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2014年第4回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。

  1. 介護保険について
  2. 医療保険について
  3. 教育問題について
  4. 木造住宅密集地域の不燃化について

 第1は、介護保険についてです。
 国会で強行成立した医療・介護総合確保推進法に基づく国のガイドライン案は、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、ボランティアサービスへ誘導するとともに、「掃除機からほうきにかえれば自立できる」などとして、公的支えをなくし自助に追い込むものです。
 先行実施している自治体では、「ヘルパーの利用をやめ、ボランティアに切りかえるよう行政から迫られた」、「介護サービスを卒業し、助ける側になれと圧力をかけられた」などの事態が起きています。
 要介護認定を受けるのは被保険者の権利です。要支援から本人の同意抜きにサービスを打ち切れるのですか。ガイドライン案は根本的に見直し、改悪は中止するよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
 特別養護老人ホームは、要介護3以上の方に入所要件を絞り込み、一定以上預貯金のある方の食事・居住費補助が縮小または打ち切られます。非課税の障害者年金も収入とみなされ、助成額が削減されます。食費・居住費補助は、低所得者の負担軽減策として住民税非課税世帯に補足給付されているものです。特別養護老人ホーム入所者の七、八割が補助を受けており、「補助が打ち切られたら施設にはいられなくなる」との切実な声が出ています。区はどのようにこの声を受けとめているのですか。追い出しにつながる負担増はやめるよう国に求めるべきです。区として、継続的に入所できるよう支援を行うべきと思いますが、あわせて伺います。
 厚生労働省は、来年4月から特別養護老人ホームの相部屋の部屋代を新たに徴収することを提案しました。相部屋は、ベッドをカーテンなどで仕切ったもので、低所得の利用者が多く、保険給付の対象にして部屋代の負担を和らげてきたものではありませんか。手当たり次第に負担増を押しつけるのはやめるよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
 今、江東区では、特別養護老人ホームに申し込んでも入れない方が2,200人を超えています。「もう待っていられない」と、都内近県の施設を探し回っている状況です。区内14カ所に整備されたとはいえ、特別養護老人ホーム入所者は、区外も含め高齢者人口比で23区中15位です。在宅サービスの基盤となる訪問看護の利用が21位、訪問リハビリは22位とおくれています。特別養護老人ホームとともに在宅介護・地域密着型サービスの整備を強化すべきです。伺います。
 財政制度等審議会が打ち出した介護報酬の6%以上の削減要求は、介護事業者や介護で働く方々を苦境に追い込み、介護基盤を崩壊させかねません。介護報酬の削減案は撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
 第2は、医療保険について伺います。
 国民健康保険についてです。
 国民健康保険料は、毎年値上げが繰り返され、年収300万円、夫婦・こどもの4人世帯の保険料は32万4,000円となり、4年前に比べ、1.7倍に激増するなど、「もう限界だ」という悲鳴の声が出ています。区はこの声をどう受けとめているのですか。
 来年度の保険料は、一般会計からの繰り入れをふやし、値上げを食いとめるべきです。財源はあります。あわせて伺います。
 今、国は医療費の削減を狙い、国民健康保険の運営を都道府県に移す広域化を進めています。国民健康保険は他の医療保険に比べて年齢構成が高く、低所得の加入者が多いなどの構造的な問題があり、本区を含め多くの自治体で、保険料負担を軽減するために一般会計から繰り入れを行っています。ところが、広域化では、市町村ごとに異なる保険料の平準化を口実に、繰り入れをなくす方針です。繰り入れがなければ国民健康保険財政の運営は一層困難となり、保険料値上げと滞納者の増加という悪循環を招くのではありませんか。伺います。
 厚生労働省は、都道府県に移した後の保険料について、区市町村による医療費削減や保険料の収納率に応じて決める分賦金方式を示しています。この分賦金納付は、さらなる保険料の引き上げや徴収強化につながるのではありませんか。伺います。
 国民健康保険は社会保障制度であり、医療保険の最後のとりでです。国民皆保険制度を守っていくためには、減らされてきた国庫支出金を、1984年の49.8%の水準に復元することこそ必要です。国の財政責任を抜きに広域化しても、国民健康保険の構造的問題は解決しないと思いますが、伺います。
 全国知事会は、構造的な問題の解決に向け、一層の国費投入など国の財政責任の明確化を求めています。国に対し、広域化を中止するとともに、国庫負担割合を抜本的に引き上げ、高過ぎる保険料を引き下げるよう強く求めるべきです。伺います。
 次に、後期高齢者医療保険について伺います。
 厚生労働省は、75歳以上の高齢者に対する医療保険料軽減の特別措置を廃止する方針を打ち出しました。軽減措置が廃止されれば、本区の75歳以上の後期高齢者医療保険加入者の約半数を超える2万3,000人に影響があり、保険料は1人当たり年間1万円近くも値上げとなります。軽減措置廃止という負担増は生活苦に追い打ちをかけるものです。医療保険料の負担増計画を撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
 江東区の行財政改革計画の中に「後期高齢者医療保険料の収納率向上」が新たに加えられました。現在、1,400人余りの保険料滞納者がいますが、年金が少なく天引きの対象とならない低所得の高齢者がほとんどです。保険料の滞納者には、個々の実情を十分に把握し、きめ細かな対応をすべきと思いますが、伺います。
 第3は、教育問題について伺います。
 少人数学級についてです。
 財務省は、「35人学級の効果は認められない」と決めつけ、小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう、文部科学省に求める方針です。これに対し文部科学大臣は、「35人学級が望ましい」と反論しています。国に先立って少人数学級を実施している自治体では、「教師の目が行き届く」、「学力が向上した」と評価し、明確に不登校や欠席者も減っています。
 本区でも、小学校1、2年生で35人学級を実施していますが、その効果について伺います。
 35人学級は、貧困の広がりや社会のゆがみのもとで困難を抱えるこどもたちがふえ、教職員の多忙化が深刻になる中、一人一人に寄り添った丁寧な教育を求める声を受けて実現したものです。40人学級に引き戻すことは、こどもたちへの行き届いた教育を進める土台を崩すものです。財務省の40人学級復活要求は撤回を求めるべきです。伺います。
 日本は、教育への公的支出のGDP比較では、OECD加盟国の中で5年連続最下位です。欧米では、学級編成の基準は20人から30人です。国と都に対し、教育予算を抜本的に増額して35人学級を全学年に拡大するよう求めるべきです。伺います。
 次に、道徳の教科化についてです。
 中央教育審議会は、道徳を教科化し、検定教科書を導入することを答申しました。市民道徳の教育が重要なことは言うまでもありません。しかし、それは国家が特定の価値観を押しつけるものではなく、現実生活に即してこどもたちが主体的に考え、学び取っていくものです。ところが、答申は、道徳に国の検定教科書を使わせ、評価するというものです。こどもたちの作文やノート、発言や行動の観察、面接など、資料を集めて評価する内容です。これは考え方から行動に至るまで全人格的な評価を行うものであり、憲法の内心の自由を侵すものではありませんか。身についたかどうか、心の中まで評価するのですか。あわせて伺います。
 答申は、いじめ問題への対応を、道徳教科化の理由に挙げています。しかし、大津市いじめ事件の中学校は、文部科学省指定の道徳教育実践研究事業推進校で、「いじめのない学校づくり」を掲げていました。事件を調査した第三者委員会は、道徳教育の限界、競争教育の問題点を指摘しました。日本弁護士連合会も、「道徳は教え込むようなものではなく、児童等が自主的に行うもの」としています。いじめは規範意識を教え込めばなくなるものではないと思いますが、伺います。
 安倍首相は、侵略戦争への反省を自虐的と非難し、太平洋戦争を正しい戦争だったなどとこどもたちに教える特異な教科書を賛美、A級戦犯を合祀した靖国神社を参拝し、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認を強行しました。既に「私たちの道徳」という国定の教材を作成し、文部科学大臣が自身のフェイスブックで、「こどもが家に持ち帰っているか調べて」と呼びかけて、教育に対する支配介入だと大問題になりました。
 安倍政権の進める道徳の教科化は、愛国心教育を進め、海外で戦争をする国づくりを支える教育をつくるものです。道徳の教科化は中止するよう国へ求めるべきです。伺います。
 次に、教育委員会制度についてです。
 教育は、時の国家権力によって左右されてはなりません。教育委員会制度は、多くの住民の意思を教育に反映すること、政治的中立性を確保するために導入されたものです。しかし、今回の教育委員会制度の法改正は、住民代表の教育委員会が首長から独立して教育行政を進めるという制度を覆し、国や文部科学省、首長による教育への政治介入に道を開くものです。
 改正法では、教育長と教育委員会委員長を一本化して新教育長を設け、区長が直接任命。また、教育委員会による教育長への指揮監督権はなくなりました。これでは教育長の権限は強大化し、区長と教育長が一体となって教育行政を取り仕切ることになりかねません。見解を伺います。
 区の教育政策の大もととなる大綱の制定権を区長に与えています。しかし、大綱には、教科書採択や学力テスト結果の公表など、教育委員会の権限事項については、教育委員会の同意なしに区長が勝手に書き込むべきではないと思いますが、伺います。
 新たに区長が主宰し、教育委員会と協議、調整する場として総合教育会議が設置されます。教育関係者から、「協議や調整の対象となる事項の線引きが曖昧だと、教育委員会の職務権限事項まで区長の意向に飲み込まれてしまうのではないか」など、首長の教育内容への介入が懸念されています。そもそも教育委員会の権限に属する事項は、総合教育会議の協議対象にすべきではないと思いますが、伺います。
 教育の自由・自主性を守り、教育委員会の形骸化をなくすためにも、とりわけ教育委員が保護者やこども、教職員、住民の要望をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する本来の役割を発揮すべきと思いますが、伺います。
 第4は、木造住宅密集地域の不燃化について伺います。
 現在、北砂三・四・五丁目地区の不燃化特区推進事業が精力的に取り組まれています。その中で、「現行の支援制度だけでは不燃領域率70%の達成は難しい」と、現地スタッフが言っています。特に袋地や旗ざお地など、未接道家屋の建てかえが大きな課題となっています。未接道敷地の共同化は、権利関係や建物共有の抵抗感、建てかえ時期など、難しいのが現実です。
 足立区や荒川区では、建築基準法条項の適用や建築設計制度の活用によって、未接道家屋の建てかえを進めています。足立区では、建てかえが不可能だった約6,400棟の8割近くが救済できると見ています。本区でも、これら建築・設計諸制度を活用し、現行の助成制度と連携させて建てかえを促進すべきです。伺います。
 木造住宅密集地域の安全性向上を図るため、小規模防災公園などに活用する種地として未接道敷地を含め、土地の先行取得を行うべきと思いますが、伺います。
 また、店舗併用住宅の建てかえについては、加算助成や仮店舗の家賃助成など、支援の拡充をすべきです。
 区内には、大島や東砂、亀戸地区などの中にも不燃領域率60%そこそこの地域が残されています。北砂地区が終わってからとせず、早急に不燃化を促進すべきです。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

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