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2025年第1回定例会―西部ただし議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱三点について質問します。

  • 教育・子育てについて
  • 国民健康保険について
  • 交通問題について

大綱一点目は教育・子育てについてです。
 まず初めに、深刻な教員不足についてです。教職員定数をふやさずに多くの業務を背負わせた結果、教員の労働時間は一日平均11時間半で、トイレに行く暇もない状況と聞いています。異常な長時間労働のため、多くの教員が心体を壊し、精神疾患による病休者が急増、全国では7000人を超える事態となっています。
 教員の長時間労働の根本的な原因は業務量に見合わない、少なすぎる教員定数であり、加えて、公立学校教員給与特別措置法いわゆる給特法により、公立学校の教員を残業代制度から除外したことも大きな要因です。残業したら割増賃金を払い、長時間労働にブレーキをかける。これが世界のルールです。
 学校現場からは「子どもに向き合う時間がない」「正規の教員を増やしてほしい」と切実な声が上がっています。
 教員の基礎定数を抜本的に引き上げるとともに、給特法の残業代ゼロ制度を廃止するよう国と都に働きかけるべきです。
 また、世田谷区では、学校で教員の欠員が出た際の補佐として、支援教員を配置する制度を新年度から実施します。本区でも支援教員を区の責務で配置することを求めます。
 次に不登校対策についてです。本区の小・中学生の不登校数は、この10年間で、311人から1143人に急増しており、不登校対策の充実は待ったなしです。
 現在、不登校の子どもたちの支援をおこなっているブリッジスクールは、教育センター、南砂中学校、東大島もみじ幼稚園跡地の区内3か所にあり、子どもたちの大事な居場所となっています。しかし、ブリッジスクールは区内全域になく、南部地域から教育センターに通う利用者からは「遠くて通いにくい」との声があがっています。また、教育センターは子どもが多く、教室が足りず、教室とは別の会議室を解放して対応する状況となっています。ブリッジスクールは南部地域へ早期に設置するとともに、出張所管内に一か所設置すべきと考えますが伺います。
 また、増え続ける不登校の子どもたちを支援するためスクールソーシャルワーカーの増員が必要です。昨年度、スクールソーシャルワーカーを5人から10人に増員したところ、510人の生徒を支援し、年間相談件数はのべ6428回に激増しました。さらにきめ細かい支援がおこなえるようスクールソーシャルワーカーを区立小・中学校全校に配置するよう求めます。
 次に通学路の安全対策についてです。小名木川小学校の改築工事に伴い、今年1月から大島5丁目仮校舎への徒歩通学が始まりました。仮校舎への通学ルートである塩の道橋は、朝の通勤・通学時、自転車や歩行者で混み合い、すでに子どもと自転車が接触する事故が複数回起きているなど、安全確保が困難となっています。保護者からは子どもたちの安全のため「スクールバスを出してほしい」と強い要望が出ています。
 区教委は、スクールバスの運行について、仮校舎と学区域が概ね2キロ以上あること、および、学校・PTAから要望があることが条件としています。ただし、これらに該当しない場合でも安全対策上、教育委員会が必要と認めたときはスクールバスの運行は可能としています。
 重大事故を防ぐには、低学年やなかよし学級に対し今からでもバス通学を認めるべきです。伺います。
 次に児童相談所についてです。
 これまで本区は、区立の児童相談所を設置すべく準備を進めてきましたが、昨年末、区独自の児童相談所設置方針を急遽変更しました。そこでは、児童相談所本体について、都立江東児童相談所を、新設する潮見に移転し、担当地域を江東区1区のみの管轄とし、東京都が運営する方向で協議しています。
 この間、区は、江東区児童相談所基本計画(素案)を策定し、子どもの最善の利益のため、子ども一人一人が尊重され、子育て家庭が安心して子どもを生み育て、気軽に相談し、支援されるよう、子ども家庭支援センター等と連携し、地域全体で、子どもを守る環境をつくるなど、区児相を持つ意義を掲げてきました。しかしながら、都立の児相になることで、運営権限と決定権が都にある以上、区の関係機関との連携が区立の児相に比べて密接なものとはならないと考えますが、区の見解を伺います。
 他区の区立児童相談所では、職員が児童館に出前相談に行くことや、学校の子どもや保護者に、児童相談所の広報カードを配って周知するなど工夫を凝らしています。その結果、相談件数が増加し、子どもが友達を児童相談所に連れてくるなど、住民にとって身近なものとなっています。都区連携型の児相運営においても地域密着型の身近な児童相談所にしていくことが区として必要と考えますが、区の見解を伺います。
 児童相談所とともに重要な社会的養護施設が不足していることが問題です。都内の児童養護施設は本区を含む東京東部地域で空白地帯が多く、家族間の関係修復に支障をきたしています。児童養護施設については、本区へ整備を進めるよう都との協定書に盛り込むことを求めます。伺います。

大綱二点目は国民健康保険についてです。
 まず、来年度の国保料についてです。東京都は、国の仮係数に基づいて試算した結果、国保加入者一人当たりの国保料が17万9856円で、一般財源からの法定外繰入を行わない場合、1万580円の引き下げになるとの試算結果を示しました。
 しかし、今回の試算額は、23年度の高い水準にとどまっており、「高すぎる保険料」に変わりはありません。
 この間の実質賃金低下や消費税増税、年金減額、医療・介護の負担増が続く中で物価高騰が追い打ちをかけ、区民の暮らしと営業は極めて深刻な事態です。
 また、国保加入者の7割が非正規労働者や年金生活者などの低所得者であるにもかかわらず、国保料負担は、協会けんぽの2倍超となっており、負担能力の限界を遥かに超えています。
 区民からは「もう限界。保険料を引き下げてほしい」との声があがっていますが、区はこうした区民の声をどう認識していますか。伺います。
 高すぎる保険料引き下げのためには、区独自に、一般会計から繰入をおこない、更なる保険料の引き下げをおこなうとともに、都に対し、保険料の大幅引き下げのための財政支出を実施するよう求めるべきです。
 とりわけ、保険料引き下げに有効な、子どもの均等割について、区として未就学児の均等割を無料にするとともに、均等割軽減の対象年齢を18歳まで引き上げ、早急に均等割を廃止するよう国と都に求めるべきです。
 また、出産育児一時金は現在50万ですが、出産に75万円かかったということも聞いています。出産育児一時金は自己負担が発生しないよう拡充するとともに、子育て施策の財源は、保険料の値上げに連動しないよう、国に財政措置を求めるべきです。伺います。
 次に保険料の収納対策についてです。昨年度、本区の国保料滞納差し押さえ件数は525件で、令和元年度の250件に比べ2倍以上も増加しています。
 国保加入者世帯の多くは低所得者層であり、保険料が高すぎるため、払いたくても払えない状況があります。区民の命と健康を守るべき社会保障としての国保制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪いかねないなど、あってはなりません。
 滋賀県野洲市では、滞納は生活状況のシグナルと捉え、福祉や様々な生活支援につなげています。本区も滞納者に寄り添った生活支援、生活再建型の収納対策に転換すべきです。伺います。
 また、昨年新設した生活応援課は困難を抱える一人親家庭中心の対応にとどまっていますが、困難を抱える区民が誰でも相談できるよう、ワンストップ型の窓口へと拡充をはかるべきです。伺います。

大綱三点目は、交通問題についてです。
 まず、新交通システムについてです。区民から、「自宅や目的地の近くにバス停や駅がなくて不便」など、公共交通のさらなる充実を求める声が多く寄せられています。この間、区は、交通需要調査アンケートを実施し、新交通システムの導入に向け準備を進めていますが、課題を含め、現在の検討状況を伺います。
 現在、23区中8区で、デマンド交通、いわゆる予約制乗合ワゴンの実証運行が実施されています。世田谷区では、買い物や通院の際に、多く利用されており、区民から「日常生活の満足度が上がった」と喜びの声が寄せられ、利用者が増加しています。
 デマンド交通の導入は、バス停がない場所や道路が狭い地域などにおいて大変有効と考えます。南砂三丁目都営住宅の住民からは「高齢者医療センター行きのバス停が近くになくて通院しづらい」という声があがっています。区として、デマンド交通の実証運行をただちに実施して、ニーズを把握し、本格的に運行すべきと考えますが伺います。
 最後は、南砂町駅についてです。まずは、改良工事についてです。南砂町駅の2面3路線化工事は、当初完成予定だった2020年を疾うに過ぎて、10年以上も工事が続いてます。駅利用者からは、「工事はいつ終わるのか」「閉鎖中の2番3番出入口はいつ復活するのか」など不満の声が噴出しています。
 しかし、東京メトロは、改良工事がなぜ遅れているのか、今何がどうなっているのか、詳細を駅に掲示することもありません。鉄道会社としてあまりに不誠実な姿勢ではないでしょうか。
 区として東京メトロに対し、南砂町駅の工事の内容や工期及び進捗状況などについて再度住民説明会をおこなうとともに、駅の構内・外に工事の情報を掲示するなど、丁寧な周知をおこなうよう求めるべきです。伺います。
 南砂町駅の安全対策についてです。鉄道事業法第18条には、鉄道事業者は輸送の安全確保が最も重要であり、安全性の向上に努めなければならないと明記されています。
 しかし、南砂町駅はホームが狭いうえに利用者が多く、朝のラッシュ時には線路側のホームギリギリを歩いて移動しなければならないにも関わらず、未だにホームドアが設置されていません。
 同駅を利用する視覚障がい者の方からは、「ホームを歩くのが怖くて立ち竦んでしまう」という声が寄せられています。この間、隣の東陽町駅では、ホームドア設置を目前に、視覚障がい者の方が誤って線路へ転落して亡くなる痛ましい事故が起きました。さらに、昨年、南砂町駅では、二か月連続で人身事故が発生しており、これ以上、事故を繰り返さないためにもホームドアを早急に設置するよう区として東京メトロへ強く申し入れるべきと考えますが、伺います。
 また、この間、東京メトロは、工事計画を変更し、地下通路の段差解消のためのスロープ化計画を中止しました。しかし、これは、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点から逆行するものです。当初の計画通り、スロープ化の計画に戻すよう併せて求め、質問を終わります。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

西部ただし議員のご質問にお答えします。
 はじめに、交通問題についてのうち、新交通システムについてです。
 江東区の地域公共交通は、長年鉄道や都営バスが基軸となっておりますが、一方、バス停までの移動が困難な高齢者や子育て世帯、障がい者等、必要な方に対して、ラストワンマイルを担う「新たな交通システム」の必要性は認識しており、検討を進めているところです。
 現時点での検討状況ですが、昨年度実施したアンケート調査の詳細分析を行うとともに、パーソントリップ調査、携帯電話を活用した移動デー夕等により、各地域の現状と課題、移動二ーズを整理し、地域の実情に応じた車両の選定や運行形態等について検討を行ってまいりました。庁内に設置した検討委員会では導入効果の高い地域を選定し、その地域に最も適した運行方法の検討を進めております。
 なお、バス業界をはじめとする運転手不足、都営バスやタクシー等の既存交通事業者との競合、道路幅員による車両の制限等が課題となっており、新たな交通システムの検討にあたっては、持続可能な地域公共交通の構築が必要であると考えております。
 区として、デマンド交通の実証運行を直ちに実施すべきとのことですが、先ずは、区民、交通事業者、警察、道路管理者等で構成される地域公共交通会議での合意形成に向け、令和7年度に会議体を設置し、新たな交通システムの導入に向け、引き続き検討してまいります。
 次に、南砂町駅の改良工事についてです。
 これまでも区では東京メトロに対し、工事のスケジュール等について、駅利用者や区民に対し丁寧に周知するよう求めてまいりました。
 また、工事のため一部出入口を閉鎖している関係で、特定の出入口や歩道が混雑していることから、混雑緩和や安全対策、出入口の早期利用再開についても東京メトロに対して要望しております。
 なお、ホームドアの設置につきましては、新設されたホームと既設ホームの使用範囲や線路を切り替えながら工事を実施しているところであり、工事の進捗に合わせて順次設置する計画となっております。先ずは、中野方面のホームに令和7年度整備完了予定とのことです。
 本区としても、駅利用者の安全確保は重要であると認識しており、ホームドアの早期設置について引き続き求めてまいります。
 また、地下通路の段差解消についてですが、駅構内の床や天井の高さが工事に伴い変更となることから、南砂三丁目公園側の通路との間に段差が生じるとのことです。段差を解消するためには、埋設物が支障となり、軟弱地盤のため移設が難しく、スロープの設置が困難なため、階段を整備する計画に変更したとのことです。
 本区と致しましては、南砂三丁目公園側の出入り口を利用される方に対して、地上部のバリアフリールー卜の周知徹底と、地下通路階段部に、車いす対応の昇降機を設ける等の対策を引き続き東京メトロに対し、求めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、数育・子育てについてです。
 はじめに、教員不足についてです。教員不足は喫緊の課題であり、学校を取り巻く様々な課題を解消し、教員を志望する方を増やしていくことが必要です。教員の定数改善や給特法廃止について国に働きかけることについては、既に、全国都市教育長協議会も属する「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」が、緊急声明を国に対して提出しており、現在、改めて働きかけることは考えておりません。
 また、区独自の支援教員の配置については、本区では、既に教員免許を有する学びスタンダード強化講師を始め、多くの支援員等を配置し、成果をあげていることから、現段階で区独自の教員を配置することは考えておりません。
 次に、不登校対策についてです。まず、ブリッジスクールの増設についてです。本区南部地域へのブリッジスクールの開設については、その必要性は認識しており、既に検討を始めております。
 しかしながら、ブリッジスクールの本区全体への層の拡大については、校内別室指導やバーチャルランニングプラットフォーム等、多様な学びの場を整備し成果をあげていること、また場所の確保や運営等、課題も多いことから現段階では考えておりません。
 次に、スクールソーシャルワーカーの全校配置です。昨年度、10名に増員し、定期的に学校を訪問する巡回型としたことで、対応件数が大幅に増加するとともに早期支援が可能となる等、大きな成果がありました。全校配置の考えはありませんが、より効果的な支援の実施に向け、スクールソーシャルワーカー同士の連携強化が図れる組織体制の整備、充実に努めてまいります。
 次に、通学路の安全対策についてです。
 小名木川小学校の大島仮校舎への徒歩通学の実施に際しては、ストップさんの増員を行うとともに、通学路途中の学校とも連携し、安全対策の強化を図っております。また、教育長を始め、教育委員会の職員も登校の見守りに参加しております。
 スクールバスの運行基準は、仮校舎の中心から学区域が2kmを超える場合としており、小名木川小学校は、その距離がおよそ1.4kmであったことから徒歩通学としました。引き続き保護者や地域、学校と連携し、仮校舎への通学路の安全を確保してまいります。
 次に、児童相談所についてです。まず、区の関係機関との連携ですが、今回の都からの提案は、養育支援課や子ども家庭支援センターも含めて都の児童相談所と緊密に連携を図り、一貫した支援体制を構築するというものであり、関係機関との連携は十分に図られるものと認識しております。
 また、身近な児童相談所についてですが、児童相談所が地域に開かれた施設になることは重要であり、合築される子ども家庭支援センター等とも合わせて、新たな児童相談所を地域密着の、住民に身近な存在にしたいと考えております。
 社会的養護の施設整備に関しては、現状を踏まえ、必要性を含めて検討を進め、東京都と協議を行ってまいります。

 次に、国民健康保険についてです。
 まず、保険料についてのうち、区民の声の認識についてですが、国民健康保険料は、主に医療の高度化や高齢化による医療費の増加が要因となって上昇が続いており、被保険者にとって負担となっていることは認識しております。そのため、特別区では、一般財源からの法定外繰入れを実施することで、保険料の抑制に努めてきたところです。
 次に、区独自の一般会計繰入れについてですが、被保険者が負担する保険料は、受益と負担の観点から、医療に要する費用等の一定割合を負担するものであり、法定外繰入れに頼ることは、給付と負担の関係が不明確となるほか、不安定な財政運営に繋がるものと考えております。そのため、現時点で区として独自に繰入れを行う考えはありませんが、医療費適正化事業の強化や保健事業をさらに充実することで医療費増加の抑制を図り、保険料負担の軽減に努めてまいります。
 また、都に対する財政支出拡充の要望については、これまでも特別区において都に強く要望をしてきており、今後も引き続き要望して参ります。
 次に、こどもの均等割を区で無料にすること、均等割廃止を国・都に求めることについてです。こどもの均等割については、国民健康保険の制度上の課題であり、国や都の責任で対応すべきであると認識しており、区独自に取り組む考えはありません。また、特別区長会からこどもの均等割軽減拡大を既に国や都に要望しております。
 次に、出産育児一時金の拡充については、出産費用の保険適用にかかる国の検討状況を注視してまいります。
 また、子育て施策の財源を保険料の値上げに連動させずに国の財政措置を求めることについてですが、「子ども・子育て支援金制度」のように負担に対する直接の給付が伴わない制度の導入は国保制度と切り離した対策を講じるよう、特別区長会から国に要望しているところです。
 次に、収納対策についてです。滞納者に寄り添った収納対策への転換についてですが、区では滞納者の生活状況等を十分に聞き取り、分割納付の相談や、保険料の減額免除等、丁寧に対応しております。また、聞き取りした中で滞納者への支援が必要な場合、適宜、「生活支援相談窓口」や「法テラス」を紹介しており、今後も滞納者の生活状況を考慮した収納対策に取り組んでまいります。
 次に、生活応援課のワンストップ型の窓口への拡充についてです。本区では、各相談窓口において、寄せられた相談が他部署の業務であった場合でも機械的に案内せず、必要に応じて他部署の担当職員に出向いてもらうなど、全庁一丸となり丁寧な対応を行っているところです。そのため、生活応援課においてワンストップ型の窓口を担うことは考えておりませんが、今後も、庁内の連携を強化して、区民に寄り添った窓口の対応に努めてまいります。

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