い駅での具体的な検討は必要であると認識しており、鉄道会社等と協議を進めていく考えであります。次に、障害者などの避難計画についてです。
 まず、福祉避難所への直接避難についての検討状況ですが、庁内の会議体において、避難所の収容人数や人員体制など、受入態勢の様々な課題について検討しているところです。
 また、ガイドラインの策定時期については、それらの課題の検討状況を踏まえ、策定してまいります。
 次に、文化センター等を含めた福祉避難所の整備促進ですが、区としては、高齢者・障害者施設等の指定の拡充や、拠点避難所における福祉機能の充実について検討しているところであります。
 また、医療的ケアが必要な障害者の特別支援学校への直接避難については、学校と意見交換を考えております。
 なお、大型商業施設等の施設の拡充と、具体的な運用については、引き続き一時避難施設の確保に努めるとともこ、災害の対応等について、各施設と協議することも考えております。

 次に、介護保険についてのご質問にお答えいたします。まず、国の制度改定についてですが、今後も介護保険制度の持続可能性を維持していくためには、給付と負担のあり方の検討は避けることのできない課題と認識しております。このため、国に改定の中止を求める考えはありませんが、全国市長会を通じて被保険者の保険料負担が過重とならないことや、低所得者の軽減策を講じるよう提言を行っております。
 次に、介護報酬の改善につきましても、全国市長会提言において、介護人材確保のための処遇改善について併せて要請しております。
 次に、区の介護職員宿舎借り上げ支援事業についてですが、区ホームページや介護サービス事業者サイトヘの掲載のほか、地域密着型サービス運営委員会において情報提供するなどきめ細かな周知を図っております。
 また、更なる支援策については、本年度より介護福祉士資格取得費用助成も開始したところであり、今後も必要に応じて充実を図ってまいります。
 次に、来年度の保険料改定についであります。本区の第8期介護保険料の基準額は23区の中でも低廉な保険料となっており、給付準備基金を取り崩し、保険料の値上げを抑制するなど、これまでも負担の軽減を図ってきたところであります。
 一方、介護保険事業を安定的に運営していくためには、一定の基金残高を確保しておくことも重要であります。そのため、第9期の介護保険料につきましては、適切な基金の保有残高とあわせて、次期事業計画を策定する中で検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの増設についてであります。
 ご質問の旧第三大島中学校跡地を利用し特別養護老人ホームを整備することについては、将来の行政需要や地域の意向を踏まえた検討が必要と考えており、現時点では、他の整備地を含めて検討しているところであります。なお、特別養護老人ホームの整備につきましては、既に亀戸九丁目における整備事業を進めており、今後も長期計画に基づき、着実に整備を進めていくとともに、在宅での介護サービスの適切な利用により、状況に応じ、望む場所で生活ができるよう施策を進めてまいります。
 また、特別養護老人ホームを、水害時の避難所として活用することについては、施設の構造や運営面への影響を考慮する考慮する必要があり、今後の検討課題と考えております。

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木村弥生区長の辞任表明に対するコメント

 本日、木村弥生区長が庁舎内で記者会見し、突然、辞任を表明しました。
 木村区長は、辞任の理由について、「10月24日にインターネットの有料広告動画の掲載について、公職選挙法違反の疑いにより区長室等の家宅捜査を受け、現在も事情聴取を受けている」「これからも捜査が続く中で、区政を混乱、停滞させてはならないため」と述べ、区民に謝罪しました。
 木村区長は、4月の区長選挙でみずから「公正・公平でクリーンな区政」を掲げていたにもかかわらず、公職選挙法に抵触するインターネットの有料広告動画を掲載し、公正な選挙を汚し、区民の信頼を著しく失墜したことは許されません。また、この前代未聞の事態によって区政に混乱を招いた責任は極めて重大です。
 日本共産党江東区議団は、9月21日の本会議質問において、議会への説明と謝罪、区民の信頼回復と再発防止を求めてきました。また、10月23日の幹事長会、翌日の議会運営委員会において、木村区長の公選法違反容疑について議会として見解を表明するよう求めてきました。
 本日の記者会見においては、捜査中であることを理由に事件に関する新たな説明は行いませんでした。これでは、区民の理解は到底得られるものではありません。木村区長みずから真相を明らかにし、区民に説明すべきです。
 日本共産党江東区議団は、区民の負託に応え、あらためて公正で公平な江東区政の実現に全力を尽くすものです。

2023年10月26日

日本共産党江東区議団
幹事長 大つきかおり

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区議団ニュース2023年8月号

1面、西部ただし議員のスポーツ振興策の拡充を求める文章中に誤りがありました。訂正しお詫びいたします。

  • 「誤」視覚障がい者
  • 「正」聴覚障がい者
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「日本共産党江東区議団ニュース」8月号【お詫びと訂正】

1面、西部ただし議員のスポーツ振興策の拡充を求める文章中に誤りがありました。訂正しお詫びいたします。

  • 「誤」視覚障がい者
  • 「正」聴覚障がい者
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2023年第2回定例会―にしべただし

にしべただしです。日本共産党江東区議団を代表して大綱3つについて質問します。

  • 子育て支援について
  • ジェンダー平等社会の実現に向けて
  • スポーツ振興について

 大綱1つ目は子育て支援についてです。
 まず、教育費の負担軽減についてです。
 私は4歳の娘を子育て中です。今後の負担の重い教育費に不安を抱いております。周囲の子育て世代からは、「給料が低くて子育てが大変」「学費が高くて希望の学校に行かせてあげられない」など、負担の重い教育費に苦しむ声を聞いています。
 2020年、内閣府が行った少子化社会に関する国際意識調査において、日本で最も重要な育児支援策はなにかとの質問に対し「教育費の支援、軽減」との回答が最多で、69.7%、約7割に上りました。しかし、国民の願いとは裏腹に、岸田政権の異次元の少子化対策には負担の重い教育費を軽減する視点が欠けています。
 義務教育の完全無償化や高すぎる学費軽減、貧弱な奨学金制度の抜本的改善等こそ必要ではないでしょうか。負担の重い教育費の軽減に対する区長の認識を伺います。

 本区においても教育費の負担軽減が必要です。

 給食費の無償化が補正予算で提案されました。
 私は学生の頃、両親共に大きな病気で家計が苦しく、妹は給食費滞納を理由に中学校を卒業させないと言われました。「もう二度とこのような辛い思いは今の子どもたちや保護者の方々にはさせたくありません」私はこの思いで給食費について街頭アンケートや署名活動に取り組んできました。ついに無償化へ、地域のみなさんから喜びの声があがっています。
 10月から実施とのことですが、4月まで遡って無償化の実施を求めます。伺います。

 次に就学援助についてです。
 子育て世代から「学校生活で必要な学用品の負担が重い」と声が寄せられています。小学校では、ランドセルだけで3~10万円、体操着、絵具セット、習字セット等々も必要です。また、区の調査では区立中学校入学に必要な制服、体操着、鞄等々で10万円を超える学校もあります。就学援助の中学の入学準備金6万円では足りません。就学援助の入学準備金の支給額を引き上げるとともに、認定基準を引き上げるなど対象世帯の範囲を拡大することを求めます。伺います。

 次に奨学金についてです。
 日本学生支援機構の調査によると、奨学金を受給している学生の割合は大学生で49.6%となっています。江東区は返済不要の給付型奨学金を導入しましたが、対象者が高校等に入学する中学三年生のみと限定的です。足立区では大学生等へ、入学金、授業料、施設整備費の全額を給付する奨学金があります。例えば私立大学医学部へ進学する場合最大3600万円を給付します。子供たちへの投資は未来への投資です。大学生等を対象とした給付型奨学金制度の導入を求めます。伺います。

 奨学金を返済中の方に対する支援も必要です。奨学金返済中の方を対象とした労働者福祉中央協議会の調査では、奨学金返済が結婚や子育てをはじめとした生活設計の重荷となり「子どもの教育費が心配」との回答が8割を超えるなど将来不安も増大させているとの結果が報告されています。大学等高等教育を受けるのは将来安心して暮らすためと考えますが、これでは本末転倒ではないでしょうか。足立区では将来有望な人材育成のため、借入総額の半分、上限100万円の奨学金返済支援助成があります。本区でも奨学金返済支援助成制度導入を求めます。伺います。

 次にこどもの権利についてです。
 日本が1994年に批准した国連の子ども権利条約は、こどもに対する差別の禁止、最善の利益の確保、生命・生存と発達の権利、意見の尊重を4原則としています しかし、日本では今、こどもの生命や安全が危機にさらされています。日本の子どもの自殺率はG7の中で最悪で、10代前半での自殺率は増加傾向です。江東区では、いじめ、児童虐待、不登校が増加しています。髪型などに対する理不尽な校則もあります。
 全てのこどもたちが誰一人取り残されることなく、現在と将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備するために、本区でも、こどもの権利条約の精神に則り、保障されるべき子どもの人権を明確にし、行政、地域、学校、保護者などの役割を定めた子ども権利条例の制定を求めます。伺います。

 大綱2つ目はジェンダー平等社会の実現に向けて についてです
 まず、多様な社会のあり方に対する区長の認識について伺います。
 日本では今、「多様な性や家族のあり方を認めてほしい」「差別しないでほしい」というジェンダー平等を求める国民の声が劇的に高まっています。
 しかし、日本はG7の中で唯一同性婚や選択的夫婦別姓を認めず差別禁止法もありません。岸田総理は同性婚を認めてしまったら「社会が変わってしまう」と国会で答弁しましたが、むしろ、日本がこのまま変わらなければ国際社会でより一層孤立してしまうのではないでしょうか。「愛する家族や夫婦のあり方は国や政党が決めることではない」国民の当たり前の要求です。
 誰もがLGBTQ等、性の多様性を認め合い、差別されない、自分らしく自由に生きられるジェンダー平等社会の実現が必要不可欠と考えます。多様性ある区をつくると明言する区長の認識を伺います。
 同時に本区から国に対して、同性婚や選択的夫婦別姓、LGBTQ等への差別禁止の法整備を働きかけることを求めます。伺います。

 次にパートナーシップ制度についてです。
 現在、パートナーシップ制度は全国325の自治体で実施され、東京都でも東京都と12区9市に導入されており、日本の人口の7割超の地域に広がっています。制度利用者からは「パートナーの関係を公的に認めてくれたのはとてもうれしい」と喜びの声があがっています。江東区でも独自のパートナーシップ制度の制定を求めます。伺います。

 次に江東区男女共同参画条例の改正について伺います。
 江東区議会ではLGBTQ等への差別的発言があり、当事者からは、「存在を否定された」「江東区に住むのが辛くなった」と傷つき苦しむ声があがりました。
 2015年、一橋大学では、とある学生が同性愛者だということを同級生に暴露され自殺に追い込まれる事件がありました。LGBTQ等への差別は命の問題です。
 2019年、豊島区では男女共同参画推進条例が改正されました。その一文には「男女の性別にとらわれず、性の多様性を尊重し合い」と明記され、パートナーシップ制度、LGBTQ等への差別禁止、アウティング禁止、SOGIハラ防止などが新たに規定されました。
 本区でも性や家族の多様性を認め合い、二度と性自認や性的指向によって差別されぬよう、条例に性の多様性を尊重することを明記し、ジェンダー平等社会に向けたあらゆる施策を実施するための基本となるために江東区男女共同参画条例の改正を求めます。伺います。

 次に区の管理職・審議会等の女性比率について伺います。
 江東区は現在、女性幹部職員の比率が目標30%に対し16.3%、審議会等の女性比率が目標40%に対し30%です。どちらも低い割合で目標とかけ離れています。区は女性比率向上の対策として、啓発、呼びかけなどに取り組んでいますが、各所管任せにせず、目標達成に向けて、期限を明確に定め、江東区初の女性区長先頭に各課、各団体に働きかけ、全庁をあげて女性比率の引き上げに取り組むべきではありませんか。伺います。

 大綱3つ目はスポーツ振興についてです。
 まず、施設の増設・拡充についてです。
 私はバドミントンサークルの代表や少年野球のコーチなど、日常的ににスポーツ活動に取り組んでいますが、日々スポーツに励む方々からは野球やサッカー場などの施設が足りない、硬式野球場がない、悪天候時の屋内練習場もない、学校施設も激戦区、こども・学生たちからは、夢の島スケートボードパークは遠いしお金もかかる、ボール遊びができる公園や壁あてできるところが少ない、仙台堀川の壁あてが許可されていた大きなコンクリート壁もなくなってしまったと多数の声をお寄せ頂いております。

 区の長期計画では「こどもから高齢者まで世代や障害の有無にかかわらず、身近にスポーツを楽しめる機会と環境が確保され、スポーツの持つ力により、誰もが生き生きと暮らせる地域社会が形成される」と明記されています。しかし、新たな施設の計画はありません。
 スポーツ施設の増設・拡充を求める区民の願いを長期計画並びにスポーツ推進計画に反映し、取り組みを促進していくべきです。伺います。

 次に区内バスケットコートについてです。
 現在、区内には8つのバスケットコートがあり、6つがダスト舗装、2つがアスファルト舗装となっています。利用者からはコートがダスト舗装だと地面が凸凹、砂や土でボールと足が滑ってしまう、アスファルト舗装は膝に負担が大きい、転倒したら大きな怪我をしてしまうと声があがっています。また、フルコートのストリートバスケットコートも身近にないと聞きます。
 既存のバスケットコートをハーフコートの規格でストリートバスケ専用の床舗装・ハードコート等へ改修することを求めます。併せて、フルコートのストリートバスケットコート新設を求めます。伺います。

 次に施設使用料金について伺います。
 コロナ対策として施設使用料金の値上げは9月30日まで据え置きするとしていますが、現在、東砂スポーツセンターの大体育館の団体利用料金は土日祝日の午後で2万5900円。値上げ後は3万1050円で、5150円もの値上げです。利用団体からは「そもそも高いのに、もっと負担が重くなってしまう」と悲鳴があがっています。
 誰もが気軽に文化・スポーツ活動に参加できるよう、9月までとなっている施設使用料金20%値上げの据え置き措置は延長すべきです。また、今年度実施の施設使用料金見直しにあたっては引き下げを求めます。併せて、スポーツ施設の個人利用区分は、こども料金を高校生まで対象にすること、未就学児、シニア、障がい者は無料にすることを求めます。伺います。

 最後に障がい者スポーツについてです。
 江東区スポーツ推進計画掲載の区民アンケート調査を見ると、「あなたは、今後江東区がスポーツ・運動について推進すべきと思う施策はなんですか。」との問いに対し、「高齢者や障害者がスポーツ・運動をしやすい環境作りの推進」が39.8%で最多となっています。一方、江東区障がい者実態調査では、障がい者が取り組んでみたいと思ったスポーツ1位はなんと「取り組んでみたいと思ったスポーツはない」で43.7%と圧倒的です。
 また、同調査の障がい者のスポーツ・レクで困っていること の問いでは、「金銭的に余裕がない」「家族の負担が大きい」などの割合が高くなっています。
 区内在住の視覚障がい者の方は「江東区のスポーツセンターに行ったことがない」「水泳をするなら北区の障がい者スポーツセンターに行く」
 聴覚障がい者の方は「バドミントン大会に出場する際、江東区に手話通訳士の派遣をお願いしたが断られた」と聞いています。
 江東区はオリパラレガシーと言いながら、障がい者が気軽にスポーツに取り組める環境の整備が不十分なのではないでしょうか。
 区民が一番推進を望む障がい者スポーツの環境作りと安心安全に運動に取り組めるよう障がい者スポーツ指導員の活用の具体化をスポーツ推進計画に明確に位置づけることを求めます。併せて、区の聴覚障がい者へのサービスにおいて手話通訳士の派遣対象事項にスポーツでの派遣を可能にするよう求めます。伺います。
 最後に、スポーツと人情が熱いまちを真に体現するために全力を尽くすことを表明して質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 西部ただし議員のご質問にお答えします。
 初めに、ジェンダー平等社会の実現に向けてのご質問にお答えします。
 まず、多様な社会のあり方に対する区長の認識についてであります。
 私が目指す多様な社会とは、ジェンダー平等だけではなく、外国人や障害者等を含めた広く多様性を認め合う寛容な社会であります。
 また、性別に関わる固定観念や先入観に囚われがちな傾向に注意喚起するとともに、LGBT等の方について、男女の性別に関わる基本的な認識として、あらゆる施策で考慮することにより、「多様性を認め合い、安心して暮らせる社会を目指す」ものであります。
 なお、同性婚や夫婦別姓の法整備についてですが、まずは、区としてはパートナーシップ制度の導入について考えております。また、LGBT等の差別禁止については、国において法案に関する進展が見られますので、今後の国の審議経過を注視してまいります。

 次に、パートナーシップ制度についてであります。
 本区では、すべての区民がお互いの人権を尊重し、性別、年齢、国籍、価値観、生き方などの様々な違いを認め合い、自分らしく生きることができ、誰もが生きづらさを感じない多様性を認め合う社会の実現を目指しております。
 お尋ねの江東区独自のパートナーシップ制度の導入につきましては、多様性を認め合う寛容な社会の実現を一層推進するための方策として、制度の導入に向けて、すでに検討しているところです。
 次に、江東区男女共同参画条例改正についてです。
 本区の男女共同参画条例におきましては、前文で、「性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮していく江東区を実現する」と定めております。また、第4条には「性別を理由とする差別的取扱い等の禁止」条項があり、LGBT等の差別禁止についての趣旨も含まれているものと認識しておりますが、同条例の改正も含めて、多様性を認め合う社会の実現に向けた施策の検討の中で、総合的に判断してまいります。
 次に、区の管理職・審議会等の女性比率についてであります。
 現在、区の管理職に占める女性の割合は約16%に留まっております。先に示された、政府の女性版骨太の方針の原案では、企業の役員へ、女性登用を加速化させることが喫緊の課題であるとしており、江東区政初の女性区長となった私自身が先頭に立って、女性管理職の比率向上を推進してまいります。そのため、管理職を身近に感じてもらえるように、女性管理職としてのキャリアパスを示しながら、女性管理職の増加につなげてまいります。
 また、審議会等につきましては、全庁的な会議体において、男女共同参画行動計画の中で、計画年度と目標値を確認し、女性委員の増員に努めているところです。引き続き、審議会等の委員選定にあたっては、女性や若い世代などバランスの良い委員構成に取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に子育て支援についてお答えします。
 まず、教育費の負担軽減についてであります。
 国は異次元の少子化対策を掲げ、子育て支援策に集中的に取り組むとしており、そのプランの中で教育費や保育に関する取り組みも掲げております。区としても子育て支援は喫緊の課題と認識しており、子育て支援策として子育て世帯への電子クーポンの配布などのほか、教育費の負担軽減として、給食費の無償化、給付型奨学資金制度の創設など国に先駆けた取り組みを進めているところであります。
 次に、学校給食費の無償化についてであります。
 補正予算案で計上している無償化の開始時期は学校の後期の始めとなる10月からとしています。これは区から学校に対して補助金を支払うこととなることから、公金と同等の厳しい会計管理を行う必要があり、正確かつ学校の負担が少ない事務処理の実施に向けて、学校と協議を重ねていく必要があるためであります。
 また、4月分まで遡って無償化する場合、保護者への大量の返金事務により、学校の負担が大幅に増えることもあり、遡って実施する考えはありません。
 次に、就学援助についてであります。
 まず、就学援助の支給額を引き上げることについてですが、入学準備金については、令和6年度新入生分より、3千円程度引き上げて支給することとしております。
 認定基準の引き上げによる対象範囲の拡大につきましては、現状として、本区基準は23区の中でも対象範囲が広く、また、就学援助制度の対象が「生活保護法に規定する要保護者および要保護者に準ずる程度に困窮している者」とされていることから、現時点で対象範囲を拡大する予定はございません。
 次に奨学金についてであります。区ではご指摘のとおり、高校等へ進学を希望する中学3年生を対象とする給付型の奨学金制度を今年度から開始し、教育費の負担軽減を図る取り組みを積極的に進めております。大学生等への給付型奨学金については、国において令和2年4月から返済不要の給付型奨学資金の制度が開始され、令和6年度からは収入基準の緩和等による多子世帯中間層への対象の拡大、大学院修士段階の授業料後払い制度の創設、貸与型奨学金における減額返還制度の見直しが実施されることから、現時点で区において実施する考えはありません。引き続き国の動向等を注視してまいります。
 次に、こどもの権利についてであります。
 江東区は、子どもの権利条約の精神及び児童福祉法の理念に基づき、未来を担う全てのこどもの最善の利益を尊重し、こどもたちの健やかな成長の保障を念頭に置いて、これまでも児童福祉施策に取り組んでまいりました。
 さらに、こどもまんなか社会の実現に向けて、条例制定の調査・検討を開始したところであります。
 全てのこどもが、誰一人取り残されることなく、将来へ希望を持ち、伸び伸びと健やかに育っていけるよう、取り組みを進めてまいります。

 次に、スポーツ振興についてのご質問にお答えいたします。
 まず、施設の増設・拡充についてです。本区では、6か所の区民体育館や新砂および夢の島の2か所の大規模運動場のほか、野球場や庭球場、屋外プールなど多くのスポーツ施設を区内各所に設置しております。また、公園内へのフットサル場の整備や学校施設の一般開放など、区民が身近な場所でスポーツを行う機会の確保にも努めているところです。
 さらに、区内には都立のスポーツ施設も数多く設置されていることから、本区のスポーツ環境は充実していると認識しております。
 区立スポーツ施設のさらなる増設・拡充を計画に位置付けるべきとのことですが、現在の施設は今後大規模な改修や改築の時期を迎えることから、増設等ではなく、改修・改築により既存施設の一層の利便性向上を図ることを優先するべきと考えております。
 次に、区内バスケットコートの整備についてです。区立公園内の既存のバスケットコートをハードコート化することや公園内にフルコートのバスケットコートを新設することにつきましては、騒音や他の利用者への影響等も含め、慎重に検討する必要があると考えております。
 なお、都立公園につきましては、東京都の関連部署にご意見の内容をお伝えいたします。
 次に、施設使用料金についてです。スポーツ施設を含め、公共施設の使用料につきましては、施設を利用する方と利用されない方との公平性を保つため、受益者負担の原則に基づき、維持管理費用の一部をご負担いただくものです。
 現在の使用料は令和元年度の条例改正により、本来20%の引き上げを行うものでありましたが、コロナ禍における影響等を総合的に勘案し、特例的措置として従来の金額に据え置いているものであり、現時点で特例的措置を再度延長する考えはありません。使用料の見直しにつきましては、今年度の使用料検討委員会の中で、受益者負担の原則なども含めて、適切に検討してまいります。
 スポーツセンターの個人利用料金につきましては、一般的にスポーツ施設における小人料金は中学生以下としていること、障害者やこども、シニアは、現在も利用料金を減額又は免除としていることから、料金区分を見直す考えはありません。
 次に、障がい者スポーツについてです。現在の江東区スポーツ推進計画では、障害者のスポーツ環境の充実を主な取組として位置づけており、計画に基づき、パラスポーツ体験や計画的な施設のバリアフリー化などに取り組んでおります。
 今後のスポーツ推進計画への障害者スポーツ施策の位置づけにつきましては、来年度の次期計画策定時において、目標の明確化や指標の設定などを含め、さらなる検討を進めてまいります。
 また、障害者スポーツ指導員につきましては、現在もパラスポーツイベントでのサポートや福祉施設への訪問指導などに取り組んでおりますが、次期計画策定の中で、さらなる活用の具体化を検討してまいります。
 なお、区が実施する聴覚障害者への手話通訳者派遣事業は、派遣可能な手話通訳者の確保に課題がある等の理由から、まずは生活に必要な事項を優先して対応を図ってまいります。

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