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2015年第3回定例会―すがや俊一議員

 質問の前に、この度の関東・東北豪雨で亡くなられた方々へのご冥福をお祈りすると共に、災害にあわれた住民の方々に、心からお見舞いを申し上げます。又、一日も早い復旧・復興を願うものです。
 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問します。

  1. 本区の「行財政改革」について
  2. 介護保険制度について
  3. 中小業者の支援について
  4. 羽田空港の機能強化に伴う飛行経路変更計画について

 質問の一点目は、本区の「行財政改革」について伺います。
 「民間企業の公共サービス参入」で利益拡大を図る財界・経団連の要求に従い、国は、「官から民へ」の掛け声で、「規制緩和」と「社会保障切捨て」を柱にした「行財政改革」を平成9年度から推し進めてきました。
 区は、国の「行財政改革」に追随し、一人親家庭ホームヘルパー派遣の新規受付廃止、高齢者のふれあい食事サービスの廃止など福祉を切り捨てながら、保育料の17%値上げや施設使用料20%の値上げ、がん検診の全面有料化など、区民に負担を押し付けてきました。また、民間委託を推進し、年収2百万円以下の非正規の不安定雇用を増やし、「働く貧困層」を拡大するなど、住民の福祉向上と暮らしを守るべき自治体の役割を投げ捨ててきました。
 こうした福祉切捨てと負担増の「行革」のもとで、わが党が実施した「区民アンケート」では、6割以上の区民が「生活が苦しくなった」と回答。国保料では滞納世帯が4割を占め、生活保護世帯も毎年増え続けるなど、区民生活の困窮が広がり続けているのが実態です。
 「行革」推進と区民生活の実態について、区長は、どう認識しているのか、伺います。
 区は、区民生活や自治体本来の役割を省みず、平成27年度以降5年間の「行財政改革計画・後期」を策定し、さらなる民間委託の拡大と使用料などの値上げ、区税や国保料などの徴収強化を行うとしています。
 民間委託では、区立保育園4圏を民営化後、さらなる区立保育園の民営化を進める計画です。すでに委託された保育園では、直営に比べ3千5百万円も低い運営費委託料と長時間保育等が課せられ、ある保育園では、低賃金と過重労働で、保育士が1年間に10人も退職。これについて区は、「多様な保育サービスで高い評価を受けている」などと述べていますが、保護者からは、「保育の質が保てない」など、不安の声が寄せられているのです。
 公立保育園の民営化は中止し、保育が安定した公立保育園の整備こそ行うべきです。伺います。
 区の業務の外部委託化では、戸籍業務などの窓口業務や生活保護でのケースワーカー委託化の検討が掲げられています。この間わが党は、戸籍業務を民間委託した足立区が、法務省から「戸籍法違反」、都の労働局も「偽装請負・労働者派遣法違反」と断定したことを示し、委託中止を求めてきましたが、区は委託化の検討を止めていません。違法となる戸籍業務など窓口業務の民間委託の検討は止めるべきです。
 また、ケースワーカーの仕事は、プライバシーの保護や専門性が必要です。「行革」方針でも、「高度なプライバシーを扱う仕事は区職員が行う」と定めています。検討は中止すべきです。併せて伺います。
 職員削減では、「行革」開始以来848人を削減してきました。人口1千人あたりの本区の職員数は5.5人で、23区中最低クラスです。これまで区は、「行政需要増による職員確保はしている」と述べていますが、現在、職員組合では、生活保護のケースワーカーで27人、窓口業務では18人など、合計144人の職員増員を求めています。必要な職員を確保するべきです。伺います。
 区民施設の使用料などの値上げが、来年度実施に向けて検討中です。近隣区に比べ、野球場では2倍前後も高いなど、本区の使用料は引下げるべきです。
 また、区税の徴収強化では、給料の差し押さえが横行し、生活保護にまで追い込む事件まで起きています。区は「徴収は区の責務」などと強弁していますが、人権侵害の徴収強化は、直ちに是正すべきです。併せて伺います。
 こうした「行革」推進で区は、平成25年度では125億円、26年度は150億円など、毎年巨額な余剰金を出して基金にため込み、平成26度決算では、過去最高の942億円余に達しています。
 その一方で区長は、「オリンピックレガシー」を理由に、第2有明小中学校合築費に通常の建築費の2倍・120億円を投入するなどは、余りにも過剰です。通常の建設費に見直すべきです。
 「行革」によるため込みを改め、国保料や介護保険料の軽減など、住民の暮らし応援、中小業者支援にこそカを尽くすべきです。
 「行財政改革・後期」計画は抜本的に見直し、住民福祉の向上を本旨とする自治体本来の姿に立ち帰るべきです。区長の答弁を求めます。
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険が始まって15年。3年ごとの制度改定の度に保険料値上げと給付抑制が繰り返され、今年4月の制度改定では、要支援者の介護保険除外をはじめ、低所得の介護施設利用者に対する補助縮小と要介護2以下の特養ホーム入所の原則除外、年金収入280万円以上の介護利用料を2割負担にするなどの大改悪となっています。
 区は、介護保険による訪問介護や通所介護を利用している要支援者・約2,900人に対して、来年の4月から、区が行う「介護予防・日常生活支援総合事業」=「総合事業」に移行させるとしています。そこでは、「チェックリスト」や「ケアマネジメント」で要支援者などを振り分け、介護事業者に支払う介護報酬を大幅に引下げた「安上がり」の訪問介護と通所介護・「A型」に可能な限り移行させます。しかも、「A型」の介護サービスの提供は「無資格者」でもよく、本区では、独自の「14時間研修終了者」で行うとしています。
 区の計画について、介護事業所からは、介護報酬の大幅引下げは、介護の質を下げ、介護事業所の運営も困難になること。また、要支援者に対する生活援助は、専門職のホームヘルパーだからこそ、認知症や健康状態の変化をいち早くつかみ、介護の重度化が防げると述べ、これまで介護保険で行ってきた「現行サービスの継続が必要」だと指摘しています。
 「A型」の訪問・通所介護などへの移行は中止し、「現行サービス水準」で対応するべきです。また、「総合事業費」の確保に向け、国庫負担の増額を求めるべきです。伺います。
 この8月から、年金収入280万円以上の人は、介護利用料の負担が、2倍の2割負担となり、本区では、要介護認定者の1割強・1,824人もの区民が2割負担になりました。
 この間、わが党の「アンケート調査」では、現行の1割負担でも「負担が重い」が多数です。今回の2割負担で、在宅での必要な介護をやめてしまうことも想定され、介護の重度化を招きかねないと考えますが、区の見解を伺います。
 また、特養ホームでは、2割負担によって、月額で8千円から1万7千円のもの負担増となり、利用料が払えず、退所になりかねません。
 2割負担に伴う利用抑制や施設入所者の生活状況を把握し、「利用負担の軽減」など、区として必要な支援を行うべきです。伺います。
 また、8月からは、特養ホームなど、住民税非課税の介護施設入所者に対する居住費や食費を補助している「補足給付」が縮小され、本区では、219人もの区民が、補助を打切られました。
 特に、「配偶者の住民税課税」による補足給付の打切りは深刻です。
 住民税の課税対象は年収153万円以上、月収では12万7千円余で、家賃や生活費でほぼ無くなります。特養ホームに入所中の区民からは、「補足給付」が打切られ、利用料が1ヶ月5万円も増えて15万円となり、夫の年金では払えないとの相談が寄せられています。
 区は、「補足給付の除外」となった世帯の生活実態を把握し、施設退所にならないよう利用料負担の軽減を行うべきです。伺います。
 また、特養ホームの入所対象者を原則「要介護3以上」としたことで、本区での要介護2以下の入所除外者や辞退者が400人以上となり、新たな介護難民・介護困難者が広がっています。国に対し、補足給付縮小も含め、特養ホームの入所制減の中止など、制度の改善を求めるべきです。伺います。
 3点目は、中小業者の支援について伺います。
 消費税が8%に増税され、区内商工団体による小規模事業者に対する「アンケート」調査では、「売上げや利益が減少した」が7割に達し、「今後の見通し」では、6割の事業者が「悪くなる」と回答しています。
 砂町銀座で4人の従業員を抱える商店主は、「赤字で、自分の給料を切ってやりくりしている」、また別の商店主からは、「アベノミクスで景気がよい実感などない」と語り、工務店などからも「町場の仕事がない」との声が上がっています。区内小規模事業者の営業が一段と悪化していると考えますが、区の認識を伺います。
 こうした現状から、「小規模企業振興基本法」に基づく支援策の展聞が、緊急に求められています。
 「小規模基本法」では、国及び自治体は、従業員5人以下の小規模企業への支援を行うことが「責務」とされました。国の「小規模企業振興計画」策定とともに、自治体においては、振興策の企画・立案・実施が責務とされています。そのためにも、実態調査や小規模事業者からの意見聴取が極めて重要となっています。
 この間、わが党が求めてきた「実態調査」について区は、今年3月の予算委員会で「業態別の実態把握を行いたい」と答弁しています。早期実施を求めるものです。伺います。
 またわが党は、「意見聴取の場の確保」では、すでに、「中小企業活性化協議会」が設置されていることから、その中に、小規模事業者や関係団体などで構成する「専門部会の設置」を提案してきました。これについても区は、「検討したい」と答えています。早期に設置し、支援策の具体化を進めるべきです。伺います。
 「小規模基本法」の成立に際し、国会の参考人質疑で全国商工団体連合会の代表は、全国628の自治体が行っている「住宅リフォーム助成制度」の実施を強く求めています。
 この制度は、住民の住宅改善に際し、区内業者の利用を条件に、自治体が一定の補助金を出すもので、実施した自治体では、住民や地元業者から歓迎され、地域循環型の経済活性効果が大きいことが特徴です。
 私たち区議団が視察した京都府・与謝野町では、工事費の15%・上限20万円で「住宅リフォーム助成制度」を開始し、3年間での受注が1700件。補助額は2億6千万円で、工事総額は40億円。また与謝野町では、京都大学によって、同制度による地域経済への波及調査が行われ、その結果、建設業や製造業など各種産業への「1次波及効果」に加え、雇用や賃金の改善、家計消費の喚起など「2次波及効果」を生み出し、波及効果の総額は実に63億円余。補助金に対する経済効果は24倍近くに達し、「住民はもとより、受注した町内業者から大変歓迎されました」と担当課長が述べています。
 この与謝野町の取り組みが国会でも紹介され、石破地方創生担当大臣は、「住宅リフォーム助成制度は進めなければならない。経済効果が高いことも事実」と認めています。同制度の経済効果に対する区の見解を伺います。
 「小規模基本法」の趣旨に則り、「住宅リフォーム助成制度」の実施に向けた検討を進めるべきです。伺います。
 同時に、現在区が実施中の「商店改修助成」の対象は、生鮮3品の取扱店のみとせず、対象店舗を広げるべきです。伺います。
 質問の4点目は、羽田空港の機能強化に伴う飛行経路変更計画について伺います。
 国は、オりンピック開催や国際競争力を強化するとして、羽田空港の機能強化を打出しています。1時間当りの発着回数を今の80回から90回に拡大することに伴い、騒音対策や安全面から、最大限活用している現在の東京湾上空の飛行経路を変更し、南風の着陸については、新宿など都心部上空を高度900から600メートルで通過する。
 また、年間6割を占める北風での離陸=出発機の飛行経路については、江東区の市街地に沿った荒川上空に変更し、荒川河口では、高度600メートル、新砂から東砂、そして大島・亀戸上空では、900から1200メートルの高度で飛行するとしています。
 しかも、午前6時から10時半までの4時間半と、午後3時から7時までの4時間は、1時間当たり22機、2~3分間に1機が通過するというものです。
 この間題で国土交通省は、南砂区民館で、「資料パネル」を使い、個人別に対応する住民説明会を開催しました。そこでは、オリンピック開催と国際競争力の強化が強調され、航空機騒音などは、通り一遍の説明と区民の「意見アンケート」で済ませるなど、十分なものではありませんでした。
 参加した区民からは、荒川上空での「試験飛行」と「住民説明会」の実施を求める声が上がっています。区は、国に対し、荒川上空を一定期間飛ぶ「試験飛行」と「騒音測定」を行わせ、その結果を基に、住民と関係者が一堂に会して質疑応答を行う「教室型」の説明会を、各地域別に開くことを要請すべきです。伺います。
 新砂・東砂、大島・亀戸地域における航空機騒音のレベルは、機種による違いがあるものの、国土交通省の資料では、66から77デシベルで、大半が70デシベル以上です。国土交通省の「航空機騒音障害防止法」や環境庁の「航空機騒音環境基準」では、住居系地区は、24時間補王等価(Lden)で「57デシベル以下」と定めています。
 1日の内、8時間半に渡って2~3分間に1機が、70デシベル前後で江東区上空を飛びかうことになれば、学校などをはじめ、住民への騒音被害が発生しかねません。国の「騒音防止法」や「環境基準」との関連も含め、区の見解を伺います。
 現在、江戸川区の一部市街地上空が、高度900から600メートルでの着陸飛行経路となっており、年間で150件もの苦情が区に寄せられています。また、私たち区議団が視察した伊丹市では、大阪国際空港の騒音被害や航空機事故の危険に苦しんでいます。
 2年前には、日本航空機が着陸時にエンジン火災を発生し、大惨事につながる事故を起こしています。
 いま、航空各社は、競争激化による離発着便の過密化のなかで、整備現場での人員削減と外部委託化が進められ、事故につながる「重大異常事態が増加中」とのマスコミ報道もあります。
 すでに新宿や品川区では、国に対し、騒音問題や安全対策への対応とともに、区民や議会の理解が得られる十分な説明を求める「要望書」などを提出しています。
 区は、これまでどのような対応をしてきたのか、また、今後どう対応するのか、伺います。
 区は、航空機騒音被害と航空機事故の危険から区民を守る立場に立ち、必要な独自調査や区民への情報公開などを行い、国に対し、羽田空港機能強化を理由にした「飛行経路変更計画」の中止要請を行うこと求め、質問を終わります。

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