カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , パーマリンク

2015年第1回定例会―斉藤信行議員

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに教育長に質問いたします。

  1. 安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について
  2. 江東区の来年度予算案について
  3. 集団的自衛権と憲法問題について
  4. 教育問題について

 まず、第1は、安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について伺います。
 さきの総選挙でマスコミは、自由民主党圧勝などと報道し、安倍首相も「国民に背中を押してもらった」などと述べています。しかし、自由民主党は4議席減らし、比例代表でも33%の得票率でしかなく、小選挙区という選挙制度で虚構の多数を得ているにすぎません。
 虚構の多数で編成された来年度予算案は、年金、医療、生活保護など、社会保障を軒並み切り捨て、加えて介護報酬引き下げなど、介護現場に深刻な影響を与える内容となっています。
 一方、軍事費は過去最大で、大企業減税や大型公共工事、沖縄県の新基地建設、原発再稼働など、国民の願いに逆行し、「暴走政治予算」とも言える内容となっています。
 自治体の住民福祉に大きな影響を与えるこのような政府予算案に対し、特別区長会や区長は、社会保障の切り捨てに反対し、拡充を求めるべきと考えます。政府予算案に対する区長の見解とあわせて伺います。
 次に、消費税との関連で伺います。
 消費税率は、社会保障のためとして5%から8%へ引き上げました。区長は、我が党からの再三の「消費税は暮らしと景気を悪化させる」として中止を求めよとの質問に、社会保障のために必要と繰り返してきました。しかし、社会保障は聖域なく削減しています。今、区民の暮らしは深刻で、こたつを押し入れにしまって重ね着で我慢している、医者へ行く回数を減らしたなど、暮らしが成り立たなくなってきています。消費税の増税分が社会保障に回らず削減されるもとで、区長は、まだ社会保障のためと、10%へのさらなる引き上げに賛成なのか。きっぱりと中止を求めるべきです。伺います。
 今後、労働法制の改悪で、非正規雇用の拡大やいわゆる残業代ゼロ法案など、労働者の賃金の低下や年金のマクロ経済スライドの発動による支給額の引き下げなど、生活は深刻になる一方です。
 安倍政権が最大の売り物にしているアベノミクスですが、実質賃金が18カ月連続減少し、国内総生産も減少、日本銀行の調査でも、国民の多くが「生活にゆとりがなくなってきた」、「1年後の景気は悪くなる」と答え、アベノミクスへの幻想が急激に剥がれ落ちつつあります。
 区長は、景気は緩やかに回復などと、政府の言い分をうのみにしていますが、区内の景況調査でも、製造業、小売業、サービス業など、いずれも下降し、アベノミクスの効果を「実感していない」とする人が70%程度、「実感している」人はわずか2%程度しかありません。これで景気が緩やかに回復などと言えるのでしょうか。区民の暮らしの実態と区内景気の認識について伺います。
 安倍首相は、この道しかないと破綻しつつある道を進んでいますが、我が党は消費税に頼らない別の道への転換として、大企業の内部留保の一部を取り崩して賃上げを行い、正規雇用を拡大する。大企業や富裕層へ応分の負担を求める。軍事費や大型公共工事の削減、政党助成金の廃止など、対案を示してきました。区長は、区民の暮らしを守るため、政府に格差拡大の中止と大企業優遇、社会保障削減中止など、政策転換を求めるべきです。伺います。
 第2に、江東区の来年度予算案について伺います。
 来年度予算案には、我が党が求めていた認可保育所の増設や保育定員の増員、マンション耐震補強工事への助成金の増額、商店の改修に対する助成制度の創設、ひきこもり等の若者支援相談窓口の設置など、不十分ながらも一定の前進があります。しかし、相変わらず行革と称して、区立保育所や福祉会館、学校用務など、際限のない民間委託を進め、人口増にもかかわらず職員を削減し続け、23区での人口1,000人当たりの職員数は、平均7.16人であるのに対し、本区は5.13人と最低クラスです。来年度も、学校警備、学校用務、道路事務所など、技能系職員を一層削減するため、災害への機敏な対応も危惧されます。安全・安心や住民福祉の向上という自治体の本来の役割を縮小・放棄する内容で、魅力発信予算などと言えるものではありません。
 一方、東京オリンピック・パラリンピック基金を新たに創設し、3億円も積み立て、地下鉄8号線建設基金も25億円に積み増し、基金残高は総額878億円余になっています。
 提案いたします。こどもの貧困がふえる中で、医療費を気にして病院に行くのをためらうこどもたちをなくすために、中学校3年生までの医療費無料化を、高校3年生まで拡大すべきです。
 小中学校の入学時の制服や教材など、父母負担が重くのしかかっています。入学準備支援金として入学時に1万円を支給し、父母負担の軽減を図るべきです。また、23区で一番高い保育料の月額5,000円の引き下げや、年金や所得が低下する中、介護保険料の年額5,000円の引き下げ、国民健康保険料の年額1万円の引き下げなど、ため込み基金の一部を取り崩し、予算の組みかえで実現は十分可能です。見解を伺います。
 次に、区の新たな「行革」案について伺います。
 今後5年間で、図書館、児童館、学童クラブ、公園管理、区役所や出張所の窓口業務の委託など、際限がありません。また、受益者負担の名のもとに各種使用料・手数料の値上げ、幼稚園・保育所の保育料の値上げ、区民税や保険料を払えない人への徴収強化、学生の奨学資金の回収まで、外部委託と差し押さえを強めようとしています。
 自治体の住民福祉の向上という役割を放棄するやり方や民間委託は中止すべきです。また、人口に応じて職員を増員すべきです。あわせて伺います。
 民間委託と非正規雇用職員への置きかえは、低賃金のワーキングプアを増大させます。明星大学の教授が行った最近の調査でも、都内の公立保育所で働く職員の4割以上が非正規雇用職員、そのうち6割が年収130万円未満と低く、調理師、栄養士、用務員など、非正規雇用が増大しています。
 本区も非正規雇用が33%にも達し、働く人から「雇用不安が大きい。退職金や一時金もないので、老後のことを考えると不安だ」との声が上がっています。非正規雇用の賃上げと一時金、退職金の支給など、労働条件の改善を改めて求めます。伺います。
 また、委託先の労働者の賃金や労働条件の実態調査を求めてきましたが、民民の問題と拒み続けています。
 公共サービス基本法では、「公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」として、国や自治体の責務を示しています。
 また、区が発注する工事や業務委託で働く労働者の適切な賃金や労働条件の確保と、安全かつ良質な事務及び事業を確保するため、全国の自治体に広がっている公契約条例の制定をすべきです。伺います。
 第3に、集団的自衛権と憲法問題について伺います。
 安倍内閣は、昨年7月に集団的自衛権の行使容認の閣議決定を行い、5月の連休明けにいわゆる安保関連法案を国会に提出するとしています。
 首相は開会中の国会で、日本の同盟国が先制攻撃を行って報復攻撃を受けた場合でも、集団的自衛権を発動し、武力行使することも排除しない。また、IS、いわゆるイスラム国を空爆している米軍主導の有志連合を自衛隊が支援することは、憲法上可能だと繰り返しています。
 過激武装組織ISによる日本人殺害は残虐非道な蛮行であり、絶対に許すわけにはいきません。しかし、暴力対暴力、憎悪対憎悪の連鎖でなく、過激武装組織ISには、国連を中心に国際法や国際人道法を守りながら各国が一致して行動し、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなど、解体に追い込んでいくことが重要と考えます。邦人保護などを理由に、集団的自衛権行使を合理化し、戦闘地域に自衛隊を派兵するなどは、憲法上許されるものではありません。
 我が党は区議会でも、集団的自衛権行使容認の閣議決定は、立憲主義や憲法第9条に反し、戦時に大空襲を受けた江東区の平和都市宣言とも相入れないと、区長に反対の態度をとるよう求めてきました。しかし、区長は、「集団的自衛権も平和都市宣言も紛争の抑止力」と答弁していますが、自衛隊が米軍と一緒に他国へ武力攻撃することや後方支援を行うことは、戦争行為であり、抑止力などではありません。区長は毅然と、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回と関連法案の国会提出に反対すべきです。伺います。
 次に、憲法問題です。
 安倍首相は、来年の参議院議員選挙後に憲法改定の発議を行うとしています。憲法改定の狙いは、憲法第9条を削除し、国防軍を創設し、戦争を可能にすることや、そのための基本的人権の制約など、自由民主党の改憲草案を見ても明らかです。
 ことしは戦後70年の節目の年です。戦後の世界秩序は、ファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っており、それを否定して侵略戦争を肯定、美化することや、戦争できる国づくりのための憲法改定は、日本国民を初め、アジアや近隣諸国、欧米からの批判は避けられません。過去の侵略戦争や植民地支配を反省し、二度と戦争をしないと誓った憲法第9条が輝く国づくりこそ、戦後70年に当たっての日本が進むべき道と考えます。
 区長は、過去の侵略戦争と植民地支配をどう認識しているのか。また、憲法改定に反対の立場を表明すべきと思いますが、伺います。
 次に、戦後70年に当たり、本区の平和事業について伺います。
 3月10日、被災から70年目の年として、戦争の悲惨さや平和の大切さを次の世代に語り継ぐとして、東京大空襲被災70周年平和のつどいをティアラこうとうで開きます。基調講演やコンサートなどを計画していますが、区民から「不十分ではないか」と、拡充を求める声が出ています。
 大空襲で火の中を逃げ惑った体験や下町大空襲の記録映像、被災品の展示、また悲惨な戦地での戦争体験、広島・長崎での被曝体験や広島・長崎への中学生や高校生の訪問見学など、広く区民や平和団体などの意見も聞き、また北砂の東京大空襲・戦災資料センターなどとも連携するなど、戦後70周年の節目の年にふさわしい内容にすべきと思いますが、伺います。
 第4に、教育問題について伺います。
 まず、教科書と「従軍慰安婦」問題について伺います。
 ことしは、中学校で使う教科書を採択する年です。歴史教科書や公民教科書の採択をめぐり、極右団体の日本会議や新しい歴史教科書をつくる会などが、侵略戦争美化や従軍慰安婦問題などで教科書攻撃をし、育鵬社の教科書を採択させようと策動しています。
 従軍慰安婦に対する吉田清治証言に基づく記事を朝日新聞が取り消した問題で、「吉田証言が虚偽であった以上、河野談話などにおける、慰安婦が強制連行されたとの主張は崩れた」と、河野談話や教科書の記述への攻撃を行っています。
 1993年の河野談話は、当時、政府を挙げて調査し、日本軍の関与と強制性を認め、謝罪を表明したものです。
 調査内容は、1、日本軍の慰安所と慰安婦の存在、2、慰安所設置、管理への軍の関与、3、慰安婦にされた過程が、本人たちの意志に反して強制性があったこと、4、慰安所における強制性、強制使役のもとに置かれたこと、5、多数が日本の植民地の朝鮮半島出身者で、移送、募集、管理等は本人の意思に反して行われたことの5点です。
 当時の慰安婦35人からも聞き取り調査をして、性奴隷状態とされた事実は、被害者の証言とともに、旧日本軍の公文書などに照らしても動かしがたい事実として発表されたものです。当時、調査と河野談話にかかわった石原信雄元官房副長官は、「吉田清治証言は、はなから問題にしていなかった」、「眉唾物と考えていた」とテレビの前で証言し、吉田証言と河野談話は関連性がないことを述べています。
 元慰安婦らが日本政府に謝罪と賠償を求めた8つの裁判で、強制的に慰安婦にされた事実が認定されています。朝日新聞が吉田証言の記事を取り消しても、従軍慰安婦問題の本質や事実を消し去ることはできません。区教育委員会は、教科書と従軍慰安婦の記述問題など、どのような認識をお持ちか伺います。
 江東区の中学生が使っている歴史教科書は教育出版社、公民教科書は東京書籍で、これは区民の意見や区教育委員会の多角的な議論の末、決定したものです。ことしの教科書採択に当たっては、区民の声や現場の教師の意見を尊重し、歴史の事実と平和憲法に沿って判断すべきと考えます。教科書採択に当たっての区教育委員会の見解を伺います。また、現在使用している中学校の歴史教科書と公民教科書への見解と評価を伺います。
 次に、区長の教育再生首長会議への加盟について伺います。
 平成26年6月2日に発足したこの会議は、全国で70人の首長が加盟し、東京都では、山崎江東区長を初め、品川区長、福生市長、武蔵村山市長の4人が加盟しています。会費は、区長交際費から支払っています。
 設立総会では、下村文部科学大臣や女性右派ジャーナリストが挨拶し、「教育委員会制度の改革は、首長の教育への思いを実現する仕組みとしてつくった」、「道徳教科書を家に持ち帰って親子で活用を」などと、首長が教育内容に積極的に介入することを促し、また右派ジャーナリストは、神話の天照大神など、皇室の存在をとうとうと語り、明治初年に発布された天皇中心の政治を盛んにすべきとした五箇条の御誓文の価値観を、「首長さんたちが先頭に立って教育の現場に行き渡らせてほしい」と、育鵬社の歴史教科書に沿った講演を行っています。教育再生首長会議の目的が、この講演や挨拶によくあらわれています。区長はなぜこのような会議に参加したのか。教育の政治的中立性からも脱退すべきです。伺います。
 教育委員会制度の改変の際、我が党は、首長の教育への権限が強まり、教育の政治的中立性が保てなくなると指摘してきました。区教育委員会は、「政治的中立性は保たれる」と答弁していますが、教育方針や教科書選定で区長の意向に左右されないと明言できるのか、伺います。
 最後に、私は今期限りで議員を引退することにいたしました。今後、一区民として区政を見守り、また、日本共産党員として、政治と社会の変革のため今後も活動を続けてまいります。8期32年にわたり、私を支持していただいた支持者の皆さん、区民の皆様、そして同僚議員の皆さん、区長を初め理事者の皆様に心から御礼申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です