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2015年第3回定例会―赤羽目たみお議員
私は、日本共産党江東区議団を代表して大綱三点について質問します。
- 「安全保障関連法案」いわゆる戦争法案について
- 高齢者の住宅支援について
- 保育問題について
まず「安全保障関連法案」いわゆる戦争法案について伺います。
安倍自民・公明政権は、今まさに国会において戦争法案の強行採決を狙っています。
国民の民意を踏みにじり、民主主義、立憲主義、平和主義を破壊する歴史的暴挙であり、私たちは絶対に許しません。
この法案は、アメリカが起こすあらゆる戦争に日本の自衛隊が参加し、軍事支援や武力行使を行えるようにするものです。
歴代の内閣法制局や元最高裁の長官をはじめ、一部の右翼的な憲法学者を除くほとんどの学者が憲法違反であると断じています。
八月三〇日には、国会周辺に十二万人、全国では1千ケ所以上で数十万人の国民が一斉に立ち上がり、江東区内でもこれまで、集会やパレードが開催され、多くの区民が参加して、戦争する国づくりは許さないと声を上げています。
とりわけ、青年や学生、子どもを持つ母親など、若い世代が自主的に行動に取り組む等、憲法違反の戦争法案廃案を求める声と運動が空前の規模で広がっています。
区長は、こうした国民・区民の世論と運動をどう受け止めますか、伺います。
国会審議の中で、法案の危険な問題点が次々と明らかになり、国民の怒りが渦巻いています。政府は、法案の根幹部分についでさえ整合的な答弁ができなくなり、「日本人を輸送する米艦の防護」や「ホルムズ海峡の機雷掃海」等、集団的自衛権行使の具体的根拠としていたものが、ことごとく崩れ去っています。
また、米軍への武器輸送など軍事支援の内容について、防衛大臣は、非人道的兵器であるクラスター爆弾や劣化ウラン弾、さらに、核兵器まで法律上は輸送できると答弁し、米軍に対する自衛隊の軍事支援に制限がなく、戦争法案の危険性も明白です。
さらに、わが党が暴露した自衛隊統合幕僚監部の文書では、戦争法案の8月成立・来年2月施行を前提に、自衛隊が運用計画を検討し、あらゆる事態で自衛隊が日常的に米軍の指揮下に入り、米軍と一体となって軍事作戦を行う事や、これまで憲法で禁じてきた「駆け付け警護」などを始めるとした詳細な日程表まで記載されていました。
区長はこれまで、わが党の質問に、戦争法案は「憲法9条のもとで許される」、「江東区平和都市宣言に相反するものではない」と答弁してきましたが、戦争法案は、武力の行使を禁じた憲法9条を壊して、アメリカと一緒になって海外で武力行使を行うもので、戦争の抑止どころか、戦争実行法に他なりません。
区長は、それでも戦争法案は憲法違反ではないと思うのか、答弁を求めます。伺います。
今年四月に改定された日米軍事協力の指針、いわゆるガイドラインでは、他国を防護するために、自衛隊だけでなく、自治体職員や民間人まで戦争に動員される仕組みが作られています。万が一戦争法案が制定・発動されれば区長の名において区民を戦争に巻き込むことになるのではないですか、区長の見解を伺います。
紛争解決にあたり、安倍政権のような軍事一本槍の対応では、憎しみの連鎖を生みだし、危険な悪循環に陥ってしまいます。
いま日本に必要なのは、紛争はあっても、それを絶対に戦争にしないための平和の外交戦略を打ち出すことです。
区長は、白本を戦争する国につくりかえる、戦争法案の廃案を求めるべきです。伺います。
大綱二点目は高齢者の住宅支援について伺います。
この間の消費税の増税や、度重なる社会保障の改悪、食材や日用品など諸物価の値上がりで、高齢者に対する負担は大幅に増大しています。一方で、年金削減など、収入は減り続け高齢者の貧困が大きな問題となっています。
区内でも、収入二〇〇万以下の高齢者は高齢者全体の五五%に達し、高齢者の生活保護受給世帯はこの5年間で九〇〇世帯以上も増え続けています。
私たち区議団にも「一日の食事回数を減らし、お風呂に入るのも我慢するなど節約を重ねて、なんとか暮らしているが、もう限界」と悲鳴が寄せられています。
まず、区長は高齢者のくらしの状況をどう認識していますか、伺います。
高齢者の貧困が広がる下で、「家賃が高いので都営・区営住宅などに入れてほしい」と相談が相次いでいます。しかし、都営シルバーピアの応募倍率は四二倍、今年六月に行った、区営高齢者住宅の空き家募集には一七倍もの申し込みが殺到する等、高齢者が増加している中で、公営住宅の建設は緊急かつ切実な要求となっています。平成二三年度に創設された「地域優良賃貸住宅制度」は、住宅の整備費用や家賃引き下げなどに国が財政支援を行い、高齢者等に賃貸住宅の供給を推進するもので、足立区、墨田区、中央区、北区などが活用しています。
区長もこの制度を活用するなどして、区営高齢者住宅の建設やUR賃貸住宅等、借り上げ住宅を整備すると共に、東京都に対し、都営及び高齢者住宅の建設を強く求めるべきです。
あわせて伺います
次に、高齢者世帯民間賃貸住宅あっせん事業ついて伺います。
この事業は、宅地建物取引業協会や不動産協会の協力を得て、住宅に困っている高齢者に民間賃貸住宅を紹介するものです。
これまで一定改善され、昨年一年間で一〇〇件以上も申請はありますが、成立件数は一二件に留まっています。成立が進まない原因は、住宅家賃が高いことや、物件がバリアフリーでないこと、さらに、孤独死など事故のリスクから家主の貸し渋りがあると聞いています。文京区は、高齢者が入居すると家主に毎月1万円を支給、バリアフリーなど環境改善にも支援し、入居者には、住み替え費用と家賃助成を行う他、日常生活の支援を行う生活援助員の派遣や緊急通報システムを無料で設置して安否確認を行い、家主負担の軽減を図っています。本区の事業でも契約金等の一部助成はしていますが、更なる充実が求められています。
区長は、住宅家賃や転宅費用に助成するとともに、生活援助員の派遣や緊急通報システムの設置などを行い、家主負担の軽減をはかるなど、住宅に困っている高齢者に対する「あっせん事業」を拡充すべきです。伺います。
次に、高齢者の住宅改修助成について伺います。
手すりの設置やトイレ・浴槽をバリアフリーにして「長年住み慣れた自宅で暮らし続けたい」と住宅改修に対する助成を求める声も広がっています。
現在江東区が行っている高齢者住宅改修助成は介護認定を受けた人が対象で、この間の介護保険の大改悪で一部二割負担が導入されてしまいました。
区長は、介護予防の点からも、費用負担の軽減や、対象年齢の引き下げをおこない、高齢者住宅改修助成を拡充すべきです
。伺います。
大綱の3点目、保育問題について質問します。
今年四月、認可保育園に申し込んでも入れない待機児童数は一三九七人にのぼり、いまだ深刻です。わたしたち区議団に、区内の保護者から「子どもが預けられないと職場に戻れない、生活が壊れてしまう、夜も眠れない」切実な声が多数寄せられています。
江東区は今後、民間の認可保育所などを整備して待機児を解消するとしていますが、保育所整備と同時に保育の質の確保が重要となっています。
まず、株式会社が運営する保育所について伺います。
本年5月、江東区内の株式会社立の保育所で職員が大量退職し、つい先日には園長も退職、後任の園長も退職の意向を示すなど、子どもと保護者に多大な負担を与える深刻な問題が起きてしまいました。
これまでわが党は、様々な事例を、挙げ、営利を目的とした株式会社が運営する保育所の整備は見直すよう求めてきました。それに対し、運営上問題はないと答弁して、株式会社の保育所整備を推進してきた区の責任は重大です。
区長は、このような事態をどう受けとめていますか、伺います。
こうした問題を二度と起こさないために、現在、区の指導・援助が行われていますが、極めて不十分と言わざるを得ません。
現在一〇〇を超える認可保育園と認証保育園を含めた七〇以上の認可外保育所に対し、指導や援助を行う区の職員は七名と少なく、月に八~一〇施設にしか指導に入れていません。
区長は、職員を増員して区内全ての運営状況や保育士の離職状況を把握し、必要な指導・援助を直ちに行うべきです。伺います。
次に、区立保育園の民間委託について伺います。
区長は、今議会に南砂第四保育園を企業に委託する議案を提案していますが、区立保育園の民間委託は、子どもに負担を与えると区も認めており、さらに、営利目的の株式会社は、人件費を大幅に削らない限り利益をだすことはできず、保育士の処遇を悪化させ、保育の質の低下を招くことは避けられません。
区長は、これまで江東区と保護者、保育関係者で築き上げてきた江東区の保育の充実にこそ力を入れるべきであり、区立保育園の民間委託は中止すべきです。伺います。
次に区立の認可保育園整備についてです。
これまでわが党が明らかにしてきた通り、民間事業者が運営する認可保育園は職員が定着せず、保護者から不安の芦が多数あがっています。また、民間任せの保育所整備で、園庭がなく、ビルの一室に設置された施設が増加しており、子どもの健全な成長と発達に影響を及ぼし、安心して子育てしたいという保護者の願いに応えることはできません。
安定した保育を保障するためにも、区が責任を持つ公立の認可育園を増設し待機児童を解消すべきです。伺います。
次は、サテライト保育事業について伺います。
分園から本園に子どもをバスで送迎して保育するサテライト保育事業について、区は来年度から新たに亀戸~大島間で実施するとしています。
しかし、先日、湾岸サテライトスマート保育で、子どもを乗せた送迎パスが接触事故を起こしました。パス運行である以上、今後も交通事故のリスクは避けて通れません。また、保育で重要な担任保育士と保護者間で日々こどもの状態を直接確認することもできていません。区が、サテライト保育事業を開始する際に行った、保護者へのアンケート調査でも、圧倒的多数の保護者が自宅に近い場所に認可保育所の設置を望んでいます。
区長はサテライト保育事業を見直し、保護者が直接送り迎えできるところに認可保育所を設置するべきです。伺います。
次に、保育士の確保と処遇の改善について伺います。
安定した保育を行うために保育士の確保と処遇の改善は喫緊の課題です。
厚生労働省が行った調査では、全職種の労働者の平均賃金が325,600円であるのに対し、保育士は214,200円と一〇万円以上低くなっています。区は、国や都の処遇改善対策により、一定、保育士の給与は上がったとしていますが、格差を是正するには至っておらず、専門職としてさらなる処遇の改善が必要です。
区長は、政府や東京都に対し、さらなる処遇改善策を求めるべきです。また、保育士確保のため千代田区、世田谷区、大田区が行っている家賃助成を江東区としても行い、保育士確保をすすめるよう求めます。区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
2015年第3回定例会―すがや俊一議員
質問の前に、この度の関東・東北豪雨で亡くなられた方々へのご冥福をお祈りすると共に、災害にあわれた住民の方々に、心からお見舞いを申し上げます。又、一日も早い復旧・復興を願うものです。
日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問します。
- 本区の「行財政改革」について
- 介護保険制度について
- 中小業者の支援について
- 羽田空港の機能強化に伴う飛行経路変更計画について
質問の一点目は、本区の「行財政改革」について伺います。
「民間企業の公共サービス参入」で利益拡大を図る財界・経団連の要求に従い、国は、「官から民へ」の掛け声で、「規制緩和」と「社会保障切捨て」を柱にした「行財政改革」を平成9年度から推し進めてきました。
区は、国の「行財政改革」に追随し、一人親家庭ホームヘルパー派遣の新規受付廃止、高齢者のふれあい食事サービスの廃止など福祉を切り捨てながら、保育料の17%値上げや施設使用料20%の値上げ、がん検診の全面有料化など、区民に負担を押し付けてきました。また、民間委託を推進し、年収2百万円以下の非正規の不安定雇用を増やし、「働く貧困層」を拡大するなど、住民の福祉向上と暮らしを守るべき自治体の役割を投げ捨ててきました。
こうした福祉切捨てと負担増の「行革」のもとで、わが党が実施した「区民アンケート」では、6割以上の区民が「生活が苦しくなった」と回答。国保料では滞納世帯が4割を占め、生活保護世帯も毎年増え続けるなど、区民生活の困窮が広がり続けているのが実態です。
「行革」推進と区民生活の実態について、区長は、どう認識しているのか、伺います。
区は、区民生活や自治体本来の役割を省みず、平成27年度以降5年間の「行財政改革計画・後期」を策定し、さらなる民間委託の拡大と使用料などの値上げ、区税や国保料などの徴収強化を行うとしています。
民間委託では、区立保育園4圏を民営化後、さらなる区立保育園の民営化を進める計画です。すでに委託された保育園では、直営に比べ3千5百万円も低い運営費委託料と長時間保育等が課せられ、ある保育園では、低賃金と過重労働で、保育士が1年間に10人も退職。これについて区は、「多様な保育サービスで高い評価を受けている」などと述べていますが、保護者からは、「保育の質が保てない」など、不安の声が寄せられているのです。
公立保育園の民営化は中止し、保育が安定した公立保育園の整備こそ行うべきです。伺います。
区の業務の外部委託化では、戸籍業務などの窓口業務や生活保護でのケースワーカー委託化の検討が掲げられています。この間わが党は、戸籍業務を民間委託した足立区が、法務省から「戸籍法違反」、都の労働局も「偽装請負・労働者派遣法違反」と断定したことを示し、委託中止を求めてきましたが、区は委託化の検討を止めていません。違法となる戸籍業務など窓口業務の民間委託の検討は止めるべきです。
また、ケースワーカーの仕事は、プライバシーの保護や専門性が必要です。「行革」方針でも、「高度なプライバシーを扱う仕事は区職員が行う」と定めています。検討は中止すべきです。併せて伺います。
職員削減では、「行革」開始以来848人を削減してきました。人口1千人あたりの本区の職員数は5.5人で、23区中最低クラスです。これまで区は、「行政需要増による職員確保はしている」と述べていますが、現在、職員組合では、生活保護のケースワーカーで27人、窓口業務では18人など、合計144人の職員増員を求めています。必要な職員を確保するべきです。伺います。
区民施設の使用料などの値上げが、来年度実施に向けて検討中です。近隣区に比べ、野球場では2倍前後も高いなど、本区の使用料は引下げるべきです。
また、区税の徴収強化では、給料の差し押さえが横行し、生活保護にまで追い込む事件まで起きています。区は「徴収は区の責務」などと強弁していますが、人権侵害の徴収強化は、直ちに是正すべきです。併せて伺います。
こうした「行革」推進で区は、平成25年度では125億円、26年度は150億円など、毎年巨額な余剰金を出して基金にため込み、平成26度決算では、過去最高の942億円余に達しています。
その一方で区長は、「オリンピックレガシー」を理由に、第2有明小中学校合築費に通常の建築費の2倍・120億円を投入するなどは、余りにも過剰です。通常の建設費に見直すべきです。
「行革」によるため込みを改め、国保料や介護保険料の軽減など、住民の暮らし応援、中小業者支援にこそカを尽くすべきです。
「行財政改革・後期」計画は抜本的に見直し、住民福祉の向上を本旨とする自治体本来の姿に立ち帰るべきです。区長の答弁を求めます。
次に、介護保険制度について伺います。
介護保険が始まって15年。3年ごとの制度改定の度に保険料値上げと給付抑制が繰り返され、今年4月の制度改定では、要支援者の介護保険除外をはじめ、低所得の介護施設利用者に対する補助縮小と要介護2以下の特養ホーム入所の原則除外、年金収入280万円以上の介護利用料を2割負担にするなどの大改悪となっています。
区は、介護保険による訪問介護や通所介護を利用している要支援者・約2,900人に対して、来年の4月から、区が行う「介護予防・日常生活支援総合事業」=「総合事業」に移行させるとしています。そこでは、「チェックリスト」や「ケアマネジメント」で要支援者などを振り分け、介護事業者に支払う介護報酬を大幅に引下げた「安上がり」の訪問介護と通所介護・「A型」に可能な限り移行させます。しかも、「A型」の介護サービスの提供は「無資格者」でもよく、本区では、独自の「14時間研修終了者」で行うとしています。
区の計画について、介護事業所からは、介護報酬の大幅引下げは、介護の質を下げ、介護事業所の運営も困難になること。また、要支援者に対する生活援助は、専門職のホームヘルパーだからこそ、認知症や健康状態の変化をいち早くつかみ、介護の重度化が防げると述べ、これまで介護保険で行ってきた「現行サービスの継続が必要」だと指摘しています。
「A型」の訪問・通所介護などへの移行は中止し、「現行サービス水準」で対応するべきです。また、「総合事業費」の確保に向け、国庫負担の増額を求めるべきです。伺います。
この8月から、年金収入280万円以上の人は、介護利用料の負担が、2倍の2割負担となり、本区では、要介護認定者の1割強・1,824人もの区民が2割負担になりました。
この間、わが党の「アンケート調査」では、現行の1割負担でも「負担が重い」が多数です。今回の2割負担で、在宅での必要な介護をやめてしまうことも想定され、介護の重度化を招きかねないと考えますが、区の見解を伺います。
また、特養ホームでは、2割負担によって、月額で8千円から1万7千円のもの負担増となり、利用料が払えず、退所になりかねません。
2割負担に伴う利用抑制や施設入所者の生活状況を把握し、「利用負担の軽減」など、区として必要な支援を行うべきです。伺います。
また、8月からは、特養ホームなど、住民税非課税の介護施設入所者に対する居住費や食費を補助している「補足給付」が縮小され、本区では、219人もの区民が、補助を打切られました。
特に、「配偶者の住民税課税」による補足給付の打切りは深刻です。
住民税の課税対象は年収153万円以上、月収では12万7千円余で、家賃や生活費でほぼ無くなります。特養ホームに入所中の区民からは、「補足給付」が打切られ、利用料が1ヶ月5万円も増えて15万円となり、夫の年金では払えないとの相談が寄せられています。
区は、「補足給付の除外」となった世帯の生活実態を把握し、施設退所にならないよう利用料負担の軽減を行うべきです。伺います。
また、特養ホームの入所対象者を原則「要介護3以上」としたことで、本区での要介護2以下の入所除外者や辞退者が400人以上となり、新たな介護難民・介護困難者が広がっています。国に対し、補足給付縮小も含め、特養ホームの入所制減の中止など、制度の改善を求めるべきです。伺います。
3点目は、中小業者の支援について伺います。
消費税が8%に増税され、区内商工団体による小規模事業者に対する「アンケート」調査では、「売上げや利益が減少した」が7割に達し、「今後の見通し」では、6割の事業者が「悪くなる」と回答しています。
砂町銀座で4人の従業員を抱える商店主は、「赤字で、自分の給料を切ってやりくりしている」、また別の商店主からは、「アベノミクスで景気がよい実感などない」と語り、工務店などからも「町場の仕事がない」との声が上がっています。区内小規模事業者の営業が一段と悪化していると考えますが、区の認識を伺います。
こうした現状から、「小規模企業振興基本法」に基づく支援策の展聞が、緊急に求められています。
「小規模基本法」では、国及び自治体は、従業員5人以下の小規模企業への支援を行うことが「責務」とされました。国の「小規模企業振興計画」策定とともに、自治体においては、振興策の企画・立案・実施が責務とされています。そのためにも、実態調査や小規模事業者からの意見聴取が極めて重要となっています。
この間、わが党が求めてきた「実態調査」について区は、今年3月の予算委員会で「業態別の実態把握を行いたい」と答弁しています。早期実施を求めるものです。伺います。
またわが党は、「意見聴取の場の確保」では、すでに、「中小企業活性化協議会」が設置されていることから、その中に、小規模事業者や関係団体などで構成する「専門部会の設置」を提案してきました。これについても区は、「検討したい」と答えています。早期に設置し、支援策の具体化を進めるべきです。伺います。
「小規模基本法」の成立に際し、国会の参考人質疑で全国商工団体連合会の代表は、全国628の自治体が行っている「住宅リフォーム助成制度」の実施を強く求めています。
この制度は、住民の住宅改善に際し、区内業者の利用を条件に、自治体が一定の補助金を出すもので、実施した自治体では、住民や地元業者から歓迎され、地域循環型の経済活性効果が大きいことが特徴です。
私たち区議団が視察した京都府・与謝野町では、工事費の15%・上限20万円で「住宅リフォーム助成制度」を開始し、3年間での受注が1700件。補助額は2億6千万円で、工事総額は40億円。また与謝野町では、京都大学によって、同制度による地域経済への波及調査が行われ、その結果、建設業や製造業など各種産業への「1次波及効果」に加え、雇用や賃金の改善、家計消費の喚起など「2次波及効果」を生み出し、波及効果の総額は実に63億円余。補助金に対する経済効果は24倍近くに達し、「住民はもとより、受注した町内業者から大変歓迎されました」と担当課長が述べています。
この与謝野町の取り組みが国会でも紹介され、石破地方創生担当大臣は、「住宅リフォーム助成制度は進めなければならない。経済効果が高いことも事実」と認めています。同制度の経済効果に対する区の見解を伺います。
「小規模基本法」の趣旨に則り、「住宅リフォーム助成制度」の実施に向けた検討を進めるべきです。伺います。
同時に、現在区が実施中の「商店改修助成」の対象は、生鮮3品の取扱店のみとせず、対象店舗を広げるべきです。伺います。
質問の4点目は、羽田空港の機能強化に伴う飛行経路変更計画について伺います。
国は、オりンピック開催や国際競争力を強化するとして、羽田空港の機能強化を打出しています。1時間当りの発着回数を今の80回から90回に拡大することに伴い、騒音対策や安全面から、最大限活用している現在の東京湾上空の飛行経路を変更し、南風の着陸については、新宿など都心部上空を高度900から600メートルで通過する。
また、年間6割を占める北風での離陸=出発機の飛行経路については、江東区の市街地に沿った荒川上空に変更し、荒川河口では、高度600メートル、新砂から東砂、そして大島・亀戸上空では、900から1200メートルの高度で飛行するとしています。
しかも、午前6時から10時半までの4時間半と、午後3時から7時までの4時間は、1時間当たり22機、2~3分間に1機が通過するというものです。
この間題で国土交通省は、南砂区民館で、「資料パネル」を使い、個人別に対応する住民説明会を開催しました。そこでは、オリンピック開催と国際競争力の強化が強調され、航空機騒音などは、通り一遍の説明と区民の「意見アンケート」で済ませるなど、十分なものではありませんでした。
参加した区民からは、荒川上空での「試験飛行」と「住民説明会」の実施を求める声が上がっています。区は、国に対し、荒川上空を一定期間飛ぶ「試験飛行」と「騒音測定」を行わせ、その結果を基に、住民と関係者が一堂に会して質疑応答を行う「教室型」の説明会を、各地域別に開くことを要請すべきです。伺います。
新砂・東砂、大島・亀戸地域における航空機騒音のレベルは、機種による違いがあるものの、国土交通省の資料では、66から77デシベルで、大半が70デシベル以上です。国土交通省の「航空機騒音障害防止法」や環境庁の「航空機騒音環境基準」では、住居系地区は、24時間補王等価(Lden)で「57デシベル以下」と定めています。
1日の内、8時間半に渡って2~3分間に1機が、70デシベル前後で江東区上空を飛びかうことになれば、学校などをはじめ、住民への騒音被害が発生しかねません。国の「騒音防止法」や「環境基準」との関連も含め、区の見解を伺います。
現在、江戸川区の一部市街地上空が、高度900から600メートルでの着陸飛行経路となっており、年間で150件もの苦情が区に寄せられています。また、私たち区議団が視察した伊丹市では、大阪国際空港の騒音被害や航空機事故の危険に苦しんでいます。
2年前には、日本航空機が着陸時にエンジン火災を発生し、大惨事につながる事故を起こしています。
いま、航空各社は、競争激化による離発着便の過密化のなかで、整備現場での人員削減と外部委託化が進められ、事故につながる「重大異常事態が増加中」とのマスコミ報道もあります。
すでに新宿や品川区では、国に対し、騒音問題や安全対策への対応とともに、区民や議会の理解が得られる十分な説明を求める「要望書」などを提出しています。
区は、これまでどのような対応をしてきたのか、また、今後どう対応するのか、伺います。
区は、航空機騒音被害と航空機事故の危険から区民を守る立場に立ち、必要な独自調査や区民への情報公開などを行い、国に対し、羽田空港機能強化を理由にした「飛行経路変更計画」の中止要請を行うこと求め、質問を終わります。
2015年第2回定例会―山本真議員
初当選させていただきました山本真です。私は、日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点、質問いたします。
- 労働問題について
- 保育について
- マイナンバー制度について
- 交通対策について
大綱1点目、労働問題について伺います。
近年、非正規労働者が増加をし続けています。現在では3人に1人、また、若い人の2人に1人が非正規労働者で、そのほとんどはワーキングプアと呼ばれている年収200万円以下の人たちです。
私自身も学童クラブの非常勤職員として働いてきました。1年更新で、来年は何をしているのかもわからず、先行き不安な状態です。賃金も低く、毎月の手取りは15万円前後、家賃や奨学金の返済、光熱水費に電話代を払ったら、手元に残るのは7万円。この状況では毎月生活していくのがやっとで、貯金など蓄えもできず、将来の設計もできません。親元を離れたくても、家賃が払えず自立できないという青年もいます。
非正規労働が長期化すれば、正規労働につくのも難しくなります。そして、この人たちが定年を迎えるころには生活の糧もなくなります。そうなれば、生活保護の世帯も増大します。非正規労働者をこのままにしておく社会に未来はありません。
舛添都知事も、昨年末の定例記者会見の中で、「3人に1人が非正規という非常に異常な状況が続いている」と述べ、正規雇用の確保を言っています。
区長は、この3人に1人が非正規労働者という実態を異常と認識しているでしょうか、伺います。
続いて、国の労働法制についても伺います。
景気は回復傾向にあると言っていますが、個人消費も実質0.4%増と低迷が続いています。GDPの6割を占める個人消費の回復なしに景気回復はあり得ません。そのため、国でも、安倍首相は賃金の引き上げが必要と言っています。しかし、安倍政権は労働者派遣法の改悪を進め、部署を変えるなどすればいつまでも不安定な派遣労働ができるようにしようとしています。また、高度プロフェッショナル制度と言いながら、働かせても残業代を払わなくてもいいようにする法律をつくり、働く人の賃金をさらに削ろうとしています。
労働者派遣法など、労働法制の改悪がさらに不安定雇用を増加させ、景気悪化を招くことは明らかです。安心して働ける労働環境確保のためにも、景気改善のためにも、労働者派遣法など、国の労働法制の改悪の中止を求めるべきです。伺います。
続いて、江東区の正規職員の確保についても伺います。
江東区においても、正規職員を減らし非正規労働者をふやし続けてきました。過去の10年間でも、正規職員を300人減らした一方で、賃金の低い非正規労働者を少なくとも400人以上はふやしてきています。
学童保育の現場では、ベテランの指導員に変わったことで、学童クラブが楽しくなったという声があります。学童クラブでけん玉をしているところは多くありますが、あるベテランの指導員は、こどもたちにけん玉の基礎から教えます。立ち方やけん玉の持ち方、肘を固定して膝を使って玉を上げるなど、基礎・基本を教えます。そのような指導を受けたこどもたちは、最終的にはけん玉を両手でやりながら音楽に合わせてダンスをする、こういうこともできるようになります。こどもたちは、「できた、やった」と達成感を感じながら学童クラブでの時間を過ごすのです。こどもたちの可能性を引き出す技術のある指導員は経験年数も長いのです。長く続けられる指導員の確保が求められます。
しかし、江東区は技能系現業職員の退職不補充でふやそうとはしていません。待遇の低い非常勤では長く働くことは困難です。このことは児童指導に限ったことではありません。このままでは技術の継承もできず、区民サービスの低下も招きます。住民サービス向上のためにも、必要な職員を正規雇用で確保すべきです。伺います。
臨時職員についても伺います。
ある江東きっずクラブでは、20人ぐらいのこどもがいる部屋を日常的に1人の臨時職員で担当しているという実態もあります。保育には欠かせない存在になっています。ですが、この土曜きっずクラブでは、臨時職員にも欠員が出ている、こういう実態もあります。この臨時職員の賃金は、4月から時給950円に引き上がったとはいえ、フルタイムで働いたとしても年収200万円に届くかどうかであり、まさに官製ワーキングプアです。臨時職員の賃金や休暇制度など、待遇を引き上げていくべきです。伺います。
委託先の労働者の賃金も低いままです。区の臨時職員の賃金はふえましたが、区役所の駐車場で働く警備員の方などの賃金は昨年と変わらず、時給は900円のままふえていません。この間、最低賃金も引き上がっています。委託先の労働者の労働条件が確保されるようにすべきです。
労働条件引き上げの担保にもなるよう、契約を結ぶときに労働条件も保障する公契約条例の制定をすべきです。伺います。また、国にも公契約法を制定させるよう意見を上げるべきです。あわせて伺います。
大綱2点目は、保育について伺います。
子ども・子育て支援新制度が4月からスタートしました。国は、「すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために」と言いますが、安心して子育てができない事態が生まれています。
ある保護者は、今まで通っていた保育園から退園してほしいと言われました。この方は2人目のこどもができ、今度は子育ても楽しみたいとフルタイムから週3日の勤務に変えました。ところが、これまで通っていた園が、ことしの4月に認証保育所から認可保育園に移行し、認可園の基準である週4日以上の勤務に満たないために退園してほしいと言われたそうです。区は、多様化するニーズへ対応すると言っていますが、実際にこの方は保育を打ち切られています。
ことしの4月に認証から認可へ移行した園はわずか7園です。これから次々と認可園へ移行を進める中で、このような事態を生んではいけません。区として、認可園への移行に当たって、今まで受けていた保育を継続して受けられるようにすべきです。伺います。
続いて、待機児童解消についても伺います。
4月1日現在、待機児童は167人としていますが、この数には育児休業中の人は数えられていません。育児休業中の人は、育児休業が終われば保育園が必要になるのにです。また、認証保育所に入れた人も待機児童には含まれていません。多くの保護者が希望しているのは認可保育園です。この認可保育園に入れない児童は1,396人います。
日本共産党江東区議団が行ったアンケートにも、「今は育児休業中で保育園を5つ申し込んだがどこもいっぱい。このままでは会社をやめざるを得ない」など、切実な声が多数寄せられています。待機児童の実態もきちんと捉え、保育園の増設を行うべきです。
東陽一丁目など、区内には都有地の空き地が多数あります。この都有地などを活用し、区としても責任を持って保育園の増設を進めるべきです。伺います。
続いて、保育料についても伺います。
新制度の実施に合わせて保育料の改定が行われました。所得の低い階層については、これまでよりも保育料の負担が多少引き下げられたものの、保護者の4割を超すD11階層以上では、これまでより保育料の負担が上がりました。区は、今年度については昨年度と同程度の保育料となるよう、暫定的措置をとり、来年度以降については再度検討するとしています。
出産にも育児にも負担がかかり、子育て世帯は経済的に大変です。「保育料が高く、働いてもほとんどが保育料に消えてしまう」との声が寄せられています。保育料の負担増は許されません。来年度以降の保育料については、引き上げないのはもちろんのことですが、さらに引き下げるようにすべきです。伺います。
また、第二子以降について、港区が行っているように無料にしていくべきです。あわせて伺います。
続いて、保育士の処遇改善などについて伺います。
保育士不足と質の低下が問題になっています。その背景には保育労働者の低賃金、そして劣悪な労働条件のため、人が次々とやめている実態があります。
区内のある株式会社が運営している保育園では、誕生会やハロウィンパーティーなど、盛大にやっていました。ですが、その準備にかかるお金は職員の持ち出しだったそうです。また、夜9時過ぎまで明かりがついているなどの長時間労働もあります。
保育士がやめるのはやる気や技術の問題ではありません。低い労働条件です。現在区で行う指導検査体制では、保育士の待遇や労働条件まではつかめません。この労働条件や待遇、保育士の離職率などが把握できるよう、保育士の実態調査を区として行うべきです。伺います。
また、国が私立幼稚園、保育所などに対して、職員給与の処遇改善の措置をとっていますが、この分がきちんと保育士の賃金にも反映されているのか、この制度の周知徹底や実施状況の把握などもあわせて行うことを求めます。伺います。
大綱3点目、社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度について伺います。
このマイナンバー制度は、赤ちゃんから高齢者まで全ての人に12桁の数字が割り振られ、この番号をもとに社会保障と保険料、税の納付状況など、国が一括して管理する制度になっています。ことしの10月には、住民票を持つ全員に番号が交付され、来年の1月から使用が開始されます。
このマイナンバー制度は、個人情報を一元的に把握、活用するもので、一度の情報漏えいで莫大な情報が漏れます。プライバシー権侵害の危険性が極めて高いと日本弁護士連合会も指摘しています。
セキュリティー対策に対しても、行政独自の回線を使う、分散して管理をする、暗号化を進めるなどと言っていますが、そのようなやりとりは、結局はイタチごっこで、100%大丈夫というセキュリティー体制を構築することは困難です。一度のミスでも取り返しのつかない被害につながります。それは、この間の日本年金機構の問題からも明らかです。
政府は、今回の日本年金機構の問題を受け、マイナンバー法の改悪は先送りにしましたが、今後、預貯金や健康診断情報、カルテや診療報酬明細などの医療情報、自動車登録情報など、民間の分野にもこの範囲を拡大しようとしています。行政だけがしっかりしていればいいという問題ではありません。
この制度の導入に当たっては、区でも現段階でシステム開発などにより4億円を支出しています。従業員が少ない民間の中小企業などは特に負担が重くのしかかります。そして、民間企業が加わることで情報漏えいの危険性はさらに高まります。区長は、このマイナンバー制度の危険性をどのように認識していますか、伺います。
このマイナンバー制度は、行政の効率化などをうたっていますが、住民の利益はほとんどありません。まして情報保護の負担が重くのしかかり、膨大な費用の浪費や人権侵害が行われかねない状況を押してまで進めるべきではありません。マイナンバー制度の実施中止を国に求めるべきです。伺います。
大綱4点目は、交通対策についてです。
高齢化社会で、江東区も人口の2割が高齢者です。町の利便性の向上が求められます。
まず、1点目は、東陽町駅前発の錦13系統のバスですが、地域住民の切実な声で、東陽町駅前から昭和大学江東豊洲病院までバス路線を延伸させ、本数の改善も行われました。このバス路線を、東陽町駅前からがん研有明病院まで延伸させてほしいという強い要望が寄せられています。
江東区は南北の移動が不便で、区の北部からがん研有明病院まで行くには、電車でもバスでも、何度も乗りかえをして行かなくてはなりません。医療機関へは病気を抱えている人が行くので、公共交通でのきめ細やかな対応が求められます。東陽町駅前からがん研有明病院まで1本で行けるバス路線を延伸するよう、東京都への働きかけを求めます。
2点目に、昭和大学江東豊洲病院へバスで行くときに、ほとんどの路線が深川五中前のバス停でおりることになります。この深川五中前からだと病院まではかなり歩くことになります。東京都にこの昭和大学江東豊洲病院前のバス停を経由する便をつくるよう、バス路線の運行経路改善を働きかけることを求めます。
3点目は、塩浜福祉園前の歩道橋について伺います。
ある高齢者からは、「イトーヨーカドーへ買い物に行くが、荷物を持って階段の上り下りがつらい」。また、車椅子を利用されている方からは、「押して通るのも、スロープの坂道がつらく、遠回りをして通っている」という声を聞きます。この下に横断歩道があれば30秒で通過できるところを、大回りして行くと5分近くかかります。生活で使う道を毎日遠回りすることは大変なことです。地元の住民からの要望が大変強いところです。道路の安全対策も図りながらこの歩道橋の下に横断歩道の設置をするよう、関係機関に求めます。
この3点について伺います。
以上、大綱4点、これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
2015年第2回定例会―そえや良夫議員
日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問します。
- 介護保険制度について
- 消費税増税と中小企業支援について
- 本区のスポーツ施策について
第1は、介護保険制度についてです。
介護保険制度は、見直しのたびにサービス削減や介護保険料引き上げなどが繰り返されてきました。中でも今回の見直しは、要支援者の保険外し、低所得の施設入所者に対する補助縮小、深刻な特別養護老人ホームの不足はそのままに、要介護1、2の人は原則入所の対象外、さらに、介護報酬は施設・在宅サービスともに大幅削減するなど、保険としての根本が問われる大改悪となりました。
まず、要支援者に対する保険外しについてです。
専門職であるヘルパーの要支援者に対する継続した支援は、認知症や健康状態の変化を素早く見つけ、重度化を防ぐ役割を果たしてきました。この仕事をボランティアなどによる買い物や掃除、洗濯など、細切れの生活支援に置きかえる総合事業は、要支援者の状態変化を見落とし、悪化させると心配されています。しかも、大半の自治体で総合事業の担い手確保に苦慮しています。
本区でも、家事援助、家事代行に参入の意向を示した訪問介護事業所は全体の約4割、ボランティア団体や町会・自治会などでは全体のわずか3%の21団体で、担い手確保の難しさが浮き彫りになっています。
ことしからスタートさせた品川区では、介護事業所に従来の8割の報酬単価で総合事業を肩がわりさせていますが、経営の悪化が懸念されています。見切り発車も介護事業所への低い単価での肩がわりも求めるべきではありません。区の責任で要支援者に対する現行のサービス水準を維持するとともに、利用料の負担増や介護報酬の低下を招かないようにすべきです。また、国に対し、要支援者の保険外しをやめるよう求めるべきです。伺います。
次に、特別養護老人ホーム入所の低所得者に対する補助縮小についてです。
2005年に施設入所者の食費、居住費が自己負担とされました。同時に負担増に伴う退所者が出ないように、住民税非課税世帯に対する補助制度が導入されました。それでも退所に追い込まれた人が出ました。ことしの8月からこの補助の要件が大幅に狭められ、世帯分離をしていても、配偶者が住民税課税者であれば、食費、居住費が全額負担となります。本区でも1,200人近くが補助を受けており、少なくない人が退所に追い込まれる心配があります。
特別養護老人ホーム入所者は、老老世帯など、さまざまな理由で特別養護老人ホーム以外では介護を受けられない人たちです。制度の改悪によって退所に追い込まれる事態があってはなりません。認識を伺います。今からでも国に補助の縮小を中止するよう求めるべきです。また、区の独自補助で引き続き入所できるようにすべきです。あわせて伺います。
次に、特別養護老人ホームの介護報酬削減の影響についてです。
政府は、特別養護老人ホームには内部留保があるとして、この4月から基本報酬を6%も削減しました。しかし、この積立金は修繕費や資材価格の高騰などに備えるもので、配当準備金など、民間企業の内部留保とは意味が違います。全国老人福祉施設協議会は、この介護報酬引き下げにより、介護職員処遇改善加算など各種加算がされたとしても、収入減になり、6割近くの施設が赤字に転落するとしています。
特別養護老人ホームでは、きつい仕事と低賃金のため、職員不足が常態化し、入所を制限している施設もあります。そうしたもとでの介護報酬削減に、事業者はさらなる職員不足とサービス低下の負の連鎖を招きかねないと、頭を抱えています。介護保険の国庫負担割合を緊急に10%引き上げ、介護報酬の引き上げを図るとともに、介護報酬とは別枠で国費による介護労働者の賃金の引き上げの仕組みをつくるよう、国に求めるべきです。伺います。
次は、介護保険料についてです。
介護保険料の基準額は、5,000円が限界と言われてきました。しかし、利用者にも事業者にも大きな犠牲を強いながら、比較的安いと言われる本区でも、基準額が5,200円に引き上げられました。
また、厚生労働省が、消費税増税と引きかえに実施するとしていた低所得者の保険料軽減計画の大部分を反故にしたため、引き下げられる一方の年金から高額な保険料が天引きされ、「年寄りは死ねということか」など、区民から悲鳴の声が上がっています。
しかも、2025年には基準額が8,000円を超えるとの試算も示されています。公費負担2分の1、介護保険料などの国民負担2分の1という制度設計がそもそも問題です。国庫負担割合の抜本的引き上げを求めるべきです。また、保険料負担を軽減するための区の独自助成を行うべきです。あわせて伺います。
第2は、消費税増税と中小企業支援についてです。
昨年4月の消費税増税と異常な円安政策により、事業者は、「仕入れ価格は上がり、売り上げも利益も減ったのに、消費税額がふえた」と怒りの声を上げています。将来の見通しが立たないと廃業する事業者も相次いでいます。区長は消費税増税の影響について、「景気は緩やかに回復」などと答えてきましたが、もうけているのは円安と減税の恩恵を一手に受けた大企業だけ。中小業者の約半数は消費税を転嫁できず、少なくない事業者が10%になれば廃業せざるを得ない状況に追い込まれています。こうした中小業者の実態についてどう認識しているのか、伺います。また、消費税10%への増税中止を国に求めるべきです。あわせて伺います。
次に、商店などの改修に対する助成事業についてです。
我が党が繰り返し求めてきた空き店舗対策の拡充に加え、ことし4月、商店の改修等に対する助成事業が、生鮮三品を扱う商店を対象に始まりました。また、その工事などの発注先を原則区内業者とし、仕事おこしにつなげたことも重要です。しかし、対象となる生鮮三品を扱う店は全部で100軒程度。商店街はさまざまな店が集まり、消費者の多様なニーズに応えにぎわっています。また、商店街、町工場は、身近な雇用の場をつくり、地域経済の中核を担っています。区の商店街、製造業事業所調査で必要性が明らかになった区内小規模事業者の事業継続支援と仕事おこしを同時に進め、地域経済の活性化を図るためにも、本事業の対象を飲食店など全ての小規模店と町工場に広げるべきです。
また、今後、建設、運輸、生活関連サービスなど全業種にわたる小規模事業者の悉皆調査を行い、小規模事業者団体などが幅広く参加する検討会を開いて、それぞれの業種に見合った支援策を打ち出すべきです。あわせて伺います。
次に、区内業者への優先発注についてです。
我が党は、これまでも区が調達する物品等について、区内業者への優先発注を求めてきました。しかし、随意契約による少額な物品の区内業者への発注は、平成24年には、件数、金額ともに60%を割り込むなど減少しています。学校の現場では、給食食材の納入契約を交わしながら一度も注文せず、他県のメーカーのものを買っていたということもありました。改めて区内業者優先発注の趣旨を全庁的に徹底して広め、調達比率を高めるよう求めるものです。伺います。
次に、信用保証制度改悪についてです。
小規模事業者を対象とする特別小口保証は、信用保証協会が全額保証するもので、全国で101万社が利用し、中小企業融資の約7割を占めています。全国信用保証協会連合会の調査でも、小規模事業者ほど全額保証の比率が高くなっており、小規模事業者にはなくてはならない制度となっています。ところが、政府は今国会に、特別小口保証についても、部分保証に後退させることを前提とする法案を提出しています。
8年前、中小企業融資に対する信用保証協会の保証割合が8割にされたことをきっかけに、貸し渋りがひどくなりました。本法案は、自治体の制度融資を後退させ、小規模事業者の経営に大きな打撃になることが懸念されています。国に対し、特別小口保証の改悪中止を求めるべきです。また、都に対し、信用保証協会による全額保証の継続を求めるべきです。あわせて伺います。
第3は、本区のスポーツ施策についてです。
スポーツ基本法では、スポーツは全ての人々の権利と位置づけ、日常的に親しみ、楽しむ機会が確保されなければならないとうたっています。さらに、青少年、高齢者にとっての重要性も明らかにしています。
しかし、東京都の人口100万人当たりの体育・スポーツ施設数は全国最低です。本区の人口は、この10年間で9万人もふえましたが、スポーツ、運動を行える施設の整備は大幅に立ちおくれたままです。そのため、屋外スポーツ施設の申し込み倍率が5倍になるなど、深刻な施設不足となっています。
また、マンションなど大型開発が進む一方で、球技ができる広場は区内7カ所にすぎないなど、幼児や児童が思い切り遊べる場所も著しく不足しています。
スポーツ基本法の趣旨にのっとり、未活用の都有地の活用などで、多目的運動広場を初め、スポーツ施設を増設すべきです。伺います。
次に、障害者のスポーツ環境の整備についてです。
区のスポーツ推進計画では、障害者スポーツの推進に当たり、施設のバリアフリー化が必要としています。しかし、例えば東砂スポーツセンターの障害者用更衣室は、入り口のドアや敷居、シャワー室の床が高いなど、車椅子使用者が介助なしに利用できる状態ではありません。他の施設についても実態調査をし、障害を持つ利用者の声を生かしたバリアフリー化を速やかに進めるべきです。伺います。
障害者スポーツに係る指導員の不足も、スポーツに親しむ機会を狭めています。障害者水泳教室を開いているスポーツ会館でも、専任の指導員は常駐せず、教室以外の利用申し込みがあったときには、まず、外部の指導員との日程調整等が必要で、障害者にとっては利用しづらいものとなっています。区が行ったアンケート調査でも、指導員の養成が強く求められており、指導員の常駐体制を区が責任を持って確立すべきです。また、スポーツ会館以外での水泳教室開催や、障害者の要求に沿った種目の拡大も進めるべきです。あわせて伺います。
次に、高過ぎる本区のスポーツ施設利用料の引き下げについてです。
区は、平成28年度に財政基盤確立の観点から、スポーツ施設利用料の見直しを検討するとしています。しかし、本区のスポーツ施設利用料はたび重なる値上げで、近隣区に比べ、野球場が1.7倍から2.3倍など、一番高い水準にあります。4年前の20%もの値上げで、スポーツセンターを利用する高齢者から「使いづらくなった」との声が寄せられています。
また、7年前には、高齢者でも団体利用は割引がなくなったため、プールを使った高齢者のサークル活動が中止に追い込まれる事態も起きました。区のスポーツ推進計画でも、高齢者のスポーツを通じた交流や健康づくりが位置づけられています。スポーツ基本法で国民の権利と位置づけられているスポーツに親しむ機会が、経済的事情によって制限されることはあってはなりません。認識を伺います。
誰もが等しく、スポーツに親しみ、楽しめるように、近隣区の中で一番高い水準のスポーツ施設の利用料金は引き下げるべきです。また、こどもや高齢者、障害者の利用料は無料にするなど、大幅に引き下げるべきです。あわせて伺い、質問を終わります。(拍手)
2015年第2回定例会―大つきかおり議員
日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問をいたします。
- 「戦争法案」と江東区の平和施策について
- 医療制度の改正と区民生活への影響について
- 昭和大学江東豊洲病院の問題について
- 教育問題について
第1に、「戦争法案」と江東区の平和施策についてです。
現在、国会では、日本を海外で戦争する国へと変える戦争法案の審議が行われています。政府はこの法案を平和安全法制などと呼んでいますが、その中身は、日本をアメリカの起こす戦争に、いつでもどこでもどんな戦争でも参戦、支援することができるようにするもので、日本の国の平和とも国民の安全とも全く無縁なものです。
戦争法案では、従来の自衛隊のイラク派兵などでは禁止されていた戦闘地域での弾薬の提供や武器の輸送など、米軍への軍事支援を可能にするとともに、停戦合意があるものの、なお戦乱状況が続く地域における治安維持活動での武器使用など、これまで自衛隊が未経験の危険な任務を大幅に拡大しています。自衛隊員が殺し、殺される危険性が決定的に高まります。
また、日本がどの国からも攻撃を受けていないのに、集団的自衛権を行使し、アメリカの戦争に参加して、他国領域での武力行使もできるようにしようとしています。新3要件で歯どめがかけられているかのように述べていますが、日本の存立が脅かされたと判断するのは時の政権であり、いくらでも拡大解釈が可能です。
日本が引き起こしたさきの侵略戦争では、310万人もの日本人と2,000万人を超すアジア諸国民が犠牲となりました。東京大空襲では、江東、墨田など、下町一帯が火の海となり、一夜にして10万人ものとうとい命が失われました。この痛苦の経験から、日本は二度と戦争はしないと誓い、江東区も憲法第9条に基づいた江東区平和都市宣言を行っています。
憲法第9条は、第1項で、国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇や武力攻撃を行わないと戦争を放棄したのに加え、第2項では、軍隊は持たない、交戦権は放棄すると、徹底して戦争はしないことを明記しています。
安倍政権の戦争法案は、明らかに憲法第9条と江東区平和都市宣言に反するものではありませんか。区長の見解を伺います。
区長はこの間、集団的自衛権の行使容認について、日本を取り巻く安全保障環境が変化していることを挙げ、「集団的自衛権の行使も江東区平和都市宣言もともに抑止力だ」などと容認の立場をとっています。
北東アジアに緊張と紛争の火種が存在することは事実です。しかし、抑止力の強化、軍事力増強で構えれば、相手も軍事力増強を加速することになり、軍事対軍事の悪循環に陥ってしまうと考えますが、見解を伺います。
日本共産党は、ASEAN(東南アジア諸国連合)で、現につくられている東南アジア友好協力条約(TAC)のような、紛争の対話による解決を目指す平和の枠組みを北東アジアにも築く、北東アジア平和協力構想を提唱しています。
今、日本にとって何よりも大切なことは、どんな問題も道理に立った外交交渉により解決をすること、また、平和的解決に徹する憲法第9条の精神に立った外交戦略を確立することではないでしょうか。区長の見解を伺います。
この間の世論調査では、戦争法案の今国会での成立に反対する声が多数となっています。また、野中広務元内閣官房長官や古賀誠元自民党幹事長といった保守的な立場の人たちからも、安倍政権の乱暴なやり方に批判の声が上がっています。国民の声を無視して今国会での成立を強行することは許されません。戦争法案は廃案とするよう政府に求めるべきではありませんか、見解を伺います。
次に、江東区の平和施策について伺います。
ことしは戦後70年の節目の年です。3月には平和記念式典が実施されたものの、それ以外は例年とほとんど変わらない事業しか行われません。節目の年にふさわしい取り組みが必要です。東京大空襲や学童疎開資料の展示だけでなく、戦地での戦争体験、広島・長崎の原爆の被爆体験を聞く取り組み、広島・長崎への中学生や高校生などの訪問見学、北砂の東京大空襲・戦災資料センターと連携した事業の実施など、平和施策の拡充を行うべきだと思いますが、伺います。
第2に、医療制度の改正と区民生活への影響について伺います。
医療保険制度の大改悪が、自民、公明の与党の賛成多数で強行されました。改革の名のもとに、社会保障費の削減と国民への負担増を行うものです。
今回の法改正の最大の特徴は、国民健康保険の財政運営を、これまでの区市町村から都道府県に移すことです。保険料は引き続き区市町村が決めますが、都道府県からは標準保険料率が示されます。標準保険料率は、保険料を軽減するために自治体が独自に行ってきた一般会計からの繰り入れを反映させていないもので、国会審議の中で塩崎厚生労働大臣は、「標準保険料率を参考に適切な(保険料の)設定に取り組んでもらう」と述べ、一般会計からの繰り入れをやめさせていく狙いを明らかにしています。
江東区では、毎年の保険料の値上げで、加入者の4割近くが保険料を滞納する事態となっています。全国では、保険料の滞納で保険証がもらえないために病院にかかれず、重症化し、手おくれで亡くなる人が続出しています。一般会計からの繰り入れをやめれば、今でさえ耐えがたい保険料のさらなる引き上げや徴収強化を招くことになるのではないですか、伺います。
政府は、都道府県化に当たって、財政支援の拡充で3,400億円を措置するとしていますが、全国知事会が保険料引き下げのために求めてきた1兆円の国費投入からはほど遠く、地方自治体の3,500億円を超える一般会計からの繰り入れにも及びません。しかも、交付は災害時に限定され、多くは貸し付けや、収納率アップを指標にした支援など、中身も問題です。
改革を言うのなら、削減した国庫負担をもとに戻すなど、抜本的な財政支援の拡充こそ行うべきです。見解を伺います。
今回の改悪では、都道府県主導で医療費削減の仕組みもつくられました。都道府県に地域医療ビジョンで医療の提供計画を立てさせ、病床数の削減を行わせるとともに、医療費適正化計画で医療費削減の目標を立てさせます。国は、現在202万床ある病床を43万床も削減しようとしていますが、今でも点滴をつけたまま退院させられるなど、深刻な事態も起きています。病床数の削減は、病院からの患者追い出しを一層進めることになるのではないですか、伺います。
さらに、公平を口実に、国民への負担増を行おうとしています。後期高齢者医療の保険料の軽減特例が廃止され、江東区では、加入者の半数を超す2万3,000人もの高齢者が、一挙に2倍から10倍もの大幅な保険料の負担増を強いられることになります。
また、65歳未満の方の入院時における食事代を、1食260円から460円に引き上げます。1カ月入院すると1万8,000円もの値上げです。治療の一環である食事代を値上げするのは大問題です。
さらに、紹介状なしで大病院を受診する際、5,000円から1万円の定額負担の導入や、国民健康保険組合への補助削減、患者申し出療養制度を創設し、保険のきかない自己負担の医療の拡大も行われます。これでは、お金がなければ十分な治療も受けられなくなるのではないでしょうか、見解を伺います。
政府は社会保障のためと言って、昨年4月から消費税を8%へと増税しながら、今年度予算では社会保障費の自然増すら認めず、3,900億円も削減しました。さらに、改革の名のもとに一層の医療費削減と国民への負担増を実施することは許されません。
日本共産党は、消費税の増税に頼らなくても、負担能力に応じた税制改革と国民の所得をふやす経済改革を行えば、社会保障充実のための財源はつくれると提案してきました。区民の命と健康を守るために、医療制度の改悪中止を政府に求めるべきではありませんか、伺います。
第3に、昭和大学江東豊洲病院の問題について伺います。
昭和大学江東豊洲病院は、江東区が東京都から40億円で購入した土地を無償貸与し、建設費についても、2分の1の75億円を補助して、昨年3月に移転・新設されました。
病院の移転・新設で、周産期医療や入院施設のある小児科の整備が図られたことは評価するものですが、一方で新たな問題が発生しています。
1つは、移転・新設前の昭和大学附属豊洲病院に通院していたほとんどの人が、紹介状を書くから他の病院へ移ってほしいと言われ、かかれなくなってしまったことです。すぐ目の前に住んでいる人も、遠くの病院に行かなければならなくなりました。
大学病院は高度先進医療を提供する病院だからというのが理由で、診てもらうためには紹介状が必要となり、紹介状がない場合、初診時選定療養費の5,400円を支払わなければなりません。
区民からは、「区民の税金を使いながら、おかしいのではないか」、「せめてこれまでかかっていた人は通院できるようにしてほしい」など、たくさんの声が寄せられています。医療機関の充実どころか、南部地域の住民にとっては、病院が1つなくなってしまったのと同じです。莫大な区民の税金を投入しておきながら、区民がかかれない病院になってしまったことは、余りにも不合理ではありませんか。区長はこの事態をどう認識していますか。また、これまで通院していた人が診察してもらえなくなることについて、区民や区議会に対し、事前に全く説明されてこなかったことについてどう考えているのか、伺います。
移転・新設と同時に、昭和大学附属豊洲病院が昭和大学豊洲クリニックで行っていた小児科がなくなってしまったことも、深刻な事態を広げています。
南部地域では、大規模マンションが次々と建設され、こどもの数が引き続き増加しています。豊洲出張所管内には、昭和大学江東豊洲病院の小児科も入れると12カ所の小児科がありますが、ゼロ歳から15歳のこどもの数は約1万8,000人で、1医療機関当たり1,500人を超えています。これは他の出張所管内と比べ2.3倍も多い数です。
豊洲のある小児科では、7時から予約開始なのに、7時3分にはその日の予約がいっぱいになってしまう状況です。お母さんたちは予約開始前からパソコンの前にスタンバイし、予約をとるのに必死です。予約がとれなければ、その日は病院に連れていかずに様子を見るか、ぐあいの悪いこどもを遠くの小児科に連れていかなければなりません。
区長は、南部地域の小児科不足についてどのように認識していますか。昭和大学に対し、現在健診事業のみとなってしまっている昭和大学豊洲クリニックでの内科、小児科の一般外来の再開を求めるとともに、医師会とも協力し小児科の誘致を行うなど、区としても対策をとるべきではないでしょうか、見解を伺います。
第4に、教育問題について伺います。
戦後70年の節目の年に当たり、改めて過去の戦争の歴史に向き合うことが求められています。日本が行った侵略戦争と植民地支配は、アジア諸国に深刻な被害を与えました。だからこそ、日本とアジア諸国との友好にとって、歴史問題は極めて大切な課題です。しかし、日本では、かつての戦争についてしっかりと教わったという人はわずか13%で、ドイツの48%と大きく違います。日本のこどもたちがアジア諸国の人々と共生していくためにも、近代史を学び、過去の誤りを知ることは不可欠だと思いますが、教育長の見解を伺います。
ことしは中学校で使う教科書を採択する年です。文部科学省の中学校教科書の検定では、日本軍国主義による侵略戦争であったアジア・太平洋戦争を、自存自衛、アジア解放のための戦争だったと描く歴史教科書や、憲法の平和的民主的原則をゆがめて描く公民教科書が、引き続き合格となりました。
また、安倍政権が検定基準を改悪したもとで、日本軍慰安婦の実態や証言の記述に対し、政府の統一的な見解に基づいた記述がなされていないなどの意見がつけられ、結果として記述の大幅削減などが余儀なくされました。
日本は正しい戦争をやったという安倍首相などのゆがんだ歴史認識を教育を通じて社会に持ち込むことは、日本を世界とアジアから孤立させるものではないですか。また、教科書の記述に政府が介入し、その時々の政府の見解に拘束され、左右されるようなことはやめるべきだと思いますが、あわせて見解を伺います。
この間、過去の侵略戦争を美化する人たちは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改悪によって、教育行政における首長の権限が強化され、教科書採択についても、首長に権限があるかのような主張を行っています。しかし、文部科学省は教科書採択について、首長は、教育委員会に対し、特定の教科書の採択を求める権限は有しないと明確な見解を示しています。教育長はこのことについてどのように認識していますか、伺います。
また、山崎区長も参加する教育再生首長会議と関係が深い日本教育再生機構は、教員らが参加して行われる教科書の調査研究についても攻撃しています。これについても、文部科学省は、必要な専門性を有し、児童・生徒に対して直接指導を行う教員が果たす役割は決して小さくないとの見解を示し、教員による教科書の順位づけについても不適切ではないと述べています。
こどもたちにとって最もふさわしい教科書を選ぶためには、教員による綿密な調査研究が保障され、その意見が尊重されることが必要だと思いますが、見解を伺います。
次に、少人数学級の推進について伺います。
少人数学級は、保護者、教育関係者、国民の長年にわたる教育要求ですが、安倍政権となり、政府、財務省によって、2013年も2014年も35人学級への動きがとめられ、今年度の予算編成では、「小学校1年生も40人学級に戻せ」という議論が政府内で起こり、文部科学省も35人学級の概算要求すら見送るという異常な事態になりました。
ことしも小学校3年生以上への35人学級の拡充が実施されなかったことについて、教育長の見解を伺います。
今、教育の現場では、手厚いケアが必要なこどもの増加、学級崩壊や立ち歩き、トラブルの増加など、さまざまな教育困難が広がっており、生活面でも少人数学級の実施が求められています。少人数学級になれば、勉強を丁寧に見ることができ、こどもの発言や発表の機会もふえ、みんなで議論しながら認識を深めていくなど、学習面でも大きな効果が期待できます。また、教員の多忙化解消のためにも、少人数学級による教職員の定数増は重要です。
少人数学級の実施は、2011年3月、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に全会一致で盛り込まれたものであり、これ以上先送りすることは許されません。国の制度として小中学校の全学年を35人学級とし、年次計画で段階的に実施することを法律で定めるよう、区として求めるべきです。また、東京都に対しても、独自に35人学級の拡大を図るよう求めるべきだと思いますが、見解を伺い、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
区議団ニュース2015年7月号
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2015年第1回定例会―正保みきお議員(一般会計予算修正案)
平成27年度江東区一般会計予算に対する修正案について、御説明いたします。
消費税増税と物価高が、区民の暮らしと地域経済を直撃しています。とりわけ福祉、介護、医療の国庫負担の削減は、介護や医療崩壊を深刻化させ、国民健康保険料や介護保険料などの重い負担を強いています。区民の暮らしが大変になっているときだからこそ、身近な区政に、住民の福祉と暮らしを守る防波堤としての本来の役割を果たすことが強く求められています。その立場から、本修正案を提案するものです。
修正案は、第1に、医療、介護、教育にかかる負担の軽減を図ること。第2に、賃金の安い非正規雇用を増大させる民間委託を中止し、正規職員を配置すること。第3に、不要不急の事業を削減するとともに、区政史上最高水準にある積立基金の活用を図ること。第4に、戦後70年に当たり、本区の平和事業を拡充するものです。
主な修正内容について、御説明いたします。
一般会計予算において、歳入歳出予算1,767億6,900万円の予算原案に対し、0.66%増、11億6,836万8,000円の増額修正を行うものです。
歳入についてです。
第16款財産収入は、株式会社東京臨海ホールディングス社への出資金2億4,000万円を取りやめるものです。
第17款寄付金は、マンション建設に伴う公共施設整備協力金6億7,400万円余を、当初予算に計上するものです。
第18款繰入金は、財政調整基金から新たに3億500万円余を繰り入れいたします。
次に、歳出についてです。
第1款議会費では、議長交際費を3割削減いたします。
第2款総務費は、3億370万円を削減いたします。これは、区長交際費を3割削減、副区長2人を1人に削減、4年ごとの区長の退職金2,300万円余の半分を削減するものです。
東京オリンピック・パラリンピック基金の積み立ては中止いたします。
戦後、東京大空襲から70年に当たり、再び戦争の惨禍を繰り返さないと誓った平和都市宣言趣旨普及事業を拡充します。
第3款民生費は、全体で9億6,200万円余を増額いたします。これは、国民健康保険料及び介護保険料の値上げ分の一部を助成、心身障害者福祉手当を、65歳以上の新規手帳取得者を対象に加えるものです。また、高齢者の入院時の負担を軽減するために助成金を、さらに、要介護4及び5の人に対し、月額1万円の重度介護手当を支給いたします。子育て家庭への経済的支援として、子ども医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大いたします。保育園における給食調理業務の新たな民間委託は中止し、正規職員を配置いたします。生活保護事業では、標準数に比べ不足しているケースワーカーを21名増員いたしました。
第4款衛生費は、各種がん検診を無料に戻すとともに、前立腺がん検診を拡充するなど、全体で1億500万円余を増額するものです。
第5款産業経済費は、小規模企業特別資金融資の利子補助の引き上げ、店舗増改築等経費の補助事業を拡充するなど、3億3,300万円余を増額いたします。
第6款土木費は、全体で7,000万円余を削減いたします。これは、地下鉄8号線建設基金への5億円の積み増しを取りやめる一方、マンション耐震診断・改修助成金の増額、木造住宅の簡易耐震改修に助成するなど、震災予防対策を一層強化するものです。
第7款教育費では、小中学校の入学準備支援として1人1万円を支給、また、学校警備及び用務の新たな民間委託を中止するなど、全体で1億7,600万円余を増額するものです。
以上、提案説明といたします。
2015年第1回定例会―赤羽目たみお議員(動議提出)
この際、動議を提出いたします。
ただいま一括議題となりました議案第7号から同第10号までの4件につきましては、議長を除く42名の委員をもって構成する平成27年度予算審査特別委員会を設置されまして、これに審査を付託されることを望みます。
(「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり)
2015年第1回定例会―斉藤信行議員
私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに教育長に質問いたします。
- 安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について
- 江東区の来年度予算案について
- 集団的自衛権と憲法問題について
- 教育問題について
まず、第1は、安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について伺います。
さきの総選挙でマスコミは、自由民主党圧勝などと報道し、安倍首相も「国民に背中を押してもらった」などと述べています。しかし、自由民主党は4議席減らし、比例代表でも33%の得票率でしかなく、小選挙区という選挙制度で虚構の多数を得ているにすぎません。
虚構の多数で編成された来年度予算案は、年金、医療、生活保護など、社会保障を軒並み切り捨て、加えて介護報酬引き下げなど、介護現場に深刻な影響を与える内容となっています。
一方、軍事費は過去最大で、大企業減税や大型公共工事、沖縄県の新基地建設、原発再稼働など、国民の願いに逆行し、「暴走政治予算」とも言える内容となっています。
自治体の住民福祉に大きな影響を与えるこのような政府予算案に対し、特別区長会や区長は、社会保障の切り捨てに反対し、拡充を求めるべきと考えます。政府予算案に対する区長の見解とあわせて伺います。
次に、消費税との関連で伺います。
消費税率は、社会保障のためとして5%から8%へ引き上げました。区長は、我が党からの再三の「消費税は暮らしと景気を悪化させる」として中止を求めよとの質問に、社会保障のために必要と繰り返してきました。しかし、社会保障は聖域なく削減しています。今、区民の暮らしは深刻で、こたつを押し入れにしまって重ね着で我慢している、医者へ行く回数を減らしたなど、暮らしが成り立たなくなってきています。消費税の増税分が社会保障に回らず削減されるもとで、区長は、まだ社会保障のためと、10%へのさらなる引き上げに賛成なのか。きっぱりと中止を求めるべきです。伺います。
今後、労働法制の改悪で、非正規雇用の拡大やいわゆる残業代ゼロ法案など、労働者の賃金の低下や年金のマクロ経済スライドの発動による支給額の引き下げなど、生活は深刻になる一方です。
安倍政権が最大の売り物にしているアベノミクスですが、実質賃金が18カ月連続減少し、国内総生産も減少、日本銀行の調査でも、国民の多くが「生活にゆとりがなくなってきた」、「1年後の景気は悪くなる」と答え、アベノミクスへの幻想が急激に剥がれ落ちつつあります。
区長は、景気は緩やかに回復などと、政府の言い分をうのみにしていますが、区内の景況調査でも、製造業、小売業、サービス業など、いずれも下降し、アベノミクスの効果を「実感していない」とする人が70%程度、「実感している」人はわずか2%程度しかありません。これで景気が緩やかに回復などと言えるのでしょうか。区民の暮らしの実態と区内景気の認識について伺います。
安倍首相は、この道しかないと破綻しつつある道を進んでいますが、我が党は消費税に頼らない別の道への転換として、大企業の内部留保の一部を取り崩して賃上げを行い、正規雇用を拡大する。大企業や富裕層へ応分の負担を求める。軍事費や大型公共工事の削減、政党助成金の廃止など、対案を示してきました。区長は、区民の暮らしを守るため、政府に格差拡大の中止と大企業優遇、社会保障削減中止など、政策転換を求めるべきです。伺います。
第2に、江東区の来年度予算案について伺います。
来年度予算案には、我が党が求めていた認可保育所の増設や保育定員の増員、マンション耐震補強工事への助成金の増額、商店の改修に対する助成制度の創設、ひきこもり等の若者支援相談窓口の設置など、不十分ながらも一定の前進があります。しかし、相変わらず行革と称して、区立保育所や福祉会館、学校用務など、際限のない民間委託を進め、人口増にもかかわらず職員を削減し続け、23区での人口1,000人当たりの職員数は、平均7.16人であるのに対し、本区は5.13人と最低クラスです。来年度も、学校警備、学校用務、道路事務所など、技能系職員を一層削減するため、災害への機敏な対応も危惧されます。安全・安心や住民福祉の向上という自治体の本来の役割を縮小・放棄する内容で、魅力発信予算などと言えるものではありません。
一方、東京オリンピック・パラリンピック基金を新たに創設し、3億円も積み立て、地下鉄8号線建設基金も25億円に積み増し、基金残高は総額878億円余になっています。
提案いたします。こどもの貧困がふえる中で、医療費を気にして病院に行くのをためらうこどもたちをなくすために、中学校3年生までの医療費無料化を、高校3年生まで拡大すべきです。
小中学校の入学時の制服や教材など、父母負担が重くのしかかっています。入学準備支援金として入学時に1万円を支給し、父母負担の軽減を図るべきです。また、23区で一番高い保育料の月額5,000円の引き下げや、年金や所得が低下する中、介護保険料の年額5,000円の引き下げ、国民健康保険料の年額1万円の引き下げなど、ため込み基金の一部を取り崩し、予算の組みかえで実現は十分可能です。見解を伺います。
次に、区の新たな「行革」案について伺います。
今後5年間で、図書館、児童館、学童クラブ、公園管理、区役所や出張所の窓口業務の委託など、際限がありません。また、受益者負担の名のもとに各種使用料・手数料の値上げ、幼稚園・保育所の保育料の値上げ、区民税や保険料を払えない人への徴収強化、学生の奨学資金の回収まで、外部委託と差し押さえを強めようとしています。
自治体の住民福祉の向上という役割を放棄するやり方や民間委託は中止すべきです。また、人口に応じて職員を増員すべきです。あわせて伺います。
民間委託と非正規雇用職員への置きかえは、低賃金のワーキングプアを増大させます。明星大学の教授が行った最近の調査でも、都内の公立保育所で働く職員の4割以上が非正規雇用職員、そのうち6割が年収130万円未満と低く、調理師、栄養士、用務員など、非正規雇用が増大しています。
本区も非正規雇用が33%にも達し、働く人から「雇用不安が大きい。退職金や一時金もないので、老後のことを考えると不安だ」との声が上がっています。非正規雇用の賃上げと一時金、退職金の支給など、労働条件の改善を改めて求めます。伺います。
また、委託先の労働者の賃金や労働条件の実態調査を求めてきましたが、民民の問題と拒み続けています。
公共サービス基本法では、「公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」として、国や自治体の責務を示しています。
また、区が発注する工事や業務委託で働く労働者の適切な賃金や労働条件の確保と、安全かつ良質な事務及び事業を確保するため、全国の自治体に広がっている公契約条例の制定をすべきです。伺います。
第3に、集団的自衛権と憲法問題について伺います。
安倍内閣は、昨年7月に集団的自衛権の行使容認の閣議決定を行い、5月の連休明けにいわゆる安保関連法案を国会に提出するとしています。
首相は開会中の国会で、日本の同盟国が先制攻撃を行って報復攻撃を受けた場合でも、集団的自衛権を発動し、武力行使することも排除しない。また、IS、いわゆるイスラム国を空爆している米軍主導の有志連合を自衛隊が支援することは、憲法上可能だと繰り返しています。
過激武装組織ISによる日本人殺害は残虐非道な蛮行であり、絶対に許すわけにはいきません。しかし、暴力対暴力、憎悪対憎悪の連鎖でなく、過激武装組織ISには、国連を中心に国際法や国際人道法を守りながら各国が一致して行動し、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなど、解体に追い込んでいくことが重要と考えます。邦人保護などを理由に、集団的自衛権行使を合理化し、戦闘地域に自衛隊を派兵するなどは、憲法上許されるものではありません。
我が党は区議会でも、集団的自衛権行使容認の閣議決定は、立憲主義や憲法第9条に反し、戦時に大空襲を受けた江東区の平和都市宣言とも相入れないと、区長に反対の態度をとるよう求めてきました。しかし、区長は、「集団的自衛権も平和都市宣言も紛争の抑止力」と答弁していますが、自衛隊が米軍と一緒に他国へ武力攻撃することや後方支援を行うことは、戦争行為であり、抑止力などではありません。区長は毅然と、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回と関連法案の国会提出に反対すべきです。伺います。
次に、憲法問題です。
安倍首相は、来年の参議院議員選挙後に憲法改定の発議を行うとしています。憲法改定の狙いは、憲法第9条を削除し、国防軍を創設し、戦争を可能にすることや、そのための基本的人権の制約など、自由民主党の改憲草案を見ても明らかです。
ことしは戦後70年の節目の年です。戦後の世界秩序は、ファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っており、それを否定して侵略戦争を肯定、美化することや、戦争できる国づくりのための憲法改定は、日本国民を初め、アジアや近隣諸国、欧米からの批判は避けられません。過去の侵略戦争や植民地支配を反省し、二度と戦争をしないと誓った憲法第9条が輝く国づくりこそ、戦後70年に当たっての日本が進むべき道と考えます。
区長は、過去の侵略戦争と植民地支配をどう認識しているのか。また、憲法改定に反対の立場を表明すべきと思いますが、伺います。
次に、戦後70年に当たり、本区の平和事業について伺います。
3月10日、被災から70年目の年として、戦争の悲惨さや平和の大切さを次の世代に語り継ぐとして、東京大空襲被災70周年平和のつどいをティアラこうとうで開きます。基調講演やコンサートなどを計画していますが、区民から「不十分ではないか」と、拡充を求める声が出ています。
大空襲で火の中を逃げ惑った体験や下町大空襲の記録映像、被災品の展示、また悲惨な戦地での戦争体験、広島・長崎での被曝体験や広島・長崎への中学生や高校生の訪問見学など、広く区民や平和団体などの意見も聞き、また北砂の東京大空襲・戦災資料センターなどとも連携するなど、戦後70周年の節目の年にふさわしい内容にすべきと思いますが、伺います。
第4に、教育問題について伺います。
まず、教科書と「従軍慰安婦」問題について伺います。
ことしは、中学校で使う教科書を採択する年です。歴史教科書や公民教科書の採択をめぐり、極右団体の日本会議や新しい歴史教科書をつくる会などが、侵略戦争美化や従軍慰安婦問題などで教科書攻撃をし、育鵬社の教科書を採択させようと策動しています。
従軍慰安婦に対する吉田清治証言に基づく記事を朝日新聞が取り消した問題で、「吉田証言が虚偽であった以上、河野談話などにおける、慰安婦が強制連行されたとの主張は崩れた」と、河野談話や教科書の記述への攻撃を行っています。
1993年の河野談話は、当時、政府を挙げて調査し、日本軍の関与と強制性を認め、謝罪を表明したものです。
調査内容は、1、日本軍の慰安所と慰安婦の存在、2、慰安所設置、管理への軍の関与、3、慰安婦にされた過程が、本人たちの意志に反して強制性があったこと、4、慰安所における強制性、強制使役のもとに置かれたこと、5、多数が日本の植民地の朝鮮半島出身者で、移送、募集、管理等は本人の意思に反して行われたことの5点です。
当時の慰安婦35人からも聞き取り調査をして、性奴隷状態とされた事実は、被害者の証言とともに、旧日本軍の公文書などに照らしても動かしがたい事実として発表されたものです。当時、調査と河野談話にかかわった石原信雄元官房副長官は、「吉田清治証言は、はなから問題にしていなかった」、「眉唾物と考えていた」とテレビの前で証言し、吉田証言と河野談話は関連性がないことを述べています。
元慰安婦らが日本政府に謝罪と賠償を求めた8つの裁判で、強制的に慰安婦にされた事実が認定されています。朝日新聞が吉田証言の記事を取り消しても、従軍慰安婦問題の本質や事実を消し去ることはできません。区教育委員会は、教科書と従軍慰安婦の記述問題など、どのような認識をお持ちか伺います。
江東区の中学生が使っている歴史教科書は教育出版社、公民教科書は東京書籍で、これは区民の意見や区教育委員会の多角的な議論の末、決定したものです。ことしの教科書採択に当たっては、区民の声や現場の教師の意見を尊重し、歴史の事実と平和憲法に沿って判断すべきと考えます。教科書採択に当たっての区教育委員会の見解を伺います。また、現在使用している中学校の歴史教科書と公民教科書への見解と評価を伺います。
次に、区長の教育再生首長会議への加盟について伺います。
平成26年6月2日に発足したこの会議は、全国で70人の首長が加盟し、東京都では、山崎江東区長を初め、品川区長、福生市長、武蔵村山市長の4人が加盟しています。会費は、区長交際費から支払っています。
設立総会では、下村文部科学大臣や女性右派ジャーナリストが挨拶し、「教育委員会制度の改革は、首長の教育への思いを実現する仕組みとしてつくった」、「道徳教科書を家に持ち帰って親子で活用を」などと、首長が教育内容に積極的に介入することを促し、また右派ジャーナリストは、神話の天照大神など、皇室の存在をとうとうと語り、明治初年に発布された天皇中心の政治を盛んにすべきとした五箇条の御誓文の価値観を、「首長さんたちが先頭に立って教育の現場に行き渡らせてほしい」と、育鵬社の歴史教科書に沿った講演を行っています。教育再生首長会議の目的が、この講演や挨拶によくあらわれています。区長はなぜこのような会議に参加したのか。教育の政治的中立性からも脱退すべきです。伺います。
教育委員会制度の改変の際、我が党は、首長の教育への権限が強まり、教育の政治的中立性が保てなくなると指摘してきました。区教育委員会は、「政治的中立性は保たれる」と答弁していますが、教育方針や教科書選定で区長の意向に左右されないと明言できるのか、伺います。
最後に、私は今期限りで議員を引退することにいたしました。今後、一区民として区政を見守り、また、日本共産党員として、政治と社会の変革のため今後も活動を続けてまいります。8期32年にわたり、私を支持していただいた支持者の皆さん、区民の皆様、そして同僚議員の皆さん、区長を初め理事者の皆様に心から御礼申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
2014年第4回定例会―正保みきお議員
日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。
- 介護保険について
- 医療保険について
- 教育問題について
- 木造住宅密集地域の不燃化について
第1は、介護保険についてです。
国会で強行成立した医療・介護総合確保推進法に基づく国のガイドライン案は、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、ボランティアサービスへ誘導するとともに、「掃除機からほうきにかえれば自立できる」などとして、公的支えをなくし自助に追い込むものです。
先行実施している自治体では、「ヘルパーの利用をやめ、ボランティアに切りかえるよう行政から迫られた」、「介護サービスを卒業し、助ける側になれと圧力をかけられた」などの事態が起きています。
要介護認定を受けるのは被保険者の権利です。要支援から本人の同意抜きにサービスを打ち切れるのですか。ガイドライン案は根本的に見直し、改悪は中止するよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
特別養護老人ホームは、要介護3以上の方に入所要件を絞り込み、一定以上預貯金のある方の食事・居住費補助が縮小または打ち切られます。非課税の障害者年金も収入とみなされ、助成額が削減されます。食費・居住費補助は、低所得者の負担軽減策として住民税非課税世帯に補足給付されているものです。特別養護老人ホーム入所者の七、八割が補助を受けており、「補助が打ち切られたら施設にはいられなくなる」との切実な声が出ています。区はどのようにこの声を受けとめているのですか。追い出しにつながる負担増はやめるよう国に求めるべきです。区として、継続的に入所できるよう支援を行うべきと思いますが、あわせて伺います。
厚生労働省は、来年4月から特別養護老人ホームの相部屋の部屋代を新たに徴収することを提案しました。相部屋は、ベッドをカーテンなどで仕切ったもので、低所得の利用者が多く、保険給付の対象にして部屋代の負担を和らげてきたものではありませんか。手当たり次第に負担増を押しつけるのはやめるよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
今、江東区では、特別養護老人ホームに申し込んでも入れない方が2,200人を超えています。「もう待っていられない」と、都内近県の施設を探し回っている状況です。区内14カ所に整備されたとはいえ、特別養護老人ホーム入所者は、区外も含め高齢者人口比で23区中15位です。在宅サービスの基盤となる訪問看護の利用が21位、訪問リハビリは22位とおくれています。特別養護老人ホームとともに在宅介護・地域密着型サービスの整備を強化すべきです。伺います。
財政制度等審議会が打ち出した介護報酬の6%以上の削減要求は、介護事業者や介護で働く方々を苦境に追い込み、介護基盤を崩壊させかねません。介護報酬の削減案は撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
第2は、医療保険について伺います。
国民健康保険についてです。
国民健康保険料は、毎年値上げが繰り返され、年収300万円、夫婦・こどもの4人世帯の保険料は32万4,000円となり、4年前に比べ、1.7倍に激増するなど、「もう限界だ」という悲鳴の声が出ています。区はこの声をどう受けとめているのですか。
来年度の保険料は、一般会計からの繰り入れをふやし、値上げを食いとめるべきです。財源はあります。あわせて伺います。
今、国は医療費の削減を狙い、国民健康保険の運営を都道府県に移す広域化を進めています。国民健康保険は他の医療保険に比べて年齢構成が高く、低所得の加入者が多いなどの構造的な問題があり、本区を含め多くの自治体で、保険料負担を軽減するために一般会計から繰り入れを行っています。ところが、広域化では、市町村ごとに異なる保険料の平準化を口実に、繰り入れをなくす方針です。繰り入れがなければ国民健康保険財政の運営は一層困難となり、保険料値上げと滞納者の増加という悪循環を招くのではありませんか。伺います。
厚生労働省は、都道府県に移した後の保険料について、区市町村による医療費削減や保険料の収納率に応じて決める分賦金方式を示しています。この分賦金納付は、さらなる保険料の引き上げや徴収強化につながるのではありませんか。伺います。
国民健康保険は社会保障制度であり、医療保険の最後のとりでです。国民皆保険制度を守っていくためには、減らされてきた国庫支出金を、1984年の49.8%の水準に復元することこそ必要です。国の財政責任を抜きに広域化しても、国民健康保険の構造的問題は解決しないと思いますが、伺います。
全国知事会は、構造的な問題の解決に向け、一層の国費投入など国の財政責任の明確化を求めています。国に対し、広域化を中止するとともに、国庫負担割合を抜本的に引き上げ、高過ぎる保険料を引き下げるよう強く求めるべきです。伺います。
次に、後期高齢者医療保険について伺います。
厚生労働省は、75歳以上の高齢者に対する医療保険料軽減の特別措置を廃止する方針を打ち出しました。軽減措置が廃止されれば、本区の75歳以上の後期高齢者医療保険加入者の約半数を超える2万3,000人に影響があり、保険料は1人当たり年間1万円近くも値上げとなります。軽減措置廃止という負担増は生活苦に追い打ちをかけるものです。医療保険料の負担増計画を撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
江東区の行財政改革計画の中に「後期高齢者医療保険料の収納率向上」が新たに加えられました。現在、1,400人余りの保険料滞納者がいますが、年金が少なく天引きの対象とならない低所得の高齢者がほとんどです。保険料の滞納者には、個々の実情を十分に把握し、きめ細かな対応をすべきと思いますが、伺います。
第3は、教育問題について伺います。
少人数学級についてです。
財務省は、「35人学級の効果は認められない」と決めつけ、小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう、文部科学省に求める方針です。これに対し文部科学大臣は、「35人学級が望ましい」と反論しています。国に先立って少人数学級を実施している自治体では、「教師の目が行き届く」、「学力が向上した」と評価し、明確に不登校や欠席者も減っています。
本区でも、小学校1、2年生で35人学級を実施していますが、その効果について伺います。
35人学級は、貧困の広がりや社会のゆがみのもとで困難を抱えるこどもたちがふえ、教職員の多忙化が深刻になる中、一人一人に寄り添った丁寧な教育を求める声を受けて実現したものです。40人学級に引き戻すことは、こどもたちへの行き届いた教育を進める土台を崩すものです。財務省の40人学級復活要求は撤回を求めるべきです。伺います。
日本は、教育への公的支出のGDP比較では、OECD加盟国の中で5年連続最下位です。欧米では、学級編成の基準は20人から30人です。国と都に対し、教育予算を抜本的に増額して35人学級を全学年に拡大するよう求めるべきです。伺います。
次に、道徳の教科化についてです。
中央教育審議会は、道徳を教科化し、検定教科書を導入することを答申しました。市民道徳の教育が重要なことは言うまでもありません。しかし、それは国家が特定の価値観を押しつけるものではなく、現実生活に即してこどもたちが主体的に考え、学び取っていくものです。ところが、答申は、道徳に国の検定教科書を使わせ、評価するというものです。こどもたちの作文やノート、発言や行動の観察、面接など、資料を集めて評価する内容です。これは考え方から行動に至るまで全人格的な評価を行うものであり、憲法の内心の自由を侵すものではありませんか。身についたかどうか、心の中まで評価するのですか。あわせて伺います。
答申は、いじめ問題への対応を、道徳教科化の理由に挙げています。しかし、大津市いじめ事件の中学校は、文部科学省指定の道徳教育実践研究事業推進校で、「いじめのない学校づくり」を掲げていました。事件を調査した第三者委員会は、道徳教育の限界、競争教育の問題点を指摘しました。日本弁護士連合会も、「道徳は教え込むようなものではなく、児童等が自主的に行うもの」としています。いじめは規範意識を教え込めばなくなるものではないと思いますが、伺います。
安倍首相は、侵略戦争への反省を自虐的と非難し、太平洋戦争を正しい戦争だったなどとこどもたちに教える特異な教科書を賛美、A級戦犯を合祀した靖国神社を参拝し、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認を強行しました。既に「私たちの道徳」という国定の教材を作成し、文部科学大臣が自身のフェイスブックで、「こどもが家に持ち帰っているか調べて」と呼びかけて、教育に対する支配介入だと大問題になりました。
安倍政権の進める道徳の教科化は、愛国心教育を進め、海外で戦争をする国づくりを支える教育をつくるものです。道徳の教科化は中止するよう国へ求めるべきです。伺います。
次に、教育委員会制度についてです。
教育は、時の国家権力によって左右されてはなりません。教育委員会制度は、多くの住民の意思を教育に反映すること、政治的中立性を確保するために導入されたものです。しかし、今回の教育委員会制度の法改正は、住民代表の教育委員会が首長から独立して教育行政を進めるという制度を覆し、国や文部科学省、首長による教育への政治介入に道を開くものです。
改正法では、教育長と教育委員会委員長を一本化して新教育長を設け、区長が直接任命。また、教育委員会による教育長への指揮監督権はなくなりました。これでは教育長の権限は強大化し、区長と教育長が一体となって教育行政を取り仕切ることになりかねません。見解を伺います。
区の教育政策の大もととなる大綱の制定権を区長に与えています。しかし、大綱には、教科書採択や学力テスト結果の公表など、教育委員会の権限事項については、教育委員会の同意なしに区長が勝手に書き込むべきではないと思いますが、伺います。
新たに区長が主宰し、教育委員会と協議、調整する場として総合教育会議が設置されます。教育関係者から、「協議や調整の対象となる事項の線引きが曖昧だと、教育委員会の職務権限事項まで区長の意向に飲み込まれてしまうのではないか」など、首長の教育内容への介入が懸念されています。そもそも教育委員会の権限に属する事項は、総合教育会議の協議対象にすべきではないと思いますが、伺います。
教育の自由・自主性を守り、教育委員会の形骸化をなくすためにも、とりわけ教育委員が保護者やこども、教職員、住民の要望をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する本来の役割を発揮すべきと思いますが、伺います。
第4は、木造住宅密集地域の不燃化について伺います。
現在、北砂三・四・五丁目地区の不燃化特区推進事業が精力的に取り組まれています。その中で、「現行の支援制度だけでは不燃領域率70%の達成は難しい」と、現地スタッフが言っています。特に袋地や旗ざお地など、未接道家屋の建てかえが大きな課題となっています。未接道敷地の共同化は、権利関係や建物共有の抵抗感、建てかえ時期など、難しいのが現実です。
足立区や荒川区では、建築基準法条項の適用や建築設計制度の活用によって、未接道家屋の建てかえを進めています。足立区では、建てかえが不可能だった約6,400棟の8割近くが救済できると見ています。本区でも、これら建築・設計諸制度を活用し、現行の助成制度と連携させて建てかえを促進すべきです。伺います。
木造住宅密集地域の安全性向上を図るため、小規模防災公園などに活用する種地として未接道敷地を含め、土地の先行取得を行うべきと思いますが、伺います。
また、店舗併用住宅の建てかえについては、加算助成や仮店舗の家賃助成など、支援の拡充をすべきです。
区内には、大島や東砂、亀戸地区などの中にも不燃領域率60%そこそこの地域が残されています。北砂地区が終わってからとせず、早急に不燃化を促進すべきです。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)