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2015年第2回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問をいたします。

  1. 「戦争法案」と江東区の平和施策について
  2. 医療制度の改正と区民生活への影響について
  3. 昭和大学江東豊洲病院の問題について
  4. 教育問題について

 第1に、「戦争法案」と江東区の平和施策についてです。
 現在、国会では、日本を海外で戦争する国へと変える戦争法案の審議が行われています。政府はこの法案を平和安全法制などと呼んでいますが、その中身は、日本をアメリカの起こす戦争に、いつでもどこでもどんな戦争でも参戦、支援することができるようにするもので、日本の国の平和とも国民の安全とも全く無縁なものです。
 戦争法案では、従来の自衛隊のイラク派兵などでは禁止されていた戦闘地域での弾薬の提供や武器の輸送など、米軍への軍事支援を可能にするとともに、停戦合意があるものの、なお戦乱状況が続く地域における治安維持活動での武器使用など、これまで自衛隊が未経験の危険な任務を大幅に拡大しています。自衛隊員が殺し、殺される危険性が決定的に高まります。
 また、日本がどの国からも攻撃を受けていないのに、集団的自衛権を行使し、アメリカの戦争に参加して、他国領域での武力行使もできるようにしようとしています。新3要件で歯どめがかけられているかのように述べていますが、日本の存立が脅かされたと判断するのは時の政権であり、いくらでも拡大解釈が可能です。
 日本が引き起こしたさきの侵略戦争では、310万人もの日本人と2,000万人を超すアジア諸国民が犠牲となりました。東京大空襲では、江東、墨田など、下町一帯が火の海となり、一夜にして10万人ものとうとい命が失われました。この痛苦の経験から、日本は二度と戦争はしないと誓い、江東区も憲法第9条に基づいた江東区平和都市宣言を行っています。
 憲法第9条は、第1項で、国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇や武力攻撃を行わないと戦争を放棄したのに加え、第2項では、軍隊は持たない、交戦権は放棄すると、徹底して戦争はしないことを明記しています。
 安倍政権の戦争法案は、明らかに憲法第9条と江東区平和都市宣言に反するものではありませんか。区長の見解を伺います。
 区長はこの間、集団的自衛権の行使容認について、日本を取り巻く安全保障環境が変化していることを挙げ、「集団的自衛権の行使も江東区平和都市宣言もともに抑止力だ」などと容認の立場をとっています。
 北東アジアに緊張と紛争の火種が存在することは事実です。しかし、抑止力の強化、軍事力増強で構えれば、相手も軍事力増強を加速することになり、軍事対軍事の悪循環に陥ってしまうと考えますが、見解を伺います。
 日本共産党は、ASEAN(東南アジア諸国連合)で、現につくられている東南アジア友好協力条約(TAC)のような、紛争の対話による解決を目指す平和の枠組みを北東アジアにも築く、北東アジア平和協力構想を提唱しています。
 今、日本にとって何よりも大切なことは、どんな問題も道理に立った外交交渉により解決をすること、また、平和的解決に徹する憲法第9条の精神に立った外交戦略を確立することではないでしょうか。区長の見解を伺います。
 この間の世論調査では、戦争法案の今国会での成立に反対する声が多数となっています。また、野中広務元内閣官房長官や古賀誠元自民党幹事長といった保守的な立場の人たちからも、安倍政権の乱暴なやり方に批判の声が上がっています。国民の声を無視して今国会での成立を強行することは許されません。戦争法案は廃案とするよう政府に求めるべきではありませんか、見解を伺います。
 次に、江東区の平和施策について伺います。
 ことしは戦後70年の節目の年です。3月には平和記念式典が実施されたものの、それ以外は例年とほとんど変わらない事業しか行われません。節目の年にふさわしい取り組みが必要です。東京大空襲や学童疎開資料の展示だけでなく、戦地での戦争体験、広島・長崎の原爆の被爆体験を聞く取り組み、広島・長崎への中学生や高校生などの訪問見学、北砂の東京大空襲・戦災資料センターと連携した事業の実施など、平和施策の拡充を行うべきだと思いますが、伺います。
 第2に、医療制度の改正と区民生活への影響について伺います。
 医療保険制度の大改悪が、自民、公明の与党の賛成多数で強行されました。改革の名のもとに、社会保障費の削減と国民への負担増を行うものです。
 今回の法改正の最大の特徴は、国民健康保険の財政運営を、これまでの区市町村から都道府県に移すことです。保険料は引き続き区市町村が決めますが、都道府県からは標準保険料率が示されます。標準保険料率は、保険料を軽減するために自治体が独自に行ってきた一般会計からの繰り入れを反映させていないもので、国会審議の中で塩崎厚生労働大臣は、「標準保険料率を参考に適切な(保険料の)設定に取り組んでもらう」と述べ、一般会計からの繰り入れをやめさせていく狙いを明らかにしています。
 江東区では、毎年の保険料の値上げで、加入者の4割近くが保険料を滞納する事態となっています。全国では、保険料の滞納で保険証がもらえないために病院にかかれず、重症化し、手おくれで亡くなる人が続出しています。一般会計からの繰り入れをやめれば、今でさえ耐えがたい保険料のさらなる引き上げや徴収強化を招くことになるのではないですか、伺います。
 政府は、都道府県化に当たって、財政支援の拡充で3,400億円を措置するとしていますが、全国知事会が保険料引き下げのために求めてきた1兆円の国費投入からはほど遠く、地方自治体の3,500億円を超える一般会計からの繰り入れにも及びません。しかも、交付は災害時に限定され、多くは貸し付けや、収納率アップを指標にした支援など、中身も問題です。
 改革を言うのなら、削減した国庫負担をもとに戻すなど、抜本的な財政支援の拡充こそ行うべきです。見解を伺います。
 今回の改悪では、都道府県主導で医療費削減の仕組みもつくられました。都道府県に地域医療ビジョンで医療の提供計画を立てさせ、病床数の削減を行わせるとともに、医療費適正化計画で医療費削減の目標を立てさせます。国は、現在202万床ある病床を43万床も削減しようとしていますが、今でも点滴をつけたまま退院させられるなど、深刻な事態も起きています。病床数の削減は、病院からの患者追い出しを一層進めることになるのではないですか、伺います。
 さらに、公平を口実に、国民への負担増を行おうとしています。後期高齢者医療の保険料の軽減特例が廃止され、江東区では、加入者の半数を超す2万3,000人もの高齢者が、一挙に2倍から10倍もの大幅な保険料の負担増を強いられることになります。
 また、65歳未満の方の入院時における食事代を、1食260円から460円に引き上げます。1カ月入院すると1万8,000円もの値上げです。治療の一環である食事代を値上げするのは大問題です。
 さらに、紹介状なしで大病院を受診する際、5,000円から1万円の定額負担の導入や、国民健康保険組合への補助削減、患者申し出療養制度を創設し、保険のきかない自己負担の医療の拡大も行われます。これでは、お金がなければ十分な治療も受けられなくなるのではないでしょうか、見解を伺います。
 政府は社会保障のためと言って、昨年4月から消費税を8%へと増税しながら、今年度予算では社会保障費の自然増すら認めず、3,900億円も削減しました。さらに、改革の名のもとに一層の医療費削減と国民への負担増を実施することは許されません。
 日本共産党は、消費税の増税に頼らなくても、負担能力に応じた税制改革と国民の所得をふやす経済改革を行えば、社会保障充実のための財源はつくれると提案してきました。区民の命と健康を守るために、医療制度の改悪中止を政府に求めるべきではありませんか、伺います。
 第3に、昭和大学江東豊洲病院の問題について伺います。
 昭和大学江東豊洲病院は、江東区が東京都から40億円で購入した土地を無償貸与し、建設費についても、2分の1の75億円を補助して、昨年3月に移転・新設されました。
 病院の移転・新設で、周産期医療や入院施設のある小児科の整備が図られたことは評価するものですが、一方で新たな問題が発生しています。
 1つは、移転・新設前の昭和大学附属豊洲病院に通院していたほとんどの人が、紹介状を書くから他の病院へ移ってほしいと言われ、かかれなくなってしまったことです。すぐ目の前に住んでいる人も、遠くの病院に行かなければならなくなりました。
 大学病院は高度先進医療を提供する病院だからというのが理由で、診てもらうためには紹介状が必要となり、紹介状がない場合、初診時選定療養費の5,400円を支払わなければなりません。
 区民からは、「区民の税金を使いながら、おかしいのではないか」、「せめてこれまでかかっていた人は通院できるようにしてほしい」など、たくさんの声が寄せられています。医療機関の充実どころか、南部地域の住民にとっては、病院が1つなくなってしまったのと同じです。莫大な区民の税金を投入しておきながら、区民がかかれない病院になってしまったことは、余りにも不合理ではありませんか。区長はこの事態をどう認識していますか。また、これまで通院していた人が診察してもらえなくなることについて、区民や区議会に対し、事前に全く説明されてこなかったことについてどう考えているのか、伺います。
 移転・新設と同時に、昭和大学附属豊洲病院が昭和大学豊洲クリニックで行っていた小児科がなくなってしまったことも、深刻な事態を広げています。
 南部地域では、大規模マンションが次々と建設され、こどもの数が引き続き増加しています。豊洲出張所管内には、昭和大学江東豊洲病院の小児科も入れると12カ所の小児科がありますが、ゼロ歳から15歳のこどもの数は約1万8,000人で、1医療機関当たり1,500人を超えています。これは他の出張所管内と比べ2.3倍も多い数です。
 豊洲のある小児科では、7時から予約開始なのに、7時3分にはその日の予約がいっぱいになってしまう状況です。お母さんたちは予約開始前からパソコンの前にスタンバイし、予約をとるのに必死です。予約がとれなければ、その日は病院に連れていかずに様子を見るか、ぐあいの悪いこどもを遠くの小児科に連れていかなければなりません。
 区長は、南部地域の小児科不足についてどのように認識していますか。昭和大学に対し、現在健診事業のみとなってしまっている昭和大学豊洲クリニックでの内科、小児科の一般外来の再開を求めるとともに、医師会とも協力し小児科の誘致を行うなど、区としても対策をとるべきではないでしょうか、見解を伺います。
 第4に、教育問題について伺います。
 戦後70年の節目の年に当たり、改めて過去の戦争の歴史に向き合うことが求められています。日本が行った侵略戦争と植民地支配は、アジア諸国に深刻な被害を与えました。だからこそ、日本とアジア諸国との友好にとって、歴史問題は極めて大切な課題です。しかし、日本では、かつての戦争についてしっかりと教わったという人はわずか13%で、ドイツの48%と大きく違います。日本のこどもたちがアジア諸国の人々と共生していくためにも、近代史を学び、過去の誤りを知ることは不可欠だと思いますが、教育長の見解を伺います。
 ことしは中学校で使う教科書を採択する年です。文部科学省の中学校教科書の検定では、日本軍国主義による侵略戦争であったアジア・太平洋戦争を、自存自衛、アジア解放のための戦争だったと描く歴史教科書や、憲法の平和的民主的原則をゆがめて描く公民教科書が、引き続き合格となりました。
 また、安倍政権が検定基準を改悪したもとで、日本軍慰安婦の実態や証言の記述に対し、政府の統一的な見解に基づいた記述がなされていないなどの意見がつけられ、結果として記述の大幅削減などが余儀なくされました。
 日本は正しい戦争をやったという安倍首相などのゆがんだ歴史認識を教育を通じて社会に持ち込むことは、日本を世界とアジアから孤立させるものではないですか。また、教科書の記述に政府が介入し、その時々の政府の見解に拘束され、左右されるようなことはやめるべきだと思いますが、あわせて見解を伺います。
 この間、過去の侵略戦争を美化する人たちは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改悪によって、教育行政における首長の権限が強化され、教科書採択についても、首長に権限があるかのような主張を行っています。しかし、文部科学省は教科書採択について、首長は、教育委員会に対し、特定の教科書の採択を求める権限は有しないと明確な見解を示しています。教育長はこのことについてどのように認識していますか、伺います。
 また、山崎区長も参加する教育再生首長会議と関係が深い日本教育再生機構は、教員らが参加して行われる教科書の調査研究についても攻撃しています。これについても、文部科学省は、必要な専門性を有し、児童・生徒に対して直接指導を行う教員が果たす役割は決して小さくないとの見解を示し、教員による教科書の順位づけについても不適切ではないと述べています。
 こどもたちにとって最もふさわしい教科書を選ぶためには、教員による綿密な調査研究が保障され、その意見が尊重されることが必要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、少人数学級の推進について伺います。
 少人数学級は、保護者、教育関係者、国民の長年にわたる教育要求ですが、安倍政権となり、政府、財務省によって、2013年も2014年も35人学級への動きがとめられ、今年度の予算編成では、「小学校1年生も40人学級に戻せ」という議論が政府内で起こり、文部科学省も35人学級の概算要求すら見送るという異常な事態になりました。
 ことしも小学校3年生以上への35人学級の拡充が実施されなかったことについて、教育長の見解を伺います。
 今、教育の現場では、手厚いケアが必要なこどもの増加、学級崩壊や立ち歩き、トラブルの増加など、さまざまな教育困難が広がっており、生活面でも少人数学級の実施が求められています。少人数学級になれば、勉強を丁寧に見ることができ、こどもの発言や発表の機会もふえ、みんなで議論しながら認識を深めていくなど、学習面でも大きな効果が期待できます。また、教員の多忙化解消のためにも、少人数学級による教職員の定数増は重要です。
 少人数学級の実施は、2011年3月、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に全会一致で盛り込まれたものであり、これ以上先送りすることは許されません。国の制度として小中学校の全学年を35人学級とし、年次計画で段階的に実施することを法律で定めるよう、区として求めるべきです。また、東京都に対しても、独自に35人学級の拡大を図るよう求めるべきだと思いますが、見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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