2025年第3回定例会―西部ただし議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱3点について質問します。

  • 教育・子育てについて
  • 住宅問題について
  • 多文化共生社会の実現について

大綱1点目は教育・子育てについてです。
 まずは教育費の負担軽減についてです。
 子育て世代にとって、教育費の負担軽減の願いは切実です。この間、我が党は、住民の願いに応え、小・中学校における学用品や修学旅行などの無償化を繰り返し求めてきました。区は前回定例会で我が党の質問に対し、「学用品の無償化は評価、検討する必要がある」と答弁しましたが、無償化の必要性や効果に対する評価と検討状況について伺います。
 文科省の調査によると、物価高騰の影響で小学校の学用品や教材費、中学校の修学旅行費は2年前に比べ8000円以上の負担増となっており、保護者の教育費負担は過去最高額となっています。本区の子育て世帯からは「暮らしが厳しいので学用品を無償にしてほしい」と切実な声が寄せられています。23区では、相次いで教材費や修学旅行、制服の無償化など教育費のさらなる負担軽減に踏み出しています。今こそ、江東区としても、保護者の願いに応え学用品や修学旅行などの無償化を行うべきです。伺います。
 奨学金についてです。
 日本学生支援機構によると、現在、学生の半数以上が奨学金を受給しています。現行の奨学金制度は貸与型が中心であり、卒業後は重い借金返済のため長期間にわたり家計を圧迫することになります。そもそも奨学金は経済的困難を抱える学生を支援する制度であり、返さなくてもよい給付型を中心にすべきです。本区には給付型の奨学金制度があるものの、対象が高校生までとなっています。23区では、足立、港、千代田、大田区など大学生等を対象とした区独自の給付型奨学金制度を実施しています。特に、足立区では入学金、授業料を全額給付する大学生等を対象とした給付型の奨学金に加え、上限100万円の奨学金返済支援事業もおこなっています。若者が経済的困難等の理由で将来の道が閉ざされないよう、区として給付型奨学金の対象を拡大するとともに、奨学金返済支援助成制度の導入を併せて求めます。
 教職員の働き方についてです。
 この間、教職員定数をふやさずに多くの業務を背負わせ続けてきた結果、教職員の労働時間は一日平均11時間半で、休憩どころかトイレに行く暇もなく、異常な長時間労働のため、多くの教職員が心身を壊している状況です。文科省によると、令和5年度時点で全国の病休者は9000人で、うち7000人以上が精神疾患による病休者です。また、そのうち2割の1430人が退職に追い込まれています。区教委はこのような事態をどう認識していますか。また、本区教職員の病休者のうち精神疾患で職場を離れている教職員の数、および、精神疾患を理由に退職した教職員は何人いるのか併せて伺います。
 そもそも、教員の長時間労働の根本的な原因は少なすぎる教員定数であり、加えて、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」いわゆる「給特法」により、公立学校の教員を残業代制度から除外したことも大きな要因です。今年6月、給特法が一部改定されたものの、わずかな給与改善にとどまり、残業代ゼロ制度を温存するものでした。区教委は、私の第一回定例会での質問に対し、教員定数改善や給特法の廃止の声明を国に提出していると答弁しましたが、この度の改定された給特法は区の考えや学校現場の声に相反するものだと思いますが区教委はどう認識しているのか伺います。
 区内の学校現場も大変疲弊しています。ひとりひとりの子どもに寄り添った教育を実現させるためには、少人数学級を全学年で実施することが必要であり、国や都に求めるべきです。また、区教委は、学校現場から強く求められている小1支援員の通年配置やスクールカウンセラーの常駐中配置、スクールソーシャルワーカーのさらなる増員を図るなど教職員の負担を軽減し、教育環境の改善に努めるべきです。伺います。
 こども誰でも通園制度についてです。
 区は、来年度から実施予定の乳児等通園支援事業、いわゆる「こども誰でも通園制度」について、今定例会で条例制定を進めています。現在試験的に実施されていますが、保育現場では、園長経験者などのベテラン保育士がなんとか対応している状況で「負担が重い。正規の保育士で対応すべきだ」という声があがっています。区の条例案では職員基準として、「乳児3人に対し職員1以上、幼児では6人に対し職員1以上の配置となっていますがこれでは不十分です。しかも、例えば、乳児4人の場合職員は2人ですが、そのうち1人は無資格の職員でも保育を可能とするとしています。これでは安全な保育はできません。区として、より手厚い職員配置基準へと改善するとともに、無資格の職員は保育にあたらないという条例案へと見直すことを求めます。
 また、保育現場からは、空き定員を利用した余裕活用型は通常保育の子どもたちと一緒に保育をおこなうため、預けられた子どもは知らない人や場所に対する急激なストレスで、泣き止まず、さらに、通常保育の子どもたちにもそれが影響を及ぼすため、「独立した専用スペースが絶対に必要だ」といった声が寄せられています。区は、何よりも子どもの安全と成長を最優先にして、独立専用型のみの制度とすべきです。保育現場の理解を得られていないこども誰でも通園制度は拙速に導入すべきでないと考えますが、区の認識を伺います。
 親の就労に関係なく保育を必要とするすべての子どもが保育を受けられる環境整備は必要です。が、そのためにはまず、深刻な保育士不足の解消が必要です。賃上げなど処遇改善をおこなうとともに低すぎる保育士配置基準の抜本的見直しが重要と考えます。本区の公設公営保育園では15人もの正規保育士が足りません。早急に配置すべきではないでしょうか。伺います。また、区として、子育て不安の解消のため、子ども家庭支援センターでの「リフレッシュひととき保育」など一時保育の拡充に力を入れるべきと考えますが伺います。

大綱2点目は住宅問題です。
 まずは、区営住宅についてです。
 本区の区営住宅は都からの移管が中心で、区独自の積極的な新規建設はありません。しかし、区営住宅への入居希望者は非常に多く、2019年12月の応募倍率は2戸の募集に対し、応募が136世帯で倍率は68倍でした。以降2020年度から現在まで入居募集は一切行われておりません。区として、低所得者や高齢者が安心して住み続けられるよう、区営住宅の新規建設や住宅借り上げなど住宅戸数を増やすこと。また、今後東砂7丁目第2アパートを建て替えて整備する(仮称)東砂住宅は住宅戸数を増やすとともに、水害に備え、備蓄倉庫、受変電設備、集会所などを高層階に設置し、居住階は浸水しない高さにするなど、浸水対応型とすることを併せて求めます。
 都営住宅についてです。
 都営住宅は、2000年以降、新規建設がありません。区は区内に都営住宅が充実しているとの認識を示していますが、昨年11月の区内都営住宅の応募倍率は163戸の募集に対し、なんと応募が1690世帯でした。区民からは「何回応募しても当たらない」と怒りの声があふれています。区は、都に対し、都営住宅の新規建設を求めるべきです。また、都営住宅の建て替えの祭に、工期スケジュールなど詳細な情報を住民に丁寧に説明することや、浸水対策を講ずること、さらに、東砂2丁目アパートや南砂3丁目アパートなど、建て替えに伴い創出された用地は、特別養護老人ホームをはじめ、福祉施設を設置するなど、地域要求に則した施設を設置するよう併せて求めます。
 UR住宅について
 本区にはUR住宅が26カ所1万6千戸以上整備されており、多くの住民が居住していますが、高齢化と収入低下の中で家賃負担の重さに困難を抱えています。大島6丁目UR団地自治会がおこなったアンケートでは、「家賃負担が重い」と答えた世帯は9割にのぼりました。加えて今般の物価高騰は低所得入居者の生活に影響を及ぼしており、家賃対策は急務です。UR入居者の家賃負担を軽減するには独立法人都市再生機構法25条4項の「家賃の減免」規定を入居者に直ちに適用することを国やURに求めるべきです。また、UR住宅の修繕区分について、畳表やふすま紙の入れ替え等は、現在、入居者負担とされていますが、民間の賃貸住宅では大家負担が多い項目とされています。これらの修繕は大家負担とするよう区として国やURに対し働きかけることを併せて求めます。
 民間住宅について
 今、23区では大手デベロッパーによるタワーマンションを中心とした市街地再開発や投機目的の住宅取得と転売などにより、新築、中古共にマンションの平均価格が1億円を超えるなど、住宅価格が高騰しています。また、23区の単身者向け賃貸住宅の家賃平均は14カ月連続過去最高値を更新し、月10万円を突破しました。区はこうした、上がり続ける不動産価格の状況をどう認識しているのかお答えください。
 千代田区は今年7月、投機の動きを牽制し、都心のマンション高騰を抑制するため、一部の新築マンションの転売を5年間禁止する特約の導入を不動産協会に要請しました。本区においても、不動産価格抑制のため、不動産協会等に対し、千代田区同様に要請をおこなうとともに国に対し不動産投機は規制するよう求めるべきです。伺います。
 また、区内の若者世帯からは「子どもがいて広い家に引っ越したいけど、家が高くて買えない。賃貸は家賃も更新費も負担が重い」と苦しい声が寄せられています。杉並区では、一人親世帯や多子世帯を対象に、家賃助成をおこなっています。本区でも、若者やひとり親家庭、高齢者などに対し区独自の家賃助成の実施を求めます。

大綱3点目は多文化共生社会の実現についてです。
 本区内には、現在、約4万人、144ヵ国の海外の方が生活しています。区は、全庁が一丸となって多文化共生社会の実現に取り組むとしていますが、さらなる施策の充実が必要です。
 まず日本語教室について。現在定員20名に対し応募者数は倍の40名以上となっており、多くの方が申し込んでも利用できない状況となっています。海外の方にとって最初のハードルは言葉の壁です。日本語を学ぶことは地域で暮らしていく上で大変重要ではないでしょうか。区として、日本語教室の定員や回数、会場を増やすなど、多くの方が受講できるよう拡充すべきです。伺います。
 次に多文化交流の促進について
 地域社会の構成員として、海外の方と地域住民が共生するための理解促進は重要です。先進的事例として、約半数が外国籍の住民となっている大島6丁目UR団地では、増え続ける海外の住民に対し、多文化共生のため、自治会から呼びかけをおこない、現在、自治会役員にはインドの方が7名参加。清掃やパトロール、団地祭りなど力を合わせて取り組み、相互理解を深め、安全安心な団地をつくろうと努力を重ねています。区として、このような事例をどのように認識しているのか伺うとともに、大島6丁目UR団地の生きたモデルの教訓を他の町会・自治会にも広げるべきと考えますが、区の今後の取り組みについて伺います。
 最後に排外主義についてです。
 今年7月、全国知事会は、「国は外国人を『労働者』とみているが、自治体からみれば日本人と同じ『生活者』であり『地域住民』だ」と指摘。さらに、排他主義・排外主義を否定し、多文化共生社会を目指すと宣言しましたが、排外主義に対する区の認識を伺います。
 本区実施の江東区外国籍区民及び日本国籍区民意識・意向調査において、海外の方が区に期待する取り組みの一番は「差別や偏見をなくしてほしい」で56.8%でした。しかし、今、「外国人は生活保護が受けやすく優遇されている」など、外国人への差別や偏見を煽る根拠のないデマやフェイクが見受けられます。私はこのような言動は決して許されるものではないと考えますが、江東区ではこういう事実があるのでしょうか。区の見解を伺うとともに、区として、海外の方に対する差別や偏見をいかになくしていくのか答弁を求めます。最後に、日本共産党は、あらゆる差別や偏見を許さないという立場を表明し質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 西部ただし議員のご質問にお答えします。
 はじめに、住宅問題についてであります。まず、区営住宅についてです。区営住宅の住戸数を新規建設や借上げ等により増やすべきとのことですが、区内における公営住宅の供給量は中2番目に多く、住宅ストックとして一定の水準に達しているため、区営住宅の管理戸数につきましては、現行水準を維持していく方針であります。そのため、区営住宅の住戸数を増やす考えはございません。
 また、都営東砂七丁目第2アパートを建て替えて整備する(仮称)東砂住宅は、23区「区営住宅等建替・集約事業計画」に基づき、基本設計を進めており、住戸数を変更する考えはございません。
 なお、(仮称)東砂住宅につきましては、受変電設備や集会所を上階に設置するなど、区条例や「浸水対応型まちづくりビジョン」等に沿った設計を進めております。
 次に、都営住宅についてであります。
 まず、都営住宅の新設を都に対して求めるべきとのことですが、区営住宅と同様に供給量として一定の水準に達しているため、区として都に新設を求める考えはございません。
 また、都営住宅の建替えにかかる工期スケジュール等につきましては、東京都が区条例等に基づき、地域説明や浸水対策等を実施しているものと認識しております。
 加えて、都営住宅の建替えに伴い創出される用地は、これまでも区民ニーズに応じた活用を都に対して要望しており、今後も都と連携しながら、地域にふさわしい活用を図ってまいります。
 次に、UR住宅についてであります。
 まず、独立行政法人都市再生機構法に基づく家賃減免につきましては、URが法令等に基づいて適切に措置しているものと認識しており、区から国やURに対して求める考えはございません。
 また、UR住宅の修繕に関しては、賃借人とURが賃貸借契約等により取り決めているものであり、区として国やURへ働きかける考えはございませんが、区民から相談があった際は区の住宅リフォーム業者紹介事業を案内するなど、丁寧に対応してまいります。
 次に、民間住宅についてであります。
 まず、不動産価格の上昇に対する認識についてです。
 近年の建築資材や人件費等の高騰に加えて、新築物件の減少やコロナ禍の収束に伴う都心回帰といった様々な要因により、不動産取引価格は売買・賃貸ともに上昇傾向にあるものと認識しております。
 区といたしましては、不動産市況の動向を分析するとともに、区民ニーズの把握に努めてまいります。
 不動産協会への要請につきましては、法令や事実関係等に基づいた慎重な対応が求められると認識しており、現時点において区として要請する考えはございませんが、引き続き国や他自治体等の動きを注視してまいります。
 また、若者やひとり親家庭、高齢者等に対する家賃助成につきましては、対象範囲の設定や民間家賃への影響など課題があるものと認識しており、区独自に実施する考えはございませんが、今後も区民に寄り添った対応に努めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、教育・子育てについてお答えします。はじめに、教育費の負担軽減についてです。
 学用品費や修学旅行費などにおける、保護者の負担軽減については、必要な使用教材等の見直しを行うとともに、経済的に困難な世帯に対する就学援助の増額を行ってまいりました。
教育にかかる費用負担の軽減は、本来国において全国一律に実施すべきものと考えており、区として全世帯の無償化を行うことについては、引き続き慎重に検討していく必要があると考えております。
 次に、奨学金についてです。
 大学等の高等教育機関にかかる施策は、全国的な課題であり、国が実施すべきものと考えます。このため、国における大学の授業料等に対する給付型奨学金制度等の動向を注視することとし、現時点では区として給付型奨学金の対象を拡大する考えはありません。
 次に、区として奨学金返済助成制度を創設することについてですが、区では給付型の奨学金制度を実施している一方、返済支援については、国や都など他の機関による制度があることから、本区独自の制度による返済助成については考えておりません。
 次に、教職員の働き方についてです。
 本区では、働き方改革検討委員会を設置し改革を進めたことにより、教員の時間外在校時間は年々減少しています。しかしながら、全国で病気休職者が増加していることは認識しており、一層の改革を進めてまいります。なお、昨年度の本区の精神疾患による病気休職者は9名で、その内、退職者は5名です。
次に、改正された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」は、様々な声を反映し、附帯決議された事項も多く、教育委員会において、しっかり取り組んでまいります。
 次に、中学校の少人数学級については、
 令和8年度より段階的に35人学級となる予定であり、国や都に求める予定はありません。教員の負担軽減については、スクールサポートスタッフの配置やエデュケーション・アシスタントの拡充を行っており、その他の人的支援の増員については、それぞれの目的の達成に向け、総合的に判断してまいります。
 次に、こども誰でも通園制度についてです。配置基準につきましては、国が示す職員配置基準を基本とし、本区の条例案を見直す予定はありませんが、こどもの安全と保育の質を確保できる受入れ体制の整備について検討を重ねてまいります。
 次に、独立専用型のみにすべきとのことですが、「あずかーる」の試行の結果、余裕活用型にも利用希望が見られることから、両方式を選択できるような仕組みを考えております。
 次に、区立保育園における正規職員の確保に向けては、追加募集を行い、欠員の補充を図ってまいります。
 次に、一時保育の拡充につきましては、今後新たに開設される子ども家庭支援センターで実施するなど、充実に努めてまいります。

 次に、多文化共生社会の実現についてお答えいたします。はじめに、日本語教室についてです。令和6年度から開設している日本語教室では、15歳以上の区内在住の外国人を対象に、それぞれ定員20名の「入門クラス」と「初級クラス」を用意しております。
 生活に必要な日本語の習得は外国人住民が地域住民と共に生活する上で重要であると認識しており、区は「日常生活で使える」日本語教室としてカリキュラムを作成し、各クラス1回3時間、全16回の授業を実施しております。
 日本語教室の受講生決定にあたっては、受講希望者全員にレベルチェックテストを実施しており、開催クラスのレベルに合う方は、全員受け入れておりますが、すべての希望者が受講できる状況には至っておりません。
 このような状況を踏まえ、より多くの希望者が受講できるよう、クラスの設定などを工夫し、定員や回数等の拡充を検討することとしています。
 次に、多文化交流の促進についてお答えいたします。
 大島六丁目団地における、外国人住民の方々の活動については、区としても当該団地の自治会報などを通じて把握しており、外国人住民が多く居住する集合住宅における、参考となる事例の一つであると認識しております。
 このような取組は、日本人区民と外国人住民が協力して地域課題を解決する好事例となるため、ワークショップ等の開催を通じ、事例を紹介していくことが有効であると考えております。
 そのため区では、町会・自治会の特性や要望に応じ、有効な展開方法を検討することとしております。
 また、大島6丁目団地を含む、都市再生機構が管理するUR貸住宅は、連帯保証人が不要であること等により、今後も外国人住民が増加する可能性があります。そのため、区といたしましては、都市再生機構が実施する、多文化共生に関する取組を共有し、必要に応じて連携しながら対応することとしております。
 次に、排外主義についてです。
 お尋ねの「外国人は生活保護が受けやすく優遇されている」といった言説についてですが、外国人への適用は、本区に限らず、国の通知に基づき、生活保護法を準用していることから、日本人外国人に関わらず、無差別平等に保護しております。
 外国人との共生社会の実現に向けては、国が令和4年に、外国人との共生社会のビジョンを実現するための具体的なロードマップを策定しております。
 その中で掲げられた三つのビジョンの一つにある個人の尊厳と人権を尊重した社会では、外国人を含め、全ての人がお互いに個人の尊厳と人権を尊重し、差別や偏見なく暮らすことができる社会の実現を目指すとされており、本区としても同様の考えであります。
 そのため今後も、区民まつりや国際交流のつどい等を通じ、互いの文化や習慣への理解を深める取組を進め、引き続き、外国人への差別や偏見なく、だれもが安心して暮らすことができる多文化共生社会の実現を目指してまいります。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , | コメントする

2025年第3回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱3点について伺います。

  • 区民の暮らしと行財政運営について
  • 防災対策について
  • 医療・介護、福祉の充実について

大綱の第1は、区民の暮らしと行財政運営について伺います。
 2024年度決算についてです。
 物価高騰のもとで、区民の暮らしは住民税の高額納税者が増加する一方、納税義務者の4割は年収200万円以下で、住民税非課税者は12万人を超えています。生活保護受給者は8,000人を超えて高止まりし、中学生の2割が就学援助を受けているなど、格差と貧困が拡大しています。地域経済も深刻で、この3年間で120件を超える区内中小企業が倒産に追い込まれています。
 このような中、2024年度の区の一般会計決算は、約77億円の黒字となりました。基金は、1年間として過去最高額の約185億円を積み増し、その結果、基金残高は過去最高の2191億円に上っています。中でも、年度間調整を目的とする財政調整基金の440億円は、ため込み過ぎです。物価高騰対策について補正予算も組まれましたが、その多くは国や都の施策と財源によるもので、区独自財源によるきめ細やかな具体施策は不十分だったと言わざるを得ません。
 税金を不用額として使わず余らせ、基金にため込むやり方ではなく、物価高騰から区民の暮らしと営業を支える積極的な税金の使い方ができたのではないでしょうか。伺います。
来年度予算の編成についてです。
 帝国データバンクによると、主要食品メーカー195社が9月に飲食料品1422品目の値上げを発表、今年の値上げ品目数は累計2万品以上に上るとしています。物価高騰で実質賃金の減少が続いています。本区の来年度予算編成方針の中で、「物価高騰対策や子育て支援策など、区民生活の安心感を一層高める」としています。そうであれば、もっと区民の暮らしに寄り添うべきではありませんか。生活支援として、現金給付やお米券配布、子育て・教育支援として学用品や制服、修学旅行費等の無償化、中小業者支援として物価高騰対策資金融資の創設、小規模企業特別融資への利子補助引き上げ、家賃・リース等への補助など、区民生活最優先の予算を求めますが、見解を伺います。
 公契約条例についてです。
 物価高騰を上回る賃上げが求められています。区の官公需で働く人の処遇改善や事業者の経営環境改善、産業振興と地域経済活性化をめざす公契約条例は、23区中15区で制定され、2区で実施に向けた検討が行われています。
 私たち会派は先日、世田谷区の取組みを視察してきました。同区は、公契約条例に基づき、公共工事や業務委託を受注する企業に対し、今年の労働者報酬下限額を時給1,460円に引き上げました。月給にして約2万3千円のベースアップです。担当課長さんは、「地域にあるコンビニの従業員募集の賃金額、また障害者雇用でも条例に定める労働報酬下限額となっている」など、公共発注の賃金相場が「地域経済に大きな役割を果たし、人材不足の解消にもつながっている」と話していました。
 8月27日、連合東京、全建総連東京都連共催の「公契約条例学習会」が江東区文化センター開かれ、建設職人の労働組合はじめ、建設業協会、江東区等関係者が一堂に会した学習会となりました。そこでは、多摩市公契約条例について講演した同市の契約課長さんは「公共工事やサービスの質の向上、地域経済の活性化が条例の重要なところ」と強調し、事業者アンケートでも74%が地域経済・地域社会の活性化に「つながった」「今後つながる」との回答があったと説明されました。区は、この学習会の意義についてどのように捉えているのでしょうか。公契約条例制定に向け、さっそく公契約のあり方についての検討組織を立ち上げるべきと考えますが、見解を伺います。
 会計年度任用職員の処遇についてです。
 江東区で働く会計年度任用職員の最低賃金は現在1341円であり、低賃金のためダブルワークをせざるを得ない人もおり、「暮らしが厳しい」との声が上がっています。会計年度任用職員の最低賃金を1500円以上に引き上げるべきと思いますが、伺います。
 現在、江東区のスクールソーシャルワーカーや女性相談支援員、日本語講師などの専門職は、賃上げから外されています。しかし、総務省の会計年度任用職員制度の事務処理マニュアルでは、これら専門職種についても賃上げが可能としています。これを踏まえ、賃上げを行うべきです。伺います。
 新庁舎建設についてです。
 本区では、概算総工費690億円で新庁舎の建設を進めています。この半分の350億円を、10年間にわたり毎年35億円を建設基金に積み立ていくとしています。しかしながら、新庁舎建設事業費には駐車場機能や物販・飲食機能などの費用が含まれておらず、また庁舎と一体で整備する文化センター機能については一切議論されていません。未確定な要素が極めて多い中で、基金の積み立てを先行させるのは財政規律上も問題です。
 先月、庁舎建設工事中の世田谷区を視察してきました。世田谷区は本区と同様、現敷地内での建て替えで総工費430億円。同区が重視したことは、総事業費を極力抑え、区民生活に影響を及ぼさないこと。「住民参加と合意形成」を基本に、原則公開の公募・プロポーザルによる設計者、工事管理者を選定し、住民意見の反映に努めたとのことです。1平方メートル当たりの単価は、世田谷の約60万円に対し、本区は約3倍の170万円です。北区は76万円、品川区は100万円など建設費の縮減に努めています。本区においても、豪華庁舎でなくシンプルでコンパクトな計画とすべきです。また、築19年、十分な防災機能を持つ防災センターを継続活用するなど、総工費とランニングコストの縮減を図るべきです。合わせて伺います。
また、各地で庁舎建設を後押しする大規模再開発事業は、建築資材の高騰だけでなく、「民間の力で整備費を安く抑える」という事業のあり方そのものが暗礁に乗り上げています。事業手法については、設計・施工の一括発注や包括発注ではなく、基本設計に区や住民の意向を柔軟に取り入れやすく、区内の中小企業が参画しやすい分離発注とすべきと考えますが、伺います。

大綱の第2は、防災対策について伺います。
 近年、地震だけでなく気候変動の影響による異常気象などで大型台風、大雨、洪水、山火事など自然災害が頻発化、激甚化し、日常的な防災、減災対策の強化が急務です。
 荒川堤防の液状化・耐震対策についてです。
 私は、昨年2月の本会議質問で、東砂地区の荒川堤防河川敷道路から葛西橋への接続坂路200m部分について、液状化対策、耐震化が未整備であることを指摘し、早急な耐震化を国に働きかけるよう求めました。しかしながら、未だに放置されたままです。
 荒川下流河川事務所によれば、現状では大地震が発生した場合、地盤が液状化し、堤防が60cm沈下する危険があります。沈下した堤防から越水し大規模浸水が想定されます。荒川堤防は、本区の水防計画の最重要施設です。国に対し、荒川堤防の液状化対策と耐震化を急ぐよう強く求めるべきです。伺います。
 備蓄倉庫についてです。
 本区には、区内25か所の備蓄倉庫があります。浸水リスクの高い場所にある防災倉庫については、止水板の設置や備蓄物資を他の倉庫に移動するなど浸水対策を講じるべきです。伺います。
 災害用ボートについてです。
 現在、潮見、東大島、新木場の各防災倉庫と冬木艇庫の4ヵ所に、合計32隻の災害用ボートが配備されています。江戸川区では荒川の氾濫など大規模水害時の救援体制強化として手漕ぎボートと船外機を105か所の拠点避難所に配備しています。大規模水害の際、小・中学校等の拠点避難所に避難した区民が、長期間の浸水時に移動手段を確保するため、災害用救助ボートを浸水リスクの高い拠点避難所に配備すべきと思いますが、伺います。
 また、災害用ボートの訓練について、操縦訓練、物資輸送訓練や車椅子など要配慮者の移送訓練など、大規模水害を想定した訓練を実施し、様々な課題を解決していくべきと考えますが、伺います。
 災害時要配慮者が参加しやすい防災訓練についてです。
 私たち会派は7月、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮古市田老地区の復興と災害対策を視察しました。市の防災関係者は、「逃げる途中の階段で車椅子の方が立ち往生し、詰まって、詰まって後ろの方まで亡くなった。歩いてみないと見えてこないものがある」と話されました。私は、本年2月の予算委員会で、障害者の方に防災訓練に参加してもらい、当事者の目線で課題を洗い出し、双方向で必要なことを決めていく取り組みを求めました。障害を持っている方が防災訓練等に参加するには、多くの課題があります。障害者施設・事業所や災害協力隊、町会・自治会、民生委員などに呼びかけて、障害者も参加しやすい防災訓練のあり方、環境づくりを進めていくべきです。また、個別避難計画にもつなげていくべきと考えますが、伺います。
 また、災害発生等により避難所等で生活する障害者児とその家族への支援については、障害特性等による配慮が必要です。一次避難所での受け入れ体制とともに福祉避難所体制の構築について、最重点課題として長期計画に位置付けるべきと思いますが、伺います。
 帰宅困難者対策についてです。
 首都直下地震等による被害想定では、江東区内での帰宅困難者数は、前回の被害想定より約6万人増の23万7千人と想定されています。これを踏まえ、本区の地域防災計画では、駅周辺に多くの滞留者が発生した場合に備え、あらかじめ駅ごとに、鉄道、都、区、警察・消防、駅周辺の関連事業者等で構成する駅前滞留者対策協議会の設置を検討するとしています。早急に対策協議会を設置し、避難誘導指針を策定するなど帰宅困難者対策を進めるべきです。伺います。
 マンションの耐震化についてです。
 本区には現在、旧耐震のマンションが約600棟あると推測されており、耐震化改修が急がれます。しかしながら、耐震化費用が高額に上り、耐震化が進んでいないのが実態です。本区の耐震化助成はマンション1棟当たり2000万円ですが、千代田区は築30年以上の分譲マンションに対する耐震改修の助成率を10分の9へ引き上げ、1棟あたりの助成限度額を2億5099万円に引き上げました。建築資材や人件費等の高騰もあり、耐震化助成額を大幅引き上げるべきです。また、マンションの大規模修繕費に対する財政的支援を求めますが、合わせて伺います。
 土木現業職員についてです。
 近年の大規模災害などを経験し、自治体職員の不足による対応の遅れが全国各地で大きな問題となっています。本区では、災害があったときに現場へ急行する土木職員が、退職しても補充されず、この10年間で25名から12名に半減しています。これでは、区民の安全は守れません。土木現業職員の退職不補充方針を改め、増員を図るべきです。伺います。

大綱の第3は、医療・介護、福祉の充実について伺います。
 医療問題についてです。
 日本病院会など病院6団体の「このままではある日突然、病院がなくなります」との訴えが各界に衝撃を与えています。国の診療報酬が、物価高も賃金上昇もまともに反映せずに低く抑えられているためです。診療科の休止、入院患者受け入れの制限、救急医療の廃止が全国に広がり、独立行政法人化した墨東病院ではベッド77床が休止状態です。区は、このような事態をどう認識しているのでしょうか。国に対し、診療報酬の引き上げ求めるべきです。合わせて伺います。
 こうした中、政府は〝国の医療費削減〟を口実に11万床の病床削減やOTC類似薬を保険から外そうとしています。
 OTC類似薬が保険から除外された場合、患者本人の負担額は今の20~70倍に跳ね上がります。特に全額公費助成されている乳幼児に対する影響は大きく、子育て支援に逆行するものです。難病・慢性疾患やその団体、アレルギー性疾患やアトピー皮膚炎の子どものいる保護者などから抗議の声が上がっています。日本医師会や全国保険医団体連合会は、保険外しに反対しています。これら医療改悪で区民の命と健康は守れません。区はどのように考えているのか伺います。
 区長会として、国に対し、OTC類似医薬品の保険給付外しなど、保険外医療を拡大して患者負担増と医療の市場化を進める改悪の中止を求めるべきです。伺います。
 介護事業所への支援についてです。
 介護現場では、ホームヘルパーなどの介護人材の不足と経営悪化による介護事業所の撤退、廃業、倒産が続いており、区内でこの1年間に3件の訪問介護事業所が閉鎖となっています。国が2024年度から訪問介護の基本報酬を削減したことが大きな打撃となっており、特に小規模な事業所の経営が厳しくなっています。区内の訪問介護事業所に話を聞くと、「人材確保が一番困難で、この3年間、募集しても応募ゼロ」「介護職員の高齢化で、車椅子からベッドへの移動や掃除、長い距離・重たい買物ができないなど、利用者ニーズが受けられない」といいます。区は「報酬改定の影響については、介護事業所からの意見や、区民からの声は寄せられていない」と答弁していますが、基本報酬引き下げの訪問介護事業所と介護職員への影響について、介護保険者として実態を把握することは必要不可欠ではありませんか。伺います。
 品川区では、国が介護報酬を改定するまでの臨時的な措置として、引き下げられた報酬分を独自に補填しています。区民への介護サービスを維持するため、引き下げられた報酬分を独自に補填し、給付金として訪問介護事業所に支給するべきと思いますが、伺います。
 介護職員宿舎借り上げ支援制度は、介護事業所で働く職員の住宅費負担を軽減することで、介護人材の確保定着を図ること、また事業所による地域防災の迅速な対応を推進するものです。しかしながら、実績は2つの法人の6戸だけです。制度が知られていません。介護事業所を回って制度の周知を図るなど、積極的な活用を進めるべきです。
 また、離職介護人材の再就職に対する支援金支給など人材確保への支援策を検討すべきと考えますが、合わせて伺います。
 熱中症対策についてです。
 熱中症から命を守るためには、エアコンの使用が不可欠です。
 区は、私たち会派が繰り返し提案した高齢者世帯等への上限10万円のエアコン購入費助成を実施しましたが、申し込み期間が3か月足らずで、猛暑最中の7月で事業が終了しました。災害級の猛暑は来年も予想されます。秋口になればエアコンの価格も下がり、費用対効果から言っても通年の事業とすべきです。対象者を拡充し、エアコン購入費助成事業の延長を求めます。伺います。
 少年野球の子どもたちは、スパイクの底が熱で剥がれるほどの炎天下でプレーしています。熱中症から子どもの命を守るため、少年野球場のベンチや屋外運動場などにミストを設置すべきです。また、木陰が少ない公園では、子どもや家族連れなど公園利用者が安心して利用できるよう、遊具の近くにシェード・日よけを設置するなど、公園の暑さ対策を講じるべきと思いますが、合わせて伺います。
 シルバーパスの負担軽減についてです。
 東京都のシルバーパスは、70歳以上の高齢者の社会参加と生きがいの活動に活用されています。荒川区は、東京都が10月にシルバーパスの価格を現行の2万510円から1万2千円に引き下げるのに合わせ、70歳以上のすべての高齢者が千円で購入できるよう助成します。本区でも、高齢者の家計負担を軽減し、外出機会を増やすため、すべての高齢者が千円で購入できるよう、費用負担の軽減を求めますが、見解を伺います。以上質問とします。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。
 はじめに、区民の暮らしと行財政運営についてのうち、2024年度決算についてです。
 まず、基金への積み立てではなく、物価高騰から区民の暮らしと営業を支えるべきであったのではないかとのお尋ねですが、本区では、これまでも長引く物価高の影響を受けている区民や区内事業者の支援を適切に実施しており、昨年度は中小企業者に対するエネルギー関連経費の補助や物価高騰重点支援給付金の支給など、国や都の財源も活用しながら、物価高騰対策に取り組んでまいりました。
 一方、区財政を取り巻く環境は歳入・歳出の両面で不透明感を増しており、将来にわたって区民サービスを安定的に提供するためには、公共施設の改築・改修などの将来需要を見据えた基金残高の確保も重要であると考えております。
 次に、生活支援についてですが、本区では、今年度、住民税均等割のみ課税の世帯に対し、1万円の独自給付を行ったところであり、新たな給付等については、国の動向を注視してまいります。
 学用品や修学旅行費等については、就学援助の対象とし、経済的に困難な世帯に対する支援を行っております。これらの費用を無償化することは財政負担等も踏まえ、慎重に検討していく必要があると考えております。
 物価高騰対策資金融資の創設や、小規模企業特別資金の利子補助引き上げ、家賃・リース等の固定費の補助については、既に中小企業向けに様々な支援策を実施しており、制度創設・拡充の考えはありません。
 本区では区民生活を支える幅広い施策に多くの予算を配分しており、今後も区民や区内事業者の声に耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
 次に公契約条例についてです。
 まず、8月末に開催されました「公契約条例学習会」の意義についてです。多摩市では平成23年12月に条例が施行されており、当時の時代背景や条例制定に至る過程、条例の概要や特色などについて講演があったところです。今回の学習会は、本区が主催したものではなく、意義を評価する立場にはありませんが、今後、調査研究を行っていく中での参考といたします。
次に、条例制定に向けた検討組織の立ち上げについてです。東京都の最低賃金は5年連続の引き上げとなり、今改定は現制度における過去最大の増額となったことや、区としても地域経済活性化に向けて、区内中小企業の優先活用による受注機会の拡大や資金等の融資・補助等を実施していること、人材確保として就労のマッチング支援等に取り組んでいることから、現時点で条例制定に向けて早急に検討組織を立ち上げる考えはありませんが、引き続き、他自治体の動向や実施状況について情報収集を行ってまいります。
 次に、会計年度任用職員の処遇についてです。
 まず、会計年度任用職員の最低賃金引上げについてですが、会計年度任用職員の時給については、職務給の原則等の給与決定原則にのっとり、職務の内容や責任、職務遂行能力上必要となる知識等を踏まえ、社会情勢に応じた適正な額を適用しております。
 次に、スクールソーシャルワーカ―等の職にかかる賃上げについてです。
 これらの職については、給料表の適用を受けないため、特別区人事委員会勧告に基づく給与改定の影響を受けず、報酬額が据え置かれていますが、総務省のマニュアルでは、それぞれの職種にかかる給与水準の決定等は、各団体において適切に判断されるべきものとしております。そのため、ご質問の職における報酬につきましては、職務の内容や責任の程度、他区の状況等を踏まえ、慎重に検討していく考えです。
 次に、新庁舎建設についてですが、シンプルでコンパクトな計画については、建設や維持管理のコスト低減にも繋がる重要な視点と認識しており、基本構想で掲げた基本方針に沿って、機能性に優れ、コンパクトな庁舎となるよう検討してまいります。
 また、近年の激甚化、頻発化する災害に対応するためには、防災センターが有する機能を内包した新庁舎とする必要があり、防災性の強化により「区民のくらしをまもる庁舎」を目指してまいります。
 また、事業手法については、多様な選択肢があり、それぞれに有する特徴も異なることから、計画の深度化にあわせ検討を進めてまいります。

 次に、防災対策についてのご質問にお答えします。
 まず、荒川堤防の液状化・耐震対策についてです。
 荒川は、本区の水防計画において最重要施設であり、日頃より国と連携し、万が一の水害に備えております。お尋ねのアクセス坂路における液状化対策の未施工箇所については、江東五区の区長による京成本線荒川橋梁架替事業推進の要望活動を行っており、その中で、私から直接、国に対し、耐震対策の早期実施及び発災時の緊急復旧対応について強く求めております。
 次に、備蓄倉庫についてです。
 防災倉庫の浸水対策については、発電機等、濡れたら使用ができなくなる資機材の高い位置での保管や、大規模風水害時の事前移送を行うこととしております。また、止水板の設置については、有効性を含め検討しているところです。
 次に、災害用ボートについてです。
 拠点避難所となる学校へのボートの配備については、保管スペースや操船の担い手の確保、2次災害のリスクがどの程度想定されるかなど様々な課題があると認識しております。引き続き、消防署や消防団の意見も踏まえながら検討してまいります。また、他機関との合同訓練で災害用ボートによる輸送等の訓練を行っており、さらに、様々な状況を想定した訓練についても検討を行っているところです。
 次に、災害時要配慮者が参加しやすい防災訓練についてです。
 区では地域の避難支援者である災害協力隊を含め、地域で暮らす多くの方々に防災訓練に参加していただき、参加者の意見等を踏まえ、訓練内容に活かしているところです。また、障害のある方など要配慮者が参加しやすい環境整備にも注力しており、引き続き、町会、自治会を始め、福祉に携わる方々と、要配慮者を含めた多くの方に防災訓練に参加していただくよう周知するとともに、個別避難計画を含め要配慮者への理解を深める取組を進めてまいります。
 また、障害のある方など要配慮者の一次避難所での受入体制や福祉避難所の体制構築については、すでに、長期計画の重要課題として位置づけ、取り組んでおります。
 次に、帰宅困難者対策についてです。
 駅前滞留者対策協議会の設置にあたっては、区がオブザーバーとして参加している港区台場駅周辺滞留者対策推進協議会や他区の事例を参考に、地区や構成メンバー、協議項目などについて検討を進めております。
 次に、マンションの耐震化についてです。
 区では、旧耐震基準のマンションへの耐震化助成と合わせてアドバイザー派遣により、課題である合意形成や意欲醸成の支援に注力しているところです。
 助成額の引き上げについては、耐震改修促進計画改定の中で、建築資材等の高騰への対応を含め、国や都、他の自治体の状況を踏まえ、検証してまいります。
 また、マンションは所有者の責任において修繕するものであり、大規模修繕費にかかる財政的支援を行う考えはありませんが、区民から相談等があった際は区主催の相談会を案内するなど適切に対応してまいります。
 次に、土木現業職員についてです。
 災害発生時には、まず、本区土木部技術職の総員体制で、初期対応を行う予定です。また、本区で日常的な維持管理業務に従事している委託事業者等につきましても、災害時などの緊急時には区と協力体制を取りながら、緊急対応にあたることとしております。
 そのため、令和7年度以降の新たな定員適正化計画においても、技能系職員は、退職不補充の方針のもと原則として採用を行わないこととしており、方針を見直す考えはありません。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、医療・介護・福祉の充実についてのご質問にお答えします。
 まず、医療問題についてのうち医療提供体制の現状認識についてです。近年、物価や人件費の高騰が続く中、医療機関の経営は全国的に厳しさを増しており、都は「医療機関等物価高騰緊急対策支援金」など、医療機関に対する支援事業を実施しております。区といたしましては、現時点で区民が必要な医療を安心して受けられる体制は維持されていると認識しておりますが、引き続き、必要な医療提供体制について動向を注視してまいります。また、国に対し、診療報酬の引き上げを求めるべきとのことですが、全国知事会から緊急要望を国に行っており、国の動向等を注視してまいります。
 また、OTC類似薬の見直しに関する区の考えについてですが、国の「骨太の方針2025」にOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しが盛り込まれたものの、詳細は示されておらず、その推移を見守るとともに、現時点で区長会として国に対し中止を求める考えはありません。
 次に、介護事業所への支援についてです。区内訪問介護事業所の実態把握についてですが、区内の訪問介護事業所は3事業所が指定廃止となりましたが、倒産した事業所はありません。また、事業所数は増加しております。
 国や都で介護事業所へ様々な支援事業が実施されており、都では介護職員処遇改善加算等の取得を支援するために、社会保険労務士会による相談や訪問によるアドバイスを実施しております。
 報酬改定の影響については、国で実態把握を行い審議中であり、その動向を注視するとともに、区としては定期的に行っている連絡会において、事業者との意見交換を重ねてまいります。
 また、訪問介護事業所への給付金支給についてですが、本来であれば国が安定的な運営を行えるよう報酬を設定することが重要であり、引き続き、国に対策を求めてまいります。
 なお、宿舎借り上げ支援事業につきましては、専用サイトおよび区ホームページへの掲載に加え、介護事業者団体に対し周知協力を依頼するとともに、介護人材の確保については、今年度、介護事業者等を交えた対策協議会を立ち上げ、人材確保・定着に向けた新たな施策について検討を進めているところです。
 次に、熱中症対策のうち、エアコン購入費助成事業についてです。
 区では今年度、エアコン購入費の助成を行いましたが、熱中症リスクの高い高齢者で、エアコンを購入することが困難な低所得者世帯を、真に支援が必要な方と特定し、施策の有用性を図ったところであります。また、本事業はリスク回避を目的に初夏に実施することで、より効果的に対策を講じるものです。現在のところ対象者の拡充や通年実施をする考えはありませんが、都のゼロエミポイント事業を啓発するなど対応してまいります。
 少年野球場と屋外運動場の熱中症対策についてですが、団体利用においては、各主催者が、熱中症対策を行うことを施設利用の条件としております。個人利用においては、エアコンのある管理棟をクーリングシェルターとして案内しておりますので、現時点ではミストを設置する予定はありません。
 公園の暑さ対策については、令和6年度より、既存事業に女性視点を反映するプロジェクトチームである「プロジェクト・スマイル」の提案に基づき、公園の大規模改修に併せ、暑さ対策として、日除けを設置するなど、居心地の良い公園づくりを目指しております。
 次に、東京都シルバーパスの負担軽減についてです。
 都交通局は本年10月より、70歳以上の高齢者を対象としたシルバーパスの価格引き下げを行い、これまで課税者について年額2万510円としていた購入額を、1万2000円に変更しております。
 この年額1万2000円に対する区のさらなる助成についてのご質問ですが、応能負担の原則等の視点からも充分な検証が必要であり、他自治体等の状況も踏まえ、慎重に検討してまいります。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , , , | コメントする

区議団ニュース2025年8月号


物価高騰から区民の暮らしと営業を守れ
第2回定例区議会(6月11日~7月7日)が開かれ、11日の本会議では日本共産党区議団を代表して、菅谷俊一議員が質問に立ちました。

  • 第2回定例会委員会論戦 住民の願い実現へ全力
  • 区立平久幼稚園と元加賀幼稚園の廃園が中止に 「区立幼稚園の今後のあり方に関する基本方針」を修正
  • 西垣・米沢・星野議員に対し東京地裁が有罪判決!
  • 補正予算 区の潤沢な財源を活用した物価高騰対策を!
  • 汚職・不正のないクリーンな区政の実現を区議会政治倫理条例を制定!
  • 委員会審議の活性化など「議会改革」を議長に申し入れ
  • 家庭ゴミ有料化の検討は中止せよ
  • 新庁舎建設特別委員会を設置 総工費の圧縮、区民参加で建設を
  • 生活保護基準額引き上げを 区立保育園の民間委託止めよ
  • 共産党提出の意見書 自民・公明などが反対
  • 2025年 第2回定例会の主な議案等に対する各会派等の態度
  • 誰のためのまちづくりか!西大島駅前・大島三丁目再開発
  • UR四丁目団地の建替え 住民の不安は家賃の大幅な値上げ
  • データセンター建設には規制の整備を
カテゴリー: 区議団ニュース | タグ: , , , | コメントする

2025年第2回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問いたします。

  • 物価高騰から区民の暮らしと営業を守ることについて
  • 本区のまちづくりについて
  • 子育て支援について
  • クリーンな区政の実現について

 大綱1点目は、物価高騰から区民の暮らしと営業を守ることについてです。
 初めに、区民の暮らしについてです。
 実質賃金と年金減が続く中、米の値段が2倍になるなど、物価高騰で区民の暮らしと中小業者の営業が深刻の一途となっています。
 我が党が行った暮らしのアンケートでは、「暮らしが厳しくなった」が8割に達し、その理由には物価高騰が圧倒的です。高齢者から「年金では暮らしていけない、もう限界」、「働いても税金と保険料で生活苦」、飲食店からも「材料費が上がり、やっていけない」、町会役員からも「米の値段が高くてみんな困っている。区は何もしないのか」という声が上がっています。
 区長は、物価高に苦しむ区民の声をどう受け止めるのか、認識を問うものです。
 消費税減税についてです。
 物価対策として、今どの世論調査でも消費税の減税や廃止を求める声が7割以上となっています。同時に、「財源を明らかにして」の声も7割超です。
 食料品、水光熱費、衣服など、あらゆるものが値上がりしている中、消費税一律5%減税が最も力強く効果的な暮らし応援であり、中小企業支援になると考えます。減税効果は、勤労世帯で年間12万円、食料品ゼロ%に比べ2倍の効果です。同時に、自営業者などに深刻な負担となっているインボイス制度の廃止も必要です。
 一律5%減税に必要な財源は年間15兆円、大企業と大株主への優遇税制を正せば12.1兆円、富裕層への応分の負担で2.9兆円など、財源は十分確保できます。区長の見解を伺うとともに、区長並びに区長会として政府に対し緊急要請することを求めるものです。伺います。
 中小事業者への支援強化も待ったなしです。
 令和2年度に実施した事務所や店舗に対する家賃補助を再実施するとともに、リース代など固定経費への補助実施を求めます。小規模企業特別資金融資の利子負担、現行1.2%を直ちに0.6%に軽減することを求めます。併せて伺います。
 本区においても公契約条例を速やかに制定するべきです。昨年度では23区中13区が制定、今年の4月から品川区と文京区が制定し、15区です。さらに荒川区と豊島区も制定が予定され、計17区となり、未制定は本区を含む6区のみです。制定区の増加について、区長の見解を問うとともに、区として調査研究を進めるべきです。伺います。
 制定している世田谷区では、「空前の人手不足。公共発注の賃金相場は、地域経済に大きな役割を果たす」として、今年度から公共工事や業務委託を受注する企業に対し、労働者の報酬額下限を時給1,460円と定め、都内最低賃金1,163円を大幅に上回るものとなっています。地域の賃金相場を引き上げ、人材確保や地域経済を活性化させるなど、本区においても必要な制度ではありませんか、伺います。
 区民生活への支援についてです。
 今、23区内の賃貸住宅の家賃が10年間で1.4倍、区内の新築ワンルームでも月10万円を超え、ファミリー向けでは平均で月21万円です。若者などから「給料の大半が家賃で飛んでしまう」、「家賃が高過ぎる」などの悲鳴が上がっています。
 緊急支援として、区は東京都に対し、若者や高齢者などへの家賃補助の実施を求めるべきです。杉並区ではひとり親家庭等に対し、年間30万円の家賃補助を始めました。本区でも独自に家賃助成を行うことを求めます。伺います。
 また、「固定資産税が高い」との声もあります。区は都に対して固定資産税の軽減を求めるべきです。
 さらに、国に対し、家賃が所得の2割以上の世帯に、高額所得者を除く家賃減税制度の創設を求めるべきです。併せて伺います。
 家庭ごみの有料化について伺います。
 今年3月、清掃港湾・臨海部対策特別委員会で区は、昨年の区長会総会において、ごみ減量政策の課題を検討するとして、一般廃棄物処理計画策定の1年延期を決定、そこでは、新たなごみ減量政策として家庭ごみの有料化を検討することが示され、23区の部課長会で検討するとしました。
 有料化した自治体では、ごみの不法投棄が増えるなど、ごみの減量化にはつながっていません。「お金を出せばごみを幾ら出してもいい」という意識も生まれ、有料化前よりごみが増加した自治体もあります。
 物価高騰下でのごみ有料化は、区民の理解は得難く、住民の反発を招くことは必至です。区長の見解を伺います。
 ごみの減量化は、分別収集と資源化など、住民と自治体の協力が何よりも重要であり、生産者責任に基づくごみ減量の徹底化も必要と考えます。区長の認識を問うとともに、区長として有料化反対の立場を明確にするべきです。伺います。

 大綱2点目は、本区のまちづくりについてです。
 西大島駅前・大島三丁目1番地地区市街地再開発事業について、改めて伺います。
 本計画案は、高さ156メートル、42階建て、700戸のタワーマンションを中心とし、都税事務所と城東保健相談所の建て替えなどが含まれ、開発区域内の地権者及び野村不動産などの再開発準備組合が事業を推進しています。
 今、23区内では、大手デベロッパーによるタワーマンションなどを中心とする市街地再開発が行われ、新築マンションの平均販売価格が1億円を超えるなど、住宅価格が高騰。特に新築マンションの売買では、約3割が投機目的の住宅取得と転売による金もうけの場となり、住宅価格高騰の要因になっています。市街地再開発における異常事態について、区の認識を伺います。
 西大島駅前の本事業も、富裕層にしか購入できない住宅価格となり、投資家による住宅転売・金もうけの場になるのではありませんか。その結果として、西大島かいわいの住宅価格や家賃の高騰、固定資産税も引き上がるなど、住民が安心して住み続けることができないまちになりかねないと考えますが、区の見解を伺います。
 本事業計画を見直し、高齢者や若者向けの公的住宅等の整備など、地域住民のための再開発事業にすることを求めますが、区の見解を伺います。
 また、区は都に対し、投機目的の住宅転売など、不動産投機の規制強化を求めるべきです。伺います。
 次に、UR大島四丁目団地の建て替え問題についてです。
 我が党は、前定例会本会議質問で同団地の建て替えについて、「8万円の家賃が、建て替え後は15万円。住み続けられない」、「建て替えを契機に追い出すのか」など、住民の切実な声を示し、区として家賃助成の実施など、伴走型支援を求めましたが、区は応じませんでした。
 この間、我が党は、第1期工事の991戸を全戸訪問し、住民アンケートを実施。その結果、「建て替え後も住み続けたい」、「家賃の値上げが不安」、「家賃減額があるのか」などが多数を占め、家賃問題が最重要課題になっています。
 本区の都市計画マスタープラン住宅編には、UR賃貸住宅の活用について、「UR都市機構と連携し、多様な世代や世帯が、安心して住み続けることができる住環境づくりを推進する」と明記されています。
 区は安心して住み続けるための家賃補助実施に踏み切るべきです。伺います。
 また、我が党は、3月、国交省・URに対し家賃の減免などを求める要請を行いました。UR側は、「戻り入居者には、一定の減額措置を取る」などと回答しましたが、値上げの姿勢を変えていません。建て替え後において、高齢者、低所得者が住み続けられるよう、区はURに対し、都市再生機構法第25条4項の規定に基づく家賃減免の実施を要請するべきです。伺います。
 区内のデータセンター建設計画について伺います。
 現在、千石三丁目と塩浜二丁目に巨大コンピューター、IT機器を設置するデータセンター建設計画が上がっています。データセンターは、莫大な電力消費による大量のCO2を排出すること、巨大コンピューターを冷却する空調機器による高い排熱量があるなど、これまでのまちづくりでは想定外の大きな環境問題になっています。
 排熱による気温上昇で近隣地域のヒートアイランド化が危惧され、住環境が破壊されかねません。また、大量のCO2排出によって、区のCO2排出削減計画にも重大な影響を及ぼすなど、地球温暖化対策に逆行すると考えますが、区の見解を伺います。
 地域の環境保全対策が必要不可欠です。CO2排出をゼロにする、再生エネルギー利用計画や省エネ化の義務化とともに、ヒートアイランド化防止など、排熱処理計画を義務化すること、さらに、電力使用量とCO2排出量並びに排熱量などの情報開示を義務づけ、住宅地での設置規制など、区として国や都に対し、法整備等の規制強化を求めるべきです。伺います。
 また区は、データセンターに特化した対応方針を定めましたが、室外機設置の配慮はあるものの、計画周知の条例化検討などでは不十分です。
 環境保全への規制強化とともに、住民合意を条例化するなど、区として住宅地での設置を規制するべきです。伺います。

 大綱3点目は、子育て支援についてです。
 教育費負担の軽減についてです。
 我が党は、学校給食費無償化実現に続き、学用品、修学旅行などの無償化を繰り返し区に求めてきました。
 23区では、品川区、葛飾区での学用品の無償化実施を皮切りに、今年度からは江戸川、台東、足立区が新たに実施、補助教材では千代田区が無償化しました。
 また、修学旅行と移動教室の無償化では、葛飾、品川、荒川、墨田、足立区が実施し、教育費負担の軽減が拡大しています。
 特に品川区は、区立中学の制服代無償化にも踏み出し、義務教育にかかる主要な費用は全て無償になりました。
 学校給食無償については、都の補助が2分の1となり、区の負担が軽減しています。本区でも学用品、修学旅行、移動教室、学生服などの無償化実施を求めます。伺います。
 次に、企業立認可保育園の保育の質確保についてです。
 これまで我が党は、企業立認可保育園について、保育の質確保に重要な保育士の安定就労に向け、運営費補助金に占める人件費比率の改善を求めてきました。
 令和5年度の資料では、企業立保育園120社の人件費比率は、平均で57%、最低は37%であり、過去5年間にわたり低水準が続いています。同年度の社会福祉法人の人件費比率は、平均73%、公立園の80%以上と比べ、企業立保育園は低水準です。
 保育士の離職率は、公立園6%に対し、企業立園が21%と3倍も高く、平均勤続年数も、公立園17年に対し、企業立園は7年の不安定就労です。
 区内の企業立保育園で働いている方からは、「保育士の給与は20万円未満。二、三年で保育士が辞めていく」、「こどもの保育によくないのでは」との指摘があります。
 区はこのような事態を放置し続けるのか、見解を伺います。
 保育士の処遇を改善し、安定して働き続けることで、豊かな経験が蓄積され、保育の質の向上が図られると考えます。
 区の認識を問うとともに、区として企業立保育園の人件費比率をルール化し、社会福祉法人並みにするべきです。伺います。
 また、企業立保育園では、人件費を抑えて、その余剰金をため込み、法人本部の運営費や役員報酬などに流用する弾力運用制度、補助金の目的外運用は問題です。区として、国に対し弾力運用制度の廃止を求めるべきです。伺います。
 区の未就園児の定期的な預かり事業についてです。
 この事業は、生後6か月から2歳児までの乳幼児を対象に、親の就労には関係なく、保育園にて週1回もしくは月2回、1か月間の一定利用時間を定めて預かるもので、保育所以外の認可施設も実施可能です。
 本区は昨年度から、公立保育園1施設、私立保育園4施設で試行実施し、その課題として、1歳・2歳児では保育士の確保が必要、また、私立園では保育の専用スペース確保が困難としています。
 そもそも日本の保育士配置基準が低く、保育士1人が見るこどもの数が多過ぎる下で、本事業の実施には問題が多いと考えます。
 現場の保育士からは、「新たな乳幼児が短時間で、しかも日替わりで来ることで、現場の負担が大きい」、また、「初めて預かる乳幼児のストレスで、通常保育のこどもたちにも影響が及ぶ」との指摘がありますが、区の認識を伺います。
 何よりも、保育士の配置基準の抜本的見直しが必要不可欠であり、専用保育室の確保も必要と思いますが、併せて伺います。
 また、本事業は、保護者と保育所との直接契約であり、公的責任が後退しかねません。区は今年度に設置基準等の条例化を予定していますが、拙速に進めてはならないと考えます。区の見解を伺います。

 大綱4点目は、クリーンな区政の実現についてです。
 今年4月16日、東京地方裁判所は、2023年4月23日に執行された江東区長選挙をめぐり、元自民党衆議院議員の柿沢未途氏から現金20万円を受け取り、被買収容疑で起訴されていた元自民党の星野博議員、米沢和裕議員、にしがき誠議員に対し、罰金20万円と追徴金20万円の有罪判決を下しました。判決では、「金額は少額とは言えず、選挙の公正さを害し、政治に対する信頼を損ねるもの」と断じています。
 この間、江東区議会は、我が党の提案により、3会派が共同して、3人の議員に対し辞職勧告決議を採択してきました。今回の事件は、本区議会が制定した政治倫理条例の倫理基準第1項「区民の信頼を失墜させる行為は行ってはならない」に照らして、許されるものではないと考えます。罪を認め、直ちに区議会議員の職を辞することを求めるものです。
 この間、区長選挙をめぐり、一連の公選法違反事件が続いてきました。「クリーンな江東区政の実現」を掲げる区長としての見解を伺うものです。
 政治倫理条例についてです。
 3月23日付の東京新聞において、自民党、川北直人議員が、本区のごみ処理委託契約を落札した企業から、区との契約日である4月1日の前日、3月31日に同区議が代表の政党支部に370万円が献金されたとの報道がありました。
 また、同報道では、370万円とは別に、23年の12月まで毎月20万円の寄附を受けていたとしています。同企業は、23年4月以降、本区と6件の業務委託契約を締結したと報じています。
 毎月の20万円は、23年4月の区議選中にも寄附されていたとしており、公職選挙法の「区議会議員選挙に関して、本区の契約事業者からの寄附行為禁止」に抵触するのではとの指摘があります。
 また、本区との事業委託契約を結んだ企業と同議員の関係について、区民から疑念の声も上がっています。
 この間、政治倫理条例をめぐり、我が党は、「道義的批判を受ける寄附の自粛」を政治倫理基準に盛り込むよう、繰り返し求めてきました。しかし、同条例案の検討会で自参無会派と共生会派が反対して除外されてきました。改めて道義的批判を受ける寄附の自粛について、政治倫理基準に盛り込むことを提案するものです。
 汚職や不正行為が続いてきた本区政においては、政治と金の癒着を断ち切ることが、区民の政治に対する信頼回復になると考えます。
 本区においても、内部規定のコンプライアンス方針でとどめるのではなく、政治倫理条例を制定し、区民の信頼回復に努めるべきです。
 区長の見解を求め、質問を終わります。(拍手)

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 菅谷俊一議員の御質問にお答えします。
 初めに、物価高騰から区民の暮らしと営業を守ることについてです。
 まず、区民の暮らしについてですが、物価高騰の影響が区民生活に及んでいる状況は認識しており、令和7年度においても、国の交付金を活用した物価高騰対策を実施することとしております。今後も区民や区内中小企業等の声に耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
 次に、消費税減税についてですが、消費税は社会保障の安定財源であり、その減税は、国において確実な代替財源とともに検討すべきものであると認識しております。そのため、国に対して緊急要請を行う考えはありません。
 次に、中小事業者への支援強化についてです。
 まず、事務所等への家賃や固定費の補助については、エネルギー価格高騰対策補助金をはじめ、様々な支援策を実施しており、制度創設の考えはありません。
 小規模企業特別資金の利子負担の軽減については、既に本人負担に十分配慮した、多様な目的に応じた融資があることから、実施する考えはありません。
 次に、公契約条例についてです。
 まず、条例制定区増加の見解ですが、最低賃金の停滞期間に制定した区が多く、近年は徐々に増えているものと認識しております。区としての調査研究については、これまでも他自治体の動向や実施状況についてできる限り情報収集してまいりました。
 また、人材確保策としては、特に工事の週休2日制、電子契約の導入等の取組、地域経済活性化に向けては、今年度開始の経営改善支援資金等の融資・補助等を実施しており、引き続き公契約条例も含め、様々な施策の調査研究を行ってまいります。
 次に、区民生活への支援についてのうち、都に対して家賃補助の実施を求めるべきとのことです。
 都は、対象範囲の設定や民間家賃への影響など、多くの課題があるとしており、都へ実施を求める考えはありません。
 また、本区では、お部屋探しサポート事業や公営住宅の募集、各種相談窓口など、重層的な住宅セーフティーネット機能を構築しており、現段階で区独自に家賃補助を行う考えはありませんが、都や他自治体の動向等を注視しつつ、引き続き区民に寄り添って取り組んでまいります。
 次に、固定資産税の減税についてです。
 固定資産税は本区の基幹的な歳入である特別区交付金の財源であるとともに、都では中小企業等の支援を目的に、一定の要件を満たす非住宅用地の税額の2割減免を既に行っており、都に対しさらなる減税を求める考えはありません。
 次に、家賃減税制度についてですが、新たな減税制度は、その目的や財政への影響等の十分な検討が必要であり、国に対して創設を求める考えはありません。
 次に、家庭ごみの有料化についてのうち、住民の理解や反発についてですが、有料化に限らず新たに区民負担を求める場合には、必要性等の理解に十分努めることが不可欠と認識しております。
 ごみの減量化については、区民、事業者、区が協力し、5Rに取り組むことが重要と考えております。
 生産者責任については、現在の容器包装などにおける一定の責任者負担に加え、拡大生産者責任の原則に基づくさらなる対策を区長会として国に要望しているところです。
 また、家庭ごみ有料化への立場ですが、有料化については、23区として取り得るごみ減量施策の可能性の一つとして、実務的な課題や効果を検討しているものであり、本区として賛否を表明するべき段階ではないと認識しております。
 次に、子育て支援についての御質問にお答えします。
 初めに、教育費負担の軽減についてです。
 学用品については、児童・生徒個人の所有物で、学校と家庭のいずれでも使用でき、その利益が直接児童・生徒に還元されるものとして、各家庭での購入としておりますが、保護者の負担を軽減するため、必要な使用教材等の見直しに取り組んでおります。
 また、学用品費や修学旅行費等については義務教育の無償制度の範囲ではありませんが、本区では、経済的に困難な世帯に対する就学援助の対象としており、保護者負担を軽減しております。
 学用品費や修学旅行費等を無償化する自治体があることは認識しておりますが、これらの費用を無償化することによる財政負担も踏まえ、慎重に評価・検討していく必要があると考えております。
 次に、企業立認可保育園における質の確保についてです。
 まず、保育士の処遇改善や安定就労についてですが、保育の質を維持・向上するためには、保育人材の確保や定着、働きやすい環境づくりを支援することが重要と認識しております。そのため、引き続き、国の処遇改善等加算や都のキャリアアップ補助を実施するほか、宿舎借上げ支援や保育士の負担軽減など、様々な支援を展開してまいります。
 次に、企業立認可保育園の人件費比率のルール化についてですが、保育所ごとに職員の年齢構成や経験年数等が異なるため、人件費の割合のみをもって適否を判断することは困難であり、区独自のルールを定めることは考えておりません。
 また、国に対して補助金の弾力運用制度の廃止を求めるべきとのことですが、委託費の弾力運用は、適切な施設運営が確保されていることを前提として認められるものであり、国の通知に基づき、最終的に東京都の審査の上で実施されていることから、廃止を求めることは考えておりません。
 次に、区の未就園児の定期的な預かり事業についてです。
 まず、現場に負担がかかっているとのお尋ねですが、乳幼児は環境の変化に敏感であり、環境に慣れるまでに様々な対応が必要になる場合があります。
 そのため、各園においては、事前面談を実施し、本人の状況を丁寧に把握するとともに、当日の保育体制を調整するなど、個々のお子さんの状況に応じた対応に努めております。区といたしましては、今後も、保育現場の声を聞き取りながら、保育体制の支援に努めてまいります。
 また、配置基準の抜本的見直し及び専用保育室の確保についてですが、国は配置基準の改善に向けた対応を行っているところであり、区としましては、引き続き国の動向を注視してまいります。
 専用保育室の確保につきましては、国の制度上、空き定員や既存スペースを活用して柔軟に実施できる余裕活用型が認められていることから、施設の状況に応じて柔軟に対応してまいります。
 条例制定につきましては、国の法改正等を踏まえ、令和8年度のこども誰でも通園制度の本格実施に向けて、今年度中に規定整備を進めていく必要があります。
 区としましては、保育現場や保護者の声、他自治体の事例も踏まえた制度構築を目指していく考えでございます。
 その他の御質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、本区のまちづくりのうち、西大島駅前・大島三丁目1番地地区市街地再開発事業についてであります。
 まず、分譲住宅の価格高騰についてですが、23区の新築分譲マンションにおける平均販売価格は、ここ数年上昇傾向にありましたが、令和6年は5年と同水準で推移している状況を区としても把握しており、今後もその動向を注視してまいります。
 次に、本事業における分譲価格による影響についてです。
 計画している住宅の販売価格や家賃は現時点で設定されておらず、同様に分譲価格による固定資産税の影響も確認できる状況ではありませんが、一方で、本事業により生活利便機能や地域交流機能等が導入され、地域住民の利便性向上など、暮らしやすい環境形成が期待されます。
 次に、高齢者や若者が住み続けられる住宅等の整備についてです。
 本事業計画では、一部に賃貸住宅の設定を検討していると聞いておりますが、現在検討中の大島三丁目駅前エリアまちづくり方針の目標である「全ての人々が暮らしやすい住環境の形成」の実現に向けて、幅広い世代や多様な世帯に対応する住宅の整備について、引き続き準備組合と調整してまいります。
 次に、不動産投機への規制強化についてです。
 現段階で都に対して規制強化を求めることは考えておりませんが、国や都の動向を注視してまいります。
 次に、UR大島四丁目団地の建て替え問題についてです。
 まず、団地の入居者への家賃補助についてですが、UR賃貸住宅の家賃は法令に基づきURが適切に設定するものと認識しており、区による家賃補助は考えておりません。
 また、家賃減額措置については一定のルールが定められており、URからは家賃が上昇する世帯に対しては一定の軽減措置を講じると聞いているため、URに家賃減額を要請する考えはありません。
 区では、入居者に対する分かりやすい説明など、URに対し今後も丁寧に対応するよう促してまいります。
 次に、区内データセンター建設計画についてです。
 まず、ゼロカーボンシティ江東区実現プランへの影響について、地球温暖化に逆行するとのことですが、データセンターについては、DXや生成AI技術の進展などを支える社会的に有益な施設である側面もあり、適切に社会と共存していく必要があるものと認識しております。
 次に、地域の環境保全対策について、国や都に規制強化を求めるべきとのことですが、本区では、これまでも機会を捉え、国や都に対し要望を行っており、現在、国においてデータセンターの電力使用量の抑制や効率を高めるための規制等の検討を行っており、本区としても国等の動向を注視してまいります。
 次に、データセンター建設に対するさらなる取組について、住民合意を条例化すべきとのことですが、住民との合意形成は、良好な近隣関係の形成や健全な生活環境の維持・向上などに向けて、事業者による近隣住民への丁寧な説明と双方の歩み寄りによる解決が望ましいと考えております。
 引き続き、丁寧な対応を事業者に求めていくとともに、環境保全対策など、国や都の動向を注視してまいります。

 次に、クリーンな区政の実現についての御質問にお答えします。
 まず、クリーンな江東区政の実現に向けての見解についてです。
 本来、公正・公平でなければならない選挙において、公職選挙法違反により有罪判決を受けるに至っている事案が本区で生じていることは、大変遺憾であります。
 一般論として、選挙活動に当たり政治家一人一人が襟を正し、区民から信頼を得られるよう、姿勢を正していくことが何よりも肝要であると認識しております。
 本区といたしましては、区民から信頼いただけるよう、区長が公約に掲げる「クリーンで公正な区政」の実現に向け、職員一丸となって全力で取り組んでまいります。
 次に、政治倫理条例の制定に関してのお尋ねですが、現時点において、区として政治倫理条例を制定する考えはありません。
 本区としては、本年1月に江東区コンプライアンス基本方針を策定しており、区民から信頼される区役所の実現を目指し、職員一人一人が社会規範や法令等を遵守するとともに、公平・公正に日々の職務に取り組んでおります。
 本区では、既に区に対して、専門的立場から助言等を行う外部人材を活用したコンプライアンス推進アドバイザーを設置するなど、本区のコンプライアンスにおける客観性・透明性の確保に努めております。
 また、コンプライアンス基本方針に基づき、庁内のコンプライアンス意識醸成に努めるとともに、公正取引委員会から講師を招き、区長を含めた幹部職員を対象とした不正防止講習会を7月に開催するなど、具体的な取組を着実に実行しているところです。
 本区では、引き続きコンプライアンスの推進に取り組み、区民の期待に応えてまいります。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , | コメントする

2025年第1回定例会―西部ただし議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱三点について質問します。

  • 教育・子育てについて
  • 国民健康保険について
  • 交通問題について

大綱一点目は教育・子育てについてです。
 まず初めに、深刻な教員不足についてです。教職員定数をふやさずに多くの業務を背負わせた結果、教員の労働時間は一日平均11時間半で、トイレに行く暇もない状況と聞いています。異常な長時間労働のため、多くの教員が心体を壊し、精神疾患による病休者が急増、全国では7000人を超える事態となっています。
 教員の長時間労働の根本的な原因は業務量に見合わない、少なすぎる教員定数であり、加えて、公立学校教員給与特別措置法いわゆる給特法により、公立学校の教員を残業代制度から除外したことも大きな要因です。残業したら割増賃金を払い、長時間労働にブレーキをかける。これが世界のルールです。
 学校現場からは「子どもに向き合う時間がない」「正規の教員を増やしてほしい」と切実な声が上がっています。
 教員の基礎定数を抜本的に引き上げるとともに、給特法の残業代ゼロ制度を廃止するよう国と都に働きかけるべきです。
 また、世田谷区では、学校で教員の欠員が出た際の補佐として、支援教員を配置する制度を新年度から実施します。本区でも支援教員を区の責務で配置することを求めます。
 次に不登校対策についてです。本区の小・中学生の不登校数は、この10年間で、311人から1143人に急増しており、不登校対策の充実は待ったなしです。
 現在、不登校の子どもたちの支援をおこなっているブリッジスクールは、教育センター、南砂中学校、東大島もみじ幼稚園跡地の区内3か所にあり、子どもたちの大事な居場所となっています。しかし、ブリッジスクールは区内全域になく、南部地域から教育センターに通う利用者からは「遠くて通いにくい」との声があがっています。また、教育センターは子どもが多く、教室が足りず、教室とは別の会議室を解放して対応する状況となっています。ブリッジスクールは南部地域へ早期に設置するとともに、出張所管内に一か所設置すべきと考えますが伺います。
 また、増え続ける不登校の子どもたちを支援するためスクールソーシャルワーカーの増員が必要です。昨年度、スクールソーシャルワーカーを5人から10人に増員したところ、510人の生徒を支援し、年間相談件数はのべ6428回に激増しました。さらにきめ細かい支援がおこなえるようスクールソーシャルワーカーを区立小・中学校全校に配置するよう求めます。
 次に通学路の安全対策についてです。小名木川小学校の改築工事に伴い、今年1月から大島5丁目仮校舎への徒歩通学が始まりました。仮校舎への通学ルートである塩の道橋は、朝の通勤・通学時、自転車や歩行者で混み合い、すでに子どもと自転車が接触する事故が複数回起きているなど、安全確保が困難となっています。保護者からは子どもたちの安全のため「スクールバスを出してほしい」と強い要望が出ています。
 区教委は、スクールバスの運行について、仮校舎と学区域が概ね2キロ以上あること、および、学校・PTAから要望があることが条件としています。ただし、これらに該当しない場合でも安全対策上、教育委員会が必要と認めたときはスクールバスの運行は可能としています。
 重大事故を防ぐには、低学年やなかよし学級に対し今からでもバス通学を認めるべきです。伺います。
 次に児童相談所についてです。
 これまで本区は、区立の児童相談所を設置すべく準備を進めてきましたが、昨年末、区独自の児童相談所設置方針を急遽変更しました。そこでは、児童相談所本体について、都立江東児童相談所を、新設する潮見に移転し、担当地域を江東区1区のみの管轄とし、東京都が運営する方向で協議しています。
 この間、区は、江東区児童相談所基本計画(素案)を策定し、子どもの最善の利益のため、子ども一人一人が尊重され、子育て家庭が安心して子どもを生み育て、気軽に相談し、支援されるよう、子ども家庭支援センター等と連携し、地域全体で、子どもを守る環境をつくるなど、区児相を持つ意義を掲げてきました。しかしながら、都立の児相になることで、運営権限と決定権が都にある以上、区の関係機関との連携が区立の児相に比べて密接なものとはならないと考えますが、区の見解を伺います。
 他区の区立児童相談所では、職員が児童館に出前相談に行くことや、学校の子どもや保護者に、児童相談所の広報カードを配って周知するなど工夫を凝らしています。その結果、相談件数が増加し、子どもが友達を児童相談所に連れてくるなど、住民にとって身近なものとなっています。都区連携型の児相運営においても地域密着型の身近な児童相談所にしていくことが区として必要と考えますが、区の見解を伺います。
 児童相談所とともに重要な社会的養護施設が不足していることが問題です。都内の児童養護施設は本区を含む東京東部地域で空白地帯が多く、家族間の関係修復に支障をきたしています。児童養護施設については、本区へ整備を進めるよう都との協定書に盛り込むことを求めます。伺います。

大綱二点目は国民健康保険についてです。
 まず、来年度の国保料についてです。東京都は、国の仮係数に基づいて試算した結果、国保加入者一人当たりの国保料が17万9856円で、一般財源からの法定外繰入を行わない場合、1万580円の引き下げになるとの試算結果を示しました。
 しかし、今回の試算額は、23年度の高い水準にとどまっており、「高すぎる保険料」に変わりはありません。
 この間の実質賃金低下や消費税増税、年金減額、医療・介護の負担増が続く中で物価高騰が追い打ちをかけ、区民の暮らしと営業は極めて深刻な事態です。
 また、国保加入者の7割が非正規労働者や年金生活者などの低所得者であるにもかかわらず、国保料負担は、協会けんぽの2倍超となっており、負担能力の限界を遥かに超えています。
 区民からは「もう限界。保険料を引き下げてほしい」との声があがっていますが、区はこうした区民の声をどう認識していますか。伺います。
 高すぎる保険料引き下げのためには、区独自に、一般会計から繰入をおこない、更なる保険料の引き下げをおこなうとともに、都に対し、保険料の大幅引き下げのための財政支出を実施するよう求めるべきです。
 とりわけ、保険料引き下げに有効な、子どもの均等割について、区として未就学児の均等割を無料にするとともに、均等割軽減の対象年齢を18歳まで引き上げ、早急に均等割を廃止するよう国と都に求めるべきです。
 また、出産育児一時金は現在50万ですが、出産に75万円かかったということも聞いています。出産育児一時金は自己負担が発生しないよう拡充するとともに、子育て施策の財源は、保険料の値上げに連動しないよう、国に財政措置を求めるべきです。伺います。
 次に保険料の収納対策についてです。昨年度、本区の国保料滞納差し押さえ件数は525件で、令和元年度の250件に比べ2倍以上も増加しています。
 国保加入者世帯の多くは低所得者層であり、保険料が高すぎるため、払いたくても払えない状況があります。区民の命と健康を守るべき社会保障としての国保制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪いかねないなど、あってはなりません。
 滋賀県野洲市では、滞納は生活状況のシグナルと捉え、福祉や様々な生活支援につなげています。本区も滞納者に寄り添った生活支援、生活再建型の収納対策に転換すべきです。伺います。
 また、昨年新設した生活応援課は困難を抱える一人親家庭中心の対応にとどまっていますが、困難を抱える区民が誰でも相談できるよう、ワンストップ型の窓口へと拡充をはかるべきです。伺います。

大綱三点目は、交通問題についてです。
 まず、新交通システムについてです。区民から、「自宅や目的地の近くにバス停や駅がなくて不便」など、公共交通のさらなる充実を求める声が多く寄せられています。この間、区は、交通需要調査アンケートを実施し、新交通システムの導入に向け準備を進めていますが、課題を含め、現在の検討状況を伺います。
 現在、23区中8区で、デマンド交通、いわゆる予約制乗合ワゴンの実証運行が実施されています。世田谷区では、買い物や通院の際に、多く利用されており、区民から「日常生活の満足度が上がった」と喜びの声が寄せられ、利用者が増加しています。
 デマンド交通の導入は、バス停がない場所や道路が狭い地域などにおいて大変有効と考えます。南砂三丁目都営住宅の住民からは「高齢者医療センター行きのバス停が近くになくて通院しづらい」という声があがっています。区として、デマンド交通の実証運行をただちに実施して、ニーズを把握し、本格的に運行すべきと考えますが伺います。
 最後は、南砂町駅についてです。まずは、改良工事についてです。南砂町駅の2面3路線化工事は、当初完成予定だった2020年を疾うに過ぎて、10年以上も工事が続いてます。駅利用者からは、「工事はいつ終わるのか」「閉鎖中の2番3番出入口はいつ復活するのか」など不満の声が噴出しています。
 しかし、東京メトロは、改良工事がなぜ遅れているのか、今何がどうなっているのか、詳細を駅に掲示することもありません。鉄道会社としてあまりに不誠実な姿勢ではないでしょうか。
 区として東京メトロに対し、南砂町駅の工事の内容や工期及び進捗状況などについて再度住民説明会をおこなうとともに、駅の構内・外に工事の情報を掲示するなど、丁寧な周知をおこなうよう求めるべきです。伺います。
 南砂町駅の安全対策についてです。鉄道事業法第18条には、鉄道事業者は輸送の安全確保が最も重要であり、安全性の向上に努めなければならないと明記されています。
 しかし、南砂町駅はホームが狭いうえに利用者が多く、朝のラッシュ時には線路側のホームギリギリを歩いて移動しなければならないにも関わらず、未だにホームドアが設置されていません。
 同駅を利用する視覚障がい者の方からは、「ホームを歩くのが怖くて立ち竦んでしまう」という声が寄せられています。この間、隣の東陽町駅では、ホームドア設置を目前に、視覚障がい者の方が誤って線路へ転落して亡くなる痛ましい事故が起きました。さらに、昨年、南砂町駅では、二か月連続で人身事故が発生しており、これ以上、事故を繰り返さないためにもホームドアを早急に設置するよう区として東京メトロへ強く申し入れるべきと考えますが、伺います。
 また、この間、東京メトロは、工事計画を変更し、地下通路の段差解消のためのスロープ化計画を中止しました。しかし、これは、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点から逆行するものです。当初の計画通り、スロープ化の計画に戻すよう併せて求め、質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

西部ただし議員のご質問にお答えします。
 はじめに、交通問題についてのうち、新交通システムについてです。
 江東区の地域公共交通は、長年鉄道や都営バスが基軸となっておりますが、一方、バス停までの移動が困難な高齢者や子育て世帯、障がい者等、必要な方に対して、ラストワンマイルを担う「新たな交通システム」の必要性は認識しており、検討を進めているところです。
 現時点での検討状況ですが、昨年度実施したアンケート調査の詳細分析を行うとともに、パーソントリップ調査、携帯電話を活用した移動デー夕等により、各地域の現状と課題、移動二ーズを整理し、地域の実情に応じた車両の選定や運行形態等について検討を行ってまいりました。庁内に設置した検討委員会では導入効果の高い地域を選定し、その地域に最も適した運行方法の検討を進めております。
 なお、バス業界をはじめとする運転手不足、都営バスやタクシー等の既存交通事業者との競合、道路幅員による車両の制限等が課題となっており、新たな交通システムの検討にあたっては、持続可能な地域公共交通の構築が必要であると考えております。
 区として、デマンド交通の実証運行を直ちに実施すべきとのことですが、先ずは、区民、交通事業者、警察、道路管理者等で構成される地域公共交通会議での合意形成に向け、令和7年度に会議体を設置し、新たな交通システムの導入に向け、引き続き検討してまいります。
 次に、南砂町駅の改良工事についてです。
 これまでも区では東京メトロに対し、工事のスケジュール等について、駅利用者や区民に対し丁寧に周知するよう求めてまいりました。
 また、工事のため一部出入口を閉鎖している関係で、特定の出入口や歩道が混雑していることから、混雑緩和や安全対策、出入口の早期利用再開についても東京メトロに対して要望しております。
 なお、ホームドアの設置につきましては、新設されたホームと既設ホームの使用範囲や線路を切り替えながら工事を実施しているところであり、工事の進捗に合わせて順次設置する計画となっております。先ずは、中野方面のホームに令和7年度整備完了予定とのことです。
 本区としても、駅利用者の安全確保は重要であると認識しており、ホームドアの早期設置について引き続き求めてまいります。
 また、地下通路の段差解消についてですが、駅構内の床や天井の高さが工事に伴い変更となることから、南砂三丁目公園側の通路との間に段差が生じるとのことです。段差を解消するためには、埋設物が支障となり、軟弱地盤のため移設が難しく、スロープの設置が困難なため、階段を整備する計画に変更したとのことです。
 本区と致しましては、南砂三丁目公園側の出入り口を利用される方に対して、地上部のバリアフリールー卜の周知徹底と、地下通路階段部に、車いす対応の昇降機を設ける等の対策を引き続き東京メトロに対し、求めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、数育・子育てについてです。
 はじめに、教員不足についてです。教員不足は喫緊の課題であり、学校を取り巻く様々な課題を解消し、教員を志望する方を増やしていくことが必要です。教員の定数改善や給特法廃止について国に働きかけることについては、既に、全国都市教育長協議会も属する「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」が、緊急声明を国に対して提出しており、現在、改めて働きかけることは考えておりません。
 また、区独自の支援教員の配置については、本区では、既に教員免許を有する学びスタンダード強化講師を始め、多くの支援員等を配置し、成果をあげていることから、現段階で区独自の教員を配置することは考えておりません。
 次に、不登校対策についてです。まず、ブリッジスクールの増設についてです。本区南部地域へのブリッジスクールの開設については、その必要性は認識しており、既に検討を始めております。
 しかしながら、ブリッジスクールの本区全体への層の拡大については、校内別室指導やバーチャルランニングプラットフォーム等、多様な学びの場を整備し成果をあげていること、また場所の確保や運営等、課題も多いことから現段階では考えておりません。
 次に、スクールソーシャルワーカーの全校配置です。昨年度、10名に増員し、定期的に学校を訪問する巡回型としたことで、対応件数が大幅に増加するとともに早期支援が可能となる等、大きな成果がありました。全校配置の考えはありませんが、より効果的な支援の実施に向け、スクールソーシャルワーカー同士の連携強化が図れる組織体制の整備、充実に努めてまいります。
 次に、通学路の安全対策についてです。
 小名木川小学校の大島仮校舎への徒歩通学の実施に際しては、ストップさんの増員を行うとともに、通学路途中の学校とも連携し、安全対策の強化を図っております。また、教育長を始め、教育委員会の職員も登校の見守りに参加しております。
 スクールバスの運行基準は、仮校舎の中心から学区域が2kmを超える場合としており、小名木川小学校は、その距離がおよそ1.4kmであったことから徒歩通学としました。引き続き保護者や地域、学校と連携し、仮校舎への通学路の安全を確保してまいります。
 次に、児童相談所についてです。まず、区の関係機関との連携ですが、今回の都からの提案は、養育支援課や子ども家庭支援センターも含めて都の児童相談所と緊密に連携を図り、一貫した支援体制を構築するというものであり、関係機関との連携は十分に図られるものと認識しております。
 また、身近な児童相談所についてですが、児童相談所が地域に開かれた施設になることは重要であり、合築される子ども家庭支援センター等とも合わせて、新たな児童相談所を地域密着の、住民に身近な存在にしたいと考えております。
 社会的養護の施設整備に関しては、現状を踏まえ、必要性を含めて検討を進め、東京都と協議を行ってまいります。

 次に、国民健康保険についてです。
 まず、保険料についてのうち、区民の声の認識についてですが、国民健康保険料は、主に医療の高度化や高齢化による医療費の増加が要因となって上昇が続いており、被保険者にとって負担となっていることは認識しております。そのため、特別区では、一般財源からの法定外繰入れを実施することで、保険料の抑制に努めてきたところです。
 次に、区独自の一般会計繰入れについてですが、被保険者が負担する保険料は、受益と負担の観点から、医療に要する費用等の一定割合を負担するものであり、法定外繰入れに頼ることは、給付と負担の関係が不明確となるほか、不安定な財政運営に繋がるものと考えております。そのため、現時点で区として独自に繰入れを行う考えはありませんが、医療費適正化事業の強化や保健事業をさらに充実することで医療費増加の抑制を図り、保険料負担の軽減に努めてまいります。
 また、都に対する財政支出拡充の要望については、これまでも特別区において都に強く要望をしてきており、今後も引き続き要望して参ります。
 次に、こどもの均等割を区で無料にすること、均等割廃止を国・都に求めることについてです。こどもの均等割については、国民健康保険の制度上の課題であり、国や都の責任で対応すべきであると認識しており、区独自に取り組む考えはありません。また、特別区長会からこどもの均等割軽減拡大を既に国や都に要望しております。
 次に、出産育児一時金の拡充については、出産費用の保険適用にかかる国の検討状況を注視してまいります。
 また、子育て施策の財源を保険料の値上げに連動させずに国の財政措置を求めることについてですが、「子ども・子育て支援金制度」のように負担に対する直接の給付が伴わない制度の導入は国保制度と切り離した対策を講じるよう、特別区長会から国に要望しているところです。
 次に、収納対策についてです。滞納者に寄り添った収納対策への転換についてですが、区では滞納者の生活状況等を十分に聞き取り、分割納付の相談や、保険料の減額免除等、丁寧に対応しております。また、聞き取りした中で滞納者への支援が必要な場合、適宜、「生活支援相談窓口」や「法テラス」を紹介しており、今後も滞納者の生活状況を考慮した収納対策に取り組んでまいります。
 次に、生活応援課のワンストップ型の窓口への拡充についてです。本区では、各相談窓口において、寄せられた相談が他部署の業務であった場合でも機械的に案内せず、必要に応じて他部署の担当職員に出向いてもらうなど、全庁一丸となり丁寧な対応を行っているところです。そのため、生活応援課においてワンストップ型の窓口を担うことは考えておりませんが、今後も、庁内の連携を強化して、区民に寄り添った窓口の対応に努めてまいります。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , , | コメントする

2025年第1回定例会―赤羽目たみお議員

 日本共産党区議団を代表し大綱4点について質問します。

  1. 来度予算案と行財政改革について
  2. 防災対策について
  3. 大規模団地の建て替え問題等について
  4. 介護問題について

大綱の1番目は、来度予算案と行財政改革についてです。
 収まらない物価高騰、実質賃金の低迷、年金の目減り、医療・介護の負担増などによって深刻な生活苦が広がっています。私たち共産党が実施した暮らしのアンケートには1500通を超える回答があり「あらゆる生活必需品が値上げとなり、暮らしが立ち行かない」「人件費や原材料の高騰が経営を圧迫し、耐えられない」など切実な声が寄せられています。区長は、区民の暮らしの声をどう受け止めますか。伺います。
 暮らしが厳しさを増す中、国の来年度予算案は、医療費の高額療養費制度の自己負担上限額の引き上げなど、社会保障のさらなる改悪を進める一方、軍事費に8兆7千億円も充て大軍拡を行うと共に、半導体分野の企業に2兆円の支援など、財界・大企業を優先するものとなっています。
 今行うべきは、540兆円に及ぶ大企業の内部留保に課税して財源を作り、中小企業を直接支援し賃金を時給1500円以上に引き上げることや、富裕層・大企業への行き過ぎた減税や大軍拡等を見直しして、消費税減税、インボイス中止、社会保障充実、教育費負担の軽減等を行い、暮らしと営業を支え、格差をただす予算とするよう国に求めるべきです。伺います。
 本区の来年度予算案には、我が党が求めてきた物価高騰に対する支援や、補聴器支給事業の拡充、中小店舗の機械設備購入や店舗改修に助成など、一定の区民要求が盛り込まれたものの、防災を口実にした駅前再開発や、総工費690億円以上が見込まれる豪華庁舎の建設等、大型開発を推進する一方、全公共施設の使用料20%値上げや、区立幼稚園9園の廃園などを推し進めるとしており、区の予算案は開発優先で福祉削減と区民負担増を押し付けるものです。
 4月から飲料や建築資材など新たに1200品目以上の値上げが予定されている中で、公共施設使用料の20%値上げは断じて許されません。施設使用料の値上げは中止し、引き下げこそ行うべきです。伺います。
 区の役割は福祉の増進であり、区民生活を最優先にした予算とすべきです。
 中でも、中小企業支援は待ったなしの緊急課題です。円安と物価高騰などにより、経営が行き詰まり、コロナ禍を上回るペースで倒産件数は増加しています。特に、商店街は非常に厳しく、江東区で1・2を競う砂町銀座商店街や中の橋商店街では、耐えきれずシャッター―を下ろす店舗が相次いでいます。
 区は、事業継続支援を強めるべきです。事務所・店舗への家賃助成を実施するとともにリース料など固定費への補助を行うこと。さらに、商店街のキャッシュレス決済への補助実施を求めます。伺います。
 子育てにかかる費用負担も重くなっており、支援が求められています。品川区や葛飾区に続き、来年度から江戸川区や台東区などが学用品の無償化に踏み出し、墨田区や荒川区などは就学旅行の費用を無料にするとしています。他区にできて江東区にできない理由はありません。学用品や修学旅行等の無償化を実施すべきです。伺います。
 本区はこの5年間で500億円も基金を増やし、3月末時点の基金残高は過去最高2076億円を見込んでいます。区は、庁舎建設基金を創設し毎年35億円、10年間で350億円も新たに積み立てるとしていますが、690億円に及ぶ豪華庁舎でなく防災センターを継続使用して総工費を抑え、ランニングコストなど後年度負担を減らすよう再検討を求めます。
 区民からは悲鳴があがっています。予算を組み替え、暮らし応援型の財政運営に転換すべきです。伺います。
 次に、行革についてです。
 区は、園児減少等を理由に今年度一杯で亀戸第1幼稚園を廃止し、現在16園ある区立幼稚園を3年間で7園にする計画です。
 廃止対象となった区立園の保護者や関係者から「短期間に庁内で勝手に決めて廃園を押し付けることは乱暴すぎる」「共働きでも区立園に預けて働きたい、選択肢を狭めないでほしい」といった声が上がっています。
 区立幼稚園は50年以上にわたって地域に根差し、手厚い支援を必要とする子どもの受け皿として、大事な役割を担ってきました。
 園児が減ったからと言って廃園にするのではなく、公立・私立とも幼児教育の質の向上を図るため、あらゆる支援を行うべきです。特にニーズの高い3歳児保育は全ての区立園で実施すべきです。子育て支援に逆行する、区立幼稚園の廃園は中止するよう求めます。合わせて伺います。
 区は行財政改革と称して、区直営の公共施設の民間委託を推進しています。民間委託されたきっずクラブでは、職員の確保ができず撤退する事業者が相次いでいます。また、委託された塩浜保育園の委託費に占める人件費の割合は、区立直営が8割代に対し6割台と低調、低い処遇のため離職率は区立3%に比べ20%と高く職員の確保や定着が困難な状況となっています。
 財政効率を優先とした民間委託の推進は、不安定雇用や低賃金の労働者を増やし、区民サービスの低下を招いていることは明らかです。民間委託の拡大は中止すべきです。伺います。
 区は、正規職員を減らし続けてきた結果、人口千人当たりの職員数は23区中最下位です。
 来年度からの新たな定員適正化計画では、職員定数の上限はなくされたものの、技能系職員の退職不補充は継続する方針です。
 土木系技能職員はこの10年間で24名から12名に削減されたため、古石場親水公園のポンプ故障で浸水した際に駆けつける職員がいませんでした。道路の補修や消灯した街灯の交換が円滑に行われず、区民サービスが後退しています。また、災害時に現場に急行する職員がいなくなり防災上も危機管理上も問題です。
 技能系職員の退職不補充方針を撤回し、計画的に採用すべきです。伺います。

大綱2点目、防災対策について伺います。
 昨年12月、国は、能登半島地震の教訓や被災者が尊厳のある生活を送ることを目的に定められた国際的基準、所謂スフィア基準等を踏まえ「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針」を改定しました。この指針は、避難所におけるトイレや入浴、食事、居住空間の確保などについて、具体的な基準を示したものであり、江東区としても、改定された指針を基に避難所の生活環境の改善に取り組むべきと考えますが、認識を伺います。
 指針では、避難所におけるトイレの数は、避難者20人に1基と示されています。本区の場合、想定避難者数13万人に対し6500基ほど仮設トイレが必要ですが、約500基しか備蓄がありません。私たちが視察した静岡市では、近年2度の大水害に襲われ、避難所でのトイレの不足が大きな問題になったと伺いました。
 区は、仮設トイレの備蓄の増強、トイレトレーラーの確保など平時から進めるべきと思いますが、見解を伺います。
 避難所における入浴支援についても指針に明記されており、シャワーや仮設風呂を避難者50人に1つ設け、男女別に提供するよう求めています。しかし、現状では区が備蓄している簡易風呂は4基にとどまっています。
 区は、災害時の入浴支援についてどのように考えているのでしょうか。民間企業等と協定を結ぶなど、備蓄の補強と施設確保の取り組みを強化すべきと考えますが、区の方針と今後の対応を伺います。
 指針では、避難所での食事の提供について、栄養バランスを考慮するなど、質の確保を求めています。区は、クラッカーやアルファ米を中心とした備蓄を行っていますが、江戸川区は、昨年9月、約700の事業者からなる「社団法人日本キッチンカー経営審議会」と協定を結び、避難所でキッチンカー等から温かい食事を提供する体制を整えました。江東区においても、関係事業者と協定を結び、質の高い食事の提供を確保すべきです。伺います。
 次に、福祉避難所についてです。
 高齢者や障がい者など災害弱者の避難先となる福祉避難所について、区は、災害時の情報伝達や人的支援、物資等の確保が課題としています。我が党が視察した京都市は、福祉避難所を300以上指定しており、福祉避難所の開設から撤収までに必要な情報を示したガイドラインをもとに、情報伝達手段として衛星携帯電話の確保等に努め、介護団体等と協定を結び人的・物的支援の体制を整備しています。また、市が直接避難の受け入れ可能施設を募集し、受け入れ可能施設とその施設を利用する対象者との間で調整が整ったところから、直接避難を実施しています。
 区は、京都市等の先進事例を参考にして、25指定している福祉避難所を少なくとも倍以上に整備するとともに福祉避難所への直接避難を導入すべきです。伺います。
 次に、住宅の耐震化についてです。
 区は、来年度、木造住宅の除却助成の増額や耐震改修計画の改定を予定しています。現行の計画では、来年度末までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消するとしていますが、2万戸以上未耐震の住宅が残されています。
 住宅の耐震化を進める最大のカギは費用負担の軽減です。以前、耐震改修助成金を増額した際、耐震化が一定進んだ経過があります。また、人件費や建築資材等が高騰しており実情に見合った金額にする必要に迫られています。
 区は、木造住宅やマンションの耐震改修工事助成金を大幅に引き上げるべきです。伺います。

大綱3点目、大規模団地の建て替え問題等についてです。
 昨年12月URは、大島四丁目団地について、令和16年までに、3号棟から5号棟、約千戸を対象とした第Ⅰ期建替え計画にかかる説明会を入居者向けに行いました。しかし、引越しや建替えスケジュールなどの説明については具体性に乏しく、入居者から不安や戸惑いの声が上がっています。また、建替え後の家賃は近隣の家賃と同程度となり、現在8万円の家賃が15万円に引き上がるとの資料が提示され、入居者からは「建替えを契機に追い出すのか」と怒りの声があがっています。さらに、高齢の居住者は、「仮移転と戻り移転と二度の引越しは大きな負担」、「移転先次第では通院や介護サービスなど日々の暮らしに支障をきたす」。子育て世帯からは、「仮移転の際、子どもの学区域が変わるのか」などの声が寄せられています。建て替えに伴う引っ越しは暮らし全般に関わることから大混乱が生じています。住民に寄り添った対応が必要と考えますが、区の見解を伺います。
 入居者は大島四丁目団地に安心して住み続けたいと望んでいます。建替え後も建替え前と同じ家賃とすることや、家賃助成の実施、移転先を近くに確保する等、入居者の暮らしを最優先にし、住民合意を大前提とした計画とするようURに求めるべきです。また、区としても、お部屋さがしサポート事業の拡充、家賃補助などを行い、移転先を確保するとともに、移転先が今の学区域から外れても転校を不要とするなど、住民に伴走型の対応を図るべきと思いますが、伺います。
 大島4丁目団地周辺は、大規模水害時に約5m浸水し20日以上も水が引かない地域となっています。水害から区民の命を守るため、避難スペースの確保や防災倉庫の上層階への設置をURに求めるべきです。伺います。
 建替えにより創出される空地については、不足している特養ホームや障害者福祉施設などが整備できるようURと協議すべきと考えますが、伺います。
 大島四丁目団地以外にも古くなっている団地は複数あり、居住者から「自分たちの団地も建替えが始まるのか」など心配の声が上がっています。しかしURからは何の説明もありません。区内のUR団地建替え計画について、速やかに情報を発信するようURに求めるべきです。伺います。
 UR団地は区内に27団地、住戸総数は約1万6千戸あり、区民の重要な住居の受け皿となっています。しかし、生活難が広がるもとで家賃の高騰が続き、家賃が払えなくなり引っ越しを余儀なくされる方が増加しています。
 URに対し、家賃の値上げは行わないことや、都市再生機構法第25条4項に定められている「家賃の減免」規定を現在の入居者に適用するよう求めるべきです。伺います。
 民間の賃貸住宅でも高家賃が家計を直撃し、家賃のために食費や光熱費等、生活に欠かせない支出を節約せざるを得ない状況が広がっています。
 40代の若者は「家賃の支払いが将来への最大の不安要素。住居がないと生活基盤を維持できない。住宅支援を進めてほしい。」70代の区民からは「年金が増えない中で、家賃の負担が重すぎる」といった声が寄せられています。
 区民生活を支えるため、民間の賃貸住宅で暮らす低所得の若者や高齢者に対し、家賃補助を行うよう求めます。伺います。

大綱4点目は介護問題についてです。
 物価高と人材不足が深刻化する中、介護サービスの提供が困難であるとの声が多く寄せられています。特に昨年、訪問介護の報酬が削減されたことで、訪問介護事業者が相次いで倒産する等、介護崩壊が進んでいます。
 私たち共産党区議団には、「経営が厳しい」「介護が必要なのに受け入れ先がみつからない」「引き受けたくても職員不足」といった声が寄せられています。
 区は「報酬改定について介護現場から意見は届いていない」と冷たい答弁に終止していますが、実態に向き合い、介護崩壊を防ぐ取り組みを強化すべきではないですか。伺います。
 昨年12月、世田谷区は苦境に喘ぐ介護事業者を支えるため、区独自に給付金を支給、訪問介護事業所に対しては1事業所当たり88万円が支給され、現場から「助かった」という声が上がっています。江東区としても給付金を支給すべきです。伺います。
 今、介護保険の充実こそ必要です。しかし国は、保険料徴収年齢の引き下げ、利用料2割負担の対象者拡大、ケアプランの有料化、要介護1、2の保険はずしなど、全世代に負担を押し付け、必要な介護を奪う大改悪を狙っていることは許されません。
 介護の再生を求める有識者や団体は、公費負担割合を50%から60%に引き上げることを強く要求しています。
 介護保険改善のため、区内介護の現状を把握して、公費負担割合の引き上げと制度改悪中止を国に求めることこそ、住民に最も身近な自治体としての責務ではないですか、区の見解を伺います。
 次に、介護人材の確保についてです。
 公共財団法人介護労働安定センターの調査によると、7割近くの介護施設が慢性的に職員の不足を感じており、そのうち9割が「採用が困難である」と回答。区内でも「人手不足で利用者を断っている」「採用しても定着しない」といった声が上がっています。
 介護人材が確保できない要因は、全産業平均給与と比べ約5万円も低い給料と長時間労働など低賃金・低処遇です。
 外国人の登用や介護ロボットなどを活用して人材不足に対応するとしていますが、それでは事態の根本解決にはなりません。
 保険料が上がらないよう、介護報酬とは別枠で介護職員の処遇を改善するよう国に求めるべきです。伺います。
 区は、最大8万円の家賃補助行う宿舎借り上げ支援事業について、「事業の周知やヒアリングを行い利用勧奨に努める」と答弁してきましたが、十分な周知が行われていないため、事業を知らない事業者が多く残されています。
 事業者向け専用サイト・ケアクラブへの掲載回数を増やすことや、法人あてに事業の案内を発送するなどして、利用拡大を図るべきです。伺います。
 最後に介護保険料の滞納差し押さえ問題についてです。
 来年度から区は、介護保険料の収納率向上として、財産の調査や差し押さえを行うとしています。
 介護保険料滞納者2900人のうち約1100人は非課税世帯の方で滞納者の多くは低所得世帯です。そもそも介護保険は、保険料を滞納すると利用制限が課せられます。そこに加えて、差押えが行われれば、暮らしに深刻な影響を及ぼすことは明らかです。これまで差し押さえ実施してこなかったのも暮らしを壊す恐れがあるからではないですか、差押えの検討・実施は中止すべきです。区の答弁を求め、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 赤羽目たみお議員のご質問にお答えいたします。
 はじめに、来年度予算案と行財政改革についてのうち、区民の暮らしの声の受け止めについてですが、物価高騰の影響が区民生活にも及んでいる状況は認識しており、これまでも中小企業支援や高齢者・子育て世帯への支援など、様々な施策を展開してまいりました。7年度においても、国の交付金を活用した物価高騰対策を行うこととしており、今後も区民や区内中小企業等の声に耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
 次に、国の予算案についてですが、国の7年度予算案では、国民の生活を支える社会保障費が歳出全体の3分の1を占めており、社会保障費の財源ともなっている消費税減税などを本区から要望する考えはありません。
 次に、施設使用料の値上げ中止についてですが、人件費高騰などにより施設の維持管理経費が増加している状況等も踏まえれば、一定の受益者負担は必要と認識しており、6年度末で特例的措置を終了するという方針を変更する考えはありません。
 次に、区民生活を守る施策の拡充についてのうち、事務所等への家賃助成、固定費の補助については、既にエネルギー価格高騰対策補助金をはじめ、様々な支援策を実施しております。また、キャッシュレス決済については、キャッシュレス化を促すために端末機器導入に関する補助を実施しており、今後も継続する予定です。
 学用品や修学旅行等の無償化につきましては、本区では経済的に困難な世帯に対し実施している就学援助の対象としていること、また、学用品費については使用教材等の見直しにより、保護者負担の軽減にも取り組んでいることから、現時点では全ての世帯に対する無償化を導入する予定はございません。
 次に、暮らし応援型の財政運営への転換を図ることについてです。
 区では7年度予算において、物価高騰対策や高齢者・障害者施策、子育て支援の充実等に取り組み、その財源として基金を259億円取り崩すなど、区民生活を支える予算であると認識しており、組み替える考えはありません。
 次に、区立幼稚園の閉園についてです。
 「江東区立幼稚園の今後のあり方に関する基本方針」については、適正配置や今後の取組について、状況の変化や保護者のニーズなどにより、必要があれば見直すこととしておりますが、園児数の減少が見込まれるため、閉園をすべて中止することについては考えておりません。
 次に、民間委託の中止についてですが、本区では、健全な労働環境が確保されるよう、公共施設の設置者として、指定管理者を対象とした労働モニタリング等を実施しているところであり、今後とも、効果的・効率的な行政サービス提供のために、アウトソーシングの活用を図ってまいります。
 次に、技能系職員の計画的採用についてです。
 技能系職員の退職不補充方針を撤回すべきとのお尋ねですが、災害時の対応については、民間協力会社等との協力体制が構築されていることに加え、緊急時には土木部全体として対応する体制としていることから、定員適正化計画における技能系職員の退職不補充を見直す考えはありません。

 次に、防災対策についてのご質問のうち、改定された国の指針に基づき、避難所の生活環境の改善に取り組むことについてです。
 区では、能登半島地震の発生を受け、備蓄の質・量の充実など、迅速に取り組んでまいりました。また、今般の国の新たな指針を踏まえ、トイレの確保・管理、食事の質や生活空間・生活用水の確保など、避難所の生活環境の更なる改善に取り組んでおります。なお、令和7年度は、避難所管理運営マニュアルを見直し、必要な環境整備について検討していく考えです。
 次に、避難所におけるトイレ問題についでです。
 区では、地域防災計画上、発災当初は避難者約50人当たり1基、その後は約20人当たり1基の災害用トイレを東京都と連携して確保することとしており、これまで、仮設トイレに加え、避難所の洋式トイレの利用を想定した携帯トイレの備蓄やマンホールトイレの整備を進めてまいりました。
 なお、トイレトレーラーの導入については、能登半島地震の被災地において、水の補給や汚水の排水が難しいなど課題もあり、現時点では考えておりませんが、避難所管理運営マニュアルの改定を行う中で、更なるトイレの確保・管理のあり方について整理してまいります。
 次に、災害時の入浴支援についてですが、避難者の健康維持やストレス緩和などの点から、入浴機会の確保は重要であると認識しており、組立式のシャワー及び浴槽の備蓄を行っているほか、発災直後の衛生面の維持を図るため、今年度は防災用ウェットシート約 17万個を新たに備蓄いたしました。区では、国の指針を踏まえ、更なる入浴環境の整備に向け、現在、入浴設備を持つ事業所との連携を視野にヒアリングを開始しております。
 避難所における質の高い食事の提供につきましては、国の指針においてキッチンカーの活用が示されていることから、他の自治体の取組を参考に、キッチンカーの業界団体と協定締結に向けた協議を既に進めているところです。
 次に、福祉避難所についてです。
 まず、福祉避難所の整備についてですが、これまでも新たな協定の締結へ向けて福祉関連施設と意見交換や調整を行っており、福祉避難所の確保へ向けて取り組んでいるところです。
 また、直接避難については、受け入れ施設の状況などから、現時点では実施困難な状況にあるため、各施設と協定内容の見直しを行っていく際に、施設利用者等の直接避難のあり方についても検討してまいります。
 次に、住宅耐震化の促進についてです。
 木造住宅の耐震改修助成については、老朽化が著しいなど耐震改修が困難なケースが多いことから、まずは除却費用の助成上限額を増額し、費用負担の軽減を図ることといたしました。
 また、マンションの耐震改修助成については、合意形成や意欲醸成が課題であり、その支援に注力しているところです。
 今後も、人件費や建築資材等の高騰への対応を含め、耐震化率の向上に資する効果的な方策について、国や都、他自治体の状況を参考にしながら、研究してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、大規模団地の建て替え問題などについてのうち、区民に寄り添った対応を行うことについてです。
 UR大島四丁目団地建替え計画については、現時点では建替え計画の初期段階であり、居住者への説明は概略的な説明となっているものと聞いております。
 区としては具体的な建替えスケジュールや引越し、家賃など計画がまとまり次第、入居者に対して丁寧な説明を行い、理解を得るよう求めているところです。
 また、建替え後の家賃については、URは法律を基にした算出方法により家賃を設定するため、URに対し、家賃に関する働きかけや、入居者への家賃補助は考えておりません。
 移転先についても、URは、通院や通学先を含めた団地居住者の現状や希望を調査し、近隣のUR団地のあっせんなど居住者ニーズに寄り添った対応を行う方針であり、区として移転先の確保を行う考えはありません。
 区としては、移転に伴う入居者への周知や分かりやすい説明が必要であると認識しており、URに対して、伴走型の対応をするよう求めているところです。
 次に、水害対策として避難スペースの確保や防災倉庫を上層階に設置することについてですが、江東区浸水対応型まちづくりビジョンに基づき、避難デッキ等の地域住民のための避難スペースや、備蓄倉庫の上層階設置を求めており、また、マンション建設条例により、入居者避難のための集会所を3階相当の高さ以上に設置するなど水害時対応を指導しているところです。
 次に、建替えにより創出される空地活用をURと協議することについてです。
 団地の建替えは現段階では概略的な計画であり、新たな空地の有無については承知しておりませんが、福祉施設などについては周辺地域の人口動態や区民ニーズを総合的に勘案し、必要性について検討してまいります。
 次に、区内のUR団地の建替え計画を区民に発信するようURに求めることについてですが、平成年にUR賃貸30住宅ストック活用・再生の方針が示されているものの、現段階において大島四丁目以外の大規模団地では具体的に確定した計画はないとのことですが、区としては、計画確定後の速やかな情報発信を求めているところです。
 次に、URに対し家賃の値上げは行わないこと等を求めることについてですが、URは家賃の設定を含め、公的機関として法律に基づき政策的に賃貸住宅を運営していることから、家賃引き上げを行わないよう求めることは考えておりません。
 次に、民間賃貸住宅居住者への家賃補助の実施についてです。
 区では低所得の区民に対しては、区営住宅の整備・運営や都営住宅の申し込み案内を行っているほか、住宅確保に特に配慮を要する高齢者等へのお部屋さがしサポートによる入居支援や、賃貸借契約の契約金の一部助成を行っております。
 そのため、現段階で区からの家賃補助を行う考えはありませんが、引き続きお困りの区民に寄り添い、住宅確保に向けて取り組んでまいります。

 次に、介護問題についてのご質問にお答えいたします。
 まず、介護崩壊を防ぐ取り組みの強化についてですが、本区における訪問介護事業所の状況は、令和6年4月と令和7年1月現在で事業所数を比較すると、4事業所増えている状況であります。
 介護事業者への支援としては、介護事業者が負担と感じている人材確保、定着支援について、採用活動費補助や資格取得助成、職員研修等を行うなど、区民に安定的な介護サービスが提供し続けられるよう努めております。今後も後期高齢者の人口増加に伴い介護サービスの需要も増加が見込まれるため、引き続き介護事業者との意見交換を行い、よりよい介護サービスの運営が可能となるよう努めてまいります。
 また、江東区としての給付金支給については、物価高騰に対する緊急的な支援として、都と連携してすべての介護事業者を対象とした補助金支給を実施しており、現在のところ区独自の給付金を支給する考えはありません。なお、報酬減を補う支給については、国が実態把握を行ったうえで対応するものと認識しております。
 次に、公費負担割合の引き上げと制度改正中止を国に求めることについてですが、区が実施した在宅介護実態調査の結果を踏まえ、国に対する介護保険料の抑制や、負担割合の引き上げなども含め、介護保険制度の充実について、全国市長会、特別区長会を通じて、毎年、国へ要望しているところであります。
 次に介護人材の確保についてです。介護職員の処遇等の改善について、国は、令和7年2月7日に令和6年度介護人材確保・職場環境改善事業等の実施について各都道府県に通知しました。この事業は、国が介護事業者に対し、人材募集や研修などの職場環境改善経費と人件費の改善に充てる手当など、12月に遡って補助する事業です。本区としましては、この事業の周知に努めるとともに、引き続き国の動向を注視してまいります。
 また、宿舎借り上げ支援事業につきましては、住宅費負担の軽減等を目的に、都が対象としない事業所を区がカバーする形で家賃補助を実施しており、周知につきましては、専用サイトおよび区ホームページへの掲載に加え、介護事業者団体に周知協力を依頼するなど、周知強化を図っているところです。今後も事業周知に努めるとともに、事業者のニーズに応じた支援策を研究してまいります。
次に介護保険料の滞納差し押さえ問題についてですが、保険料を2年間滞納すると時効となり、時効となった保険料は納められなくなります。その結果、滞納期間に応じて、介護保険サービス利用時の利用料が1割負担から3割負担になるなどの給付制限が発生することから、不利益を受けることのないようお知らせをするとともに、滞納者へ保険料の督促を行っているところです。
 なお、低所得世帯の方には、分納相談を実施するなど、区民に寄り添った対応をしてまいりますが、庁内に設置している区税等収納対策本部会議にて、昨年度決定した方針を受け、高額所得の方には、財産調査等を実施し、滞納処分を実施してまいります。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , , | コメントする

西垣誠議員、米沢和裕議員、星野博議員の公選法違反に伴う有罪判決について

 本日、東京地方裁判所は、2023年4月23日に執行された江東区長選挙をめぐって、元自民党衆議院議員・柿沢未途氏(公職選挙法違反<買収>など)・有罪確定)から、現金を受領して被買収容疑で起訴されていた西垣誠議員、米沢和裕議員、星野博議員に対し、罰金20万円、追徴金20万円の有罪判決を下しました。
 この間、江東区議会は、日本共産党の提案で3会派共同による3名の辞職勧告決議案を提出し、賛成多数で可決してきました。
 今回の事件は、公平・公正な選挙を汚し、区民の信頼を失墜させ、政治不信を増大させました。
 西垣誠議員、米沢和裕議員、星野博議員は、罪を認め、ただちに区議会議員の職を辞するべきです。
 日本共産党江東区議団は、汚職や不正を許さず公正・公平でクリーンな区政の実現に向けて引き続き全力を尽くします。

2025年4月16日
日本共産党江東区議団

カテゴリー: お知らせ | コメントする

区議団ニュース2025年1月号


暮らし・福祉最優先の江東区へ
第4回定例区議会が、11月27日~12月17日の会期で開かれ、本会議では、日本共産党区議団を代表して正保みきお議員が質問に立ちました。

  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 2025年度江東区予算 400項目の要望書を提出
  • 第4回定例会委員会論戦 区民の願い届け奮闘
    ・地域の子育て支援団体に区として助成・支援を すがや俊一議員
    ・誰もが気軽にスポーツができる環境づくりを 西部ただし議員
    ・保育所や介護施設等の運営費補助が実現 さらなる物価高騰対策を 赤羽目たみお議員
    ・特別支援学校の増設を 陳情の採択を求める 正保みきお議員
  • 国民健康保険料の負担軽減を 来年度保険料 区が引き下げの方向を示す
  • 共産党提案 企業・団体献金禁止を求める意見書 ―自民・公明・国民・維新・参政・都民ファ等が反対―
  • 江東区版パートナーシップ制度の導入 自民・維新・参政・国民などが反対・先延ばし
  • 千田区議(維新)への辞職勧告を求める陳情が不採択
  • UR大島4丁目団地建替え契機に ―大島4丁目のまちづくり―
カテゴリー: 区議団ニュース | タグ: , , , | コメントする

区議団ニュース2024年11月号


物価高騰、医療介護の負担増から区民の暮らし守る区政に
第3回定例区議会(9月19日〜10月21日)が開かれ、9月19日の本会議では日本共産党区議団を代表して、赤羽目たみお議員が代表質問を行いました。9月20日の継続本会議では菅谷俊一議員が本会議質問を行いました。

  • ためこみでなく暮らし支える財政運営に転換を
  • 拠点避難所の食料備蓄を1日分から2日分に増強へ
  • 第3回定例会委員会論戦
    ・中小企業への手厚い支援が急務 すがや俊一議員
    ・区民に寄り添った住民税の収納対策を 赤羽目たみお議員
    ・後期高齢者の医療負担軽減を すがや俊一議員
    ・区立幼稚園9園の廃園計画再考を求める意見続出 正保みきお議員
    ・樹冠被覆率の向上で温暖化対策を 西部ただし議員
    ・令和5年度区決算 区民の暮らし困窮のなかで基金2006億円
    ・日本共産党提出の意見書に自民・公明などが反対
  • 区が補聴器助成拡充を検討=日本共産党都議団=都に助成求め実現
  • エアコン設置助成を検討 未設置の高齢者世帯などに
  • 区内18ヶ所目の特養ホーム開設へ 待機者1168人 さらなる増設を
カテゴリー: 区議団ニュース | タグ: , , , | コメントする

2024年第4回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について伺います。

  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 新庁舎建設について
  • 子育て支援について
  • 障害者施策について

大綱の第1は、来年度予算編成と行財政運営についてです。
 安倍政権以降の11年間で、実質賃金が年間33万円減少し、年金も7.8%減額されてきました。同時に、消費税増税とインボイスの強行、医療・介護保険料の負担増などが繰り返されてきたもとで、現在物価高騰の最中です。10月には食品の値上げが2911品目など、年内最大の値上げラッシュとなっています。また、電気料金やガス料金の12月請求分からの値上げ動向など、区民生活はかつてない困難に直面しています。区の景況調査においても「景況悪化」が続いており、商店街は閉店する店舗が増加し、町場の建設業や印刷業などの廃業が続いています。区民の暮らしと中小業者の実態、今後の見通しについて、認識を伺います。
 このような中で、本区の来年度予算の編成方針は、「次なる飛躍と成長の基盤を築くための予算」を掲げていますが、何よりも、「物価高騰に苦しむ区民の暮らしと営業を支える予算」とすべきではありませんか。伺います。
 日本共産党区議団は、区政に対して、幅広い区内団体や区民から寄せられた400項目に及ぶ要望を来年度予算要望書として纏め、区長に提出いたしました。以下、緊急切実な施策の実現を求めるものです。
 高すぎる国民健康保険料、介護保険料の引き下げ、ひとり親等世帯・0~2歳児の第1子保育料の無償化、学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化、給付型奨学金の拡充、高齢者重度介護手当、心身障害者福祉手当の新規65歳以上の支給、マンション及び木造住宅耐震化助成の拡充を求めます。特に、中小企業・小規模事業者への支援は待ったなしです。原油価格・物価高騰対策資金融資の延長、エネルギー価格高騰対策補助金の継続実施、事務所・店舗への家賃助成、店舗改修費補助金の対象拡大、地域域活性化のための住宅リフォーム助成の実施を求めます。本区の商工振興予算は、予算総額の1%にも満たないものです。地域経済の主役に相応しい抜本的な中小企業予算の増額と支援の強化が必要です。合わせて、伺います。
 本区では、コロナ禍にあった令和元年度から5年間の決算余剰金は493億円にも上り、基金にためこまれました。今年5月末時点の基金総額は2006億円に達し、全国1741区市町村のなかで第5位の残高があるなど、潤沢な財源があります。ため込み型ではなく、区民の暮らしを支えるための施策に思い切って活用する財政運営とすべきと考えますが、伺います。

 民間委託についてです。
 区は、「民間でできることは民間で」「経費削減」だとして、公共施設の民間委託を進めることで職員の削減をおこなってきました。この間、民間委託した保育園やきっずクラブでは、受託業者が、職員を配置していないにもかかわらず、水増し請求して補助金を不正受給するという事件が相次いで発生しています。民間委託は、結局、低賃金で人が集まらず、区民サービスの低下をもたらしています。不安定雇用、官製ワーキングプアを増大させる民間委託は中止すべきです。伺います。

 公契約条例についてです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契条例が全国に広がっています。23区では、13区で実施されています。区は条例制定の求めに対し、「適正な労働環境の整備は、国の労働法制の中で対応すべきもの」と答弁してきましたが、昨今の建設業界等の人手不足、地域の担い手の育成など、労働環境を整備し、事業者にとってもいい人材を確保しやすい環境を支援していく必要性があると思いますが、区の見解を伺います。
 また、自治体の契約相手である事業者に対して、最低賃金法の地域別最低賃金を上回る賃金の支払い義務を条例に規定することは、法的に何ら問題はないもの」と考えますが、区の認識を伺います。

 区立幼稚園の廃園についてです。
 区は、区立幼稚園の園児数減少と園児一人当たりの経費が増大することなどを理由に、今後年3間で9園を廃園し、現在の16園を7園に減らす方針です。
 突然の廃園計画に対し、保護者や関係者、地域住民から「閉園ありきでなくどうしたら存続できるか考えてほしい」「歩いて行ける距離に必要」「一旦立ち止まって再考を」などの声が相次いでいます。区立幼稚園は、支援が必要な子どもたちの受け皿になっており、一人ひとりの子どもに応じた幼児教育の質の向上を図っていくべきです。区立元加賀幼稚園が廃園となれば、白河・富岡地域には区立園がなくなり、森下からほかの区立園まで5キロの道のりを通わなければなりません。地域の中で保護者が選択できる公立と私立のバランスのとれた適正配置こそ必要ではないでしょうか。区立幼稚園の廃園方針の撤回を求めます。伺います。

大綱の第2は、新庁舎建設について伺います。
 区役所本庁舎は、建設から50年が経過し、施設の老朽化に伴い、今後、多額の維持・補修経費が見込まれています。まず、新庁舎建設の必要性について伺います。
 2020年(令和2)に、「江東区長期計画」において、本庁舎建て替えへの検討が明記され、現在、区民・学識経験者・有識者等の意見を取り入れた「新庁舎建設基本構想(素案)」が示されました。新庁舎建設については、豪華庁舎ではなく、シンプルで質実と実用性を重視し、長期的視点に立った無駄のない経済的合理的なものとすべきと考えますが、基本的な考え方について伺います。
 同素案は、新庁舎建設用地として、現庁舎敷地に防災センター及び文化センター敷地を加えた敷地を位置づけ、新庁舎と防災センター、文化センターとの一体的な整備を前提に検討をすすめるとしています。しかしながら、防災センターは築19年しか経っておらず、しかも十分な耐震性が確保され、災害情報システム等、防災センターとしての機能維持が確保されています。
 また、本区公共施設等総合管理計画では、寿命65年以上に向け、公共施設の長寿命化を推進しています。区民からも、「築19年で解体するのはもったいない」との声が寄せられており、防災センターを含めた新庁舎の一体的な建替えは、多くの区民の理解は得られません。
 また、首都直下地震がいつ起きてもおかしくないと言われる中で、切れ目のない災害対応も必要です。加えて、防災センターには、危機管理課や防災課、土木部、障害者施策課、区民課等が置かれ、現在237人の職員が勤務しており、仮庁舎を減らし、事業費を大幅に削減することができます。区民の共有財産である防災センタービルは、建替えずに継続して使うべきです。同時に、水害対策として、電気・発電室を上層階に移すなど、機能強化することを提案するものです。合わせて見解を伺います。

 次に、庁舎の規模と複合化についてです。
 基本構想素案では、現段階の庁舎規模を、約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい等の機能は含まれていません。飲食や物販等の利便機能との複合化によって、規模が大きくなり、現時点で690億円の概算事業費がさらに膨大になるのではありませんか。
 また、市街地再開発事業の枠組みを活用した商業施設との複合化は、キーテナントの撤退など全国体にも大きな問題となっています。総事業費との関係を含め、庁舎の規模と複合化について、伺います。
 区民の共有財産である新庁舎建設の事業手法については、区民や議会の意向が反映しやすく、区内中小企業も参加しやすい従来手法で行うのが相応しいと考えます。そうしてこそ、新庁舎建設を通じて、江東区に誇りと愛着が湧いてくるのではないでしょうか。伺います。

大綱の第3は、子育て支援について伺います。
 まず教育費負担の軽減についてです。
 「小学校入学前にそろえる体操着や上着、粘土など、非常にお金がかかって大変」「入学後も、鍵盤ハーモニカや絵の具セットなどの負担が重い」という声が保護者から寄せられています。文科省の学習費調査では、小学校で年間6万5000円、中学校では13万円以上の費用がかかるとの結果も出ています。授業に必要なこれら学習用具の費用負担の重さについて、認識を伺います。
 区教委は、「原則、区立小中学校の義務教育では授業料の無償が法で定められている」が、学用品費等については「児童・生徒にその利益が直接還元されるもの」「学校、家庭の両方で使える」として、保護者が担うべきとの考えを示してきました。
 いま、全国各地で、学用品費等の無償化が広がっています。23区内では、品川区が区立小・中学校の児童・生徒が使用する学用品を今年度から全額無償化し、葛飾区では、修学旅行や宿泊を伴う移動教室、副教材等を来年度より無償化します。これら学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化は、違法ではなく、自治体の判断で実施できるものと思いますが、認識を伺います。

 子どもの朝の居場所づくりについて伺います。
 共働き家庭の増加により、「小1の壁」の打開が重要な課題となっています。登校時間より早く保護者が出勤をしなければならない家庭の子どもたち、とりわけ、小学校低学年児童の朝の居場所づくりが必要と考えますが、認識を伺います。
 三鷹市の小学校では、朝7時半から始業までの約1時間を校庭開放し、開門や見守りを業者に委託して対応しています。八王子市では、朝の校庭開放によって、子どもたちの開門待ちが解消し、「遊びたいからと早起きする子が増えた」「遅刻が減少した」「不登校気味だった子も来るようになった」など、保護者や教職員からも好評だそうです。
 本区においても、校庭開放など、朝の登校前に子どもたちが安心して過ごせる居場所の確保について検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 児童相談所の整備についてです。
 今年10月、「江東区児童相談所基本計画」(素案)が示されました。施設整備方針では、6年後の2030年度(令和12)に、潮見2丁目の区有地に本区児童相談所を開設するとしました。
 本区の児童相談所開設の基本的な考え方について、伺います。
 児童相談所の開設にあたっては、児童相談行政を的確に担い得る知識と技術を確実に習得した職員体制の整備に向けて、計画的な人材の確保・育成が必要となっています。
 児童福祉司が32名、児童相談所の職員が100名程度、こども家庭センターの職員が50名程度、一時保護所の職員が50名程度、合わせて200名の人材が必要です。計画通り開設できるよう、職員の確保・育成については、詳細な年次計画を作成して進めることが肝要と考えますが、取り組みの現状と今後の見通しについて伺います。
 とりわけ、スーパーバイザーができる経験5年以上の人材確保や、開設5年後に開設メンバーが一斉に移動時期になることへの対策が必要と考えますが、見解を伺います。
 児童養護施設など児童相談所での一時保護後の受け入れ先確保については、里親を急激に増やすのは困難であり、地域の社会的養育を支える専門的な拠点が必要と考えます。
 しかしながら、本区には、乳児院や児童養護施設が一つもありません。東京東部地域にも少ないのが現状です。区として、大規模なものではなく、グループホーム的な小規模かつ地域に複数配置することも含め、社会的養育の施設整備を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

大綱の第4は、障害者施策について伺います。
 障害者入所施設の整備についてです。
 いま、親なき後も安心して地域で暮らせるための環境づくりが求められています。
 昨年4月、塩浜2丁目に区内初の障害者入所施設が開所しましたが、施設入所の定員45名に対し、3倍の133名が応募し、多くの人が入所できませんでした。
 障害のある子どもと同居されている親の中には、自ら高齢になり、子どもの将来を考えて「入所施設」の空きを待ちながら過ごしています。
 強度行動障害を持つ家族は、自宅での介助が難しくなり、都内や近県で重度の知的障害者の入所施設やグループホームを30か所以上見学して回りました。
 しかし、どこも満員で待機者がいる状態。障害特性への対応は職員の負担が大き過ぎることから、「空きが出ても受け入れは無理」と断られました。今は、青森の施設で暮らし、お母さんが片道5時間かけて会いに行く生活をされています。「近くに託せる場所を」これが家族の願いです。
 区は、こうした障害のある人やその家族が、希望する住まいが確保できていると認識しているのか、伺います。また、先の決算委員会で、「入所施設やグループホームの待機者数を把握すべき」との私の質問に対し、「待機者の定義がないので困難」としましたが、これでは、自治体としての責任が果たせないのではありませんか。世田谷区では、ケースワーカーの家庭訪問の際に、入所施設やグループホーム等への入居希望や生活状況を把握しています。
 待機者数とその実態を把握し、支援につなげるべきと思いますが、合わせて伺います。
 障害者支援法は、どこで誰と生活するかといった障害者の選択の機会の確保を基本理念としています。障害者が選択できる暮らしの場を、量・質ともに充実させることは区政の重要課題です。重度の方も含め、障害者が安心して暮らせるよう入所施設の増設、グループホームの整備目標を引き上げるべきです。伺います。
 同時に、障害者の高齢化や重度化に対応するための受け入れ体制の整備も待ったなしです。グループホームの運営事業者は、「募集しても職員を確保できない」との悩み、現場では「基本報酬を抜本的に引き上げることなしに、安定した運営はできない」との声が上がっています。国に対し、報酬の改善を強く求めるとともに、都に対し、処遇改善のための居住支援特別手当の拡充、経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきです。伺います。
 物価高騰支援についてです。
 物価高騰と光熱水費等の値上げが事業所の経営を圧迫しています。通所作業所では、自主製品づくりの原材料が上がり、利用者工賃に影響が出ています。放課後等デイサービスを含め、すべての障害者福祉サービス事業所への物価高騰緊急支援を求めます。伺います。
震災等緊急時の対応についてです。
 先日、障害児・者団体が、区の所管課長さんを講師に招き、「みんなの防災、誰も取り残さないために」というテーマで、区民のつどいを開催しました。そのなかでの質問の多くが「ダイレクトに福祉避難所に行けないのか」「一時避難所では子どもの体力やメンタルへの負担が大きい」など、福祉避難所への直接避難を求めるものでした。障害者や高齢者などを受け入れるための「福祉避難所」指定施設が災害時、いつでも力を発揮できるよう受け入れ態勢構築への支援を強めるべきと思いますが、伺います。また、区の防災や災害時の避難などの計画づくりに、障害当事者の参加を位置づけるべきと思いますが、見解を伺います。

(再質問)
 再質問します。一つは、景気の認識についてです。区は「ゆるやかに回復」していると答弁しましたが、区内中小企業の実態は、未だ物価高騰等の影響の中で、苦難の最中にあり、年を越せるかどうか眠れない毎日を過ごしています。地域の中小業者の実態について認識が甘いのではないか。再度答弁を求めます。
 もう一つは、新庁舎建設です。基本構想素案では庁舎規模を約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい施設等の機能は含まれていません。このような利便機能との複合化によって、現時点で690億円の総事業費がさらにふくらむのではないのか。総事業費との関係を含めた規模と複合化の考えを聞いたが、総事業費との関係の答弁がありませんでした。再度答弁を求めます。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。
 はじめに、来年度予算編成と行財政運営についてです。
 まず、区民生活の実態と来年度予算についてですが、物価高騰の影響が区民の暮らしや中小企業に及んでいる状況は認識しており、区ではこれまでも区民生活を支える取組みや中小企業支援を適切に実施してまいりました。
 国の月例経済報告では雇用・所得環境が改善している状況にあるとされ、経済は緩やかな回復基調にあると認識しておりますが、今後については海外景気の下振れが景気を下押しするリスクであると考えております。
 次に、区民の暮らしと営業を支える予算にすべきとのお尋ねですが、本区ではこれまでも区民生活を支える福祉施策などに多くの予算を配分しており、令和7年度予算においても、引き続き、現行施策の充実や新たな施策展開を図る考えです。
 次に、緊急切実な施策の提案についてのうち、区民からの要望に応えた予算とすべきとのお尋ねですが、社会情勢や区民ニーズの変化に対応するとした予算編成方針に基づき、区民ニーズを捉えた施策を推進してまいります。
 また、中小企業・小規模事業者への緊急支援等については、これまでも経済状況等を鑑み、制度融資における特別資金やエネルギー価格高騰対策補助金など、時機を逸することなく対応してまいりました。引き続き、国や都の動向とともに、物価やエネルギー価格等の状況も踏まえ、必要な支援を検討してまいります。
 次に、基金の活用についてですが、区はこれまでも福祉施策や防災対策など、各施策の実施に基金を適切に活用してまいりました。引き続き、安定的に区民サービスを提供するため、将来を見据えた財政運営に努め、基金についても適切な活用を図ってまいります。
 次に、民間委託についてですが、指定管理者制度も含めた民間委託については、アウトソーシング基本方針に基づき、区の実施と同等以上のサービスを効率的に提供される場合に推進することとしており、単なるコスト削減を目的としたものではないことから、中止する考えはありません。
 次に公契約条例についてですが、建設業界をはじめ、人手不足の影響が出てきていることは認識しており、区としては、これまでも債務負担行為を活用した工期の平準化などに努めております。また、10月からは一部に電子契約の導入を進めることで事務負担の軽減を図っており、今後、このような人材確保に資する取り組みは一層重要になっていくものと考えております。
 また、最低賃金を上回る賃金を公契約条例に規定することについて、国は過去に「内容によるものの最低賃金法上の問題はない」との答弁をしていますが、本区では一定の労働環境の確認を行っており、労働環境整備は国が一義的に対応すべきであるため、現時点で制定の予定はありません。
 次に、区立幼稚園の廃園についてですが、基本方針においては、園児数減少のなかでも、幼稚園における幼児教育への期待に応えていくため、私立幼稚園を含めて地域バランスを考慮した配置となるよう計画しております。
 また、存続園に特別支援教育専任コーディネーターを配置し、支援が必要なこどもの全区的な受け入れ態勢を整備することから、方針を撤回する考えはございません。

 次に、新庁舎建設についてのご質問にお答えします。
 まず、必要性についてです。
 本区庁舎は建設から50年以上が経過し、建物・設備ともに経年劣化が進行していることに加え、浸水リスクへの対応や狭隘化に伴う窓口機能の分散など課題が多岐にわたり、部分的な改修ではこれらの課題を根本的に解決することは困難となっております。そのため、新庁舎建設の必要性については、公募区民等も含む新庁舎建設基本構想策定会議においても、将来の区民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには必要であると整理されたところであります。
 次に、基本的な考え方についてです。
 庁舎を含め全ての公共施設については、必要かつ十分な機能を持ちつつ、経済的・合理的なものであるべきと認識しております。そのため、ライフサイクルコストの低減も含め、経済的・合理的な庁舎となるよう、建設基本構想においても5つの基本理念の一つとして「長期的な財政負担に配慮するとともに時代の変化に柔軟に対応するかわりつづける庁舎」を掲げているところです。
 次に、防災センターについてです。
 防災センターは竣工以来、大規模な改修は未実施な状況であり、新庁舎建設後の概ね10年後には、改修の適期を迎えることとなります。改修には一定の費用を要することが見込まれる一方、電気室・発電気室を上階に移す防災対策については、建物の構造耐力上、現在の機能を維持したまま実施することは困難であると認識しております。
 また、本庁舎と防災センターを今後も別棟としていくことは、大規模災害発生時の災害対策本部機能として、多くの課題を後年に残すものであり、新庁舎が具備すべき危機管理上の機能を鑑みると、防災センター機能を内包し、一体的な運用が可能な庁舎整備が必要であると考えております。
 次に、規模と複合化についてです。
 まず、規模についてですが、新庁舎は行政サービスを効率的かつ効果的に提供していくほか、区民の憩いや活動のための場所となることも目指しております。
 このため、にぎわいの創出にもつながる機能を一定程度備えることは必要であると考えております。
 また、複合化については庁舎機能との親和性を重視した検討が必要である一方、歳入歳出を含めた事業費への影響も踏まえながら、検討を進めてまいります。
 次に、事業手法についてです。
 従来手法は、設計の際に区民や議会の意向を反映しやすい利点がある一方、民間に委ねることで創出できる効率性を発揮できない傾向にあります。一方、官民連携手法は民間ノウハウの活用の幅は広がりますが、契約が複雑化し、契約準備期間が長期化するといった傾向にあります。そのため、事業手法については、様々な手法を比較検討しつつ、最適な手法を選択してまいります。
 庁舎整備にあたっては、建設基本構想に定めた基本方針に基づき、「多様な区民が交流する場」となるよう、今後もワークショップ等、様々な区民参加の機会を通じて、区民とともにつくる、区民に親しまれる新庁舎となるよう検討を進めていく所存であります。

 次に、子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、教育費負担の軽減についてです。学用品については、児童・生徒個人の所有物で、学校と家庭のいずれでも使用でき、その利益が直接児童・生徒に還元されるものとして、各家庭での購入としておりますが、保護者の負担を軽減するため、必要な使用教材等の見直しに取り組んでおります。
 学用品費等については義務教育の無償制度の範囲ではありませんが、修学旅行費や副教材費を無償化する自治体があることは認識しております。本区では、これらの経費を経済的に困難な世帯に対する就学援助の対象としており、これらの無償化については制度として実施する予定はありません。
 次に、こどもの朝の居場所づくりについてです。
 保護者が登校時間前に出勤するため、児童の朝の居場所づくりに取り組んでいる自治体があることは把握しております。しかし、教員の勤務時間前に居場所づくりを行うことは、学校が本来担うべき業務にはあたらず、実施に際しては見守り等を行う人員が別途必要となることから、確実な人員の確保に課題があると考えております。また、入校者の把握や登校時の安全確保などの課題もあることから、先行事例を調査研究するとともに、東京都において区市町村の取り組みを後押しする方策について検討するとのことであるため、今後の都の動向を注視してまいります。
 次に、児童相談所の整備についてのうち、区児童相談所開設の基本的な考え方についてです。
 現在都と区の二元体制で虐待対応を行っていることから、通告先が複数あることでの非効率や、都と区の認識の相違などの課題が生じていると認識しております。このため、区の児童相談所と養育支援課、子ども家庭支援センターを同じ建物に集約することで、迅速で一貫した対応と共に虐待の未然防止から再発の予防まで幅広い支援を行うことが可能になると考えております。
 次に、職員の確保については、年度ごとの採用目標を作成した上で、計画的な新規採用や公募制人事制度による既存職員の活用を図っております。また、育成の面では、庁内研修会の実施や他自治体の児童相談所への派遣研修などを行い計画的に進めているところです。しかし、現状では専門職の確保は決して楽観視できる状況ではないため、様々な人材確保策について検討してまいります。なお、スーパーバイザーは経験者採用制度の活用により必要な人材を確保し、また、開設後の職員の異動等の対策については、今後庁内で検討してまいります。
 次に、社会的養護施設の整備についてです。現在国は、家庭養育優先の原則を打ち出しており、区としましても、周知・啓発により里親を増やす努力を続けておりますが、都内の東部地域は西部地域に比べて児童養護施設が少ないことを鑑みると、今後できる限り小規模で家庭的な養育環境を確保できる施設整備の必要性についても、検討すべき課題と認識しております。

 次に、障害者支援についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、障害者入所施設、グループホームの整備についてでございます。
 本区では、障害のある方が、いわゆる「親亡き後」も、地域で安心して暮らすための環境整備は重要な課題であると認識しており、長期計画において、「障害者施設の整備・充実」を取組方針の一つとし、取り組みを進めてまいりました。
 障害のある方や、ご家族が希望する住まいの確保に係る区の認識についてですが、事業所が相談業務を行う中で、入所が必要な場合には、障害特性や利用者のご希望を勘案し、可能な限り近い施設を探しており、グループホームを含む施設の入所者数は、都内が最も多く、次いで千葉県が多い状況となっております。
 日中サービス支援型障害者グループホームは、23区内で3施設のみとなっており、都の計画でも、重度障害者の受入れが可能なグループホームは十分ではないとされている中、整備地の確保等の課題への対応を図りながら、引き続き整備に取り組んでまいります。
 次に、入所施設等の待機者数と実態を把握し支援につなげるべきとのお尋ねですが、将来への備えとして入所を希望する例など真に入所を希望する方の把握が難しいと考えている一方、入所が必要な場合については、区外・都外を含め受入れ先を探し、グループホーム等の利用に至っております。
 次に、入所施設の増設、グループホームの整備目標の引き上げについてですが、国の基本指針に明記されている、「入所から地域生活への移行」という基本理念に基づき、本区では、入所施設を増設する考えはございません。また、グループホームにつきましては、現在の長期計画に基づき着実な整備を図ってまいります。
 次に、国に対する報酬の改善や、都に対する居住支援特別手当の拡充および経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきとのお尋ねですが、報酬に関しては、令和6年度の報酬改定において、物価高騰や賃金上昇等を踏まえた改定がなされたばかりであり、引き続き動向を注視してまいります。
 また、都が実施する居住支援特別手当や昇給のための補助につきましては、都において制度構築するものであり、その内容を注視してまいります。
 次に、事業所への物価高騰支援についてでございます。
 都が、補正予算において、障害者施設等物価高騰緊急対策事業を実施することを踏まえ、本区におきましても、第四回区議会定例会に提出を予定している補正予算案において、当該事業の対象外となる区内の地域活動支援センター等への、区独自の緊急的支援の実施について、既に検討を進めております。
 次に、震災等緊急時の対応についてのご質問のうち、福祉避難所の受入れ体制構築への支援についてでございます。
 すでに、福祉避難所として協定を締結している施設と協議を行っており、発災時に、福祉避難所として開設するための体制づくりの検討を進めております。
 次に、障害当事者の防災関係の計画づくりへの参加についてでございます。
 これまでも、研修会等の機会を通じていただいた、障害当事者や団体の方々からのご意見等を踏まえ計画づくりに取り組んでおり、今後も、機会を捉え、ご意見等をいただきながら、計画の改定や修正に取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

カテゴリー: 区議会定例会 | タグ: , , , , | コメントする