日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について伺います。
- 来年度予算編成と行財政運営について
- 新庁舎建設について
- 子育て支援について
- 障害者施策について
大綱の第1は、来年度予算編成と行財政運営についてです。
安倍政権以降の11年間で、実質賃金が年間33万円減少し、年金も7.8%減額されてきました。同時に、消費税増税とインボイスの強行、医療・介護保険料の負担増などが繰り返されてきたもとで、現在物価高騰の最中です。10月には食品の値上げが2911品目など、年内最大の値上げラッシュとなっています。また、電気料金やガス料金の12月請求分からの値上げ動向など、区民生活はかつてない困難に直面しています。区の景況調査においても「景況悪化」が続いており、商店街は閉店する店舗が増加し、町場の建設業や印刷業などの廃業が続いています。区民の暮らしと中小業者の実態、今後の見通しについて、認識を伺います。
このような中で、本区の来年度予算の編成方針は、「次なる飛躍と成長の基盤を築くための予算」を掲げていますが、何よりも、「物価高騰に苦しむ区民の暮らしと営業を支える予算」とすべきではありませんか。伺います。
日本共産党区議団は、区政に対して、幅広い区内団体や区民から寄せられた400項目に及ぶ要望を来年度予算要望書として纏め、区長に提出いたしました。以下、緊急切実な施策の実現を求めるものです。
高すぎる国民健康保険料、介護保険料の引き下げ、ひとり親等世帯・0~2歳児の第1子保育料の無償化、学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化、給付型奨学金の拡充、高齢者重度介護手当、心身障害者福祉手当の新規65歳以上の支給、マンション及び木造住宅耐震化助成の拡充を求めます。特に、中小企業・小規模事業者への支援は待ったなしです。原油価格・物価高騰対策資金融資の延長、エネルギー価格高騰対策補助金の継続実施、事務所・店舗への家賃助成、店舗改修費補助金の対象拡大、地域域活性化のための住宅リフォーム助成の実施を求めます。本区の商工振興予算は、予算総額の1%にも満たないものです。地域経済の主役に相応しい抜本的な中小企業予算の増額と支援の強化が必要です。合わせて、伺います。
本区では、コロナ禍にあった令和元年度から5年間の決算余剰金は493億円にも上り、基金にためこまれました。今年5月末時点の基金総額は2006億円に達し、全国1741区市町村のなかで第5位の残高があるなど、潤沢な財源があります。ため込み型ではなく、区民の暮らしを支えるための施策に思い切って活用する財政運営とすべきと考えますが、伺います。
民間委託についてです。
区は、「民間でできることは民間で」「経費削減」だとして、公共施設の民間委託を進めることで職員の削減をおこなってきました。この間、民間委託した保育園やきっずクラブでは、受託業者が、職員を配置していないにもかかわらず、水増し請求して補助金を不正受給するという事件が相次いで発生しています。民間委託は、結局、低賃金で人が集まらず、区民サービスの低下をもたらしています。不安定雇用、官製ワーキングプアを増大させる民間委託は中止すべきです。伺います。
公契約条例についてです。
公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契条例が全国に広がっています。23区では、13区で実施されています。区は条例制定の求めに対し、「適正な労働環境の整備は、国の労働法制の中で対応すべきもの」と答弁してきましたが、昨今の建設業界等の人手不足、地域の担い手の育成など、労働環境を整備し、事業者にとってもいい人材を確保しやすい環境を支援していく必要性があると思いますが、区の見解を伺います。
また、自治体の契約相手である事業者に対して、最低賃金法の地域別最低賃金を上回る賃金の支払い義務を条例に規定することは、法的に何ら問題はないもの」と考えますが、区の認識を伺います。
区立幼稚園の廃園についてです。
区は、区立幼稚園の園児数減少と園児一人当たりの経費が増大することなどを理由に、今後年3間で9園を廃園し、現在の16園を7園に減らす方針です。
突然の廃園計画に対し、保護者や関係者、地域住民から「閉園ありきでなくどうしたら存続できるか考えてほしい」「歩いて行ける距離に必要」「一旦立ち止まって再考を」などの声が相次いでいます。区立幼稚園は、支援が必要な子どもたちの受け皿になっており、一人ひとりの子どもに応じた幼児教育の質の向上を図っていくべきです。区立元加賀幼稚園が廃園となれば、白河・富岡地域には区立園がなくなり、森下からほかの区立園まで5キロの道のりを通わなければなりません。地域の中で保護者が選択できる公立と私立のバランスのとれた適正配置こそ必要ではないでしょうか。区立幼稚園の廃園方針の撤回を求めます。伺います。
大綱の第2は、新庁舎建設について伺います。
区役所本庁舎は、建設から50年が経過し、施設の老朽化に伴い、今後、多額の維持・補修経費が見込まれています。まず、新庁舎建設の必要性について伺います。
2020年(令和2)に、「江東区長期計画」において、本庁舎建て替えへの検討が明記され、現在、区民・学識経験者・有識者等の意見を取り入れた「新庁舎建設基本構想(素案)」が示されました。新庁舎建設については、豪華庁舎ではなく、シンプルで質実と実用性を重視し、長期的視点に立った無駄のない経済的合理的なものとすべきと考えますが、基本的な考え方について伺います。
同素案は、新庁舎建設用地として、現庁舎敷地に防災センター及び文化センター敷地を加えた敷地を位置づけ、新庁舎と防災センター、文化センターとの一体的な整備を前提に検討をすすめるとしています。しかしながら、防災センターは築19年しか経っておらず、しかも十分な耐震性が確保され、災害情報システム等、防災センターとしての機能維持が確保されています。
また、本区公共施設等総合管理計画では、寿命65年以上に向け、公共施設の長寿命化を推進しています。区民からも、「築19年で解体するのはもったいない」との声が寄せられており、防災センターを含めた新庁舎の一体的な建替えは、多くの区民の理解は得られません。
また、首都直下地震がいつ起きてもおかしくないと言われる中で、切れ目のない災害対応も必要です。加えて、防災センターには、危機管理課や防災課、土木部、障害者施策課、区民課等が置かれ、現在237人の職員が勤務しており、仮庁舎を減らし、事業費を大幅に削減することができます。区民の共有財産である防災センタービルは、建替えずに継続して使うべきです。同時に、水害対策として、電気・発電室を上層階に移すなど、機能強化することを提案するものです。合わせて見解を伺います。
次に、庁舎の規模と複合化についてです。
基本構想素案では、現段階の庁舎規模を、約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい等の機能は含まれていません。飲食や物販等の利便機能との複合化によって、規模が大きくなり、現時点で690億円の概算事業費がさらに膨大になるのではありませんか。
また、市街地再開発事業の枠組みを活用した商業施設との複合化は、キーテナントの撤退など全国体にも大きな問題となっています。総事業費との関係を含め、庁舎の規模と複合化について、伺います。
区民の共有財産である新庁舎建設の事業手法については、区民や議会の意向が反映しやすく、区内中小企業も参加しやすい従来手法で行うのが相応しいと考えます。そうしてこそ、新庁舎建設を通じて、江東区に誇りと愛着が湧いてくるのではないでしょうか。伺います。
大綱の第3は、子育て支援について伺います。
まず教育費負担の軽減についてです。
「小学校入学前にそろえる体操着や上着、粘土など、非常にお金がかかって大変」「入学後も、鍵盤ハーモニカや絵の具セットなどの負担が重い」という声が保護者から寄せられています。文科省の学習費調査では、小学校で年間6万5000円、中学校では13万円以上の費用がかかるとの結果も出ています。授業に必要なこれら学習用具の費用負担の重さについて、認識を伺います。
区教委は、「原則、区立小中学校の義務教育では授業料の無償が法で定められている」が、学用品費等については「児童・生徒にその利益が直接還元されるもの」「学校、家庭の両方で使える」として、保護者が担うべきとの考えを示してきました。
いま、全国各地で、学用品費等の無償化が広がっています。23区内では、品川区が区立小・中学校の児童・生徒が使用する学用品を今年度から全額無償化し、葛飾区では、修学旅行や宿泊を伴う移動教室、副教材等を来年度より無償化します。これら学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化は、違法ではなく、自治体の判断で実施できるものと思いますが、認識を伺います。
子どもの朝の居場所づくりについて伺います。
共働き家庭の増加により、「小1の壁」の打開が重要な課題となっています。登校時間より早く保護者が出勤をしなければならない家庭の子どもたち、とりわけ、小学校低学年児童の朝の居場所づくりが必要と考えますが、認識を伺います。
三鷹市の小学校では、朝7時半から始業までの約1時間を校庭開放し、開門や見守りを業者に委託して対応しています。八王子市では、朝の校庭開放によって、子どもたちの開門待ちが解消し、「遊びたいからと早起きする子が増えた」「遅刻が減少した」「不登校気味だった子も来るようになった」など、保護者や教職員からも好評だそうです。
本区においても、校庭開放など、朝の登校前に子どもたちが安心して過ごせる居場所の確保について検討すべきと考えますが、見解を伺います。
児童相談所の整備についてです。
今年10月、「江東区児童相談所基本計画」(素案)が示されました。施設整備方針では、6年後の2030年度(令和12)に、潮見2丁目の区有地に本区児童相談所を開設するとしました。
本区の児童相談所開設の基本的な考え方について、伺います。
児童相談所の開設にあたっては、児童相談行政を的確に担い得る知識と技術を確実に習得した職員体制の整備に向けて、計画的な人材の確保・育成が必要となっています。
児童福祉司が32名、児童相談所の職員が100名程度、こども家庭センターの職員が50名程度、一時保護所の職員が50名程度、合わせて200名の人材が必要です。計画通り開設できるよう、職員の確保・育成については、詳細な年次計画を作成して進めることが肝要と考えますが、取り組みの現状と今後の見通しについて伺います。
とりわけ、スーパーバイザーができる経験5年以上の人材確保や、開設5年後に開設メンバーが一斉に移動時期になることへの対策が必要と考えますが、見解を伺います。
児童養護施設など児童相談所での一時保護後の受け入れ先確保については、里親を急激に増やすのは困難であり、地域の社会的養育を支える専門的な拠点が必要と考えます。
しかしながら、本区には、乳児院や児童養護施設が一つもありません。東京東部地域にも少ないのが現状です。区として、大規模なものではなく、グループホーム的な小規模かつ地域に複数配置することも含め、社会的養育の施設整備を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
大綱の第4は、障害者施策について伺います。
障害者入所施設の整備についてです。
いま、親なき後も安心して地域で暮らせるための環境づくりが求められています。
昨年4月、塩浜2丁目に区内初の障害者入所施設が開所しましたが、施設入所の定員45名に対し、3倍の133名が応募し、多くの人が入所できませんでした。
障害のある子どもと同居されている親の中には、自ら高齢になり、子どもの将来を考えて「入所施設」の空きを待ちながら過ごしています。
強度行動障害を持つ家族は、自宅での介助が難しくなり、都内や近県で重度の知的障害者の入所施設やグループホームを30か所以上見学して回りました。
しかし、どこも満員で待機者がいる状態。障害特性への対応は職員の負担が大き過ぎることから、「空きが出ても受け入れは無理」と断られました。今は、青森の施設で暮らし、お母さんが片道5時間かけて会いに行く生活をされています。「近くに託せる場所を」これが家族の願いです。
区は、こうした障害のある人やその家族が、希望する住まいが確保できていると認識しているのか、伺います。また、先の決算委員会で、「入所施設やグループホームの待機者数を把握すべき」との私の質問に対し、「待機者の定義がないので困難」としましたが、これでは、自治体としての責任が果たせないのではありませんか。世田谷区では、ケースワーカーの家庭訪問の際に、入所施設やグループホーム等への入居希望や生活状況を把握しています。
待機者数とその実態を把握し、支援につなげるべきと思いますが、合わせて伺います。
障害者支援法は、どこで誰と生活するかといった障害者の選択の機会の確保を基本理念としています。障害者が選択できる暮らしの場を、量・質ともに充実させることは区政の重要課題です。重度の方も含め、障害者が安心して暮らせるよう入所施設の増設、グループホームの整備目標を引き上げるべきです。伺います。
同時に、障害者の高齢化や重度化に対応するための受け入れ体制の整備も待ったなしです。グループホームの運営事業者は、「募集しても職員を確保できない」との悩み、現場では「基本報酬を抜本的に引き上げることなしに、安定した運営はできない」との声が上がっています。国に対し、報酬の改善を強く求めるとともに、都に対し、処遇改善のための居住支援特別手当の拡充、経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきです。伺います。
物価高騰支援についてです。
物価高騰と光熱水費等の値上げが事業所の経営を圧迫しています。通所作業所では、自主製品づくりの原材料が上がり、利用者工賃に影響が出ています。放課後等デイサービスを含め、すべての障害者福祉サービス事業所への物価高騰緊急支援を求めます。伺います。
震災等緊急時の対応についてです。
先日、障害児・者団体が、区の所管課長さんを講師に招き、「みんなの防災、誰も取り残さないために」というテーマで、区民のつどいを開催しました。そのなかでの質問の多くが「ダイレクトに福祉避難所に行けないのか」「一時避難所では子どもの体力やメンタルへの負担が大きい」など、福祉避難所への直接避難を求めるものでした。障害者や高齢者などを受け入れるための「福祉避難所」指定施設が災害時、いつでも力を発揮できるよう受け入れ態勢構築への支援を強めるべきと思いますが、伺います。また、区の防災や災害時の避難などの計画づくりに、障害当事者の参加を位置づけるべきと思いますが、見解を伺います。
(再質問)
再質問します。一つは、景気の認識についてです。区は「ゆるやかに回復」していると答弁しましたが、区内中小企業の実態は、未だ物価高騰等の影響の中で、苦難の最中にあり、年を越せるかどうか眠れない毎日を過ごしています。地域の中小業者の実態について認識が甘いのではないか。再度答弁を求めます。
もう一つは、新庁舎建設です。基本構想素案では庁舎規模を約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい施設等の機能は含まれていません。このような利便機能との複合化によって、現時点で690億円の総事業費がさらにふくらむのではないのか。総事業費との関係を含めた規模と複合化の考えを聞いたが、総事業費との関係の答弁がありませんでした。再度答弁を求めます。
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答弁1:大綱01来年度予算編成と行財政運営について
正保みきお議員のご質問にお答えします。
はじめに、来年度予算編成と行財政運営についてです。
まず、区民生活の実態と来年度予算についてですが、物価高騰の影響が区民の暮らしや中小企業に及んでいる状況は認識しており、区ではこれまでも区民生活を支える取組みや中小企業支援を適切に実施してまいりました。
国の月例経済報告では雇用・所得環境が改善している状況にあるとされ、経済は緩やかな回復基調にあると認識しておりますが、今後については海外景気の下振れが景気を下押しするリスクであると考えております。
次に、区民の暮らしと営業を支える予算にすべきとのお尋ねですが、本区ではこれまでも区民生活を支える福祉施策などに多くの予算を配分しており、令和7年度予算においても、引き続き、現行施策の充実や新たな施策展開を図る考えです。
次に、緊急切実な施策の提案についてのうち、区民からの要望に応えた予算とすべきとのお尋ねですが、社会情勢や区民ニーズの変化に対応するとした予算編成方針に基づき、区民ニーズを捉えた施策を推進してまいります。
また、中小企業・小規模事業者への緊急支援等については、これまでも経済状況等を鑑み、制度融資における特別資金やエネルギー価格高騰対策補助金など、時機を逸することなく対応してまいりました。引き続き、国や都の動向とともに、物価やエネルギー価格等の状況も踏まえ、必要な支援を検討してまいります。
次に、基金の活用についてですが、区はこれまでも福祉施策や防災対策など、各施策の実施に基金を適切に活用してまいりました。引き続き、安定的に区民サービスを提供するため、将来を見据えた財政運営に努め、基金についても適切な活用を図ってまいります。
次に、民間委託についてですが、指定管理者制度も含めた民間委託については、アウトソーシング基本方針に基づき、区の実施と同等以上のサービスを効率的に提供される場合に推進することとしており、単なるコスト削減を目的としたものではないことから、中止する考えはありません。
次に公契約条例についてですが、建設業界をはじめ、人手不足の影響が出てきていることは認識しており、区としては、これまでも債務負担行為を活用した工期の平準化などに努めております。また、10月からは一部に電子契約の導入を進めることで事務負担の軽減を図っており、今後、このような人材確保に資する取り組みは一層重要になっていくものと考えております。
また、最低賃金を上回る賃金を公契約条例に規定することについて、国は過去に「内容によるものの最低賃金法上の問題はない」との答弁をしていますが、本区では一定の労働環境の確認を行っており、労働環境整備は国が一義的に対応すべきであるため、現時点で制定の予定はありません。
次に、区立幼稚園の廃園についてですが、基本方針においては、園児数減少のなかでも、幼稚園における幼児教育への期待に応えていくため、私立幼稚園を含めて地域バランスを考慮した配置となるよう計画しております。
また、存続園に特別支援教育専任コーディネーターを配置し、支援が必要なこどもの全区的な受け入れ態勢を整備することから、方針を撤回する考えはございません。
答弁2:大綱02新庁舎建設について
次に、新庁舎建設についてのご質問にお答えします。
まず、必要性についてです。
本区庁舎は建設から50年以上が経過し、建物・設備ともに経年劣化が進行していることに加え、浸水リスクへの対応や狭隘化に伴う窓口機能の分散など課題が多岐にわたり、部分的な改修ではこれらの課題を根本的に解決することは困難となっております。そのため、新庁舎建設の必要性については、公募区民等も含む新庁舎建設基本構想策定会議においても、将来の区民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには必要であると整理されたところであります。
次に、基本的な考え方についてです。
庁舎を含め全ての公共施設については、必要かつ十分な機能を持ちつつ、経済的・合理的なものであるべきと認識しております。そのため、ライフサイクルコストの低減も含め、経済的・合理的な庁舎となるよう、建設基本構想においても5つの基本理念の一つとして「長期的な財政負担に配慮するとともに時代の変化に柔軟に対応するかわりつづける庁舎」を掲げているところです。
次に、防災センターについてです。
防災センターは竣工以来、大規模な改修は未実施な状況であり、新庁舎建設後の概ね10年後には、改修の適期を迎えることとなります。改修には一定の費用を要することが見込まれる一方、電気室・発電気室を上階に移す防災対策については、建物の構造耐力上、現在の機能を維持したまま実施することは困難であると認識しております。
また、本庁舎と防災センターを今後も別棟としていくことは、大規模災害発生時の災害対策本部機能として、多くの課題を後年に残すものであり、新庁舎が具備すべき危機管理上の機能を鑑みると、防災センター機能を内包し、一体的な運用が可能な庁舎整備が必要であると考えております。
次に、規模と複合化についてです。
まず、規模についてですが、新庁舎は行政サービスを効率的かつ効果的に提供していくほか、区民の憩いや活動のための場所となることも目指しております。
このため、にぎわいの創出にもつながる機能を一定程度備えることは必要であると考えております。
また、複合化については庁舎機能との親和性を重視した検討が必要である一方、歳入歳出を含めた事業費への影響も踏まえながら、検討を進めてまいります。
次に、事業手法についてです。
従来手法は、設計の際に区民や議会の意向を反映しやすい利点がある一方、民間に委ねることで創出できる効率性を発揮できない傾向にあります。一方、官民連携手法は民間ノウハウの活用の幅は広がりますが、契約が複雑化し、契約準備期間が長期化するといった傾向にあります。そのため、事業手法については、様々な手法を比較検討しつつ、最適な手法を選択してまいります。
庁舎整備にあたっては、建設基本構想に定めた基本方針に基づき、「多様な区民が交流する場」となるよう、今後もワークショップ等、様々な区民参加の機会を通じて、区民とともにつくる、区民に親しまれる新庁舎となるよう検討を進めていく所存であります。
答弁3:大綱03子育て支援について
次に、子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
まず、教育費負担の軽減についてです。学用品については、児童・生徒個人の所有物で、学校と家庭のいずれでも使用でき、その利益が直接児童・生徒に還元されるものとして、各家庭での購入としておりますが、保護者の負担を軽減するため、必要な使用教材等の見直しに取り組んでおります。
学用品費等については義務教育の無償制度の範囲ではありませんが、修学旅行費や副教材費を無償化する自治体があることは認識しております。本区では、これらの経費を経済的に困難な世帯に対する就学援助の対象としており、これらの無償化については制度として実施する予定はありません。
次に、こどもの朝の居場所づくりについてです。
保護者が登校時間前に出勤するため、児童の朝の居場所づくりに取り組んでいる自治体があることは把握しております。しかし、教員の勤務時間前に居場所づくりを行うことは、学校が本来担うべき業務にはあたらず、実施に際しては見守り等を行う人員が別途必要となることから、確実な人員の確保に課題があると考えております。また、入校者の把握や登校時の安全確保などの課題もあることから、先行事例を調査研究するとともに、東京都において区市町村の取り組みを後押しする方策について検討するとのことであるため、今後の都の動向を注視してまいります。
次に、児童相談所の整備についてのうち、区児童相談所開設の基本的な考え方についてです。
現在都と区の二元体制で虐待対応を行っていることから、通告先が複数あることでの非効率や、都と区の認識の相違などの課題が生じていると認識しております。このため、区の児童相談所と養育支援課、子ども家庭支援センターを同じ建物に集約することで、迅速で一貫した対応と共に虐待の未然防止から再発の予防まで幅広い支援を行うことが可能になると考えております。
次に、職員の確保については、年度ごとの採用目標を作成した上で、計画的な新規採用や公募制人事制度による既存職員の活用を図っております。また、育成の面では、庁内研修会の実施や他自治体の児童相談所への派遣研修などを行い計画的に進めているところです。しかし、現状では専門職の確保は決して楽観視できる状況ではないため、様々な人材確保策について検討してまいります。なお、スーパーバイザーは経験者採用制度の活用により必要な人材を確保し、また、開設後の職員の異動等の対策については、今後庁内で検討してまいります。
次に、社会的養護施設の整備についてです。現在国は、家庭養育優先の原則を打ち出しており、区としましても、周知・啓発により里親を増やす努力を続けておりますが、都内の東部地域は西部地域に比べて児童養護施設が少ないことを鑑みると、今後できる限り小規模で家庭的な養育環境を確保できる施設整備の必要性についても、検討すべき課題と認識しております。
答弁4:大綱04障害者支援について
次に、障害者支援についてのご質問にお答えいたします。
初めに、障害者入所施設、グループホームの整備についてでございます。
本区では、障害のある方が、いわゆる「親亡き後」も、地域で安心して暮らすための環境整備は重要な課題であると認識しており、長期計画において、「障害者施設の整備・充実」を取組方針の一つとし、取り組みを進めてまいりました。
障害のある方や、ご家族が希望する住まいの確保に係る区の認識についてですが、事業所が相談業務を行う中で、入所が必要な場合には、障害特性や利用者のご希望を勘案し、可能な限り近い施設を探しており、グループホームを含む施設の入所者数は、都内が最も多く、次いで千葉県が多い状況となっております。
日中サービス支援型障害者グループホームは、23区内で3施設のみとなっており、都の計画でも、重度障害者の受入れが可能なグループホームは十分ではないとされている中、整備地の確保等の課題への対応を図りながら、引き続き整備に取り組んでまいります。
次に、入所施設等の待機者数と実態を把握し支援につなげるべきとのお尋ねですが、将来への備えとして入所を希望する例など真に入所を希望する方の把握が難しいと考えている一方、入所が必要な場合については、区外・都外を含め受入れ先を探し、グループホーム等の利用に至っております。
次に、入所施設の増設、グループホームの整備目標の引き上げについてですが、国の基本指針に明記されている、「入所から地域生活への移行」という基本理念に基づき、本区では、入所施設を増設する考えはございません。また、グループホームにつきましては、現在の長期計画に基づき着実な整備を図ってまいります。
次に、国に対する報酬の改善や、都に対する居住支援特別手当の拡充および経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきとのお尋ねですが、報酬に関しては、令和6年度の報酬改定において、物価高騰や賃金上昇等を踏まえた改定がなされたばかりであり、引き続き動向を注視してまいります。
また、都が実施する居住支援特別手当や昇給のための補助につきましては、都において制度構築するものであり、その内容を注視してまいります。
次に、事業所への物価高騰支援についてでございます。
都が、補正予算において、障害者施設等物価高騰緊急対策事業を実施することを踏まえ、本区におきましても、第四回区議会定例会に提出を予定している補正予算案において、当該事業の対象外となる区内の地域活動支援センター等への、区独自の緊急的支援の実施について、既に検討を進めております。
次に、震災等緊急時の対応についてのご質問のうち、福祉避難所の受入れ体制構築への支援についてでございます。
すでに、福祉避難所として協定を締結している施設と協議を行っており、発災時に、福祉避難所として開設するための体制づくりの検討を進めております。
次に、障害当事者の防災関係の計画づくりへの参加についてでございます。
これまでも、研修会等の機会を通じていただいた、障害当事者や団体の方々からのご意見等を踏まえ計画づくりに取り組んでおり、今後も、機会を捉え、ご意見等をいただきながら、計画の改定や修正に取り組んでまいります。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。