日本共産党区議団を代表し、大綱4点について質問します。
- 区民の暮らしと区政運営について
- 子育て支援について
- 防災対策について
- 介護・医療問題について
1点目は、区民の暮らしと区政運営についてです。
深刻な物価高と社会保障の負担増に加え、主食の米が入手困難で価格がつり上がり、家計に大打撃を与えています。中小業者から、「原材料の高騰で売上げは激減。赤字続きで経営が苦しい」と切実な声が上がっています。低年金で暮らす高齢者世帯からは、「医療や介護の負担増で、家賃が払えない」と支援を求め、子育て世帯からは、「給食費が無料になっても教材費等の負担が重い」という声が寄せられ、若者は、「奨学金の返済が厳しい」と悲鳴を上げています。
区長は、全世代に責任を持ち、区民の声を聞き、区政に生かしていくと述べていますが、区民の暮らしの声をどう受け止め、どのようにして暮らしを支えていくのか、伺います。
区は、今年4月から、困難な問題を抱える女性への支援法に基づき、生活応援課を立ち上げ、DV対応やひとり親支援などを行っています。多くの区民が生活困難を抱えており、支援対象を限定せず生活全般を支える取組が必要です。あらゆる困難に対応できる全庁横断型のワンストップ窓口を設置して、「困った時は生活応援課へ」と記載したポスターを公共施設に貼り出すなど、区民の暮らしに寄り添った支援策の拡充を図るべきです。伺います。
区民が悲鳴を上げている中、江東区の2023年度決算は、一般会計の黒字額は約90億円、基金は前年度決算時点と比べ144億円増え、総額は2,006億円に膨らんでいます。
ため込みの一方、国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料を値上げし、厳しい暮らしに追い打ちをかけたことは許されません。ため込み型でなく、区民の暮らしを下支えする財政運営に転換すべきと考えますが、見解を伺います。
区の役割は、区民福祉の向上です。潤沢な基金を活用するなどして、中小業者に対し継続的な燃料代補助を実施するとともに、原油価格・物価高騰対策融資の拡充を図るなど、資金繰りを緊急支援すべきです。
子育て支援では、品川区に続き葛飾区が実施を表明した小中学校の教材費の無償化を、本区でも行うことや、給付型奨学金の対象拡大、奨学金返済助成を実施することを求めます。さらに、低所得の高齢者や若者世帯への家賃助成など、暮らしと営業を支える施策を行うべきです。伺います。
区は、行財政改革と称し、現在16園ある区立幼稚園を今後3年間で9園廃止するとしています。区が行ったパブリックコメントに、「廃園されると歩いて通えなくなる」、「こどもの居場所がなくなってしまう」など、存続を求める声が多数寄せられています。区は、廃園の理由として、入園児の減少や園児1人当たりの経費増大を挙げていますが、区立園は、発達障害など、支援を必要とするこどもたちの大事な受皿となっています。さらに、公立・私立とも少人数で、一人一人のこどもに応じた幼児教育の質の向上こそ必要ではないでしょうか。子育て支援にも逆行する区立幼稚園の廃止計画は撤回すべきです。伺います。
人口や行政需要の増加に伴って業務量が増大しているにもかかわらず、正規職員の削減を続けてきたため、人口1,000人当たりの職員数は4.9人で、23区平均6.6人を大きく下回り、23区中最下位です。そのため、長時間過密労働が慢性化しており、中途退職や心身を壊し長期休職する職員が増加しています。
区は、2,715名と正規職員の上限を定めていますが、現場の実態と大きく乖離しています。今後の児童相談所の開設や災害時対応の職員増を踏まえ、上限を定めた少数精鋭の定員適正化計画は抜本的に見直し、現場や職員組合が求めている正規職員の大幅増員に応えるべきではないでしょうか、伺います。
正規職員が減らされた結果、区職員の4割は不安定、低賃金の会計年度任用職員となっており、賃上げと処遇の改善が強く求められています。
東京都の最低賃金は、今年10月に1,113円から1,163円に引き上げられることになり、本区の会計年度任用職員の賃金である時給1,165円に迫っています。会計年度任用職員の方から、「最低賃金に近い今の時給では、物価上昇の中で生活が苦しくなるばかり」と切実な声が上がっており、労働組合は時給を1,500円以上に引き上げることを求めています。区はこうした声に応え、会計年度任用職員の時給を引き上げるべきです。伺います。
本年6月、総務省の会計年度任用職員マニュアルが改定され、契約回数の上限が撤廃されました。区はこれを受けて、契約回数の上限を撤廃し、無期限の任用に改めるべきです。また、昇給制度を導入し、処遇の改善、雇用の安定を図るよう求めます。伺います。
大綱2点目は、子育て支援についてです。
まず、児童虐待対策について伺います。
近年、全国で痛ましい事件・事故が後を絶ちません。以前には本区でも死亡事例が発生していることから、養育に課題を抱える家庭やこどもに寄り添い、安心して暮らせる環境の整備が望まれます。
一方、本区の虐待の対応件数は、2018年の約500件からこの5年間で約1,000件へと倍増していますが、現状に対する区の認識について伺います。
児童虐待の未然防止と早期発見・早期対応を図るため、区内4か所の子ども家庭支援センターに見守り支援ワーカーが配置され、育児に不安を抱える家庭への支援を行っています。支援を必要とする家庭は年々増加し、昨年は200件以上、ワーカー1人当たり30件ほど抱えており、きめ細かい支援が困難な状況となっています。こどもや保護者のSOSを受け止め、養育を支援するため、8か所全ての子ども家庭支援センターに早期に配置すべきです。伺います。
次に、児童相談所の設置についてです。
こどもたちを守る児童相談所の開設が望まれており、本区は区立児童相談所を開設するため準備を進めています。昨年10月に策定した児童相談所基本構想には、開設時期は明示されておらず、職員の確保や育成が課題としています。児童相談所開設には150名以上の職員確保が必要となり、先行した自治体は、開設後も職員の確保が一番の課題と聞いています。本区は、人材の確保、育成についてどのように取り組んでいくのでしょうか、伺います。
児童養護施設など、児童相談所での一時保護後の受入先の確保も大きな課題となっています。施設関係者は、「東京東部は施設が不足しているため、遠方に入所となり、親子間の関係修復に支障が出る」、「区内に入所施設ができれば、24時間対応の相談窓口やショートステイなど、手厚い子育て支援が可能となる」と指摘しています。
江戸川区や荒川区は、児童養護施設を区独自に誘致しました。本区としても、長期計画に位置づけ、独自に確保する必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、こどもの権利条例についてです。
江東区は、こどもの権利に関する条例を、2025年4月1日の条例施行を目指し検討を進めています。安心して生きる権利や自分らしく生きる権利、豊かに育つ権利、自分の意見を表明する権利は、こどもにとって大切な権利であり、とりわけ意見表明権の保障や権利擁護が求められています。
私たち共産党区議団が視察した愛知県豊田市は、2007年にこども条例を制定、こどもの声を聞くことに注力し、条例に「子ども会議」を規定して、毎年テーマごとに議論を行い、まとめた意見は市に提言をして施策の展開を図っています。区の条例にも「子ども会議」を盛り込むなど、こどもたちの意見を表明する場を保障すべきです。伺います。
豊田市は、こどもたちの権利擁護のため相談窓口を設置しています。この窓口は、こどもが安心して相談できるよう、学校、保育園、児童館などとは独立した第三者機関が運営に当たっています。先進的事例に学び、こどもの権利相談窓口を設置すべきと考えますが、見解を伺います。
こどもの権利について、こども自身が学習することは重要です。さらに、保護者をはじめ、教員やきっずクラブの職員、保育士など、こどもに関わる大人たちの学ぶ機会を広げていくことが求められます。パンフレットやポスターを作成・普及するなど、こどもの権利についての周知、啓発を進めるべきです。伺います。
大綱3点目、防災対策について伺います。
本年元日に発生した能登半島地震は、大きな被害をもたらしました。また、地球温暖化の影響で自然災害は激甚化しており、防災対策の強化は急務です。
今年3月に公表された事業継続計画では、職員用の水や食料の備蓄は不十分な上、トイレの備蓄はありません。区は今後の課題としていますが、いまだに増強されていません。急いで備蓄すべきです。伺います。
本計画の改定で、発災後3日間は、避難所運営など、区民の生命・財産を守る非常時優先業務に当たる職員の3割、約800人が参集できないことが判明しました。区は、協定を締結している自治体や民間企業からの応援で対応するとしていますが、発災直後は区内企業も被災しており、他自治体からもすぐに力を借りることは困難と考えます。
能登半島地震では、人材不足から被災住民の救護活動、避難所の開設・運営、インフラの復旧などが大幅に遅れました。このことを教訓にして職員を早急に確保すべきです。伺います。
また、災害時協定を大田原市、秩父市、沼津市の3市と結んでいますが、支援内容の具体化に向け協議を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、災害弱者対策の拡充について伺います。
まず、福祉避難所についてです。
高齢者や障害者など、避難行動に支援を必要としている区民のうち、要介護3から5までの方は約3,600人、重度の障害者1,700人ほどが、災害時に福祉避難所への避難を希望すると考えられますが、区と協定を結んでいる福祉避難所は25施設しかなく、受入可能人数は数百人程度とあまりにも不足しています。
一方、阪神・淡路大震災や豪雨水害を経験した京都市は、福祉避難所の重要性を認識し、平成25年に現場の職員を含めたワーキンググループを設置して、福祉避難所運営ガイドラインの策定、事業者に要配慮者の受入れを働きかけ、現在では300か所以上の施設を確保しています。昨年も台風による豪雨災害に襲われましたが、避難者の間に大きな混乱は起きなかったと聞いています。
江東区でも、ワーキンググループを立ち上げて福祉避難所の運営ガイドラインをつくるなど、長期計画に福祉避難所の整備を位置づけ、計画的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、京都市は取組を進め、今年4月から、福祉避難所に指定されている施設に自宅から直接避難できる仕組みを導入しています。本区としても、検討段階にとどめず、直接避難ができる仕組みをつくるべきです。伺います。
平成29年の水防法改正により、地域防災計画に掲載されている浸水想定区域内の障害者施設や介護施設などには、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務づけられています。今年8月現在、対象752施設中、避難確保計画は9割の施設が策定しているのに対し、避難訓練の実施状況は4割にとどまっています。避難訓練未実施の施設に対し、アンケート調査を実施するなど、進まない原因を把握し、必要な支援を行うべきと思いますが、区の所見を伺います。
高齢者や障害者など、避難時に支援が必要な方のうち、2万5,000人が個別避難計画の作成を希望していますが、約1万6,000人の計画ができていません。今年度から福祉専門職を配置し、計画の作成を推進するとしていますが、何ら進展が見られません。何が課題で進んでいないのか、今後の取組と併せて伺います。
大綱4点目は、介護・医療問題についてです。
初めに、介護報酬について伺います。
今年度は介護報酬の改定が行われ、訪問介護の基本報酬が減額されました。訪問介護事業所は、ホームヘルパーの人手不足や高齢化の影響で、倒産件数はコロナ禍を超え急増しています。区内の関係者は、必要な介助ができなくなり、区民の暮らしに深刻な影響を与えると怒りの声を上げています。
区は、「処遇改善加算を取得すれば改定前の報酬が確保される」と答弁してきましたが、処遇改善加算でプラスになるのは、今まで取得してこなかった事業所だけで、大半が減額となり、各種加算は利用料に跳ね返ることから、利用控えが起きていると聞いています。報酬引下げの影響についてどう認識していますか。このままでは在宅介護の崩壊を招きかねません。訪問介護事業所に対し、区としても運営費補助を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、介護人材の確保についてです。
介護現場から「求人を出しても応募がない」、「職員が定着しない」などの声が上がっており、人材確保策の強化が求められています。
現在、区と都が実施している宿舎借上支援事業は、最大で家賃の8分の7、8万2,000円の補助が受けられます。しかし、対象約450施設に対し、利用は15件にとどまっており、本事業を知らない事業者が多いのが実情です。介護保険運営協議会で案内チラシを配布するなど、事業の周知徹底を図るべきです。さらに、求人サイト登録料に補助を行うなど、介護人材の確保策を拡充するよう求めます。伺います。
次に、国民健康保険料について伺います。
江東区は今年度、1人平均1万3,848円もの保険料値上げを強行しました。6月14日に保険料決定通知が各家庭に発送されると、区の窓口に1週間で2,000件以上、「負担が重過ぎて払えない」などの苦情や問合せが寄せられました。区は、こうした区民の声をどう受け止めていますか、伺います。
国民健康保険は低所得の高齢者や失業者、個人事業主が多く加入する医療保険ですが、国保加入者の1人当たりの平均保険料は、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの約2.5倍となっており、保険料の引下げが強く求められています。しかし、国は、自治体が保険料抑制のために行っている一般財源の繰入削減を推進し、保険料のさらなる値上げを区民に押しつけようとしています。
区民生活は厳しさを増しており、負担限度を超えています。国保財政の責任主体である東京都に対し、独自の財政措置を講じるよう求めるとともに、本区の一般会計からの繰入れを増額し、保険料を値上げせず、引下げに力を尽くすべきです。伺います。
次に、医療保険証の廃止問題についてです。
従来の健康保険証が本年12月2日に廃止されることを知った区民から、「マイナ保険証に変えないと今までと同じ医療が受けられなくなるのか」など、不安の声が多数寄せられています。区は、保険証廃止後も、有効期限内は現行の保険証が使用できることや、マイナ保険証のない方には資格確認書が区から届くことなどを周知し、誤解と不安を与えないようにすべきです。伺います。
本区のマイナ保険証の登録率は、国民健康保険の方で50%、後期高齢者医療保険の方は51%と低く、医療現場では既にトラブルが続いています。今後発行される資格確認書が、現行の健康保険証と同様の記載内容であるならば保険証を廃止する理由はありません。国に対し、国民皆保険制度を壊す医療保険証の廃止は中止するよう求めるべきです。
区の答弁を求めまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~
赤羽目たみお議員の御質問にお答えいたします。
初めに、区民の暮らしと区政運営についてのうち、区民の暮らしの声を受け止め、支援することについてです。
区としても、物価高騰の影響が区民生活に及んでいる状況は認識しており、これまでも中小企業支援や高齢者・子育て世帯への支援など、様々な施策を講じてまいりました。今後も区民の声にしっかりと耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
次に、生活全般を支える取組についてです。
ワンストップ窓口の設置についてですが、現状、各相談窓口では、聞き取った内容に応じて他の部署や関係機関へつなぎ、連携して対応しております。必要に応じて担当職員が他の部署に出向いて相談を受けるなど、引き続き、丁寧に対応してまいります。
次に、財政運営を転換し、暮らしと営業を支える施策を行うことについてですが、まず、基金は区民サービスを安定的に提供するための財政基盤を構築するために不可欠なものでございます。今後、長期計画に基づき、学校や公共施設の改修・改築、防災力強化、少子高齢化への対応などを着実に進めるためには、将来需要を見据えた基金残高の確保と効果的な活用が必要であると考えております。
また、基金を活用した施策の実施についてですが、区はこれまでも基金を各種施策の実施に適切に活用してまいりました。御質問の中小企業に対する燃料費補助、学校教材費の無償化、給付型奨学金の対象拡大、奨学金返済助成等の各取組につきましては、事業効果や財政負担を十分に精査し、区が実施すべき施策に対しては、必要に応じて基金を活用する考えでございます。
次に、区立幼稚園の廃園についてですが、園児数のさらなる減少が見込まれている中、今後も就学前教育の充実等の役割を中長期的に果たしていくためには、適正規模での集団教育による各園の活力維持が不可欠であることから、撤回する考えはございません。
また、支援が必要な園児については、存続園に特別支援教育専任コーディネーターを配置し、受入体制の強化を図ってまいります。
次に、定員適正化計画の抜本的な見直しについてですが、職員数については、各部署の業務や実情を踏まえ、適切な職員体制維持に努めているところでございます。
また、人口当たりの職員数についてですが、行政サービスは、区正規職員だけではなく、会計年度職員や委託事業者などとともに総体として提供していくべきものであり、参考値の一つであると認識しております。
次に、会計年度任用職員の賃上げと処遇の改善についてでございます。
まず、会計年度任用職員の時給については、職務給の原則に従い、職務の内容と責任等を踏まえ、社会情勢に応じた適正な額を適用しております。
次に、再度任用回数の上限の撤廃についてですが、総務省のマニュアルは、国の取扱いを例示として示したものであり、具体的な取扱いは地域の実情等に応じて対応する旨も求められていることから、他区の動向も参考にし、慎重に検討していく考えでございます。
また、昇給制度については、現時点で導入の考えはございませんが、会計年度任用職員の処遇改善につきましては、社会情勢等も踏まえ適切に対応してまいります。
次に、防災対策についての御質問にお答えいたします。
初めに、災害時の職員確保についてでございます。
まず、職員用の備蓄につきましては、本年3月に改定した事業継続計画を踏まえ、携帯トイレ等の必要な備蓄を進めてまいります。
また、職員の確保につきましては、各部局間との調整、国や東京都をはじめとする他自治体、協力団体等との連携により、必要な人員を確保することとしております。
次に、災害時相互応援協定内容の具体化につきましては、本年5月に協定を締結している沼津市、大田原市、秩父市を所管部課長が直接訪問し、協議を進めてございます。
次に、福祉避難所についてです。
災害時における福祉避難所の運営は重要なことと認識しております。お尋ねの福祉避難所の運営ガイドラインですが、区では災害時に福祉避難所の運営が円滑に行われるよう、関係部署が連携し、介護事業所等と意見交換を行いながら、福祉避難所の基本的な考え方の整理を行っているところでございます。
また、かねてより様々な福祉関連施設と意見交換や調整を行うなど、新たな福祉避難所としての協定締結や受入可能人数を増やす取組を行っており、現時点では改めて長期計画に位置づける考えはございません。
また、福祉避難所への直接避難につきましては、避難対象者の特定や受入施設の状況などから、現時点では困難な状況ですが、各施設と協定内容の見直しを行っていく際に、施設利用者等の直接避難の在り方についても検討してまいります。
次に、障害者施設や介護施設における水害避難訓練の実施についてです。
水防法では、浸水想定区域内の障害者施設などの要配慮者利用施設は、避難確保計画の作成とともに、計画に基づく避難訓練の実施及び区への報告が義務づけられてございます。このため、区では対象施設に対し、年1回避難訓練の実施及び報告を依頼しているほか、区報での周知に加え、区ホームページに報告様式の記載例や実際の訓練シナリオ例を掲載し、計画策定と訓練実施の支援を行っております。
また、今年度はさらに全対象施設へ訓練の実施を再度通知する準備を進めてございます。引き続き、実施率の向上に取り組んでまいります。
次に、高齢者や障害者の個別避難計画についてです。
平成26年度の計画作成開始当初から協力を依頼している災害協力隊の活動により、令和6年4月時点での計画作成数は9,000件を超え、特別区で2番目に多い状況となっているものの、対象者の範囲を幅広く定めているため、作成率は4割程度であり、災害協力隊がない地域や作成の協力が難しい地域での計画作成が進まないことが課題となっております。このため、今年度から福祉専門職の参画により、特に緊急性の高い障害者約230人の計画作成に取り組んでおります。
これまでに計画作成手引の準備を行い、事業者への周知を完了し、現在、契約依頼の準備を行っている状況で、概ね予定どおり手続を進めてございます。
今後は計画作成の進捗状況を確認し、高齢者を含め、計画作成対象者の拡大を検討してございます。
なお、その他の御質問につきましては、所管部長が答弁いたします。
次に、子育て支援についての御質問にお答えいたします。
まず、児童虐待対策についてです。
通告件数の増加は、法改正により児童相談所から区への逆送致が開始されたこと、また、これまで着実に啓発活動や関係機関のネットワーク構築に取り組んできた結果、区民並びに関係機関の認識が高まり、虐待の発見・通告の増加に至ったものと認識しております。
子育てに不安等を抱える保護者が気軽に相談し、安心して子育てできる環境が求められていることから、区では、これまで地域の見守り支援を柱とした子ども家庭支援センターの機能強化を図ってまいりました。児童虐待の未然防止から早期発見・早期対応まで、切れ目のない支援体制を一層強化するため、見守り支援ワーカーの充実についても今後検討してまいります。
次に、児童相談所の開設についてです。
児童相談所に従事する人材の確保に関しては、現在、特別区全体で職員の採用が難しくなっている現状があります。しかし、このような状況の中でも、経験者を含め、引き続き採用を進めていくほか、庁内人材の活用として、児童相談所業務に関する職員向け研修の実施や、公募制人事制度の活用に取り組んでまいります。
人材の育成については、これまで都や他区等の児童相談所に20名を超える職員を派遣してきたところです。今後も区の養育支援課で虐待対応等の業務に従事することで、相談援助業務の経験を積ませるほか、引き続き、職員派遣や各種研修も活用しながら職員の育成に努めてまいります。
次に、児童養護施設についてです。
国は、家庭養育優先の原則を打ち出し、里親の普及啓発を推進しているところですが、一方で、区は、施設の確保についても、課題の整理を含めた調査研究が必要と考えております。
次に、こどもの権利条例についてです。
こどもの意見表明権については、重要な権利の一つであるため、本区の条例にも盛り込む方向で検討を進めております。
こども会議等の意見表明の場については、社会状況の変化などに柔軟に対応するためにも、条例ではなく計画の策定などにおいて検討していくべきと考えております。
相談窓口の設置ですが、本区では、こどもが抱える様々な悩みに対して、これまでも各種相談窓口において、その専門性を発揮して対応を図ってまいりました。しかしながら、こどもの権利を保障するためには、さらなる相談体制の強化等についても検討が必要であると考えており、今後、他自治体の取組事例について研究してまいります。
こどもの権利の周知、啓発についてですが、昨年度実施した江東区こども計画策定に係る調査では、こどもの権利についての認知度が低い結果となったことから、区は周知、啓発活動が非常に重要であると考えております。今後は、認知度を高めるための効果的な周知、啓発方法について検討を進めてまいります。
次に、介護・医療問題についてです。
まず、介護報酬の改定についてですが、国は、訪問介護について、今回の改定で他の介護サービスより処遇改善加算を高い加算率としており、賃金体系等の整備や一定の月額賃金配分などを行うことで、総合すると報酬額を引き上げることができるとしております。
これまでも介護事業者と定期的に意見交換を行っておりますが、現在のところ、訪問介護事業者から今回の報酬改定についての意見は届いておりません。
また、運営費補助を行う考えはありませんが、国は、今回の報酬改定において実態把握を行っていくとしておりますので、状況を注視してまいります。
次に、介護人材の確保についてですが、宿舎借上支援事業は、介護保険サービスを提供する事業所に対し、住宅費負担の軽減と地域の災害福祉拠点としての迅速な対応の推進を目的に、都が対象としない事業所を区がカバーする形で実施する事業でございます。
周知につきましては、専用サイトへの掲出等を実施しておりますが、関係事業者が出席する会議での利用勧奨やヒアリングを行うなど、事業の利用拡大を図ってまいります。
また、人材確保策の拡充につきましては、本年度、補正第2号にて採用活動費補助を予算化するなど、事業者に寄り添った対策に取り組んでいるところです。
次に、国民健康保険料についてのうち、まず、区民の声をどう受け止めているかについてです。
問合せの多くは保険料の計算に関することであり、苦情ではありませんが、保険料が被保険者の負担となっていることは十分認識しており、区では、保険料負担の軽減に向け、医療費適正化事業や保健事業の推進に努めているところです。
次に、保険料の引下げについてのお尋ねですが、特別区長会ではこれまでも東京都に対し、国民健康保険財政の責任主体として独自支援の拡充を講じるよう要望をしてきたところです。また、一般会計からの繰入れを増額し、保険料の引下げに力を尽くすべきとのことですが、法定外繰入れは、国保財政の健全・安定化における課題であり、国からもその解消を求められております。特別区では、本来終了予定であった独自の激変緩和措置を継続するなど、法定外繰入を行ったところであり、今後も被保険者の負担感を考慮しながら検討してまいります。
次に、医療保険証の廃止問題についてです。
情報を周知し、区民に誤解と不安を与えないようにすべきとのことですが、区はこれまでも区報や区ホームページ、国保だより等において、現行保険証の廃止やマイナ保険証に関する情報提供を重ねてきたところです。引き続き、被保険者が安心して保険診療を受けられるよう、周知に努めてまいります。
また、保険証廃止の中止を国に求めるべきとのことですが、マイナ保険証を利用登録することで、被保険者にとっては、特定健診情報や処方薬の情報を医師等と共有でき、より適切な医療が提供されるなど、様々な効果が期待されることから、区として中止を国に求めることは考えておりません。