投稿者「日本共産党江東区議団管理者」のアーカイブ

区議団ニュース2025年1月号


暮らし・福祉最優先の江東区へ
第4回定例区議会が、11月27日~12月17日の会期で開かれ、本会議では、日本共産党区議団を代表して正保みきお議員が質問に立ちました。

  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 2025年度江東区予算 400項目の要望書を提出
  • 第4回定例会委員会論戦 区民の願い届け奮闘
    ・地域の子育て支援団体に区として助成・支援を すがや俊一議員
    ・誰もが気軽にスポーツができる環境づくりを 西部ただし議員
    ・保育所や介護施設等の運営費補助が実現 さらなる物価高騰対策を 赤羽目たみお議員
    ・特別支援学校の増設を 陳情の採択を求める 正保みきお議員
  • 国民健康保険料の負担軽減を 来年度保険料 区が引き下げの方向を示す
  • 共産党提案 企業・団体献金禁止を求める意見書 ―自民・公明・国民・維新・参政・都民ファ等が反対―
  • 江東区版パートナーシップ制度の導入 自民・維新・参政・国民などが反対・先延ばし
  • 千田区議(維新)への辞職勧告を求める陳情が不採択
  • UR大島4丁目団地建替え契機に ―大島4丁目のまちづくり―
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区議団ニュース2024年11月号


物価高騰、医療介護の負担増から区民の暮らし守る区政に
第3回定例区議会(9月19日〜10月21日)が開かれ、9月19日の本会議では日本共産党区議団を代表して、赤羽目たみお議員が代表質問を行いました。9月20日の継続本会議では菅谷俊一議員が本会議質問を行いました。

  • ためこみでなく暮らし支える財政運営に転換を
  • 拠点避難所の食料備蓄を1日分から2日分に増強へ
  • 第3回定例会委員会論戦
    ・中小企業への手厚い支援が急務 すがや俊一議員
    ・区民に寄り添った住民税の収納対策を 赤羽目たみお議員
    ・後期高齢者の医療負担軽減を すがや俊一議員
    ・区立幼稚園9園の廃園計画再考を求める意見続出 正保みきお議員
    ・樹冠被覆率の向上で温暖化対策を 西部ただし議員
    ・令和5年度区決算 区民の暮らし困窮のなかで基金2006億円
    ・日本共産党提出の意見書に自民・公明などが反対
  • 区が補聴器助成拡充を検討=日本共産党都議団=都に助成求め実現
  • エアコン設置助成を検討 未設置の高齢者世帯などに
  • 区内18ヶ所目の特養ホーム開設へ 待機者1168人 さらなる増設を
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2024年第4回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について伺います。

  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 新庁舎建設について
  • 子育て支援について
  • 障害者施策について

大綱の第1は、来年度予算編成と行財政運営についてです。
 安倍政権以降の11年間で、実質賃金が年間33万円減少し、年金も7.8%減額されてきました。同時に、消費税増税とインボイスの強行、医療・介護保険料の負担増などが繰り返されてきたもとで、現在物価高騰の最中です。10月には食品の値上げが2911品目など、年内最大の値上げラッシュとなっています。また、電気料金やガス料金の12月請求分からの値上げ動向など、区民生活はかつてない困難に直面しています。区の景況調査においても「景況悪化」が続いており、商店街は閉店する店舗が増加し、町場の建設業や印刷業などの廃業が続いています。区民の暮らしと中小業者の実態、今後の見通しについて、認識を伺います。
 このような中で、本区の来年度予算の編成方針は、「次なる飛躍と成長の基盤を築くための予算」を掲げていますが、何よりも、「物価高騰に苦しむ区民の暮らしと営業を支える予算」とすべきではありませんか。伺います。
 日本共産党区議団は、区政に対して、幅広い区内団体や区民から寄せられた400項目に及ぶ要望を来年度予算要望書として纏め、区長に提出いたしました。以下、緊急切実な施策の実現を求めるものです。
 高すぎる国民健康保険料、介護保険料の引き下げ、ひとり親等世帯・0~2歳児の第1子保育料の無償化、学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化、給付型奨学金の拡充、高齢者重度介護手当、心身障害者福祉手当の新規65歳以上の支給、マンション及び木造住宅耐震化助成の拡充を求めます。特に、中小企業・小規模事業者への支援は待ったなしです。原油価格・物価高騰対策資金融資の延長、エネルギー価格高騰対策補助金の継続実施、事務所・店舗への家賃助成、店舗改修費補助金の対象拡大、地域域活性化のための住宅リフォーム助成の実施を求めます。本区の商工振興予算は、予算総額の1%にも満たないものです。地域経済の主役に相応しい抜本的な中小企業予算の増額と支援の強化が必要です。合わせて、伺います。
 本区では、コロナ禍にあった令和元年度から5年間の決算余剰金は493億円にも上り、基金にためこまれました。今年5月末時点の基金総額は2006億円に達し、全国1741区市町村のなかで第5位の残高があるなど、潤沢な財源があります。ため込み型ではなく、区民の暮らしを支えるための施策に思い切って活用する財政運営とすべきと考えますが、伺います。

 民間委託についてです。
 区は、「民間でできることは民間で」「経費削減」だとして、公共施設の民間委託を進めることで職員の削減をおこなってきました。この間、民間委託した保育園やきっずクラブでは、受託業者が、職員を配置していないにもかかわらず、水増し請求して補助金を不正受給するという事件が相次いで発生しています。民間委託は、結局、低賃金で人が集まらず、区民サービスの低下をもたらしています。不安定雇用、官製ワーキングプアを増大させる民間委託は中止すべきです。伺います。

 公契約条例についてです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契条例が全国に広がっています。23区では、13区で実施されています。区は条例制定の求めに対し、「適正な労働環境の整備は、国の労働法制の中で対応すべきもの」と答弁してきましたが、昨今の建設業界等の人手不足、地域の担い手の育成など、労働環境を整備し、事業者にとってもいい人材を確保しやすい環境を支援していく必要性があると思いますが、区の見解を伺います。
 また、自治体の契約相手である事業者に対して、最低賃金法の地域別最低賃金を上回る賃金の支払い義務を条例に規定することは、法的に何ら問題はないもの」と考えますが、区の認識を伺います。

 区立幼稚園の廃園についてです。
 区は、区立幼稚園の園児数減少と園児一人当たりの経費が増大することなどを理由に、今後年3間で9園を廃園し、現在の16園を7園に減らす方針です。
 突然の廃園計画に対し、保護者や関係者、地域住民から「閉園ありきでなくどうしたら存続できるか考えてほしい」「歩いて行ける距離に必要」「一旦立ち止まって再考を」などの声が相次いでいます。区立幼稚園は、支援が必要な子どもたちの受け皿になっており、一人ひとりの子どもに応じた幼児教育の質の向上を図っていくべきです。区立元加賀幼稚園が廃園となれば、白河・富岡地域には区立園がなくなり、森下からほかの区立園まで5キロの道のりを通わなければなりません。地域の中で保護者が選択できる公立と私立のバランスのとれた適正配置こそ必要ではないでしょうか。区立幼稚園の廃園方針の撤回を求めます。伺います。

大綱の第2は、新庁舎建設について伺います。
 区役所本庁舎は、建設から50年が経過し、施設の老朽化に伴い、今後、多額の維持・補修経費が見込まれています。まず、新庁舎建設の必要性について伺います。
 2020年(令和2)に、「江東区長期計画」において、本庁舎建て替えへの検討が明記され、現在、区民・学識経験者・有識者等の意見を取り入れた「新庁舎建設基本構想(素案)」が示されました。新庁舎建設については、豪華庁舎ではなく、シンプルで質実と実用性を重視し、長期的視点に立った無駄のない経済的合理的なものとすべきと考えますが、基本的な考え方について伺います。
 同素案は、新庁舎建設用地として、現庁舎敷地に防災センター及び文化センター敷地を加えた敷地を位置づけ、新庁舎と防災センター、文化センターとの一体的な整備を前提に検討をすすめるとしています。しかしながら、防災センターは築19年しか経っておらず、しかも十分な耐震性が確保され、災害情報システム等、防災センターとしての機能維持が確保されています。
 また、本区公共施設等総合管理計画では、寿命65年以上に向け、公共施設の長寿命化を推進しています。区民からも、「築19年で解体するのはもったいない」との声が寄せられており、防災センターを含めた新庁舎の一体的な建替えは、多くの区民の理解は得られません。
 また、首都直下地震がいつ起きてもおかしくないと言われる中で、切れ目のない災害対応も必要です。加えて、防災センターには、危機管理課や防災課、土木部、障害者施策課、区民課等が置かれ、現在237人の職員が勤務しており、仮庁舎を減らし、事業費を大幅に削減することができます。区民の共有財産である防災センタービルは、建替えずに継続して使うべきです。同時に、水害対策として、電気・発電室を上層階に移すなど、機能強化することを提案するものです。合わせて見解を伺います。

 次に、庁舎の規模と複合化についてです。
 基本構想素案では、現段階の庁舎規模を、約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい等の機能は含まれていません。飲食や物販等の利便機能との複合化によって、規模が大きくなり、現時点で690億円の概算事業費がさらに膨大になるのではありませんか。
 また、市街地再開発事業の枠組みを活用した商業施設との複合化は、キーテナントの撤退など全国体にも大きな問題となっています。総事業費との関係を含め、庁舎の規模と複合化について、伺います。
 区民の共有財産である新庁舎建設の事業手法については、区民や議会の意向が反映しやすく、区内中小企業も参加しやすい従来手法で行うのが相応しいと考えます。そうしてこそ、新庁舎建設を通じて、江東区に誇りと愛着が湧いてくるのではないでしょうか。伺います。

大綱の第3は、子育て支援について伺います。
 まず教育費負担の軽減についてです。
 「小学校入学前にそろえる体操着や上着、粘土など、非常にお金がかかって大変」「入学後も、鍵盤ハーモニカや絵の具セットなどの負担が重い」という声が保護者から寄せられています。文科省の学習費調査では、小学校で年間6万5000円、中学校では13万円以上の費用がかかるとの結果も出ています。授業に必要なこれら学習用具の費用負担の重さについて、認識を伺います。
 区教委は、「原則、区立小中学校の義務教育では授業料の無償が法で定められている」が、学用品費等については「児童・生徒にその利益が直接還元されるもの」「学校、家庭の両方で使える」として、保護者が担うべきとの考えを示してきました。
 いま、全国各地で、学用品費等の無償化が広がっています。23区内では、品川区が区立小・中学校の児童・生徒が使用する学用品を今年度から全額無償化し、葛飾区では、修学旅行や宿泊を伴う移動教室、副教材等を来年度より無償化します。これら学用品費や教材費、修学旅行費等の無償化は、違法ではなく、自治体の判断で実施できるものと思いますが、認識を伺います。

 子どもの朝の居場所づくりについて伺います。
 共働き家庭の増加により、「小1の壁」の打開が重要な課題となっています。登校時間より早く保護者が出勤をしなければならない家庭の子どもたち、とりわけ、小学校低学年児童の朝の居場所づくりが必要と考えますが、認識を伺います。
 三鷹市の小学校では、朝7時半から始業までの約1時間を校庭開放し、開門や見守りを業者に委託して対応しています。八王子市では、朝の校庭開放によって、子どもたちの開門待ちが解消し、「遊びたいからと早起きする子が増えた」「遅刻が減少した」「不登校気味だった子も来るようになった」など、保護者や教職員からも好評だそうです。
 本区においても、校庭開放など、朝の登校前に子どもたちが安心して過ごせる居場所の確保について検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 児童相談所の整備についてです。
 今年10月、「江東区児童相談所基本計画」(素案)が示されました。施設整備方針では、6年後の2030年度(令和12)に、潮見2丁目の区有地に本区児童相談所を開設するとしました。
 本区の児童相談所開設の基本的な考え方について、伺います。
 児童相談所の開設にあたっては、児童相談行政を的確に担い得る知識と技術を確実に習得した職員体制の整備に向けて、計画的な人材の確保・育成が必要となっています。
 児童福祉司が32名、児童相談所の職員が100名程度、こども家庭センターの職員が50名程度、一時保護所の職員が50名程度、合わせて200名の人材が必要です。計画通り開設できるよう、職員の確保・育成については、詳細な年次計画を作成して進めることが肝要と考えますが、取り組みの現状と今後の見通しについて伺います。
 とりわけ、スーパーバイザーができる経験5年以上の人材確保や、開設5年後に開設メンバーが一斉に移動時期になることへの対策が必要と考えますが、見解を伺います。
 児童養護施設など児童相談所での一時保護後の受け入れ先確保については、里親を急激に増やすのは困難であり、地域の社会的養育を支える専門的な拠点が必要と考えます。
 しかしながら、本区には、乳児院や児童養護施設が一つもありません。東京東部地域にも少ないのが現状です。区として、大規模なものではなく、グループホーム的な小規模かつ地域に複数配置することも含め、社会的養育の施設整備を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

大綱の第4は、障害者施策について伺います。
 障害者入所施設の整備についてです。
 いま、親なき後も安心して地域で暮らせるための環境づくりが求められています。
 昨年4月、塩浜2丁目に区内初の障害者入所施設が開所しましたが、施設入所の定員45名に対し、3倍の133名が応募し、多くの人が入所できませんでした。
 障害のある子どもと同居されている親の中には、自ら高齢になり、子どもの将来を考えて「入所施設」の空きを待ちながら過ごしています。
 強度行動障害を持つ家族は、自宅での介助が難しくなり、都内や近県で重度の知的障害者の入所施設やグループホームを30か所以上見学して回りました。
 しかし、どこも満員で待機者がいる状態。障害特性への対応は職員の負担が大き過ぎることから、「空きが出ても受け入れは無理」と断られました。今は、青森の施設で暮らし、お母さんが片道5時間かけて会いに行く生活をされています。「近くに託せる場所を」これが家族の願いです。
 区は、こうした障害のある人やその家族が、希望する住まいが確保できていると認識しているのか、伺います。また、先の決算委員会で、「入所施設やグループホームの待機者数を把握すべき」との私の質問に対し、「待機者の定義がないので困難」としましたが、これでは、自治体としての責任が果たせないのではありませんか。世田谷区では、ケースワーカーの家庭訪問の際に、入所施設やグループホーム等への入居希望や生活状況を把握しています。
 待機者数とその実態を把握し、支援につなげるべきと思いますが、合わせて伺います。
 障害者支援法は、どこで誰と生活するかといった障害者の選択の機会の確保を基本理念としています。障害者が選択できる暮らしの場を、量・質ともに充実させることは区政の重要課題です。重度の方も含め、障害者が安心して暮らせるよう入所施設の増設、グループホームの整備目標を引き上げるべきです。伺います。
 同時に、障害者の高齢化や重度化に対応するための受け入れ体制の整備も待ったなしです。グループホームの運営事業者は、「募集しても職員を確保できない」との悩み、現場では「基本報酬を抜本的に引き上げることなしに、安定した運営はできない」との声が上がっています。国に対し、報酬の改善を強く求めるとともに、都に対し、処遇改善のための居住支援特別手当の拡充、経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきです。伺います。
 物価高騰支援についてです。
 物価高騰と光熱水費等の値上げが事業所の経営を圧迫しています。通所作業所では、自主製品づくりの原材料が上がり、利用者工賃に影響が出ています。放課後等デイサービスを含め、すべての障害者福祉サービス事業所への物価高騰緊急支援を求めます。伺います。
震災等緊急時の対応についてです。
 先日、障害児・者団体が、区の所管課長さんを講師に招き、「みんなの防災、誰も取り残さないために」というテーマで、区民のつどいを開催しました。そのなかでの質問の多くが「ダイレクトに福祉避難所に行けないのか」「一時避難所では子どもの体力やメンタルへの負担が大きい」など、福祉避難所への直接避難を求めるものでした。障害者や高齢者などを受け入れるための「福祉避難所」指定施設が災害時、いつでも力を発揮できるよう受け入れ態勢構築への支援を強めるべきと思いますが、伺います。また、区の防災や災害時の避難などの計画づくりに、障害当事者の参加を位置づけるべきと思いますが、見解を伺います。

(再質問)
 再質問します。一つは、景気の認識についてです。区は「ゆるやかに回復」していると答弁しましたが、区内中小企業の実態は、未だ物価高騰等の影響の中で、苦難の最中にあり、年を越せるかどうか眠れない毎日を過ごしています。地域の中小業者の実態について認識が甘いのではないか。再度答弁を求めます。
 もう一つは、新庁舎建設です。基本構想素案では庁舎規模を約4万平米と想定していますが、これには駐車場や賑わい施設等の機能は含まれていません。このような利便機能との複合化によって、現時点で690億円の総事業費がさらにふくらむのではないのか。総事業費との関係を含めた規模と複合化の考えを聞いたが、総事業費との関係の答弁がありませんでした。再度答弁を求めます。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。
 はじめに、来年度予算編成と行財政運営についてです。
 まず、区民生活の実態と来年度予算についてですが、物価高騰の影響が区民の暮らしや中小企業に及んでいる状況は認識しており、区ではこれまでも区民生活を支える取組みや中小企業支援を適切に実施してまいりました。
 国の月例経済報告では雇用・所得環境が改善している状況にあるとされ、経済は緩やかな回復基調にあると認識しておりますが、今後については海外景気の下振れが景気を下押しするリスクであると考えております。
 次に、区民の暮らしと営業を支える予算にすべきとのお尋ねですが、本区ではこれまでも区民生活を支える福祉施策などに多くの予算を配分しており、令和7年度予算においても、引き続き、現行施策の充実や新たな施策展開を図る考えです。
 次に、緊急切実な施策の提案についてのうち、区民からの要望に応えた予算とすべきとのお尋ねですが、社会情勢や区民ニーズの変化に対応するとした予算編成方針に基づき、区民ニーズを捉えた施策を推進してまいります。
 また、中小企業・小規模事業者への緊急支援等については、これまでも経済状況等を鑑み、制度融資における特別資金やエネルギー価格高騰対策補助金など、時機を逸することなく対応してまいりました。引き続き、国や都の動向とともに、物価やエネルギー価格等の状況も踏まえ、必要な支援を検討してまいります。
 次に、基金の活用についてですが、区はこれまでも福祉施策や防災対策など、各施策の実施に基金を適切に活用してまいりました。引き続き、安定的に区民サービスを提供するため、将来を見据えた財政運営に努め、基金についても適切な活用を図ってまいります。
 次に、民間委託についてですが、指定管理者制度も含めた民間委託については、アウトソーシング基本方針に基づき、区の実施と同等以上のサービスを効率的に提供される場合に推進することとしており、単なるコスト削減を目的としたものではないことから、中止する考えはありません。
 次に公契約条例についてですが、建設業界をはじめ、人手不足の影響が出てきていることは認識しており、区としては、これまでも債務負担行為を活用した工期の平準化などに努めております。また、10月からは一部に電子契約の導入を進めることで事務負担の軽減を図っており、今後、このような人材確保に資する取り組みは一層重要になっていくものと考えております。
 また、最低賃金を上回る賃金を公契約条例に規定することについて、国は過去に「内容によるものの最低賃金法上の問題はない」との答弁をしていますが、本区では一定の労働環境の確認を行っており、労働環境整備は国が一義的に対応すべきであるため、現時点で制定の予定はありません。
 次に、区立幼稚園の廃園についてですが、基本方針においては、園児数減少のなかでも、幼稚園における幼児教育への期待に応えていくため、私立幼稚園を含めて地域バランスを考慮した配置となるよう計画しております。
 また、存続園に特別支援教育専任コーディネーターを配置し、支援が必要なこどもの全区的な受け入れ態勢を整備することから、方針を撤回する考えはございません。

 次に、新庁舎建設についてのご質問にお答えします。
 まず、必要性についてです。
 本区庁舎は建設から50年以上が経過し、建物・設備ともに経年劣化が進行していることに加え、浸水リスクへの対応や狭隘化に伴う窓口機能の分散など課題が多岐にわたり、部分的な改修ではこれらの課題を根本的に解決することは困難となっております。そのため、新庁舎建設の必要性については、公募区民等も含む新庁舎建設基本構想策定会議においても、将来の区民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには必要であると整理されたところであります。
 次に、基本的な考え方についてです。
 庁舎を含め全ての公共施設については、必要かつ十分な機能を持ちつつ、経済的・合理的なものであるべきと認識しております。そのため、ライフサイクルコストの低減も含め、経済的・合理的な庁舎となるよう、建設基本構想においても5つの基本理念の一つとして「長期的な財政負担に配慮するとともに時代の変化に柔軟に対応するかわりつづける庁舎」を掲げているところです。
 次に、防災センターについてです。
 防災センターは竣工以来、大規模な改修は未実施な状況であり、新庁舎建設後の概ね10年後には、改修の適期を迎えることとなります。改修には一定の費用を要することが見込まれる一方、電気室・発電気室を上階に移す防災対策については、建物の構造耐力上、現在の機能を維持したまま実施することは困難であると認識しております。
 また、本庁舎と防災センターを今後も別棟としていくことは、大規模災害発生時の災害対策本部機能として、多くの課題を後年に残すものであり、新庁舎が具備すべき危機管理上の機能を鑑みると、防災センター機能を内包し、一体的な運用が可能な庁舎整備が必要であると考えております。
 次に、規模と複合化についてです。
 まず、規模についてですが、新庁舎は行政サービスを効率的かつ効果的に提供していくほか、区民の憩いや活動のための場所となることも目指しております。
 このため、にぎわいの創出にもつながる機能を一定程度備えることは必要であると考えております。
 また、複合化については庁舎機能との親和性を重視した検討が必要である一方、歳入歳出を含めた事業費への影響も踏まえながら、検討を進めてまいります。
 次に、事業手法についてです。
 従来手法は、設計の際に区民や議会の意向を反映しやすい利点がある一方、民間に委ねることで創出できる効率性を発揮できない傾向にあります。一方、官民連携手法は民間ノウハウの活用の幅は広がりますが、契約が複雑化し、契約準備期間が長期化するといった傾向にあります。そのため、事業手法については、様々な手法を比較検討しつつ、最適な手法を選択してまいります。
 庁舎整備にあたっては、建設基本構想に定めた基本方針に基づき、「多様な区民が交流する場」となるよう、今後もワークショップ等、様々な区民参加の機会を通じて、区民とともにつくる、区民に親しまれる新庁舎となるよう検討を進めていく所存であります。

 次に、子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、教育費負担の軽減についてです。学用品については、児童・生徒個人の所有物で、学校と家庭のいずれでも使用でき、その利益が直接児童・生徒に還元されるものとして、各家庭での購入としておりますが、保護者の負担を軽減するため、必要な使用教材等の見直しに取り組んでおります。
 学用品費等については義務教育の無償制度の範囲ではありませんが、修学旅行費や副教材費を無償化する自治体があることは認識しております。本区では、これらの経費を経済的に困難な世帯に対する就学援助の対象としており、これらの無償化については制度として実施する予定はありません。
 次に、こどもの朝の居場所づくりについてです。
 保護者が登校時間前に出勤するため、児童の朝の居場所づくりに取り組んでいる自治体があることは把握しております。しかし、教員の勤務時間前に居場所づくりを行うことは、学校が本来担うべき業務にはあたらず、実施に際しては見守り等を行う人員が別途必要となることから、確実な人員の確保に課題があると考えております。また、入校者の把握や登校時の安全確保などの課題もあることから、先行事例を調査研究するとともに、東京都において区市町村の取り組みを後押しする方策について検討するとのことであるため、今後の都の動向を注視してまいります。
 次に、児童相談所の整備についてのうち、区児童相談所開設の基本的な考え方についてです。
 現在都と区の二元体制で虐待対応を行っていることから、通告先が複数あることでの非効率や、都と区の認識の相違などの課題が生じていると認識しております。このため、区の児童相談所と養育支援課、子ども家庭支援センターを同じ建物に集約することで、迅速で一貫した対応と共に虐待の未然防止から再発の予防まで幅広い支援を行うことが可能になると考えております。
 次に、職員の確保については、年度ごとの採用目標を作成した上で、計画的な新規採用や公募制人事制度による既存職員の活用を図っております。また、育成の面では、庁内研修会の実施や他自治体の児童相談所への派遣研修などを行い計画的に進めているところです。しかし、現状では専門職の確保は決して楽観視できる状況ではないため、様々な人材確保策について検討してまいります。なお、スーパーバイザーは経験者採用制度の活用により必要な人材を確保し、また、開設後の職員の異動等の対策については、今後庁内で検討してまいります。
 次に、社会的養護施設の整備についてです。現在国は、家庭養育優先の原則を打ち出しており、区としましても、周知・啓発により里親を増やす努力を続けておりますが、都内の東部地域は西部地域に比べて児童養護施設が少ないことを鑑みると、今後できる限り小規模で家庭的な養育環境を確保できる施設整備の必要性についても、検討すべき課題と認識しております。

 次に、障害者支援についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、障害者入所施設、グループホームの整備についてでございます。
 本区では、障害のある方が、いわゆる「親亡き後」も、地域で安心して暮らすための環境整備は重要な課題であると認識しており、長期計画において、「障害者施設の整備・充実」を取組方針の一つとし、取り組みを進めてまいりました。
 障害のある方や、ご家族が希望する住まいの確保に係る区の認識についてですが、事業所が相談業務を行う中で、入所が必要な場合には、障害特性や利用者のご希望を勘案し、可能な限り近い施設を探しており、グループホームを含む施設の入所者数は、都内が最も多く、次いで千葉県が多い状況となっております。
 日中サービス支援型障害者グループホームは、23区内で3施設のみとなっており、都の計画でも、重度障害者の受入れが可能なグループホームは十分ではないとされている中、整備地の確保等の課題への対応を図りながら、引き続き整備に取り組んでまいります。
 次に、入所施設等の待機者数と実態を把握し支援につなげるべきとのお尋ねですが、将来への備えとして入所を希望する例など真に入所を希望する方の把握が難しいと考えている一方、入所が必要な場合については、区外・都外を含め受入れ先を探し、グループホーム等の利用に至っております。
 次に、入所施設の増設、グループホームの整備目標の引き上げについてですが、国の基本指針に明記されている、「入所から地域生活への移行」という基本理念に基づき、本区では、入所施設を増設する考えはございません。また、グループホームにつきましては、現在の長期計画に基づき着実な整備を図ってまいります。
 次に、国に対する報酬の改善や、都に対する居住支援特別手当の拡充および経験年数に応じた昇給のための補助を求めるべきとのお尋ねですが、報酬に関しては、令和6年度の報酬改定において、物価高騰や賃金上昇等を踏まえた改定がなされたばかりであり、引き続き動向を注視してまいります。
 また、都が実施する居住支援特別手当や昇給のための補助につきましては、都において制度構築するものであり、その内容を注視してまいります。
 次に、事業所への物価高騰支援についてでございます。
 都が、補正予算において、障害者施設等物価高騰緊急対策事業を実施することを踏まえ、本区におきましても、第四回区議会定例会に提出を予定している補正予算案において、当該事業の対象外となる区内の地域活動支援センター等への、区独自の緊急的支援の実施について、既に検討を進めております。
 次に、震災等緊急時の対応についてのご質問のうち、福祉避難所の受入れ体制構築への支援についてでございます。
 すでに、福祉避難所として協定を締結している施設と協議を行っており、発災時に、福祉避難所として開設するための体制づくりの検討を進めております。
 次に、障害当事者の防災関係の計画づくりへの参加についてでございます。
 これまでも、研修会等の機会を通じていただいた、障害当事者や団体の方々からのご意見等を踏まえ計画づくりに取り組んでおり、今後も、機会を捉え、ご意見等をいただきながら、計画の改定や修正に取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

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2024年第3回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問いたします。

  1. 区内中小業者への支援強化について
  2. 本区の福祉施策について
  3. 西大島駅前・大島三丁目1番地地区市街地再開発事業について

 大綱1点目は、区内中小業者への支援強化についてです。
 初めに、区内中小業者をめぐる状況についてです。
 物価高騰が続く下で、建設業をはじめ、中小企業の倒産が増大、本区の中小企業景況調査でも、卸売業に改善が見られるものの、製造・小売・サービスの3業種は景況悪化が続き、事業所数も減少しています。
 中の橋商店街近隣で30年以上続いた飲食店が、売上げが回復せず、物価高騰と家賃支払いに耐え切れず閉店、中の橋商店街でも閉店する店舗が増えています。町場の建設事業者の廃業も目立つなど、中小業者に対する区の手厚い支援が急務です。区内中小業者の現状と支援強化の必要性について、区の見解を伺います。
 区の融資制度について伺います。
 区内中小事業者団体に加入の飲食店業者が、物価高騰と月18万円の家賃負担が重く、資金繰りが困難となり、区の原油価格・物価高騰対策資金融資を申請いたしました。区の審査は通ったものの、区内3か所の金融機関で、いずれも売上げ減少を理由に融資を断られ、苦境に追い込まれました。こうした事態を受け、中小業者団体からは、事業継続に向けた区の融資制度の拡充を求める声が上がっています。
 これから年末を控え、いかに中小業者の事業継続を支えるのか、区の窓口業務の対応を含め、区の姿勢が問われていると考えますが、区の認識を伺います。
 事業継続に向け、以下の点について直ちに実施することを求めます。
 区の融資制度に対する金融機関の対応を把握し、融資支援強化の申入れや区の預託金増額など、金融機関の融資が受けられるよう環境整備を図ること。
 区として、東京都信用保証協会に対し、事業継続に向けた支援強化を行うよう要請すること。
 現在、実施中の原油価格・物価高騰対策資金融資は、1年間となっている返済据置き期間を延長して、また、利子負担の全額補助を求めます。また、今年度末で終了となっている受付期間の延長を求めます。伺います。
 区内中小業者への支援強化についてです。
 区はこの間、物価高騰支援として運送事業者への補助を実施。また、区内全事業所を対象にした燃料代補助を実施しましたが、1度きりの補助にとどまっています。
 中小業者は地域経済を担う主役であり、これ以上の倒産・廃業を増やしてはなりません。事業継続に向けた支援強化として、事業所や店舗への家賃補助など、固定経費に対する補助を継続して行うこと。生鮮三品小売店支援事業は、対象事業を中小事業者の全店舗に拡大すること。地域経済活性化に向け、経済効果が大きい住宅リフォーム助成を実施すること。また、キャッシュレス決済を行っている小売店・事業者からは、クレジット会社に支払う手数料負担が重いとの声が上がっています。手数料への補助を求めます。伺います。
 公契約条例について伺います。
 区が発注する工事や業務委託などにおいて、適正単価に基づく請負契約の適正化と現場労働者の適正な賃金確保、処遇改善を図ることなどを主な目的として、23区のうち13区が公契約条例を制定しました。近隣区では江戸川区、墨田区が実施。今年6月には文京区で全議員が賛成して制定されました。
 いずれも実施区では、労働者や事業者、学者などで構成する審議会を設置し、条例の運用ルールを定め、請負契約の適正化、賃金水準の確保と処遇改善への努力が行われています。
 区はこれまで、労働者の賃金等は国が決めるものとして条例制定に背を向けてきました。しかし、実施区が多数となる下で、地域から適正な賃金水準等の形成とともに、区内業者の健全育成や地域経済活性化が期待されるなど、条例制定の意義は極めて大きいと考えます。区として、条例制定に向け、関係団体との調整・検討を進めることを強く求めるものです。伺います。

 大綱2点目は、本区の福祉施策についてです。
 初めに、特別障害者手当について伺います。
 重度の障害があるため、日常生活において常時介護が必要な20歳以上の方に、国の制度として月額2万8,840円支給される特別障害者手当があります。長年、同手当の申請に必要な診断書を作成してきた医師によれば、要介護3以上の人は対象になる可能性があると指摘しています。本区では約6,000人です。
 今年8月のこうとう区報に特別障害者手当の申請手続が掲載されました。障害者手帳がなくても申請できる、と記載したことは評価しますが、さらなる改善が必要です。特別養護老人ホーム入所者は支給対象外とした上で、「短期の施設入所、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホーム入所者は支給対象」と明記するなど、申請者の立場に立ち、分かりやすく周知することを求めます。
 また、介護保険の要介護認定書の通知送付に当たっては、特別障害者手当の支給対象になる可能性があることを周知するとともに、長寿サポートセンターでも周知することを求めます。併せて伺います。
 次に、本区の心身障害者福祉手当についてです。
 同手当の支給対象は20歳以上の方で、身体障害者手帳1・2級と愛の手帳1から3度、東京都の難病医療費等助成認定者は月額1万5,500円が支給されます。また、身体障害者3級と愛の手帳4度は月額7,750円の支給です。
 介護保険実施以降、65歳以上の新規申請については、同手当の支給対象から除外され、現在に至っています。高齢者からは、65歳以上の新規申請を除外するのは差別だとの声が上がっています。新規65歳以上も支給対象とするべきです。
 また、同手当は支給額が28年間変わっていません。消費税増税や社会保険料の負担増、物価高騰に見合う支給額の引上げを行うべきです。併せて伺います。
 高齢者世帯等へのエアコン設置助成と電気代補助について伺います。
 気候変動の下、今夏も連日猛暑が続き、熱中症による救急搬送が増加しています。今年、23区の熱中症死亡者は、6月から8月末で昨年を上回る248人、9割が室内の死亡で、大半が高齢者です。
 昨年の熱中症死亡者のエアコン利用状況は、エアコンなしが約3割、設置してあるが利用していないが約6割で、9割がエアコンの未利用によるものです。先日、区内都営住宅で亡くなった老夫婦も、エアコンは設置されていましたが未利用でした。今年の猛暑は災害級であり、命に関わる問題となっています。
 本区では、低所得高齢者世帯のうち、約800世帯がエアコン未設置と思われます。エアコン未設置の生活保護世帯や高齢者世帯等にエアコン設置助成の実施とともに、エアコンが故障中の買換えにも助成することを求めます。
 物価高騰下、電気代も値上がりし、電気代が払えないなど、エアコンを利用しない大きな理由になっています。生活保護世帯を含め、高齢者世帯等に電気代補助も併せて行うことを求めます。伺います。
 高齢者補聴器支給事業についてです。
 本区では、補聴器購入予定者に対し、1回1台に限り3万円相当の補聴器を現物支給、または購入費用に対して3万円を上限に助成しています。令和5年度の助成件数は723件で、前年度より89件増加、購入費助成が増加傾向となっています。
 今年度、東京都が、加齢性難聴のコミュニケーション機会の確保や、介護予防につなげるなどを目的に、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を開始しました。65歳以上、住民税非課税者が14万4,900円、住民税課税者は7万2,450円を補助します。既に荒川区は、所得要件なしで7万2,450円の購入費補助を実施しています。
 本区でも都の事業を活用し、補助額引上げを求めます。また、買換え時の補助や電池代補助も併せて実施することを求めます。伺います。

 大綱3点目は、西大島駅前・大島三丁目1番地地区市街地再開発事業についてです。
 この計画案は、高さ156メートル、42階建て、700戸のタワーマンションを中心とし、都税事務所と城東保健相談所の建て替え等を含むもので、開発区域内の地権者及び野村不動産、三菱地所などによる大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合が進めるものです。
 この間、本区の都市計画マスタープラン改定により、城東地域は荒川氾濫を想定した浸水対応型のまちづくりに指定されたことから、準備組合は区と協議し、同計画案を浸水対応型に変更しました。
 そこには、荒川氾濫時5メートルの浸水対応として、1階の階高を6メートルとし、2階の公共施設側に垂直避難用デッキを配置。また、当初1階だった保健相談所が2階に、2階・3階だった都税事務所は3階・4階に変更。さらに、2階の公共施設内には避難所や備蓄倉庫等を配置するとしています。
 本事業の浸水対応型計画について伺います。
 本計画での避難所スペースは約350人で、備蓄も一、二週間程度と伺っています。一方、都の想定では、大島地域の大半が4メートルから5メートル浸水し、浸水期間は3週間以上も続くとしています。
 近隣住民の避難者に加え、タワーマンション700世帯の住民も、下水などライフラインが長期間使用不能となれば、避難所生活の可能性があり、350人程度の避難所では不十分だと考えます。避難所スペースの拡大と、長期避難生活に向けて備蓄物資を拡充すること。また、災害時要援護者の受入れを含め、区の職員体制の確保を図るなど、指定避難所に位置づけて整備することを求めます。
 さらに、タワーマンション住民が災害時ボランティアとなり、近隣住民や区とも連携し、地域の防災センターとしての機能発揮など、安心・安全のまちづくりとなる計画にするべきと考えますが、区の見解を伺います。
 区はまちの浸水を前提にしていますが、荒川の氾濫防止に向けた堤防強化こそ急務です。区内荒川堤防の葛西橋西詰際に存在する一部未耐震部分の液状化対策など、早期耐震化を求めます。同時に、荒川堤防の耐越水強化など、区として国に強く求めるべきです。伺います。
 次に、本事業におけるタワーマンションについてです。
 市街地再開発事業の目的は、乱開発防止に向け、一定のまちづくり方針をもって制限を加え、公共の福祉に寄与することです。建物の高度利用についても、健全性の確保が前提であり、開発事業者の利益最優先であってはなりません。
 この間、3回の住民説明会、地域連絡調整会が開かれ、住民からタワーマンションの建物高さを下げてほしいとの声が上がり、当初50階建てから42階建てに変更となりました。
 7月10日、4回目の地域連絡調整会が開かれ、住民からの、公共施設が不十分、建物高さは42階のままなのか、などの意見に対し、準備組合は、タワーマンションの建物高さは変更しない姿勢です。近隣周辺の建物は14階以下が大半を占めています。本事業の整備方針にも、建物高さについては、周辺建物とバランスを考慮する、としています。
 タワーマンションの建物高さを見直すなど、多くの住民が合意できる内容で事業が行われるよう、区がその役割を果たすことを求め、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 菅谷俊一議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、区内中小業者への支援強化についてのうち、区内中小業者の現状と支援強化の必要性についてでございます。
 賃上げの広がりなど、長引くデフレからの脱却に向けた明るい兆しが見えつつあるものの、区長就任以来、様々な機会を通じて区内中小企業の状況をお聞きした中では、エネルギー価格や物価の高騰、円安、人手不足等により、いまだ厳しい状況が続いていると認識してございます。
 区では、これまでも区内中小企業が社会経済状況の変化に対応できるよう、経営相談等による支援のほか、様々な融資・補助制度を創設し、資金繰りや売上げアップ、経営課題の改善等を支援してまいりました。引き続き、経済状況を注視しながら、区内中小企業にとって必要な支援を検討してまいります。
 次に、区の融資制度についてのうち、中小企業の事業継続支援に対する区の認識についてでございます。
 融資制度は、毎年、利用状況や今後の経済状況の見通し等を精査の上、専門家による経営相談や窓口での事業者の声も丁寧に聞き取りながら、より利用しやすい制度の拡充に努めており、今後も区内中小企業に寄り添いながら事業継続を支えてまいります。
 次に、制度融資の改善についてですが、金融機関及び東京信用保証協会には区制度の趣旨を御理解いただき、区としても、融資の実施状況も含め、情報共有や意見交換をしながら事業を進めております。引き続き、区内中小企業が制度を活用することで、より経営の改善・安定を図れるよう、環境整備に努めてまいります。
 また、原油価格・物価高騰対策資金の融資条件については、現状で適当と考えており、条件を緩和する考えはございません。
 なお、次年度以降の制度の継続については、社会経済状況等を考慮の上、慎重に検討してまいります。
 次に、支援の強化についてです。
 家賃補助や生鮮三品小売店支援事業の対象拡大、住宅リフォーム助成の実施については、今年度、エネルギー価格高騰対策補助金により、業種を問わず広く区内事業者の経営を支援しており、現時点で制度創設の考えはございません。
 なお、エネルギー価格高騰対策補助金の継続実施につきましては、エネルギー価格の状況や区の財政負担等も踏まえ、慎重に検討してまいります。
 また、キャッシュレス決済については、区内中小企業のキャッシュレス化への支援として、関連機器購入代金等を対象とする補助事業を既に実施しており、決済手数料に対する補助の実施は考えてございません。
 次に、公契約条例についてでございます。
 区としては、これまで御答弁いたしましたとおり、適正な労働環境整備は一義的に国が対応すべきと考えてございますため、現時点で条例制定の予定はございません。しかしながら、一定の工事や人件費が主となる業務委託については、労働に関する法律遵守の誓約書提出を求めるほか、令和5年4月より、主に予定価格が3,000万円を超える工事について、労働環境報告書による確認と一部対象案件への社会保険労務士による詳細な調査など、労働環境の向上に資する取組に努めているところです。
 引き続き、適正な契約履行の確保に向け、意見聴取や情報収集を行ってまいります。
 その他の御質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、福祉施策についての質問にお答えいたします。
 初めに、特別障害者手当についてであります。
 特別障害者手当は国の制度であることから、国の周知内容に倣いながら周知をしてきております。今年度においては、区報、ホームページにおいて、対象となる可能性がある方に申請いただけるよう内容を見直し、要件を追加記載したところです。
 また、介護保険の認定通知送付時や長寿サポートセンターでの周知につきましては、介護認定を受けていても、判定医の診断により特別障害手当の対象とならない方がいることから、介護保険課窓口や長寿サポートセンターにおいて手当に関する問合せがあった際には、障害者支援課を案内し、所管課が責任を持って丁寧に対応しております。引き続き、適切な対応を行ってまいります。
 次に、本区の心身障害者福祉手当についてであります。
 心身障害者福祉手当における65歳以上の方の新規受付につきましては、平成12年に介護保険制度が導入された際に対象除外としておりますが、介護保険サービスの給付が受けられるほか、必要に応じて障害福祉サービスも利用できることから、新規の65歳以上の方を対象とする考えはございません。
 また、手当の増額につきましては、現在支給している金額は近隣区と同水準であることから、引き上げる予定はございません。
 次に、高齢者世帯へのエアコン設置助成と電気代補助についてであります。
 まず、エアコンの設置助成についてでありますが、区では、高齢者に対する熱中症対策として、注意喚起や予防対策等の周知のほか、公共施設におけるクーリングシェルターや高齢者施設を猛暑時の休憩所として開放するなど、対策に取り組んでいるところです。また、エアコンを設置していながら使用していない方もおり、熱中症の予防法やエアコンの適切な利用について、周知の徹底に努めております。
 しかしながら、近年の夏の異常な暑さを踏まえ、経済的な理由でエアコンを所有することができない高齢世帯への支援等も含め、熱中症対策の強化を検討しているところです。
 また、電気代補助について、現段階で実施の予定はありませんが、区はこれまで低所得者世帯への給付金や、物価高騰対策としてプレミアム付区内共通商品券の発行のほか、高齢者福祉施策の推進など、生活を支える取組をしており、引き続き、区民に寄り添った支援の充実に取り組んでまいります。
 次に、高齢者補聴器支給事業についてでありますが、東京都において、今年度、新規事業で高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を開始したことを受け、他区において所得要件の緩和、助成金額を引き上げている区があることは認識しております。
 本区においても、現在、助成金額の拡大、所得要件の緩和、補聴器の更新にかかる費用の助成について、その在り方を検討しているところです。
 現時点では、補聴器の電池購入にかかる経費は東京都の補助対象となっていないことから、助成対象とする考えはありませんが、制度の検討に当たっては、現行制度との整合を図るため、聴覚検診などで事業協力いただいている江東区医師会等から助言をいただきながら、調整を進めていきたいと考えております。

 次に、西大島駅前・大島三丁目1番地地区市街地再開発事業についてのうち、本事業の浸水対応型計画についてです。
 お尋ねの避難所機能の強化についてですが、本年7月に本事業の再開発の準備組合から区に提出された計画では、屋外デッキ等を活用した浸水直後の一時的な垂直避難場所としての避難スペースを設けることとしております。しかし、区では、避難の長期化が見込まれる場合は、地域防災計画に基づき、被災者は小中学校などの地域の指定避難所での受入れを想定しております。
 区では、この指定避難所の環境整備について、要配慮者の受入れも想定した備蓄物資の充実や職員体制の整備に努めているところです。そのため、現時点で本事業による施設建築物を地域の防災センターや指定避難所とする考えはありませんが、このような民間が設置する避難スペースと区との連携については、現在検討を進めております。
 また、荒川堤防の葛西橋西詰際のアクセス坂路における液状化対策の未実施箇所についてですが、荒川は本区の水防計画において最重要施設であることから、国に対し、堤防の液状化対策を含めた耐震対策の早期実施をはじめ、発災時の緊急復旧対応についても要望しているところです。
 なお、耐越水化に向けた荒川堤防の強化については、国が示す高規格堤防の整備が必要であります。現在、国の河川整備計画では、特別区の区域内の堤防は全て高規格堤防の区間としておりますが、まずは堤防高が確保できていない京成本線周辺を、リスクの高い箇所として優先的に堤防嵩上げ事業を実施しているところです。
 区といたしましては、国に対し、引き続き東京都や関連区と連携し、荒川の総合治水対策を求めてまいります。
 次に、本事業のタワーマンションについてですが、建築物の高さについては、市街地再開発事業として地権者の生活再建や公共施設、地域貢献施設などの整備を考慮した現段階の事業収支等に基づき、準備組合が計画したものであります。
 区としては、本事業の計画の精査を行うとともに、これに基づく建築物の高さ等について、地域の方々の理解が得られるよう、引き続き準備組合に対して指導してまいります。
 また、地域の合意形成についてですが、準備組合は、平成30年に区が策定した「西大島地域まちづくり方針」に即し、地権者と周辺住民で構成する地域連絡調整会を設置し、令和2年から計4回開催するなど、地域と幅広く意見を交わし、まちづくりの方向性に反映してきました。
 準備組合の提案は、地域の方々の意見を踏まえ、また、地域防災計画及び都市計画マスタープランにも即したものと捉えており、今後は区が主体となって地域との意見交換や説明会等を行った上で、行政計画としてのまちづくり方針を策定する考えであります。
 引き続き、地域の理解が得られる事業計画となるよう、話合いの積み重ねなど、準備組合を指導してまいります。

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2024年第3回定例会―赤羽目たみお議員

日本共産党区議団を代表し、大綱4点について質問します。

  • 区民の暮らしと区政運営について
  • 子育て支援について
  • 防災対策について
  • 介護・医療問題について

 1点目は、区民の暮らしと区政運営についてです。
 深刻な物価高と社会保障の負担増に加え、主食の米が入手困難で価格がつり上がり、家計に大打撃を与えています。中小業者から、「原材料の高騰で売上げは激減。赤字続きで経営が苦しい」と切実な声が上がっています。低年金で暮らす高齢者世帯からは、「医療や介護の負担増で、家賃が払えない」と支援を求め、子育て世帯からは、「給食費が無料になっても教材費等の負担が重い」という声が寄せられ、若者は、「奨学金の返済が厳しい」と悲鳴を上げています。
 区長は、全世代に責任を持ち、区民の声を聞き、区政に生かしていくと述べていますが、区民の暮らしの声をどう受け止め、どのようにして暮らしを支えていくのか、伺います。
 区は、今年4月から、困難な問題を抱える女性への支援法に基づき、生活応援課を立ち上げ、DV対応やひとり親支援などを行っています。多くの区民が生活困難を抱えており、支援対象を限定せず生活全般を支える取組が必要です。あらゆる困難に対応できる全庁横断型のワンストップ窓口を設置して、「困った時は生活応援課へ」と記載したポスターを公共施設に貼り出すなど、区民の暮らしに寄り添った支援策の拡充を図るべきです。伺います。
 区民が悲鳴を上げている中、江東区の2023年度決算は、一般会計の黒字額は約90億円、基金は前年度決算時点と比べ144億円増え、総額は2,006億円に膨らんでいます。
 ため込みの一方、国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料を値上げし、厳しい暮らしに追い打ちをかけたことは許されません。ため込み型でなく、区民の暮らしを下支えする財政運営に転換すべきと考えますが、見解を伺います。
 区の役割は、区民福祉の向上です。潤沢な基金を活用するなどして、中小業者に対し継続的な燃料代補助を実施するとともに、原油価格・物価高騰対策融資の拡充を図るなど、資金繰りを緊急支援すべきです。
 子育て支援では、品川区に続き葛飾区が実施を表明した小中学校の教材費の無償化を、本区でも行うことや、給付型奨学金の対象拡大、奨学金返済助成を実施することを求めます。さらに、低所得の高齢者や若者世帯への家賃助成など、暮らしと営業を支える施策を行うべきです。伺います。
 区は、行財政改革と称し、現在16園ある区立幼稚園を今後3年間で9園廃止するとしています。区が行ったパブリックコメントに、「廃園されると歩いて通えなくなる」、「こどもの居場所がなくなってしまう」など、存続を求める声が多数寄せられています。区は、廃園の理由として、入園児の減少や園児1人当たりの経費増大を挙げていますが、区立園は、発達障害など、支援を必要とするこどもたちの大事な受皿となっています。さらに、公立・私立とも少人数で、一人一人のこどもに応じた幼児教育の質の向上こそ必要ではないでしょうか。子育て支援にも逆行する区立幼稚園の廃止計画は撤回すべきです。伺います。
 人口や行政需要の増加に伴って業務量が増大しているにもかかわらず、正規職員の削減を続けてきたため、人口1,000人当たりの職員数は4.9人で、23区平均6.6人を大きく下回り、23区中最下位です。そのため、長時間過密労働が慢性化しており、中途退職や心身を壊し長期休職する職員が増加しています。
 区は、2,715名と正規職員の上限を定めていますが、現場の実態と大きく乖離しています。今後の児童相談所の開設や災害時対応の職員増を踏まえ、上限を定めた少数精鋭の定員適正化計画は抜本的に見直し、現場や職員組合が求めている正規職員の大幅増員に応えるべきではないでしょうか、伺います。
 正規職員が減らされた結果、区職員の4割は不安定、低賃金の会計年度任用職員となっており、賃上げと処遇の改善が強く求められています。
 東京都の最低賃金は、今年10月に1,113円から1,163円に引き上げられることになり、本区の会計年度任用職員の賃金である時給1,165円に迫っています。会計年度任用職員の方から、「最低賃金に近い今の時給では、物価上昇の中で生活が苦しくなるばかり」と切実な声が上がっており、労働組合は時給を1,500円以上に引き上げることを求めています。区はこうした声に応え、会計年度任用職員の時給を引き上げるべきです。伺います。
 本年6月、総務省の会計年度任用職員マニュアルが改定され、契約回数の上限が撤廃されました。区はこれを受けて、契約回数の上限を撤廃し、無期限の任用に改めるべきです。また、昇給制度を導入し、処遇の改善、雇用の安定を図るよう求めます。伺います。

 大綱2点目は、子育て支援についてです。
 まず、児童虐待対策について伺います。
 近年、全国で痛ましい事件・事故が後を絶ちません。以前には本区でも死亡事例が発生していることから、養育に課題を抱える家庭やこどもに寄り添い、安心して暮らせる環境の整備が望まれます。
 一方、本区の虐待の対応件数は、2018年の約500件からこの5年間で約1,000件へと倍増していますが、現状に対する区の認識について伺います。
 児童虐待の未然防止と早期発見・早期対応を図るため、区内4か所の子ども家庭支援センターに見守り支援ワーカーが配置され、育児に不安を抱える家庭への支援を行っています。支援を必要とする家庭は年々増加し、昨年は200件以上、ワーカー1人当たり30件ほど抱えており、きめ細かい支援が困難な状況となっています。こどもや保護者のSOSを受け止め、養育を支援するため、8か所全ての子ども家庭支援センターに早期に配置すべきです。伺います。
 次に、児童相談所の設置についてです。
 こどもたちを守る児童相談所の開設が望まれており、本区は区立児童相談所を開設するため準備を進めています。昨年10月に策定した児童相談所基本構想には、開設時期は明示されておらず、職員の確保や育成が課題としています。児童相談所開設には150名以上の職員確保が必要となり、先行した自治体は、開設後も職員の確保が一番の課題と聞いています。本区は、人材の確保、育成についてどのように取り組んでいくのでしょうか、伺います。
 児童養護施設など、児童相談所での一時保護後の受入先の確保も大きな課題となっています。施設関係者は、「東京東部は施設が不足しているため、遠方に入所となり、親子間の関係修復に支障が出る」、「区内に入所施設ができれば、24時間対応の相談窓口やショートステイなど、手厚い子育て支援が可能となる」と指摘しています。
 江戸川区や荒川区は、児童養護施設を区独自に誘致しました。本区としても、長期計画に位置づけ、独自に確保する必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、こどもの権利条例についてです。
 江東区は、こどもの権利に関する条例を、2025年4月1日の条例施行を目指し検討を進めています。安心して生きる権利や自分らしく生きる権利、豊かに育つ権利、自分の意見を表明する権利は、こどもにとって大切な権利であり、とりわけ意見表明権の保障や権利擁護が求められています。
 私たち共産党区議団が視察した愛知県豊田市は、2007年にこども条例を制定、こどもの声を聞くことに注力し、条例に「子ども会議」を規定して、毎年テーマごとに議論を行い、まとめた意見は市に提言をして施策の展開を図っています。区の条例にも「子ども会議」を盛り込むなど、こどもたちの意見を表明する場を保障すべきです。伺います。
 豊田市は、こどもたちの権利擁護のため相談窓口を設置しています。この窓口は、こどもが安心して相談できるよう、学校、保育園、児童館などとは独立した第三者機関が運営に当たっています。先進的事例に学び、こどもの権利相談窓口を設置すべきと考えますが、見解を伺います。
 こどもの権利について、こども自身が学習することは重要です。さらに、保護者をはじめ、教員やきっずクラブの職員、保育士など、こどもに関わる大人たちの学ぶ機会を広げていくことが求められます。パンフレットやポスターを作成・普及するなど、こどもの権利についての周知、啓発を進めるべきです。伺います。

 大綱3点目、防災対策について伺います。
 本年元日に発生した能登半島地震は、大きな被害をもたらしました。また、地球温暖化の影響で自然災害は激甚化しており、防災対策の強化は急務です。
 今年3月に公表された事業継続計画では、職員用の水や食料の備蓄は不十分な上、トイレの備蓄はありません。区は今後の課題としていますが、いまだに増強されていません。急いで備蓄すべきです。伺います。
 本計画の改定で、発災後3日間は、避難所運営など、区民の生命・財産を守る非常時優先業務に当たる職員の3割、約800人が参集できないことが判明しました。区は、協定を締結している自治体や民間企業からの応援で対応するとしていますが、発災直後は区内企業も被災しており、他自治体からもすぐに力を借りることは困難と考えます。
 能登半島地震では、人材不足から被災住民の救護活動、避難所の開設・運営、インフラの復旧などが大幅に遅れました。このことを教訓にして職員を早急に確保すべきです。伺います。
 また、災害時協定を大田原市、秩父市、沼津市の3市と結んでいますが、支援内容の具体化に向け協議を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、災害弱者対策の拡充について伺います。
 まず、福祉避難所についてです。
 高齢者や障害者など、避難行動に支援を必要としている区民のうち、要介護3から5までの方は約3,600人、重度の障害者1,700人ほどが、災害時に福祉避難所への避難を希望すると考えられますが、区と協定を結んでいる福祉避難所は25施設しかなく、受入可能人数は数百人程度とあまりにも不足しています。
 一方、阪神・淡路大震災や豪雨水害を経験した京都市は、福祉避難所の重要性を認識し、平成25年に現場の職員を含めたワーキンググループを設置して、福祉避難所運営ガイドラインの策定、事業者に要配慮者の受入れを働きかけ、現在では300か所以上の施設を確保しています。昨年も台風による豪雨災害に襲われましたが、避難者の間に大きな混乱は起きなかったと聞いています。
 江東区でも、ワーキンググループを立ち上げて福祉避難所の運営ガイドラインをつくるなど、長期計画に福祉避難所の整備を位置づけ、計画的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、京都市は取組を進め、今年4月から、福祉避難所に指定されている施設に自宅から直接避難できる仕組みを導入しています。本区としても、検討段階にとどめず、直接避難ができる仕組みをつくるべきです。伺います。
 平成29年の水防法改正により、地域防災計画に掲載されている浸水想定区域内の障害者施設や介護施設などには、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務づけられています。今年8月現在、対象752施設中、避難確保計画は9割の施設が策定しているのに対し、避難訓練の実施状況は4割にとどまっています。避難訓練未実施の施設に対し、アンケート調査を実施するなど、進まない原因を把握し、必要な支援を行うべきと思いますが、区の所見を伺います。
 高齢者や障害者など、避難時に支援が必要な方のうち、2万5,000人が個別避難計画の作成を希望していますが、約1万6,000人の計画ができていません。今年度から福祉専門職を配置し、計画の作成を推進するとしていますが、何ら進展が見られません。何が課題で進んでいないのか、今後の取組と併せて伺います。

 大綱4点目は、介護・医療問題についてです。
 初めに、介護報酬について伺います。
 今年度は介護報酬の改定が行われ、訪問介護の基本報酬が減額されました。訪問介護事業所は、ホームヘルパーの人手不足や高齢化の影響で、倒産件数はコロナ禍を超え急増しています。区内の関係者は、必要な介助ができなくなり、区民の暮らしに深刻な影響を与えると怒りの声を上げています。
 区は、「処遇改善加算を取得すれば改定前の報酬が確保される」と答弁してきましたが、処遇改善加算でプラスになるのは、今まで取得してこなかった事業所だけで、大半が減額となり、各種加算は利用料に跳ね返ることから、利用控えが起きていると聞いています。報酬引下げの影響についてどう認識していますか。このままでは在宅介護の崩壊を招きかねません。訪問介護事業所に対し、区としても運営費補助を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、介護人材の確保についてです。
 介護現場から「求人を出しても応募がない」、「職員が定着しない」などの声が上がっており、人材確保策の強化が求められています。
 現在、区と都が実施している宿舎借上支援事業は、最大で家賃の8分の7、8万2,000円の補助が受けられます。しかし、対象約450施設に対し、利用は15件にとどまっており、本事業を知らない事業者が多いのが実情です。介護保険運営協議会で案内チラシを配布するなど、事業の周知徹底を図るべきです。さらに、求人サイト登録料に補助を行うなど、介護人材の確保策を拡充するよう求めます。伺います。
 次に、国民健康保険料について伺います。
 江東区は今年度、1人平均1万3,848円もの保険料値上げを強行しました。6月14日に保険料決定通知が各家庭に発送されると、区の窓口に1週間で2,000件以上、「負担が重過ぎて払えない」などの苦情や問合せが寄せられました。区は、こうした区民の声をどう受け止めていますか、伺います。
 国民健康保険は低所得の高齢者や失業者、個人事業主が多く加入する医療保険ですが、国保加入者の1人当たりの平均保険料は、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの約2.5倍となっており、保険料の引下げが強く求められています。しかし、国は、自治体が保険料抑制のために行っている一般財源の繰入削減を推進し、保険料のさらなる値上げを区民に押しつけようとしています。
 区民生活は厳しさを増しており、負担限度を超えています。国保財政の責任主体である東京都に対し、独自の財政措置を講じるよう求めるとともに、本区の一般会計からの繰入れを増額し、保険料を値上げせず、引下げに力を尽くすべきです。伺います。
 次に、医療保険証の廃止問題についてです。
 従来の健康保険証が本年12月2日に廃止されることを知った区民から、「マイナ保険証に変えないと今までと同じ医療が受けられなくなるのか」など、不安の声が多数寄せられています。区は、保険証廃止後も、有効期限内は現行の保険証が使用できることや、マイナ保険証のない方には資格確認書が区から届くことなどを周知し、誤解と不安を与えないようにすべきです。伺います。
 本区のマイナ保険証の登録率は、国民健康保険の方で50%、後期高齢者医療保険の方は51%と低く、医療現場では既にトラブルが続いています。今後発行される資格確認書が、現行の健康保険証と同様の記載内容であるならば保険証を廃止する理由はありません。国に対し、国民皆保険制度を壊す医療保険証の廃止は中止するよう求めるべきです。
 区の答弁を求めまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 赤羽目たみお議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、区民の暮らしと区政運営についてのうち、区民の暮らしの声を受け止め、支援することについてです。
 区としても、物価高騰の影響が区民生活に及んでいる状況は認識しており、これまでも中小企業支援や高齢者・子育て世帯への支援など、様々な施策を講じてまいりました。今後も区民の声にしっかりと耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
 次に、生活全般を支える取組についてです。
 ワンストップ窓口の設置についてですが、現状、各相談窓口では、聞き取った内容に応じて他の部署や関係機関へつなぎ、連携して対応しております。必要に応じて担当職員が他の部署に出向いて相談を受けるなど、引き続き、丁寧に対応してまいります。
 次に、財政運営を転換し、暮らしと営業を支える施策を行うことについてですが、まず、基金は区民サービスを安定的に提供するための財政基盤を構築するために不可欠なものでございます。今後、長期計画に基づき、学校や公共施設の改修・改築、防災力強化、少子高齢化への対応などを着実に進めるためには、将来需要を見据えた基金残高の確保と効果的な活用が必要であると考えております。
 また、基金を活用した施策の実施についてですが、区はこれまでも基金を各種施策の実施に適切に活用してまいりました。御質問の中小企業に対する燃料費補助、学校教材費の無償化、給付型奨学金の対象拡大、奨学金返済助成等の各取組につきましては、事業効果や財政負担を十分に精査し、区が実施すべき施策に対しては、必要に応じて基金を活用する考えでございます。
 次に、区立幼稚園の廃園についてですが、園児数のさらなる減少が見込まれている中、今後も就学前教育の充実等の役割を中長期的に果たしていくためには、適正規模での集団教育による各園の活力維持が不可欠であることから、撤回する考えはございません。
 また、支援が必要な園児については、存続園に特別支援教育専任コーディネーターを配置し、受入体制の強化を図ってまいります。
 次に、定員適正化計画の抜本的な見直しについてですが、職員数については、各部署の業務や実情を踏まえ、適切な職員体制維持に努めているところでございます。
 また、人口当たりの職員数についてですが、行政サービスは、区正規職員だけではなく、会計年度職員や委託事業者などとともに総体として提供していくべきものであり、参考値の一つであると認識しております。
 次に、会計年度任用職員の賃上げと処遇の改善についてでございます。
 まず、会計年度任用職員の時給については、職務給の原則に従い、職務の内容と責任等を踏まえ、社会情勢に応じた適正な額を適用しております。
 次に、再度任用回数の上限の撤廃についてですが、総務省のマニュアルは、国の取扱いを例示として示したものであり、具体的な取扱いは地域の実情等に応じて対応する旨も求められていることから、他区の動向も参考にし、慎重に検討していく考えでございます。
 また、昇給制度については、現時点で導入の考えはございませんが、会計年度任用職員の処遇改善につきましては、社会情勢等も踏まえ適切に対応してまいります。

 次に、防災対策についての御質問にお答えいたします。
 初めに、災害時の職員確保についてでございます。
 まず、職員用の備蓄につきましては、本年3月に改定した事業継続計画を踏まえ、携帯トイレ等の必要な備蓄を進めてまいります。
 また、職員の確保につきましては、各部局間との調整、国や東京都をはじめとする他自治体、協力団体等との連携により、必要な人員を確保することとしております。
 次に、災害時相互応援協定内容の具体化につきましては、本年5月に協定を締結している沼津市、大田原市、秩父市を所管部課長が直接訪問し、協議を進めてございます。
 次に、福祉避難所についてです。
 災害時における福祉避難所の運営は重要なことと認識しております。お尋ねの福祉避難所の運営ガイドラインですが、区では災害時に福祉避難所の運営が円滑に行われるよう、関係部署が連携し、介護事業所等と意見交換を行いながら、福祉避難所の基本的な考え方の整理を行っているところでございます。
 また、かねてより様々な福祉関連施設と意見交換や調整を行うなど、新たな福祉避難所としての協定締結や受入可能人数を増やす取組を行っており、現時点では改めて長期計画に位置づける考えはございません。
 また、福祉避難所への直接避難につきましては、避難対象者の特定や受入施設の状況などから、現時点では困難な状況ですが、各施設と協定内容の見直しを行っていく際に、施設利用者等の直接避難の在り方についても検討してまいります。
 次に、障害者施設や介護施設における水害避難訓練の実施についてです。
 水防法では、浸水想定区域内の障害者施設などの要配慮者利用施設は、避難確保計画の作成とともに、計画に基づく避難訓練の実施及び区への報告が義務づけられてございます。このため、区では対象施設に対し、年1回避難訓練の実施及び報告を依頼しているほか、区報での周知に加え、区ホームページに報告様式の記載例や実際の訓練シナリオ例を掲載し、計画策定と訓練実施の支援を行っております。
 また、今年度はさらに全対象施設へ訓練の実施を再度通知する準備を進めてございます。引き続き、実施率の向上に取り組んでまいります。
 次に、高齢者や障害者の個別避難計画についてです。
 平成26年度の計画作成開始当初から協力を依頼している災害協力隊の活動により、令和6年4月時点での計画作成数は9,000件を超え、特別区で2番目に多い状況となっているものの、対象者の範囲を幅広く定めているため、作成率は4割程度であり、災害協力隊がない地域や作成の協力が難しい地域での計画作成が進まないことが課題となっております。このため、今年度から福祉専門職の参画により、特に緊急性の高い障害者約230人の計画作成に取り組んでおります。
 これまでに計画作成手引の準備を行い、事業者への周知を完了し、現在、契約依頼の準備を行っている状況で、概ね予定どおり手続を進めてございます。
 今後は計画作成の進捗状況を確認し、高齢者を含め、計画作成対象者の拡大を検討してございます。
 なお、その他の御質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、子育て支援についての御質問にお答えいたします。
 まず、児童虐待対策についてです。
 通告件数の増加は、法改正により児童相談所から区への逆送致が開始されたこと、また、これまで着実に啓発活動や関係機関のネットワーク構築に取り組んできた結果、区民並びに関係機関の認識が高まり、虐待の発見・通告の増加に至ったものと認識しております。
 子育てに不安等を抱える保護者が気軽に相談し、安心して子育てできる環境が求められていることから、区では、これまで地域の見守り支援を柱とした子ども家庭支援センターの機能強化を図ってまいりました。児童虐待の未然防止から早期発見・早期対応まで、切れ目のない支援体制を一層強化するため、見守り支援ワーカーの充実についても今後検討してまいります。
 次に、児童相談所の開設についてです。
 児童相談所に従事する人材の確保に関しては、現在、特別区全体で職員の採用が難しくなっている現状があります。しかし、このような状況の中でも、経験者を含め、引き続き採用を進めていくほか、庁内人材の活用として、児童相談所業務に関する職員向け研修の実施や、公募制人事制度の活用に取り組んでまいります。
 人材の育成については、これまで都や他区等の児童相談所に20名を超える職員を派遣してきたところです。今後も区の養育支援課で虐待対応等の業務に従事することで、相談援助業務の経験を積ませるほか、引き続き、職員派遣や各種研修も活用しながら職員の育成に努めてまいります。
 次に、児童養護施設についてです。
 国は、家庭養育優先の原則を打ち出し、里親の普及啓発を推進しているところですが、一方で、区は、施設の確保についても、課題の整理を含めた調査研究が必要と考えております。
 次に、こどもの権利条例についてです。
 こどもの意見表明権については、重要な権利の一つであるため、本区の条例にも盛り込む方向で検討を進めております。
 こども会議等の意見表明の場については、社会状況の変化などに柔軟に対応するためにも、条例ではなく計画の策定などにおいて検討していくべきと考えております。
 相談窓口の設置ですが、本区では、こどもが抱える様々な悩みに対して、これまでも各種相談窓口において、その専門性を発揮して対応を図ってまいりました。しかしながら、こどもの権利を保障するためには、さらなる相談体制の強化等についても検討が必要であると考えており、今後、他自治体の取組事例について研究してまいります。
 こどもの権利の周知、啓発についてですが、昨年度実施した江東区こども計画策定に係る調査では、こどもの権利についての認知度が低い結果となったことから、区は周知、啓発活動が非常に重要であると考えております。今後は、認知度を高めるための効果的な周知、啓発方法について検討を進めてまいります。

 次に、介護・医療問題についてです。
 まず、介護報酬の改定についてですが、国は、訪問介護について、今回の改定で他の介護サービスより処遇改善加算を高い加算率としており、賃金体系等の整備や一定の月額賃金配分などを行うことで、総合すると報酬額を引き上げることができるとしております。
 これまでも介護事業者と定期的に意見交換を行っておりますが、現在のところ、訪問介護事業者から今回の報酬改定についての意見は届いておりません。
 また、運営費補助を行う考えはありませんが、国は、今回の報酬改定において実態把握を行っていくとしておりますので、状況を注視してまいります。
 次に、介護人材の確保についてですが、宿舎借上支援事業は、介護保険サービスを提供する事業所に対し、住宅費負担の軽減と地域の災害福祉拠点としての迅速な対応の推進を目的に、都が対象としない事業所を区がカバーする形で実施する事業でございます。
 周知につきましては、専用サイトへの掲出等を実施しておりますが、関係事業者が出席する会議での利用勧奨やヒアリングを行うなど、事業の利用拡大を図ってまいります。
 また、人材確保策の拡充につきましては、本年度、補正第2号にて採用活動費補助を予算化するなど、事業者に寄り添った対策に取り組んでいるところです。
 次に、国民健康保険料についてのうち、まず、区民の声をどう受け止めているかについてです。
 問合せの多くは保険料の計算に関することであり、苦情ではありませんが、保険料が被保険者の負担となっていることは十分認識しており、区では、保険料負担の軽減に向け、医療費適正化事業や保健事業の推進に努めているところです。
 次に、保険料の引下げについてのお尋ねですが、特別区長会ではこれまでも東京都に対し、国民健康保険財政の責任主体として独自支援の拡充を講じるよう要望をしてきたところです。また、一般会計からの繰入れを増額し、保険料の引下げに力を尽くすべきとのことですが、法定外繰入れは、国保財政の健全・安定化における課題であり、国からもその解消を求められております。特別区では、本来終了予定であった独自の激変緩和措置を継続するなど、法定外繰入を行ったところであり、今後も被保険者の負担感を考慮しながら検討してまいります。
 次に、医療保険証の廃止問題についてです。
 情報を周知し、区民に誤解と不安を与えないようにすべきとのことですが、区はこれまでも区報や区ホームページ、国保だより等において、現行保険証の廃止やマイナ保険証に関する情報提供を重ねてきたところです。引き続き、被保険者が安心して保険診療を受けられるよう、周知に努めてまいります。
 また、保険証廃止の中止を国に求めるべきとのことですが、マイナ保険証を利用登録することで、被保険者にとっては、特定健診情報や処方薬の情報を医師等と共有でき、より適切な医療が提供されるなど、様々な効果が期待されることから、区として中止を国に求めることは考えておりません。

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区議団ニュース2024年8月号

  • 若者に家賃補助を 高齢者の生活支援ただちに
  • 都知事選 都議補選 期日前投票の改善に向け区選挙管理委員会へ申し入れ
  • 第2回定例会 委員会論戦 住民の願い届けて全力
  • パートナーシップ制度の早期実施を
  • 若洲公園を企業の儲けの場にする整備計画は見直しを
  • 木村前区長の当選が無効に 給料返還請求、退職手当不支給へ
  • 学用品無償化の意見書 自民・参政・無所属・公明などが反対
  • 災害時のゴミ処理計画 訓練・検証を行い実効性あるものに
  • 交通弱者に寄り添う交通システム確立を
  • 東砂2丁目都営住宅建て替え 住民に寄り添った計画を
  • 浸水を前提とする街づくり計画 西大島駅前・大島3丁目1番地再開発
  • 江東区の新庁舎は現庁舎敷地が有力 2024年度内に基本構想を策定
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2024年第2回定例会―大つきかおり議員

日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問を行います。区長並びに関係理事者の答弁を求めます。

  1. 区民の暮らしと営業を守る施策について
  2. 防災・まちづくりについて
  3. ジェンダー平等と人権対策について
  4. 教育問題について

 大綱の第1は、区民の暮らしと営業を守る施策についてです。
 食料品や燃料代など物価高騰が続く中で、政府の電気・ガス代補助終了による再値上げが見込まれています。一方、働く人の実質賃金は25か月連続低下、高齢者の年金も実質減となり、区民からは、これでは暮らしていけない、と悲鳴の声が上がっています。
 また、インボイス実施による消費税増税とコロナ禍以降続く景気低迷の中での物価高騰で、区内でも、消費税が払えず塗装業を廃業した、赤字が続き中華店を閉めた、など、廃業・閉店が相次いでいます。区民の暮らしと中小業者の現状について、区はどのように認識をしているのか伺います。
 全国で5番目の基金を持つ本区が、基礎的自治体として区民の暮らしを守る役割を果たすことが求められています。
 初めに、区内中小業者への支援強化です。
 景況調査でも、小売・製造業などで売上げ・収益の減少が続いています。区は、日本共産党区議団が提案してきた全事業者を対象とした水道光熱費・燃料代の補助を6月から開始しましたが、店舗等への家賃助成についても、再実施と助成の継続化を図るべきではないでしょうか。
 また、区内事業者の仕事確保と地域経済活性化に役立つ住宅リフォームや店舗改修への助成制度の創設を求めます。
 現在、区が実施しているホームページ新規開設の補助は、費用の2分の1、上限10万円ですが、新宿区では上限が30万円で、更新時にも補助しています。本区でも上限額を引き上げ、更新も対象とすべきです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を図る公契約条例が23区でも広がり、現在13区で制定されています。下請事業者からは、労働者の賃金も上がった、安心して仕事ができ経営が安定した、など、下請事業者の健全育成や若者への技能継承につながっています。本区でも公契約条例を制定すべきではないですか、伺います。
 次に、若者の生活支援についてです。
 学生の約半数が奨学金を受給し、そのうちの3人に1人は貸与型で、平均310万円の借金を抱えて卒業、就職となります。物価高騰と低賃金の中、区内のワンルームのアパートでも月8万円前後の家賃と奨学金返済で生活が苦しく、家賃補助を求める声が上がっています。区として、若者への家賃補助を行うことを求めます。
 高齢者の生活支援を求める声も切実です。UR賃貸住宅の大島六丁目団地で行った生活アンケート調査では、高齢者のひとり暮らしが4割以上に増加し、家賃負担が「大変重い」、「重い」と答えた世帯が9割以上です。区として高齢者への家賃補助を行うべきです。併せて伺います。
 今年の夏も猛暑が予想されています。昨年、区内の熱中症救急搬送は323件で、その半数近くが高齢者です。23区で亡くなった人の約3割がエアコン未設置世帯です。熱中症予防対策として、エアコン未設置の低所得高齢者世帯にエアコン設置助成を行うべきです。また、設置工事については、区内業者に発注することを求めます。伺います。
 次に、子育て支援についてです。
 出産後1か月前後に産後鬱の発症が多いなど、早期に産婦の心身の状況を把握し、支援を行う上で、産婦健診は妊婦健診と同様に重要です。都に早期実施を求めるとともに、区独自に実施すべきではないでしょうか、伺います。
 行政と地域が協働し、社会全体で子育て家庭を支える地域の子育て機能の強化が求められています。杉並区では、未就学児のいる家庭に子育て応援券を発行し、一時保育や家事代行、こどものインフルエンザ予防接種など、地域の医療機関や事業者・団体等が行う1,200以上の有料子育てサービスに利用されています。
 経済的負担の軽減だけでなく、子育て家庭と事業者とのつながりを育み、地域の子育て機能を高める子育て応援券を江東区でも発行すべきではないでしょうか、伺います。

 大綱の第2は、防災・まちづくりについてです。
 30年以内に70%の確率でマグニチュード7規模の大地震が発生すると予想される首都直下地震や、激甚化する風水害から区民の命と財産を守るために、防災対策の一層の強化が求められます。
 まず、マンションの耐震化についてです。
 本区における首都直下地震等の被害想定では、最大死者401名、最大建物被害9,700棟と、甚大な被害が想定されています。東京都は、旧耐震基準マンションのうち、地震で倒壊危険のあるピロティ階を補強するため、管理組合を対象に設計・工事費用の半額を補助しています。区は、部分的な耐震化では街全体の安全が守られない、として否定的ですが、何よりも人命を優先し、ピロティ階に対する耐震補強の促進を図るべきです。伺います。
 江東区耐震改修計画では、耐震化助成について、現状の取組状況を踏まえ、見直しを行うとしています。現下の物価高騰で、耐震化工事費の上昇が耐震改修の大きなネックとなっています。マンション耐震化への診断・設計・工事費に対する助成額の拡充を求めますが、伺います。
 次に、浸水対応型まちづくりビジョンについてです。
 区は、大規模開発や団地の建て替え時に、建物をデッキでつなぐなどの浸水対応型まちづくりを進めるとしています。しかし、これは防災を理由に東京一極集中をさらに加速させ、結果的には都市機能を脆弱にするものです。また、莫大な費用と長い年月がかかります。浸水を前提にした大型開発中心のまちづくりではなく、実施可能な耐越水堤防の強化や液状化対策の強化・促進を図っていくべきです。伺います。
 水害時の広域避難等について伺います。
 地域防災計画では、大規模水害時の広域避難先として、東京ビッグサイトをはじめ、都内24か所の施設と利用協定を結んでいます。しかし、江東区民はどの施設に避難すればよいのか決まっていません。避難マニュアルの作成が必要だと考えますが、見解を伺います。
 区は、大型商業施設など、区内企業と協定を締結し、水害時の一時避難施設として指定しています。しかし、一時避難施設の使用は、営業時間内に発災したときに限られています。駐車場使用や夜間・休日の場合など、協定内容の見直しが必要だと思いますが、伺います。
 次に、交通対策について伺います。
 移動支援が必要な高齢者や子育て世帯等に対し、最寄りのバス停までの移動や買物、通院など、日常生活を支えるきめ細かな公共交通の整備が求められています。
 私たち区議団は、昨年、宮崎市で運行している定員9名、時速20キロ未満で市街地を走る小型の電気自動車を視察しました。同市では、移動手段だけでなく、こども向けイベントを定期的に実施するなど、民間と連携したまちのシンボルとして運行しています。
 予約制乗り合いワゴンなど、きめ細かな移動支援とともに、コミュニティ活性化支援として、区内全域を視野に入れたコミュニティバス導入など検討すべきだと考えますが、伺います。
 本区臨海部のまちづくりについて伺います。
 東京都は、本区臨海部の青海地区をIRカジノの最有力候補地として調査してきました。現在も毎年調査費を予算に計上しています。本区は、長期基本計画で、臨海部のまちづくりを重点プロジェクトに位置づけ、MICE等の誘致を掲げています。
 小池都知事は、IRは、MICE施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されている、と認めていますが、本区が掲げるMICE等誘致にはカジノも含まれるのか、大久保区長の認識を伺います。
 カジノは、人の不幸の上に成り立つ商売です。ギャンブル依存症による本人や家族の苦しみ、治安の悪化、こどもへの悪影響を及ぼすものです。東京都が本区臨海部へのカジノ誘致の動きがあった場合、毅然と反対を表明すべきだと思いますが、伺います。

 大綱の第3は、ジェンダー平等と人権対策についてです。
 NHKの朝の連続テレビドラマ「虎に翼」が話題になっています。日本で初の女性弁護士になった主人公はお祝いの席で、「私たちは怒っています」、「生い立ちや信念や格好で切り捨てられたりせず、男か女かでふるいにかけられない社会を望みます」、「一緒に変えませんか」と呼びかけました。今の日本の社会にも突き刺さる言葉です。女たちの苦しみ、悲しみ、怒り、そして権利を求める戦いの末に、男女平等の憲法がつくられ、男女雇用機会均等法が制定されました。
 しかし、いまだに女性の平均賃金は男性の7割、非正規雇用は圧倒的多数が女性、長時間労働、単身赴任など、結果として女性が管理職から排除されています。
 選択的夫婦別姓制度の法制化を経団連も要求し、札幌高等裁判所では、同性婚を認めないのは婚姻の自由に反すると違憲判決が出され、パートナーシップ制度は全国456自治体にまで広がっています。しかし、政府は選択的夫婦別姓も同性婚も認めようとせず、戦前同様の家父長主義的家族観を押しつけようとする人たちがいます。区長は、日本のジェンダー不平等の現状についてどのような認識をお持ちか、伺います。
 江東区の管理職、審議会等における女性比率について伺います。
 区の女性管理職の割合は、目標の25%に対し現状は16%、審議会等の女性の割合は、40%の目標に対し31%で、いずれも目標には程遠い状況になっています。あらゆるレベルにおいて女性の参画が進むことは、社会経済の変化に対応できる豊かで活力のある持続可能な社会を実現する上で重要です。いつまでに目標を達成するのか、年度ごとの具体的計画を持つべきではないですか、伺います。
 次に、江東区版パートナーシップ・ファミリーシップ制度について伺います。
 区は3月の企画総務委員会で、制度の根拠となる男女共同参画条例の改正を今議会に提案すると報告しました。ところが今回、条例改正案が提出されていません。江東区のパートナーシップ・ファミリーシップ制度は、区の長期計画の多様性を認め合う社会の実現、SDGsを踏まえた取組に基づくものです。区長が交代しても変わらぬ区の大方針ではないですか。なぜ今回提案されなかったのか、伺います。
 昨年11月に実施したパブリックコメントでは、賛成の意見が66%、反対は18%でした。多くの区民が江東区版パートナーシップ・ファミリーシップ制度の実施を歓迎しています。男女共同参画条例の改正を直ちに行い、制度を開始すべきではないですか、伺います。
 ジェンダー平等社会とは、男女平等にとどまらず、誰もが性別に関わらず個人の尊厳が大切にされ、自分らしく生きられる社会のことです。条例改正に当たっては、ジェンダー平等の文言を盛り込むとともに、男女共同参画推進センターの名称をジェンダー平等推進センターへと変更すべきだと思いますが、見解を伺います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害者は、本人の意思とは関係なく、犯罪という理不尽な行為により命を奪われたりけがをしたり、財産を盗まれるなどの直接的被害にとどまらず、精神的ショックや身体の不調、医療費の負担や失業、転職などによる経済的困難などに苦しめられます。
 東京都は犯罪被害者に対し、法律相談費用の助成や見舞金支給、転居費用の支援などを実施していますが、住居の確保や雇用支援、家事・育児・介護・保健・医療分野の支援は、最も身近な区が実施すべき問題です。
 23区では、中野区や杉並区が被害者支援条例を制定し、職員も配置し、支援を行っています。江東区でも犯罪被害者支援条例を制定するとともに、専門の相談窓口を設置し、きめ細かな犯罪被害者支援を行うべきではないですか、伺います。

 大綱の第4は、教育問題についてです。
 まず、教育費負担の軽減について伺います。
 1年生になった児童を育てる保護者から、入学前に買いそろえる学校指定の体操服や上履き、粘土など総額2万円以上かかる、入学後も鍵盤ハーモニカや絵の具セットなどが必要で負担が重い、こういう声が寄せられています。
 文科省が行ったこども学習費調査では、小学校で年間6万5,000円、中学生では13万円以上もかかり、家計を苦しめています。「義務教育は、これを無償とする」とした憲法26条に基づき、国に対し学用品費の無償化を求めるべきです。伺います。
 品川区は今年4月から、区立小中学校等のこどもが使う学用品の全額無償化を所得制限なしで開始しました。重い教育費負担を軽減するため、江東区としても学用品を無償化すべきです。伺います。
 国は、第3子以上を扶養している多子世帯に対し、大学授業料の無償化を実施するとしていますが、あまりにも対象が狭過ぎます。国に対し、大学授業料無償化の対象を広げることや、入学金の廃止、給付型の奨学金を充実するよう求めるとともに、区としても給付型奨学金の対象拡大や、奨学金返済の助成制度を実施するべきです。伺います。
 次に、不登校対策についてです。
 東陽二丁目の教育センター内のブリッジスクールは、100名以上のこどもが通っており、相談や学習スペースが不足し、過密状態となっています。こどもたちに手厚い支援が行えるよう、南部地域にブリッジスクールを早期に開設すべきです。伺います。
 昨年度から教室に登校できないこどもを対象に校内別室指導事業が開始され、実施した学校からは、不登校だったこどもが学校に通えるようになった、との声が寄せられています。専用の部屋で悩みを聞きながら個別学習を行うことや、教室ではない安心して通える居場所の確保は重要です。今年度は20校が新たに申請しましたが、東京都は11校しか認めませんでした。都に対し、希望する学校全てで校内別室指導事業を実施できるよう求めるとともに、区独自に予算措置を行うべきではないですか、伺います。
 次に、特別支援教育について伺います。
 現在区は、特別支援教室を区内全小中学校で実施し、児童・生徒12人に対し教員は1人の配置となっています。しかし、年度途中にこどもが増えても教員の配置数は変わらず、きめ細かい支援が難しい、と学校現場から声が上がっています。年度途中の入室に対応できるよう、教員の増配置を都教委に求めるとともに、区として講師を確保すべきです。伺います。
 知的発達に遅れがない自閉症等の児童・生徒が在籍する情緒障害支援学級が、南砂小学校と同中学校に設置されています。保護者からは、こどもを通わせたいが学校まで50分かかる、登下校を付き添わなければならず負担が重い、との声が寄せられています。身近な学校で学べるよう増設を図るべきです。伺います。
 特別支援学校の増設について伺います。
 本区内の墨東特別支援学校は、この5年間で6クラス増加しているのに増改築は行われていません。教室をカーテンで仕切って授業しているため、隣のクラスの声が気になり、集中できないといった声が寄せられています。2018年に開設した臨海青海特別支援学校も、既に児童・生徒が多く、ランチルームが使えなくなりました。区は江東区のこどもが劣悪な教育環境で学ばざるを得ない現状をどのように認識していますか。教室が足りない状況を改善するため、東京都に対し、東部地域に特別支援学校の増設を求めるべきです。伺います。
 最後になりますが、私は、今定例議会をもちまして議員を辞職させていただきます。8期約30年、区議会議員としての活動を支えていただいた区民の皆さん、そして同僚議員並びに理事者の皆さんに心から感謝を申し上げます。活動の場所は変わりますが、これからも住民の暮らしと福祉を守るために全力で頑張る決意を申し上げ、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 大嵩崎かおり議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、防災・まちづくりについての御質問のうち、マンションの耐震化についてでございます。
 まず、ピロティ階の耐震補強の促進についてでございますが、ピロティ階等の部分的な耐震補強は、建物の一部を倒壊などから守る有効な対策の一つであると考えておりますが、区としては建物全体の安全対策が必要であると考えているため、その効果等について、引き続き調査・研究してまいります。
 また、耐震化助成の拡充については、現在、耐震化への意欲醸成に注力しており、建設資材等の高騰への対応につきましては、国や他自治体の状況を参考にしながら、今後の検討課題といたします。
 次に、浸水対応型まちづくりビジョンについてでございます。
 耐越水堤防、液状化対策の強化についてでございます。
 本区は地盤が低く、水面に囲まれている地形から、堤防の耐越水対策や液状化対策は最重要施策であると認識しております。現在、国や東京都では堤防の耐震化やかさ上げ整備を進めており、区としては国や都に対し、事業の早期実施を求めております。
 しかしながら、堤防整備には長い時間を要することから、本区としては、本ビジョンに基づき、大規模開発や団地の建て替えの機を捉え、新たな避難先の確保を目指し、水害による犠牲者ゼロの実現に向けて取組を推進してまいります。
 次に、水害時の広域避難等についてのうち、避難マニュアルの作成についてでございます。
 広域避難の具体的な避難計画の策定は必要であると認識しており、現在、広域避難先施設の調査を行い、発災時の施設開設の具体化を検討しております。引き続き、都や江東5区等と連携し、実効性のある広域避難スキームの検討を進めてまいります。
 また、大型商業施設等の協定見直しについてでございますが、施設の安全管理上、終日の開放は難しい状況でございますが、今後も協定締結企業とは意見交換を行っていくとともに、新たな一時避難施設の確保や民間マンションを避難場所とする協定締結の推進など、避難可能な施設の充実に引き続き努めてまいります。
 次に、交通対策についてでございます。
 移動支援とコミュニティ活性化支援についてのうち、移動支援につきましては、バス停までの移動が困難な高齢者や子育て世帯等を対象にして、昨年度実施したアンケート調査結果や本区の地域特性等を踏まえ、都営バス路線を補完する新たな交通システム導入に向けた検討を行うこととしてございます。
 一方、コミュニティ活性化支援として、区内全域を視野に入れたコミュニティバスの導入につきましては、都営バス路線の減便や廃止が懸念されるため、慎重に検討する必要があると考えてございます。
 次に、臨海部のまちづくりについてのうち、MICE等の誘致についてでございますが、長期計画における「観光・MICE等によるにぎわい創出」の「等」につきましては、レクリエーション等の多様な都市機能を包括して表現したものであり、特定のIRやカジノを指すものではございません。
 また、カジノ誘致についてでございますが、IRは、法律上、整備計画を申請できるのは都道府県、または政令市と定められており、本区は申請主体とはなり得ません。
 一方、申請主体となり得る東京都では、メリット・デメリットの両面について総合的に検討している状況であると認識しており、本区としては都の動向を注視してまいります。

 次に、ジェンダー平等と人権対策についてでございます。
 私の祖母、児玉勝子は婦人参政権運動に長年携わっておりました。その祖母の思いを胸に、私は女性の活躍やジェンダー平等を強く推進していく所存でございます。
 まず、ジェンダー平等の現状に対する認識についてでございます。
 区は、本区の長期計画において、全ての区民がお互いの人権を尊重し、様々な違いを認め合い、自分らしく生きることができる社会の実現を目指しており、ジェンダー平等もその目標達成のための取組の一つでございます。
 現状において、ジェンダー平等に関する様々な課題があることは認識しており、今後も多様性を認め合う社会の実現に向けて、国や都、関係機関等と連携し、課題解決を図ってまいります。
 次に、区の管理職、審議会等における女性比率の引上げについてでございます。
 区では、女性管理職の協力を得て、女性視点での管理職の魅力を発信し、女性職員の昇任意欲の醸成に努めるとともに、女性職員の視点を生かした事業点検や企画立案するプロジェクト・スマイル事業などを通じて、積極的にチャレンジできる環境の整備を図っております。
 また、審議会等への女性の参画につきましても、構成団体に男女の比率のばらつきがあるという構造的な課題がございますが、各種団体に対し、女性委員の推薦を依頼するなどの働きかけを行っております。
 女性管理職、審議会等の女性比率につきましては、職員のしごと生活応援プラン、男女共同参画行動計画、それぞれの目標年次での達成を目指し、毎年度進捗状況を踏まえた対策を講じながら取組を進めており、年度ごとの具体的な計画を策定する考えはございません。
 次に、江東区版パートナーシップ・ファミリーシップ制度についてでございます。
 多様性を認め合う社会の実現という長期計画が掲げる目標に向けて、LGBT等の方々が抱えている課題の解決のために、本制度の導入は本区としても有効であると考えてございます。
 次に、男女共同参画条例の改正についてでございます。
 江東区版パートナーシップ制度に関する区議会からの御意見や、先ほど申し上げた木村前区長の裁判等の状況を踏まえた制度の検証をいただくため、私から江東区男女共同参画審議会へ再諮問することといたしました。そのため、制度構築に向けた取組につきましても、再諮問による審議会の答申の内容を受けて対応を図っていく考えでございます。
 次に、男女共同参画推進センターの名称変更についてでございます。
 センターの名称につきましては、国において男女共同参画基本法の名称変更が行われていないことなど、今後の課題とさせていただきます。
 次に、犯罪被害者支援についてでございます。
 犯罪被害者支援条例の制定と支援の拡充についてでございます。犯罪被害者の状況は多岐にわたり、ワンストップで解決する事案は極めて少ないため、状況に応じた相談窓口を御案内しております。
 また、住居や雇用等の支援につきましては、区においても各所管できめ細やかな支援に努めておりますので、現時点で条例制定や専門の相談窓口設置の考えはございませんが、引き続き、犯罪被害者等基本法などにのっとり、関係機関と連携を図り、犯罪被害者等に寄り添った支援に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、教育長並びに所管部長が答弁いたします。

 次に、教育問題についてお答えいたします。
 まず、教育費負担の軽減についてであります。
 学用品費の無償化についてですが、学用品については、児童・生徒個人の所有物で、学校と家庭のいずれでも使用でき、その利益が直接児童・生徒に還元されるものとして、家庭での費用負担としており、国に対し、学用品の無償化を求める考えはございません。
 また、本区では、経済的に困難な世帯に対し就学援助制度を実施するとともに、使用教材等の見直しによる保護者負担の軽減にも取り組んでおり、現時点では学用品費の無償化を導入する考えはございません。
 次に、給付型奨学金等の拡充についてですが、国における大学の授業料等に対する給付型奨学金制度は、今年度から収入基準の緩和等による多子世帯中間層への対象拡大以外にも各種改正が実施されており、引き続き、国の動向等を注視してまいります。
 給付型奨学金の対象拡大や返還助成制度については、現時点では区において実施する考えはございません。
 なお、広く「教育費負担の軽減」については、既に全国都市教育長協議会を通じ、国等へ要望しております。
 次に、不登校対策についてであります。
 南部地域へのブリッジスクールの設置についてですが、立地状況から、南部地域への設置の必要性は認識しております。児童・生徒の移動の際の利便性や活動するための適切な場所の確保等の課題があり、現在慎重に検討しているところであります。
 また、校内別室指導事業の拡充についてですが、本事業の成果と課題は認識しております。本区では、第3次不登校総合対策KOTOこどもかがやきプランを基に、不登校の児童・生徒のみならず、誰もが安心して過ごせる取組の充実を図っており、本事業の拡充を含め、都の状況を注視するとともに、よりよい方策を検討してまいります。
 次に、特別支援教育についてであります。
 特別支援教室においては、年度途中の入室により、教員1人当たりの指導対象児童・生徒が大幅に増えてしまった場合は、区費の特別支援教室指導員を配置しており、必要な指導はできているものと認識しております。
 次に、自閉症・情緒障害特別支援学級の増設についてですが、本区では、受入れ可能児童・生徒数を拡充するため、令和5年度より南砂小学校、南砂中学校ともに2学級に増設しております。
 他の学校への新設については、教室の確保や指導体制の構築等課題もあることから、引き続き、本区における特別支援教育検討委員会において検討してまいります。
 また、特別支援学校の増設についてですが、在籍者数の増加に伴い、教育環境の充実が求められていることは認識しております。都では、東京都特別支援教育推進計画に基づき、在籍者数の将来推計や地域ごとの配置バランス等を踏まえ、特別支援学校の規模と配置の適正化を行う旨を定め、教育環境についても多様な方法を用いて適切に改善を図っていることから、都へ特別支援学校増設の要望をすることは考えておりませんけれども、今後も都の動向を注視してまいります。

 次に、区民の暮らしと営業を守る施策についてです。
 まず、区民の暮らしと中小業者の現状に対する認識についてですが、日本経済はデフレ脱却に向けて、賃金上昇など明るい兆しが見えつつあるものの、長引く物価高騰や円安が区民生活や中小企業の経営等に影響を及ぼしているものと認識しております。そのため、区ではこれまで低所得世帯への給付金や物価高騰対策として30%のプレミアム付区内共通商品券の発行のほか、子育て支援や福祉施策の充実など、様々な区民及び中小企業支援に取り組んでまいりました。
 次に、区内業者への支援の強化についてのうち、家賃助成や住宅リフォーム、店舗改修助成の実施による支援についてですが、今年度、エネルギー価格高騰対策補助金を実施し、業種を問わず広く区内事業者の経営を支援することから、現時点で制度創設などの考えはありません。
 次に、ホームページ作成費補助金の補助額引上げや、更新時も対象にすべきとのお尋ねですが、現在対象としている新規開設の需要が大変高く、まずは優先的に対応する必要があることから、補助額や対象を拡充する考えはありません。
 次に、公契約条例についてですが、適正な労働環境整備は一義的に国が対応すべきであり、現時点で制定の予定はありませんが、引き続き一定の労働環境の確認と情報収集を行ってまいります。
 次に、若者の生活支援についてです。
 現在区では、若者も含め、生活保護に至らない生活困窮者を対象に自立支援事業を実施し、住宅確保や就労支援を行っているほか、家賃の支払いや生活全般に不安のある方に対しては、東京都が運営するTOKYOチャレンジネットを紹介し、住宅相談や生活相談につなげております。そのため、区独自に若者へ家賃助成をすることは考えておりませんが、引き続き、区民に寄り添った支援の充実に努めてまいります。
 次に、高齢者支援についてのうち、家賃助成についてです。
 家賃負担が重くお困りの方に対しては、都営住宅等の御案内や空き室情報の提供を行うお部屋探しサポートにより支援しており、高齢者世帯への家賃助成は考えておりません。
 次に、エアコン設置助成についてです。
 現時点で設置助成をする予定はありませんが、高齢者に対する熱中症対策として、注意喚起や予防対策等の周知、公共施設をクールシェアスポットや猛暑時の休憩所として開放するなど、対策に取り組んでまいります。
 次に、子育て支援のうち、産婦健診への助成についてです。
 産婦健診は体とともに心の健康のフォローとしても大変重要であると認識しております。江東区民が区内で出産する割合が現在4割程度であることから、区独自の助成ではなく、都内全域において活用できる受診券方式を早期に導入・実施することが望ましいと考えており、引き続き都と協議を進めてまいります。
 次に、子育て応援券の発行についてですが、本区では、子育て家庭への経済的支援とともに、地域で子育てを行う環境づくりも重要であると認識しております。お尋ねの子育て応援券については、子育て支援策の一つとして検討課題と考えております。

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区議団ニュース2024年5月号

  • 第1回定例会 ため込みではなく暮らし支援を! 正保みきお議員 西部ただし議員
  • 星野・米沢・西垣区議に対する辞職勧告決議を採択
  • 第1回定例会 委員会論戦
  • 江東区版パートナーシップ制度の早期実現を
  • 予算に対する本会議討論が実現
  • 区長予算に対する修正案を提出
  • 議会日程(予定)
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2024年第1回定例会―西部ただし議員

日本共産党の西部唯史です。
 私は日本共産党江東区議団を代表して大綱3つについて質問します。

  1. 環境問題について
  2. 子育て支援について
  3. 高齢者支援について

 大綱の一点目は、環境問題についてです。
 はじめに、区民の住環境を脅かす羽田新ルートについて伺います。
 2020年、国は、羽田空港増便のため、人口や都市機能が密集する都心の上空を、超低空で飛行する羽田新ルートの運用を、住民の反対を押し切り強行しました。騒音や落下物、事故の不安などから羽田新ルート撤回を求める声が強くあがっています。
羽田新ルートは、北風運用時、本区の荒川上空を通過します。国はこれまで北風運用は6割と住民に説明してきましたが、国交省の実績を見ると、実際には北風運用は年平均7割で、特に秋冬は8割~9割にのぼります。国のこれまでの説明とは食い違っていますが、区はどう認識していますか。国に対し正しい情報を求めるべきです。伺います。
 本区の騒音測定では、掃除機の音に例えられるような最大77デシベルの大きな音が観測されており、東砂の学校では「飛行機が1分30秒に1本飛んでくる。コロナ対策で教室の二酸化炭素濃度計が鳴ると窓を全開にして喚起を行うため、飛行機の音がうるさく、授業の妨げになっている」と、騒音被害に苦しむ声が寄せられています。区はこうした区民の声をどう認識していますか。伺います。
 現在、羽田新ルートの常時騒音測定は東大島文化センターで行われています。一方、2砂中での騒音測定は年2回の短期測定です。より羽田新ルートに近い2砂中においても常時騒音測定を実施するよう求めます。
 品川区では中学生を除く15才以上の全区民アンケートの中で、羽田新ルートに関して、「影響を受けているか。具体的な影響と負担感。新ルートへの意見。」などの質問項目を設けて調査を行いました。その結果、44.5%の区民が影響を受けていると回答。本区でも区民がどのような影響を受けているか把握するために、羽田新ルートに関する区民アンケートの実施を求めます。
 また、経済効果最優先で人の命や安全、暮らしを脅かす危険な羽田新ルートは撤回すべきです。区として国に強く求めるべきと考えますが併せて伺います。

次に、気候危機対策についてです。
 昨年、世界の平均気温は、産業革命前に比べ1.52度上昇し、パリ協定が目指す1.5度以内に抑える目標を超え、史上最も暑い年になりました。
 こうした危機的状況の中、国連は先進国に対し温室効果ガス実質ゼロ目標の達成を2050年から2040年へ早期に達成するよう求めています。また、昨年のCOP28では初めて化石燃料からの脱却が合意されました。
 しかし、日本はCO2排出量世界第5位の国でありながら、その主な原因である化石燃料由来の石炭火力発電等からG7で唯一脱却する姿勢がなく4年連続、不名誉な化石賞を受賞しています。
 本区は世界に遅れた日本の現状をどう認識していますか。伺います。
 また、国に対し、石炭火力発電等と決別し、再生可能エネルギーへの本格的な転換とともにCO2削減目標の見直しを区として求めるべきと考えますが併せて伺います。
 本区は新たなCO2削減プランを来年度から実行します。素案では、中間目標である2030年のCO2削減目標を前回プランの37.6%から50%に引き上げましたが、目標達成には取り組みの強化が必要です。
 区として、本区公共施設を再エネ電力に切り替えるとともに、都営団地、マンションなどを含め、太陽光パネルの設置や断熱化、LED化など、ビルのZEB化に全庁をあげて強力に取り組むべきと考えますが、伺います。
 また、区民ひとりでも取り組める省エネ推進の一環として、古い家電から省エネ家電への買い替えが重要です。例えば、古い家電と比べ、省エネ型家電の消費電力量は冷蔵庫で47%減、LEDランプは86%減と大幅に抑えることができます。区として省エネ家電への買い替えの補助金を支給するよう求めます。
 さらに、熱中症対策として、異常気象による真夏の酷暑で区民が命を落とさぬように、高齢者・低所得者に対し、エアコンの設置代等を助成するよう求めます。

大綱の二点目は、子育て支援についてです。
 まずは、夏休み等、長期休みのきっずクラブの昼食について伺います。
 本区が毎年実施している江東きっずクラブ保護者アンケートでは、質問事項に昼食に関する設問がないにもかかわらず、自由記述欄に昼食の支援を求める声が100件以上寄せられています。
 こども家庭庁は昨年5月時点で夏休みなどに昼食を提供している学童は全国で22.8%と報告。保護者のニーズも高いとして昼食の提供を検討してほしいと全国の自治体に呼びかけています。
 現在、八王子市では1食250円で温かい給食を提供しています。港区ではお弁当の配送料を区が負担している等、23区中、13区が配食サービスの支援を実施しています。
 本区は今後、保護者主体の「宅配弁当導入にかかる手順マニュアル」を策定するとしていますが、保護者任せにせず、アレルギーや宗教食の対応など区が責任を持って昼食の支援をすべきです。
 区として、仕出し弁当事業者と契約を締結し、各きっずクラブへのお弁当の配食ができるように長期休み等の昼食支援を求めます。
 次に、地域の子育て機能強化と子育て応援券についてです。
 誰にも頼ることのできない孤独な子育てほど辛いものはありません。
 区内には行政の手の届かない悩みを解決するために市民が結集し、保育やプレーパーク、学習支援等々を行う地域の子育て団体がいくつも存在します。
 このような、子ども同士、親同士が交流・成長できる身近な居場所は、地域の貴重な財産であり、さらに拡充・発展させていかなければなりません。
 しかし、手弁当で活動するボランティア団体であるために財政的に運営が困難という声が寄せられています。
 区の長期計画では「行政と地域が協同し社会全体で子育て家庭を支える」と謳い、また、大久保区長は「地域の子育て機能の強化」を公約に掲げています。
 ならば区として、区内に子育て支援団体が、いくつあって、どこでどんな活動をしているのか、実態を把握するとともに、子育て支援団体へ運営費等の支援を行うよう求めます。
 また、杉並区では、未就学児のいる家庭に、一時保育や家事代行、子どものインフルエンザ予防接種など、有料子育てサービスに利用できる子育て応援券と呼ばれるチケットを交付しています。本区でも子育て世帯の経済的負担軽減のため、「江東区版・子育て応援券」の導入を併せて求めます。

次に、保育士の配置基準と処遇改善についてです。
 慢性的な保育士不足による現場の疲弊が指摘され、その打開を求める声が相次いでいます。国はこうした声と運動に押され、実に76年ぶりに4・5歳児の保育士配置基準を見直しました。
 しかし、移行期間や財源は明確に示されておらず、これでは、保育現場や保護者の願いには応えられません。国に対して、経過措置の期限や財源を明確に示すよう区として求めるべきです。また、区立保育園については早急に新基準へと移行するよう求めます。
 国が1歳児の配置基準である保育士1人に対し子ども6人から、こども5人への改善を、2025年以降に先送りしたのも大きな問題です。本区はすでに、1才児の、保育士1人に対しこども5人への配置誘導に財政支援を行っているものの、5対1の基準を満たす園は約4割にとどまっています。保育士不足の原因は、低賃金・長時間労働、不安定雇用など処遇の劣悪さが元凶ではありませんか。全産業と比べても低い保育士の賃金を引き上げるため、国に対し、公定価格の引き上げや委託費における弾力運用の見直しを区として求めるとともに、人件比率50%以下は助成金の交付対象としない世田谷区に習い、本区でも人件費率50%以上に定めるよう求めます。
 また、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業費補助金は現在7/8が公費、1/8が事業者負担ですが、保育士確保のため、事業者負担1割は区が負担するよう求めます。

大綱の三点目は高齢者支援についてです。
 まず、介護保険制度について伺います。
 今、高齢者は上がらない年金、物価高騰、負担の重い消費税や高すぎる保険料に苦しみ、生活はどん底です。
 そうした中、今夏、老人保健施設などの居住費が月1800円、年間2万2千円の値上げ、来年夏には多床室の有料化で月8000円、年間9万6000円の値上げとする予定です。本区では約700人が影響を受けます。さらに、今後も国は、利用料原則2割負担への引き上げや、要介護1・2の在宅サービスの保険給付外しなど介護の大改悪を予定しています。これでは高齢者のさらなる負担増につながり、保険あって介護なしというほかありません。
 区は高齢者の暮らしの実態をどのように認識していますか。伺います。
 また、区として、介護保険の利用者負担増は中止するよう国に働きかけることを強く求めます。
 次に介護従事者の処遇改善についてです。
 国は介護報酬を1.59%引き上げるとしていますが、一方で、訪問介護の基本報酬は引き下げるとしています。介護は他産業とくらべ平均月収は約7万円低く、現場からは怒りの声が上がっています。
 訪問介護はヘルパーの人手不足・高齢化が深刻なうえ、物価高騰の直撃で昨年の倒産件数は過去最多の67件(東京商工リサーチ調査)にのぼっています。介護従事者の処遇改善は待ったなしです。
 介護報酬を大幅に引き上げ介護従事者の処遇を改善するよう国に対して働きかけることを求めます。また、区は介護人材確保のため、介護職員宿舎借り上げ支援事業を行っていますが、さらなる人材確保のため、区内介護事業所から要望が出ている採用支援金や江戸川区同様に定着金を支給するよう求めます。
 次に、介護保険料についてです。
 本区の来年度の介護保険料の試算は、基準額の月5800円から、6800円へと月額1000円・年間1万2000円の値上げが示されました。2000年にスタートした介護保険は当初、保険料月2900円でしたが、以来24年間値上げを繰り返し、現在、月5800円。2倍に跳ね上がっています。
 本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしか道はありません。国に対し介護給付費の公費負担割合を50%超へ引き上げることを区として働きかけるよう求めます。また、本区の約35億円の介護給付準備基金を活用するとともに、一般財源を投入するなど、あらゆる手だてを尽くして介護保険料の値上げを中止し、値下げするよう求めます。
 次に、特養ホームについてです。
 本区では特養ホーム待機者が1000人を超える深刻な状況が続いています。「体が不自由でひとり暮らしが大変」「老々介護で共倒れになりそう」など、特養ホーム増設を求める声は切実です。高齢者人口で比べた特養ホームの設置率は23区中15位と遅れています。長期計画では、辰巳団地への特養ホーム増設で残りあと1か所の増設となりますが明らかに足りません。新砂3丁目などの都有地や旧三大中跡地の区有地など、区内空き公有地を活用し、特養ホームの長期計画早期実現とさらなる増設を求めます。
 最後に、認知症予防について伺います。
 2025年には、日本で65歳以上の高齢者が約3500万人、3人に1人が高齢者になり、そのうちの5人に1人、約700万人が認知症になると予測されています。
 いかに早期発見できるか、認知症の予防が大変重要です。
 軽度認知障害MCIと呼ばれる健常者と認知症の中間の段階の方は、日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと約5年でその半数以上が認知症に進行すると言われています。しかし、MCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができると分かっています。
 また、近年、「難聴は認知症の重大な原因」との学説が、国際アルツハイマー病会議の場で報告され、その認識は広がっています。
 認知症を早期発見し予防するために、軽度認知症がい(MCI)のスクリーニング検査や聴力検査などの導入を求めます。また、医療機関で認知症の検査をした際の補助を併せて求めます。
以上で質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

西部ただし議員のご質問にお答えします。
 はじめに、高齢者支援についてのご質問のうち、介護保険制度についてです。
 まず、高齢者の暮らしの実態についてですが、世界的なエネルギー価格の高騰や、食料品等の値上げなどによる物価高が高齢者のみならず区民生活に影響を及ぼしているものと認識しております。
 こうした現状を踏まえ、補正予算や6年度当初予算において、様々な対策を講じているところです。
 次に、介護保険の利用者負担増を中止するよう国に働きかけることについてですが、全国市長会等を通じて、被保険者の保険料負担が過重とならないことや、低所得者の軽減策を講じるよう提言を行っております。
 次に、介護従事者の処遇改善についてです。
まず、介護報酬の改善等につきましては、これまでも全国市長会を通じて、国に提言を行っております。
また、介護人材確保については、介護事業者等の意見も踏まえ、介護職員宿舎借り上げ支援や介護福祉士実務者研修費用助成など、様々な介護人材確保・定着支援策を講じているところであり、更なる人材確保策の充実についても、現在、検討を進めているところです。
 次に、介護保険料についてです。
 国に対し公費負担を50%超とするよう求めるべきとのことですが、一般会計からの財源投入につきましては、給付に応じた負担の関係が不明確になり、介護給付の適正化と制度の持続性を棄損するおそれがあり国に働きかけることは考えておりません。
 また、保険料の値下げについては、これまでも介護給付費準備基金を有効に活用し、保険料の上昇を抑制するなど、負担軽減を図ってきたところであり、第9期についても適切な基金残高とあわせて検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームについてですが、既に亀戸九丁目の都有地において整備を進めているほか、辰巳の都有地についても都との協議を始めたところです。その他の都有地や区有地の活用についても検討を進めており、今後も長期計画に基づき、着実に整備を進めてまいります。
 次に、認知症予防についてです。
 まず、認知症を早期発見し予防するために、軽度認知障害(MCI)のスクリーニング検査や、聴力検査等を導入することについてですが、本区では、これまでも、医師会とも連携した認知症検診を実施しております。
 また、医療機関で認知症の検査をした際の補助についてですが、来年度より認知症検診の対象年齢を、現行の70歳に加え、72歳、74歳に拡大する予定であり、現行の認知症検査を着実に実施し、さらなる認知症予防に取り組んでまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

次に、子育て支援についてのご質問にお答えします。
 まず、きっずクラブにおける昼食についてです。
 こども家庭庁は、放課後児童クラブへの昼食提供に関し、地域の実情に応じた対応を求めております。本区においては、弁当を保護者が用意することを基本としつつ、きっずクラブ毎に保護者がニーズに合った弁当事業者を選べる、保護者主体による宅配弁当を推進しております。
 既に複数のきっずクラブにおいて導入されておりますが、新たに宅配弁当を検討する保護者に向けて、導入のプロセス等を記した、フローチャート等を示すとともに、今後も宅配弁当に関する情報収集に努めてまいります。
 次に、地域子育て機能強化と子育て応援券についてです。
 区内で活動する子育て支援団体については、引き続き実態の把握に努めてまいります。
 また、子育て支援団体への支援としては、後援名義のほか、子育てハンドブックなどによる紹介を行っております。運営費の補助については、区で実施している既存事業との重複等について慎重に検討する必要があり、現在は、社会福祉協議会による助成制度を紹介しており、今後もこれらの施策を通じて支援してまいります。
 次に、子育て応援券についてです。
 本区では子育ての経済的支援として、今年度、子育て家庭に3万円分の電子クーポンを配布したほか、ベビーシッター費用の助成を開始し、来年度は家事育児支援事業の対象を拡大します。
 お尋ねの子育て応援券については、子育て支援策の一つとして、検討課題と考えております。
 次に、保育士の配置基準と処遇改善についてです。
 まず、国へ基準見直しの経過措置の期限や財源を示すことを求めることについては、見直しに際し、従前の基準で運営することも妨げないとする経過措置を設けるとされており、具体的な期間は今後国から示される予定であるほか、公定価格に新たに職員配置の改善に要する経費加算が措置され、必要な財政措置がなされるものと認識しており、国に求めることは考えておりません。
 次に、区立保育園における新基準への移行については、今後示される経過措置の内容等を踏まえ検討してまいります。
 次に、国に対して公定価格の引き上げや委託費の弾力運用の見直しを求めることについては、公定価格は国が適切に見直しを行うべきものと認識しており、委託費の弾力運用は国の通知に基づいて行うことから、現時点で見直しを求めることは考えておりません。
次に、人件費率を50%以上に定めることについては、保育所ごとに職員の年齢構成や経験年数などの状況が異なるため、人件費の割合のみをもって適否を判断することは困難であり、一定の割合を定めることは考えておりません。
 次に、宿舎借り上げ支援の補助金については、これまでも大幅な公費負担をしており、事業者負担分への支援は、更なる財政負担が伴うことから、慎重に検討すべきものと認識しております。

 次に、環境問題についてお答えいたします。
 まず、羽田新ルートについてです。
 国の説明内容に関する区の認識についてですが、国が説明した運用割合は、新ルートの飛行実績と概ね一致し、直近では、北風運用が減少傾向にあり、国に説明を求める考えはありません。
 次に、区立学校での飛行機の音については、授業に影響を与えているものではないと認識していますが、お尋ねの区民の声については、引き続き国に伝えてまいります。
 次に、第二砂町中学校における常時測定の実施についてです。測定場所は、国が他区の常時測定局とのバランスを考慮し、本区においては東大島文化センターに設置しております。そのため、本区としては、第二砂町中学校は、常時測定局を補完する短期測定として実施する場所と認識しております。
 次に、区民アンケートの実施については、本件について実施する考えはありませんが、今後も引き続き、寄せられた区民の声を国や都に伝えるとともに、本区に対する丁寧な説明や情報提供を求めてまいります。
 次に、羽田新ルートの運用については、国の責務に基づき安全対策を徹底しております。そのため、区として撤回を求める考えはありませんが、今後も引き続き、良好な生活環境を維持できるよう国に要望してまいります。
 次に、気候危機対策についてお答えします。
 まず、日本の現状認識についてです。地球温暖化対策は世界的な喫緊の課題であり、現状のままでは目標達成は難しい状況にありますが、わが国の最先端の技術を活用しながら、官民一体となり、ゼロカーボンの実現に向けて取り組んでいるものと認識しております。
 次に、国に現在の取組と目標等の見直しを求めることについてです。国は再生可能なエネルギー政策への転換に向けて、社会経済情勢や各分野の最新技術の活用など、あらゆる視点から議論し設定したCO2削減目標達成に向けて取り組んでおりますので、区として見直しを求める考えはありません。
 次に、公共施設等、建築物の再エネ電力への切替やZEB(ゼブ)化についてです。本区では、いずれの取組も温室効果ガス削減に有効であると認識しており、今後策定する環境基本計画の中で、庁内で具体的な検討を進めることとしております。
次に、省エネ家電買替に対する補助についてです。省エネ家電等の買替促進としては、東京都が東京ゼロエミポイントを実施しており、来年度も同様の事業を予定していますので、区独自の新たな補助の考えはございませんが、今後も東京都の取組を周知啓発してまいります。
 次に、エアコン設置等の助成についてです。現時点ではその予定はございませんが、引き続き、熱中症の注意喚起や予防対策等を周知するとともに、公共施設を休憩所として開放するほか、社会福祉協議会の貸付金をご案内するなど、きめ細やかな対応をしてまいります。

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2024年第1回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。
 はじめに、能登半島地震で亡くなられた方に対し哀悼の意を表すとともに、被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

  • 前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について
  • 来年度予算案と行財政運営について
  • 防災対策について
  • 住宅問題について

 大綱の第1は、前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について伺います。
 昨年4月の江東区長選挙の際に、有料動画広告の掲載や選挙買収を行ったとして前区長が公職選挙法違反容疑で在宅起訴されるなど、区民の信頼を失墜させる事件が相次いでいます。お金で選挙を歪めることは政治家として絶対やってはならないことです。区政を混乱させた責任は重大です。多くの区民が区政のクリーンな運営を強く求めています。
 大久保区長は、「クリーンで公正な区政」の実現を公約していますが、前区長の公職選挙法違反の買収容疑等の在宅起訴について、どう認識されているのか、伺います。
 また、前区長の当選目的のため、元衆議院議員の柿沢氏側から20万円を受け取ったとして、3人の現職区議会議員が被買収容疑で在宅起訴されました。起訴された事実は極めて重大です。区民に対する説明責任を果たすとともに、ただちに議員を辞職すべきです。
 柿沢氏側から現金を受け取ったとされる複数の区議会議員は立件されなかったものの、金額の多寡の問題ではありません。現在、議会で取り組んでいる「政治倫理条例案」は、政治倫理基準として、「区政運営もしくは議会運営に著しく影響を与え、区民の信用も若しくは信頼を著しく失墜させる行為又は不正の疑惑を持たれる恐れのある行為を行わないこと」「議員は、政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって、真相を明らかにするとともに、区民並びに議会に対して説明責任を果たさなければならない」と規定しています。疑惑を持たれたすべての議員は、自ら誠実に真相と説明責任を果たすべきです。
 大久保区長は、被買収容疑で起訴された現職3区議から先の区長選挙で応援を受けていますが、区長が掲げる「クリーンで公正な区政」の立場とは相容れないのではありませんか。認識を伺います。
 大久保区長は、「区民の信頼を取り戻すためには、我々自身がクリーンで公正でなければならない」「区役所におけるコンプライアンスの順守に徹底的に取り組む」と言明しています。行政内部の規程にとどめず、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定することを求めます。伺います。

 大綱の第1は、来年度予算案と行財政運営について伺います。
 自民党政治がもたらした経済の低迷、「失われた30年」で、経済と暮らしは疲弊し、物価高騰がそれに追い打ちをかけています。都営住宅に住む80代の方は、暖房費が嵩むので寒い部屋の中で服を着重ねて生活しています。飲食業者は、コロナ禍前のお客さんが戻らないうちに原材料の高騰によってやむなく廃業し、運送業者は仕事の激減により事業の困難に直面しています。区民の暮らしと営業の実態について、区長の認識を伺います。
 政府予算案についてです。
 岸田政権は、物価高騰から暮らしを守るまともな賃上げ対策を示さないばかりか、介護保険の予算も現場の人手不足解消にほど遠いうえ、利用者2割負担の拡大や介護保険サービスを要介護3以上に限定するなど社会保障の大削減を狙っています。さらに、子育て支援拡充の財源を医療・介護の削減や国民負担増で生み出す計画です。こうしたやり方は、社会保障と子育て支援の予算を付け替えるだけで、世代間対立をあおるものです。国の社会保障削減に追随せず、国に対し、社会保障の充実、政治の責任による賃上げ、消費税減税やインボイスの中止を毅然として求めるべきではありませんか。伺います。
 本区の予算案についてです。
 来年度予算案は、一般会計で2543億円余、3つの特別会計を合わせた総予算は3,566億円余と過去最大規模です。わが党が求めてきた学校給食無償化の継続、保育料の引き下げ、施設使用料の値上げ据置措置の延長、特養ホームや障害者グループホームの増設など一定の前進がありますが、防災対策の抜本的強化や、子育て、高齢者、障害者への経済的支援、ジェンダー平等、中小業者支援は不十分です。国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の大幅値上げなど、区長が掲げる「区民生活最優先の区政」とは言えません。
 基金総額は、2022年度決算時点で1862億円と過去最高額を更新し、コロナ禍と物価高騰で区民生活が危機的状況のなかで、この4年間だけでも495億円もの基金積み増しは、異常な予算の残し方です。区民の税金は区民の暮らしと営業を豊かにするために使うべきです。以下、提案します。
 首都直下地震に備え、備蓄物資の増強や避難所環境整備、木造住宅・マンション耐震改修助成の増額など防災対策の抜本的強化、小・中学校の学用品無償化、給付型奨学金の拡充、重度介護手当や高齢者入院費助成の創設、パートナーシップ制度の実施、予算構成比1.3%に落ち込んでいる産業経済費を増額し、融資の利子補助引上げ、店舗改修費助成の創設、事務所・店舗家賃助成、ホームページリニューアル助成など、本腰を入れた支援を求めます。医療・介護の保険料の引き下げなど、ただちに取り組むべきです。伺います。
 民間委託についてです。
 区は、「行財政改革」と称して、新たに東砂児童館・福祉会館、東砂第3保育園、辰巳小学校の用務業務、保健所が実施している水質検査、食品の細菌検査、結核レントゲン撮影業務などの民間委託を計画しています。
 民間委託した保育園やきっずクラブでは、委託事業者が、職員の人数を水増し請求する委託料の不正受給が相次いでいます。その背景には、目先の利益のためにコスト削減、人件費削減を最優先する雇用破壊の政治があります。民間委託は、官製ワーキングプアを増大させ、区民サービスの質を低下させています。保健所が行っている水質検査や食品の細菌検査の民間委託は、公衆衛生の公的責任を放棄するものです。民間委託ありきの行財政運営は根本的に改め、直営に戻すことも含め、抜本的に転換すべきです。伺います。
 公契約条例についてです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契約条例が全国で広がり、23区では現在13区で制定されています。公契約条例は、不当な低賃金労働を背景にしたダンピング競争から地元の健全経営の事業者を守り、公共サービスの品質を維持するために熟練労働者の賃金を下支えすることにつながります。公契約条例の制定を求めます。伺います。
 定員適正化計画についてです。
 区は、人件費の削減を続けてきた結果、人口1000人あたりの職員数は23区中で最下位です。こうしたもとで、昨年の古石場川親水公園のポンプの故障による隣接マンションへの床上浸水事故では、区が連絡を受け、土木作業班が現地に到着するのに3時間余りかかり、「なぜすぐ来ないのか」との批判の声が上がりました。
 初動対応が遅れたのは、土木現業職員を退職しても補充せず、この15年間に46人から13人に削減されてきたことにあります。災害時の危機管理上も、技能系職員の退職不補充方針を中止し、計画的な採用を行うべきです。伺います。
 江戸川区において、ケースワーカーが生活保護受給者の遺体を2か月放置していたことが社会に衝撃を与えました。再発防止に関する報告書では、当該ケースワーカーが100世帯を担当しており、社会福祉法の定める標準数である80世帯を超過していたことが要因の一つと指摘しています。本区においても、1人あたり100世帯、中には120世帯を担当しています。対岸の火事にせず、標準数を満たす職員体制の確保を図るべきです。伺います。
 5年間にわたって職員定数を1人も増やさないという定員適正化計画を柔軟に見直し、業務量に見合った適正な職員数とすべきです。伺います。

 大綱の第3は、防災対策について伺います。
 最大震度7を記録した今回の能登半島地震では、避難所での生活用水や食料、トイレ、暖房類等の不足が初動対応の遅れを招きました。これを踏まえ、本区の防災対策の強化を求めます。
 まず、備蓄物資の増強です。
 区は、来年度予算で、新たにウエットシートや段ボールベッド、飲料水、栄養食を配備する計画です。一方、食料備蓄は、区と都で連携して3日分を備蓄することになっていますが、区の備蓄は1日分しかありません。計画通りに支援を受けられる保証はありません。区独自に3日分を備蓄すべきです。また、飲料水は、地震で浄化槽や水道管損傷、道路の寸断等で給水車が遅れる恐れもあるため増配置すべきです。携帯トイレは現在の3日分から一週間分に増やし、段ボールベッドは避難所1か所あたり5個程度の配置予定しかないため、増強が必要です。水害では2週間水が引かず連絡の遮断が想定されます。水害時も含めて現在の備蓄物資を再検証し、計画的に増強を図っていくべきです。伺います。
 避難所等の環境整備です。
 避難所等での災害関連死が大きな問題となっています。医師や専門家でつくる避難所・避難生活学会は、避難所は「不便で不潔なトイレ」「冷たい食事」「床での雑魚寝」に課題があると指摘しています。高齢者や女性が安心して利用できるトレーラートイレ導入など、快適で十分な数のトイレ、あたたかい食事、段ボールベッドの十分な提供など、避難所等の環境整備を求めます。伺います。
 福祉避難所です。
 自宅や避難所での生活が困難な高齢者や障害者等の要配慮者を一時的に受け入れ、保護するための福祉避難所は重要です。区は福祉避難所として特養ホームなど25ヵ所を指定していますが、受け入れ態勢の困難さがあります。各施設管理者との協議を継続するとともに、自主的避難施設に指定した文化センター等を災害時の福祉的避難所として活用すべきです。伺います。
 感震ブレーカーの設置拡充です。
 地震による火災の過半数は電気が原因であり、その対策として感震ブレーカーが効果的です。区は、今年度、感震ブレーカー配付等を行いましたが、実績は配付事業で対象者の2割台、分電盤助成では1割に及びません。都は独自の感震ブレーカー設置事業を促進するため、申込んでいない世帯への個別訪問と直接配付を始めました。本区での取り組み強化を求めます。伺います。
 荒川堤防の液状化対策・耐震化です。
 東砂地区の荒川右岸堤防の整備状況について、国土交通省荒川下流河川事務所に確認したところ、河川敷道路から葛西橋へのアクセス坂路200m部分の液状化対策、耐震化が完了しておらず、「大地震発生時には地盤が液状化し、堤防が60cm沈下する恐れがある」ことが判明しました。このままでは、首都直下の大地震が発生した場合、地盤が液状化し、沈下した堤防から氾濫、大規模浸水となります。早急に液状化対策と耐震化を行うよう国に強く申し入れるべきです。また、耐震化が遅れている横十間川、越中島川、東雲・豊洲・辰巳運河などの耐震護岸整備の促進を都に働きかけるべきです。伺います。

 大綱の第4は、住宅問題について伺います。
 区営・都営住宅の増設についてです。

 国は住宅政策への公的責任を後退させ、ニーズが高いにもかかわらず、公営住宅の削減をすすめてきました。その結果、都営住宅の新規建設は24年間ゼロです。応募倍率は一般募集で10倍以上、単身者向けでは50倍を超えています。区営住宅でも58倍、さらに高齢者住宅は、わずか2戸の募集に133世帯が応募している状況です。区営・都営住宅の入居希望者は、経済的困難だけではなく、ひとり親世帯、高齢者世帯、障害者など様々な困難を抱える人たちです。
 区営住宅の新規建設を行うとともに、UR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げるなど、供給量を増やすべきです。また、都営住宅の新規増設を求めるべきです。合わせて伺います。
 入居収入基準についてです。
 区営・都営住宅は、月収15万8千円以下など、限られた低所得者しか入居できません。
 現行の入居収入基準を、月収20万円に引き上げ、子育て世代や単身者が入居しやすいようにするべきです。また、「孤独死」を防ぐため、単身高齢者等の見守り行う自治会に対する支援を充実すべきです。合わせて伺います。
 修繕負担についてです。
 畳表や畳床の取替えなど、多くの修繕が居住者負担となっています。居住者は、低所得者世帯が多いことに加え、年金生活者が増加し、修繕費の負担が重荷です。畳表の取替え、障子紙、ふすま紙の張替え、給水栓、LED照明の取替えなどを借主負担から外した国交省の賃貸住宅標準契約書の積極的な内容を踏まえ、負担軽減を図るべきです。伺います。
 空き家対策についてです。
 団地自治会の役員さんたちから、「空き家が多すぎて自治会活動が成り立たない」という声が上がっています。都営住宅の空き家総戸数は3万8千戸に達しています。2011年度からの10年間で空き家は倍増しています。区内の都営住宅の空き家の利活用について、高齢者向け優良賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅として提供できるよう都と協議すべきです。伺います。
 次に、UR賃貸住宅についてです。
 高齢者世帯への家賃助成について伺います。

 本区には、UR賃貸住宅が27ヵ所、16,000戸以上が整備されています。
 全国自治協が行ったアンケート調査結果では、現在の家賃が「重い」と答えた方は74%に上ります。築50年の大島6丁目団地における同調査では、高齢者の一人暮らし世帯が43%に増加し、年金受給者が7割を超え、物価高騰と年金切り下げのもとで、家賃負担が「大変重い」「重い」と答えた世帯が実に9割を超えました。
 安心して住み続けられるよう機構法25条4項に基づき、家賃負担が困難な高齢者世帯に家賃減免を行うようURや国に求めるべきです。また、区として家賃助成を行うべきと思いますが、合わせて伺います。
 居住者や自治会の運動が実り、修繕負担区分の見直しが実現しました。さらに、劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳、ふすまの入れ替え等、必要な修繕をURに求めるべきです。伺います。
 マンション対策について伺います。
 大規模修繕についてです。

 区のマンション実態調査では、行政に求める支援で一番多いのが「大規模修繕工事への支援」です。区では、各種アドバイザーによる相談体制や共用部分リフォーム支援等を行っていますが、大規模修繕工事への財政支援の拡充を図るべきです。伺います。
 耐震化についてです。
 マンションの耐震化は、大地震時にマンション居住者の命と財産を守り、倒壊等による道路閉塞を防ぎ、早期の生活再建にも効果的であり、耐震診断、耐震改修の実施が急がれます。しかし、耐震化に向けた費用が高額にのぼり、費用不足のため、診断結果が悪くても耐震工事ができないのが実情です。建築資材や人件費等の高騰も踏まえ、区の耐震化助成額を引上げるべきです。伺います。
 住宅マスタープランについて伺います。
 住宅は、区民生活の基礎であり、都市づくりの要です。しかし、区は、住宅マスタープランを都市計画マスタープランと統合・改定し、テーマ別まちづくりの一つとして位置づけを変えました。住宅の基本政策が縮小、後退していると言わざるを得ません。住まいは人権です。住宅マスタープランは、区の住宅政策の方向性と施策を明確に示す計画として策定すべきです。答弁を求め、質問といたします。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案と行財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、区民生活に対する認識についてですが、長引く物価高が区民生活や中小企業の活動にも影響を及ぼしていることから、区では補正予算や6年度当初予算で中小企業の支援など様々な対策に取り組んでおります。
 次に、政府予算案についてです。国の6年度予算は少子化対策の強化を図るなど、社会保障費は歳出全体の3分の1を占める37兆円余を計上して社会保障の充実に努め、「物価に負けない賃上げ」の実現を必要とした予算となっているものと認識しており、社会保障費の財源となっている消費税の減税やインボイス制度の中止などを本区から要望する考えはありません。
 次に、本区の予算案についてのうち、備蓄物資の増強についてですが、能登半島地震の状況を踏まえ、生活必需品等の備蓄を拡充し、避難所の環境整備については、要配慮者対策の観点から、新たに段ボールベッド等を配備する方針です。
 次に、木造住宅やマンション耐震改修助成ですが、耐震化への意欲醸成が課題であり、その支援に注力していることから、増額は今後の検討課題であります。
 次に、小中学校学用品の無償化ですが、就学援助制度など経済的に困難な世帯への負担軽減については、既に取り組んでおり、現時点で実施する考えはありません。また、奨学金の拡充に関しては今年度より、高校等へ進学を希望する中学3年生を対象とした給付型奨学制度を開始しており、本制度を継続してまいります。
 次に、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を創設すべきとのお尋ねですが、区では高齢者福祉に関するさまざまな施策を着実に取り組んでおり、実施する考えはありません。
 次に、パートナーシップについては、骨子(案)を取りまとめ、制度の実施に向け、区議会のご意見を踏まえ、必要な規定整備を検討しております。
 次に、融資における利子補助の引き上げやホームページ作成費補助金の対象拡大、店舗改修費・事務所家賃補助の創設についてですが、区では、すでに様々な支援策を講じており、現時点で拡充や制度創設などの考えはありません。
 次に、国民健康保険料のこども均等割を無料にすべきとのことですが、制度上の課題は国の責任で実施するよう区長会から要望しており、区で独自に取り組む予定はありません。
 また、介護保険料の引き下げについてですが、今後も増加が予想される介護需要を考え、これまでも基金を有効に活用し、増額幅を抑制しているところであり、現時点では介護保険料の引き下げは考えておりません。
 次に、民間委託についてです。
 民間活力導入は健全な行財政運営に不可欠なものであり、今後とも必要な活用を図ってまいります。
 次に、公契約条例についてです。適正な労働環境の整備は、国の法制で対応すべきものと考えており、現時点で条例を制定する考えはありませんが、本年度から一部の工事案件を対象に開始した労働環境確認の継続実施とともに、最低制限価格の適切な設定などにより、公共サービスの品質維持に努めてまいります。
 次に、定員適正化計画についてです。
 災害時も含め、土木部全体や民間協力会社等との対応体制が構築されており、技能系職員の退職不補充を見直す考えはありません。また、ケースワーカーの配置数については、生活保護受給者数の推移を踏まえ、毎年見直しを図っており、適宜、増員も行っております。
 定員数については、行政需要等による必要数と、行財政改革の進捗による減員数とのバランスを図りながら進行管理を行っており、現行の定員適正化計画を見直す考えはありません。

 次に、前区長と区議会議員らの選挙買収容疑による起訴についてのご質問にお答えします。
 昨年十月二十四日に東京地検特捜部による区長室の捜索が行われ、以降、前区長の辞職と二回目の区長選挙、そして先月十七日の前区長等の在宅起訴など、これまでの間、区がこれまで経験したことのない様々な出来事の連続でありました。
 お尋ねの前区長が公職選挙法違反容疑により在宅起訴されたことについての認識ですが、このような事態となったことに対して、区として大変残念であり、誠に遺憾であります。引き続き、今後の司法の場における審理の状況を注視してまいります。
 次に、被買収容疑で起訴された現職区議にも選挙応援を受けていたことが、クリーンで公正な区政の立場と相容れないのではとのお尋ねですが、区議が起訴されたのは本年一月であったことから、十二月の区長選挙期間中において、当該区議から応援を受けたことが、大久保区長が掲げる公約と関連するものではないものと認識しております。
 次に、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定すべきとのお尋ねですが、現時点で、特別職に関する政治倫理条例を制定する考えはありませんが、現在、他自治体の取り組みなどを参考に、庁内のコンプライアンスの強化に向けた具体的な取り組みについて検討を進めております。

 次に、防災対策についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、備蓄物資の増強についてです。
 区では、能登半島地震の被災地において、道路インフラの断絶等により物資支援に遅れが出た状況を踏まえ、令和6年度に段ボールベッド等の新規備蓄や紙おむつ等生活必需品の増強を図ることといたしました。これは、緊急措置としての対応であり、現在、防災倉庫等の保管スペースの状況を踏まえ、備蓄物資の品目及び量の見直しの検討を進めているところです。
 なお、区単独での大幅な備蓄の強化については、保管場所等の課題があることから、東京都との連携強化や、防災協定の拡充により区の備蓄の補完を図ってまいります。
 次に、避難所等の環境整備についてですが、避難所では、高齢者や障害者等の要配慮者や、女性の視点に立った環境整備が重要であり、これにより避難者のストレス軽減や災害関連死の予防にもつながるものと考えております。このため、今年度は防災授乳服を配備し、また、令和6年度には段ボールベッドやゼリー食を新たに備蓄することといたしました。引き続き、備蓄の見直しと合わせ、避難所における要配慮者の受入れ訓練などのソフト対策も強化するなど、避難所の環境整備に取り組んでまいります。
 次に、福祉避難所についてです。
 現在、庁内の会議体において、福祉避難所の収容人数や人員体制など、受入態勢の様々な課題について検討しております。文化センター等を含めた福祉的避難所の整備についてのお尋ねですが、高齢者・障害者施設等の指定の拡充や、避難所における福祉機能の充実を図る必要があるものと考えております。なお、要配慮者対策にあたっては庁内の組織体制の強化を図る予定であり、災害時に配慮が必要な方々に関係する部署が連携して対策を検討してまいります。
 次に、感震ブレーカーの設置拡充についてです。
 今年度、火災危険度の高い地域を対象に、簡易型感震ブレーカーの無料配付及び、分電盤タイプの設置費用の一部助成を実施しておりますが、各地域での展示会や区報、SNS等により、この事業の周知を図ってまいりました。また、現在、簡易型感震ブレーカーの申込期限は経過しておりますが、引き続き、窓口配付を行っており、一定の反響があるところです。今後も、東京都の取組状況を踏まえ、感震ブレーカーの設置を促進していく考えです。
 次に、荒川堤防の液状化対策・耐震化についてですが、荒川は、本区の水防計画において最重要施設であり、日頃より国と連携し、万が一の水害に備えております。お尋ねのアクセス坂(はん)路(ろ)における液状化対策の未施工箇所については、本区も認識しており、国に対し、耐震対策の早期実施とともに、発災時の緊急復旧対応についても要望しております。
 また、内部河川及び運河につきましては、区民の安全・安心を確保するため、水防連絡会等を通じて、東京都に対して、耐震護岸の整備促進を要望しております。あわせて、私が会長である東京高潮対策促進連盟の要請活動において、東京都が実施する護岸整備事業等の予算確保に向け、国に対しても積極的に働きかけてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、住宅問題についてであります。
 まず、区営・都営住宅の増設についてですが、区内の公営住宅供給量は住宅ストックとして充足している状況です。
 そのため区営・都営住宅の管理戸数は現行水準を維持していく方針であり、借上げを含めた区営住宅の新規供給や都営住宅の増設を求める考えはありません。
 また、入居収入基準については、区営住宅条例に基づき公営住宅法施行令の基準を適用しており、区が独自に上限額を引上げることは困難であります。
 また、高齢者の見守りに係る自治会等への支援制度ですが、高齢者地域見守り支援事業の活用や長寿サポートセンターとの連携を図ることで、孤独死の防止に努めております。
 また、修繕負担についてですが、入居している期間において、畳表やふすま紙など、日常的に使用するもので、入居者の使用状況により破損の程度が異なるものについては、自費で負担することとしており、現段階で見直す考えはありません。
 また、空き家対策についてですが、区内の都営住宅については、複数団地で実施されている建替事業対応のため、仮移転先として空き住戸を確保する必要があるものと認識しております。
 また、サービス付き高齢者住宅など空き住戸の利活用については、都営住宅の管理上または施策的観点から都において検討するものと認識しており、現時点で考えておりません。
 次に、UR賃貸住宅についてのうち、高齢者世帯の家賃についてです。
 URは公的機関として法律に基づき賃貸住宅を供給、運営しており、家賃についても政策的に決定していることから、国やURに対し、区として直ちに減免制度の適用を働きかける考えはありません。
 また、高齢者世帯への区からの家賃助成や修繕負担区分に係る関係機関への働きかけについても、現時点で実施することは考えておりませんが、都営住宅申込みの案内や窓口相談を含め、今後も高齢者の住まいへの思いに寄り添った出来うる限りの支援を継続してまいります。
 次に、マンション対策についてのうち大規模修繕についてであります。
 計画的な大規模修繕工事や修繕積立金の確保は、マンション管理の健全性を示す指標でもあり、工事費助成は現在行っておりませんが、計画修繕調査支援事業の件数拡充を予算に反映するなど、管理組合への支援を強化しております。
 また、耐震化助成の引上げについてですが、まずは耐震化への意欲醸成が課題であるため、その支援に注力しているところであり、資材等高騰への対応については、今後の検討課題といたします。
 次に、住宅マスタープランについてでありますが、本区の住宅政策のあり方を示す基幹の計画であることから、多様な部門を連携させ、総合的な施策展開を図るため、都市計画マスタープランと一体として策定しております。
 掲げる取組方針については、マンション建設方針やマンション管理適正化推進計画など個別具体的に実施計画を定め、多様な暮らしを育む定住都市の実現に取組んでおります。

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