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2015年第1回定例会―正保みきお議員(一般会計予算修正案)
平成27年度江東区一般会計予算に対する修正案について、御説明いたします。
消費税増税と物価高が、区民の暮らしと地域経済を直撃しています。とりわけ福祉、介護、医療の国庫負担の削減は、介護や医療崩壊を深刻化させ、国民健康保険料や介護保険料などの重い負担を強いています。区民の暮らしが大変になっているときだからこそ、身近な区政に、住民の福祉と暮らしを守る防波堤としての本来の役割を果たすことが強く求められています。その立場から、本修正案を提案するものです。
修正案は、第1に、医療、介護、教育にかかる負担の軽減を図ること。第2に、賃金の安い非正規雇用を増大させる民間委託を中止し、正規職員を配置すること。第3に、不要不急の事業を削減するとともに、区政史上最高水準にある積立基金の活用を図ること。第4に、戦後70年に当たり、本区の平和事業を拡充するものです。
主な修正内容について、御説明いたします。
一般会計予算において、歳入歳出予算1,767億6,900万円の予算原案に対し、0.66%増、11億6,836万8,000円の増額修正を行うものです。
歳入についてです。
第16款財産収入は、株式会社東京臨海ホールディングス社への出資金2億4,000万円を取りやめるものです。
第17款寄付金は、マンション建設に伴う公共施設整備協力金6億7,400万円余を、当初予算に計上するものです。
第18款繰入金は、財政調整基金から新たに3億500万円余を繰り入れいたします。
次に、歳出についてです。
第1款議会費では、議長交際費を3割削減いたします。
第2款総務費は、3億370万円を削減いたします。これは、区長交際費を3割削減、副区長2人を1人に削減、4年ごとの区長の退職金2,300万円余の半分を削減するものです。
東京オリンピック・パラリンピック基金の積み立ては中止いたします。
戦後、東京大空襲から70年に当たり、再び戦争の惨禍を繰り返さないと誓った平和都市宣言趣旨普及事業を拡充します。
第3款民生費は、全体で9億6,200万円余を増額いたします。これは、国民健康保険料及び介護保険料の値上げ分の一部を助成、心身障害者福祉手当を、65歳以上の新規手帳取得者を対象に加えるものです。また、高齢者の入院時の負担を軽減するために助成金を、さらに、要介護4及び5の人に対し、月額1万円の重度介護手当を支給いたします。子育て家庭への経済的支援として、子ども医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大いたします。保育園における給食調理業務の新たな民間委託は中止し、正規職員を配置いたします。生活保護事業では、標準数に比べ不足しているケースワーカーを21名増員いたしました。
第4款衛生費は、各種がん検診を無料に戻すとともに、前立腺がん検診を拡充するなど、全体で1億500万円余を増額するものです。
第5款産業経済費は、小規模企業特別資金融資の利子補助の引き上げ、店舗増改築等経費の補助事業を拡充するなど、3億3,300万円余を増額いたします。
第6款土木費は、全体で7,000万円余を削減いたします。これは、地下鉄8号線建設基金への5億円の積み増しを取りやめる一方、マンション耐震診断・改修助成金の増額、木造住宅の簡易耐震改修に助成するなど、震災予防対策を一層強化するものです。
第7款教育費では、小中学校の入学準備支援として1人1万円を支給、また、学校警備及び用務の新たな民間委託を中止するなど、全体で1億7,600万円余を増額するものです。
以上、提案説明といたします。
2015年第1回定例会―赤羽目たみお議員(動議提出)
この際、動議を提出いたします。
ただいま一括議題となりました議案第7号から同第10号までの4件につきましては、議長を除く42名の委員をもって構成する平成27年度予算審査特別委員会を設置されまして、これに審査を付託されることを望みます。
(「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり)
2015年第1回定例会―斉藤信行議員
私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに教育長に質問いたします。
- 安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について
- 江東区の来年度予算案について
- 集団的自衛権と憲法問題について
- 教育問題について
まず、第1は、安倍政権の暴走政治と来年度の政府予算案が区民生活にもたらす影響について伺います。
さきの総選挙でマスコミは、自由民主党圧勝などと報道し、安倍首相も「国民に背中を押してもらった」などと述べています。しかし、自由民主党は4議席減らし、比例代表でも33%の得票率でしかなく、小選挙区という選挙制度で虚構の多数を得ているにすぎません。
虚構の多数で編成された来年度予算案は、年金、医療、生活保護など、社会保障を軒並み切り捨て、加えて介護報酬引き下げなど、介護現場に深刻な影響を与える内容となっています。
一方、軍事費は過去最大で、大企業減税や大型公共工事、沖縄県の新基地建設、原発再稼働など、国民の願いに逆行し、「暴走政治予算」とも言える内容となっています。
自治体の住民福祉に大きな影響を与えるこのような政府予算案に対し、特別区長会や区長は、社会保障の切り捨てに反対し、拡充を求めるべきと考えます。政府予算案に対する区長の見解とあわせて伺います。
次に、消費税との関連で伺います。
消費税率は、社会保障のためとして5%から8%へ引き上げました。区長は、我が党からの再三の「消費税は暮らしと景気を悪化させる」として中止を求めよとの質問に、社会保障のために必要と繰り返してきました。しかし、社会保障は聖域なく削減しています。今、区民の暮らしは深刻で、こたつを押し入れにしまって重ね着で我慢している、医者へ行く回数を減らしたなど、暮らしが成り立たなくなってきています。消費税の増税分が社会保障に回らず削減されるもとで、区長は、まだ社会保障のためと、10%へのさらなる引き上げに賛成なのか。きっぱりと中止を求めるべきです。伺います。
今後、労働法制の改悪で、非正規雇用の拡大やいわゆる残業代ゼロ法案など、労働者の賃金の低下や年金のマクロ経済スライドの発動による支給額の引き下げなど、生活は深刻になる一方です。
安倍政権が最大の売り物にしているアベノミクスですが、実質賃金が18カ月連続減少し、国内総生産も減少、日本銀行の調査でも、国民の多くが「生活にゆとりがなくなってきた」、「1年後の景気は悪くなる」と答え、アベノミクスへの幻想が急激に剥がれ落ちつつあります。
区長は、景気は緩やかに回復などと、政府の言い分をうのみにしていますが、区内の景況調査でも、製造業、小売業、サービス業など、いずれも下降し、アベノミクスの効果を「実感していない」とする人が70%程度、「実感している」人はわずか2%程度しかありません。これで景気が緩やかに回復などと言えるのでしょうか。区民の暮らしの実態と区内景気の認識について伺います。
安倍首相は、この道しかないと破綻しつつある道を進んでいますが、我が党は消費税に頼らない別の道への転換として、大企業の内部留保の一部を取り崩して賃上げを行い、正規雇用を拡大する。大企業や富裕層へ応分の負担を求める。軍事費や大型公共工事の削減、政党助成金の廃止など、対案を示してきました。区長は、区民の暮らしを守るため、政府に格差拡大の中止と大企業優遇、社会保障削減中止など、政策転換を求めるべきです。伺います。
第2に、江東区の来年度予算案について伺います。
来年度予算案には、我が党が求めていた認可保育所の増設や保育定員の増員、マンション耐震補強工事への助成金の増額、商店の改修に対する助成制度の創設、ひきこもり等の若者支援相談窓口の設置など、不十分ながらも一定の前進があります。しかし、相変わらず行革と称して、区立保育所や福祉会館、学校用務など、際限のない民間委託を進め、人口増にもかかわらず職員を削減し続け、23区での人口1,000人当たりの職員数は、平均7.16人であるのに対し、本区は5.13人と最低クラスです。来年度も、学校警備、学校用務、道路事務所など、技能系職員を一層削減するため、災害への機敏な対応も危惧されます。安全・安心や住民福祉の向上という自治体の本来の役割を縮小・放棄する内容で、魅力発信予算などと言えるものではありません。
一方、東京オリンピック・パラリンピック基金を新たに創設し、3億円も積み立て、地下鉄8号線建設基金も25億円に積み増し、基金残高は総額878億円余になっています。
提案いたします。こどもの貧困がふえる中で、医療費を気にして病院に行くのをためらうこどもたちをなくすために、中学校3年生までの医療費無料化を、高校3年生まで拡大すべきです。
小中学校の入学時の制服や教材など、父母負担が重くのしかかっています。入学準備支援金として入学時に1万円を支給し、父母負担の軽減を図るべきです。また、23区で一番高い保育料の月額5,000円の引き下げや、年金や所得が低下する中、介護保険料の年額5,000円の引き下げ、国民健康保険料の年額1万円の引き下げなど、ため込み基金の一部を取り崩し、予算の組みかえで実現は十分可能です。見解を伺います。
次に、区の新たな「行革」案について伺います。
今後5年間で、図書館、児童館、学童クラブ、公園管理、区役所や出張所の窓口業務の委託など、際限がありません。また、受益者負担の名のもとに各種使用料・手数料の値上げ、幼稚園・保育所の保育料の値上げ、区民税や保険料を払えない人への徴収強化、学生の奨学資金の回収まで、外部委託と差し押さえを強めようとしています。
自治体の住民福祉の向上という役割を放棄するやり方や民間委託は中止すべきです。また、人口に応じて職員を増員すべきです。あわせて伺います。
民間委託と非正規雇用職員への置きかえは、低賃金のワーキングプアを増大させます。明星大学の教授が行った最近の調査でも、都内の公立保育所で働く職員の4割以上が非正規雇用職員、そのうち6割が年収130万円未満と低く、調理師、栄養士、用務員など、非正規雇用が増大しています。
本区も非正規雇用が33%にも達し、働く人から「雇用不安が大きい。退職金や一時金もないので、老後のことを考えると不安だ」との声が上がっています。非正規雇用の賃上げと一時金、退職金の支給など、労働条件の改善を改めて求めます。伺います。
また、委託先の労働者の賃金や労働条件の実態調査を求めてきましたが、民民の問題と拒み続けています。
公共サービス基本法では、「公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」として、国や自治体の責務を示しています。
また、区が発注する工事や業務委託で働く労働者の適切な賃金や労働条件の確保と、安全かつ良質な事務及び事業を確保するため、全国の自治体に広がっている公契約条例の制定をすべきです。伺います。
第3に、集団的自衛権と憲法問題について伺います。
安倍内閣は、昨年7月に集団的自衛権の行使容認の閣議決定を行い、5月の連休明けにいわゆる安保関連法案を国会に提出するとしています。
首相は開会中の国会で、日本の同盟国が先制攻撃を行って報復攻撃を受けた場合でも、集団的自衛権を発動し、武力行使することも排除しない。また、IS、いわゆるイスラム国を空爆している米軍主導の有志連合を自衛隊が支援することは、憲法上可能だと繰り返しています。
過激武装組織ISによる日本人殺害は残虐非道な蛮行であり、絶対に許すわけにはいきません。しかし、暴力対暴力、憎悪対憎悪の連鎖でなく、過激武装組織ISには、国連を中心に国際法や国際人道法を守りながら各国が一致して行動し、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなど、解体に追い込んでいくことが重要と考えます。邦人保護などを理由に、集団的自衛権行使を合理化し、戦闘地域に自衛隊を派兵するなどは、憲法上許されるものではありません。
我が党は区議会でも、集団的自衛権行使容認の閣議決定は、立憲主義や憲法第9条に反し、戦時に大空襲を受けた江東区の平和都市宣言とも相入れないと、区長に反対の態度をとるよう求めてきました。しかし、区長は、「集団的自衛権も平和都市宣言も紛争の抑止力」と答弁していますが、自衛隊が米軍と一緒に他国へ武力攻撃することや後方支援を行うことは、戦争行為であり、抑止力などではありません。区長は毅然と、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回と関連法案の国会提出に反対すべきです。伺います。
次に、憲法問題です。
安倍首相は、来年の参議院議員選挙後に憲法改定の発議を行うとしています。憲法改定の狙いは、憲法第9条を削除し、国防軍を創設し、戦争を可能にすることや、そのための基本的人権の制約など、自由民主党の改憲草案を見ても明らかです。
ことしは戦後70年の節目の年です。戦後の世界秩序は、ファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っており、それを否定して侵略戦争を肯定、美化することや、戦争できる国づくりのための憲法改定は、日本国民を初め、アジアや近隣諸国、欧米からの批判は避けられません。過去の侵略戦争や植民地支配を反省し、二度と戦争をしないと誓った憲法第9条が輝く国づくりこそ、戦後70年に当たっての日本が進むべき道と考えます。
区長は、過去の侵略戦争と植民地支配をどう認識しているのか。また、憲法改定に反対の立場を表明すべきと思いますが、伺います。
次に、戦後70年に当たり、本区の平和事業について伺います。
3月10日、被災から70年目の年として、戦争の悲惨さや平和の大切さを次の世代に語り継ぐとして、東京大空襲被災70周年平和のつどいをティアラこうとうで開きます。基調講演やコンサートなどを計画していますが、区民から「不十分ではないか」と、拡充を求める声が出ています。
大空襲で火の中を逃げ惑った体験や下町大空襲の記録映像、被災品の展示、また悲惨な戦地での戦争体験、広島・長崎での被曝体験や広島・長崎への中学生や高校生の訪問見学など、広く区民や平和団体などの意見も聞き、また北砂の東京大空襲・戦災資料センターなどとも連携するなど、戦後70周年の節目の年にふさわしい内容にすべきと思いますが、伺います。
第4に、教育問題について伺います。
まず、教科書と「従軍慰安婦」問題について伺います。
ことしは、中学校で使う教科書を採択する年です。歴史教科書や公民教科書の採択をめぐり、極右団体の日本会議や新しい歴史教科書をつくる会などが、侵略戦争美化や従軍慰安婦問題などで教科書攻撃をし、育鵬社の教科書を採択させようと策動しています。
従軍慰安婦に対する吉田清治証言に基づく記事を朝日新聞が取り消した問題で、「吉田証言が虚偽であった以上、河野談話などにおける、慰安婦が強制連行されたとの主張は崩れた」と、河野談話や教科書の記述への攻撃を行っています。
1993年の河野談話は、当時、政府を挙げて調査し、日本軍の関与と強制性を認め、謝罪を表明したものです。
調査内容は、1、日本軍の慰安所と慰安婦の存在、2、慰安所設置、管理への軍の関与、3、慰安婦にされた過程が、本人たちの意志に反して強制性があったこと、4、慰安所における強制性、強制使役のもとに置かれたこと、5、多数が日本の植民地の朝鮮半島出身者で、移送、募集、管理等は本人の意思に反して行われたことの5点です。
当時の慰安婦35人からも聞き取り調査をして、性奴隷状態とされた事実は、被害者の証言とともに、旧日本軍の公文書などに照らしても動かしがたい事実として発表されたものです。当時、調査と河野談話にかかわった石原信雄元官房副長官は、「吉田清治証言は、はなから問題にしていなかった」、「眉唾物と考えていた」とテレビの前で証言し、吉田証言と河野談話は関連性がないことを述べています。
元慰安婦らが日本政府に謝罪と賠償を求めた8つの裁判で、強制的に慰安婦にされた事実が認定されています。朝日新聞が吉田証言の記事を取り消しても、従軍慰安婦問題の本質や事実を消し去ることはできません。区教育委員会は、教科書と従軍慰安婦の記述問題など、どのような認識をお持ちか伺います。
江東区の中学生が使っている歴史教科書は教育出版社、公民教科書は東京書籍で、これは区民の意見や区教育委員会の多角的な議論の末、決定したものです。ことしの教科書採択に当たっては、区民の声や現場の教師の意見を尊重し、歴史の事実と平和憲法に沿って判断すべきと考えます。教科書採択に当たっての区教育委員会の見解を伺います。また、現在使用している中学校の歴史教科書と公民教科書への見解と評価を伺います。
次に、区長の教育再生首長会議への加盟について伺います。
平成26年6月2日に発足したこの会議は、全国で70人の首長が加盟し、東京都では、山崎江東区長を初め、品川区長、福生市長、武蔵村山市長の4人が加盟しています。会費は、区長交際費から支払っています。
設立総会では、下村文部科学大臣や女性右派ジャーナリストが挨拶し、「教育委員会制度の改革は、首長の教育への思いを実現する仕組みとしてつくった」、「道徳教科書を家に持ち帰って親子で活用を」などと、首長が教育内容に積極的に介入することを促し、また右派ジャーナリストは、神話の天照大神など、皇室の存在をとうとうと語り、明治初年に発布された天皇中心の政治を盛んにすべきとした五箇条の御誓文の価値観を、「首長さんたちが先頭に立って教育の現場に行き渡らせてほしい」と、育鵬社の歴史教科書に沿った講演を行っています。教育再生首長会議の目的が、この講演や挨拶によくあらわれています。区長はなぜこのような会議に参加したのか。教育の政治的中立性からも脱退すべきです。伺います。
教育委員会制度の改変の際、我が党は、首長の教育への権限が強まり、教育の政治的中立性が保てなくなると指摘してきました。区教育委員会は、「政治的中立性は保たれる」と答弁していますが、教育方針や教科書選定で区長の意向に左右されないと明言できるのか、伺います。
最後に、私は今期限りで議員を引退することにいたしました。今後、一区民として区政を見守り、また、日本共産党員として、政治と社会の変革のため今後も活動を続けてまいります。8期32年にわたり、私を支持していただいた支持者の皆さん、区民の皆様、そして同僚議員の皆さん、区長を初め理事者の皆様に心から御礼申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
2014年第4回定例会―正保みきお議員
日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。
- 介護保険について
- 医療保険について
- 教育問題について
- 木造住宅密集地域の不燃化について
第1は、介護保険についてです。
国会で強行成立した医療・介護総合確保推進法に基づく国のガイドライン案は、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、ボランティアサービスへ誘導するとともに、「掃除機からほうきにかえれば自立できる」などとして、公的支えをなくし自助に追い込むものです。
先行実施している自治体では、「ヘルパーの利用をやめ、ボランティアに切りかえるよう行政から迫られた」、「介護サービスを卒業し、助ける側になれと圧力をかけられた」などの事態が起きています。
要介護認定を受けるのは被保険者の権利です。要支援から本人の同意抜きにサービスを打ち切れるのですか。ガイドライン案は根本的に見直し、改悪は中止するよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
特別養護老人ホームは、要介護3以上の方に入所要件を絞り込み、一定以上預貯金のある方の食事・居住費補助が縮小または打ち切られます。非課税の障害者年金も収入とみなされ、助成額が削減されます。食費・居住費補助は、低所得者の負担軽減策として住民税非課税世帯に補足給付されているものです。特別養護老人ホーム入所者の七、八割が補助を受けており、「補助が打ち切られたら施設にはいられなくなる」との切実な声が出ています。区はどのようにこの声を受けとめているのですか。追い出しにつながる負担増はやめるよう国に求めるべきです。区として、継続的に入所できるよう支援を行うべきと思いますが、あわせて伺います。
厚生労働省は、来年4月から特別養護老人ホームの相部屋の部屋代を新たに徴収することを提案しました。相部屋は、ベッドをカーテンなどで仕切ったもので、低所得の利用者が多く、保険給付の対象にして部屋代の負担を和らげてきたものではありませんか。手当たり次第に負担増を押しつけるのはやめるよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
今、江東区では、特別養護老人ホームに申し込んでも入れない方が2,200人を超えています。「もう待っていられない」と、都内近県の施設を探し回っている状況です。区内14カ所に整備されたとはいえ、特別養護老人ホーム入所者は、区外も含め高齢者人口比で23区中15位です。在宅サービスの基盤となる訪問看護の利用が21位、訪問リハビリは22位とおくれています。特別養護老人ホームとともに在宅介護・地域密着型サービスの整備を強化すべきです。伺います。
財政制度等審議会が打ち出した介護報酬の6%以上の削減要求は、介護事業者や介護で働く方々を苦境に追い込み、介護基盤を崩壊させかねません。介護報酬の削減案は撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
第2は、医療保険について伺います。
国民健康保険についてです。
国民健康保険料は、毎年値上げが繰り返され、年収300万円、夫婦・こどもの4人世帯の保険料は32万4,000円となり、4年前に比べ、1.7倍に激増するなど、「もう限界だ」という悲鳴の声が出ています。区はこの声をどう受けとめているのですか。
来年度の保険料は、一般会計からの繰り入れをふやし、値上げを食いとめるべきです。財源はあります。あわせて伺います。
今、国は医療費の削減を狙い、国民健康保険の運営を都道府県に移す広域化を進めています。国民健康保険は他の医療保険に比べて年齢構成が高く、低所得の加入者が多いなどの構造的な問題があり、本区を含め多くの自治体で、保険料負担を軽減するために一般会計から繰り入れを行っています。ところが、広域化では、市町村ごとに異なる保険料の平準化を口実に、繰り入れをなくす方針です。繰り入れがなければ国民健康保険財政の運営は一層困難となり、保険料値上げと滞納者の増加という悪循環を招くのではありませんか。伺います。
厚生労働省は、都道府県に移した後の保険料について、区市町村による医療費削減や保険料の収納率に応じて決める分賦金方式を示しています。この分賦金納付は、さらなる保険料の引き上げや徴収強化につながるのではありませんか。伺います。
国民健康保険は社会保障制度であり、医療保険の最後のとりでです。国民皆保険制度を守っていくためには、減らされてきた国庫支出金を、1984年の49.8%の水準に復元することこそ必要です。国の財政責任を抜きに広域化しても、国民健康保険の構造的問題は解決しないと思いますが、伺います。
全国知事会は、構造的な問題の解決に向け、一層の国費投入など国の財政責任の明確化を求めています。国に対し、広域化を中止するとともに、国庫負担割合を抜本的に引き上げ、高過ぎる保険料を引き下げるよう強く求めるべきです。伺います。
次に、後期高齢者医療保険について伺います。
厚生労働省は、75歳以上の高齢者に対する医療保険料軽減の特別措置を廃止する方針を打ち出しました。軽減措置が廃止されれば、本区の75歳以上の後期高齢者医療保険加入者の約半数を超える2万3,000人に影響があり、保険料は1人当たり年間1万円近くも値上げとなります。軽減措置廃止という負担増は生活苦に追い打ちをかけるものです。医療保険料の負担増計画を撤回するよう国に強く求めるべきです。伺います。
江東区の行財政改革計画の中に「後期高齢者医療保険料の収納率向上」が新たに加えられました。現在、1,400人余りの保険料滞納者がいますが、年金が少なく天引きの対象とならない低所得の高齢者がほとんどです。保険料の滞納者には、個々の実情を十分に把握し、きめ細かな対応をすべきと思いますが、伺います。
第3は、教育問題について伺います。
少人数学級についてです。
財務省は、「35人学級の効果は認められない」と決めつけ、小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう、文部科学省に求める方針です。これに対し文部科学大臣は、「35人学級が望ましい」と反論しています。国に先立って少人数学級を実施している自治体では、「教師の目が行き届く」、「学力が向上した」と評価し、明確に不登校や欠席者も減っています。
本区でも、小学校1、2年生で35人学級を実施していますが、その効果について伺います。
35人学級は、貧困の広がりや社会のゆがみのもとで困難を抱えるこどもたちがふえ、教職員の多忙化が深刻になる中、一人一人に寄り添った丁寧な教育を求める声を受けて実現したものです。40人学級に引き戻すことは、こどもたちへの行き届いた教育を進める土台を崩すものです。財務省の40人学級復活要求は撤回を求めるべきです。伺います。
日本は、教育への公的支出のGDP比較では、OECD加盟国の中で5年連続最下位です。欧米では、学級編成の基準は20人から30人です。国と都に対し、教育予算を抜本的に増額して35人学級を全学年に拡大するよう求めるべきです。伺います。
次に、道徳の教科化についてです。
中央教育審議会は、道徳を教科化し、検定教科書を導入することを答申しました。市民道徳の教育が重要なことは言うまでもありません。しかし、それは国家が特定の価値観を押しつけるものではなく、現実生活に即してこどもたちが主体的に考え、学び取っていくものです。ところが、答申は、道徳に国の検定教科書を使わせ、評価するというものです。こどもたちの作文やノート、発言や行動の観察、面接など、資料を集めて評価する内容です。これは考え方から行動に至るまで全人格的な評価を行うものであり、憲法の内心の自由を侵すものではありませんか。身についたかどうか、心の中まで評価するのですか。あわせて伺います。
答申は、いじめ問題への対応を、道徳教科化の理由に挙げています。しかし、大津市いじめ事件の中学校は、文部科学省指定の道徳教育実践研究事業推進校で、「いじめのない学校づくり」を掲げていました。事件を調査した第三者委員会は、道徳教育の限界、競争教育の問題点を指摘しました。日本弁護士連合会も、「道徳は教え込むようなものではなく、児童等が自主的に行うもの」としています。いじめは規範意識を教え込めばなくなるものではないと思いますが、伺います。
安倍首相は、侵略戦争への反省を自虐的と非難し、太平洋戦争を正しい戦争だったなどとこどもたちに教える特異な教科書を賛美、A級戦犯を合祀した靖国神社を参拝し、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認を強行しました。既に「私たちの道徳」という国定の教材を作成し、文部科学大臣が自身のフェイスブックで、「こどもが家に持ち帰っているか調べて」と呼びかけて、教育に対する支配介入だと大問題になりました。
安倍政権の進める道徳の教科化は、愛国心教育を進め、海外で戦争をする国づくりを支える教育をつくるものです。道徳の教科化は中止するよう国へ求めるべきです。伺います。
次に、教育委員会制度についてです。
教育は、時の国家権力によって左右されてはなりません。教育委員会制度は、多くの住民の意思を教育に反映すること、政治的中立性を確保するために導入されたものです。しかし、今回の教育委員会制度の法改正は、住民代表の教育委員会が首長から独立して教育行政を進めるという制度を覆し、国や文部科学省、首長による教育への政治介入に道を開くものです。
改正法では、教育長と教育委員会委員長を一本化して新教育長を設け、区長が直接任命。また、教育委員会による教育長への指揮監督権はなくなりました。これでは教育長の権限は強大化し、区長と教育長が一体となって教育行政を取り仕切ることになりかねません。見解を伺います。
区の教育政策の大もととなる大綱の制定権を区長に与えています。しかし、大綱には、教科書採択や学力テスト結果の公表など、教育委員会の権限事項については、教育委員会の同意なしに区長が勝手に書き込むべきではないと思いますが、伺います。
新たに区長が主宰し、教育委員会と協議、調整する場として総合教育会議が設置されます。教育関係者から、「協議や調整の対象となる事項の線引きが曖昧だと、教育委員会の職務権限事項まで区長の意向に飲み込まれてしまうのではないか」など、首長の教育内容への介入が懸念されています。そもそも教育委員会の権限に属する事項は、総合教育会議の協議対象にすべきではないと思いますが、伺います。
教育の自由・自主性を守り、教育委員会の形骸化をなくすためにも、とりわけ教育委員が保護者やこども、教職員、住民の要望をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する本来の役割を発揮すべきと思いますが、伺います。
第4は、木造住宅密集地域の不燃化について伺います。
現在、北砂三・四・五丁目地区の不燃化特区推進事業が精力的に取り組まれています。その中で、「現行の支援制度だけでは不燃領域率70%の達成は難しい」と、現地スタッフが言っています。特に袋地や旗ざお地など、未接道家屋の建てかえが大きな課題となっています。未接道敷地の共同化は、権利関係や建物共有の抵抗感、建てかえ時期など、難しいのが現実です。
足立区や荒川区では、建築基準法条項の適用や建築設計制度の活用によって、未接道家屋の建てかえを進めています。足立区では、建てかえが不可能だった約6,400棟の8割近くが救済できると見ています。本区でも、これら建築・設計諸制度を活用し、現行の助成制度と連携させて建てかえを促進すべきです。伺います。
木造住宅密集地域の安全性向上を図るため、小規模防災公園などに活用する種地として未接道敷地を含め、土地の先行取得を行うべきと思いますが、伺います。
また、店舗併用住宅の建てかえについては、加算助成や仮店舗の家賃助成など、支援の拡充をすべきです。
区内には、大島や東砂、亀戸地区などの中にも不燃領域率60%そこそこの地域が残されています。北砂地区が終わってからとせず、早急に不燃化を促進すべきです。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
2014年第4回定例会―きくち幸江議員(改正条例について)
議員提出議案第22号、江東区子どもの医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について、御説明いたします。
本条例案は、こどもの医療費の助成の対象について、現在の中学校卒業までを延長し、18歳になった年度の3月31日までに拡大するものです。
今日、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らすこどもの割合を示すこどもの貧困率は、16.3%と過去最悪を更新し、6人に1人が貧困家庭に属するという深刻な事態にあることが明らかになりました。加えて、ことし4月からの消費税増税や円安による物価高が家計を締めつけています。
本区においても、就学援助受給者は中学生で4割近くに上るなど、生活保護基準ぎりぎりの世帯も多い中、貧困の連鎖を断ち切り、人間らしい生活と発達を保障するための具体的な施策が求められています。
本条例案で、新たに医療費助成の対象とする義務教育終了後から18歳までのこどもたちは、法律上も実態としても保護されるべき対象であるにもかかわらず、行政支援は不十分で、家庭の経済的困難により高校を中退せざるを得ない生徒がふえていることなども問題となっています。
適切な医療の提供は、こどもたちの命を守り、健やかな成長を保障するために平等に提供されるべきものですが、全日本教職員組合作成の「保健室からの報告」高校生の部では、けがをして救急車が来ても、保険証がないからと乗ることを拒む、虫歯があっても医者に行かない、食事も十分ではなく摂食障害を疑うなど、命を守り、健やかな成長を保障するとはとても言えない状況が列挙され、上記団体を初め弁護士会など、こどもの貧困にかかわる団体や個人から、医療費助成の高校修了までの実施を含む医療体制の強化を求める意見が挙げられています。
本区においては、こどもの健やかな成長と保健の向上、福祉の増進を目的としたこどもの医療費助成を、先駆的に中学校3年生まで対象とし、子育て世帯に歓迎されてきました。その対象を高校生等、児童福祉法に定める児童の規定である18歳まで拡大し、もって区民福祉の向上を図るため、本案を提出するものです。
以下、内容について御説明いたします。
条例のうち、用語の定義を定めた第2条の児童について、「15歳」を「18歳」に改めます。
附則において、施行日を平成27年6月1日といたしました。
以上、説明といたします。
よろしく御審議の上、御可決くださいますようお願いいたします。
2014年第4回定例会―大つきかおり議員
日本共産党江東区議団を代表し、大綱2点にわたって、区長及び関係理事者に質問を行います。
- 江東区の行財政運営と来年度予算編成について
- 江東区のまちづくりについて
初めに、大綱の第1は、江東区の行財政運営と来年度予算編成についてです。
安倍首相が衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。これは、消費税大増税や集団的自衛権の行使容認、医療・介護など社会保障の改悪、さらに原発再稼働や労働者派遣法の改悪など、国民の声に背を向け、悪政を次々と強行してきたことに、国民の怒りと批判が広がり、安倍政権が追い詰められた結果です。
この間、山崎区長は、社会保障の改悪を容認し、「推移を見守る」、「動向を注視する」などと答弁するだけで、政府に改悪中止を求める姿勢はありません。
また、集団的自衛権の行使容認でも、「集団的自衛権は抑止力だ」、「江東区平和都市宣言も同じ趣旨だ」などと答弁しましたが、江東区平和都市宣言は、「二度と戦争はしない」、「武力は放棄する」とした憲法第9条に基づいて行われたものであり、他国とともに戦争をし、際限のない軍拡競争をもたらす抑止力論とは相入れないものです。
さらに、消費税増税でも、区長は増税を容認し、増税後も景気は上向いているなどとの認識を示すなど、政府の主張をそのまま繰り返すだけです。
地方自治体の最も重要な仕事は、住民福祉の向上です。区民福祉を向上させ暮らしを守るためには区民の立場で悪政をやめさせることが必要ではないでしょうか。区長の見解を伺います。
安倍政権は、総選挙を前に、来年10月からの消費税率10%への増税を1年半ほど先送りするとしました。これは安倍政権の経済失政をみずから認めたということにほかなりません。
この間のアベノミクスによる異次元の金融緩和による物価の上昇と消費税率8%への増税によって、暮らしも経済も深刻な状況です。GDPは2期連続減少、実質賃金は15カ月連続マイナス。区民からは、「年金も減らされ、消費税の増税で、これ以上どこを削ればいいのか」、「売り上げが減って商売が続けられない」など、深刻な声が寄せられています。アベノミクスによって暮らしが悪化し、景気が落ち込む悪循環に陥っています。大企業が利益を上げれば景気はよくなるという安倍政権の経済対策を大もとから見直すことが必要ではないでしょうか。区長の見解を伺います。
日本共産党は、「消費税に頼らない別の道がある」と、国民の立場に立った改革の提案を行ってきました。第1は、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源を確保すること。第2には、大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得をふやす経済対策によって税収をふやすことです。この2つの方策をあわせてとれば、社会保障や暮らしのための財源、財政再建のための財源もつくれます。
消費税率10%への増税は、何年先に実施しようと、経済と暮らしを破壊する悪政に変わりはありません。政府に対し、先送りではなく、きっぱり中止するよう求めるべきではないでしょうか。区長の見解を伺います。
山崎区長は、この間、国の悪政に追随するだけでなく、行財政改革と称し、生活保護の健全育成費や中学卒業者自立支援金の廃止、ひとり親家庭休養ホーム事業や景気対策融資など、区独自の施策を廃止しました。
また、保育料の値上げ、スポーツセンターや文化センターの使用料の値上げと駐車場の有料化、胃がん、大腸がん、子宮頸がんなど、無料だったがん検診も有料化し、国民健康保険料は毎年値上げを繰り返すなど、負担増を実施するとともに、区民を生活保護に追い込むほどの保険料や区民税の徴収強化を進めてきました。
さらに、この間、毎年人口が増加しているにもかかわらず、区の職員を削減し、学校や保育所の給食調理業務や用務業務、学童保育クラブや児童館、福祉会館などの民間委託を行い、区みずからが不安定、低賃金の労働者を増加させてきました。
このような区民犠牲の行財政改革を行う一方、区は基金をため込み、平成25年度決算時点で基金総額は過去最高の886億円にも膨らんでいます。区民への負担増や施策の切り捨て、不安定雇用を広げながら莫大な基金をため込む区民犠牲の行財政改革は見直すべきではないでしょうか。見解を伺います。
区はさらに、今後、行財政改革の後期計画を策定し、引き続き民間委託の推進、区民への負担増、徴収強化を進めようとしています。
第3回区議会定例会で報告された、計画に盛り込む個別項目には、生活保護事業のあり方の検討が新たに盛り込まれ、生活保護の訪問業務まで民間委託しようとしています。生活保護の訪問業務は、被保護世帯の生活実態を把握するなど、プライバシーにかかわる業務です。また、ケースワーカーは、被保護世帯の生活実態を把握した上でどのような支援が必要か判断するなど、極めて重要な業務を行っています。
区は民間委託への検討の理由を、被保護世帯数の増加や支援の多様化に対応するためとしていますが、そもそも被保護世帯が増加しているにもかかわらず、十分な職員の増員を行ってこなかったことこそ問題です。
被保護世帯の増加と支援の多様化に対応するためと言うのであれば、民間委託ではなく、社会福祉士の資格を持った専門職員を増員すべきではありませんか。見解を伺います。
また、窓口業務のあり方検討では、豊洲シビックセンター内出張所での業務見直しを踏まえ、区民課等の窓口業務のあり方を検討することが新たに盛り込まれました。住民票や戸籍の記載内容は極めて重要な個人情報で、委託業者に幾ら守秘義務を課しても常に情報漏えいの危険にさらされることになります。窓口業務の民間委託は行うべきではありません。見解を伺います。
さらに、後期計画では、後期高齢者医療保険料の徴収強化や庁舎駐車場の有料化の検討など、新たな区民への負担増が盛り込まれています。
後期高齢者医療保険料は、見直しのたびに保険料が引き上げられ、年金の引き下げや消費税の増税で、払いたくても払えない状況が広がっています。保険料の滞納が発生しているのは、年金から天引きできない年間18万円以下の年金しかもらっていない世帯です。徴収強化策だとして正規の保険証を取り上げ、短期被保険者証や資格証明書になってしまえば、病院にかかれなくなり、命にかかわる事態になりかねません。資格証明書や短期被保険者証の発行は行うべきではありません。見解を伺います。
また、庁舎駐車場の有料化は、相談や手続など、必要性があって区役所に来る区民に対して負担を求めるものです。気軽に来庁してもらうことこそ必要ではないでしょうか。受益者負担という理由で新たな負担を求めることはやめるべきです。見解を伺います。
次に、本区の来年度予算編成について伺います。
安倍政権のもと、区民の暮らしは厳しくなるばかりです。生活保護世帯は、10月時点で7,700世帯を超え、前年と比べ170世帯近く増加しています。国民健康保険料が払えない世帯は約3万世帯、被保険者の4割近くにも達しています。また、就学援助を受けるこどもの数も、小学生で22.6%、中学生では38.5%にもなっています。
日本共産党江東区議団が実施した区民アンケートでは、暮らしが厳しくなったと答えた人が6割を超えています。区長は区民の生活実態について、どのように認識しているのか、伺います。
安倍政権による悪政が進められているときだからこそ、区政が区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきです。日本共産党江東区議団は、この間、区民アンケートに取り組むとともに、障害者や中小業者、医療関係者など、区内のさまざまな団体の皆さんとの懇談会を実施し、区民要望を伺ってきました。区長には、区民から寄せられた要望や区政の重要課題について、462項目に上る予算要望書を提出していますが、来年度の予算編成に当たり、区民生活の実態を踏まえ、以下の視点を盛り込むことを求めるとともに、見解を伺います。
第1は、暮らしが厳しくなる中、命と健康を守るため、国民健康保険料や介護保険料の引き下げ、有料化したがん検診を無料に戻すこと、また、入院見舞金や重度介護手当の支給など、医療や介護の負担軽減策を実施することが必要だと思いますが、伺います。
第2は、公立保育所の増設や特別養護老人ホーム、障害者のグループホームなど、不足する福祉施設について、民間任せの姿勢を改めて、区の責任で増設すべきだと思いますが、伺います。
第3は、こどもの貧困などが社会問題になる中、23区で一番高い保育料の引き下げ、こどもの医療費助成を18歳まで引き上げること、就学援助の対象拡大など、子育てや教育にかかる負担の軽減を行うべきだと考えますが、伺います。
第4は、消費税増税で景気が悪化する中、景気対策融資の実施や、仕事おこしのための住宅リフォーム助成、店舗・設備改修助成など、中小企業への直接支援を行うなど、地域経済を支える中小企業支援を抜本的に強化すべきだと思いますが、見解を伺います。
第5は、これ以上の民間委託は行わず、暮らしや福祉を支え、災害時などでも重要な役割を果たす区の正規職員の増員を図るべきだと思いますが、見解を伺います。
国民健康保険料を1人当たり年間1万円引き下げるのに必要な予算は約13億円、介護保険料を年間5,000円引き下げるには約6億円、がん検診を無料に戻すには約2,600万円、子ども医療費助成の18歳までの引き上げは約2億円あれば可能です。区の財政状況や886億円にも膨らんだ基金を活用すれば、財政的にも十分に実現できます。見解を伺います。
大綱の第2は、江東区のまちづくりについてです。
2002年、小泉内閣は、都市再生の名のもとに都市再生特別措置法を制定し、規制緩和で東京一極集中を進めてきました。
東京都では、石原都政のもとで世界都市・東京を目指すとし、都心部を中心に同時多発的な開発を打ち出し、国と一緒になって大規模開発を進めてきました。
江東区では、豊洲や有明など、臨海地域が国の都市再生緊急整備地域に指定され、超高層マンションが次々と建設されてきました。
山崎区長は、この間、国や都の都市再生路線に追随し、「人口は力だ」と言って、学校受け入れ困難地区でのマンション建設を抑制する条例を廃止し、みずから大規模開発を促進してきました。一方、公共施設の整備は立ちおくれ、保育所や学校の教室不足は深刻な状況です。
安倍内閣は成長戦略に基づき、都市再生特別措置法の改正や国家戦略特区で一層の規制緩和を行い、舛添都知事も東京大改造を掲げ、年内に長期ビジョンを策定するとともに、さらなる東京・都心集中を進める都市計画マスタープランの改定を行う予定です。
これ以上の大規模開発促進は、江東区の公共施設の不足を一層深刻にしてしまいます。国や都の規制緩和による大規模開発促進政策への追随はやめ、見直しを求めるべきではないでしょうか。伺います。
これまで住宅がほとんどなかった有明地域では、この間、大規模マンションが次々と建設される一方、人が生活する上で必要な施設などの整備が大きく立ちおくれる状況です。
日本共産党江東区議団が実施した区民アンケートでも、有明地域には「公園がない、幼稚園がない、児童館も図書館もない」など、公共施設の整備を求める声が寄せられています。図書館や文化センター、子育て施設など、区として早急に整備をすべきではないでしょうか。伺います。
また、有明北地区では、大手開発業者による1,750戸の大規模マンション建設計画を初め、オリンピック・パラリンピック後には、競技施設跡地は住宅用地として開発が進められていく予定です。
東京都の地区計画では、有明北地区の人口フレームは3万8,000人ですが、区が今後行う公共施設の整備は、(仮称)第二有明小・中学校と保育所が1園しかありません。
現在、人口2万9,000人の豊洲地域では、学校や保育所の不足が深刻です。公共施設を整備するための用地の確保も大変困難です。豊洲小学校や豊洲北小学校は増築を繰り返し、工事期間中はこどもたちにも負担がかかり、工事後も校庭が狭くなり、教育環境が悪化しました。
豊洲地域以上の人口フレームを持つ有明地域で同じ過ちを繰り返さないためにも、人口フレームに見合った公共施設の整備計画を策定すべきではないでしょうか。また、東京都に対し、都有地の提供を求めるべきではないでしょうか。伺います。
次に、辰巳団地の建てかえ問題について伺います。
辰巳団地ではようやく建てかえ工事が始まりました。公共事業での入札不調などが相次ぐ中、工期のおくれなどが発生しないよう、着実な実施が求められます。
辰巳団地は建設されてから47年余りたちますが、この間、一度も大規模修繕が行われていません。共用廊下の手すりもペンキがぼろぼろに剥げ、排水管清掃のたびに下水管が破損するなど、施設の老朽化は深刻です。全体の建てかえが終了するのは10年以上も先になります。建てかえが後になるところについては、耐震工事だけでなく、建物や設備の修繕を行うよう求めるべきではないでしょうか。伺います。
この間、高齢者住宅、シルバーピアの設置を求める私の質問に対し、区は、東京都とも相談して検討していきたいと答弁していますが、いまだ具体化されていません。辰巳団地では高齢化が進み、3,200世帯の団地で70歳以上の居住者が約2,000人で、ひとり暮らし高齢者も増加しています。見守り支援を行うことのできるシルバーピアの設置を早急に都と協議すべきではないでしょうか。見解を伺います。
辰巳団地の建てかえ計画では、新たに高齢者の福祉施設用地が確保されていますが、内容の具体化はまだこれからです。地域包括支援センターや特別養護老人ホーム、地域交流スペースなど、高齢者の生活を総合的に支援するための施設を整備すべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、カジノ解禁問題について伺います。
安倍政権は、カジノ賭博場の合法化を成長戦略の目玉と位置づけ、カジノを解禁しようとしています。江東区臨海部にカジノが設置されれば、江東区のまちづくりに悪影響をもたらします。
区長は、会議施設や展示施設、宿泊施設やこどもたちも遊べるレクリエーション施設とセットでカジノをつくる統合型リゾート(IR)について、観光振興や雇用創出など、経済活性化につながるとして、カジノ解禁を容認する立場を表明しています。
IR施設の収益の約8割はカジノ賭博だと言われています。賭博は新たな付加価値を生み出すものではなく、単に人のお金を巻き上げるだけで、負ける人が多ければ多いほど収益が上がるような仕組みは、まともな経済対策とは言えません。
また、IR施設は、顧客を全て囲い込み、周辺地域で使われるお金がカジノに全て吸い上げられてしまうことになり、江東区の観光振興にも役立たないと思いますが、見解を伺います。
カジノは、健康で文化的な社会の基盤をなす勤労の美風を害し、暴力団の暗躍、犯罪の発生、風俗環境の悪化、青少年の健全育成への悪影響、ギャンブル依存症など、さまざまな問題を引き起こします。だからこそ賭博は現在、犯罪として刑法で禁じられています。
私たち日本共産党江東区議団が行った区民アンケートでも、賛成が2割弱なのに対し、反対は6割近くにも上ります。江東区の健全な発展にとって大変な悪影響をもたらすカジノを解禁しないよう政府に求めるべきではありませんか。
以上、区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
2014年第3回定例会―赤羽目たみお議員
私は、日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。
- 介護保険制度と高齢者支援について
- 若者の雇用と生活支援について
- 教育問題について
大綱1点目、介護保険制度と高齢者支援について伺います。
介護保険について区民から、「高い介護保険料を払っているのに必要なときに使えない」、「利用料が高いのでヘルパーさんを断った」、介護現場からも、「職員の確保が厳しい」、「ゆとりを持って介護がしたい」など、多数の声が上がっており、介護保険制度の充実、改善が強く求められています。
しかし、安倍政権はこうした願いに背き、介護保険制度の改悪を強行。今でさえ保険あって介護なしの状況をさらに深刻化させると、批判が広がっています。
今回の制度改悪によって、要支援者は訪問介護、通所介護から外され、区が実施する新たな総合事業に移行されます。区民から「今までと同じサービスが受けられるのか」と不安の声が寄せられています。区は、これまでボランティアやNPOなどの地域資源や既存の介護事業者を活用して、必要なサービスを提供していくと答弁してきましたが、受け皿となるボランティアがどのくらい必要かという見当もついておらず、NPOの把握も進んでいません。また、介護事業者や社会福祉協議会、シルバー人材センターも対応は困難だと言っています。区はこうした状況をどう認識し、今後対応していくのですか、伺います。
このまま移行されれば必要なサービスの提供ができないことは明らかであり、区民生活に重大な影響を及ぼします。区長は、安心して介護が受けられるよう、介護保険制度の見直しを求めるべきです。伺います。
次に、介護保険料について伺います。
現在、区は、来年4月からの介護保険料の見直しを行っています。私たち区議団が行った区民アンケートに、「年金は減る一方で保険料、医療費、電気代などが値上げされ生活が苦しい」、「介護保険料の負担が非常に重い」という声が多数寄せられています。来年も年金は削減され、消費税の増税も予定されており、生活が苦しいと嘆く高齢者に今以上の負担増は耐えられません。
区は約18億円が見込まれる介護給付費準備基金を活用することや、特別区長会を通じて要望している国庫負担の引き上げを実現させるなど、あらゆる手だてを尽くし、介護保険料の負担を軽減すべきです。伺います。
次に、特別養護老人ホームの増設についてです。
現在、区の特別養護老人ホームの待機者は2,000人を超える深刻な状況です。区民から、「母の介護で疲れて病気になり倒れそうです。江東区の特別養護老人ホームに申し込んでいますが入れません。歩くのが困難で認知症も進み、昼眠って夜騒ぎ、介護者は眠れなくてつらいです」と、このように施設整備のおくれが家族介護者を精神的にも肉体的にも追い詰めています。
我が党は、この間、都有地や国有地を活用して特別養護老人ホームの増設を求めてきました。このたび東京都は、特別養護老人ホームを整備する際の都有地貸付料の一層の減額と保証金の減免等を行う、新たな支援策を打ち出しました。この支援策を活用し、区として引き続き特別養護老人ホームの増設を行うべきです。伺います。
次に、地域包括支援センターの充実について伺います。
地域包括支援センターは、介護、医療、福祉などが連携をとり、高齢者の生活を総合的に支える重要な拠点施設です。ところが、現場からは、「職員が定着しない」、「1人で70件のケアプランの作成に追われ、訪問活動が困難」などの声が上がっています。増加する高齢者に対し、十分な支援が行えていない状況をどう認識していますか、伺います。
区は地域包括支援センターの機能が十分発揮できるよう一層の増員配置など、体制強化を図るべきです。そのためには、全ての在宅介護支援センターを地域包括支援センターに移行し、充実させ、きめ細かい支援を行うべきです。区は移行について、「今後、考えていきたい」と答えていますが、高齢者人口が急増する中で速やかに整備すべきです。
さらに、高齢者の生活実態を直接把握し、区が中心になって暮らしを支えるために、区直営の基幹型地域包括支援センターを整備すべきです。あわせて伺います。
大綱2点目、若者の雇用と生活支援について伺います。
今、若者を使い捨てるブラック企業のような違法、無法な働かせ方が、学生やアルバイトにも広がり、ブラックバイトという新たな社会問題が起きるなど、若者の雇用と暮らしを取り巻く現状は厳しさを増しています。
私たち区議団にも、「パートで働いているが手取りは16万円、生活するのがやっとで貯金はできない。将来のことを考えると不安でいっぱい」、「上司からのパワハラに耐え切れず退職した。再就職したいが仕事がなく、自分は必要とされていないと思う」という切実な声が多数寄せられています。区内でも深刻な若者の実態について、区長の認識を伺います。
安心して働き、暮らしたいという若者の願いに反し、安倍政権は、違法であるサービス残業の合法化や不安定雇用を拡大させる労働者派遣法の改定など、労働法制の大改悪を推進していることは許せません。区長は我が党のこれまでの質問に対し、「国の審議の動向を見守る」などと答弁してきましたが、若者が人間らしく働き、成長できる雇用のルールに改善するよう求めることが必要です。区長は政府に対し、労働者派遣法の抜本的改正を行い、正規雇用の拡大を図ること、さらに、最低賃金を1,000円以上に引き上げることを求めるべきです。伺います。
多くの若者が、労働基準法を初め、労働者としての権利や雇用主の責任について何も知らされず、低賃金・長時間労働を押しつけ、若者を使い潰すブラック企業やブラックバイトで働きながら泣き寝入りの状態になっています。労働法を知らないがゆえに不利益を受ける若者を減らすために、東京都が発行している冊子「ポケット労働法」を成人式の案内に同封するなど、積極的に活用すべきです。伺います。
若者の相談に乗る窓口を設置することも重要です。就職や仕事などに関して悩みがある若者の職業的自立を支援し、雇用問題の相談と解決を図るため、窓口を直接区の事業として取り組むべきです。伺います。
次に、ひきこもり支援について伺います。
雇用破壊や労働条件の悪化が進み、ひきこもりや若年無業者など、人間的自立に困難を抱えている若者がふえています。15歳から34歳のひきこもり者数は、都が行った調査によると、都内で2万5,000人、江東区内でも760人以上と推計されています。
私のところにも、「派遣社員で働いていた息子が体調を崩し、雇いどめに遭ってから2年以上、家から出ようとしない。どこに相談したらいいのかわからない」という声が寄せられています。支援策の拡充が強く求められています。区長は、きめ細かい支援を行うために実態調査を行うべきです。さらに、足立区が行っているひきこもり者への訪問相談や居場所の確保、社会体験事業などを江東区としても行うために、医療や福祉、教育など、関係機関と連携して常設の総合支援窓口を設置すべきです。伺います。
次に、若者の住宅支援について伺います。
居室が極端に狭く、建築基準法などに抵触している危険な脱法ハウスが社会問題になるなど、低賃金、非正規雇用の拡大に加え、社会保障の負担増や消費税増税で、若者の住まいの確保が困難な状況が続いています。こうした問題の原因は、都営住宅を全くつくらず、単身者への住宅対策が軽視され続け、民間賃貸住宅家賃の高負担を放置してきた住宅政策にあると言わざるを得ません。区長は、都営住宅の建設や低所得の若年単身者を都営住宅の入居対象に加えるよう、東京都に求めるべきです。
また、区として、低所得の若者などを対象に家賃補助制度を創設することや、区内の空き家の実態調査を行い、シェアハウスなどに転用できる住宅は、区の責任で調整・あっせんする制度を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
大綱3点目は、教育問題について伺います。
まず、いじめ問題についてです。
先月、江東区いじめ防止基本方針が策定され、今後、各学校の基本方針がつくられると聞いています。いじめを防止するためには、こどもがいじめられずに安全に生きる権利を持っていることを明らかにし、それを保証することが重要だと考えますが、区教育委員会の見解を伺います。
次に、区のいじめ防止基本方針では道徳教育の充実が示されています。市民道徳が重要なことは言うまでもありません。しかし、多くの関係者が指摘しているように、道徳教育の名で一方的に規範意識を教えるやり方は、いじめの解決をおくらせ、陰湿化させる危険があります。何よりも全てのこどもが人間として尊重されることを教える人権教育を重視すべきと思いますが、見解を伺います。
学校の基本方針策定に当たっては、教職員が情報を共有し、学校全体で知恵と創意を結集して対処することが重要です。各学校でつくられる学校いじめ問題対策委員会は、いじめを発見したときの機敏な対応を初め、相談窓口、情報収集、いじめの対応の中心として動きやすい組織となるよう、また、いじめ防止等の創造的な教育実践を支援するような組織にすべきです。伺います。
いじめのない学校づくりのためには、教育条件の拡充が不可欠です。今、学校現場では、教職員同士を評価し合う主幹教諭制度の導入や授業時間の増加によって、長時間・過密労働が常態化し、こどもが抱えている悩みや心の声に耳を傾ける余裕が持てないという声が上がっています。
教職員を増員するとともに、多過ぎる報告や事務処理を教職員参加のもとで整理し、教職員一人一人がこどもたちに向き合うことができ、多様な価値観や課題、困難を抱えるこどもたちを支え、成長できるような学校づくりを進めることが必要です。そのためにも、「生徒一人一人に目が行き届くようになった」など、試され済みの少人数学級を全学年で実施するよう、国や東京都に求めること。さらに複雑化する家庭の問題などに応対するスクールソーシャルワーカーを増配置すべきです。伺います。
いじめ問題の根本的解決を図るためには、これまでの学校と教職員に対する上からの一方的な管理統制主義、そしてこどもたちへの過度な競争、選別教育を改め、教職員や学校の創造性を励まし、全てのこどもたちが生き生きと学び、それぞれの能力を豊かに伸ばせる教育を目指す方向へ、教育のあり方を転換すべきです。伺います。
次に、教育費負担の軽減について伺います。
憲法第26条には、「義務教育は、これを無償とする」と明記されています。しかし、実際には制服や体操着代、給食費、修学旅行の積み立てなどは保護者負担となっており、消費税増税など経済環境が悪化するもとで、教育費負担を軽くしてほしいという声が大きく広がっています。お金の心配なく安心して勉強できる条件を保障することは、国や自治体の重大な責任です。
区は、就学援助の認定基準を引き上げ、支援対象の拡大を図るべきです。また、負担が重い給食費について、品川区、葛飾区では多子世帯の給食費に補助を行い、文京区ではひとり親家庭を実質無料にしています。江東区も給食費負担の軽減を図るべきです。あわせて伺い、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
2014年第3回定例会―赤羽目たみお議員(動議提出)
この際、動議を提出いたします。
ただいま一括議題となりました認定案第1号から認定案第4号までの4件につきましては、議長を除く42名の委員をもって構成する平成25年度決算審査特別委員会を設置されまして、これに審査を付託されることを望みます。
(「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり)
2014年第3回定例会―そえや良夫議員
日本共産党区議団を代表し、大綱4点について質問します。
- 集団的自衛権行使について
- 消費税増税と中小事業者支援について
- 自治体の役割を投げ出す本区の行財政計画について
- 子ども・子育て支援新制度について
第1は、集団的自衛権行使についてです。
7月1日、安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定をした後も、国民の批判が広がり続けています。世論調査では、「反対、評価しない」が、閣議決定直後から過半数にのぼり、8月上旬の調査では6割近く、20歳から30歳の若者では7割近くに達しています。自民党元幹事長の古賀誠さんや小林節慶応義塾大学教授、公明党の元副委員長だった方などが、安倍政権の危険な暴走に、「戦争の怖さを知らないもの」、「憲法第9条を壊す」、「立憲主義を否定」など、厳しく批判しています。
安倍首相は、国内では「閣議決定によっても何も変わらない、今までどおり」と言いながら、外遊先では、「閣議決定を具体化するために法体系を一新する」と、危険な狙いを隠しません。日本の進路にかかわる重大な問題です。
ところが、区長は、前定例会での我が党議員の質問に、「国や国会の動向を見守る」と繰り返し、何一つまともに答えませんでした。あなたは集団的自衛権行使を容認するのですか、伺います。
本区でも、自衛隊が住民基本台帳を閲覧し、18歳から26歳までの若者に入隊を働きかけています。戦争になればこうした若者が戦場に駆り出され、殺し合いをさせられます。また、戦場に行かなくても、戦争が起これば多くの国民が犠牲になります。
原爆で多くの命を奪われた広島・長崎市でのことしの平和祈念式典では、被爆者から集団的自衛権行使容認の閣議決定に批判が相次ぎました。
3月10日の東京大空襲で数万人もの犠牲者を出した本区は、平和を希求する江東区民の強い願いに基づき、「我が国が日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念と、「非核三原則」を堅持していくことを強く求める」との平和都市宣言を採択しています。集団的自衛権行使は、この本区平和都市宣言と相入れないものと思いますが、認識を伺います。
また、憲法尊重・擁護義務を持つ区長として、同じく憲法擁護義務を持つ政府に対し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するよう求めるべきではありませんか、伺います。
第2は、消費税増税と中小事業者支援についてです。
4月からの消費税増税強行に、高齢者は「年金は下げられ、消費税も保険料も上げられて暮らしていけない」と悲鳴を上げています。都内屈指の商店街、砂町銀座商店街でも、「昨年より売り上げが1割減った」などの声が上がっています。区長は我が党の質問に対して、「消費税増税は社会保障のために必要」と答えてきました。しかし、ことしの消費税増税分5兆円のうち、社会保障のために使われたのはわずか1割、5,000億円にすぎません。消費税増税が社会保障のためどころか、区民の暮らしや営業に深刻な打撃となっています。区長の認識を伺います。
消費税増税を機に個人消費も国内総生産も大きく落ち込み、最近の世論調査では、来年10月の消費税増税について、見送り、反対が、合わせて8割に上ります。政府に対し、来年10月の増税中止を速やかに決断するよう求めるべきです。伺います。
次に、国の経済施策についてです。
安倍政権の経済政策でもうけをふやしたのは大企業だけで、末端まで潤うどころか、実質所得は低下し、景気の先行きが懸念されています。この上、さらに大企業のもうけのために、労働法制の改悪や外形標準課税の拡大などで暮らしや中小企業を痛めつければ、景気は悪化するばかりです。
「アベノミクスは失敗しつつあるのか」との社説を掲げたイギリスの経済誌フィナンシャル・タイムズは、創出された雇用の多くは低賃金と指摘し、正社員と非正規雇用労働者との格差を縮める必要性を強調しています。国に対し、実質所得をふやし、GDPの6割を占める個人消費を拡大する政策に切りかえるよう求めるべきです。伺います。
次に、区内中小事業者への支援体制についてです。
安倍政権の経済政策が区内中小事業者の経営を一段と困難にしています。ことし6月に制定された小規模企業振興基本法を踏まえ、区独自の支援を強化し、地域経済の活性化に力を尽くすべきです。区長、伺います。
区は、昨年、製造業と商店街を対象に産業実態調査を実施しました。しかし、委託業者によるアンケート調査がほとんどで、区職員もかかわった訪問調査は製造業の26社のみ、商店街は歩いて視察しただけ。調査報告には、具体的な支援策もありません。
同様の調査を行った荒川区では、区の職員が巡回相談員と一緒に事業所を訪問調査、猛暑の中で働く現場を見て、小規模事業者を対象に、上限100万円、補助率25%の荒川区小規模事業者経営力強化支援事業を始めました。墨田区は、17人の巡回指導員を中心に3,551社を訪問調査、並行して行った事業承継等についてのアンケート調査とあわせて、区域内の産業・技術の集積を継承するための取り組みを強化しています。
区長の中小事業者支援に対する構えが問われます。本区の製造業の事業所数は、墨田区とほぼ同じです。しかし、巡回相談員は、墨田区17人に対し本区はわずか5人、3分の1以下です。経済課職員も巡回相談員も大幅に増員し、支援体制を抜本的に強化すべきです。伺います。
次に、具体的な支援策についてです。
製造業の調査では、加工を中心とする事業者の4割近くが機械、設備の老朽化で、また、2割以上が建物の老朽化で困っていると答えています。一方、経営状況は横ばい、または不振が、あわせて6割以上を占め、老朽化した設備等の改善を決断しにくい実情がうかがえます。速やかな訪問調査と改修に対する助成事業を行うべきではありませんか。伺います。
商店街については、役員の高齢化が進んでいることなどを踏まえ、早めに個店支援策にかじを切りかえる方向も必要との指摘があります。老朽化した設備や地代の更新などを機会に、廃業している商店は少なくありません。「ことみせ」のような個店紹介事業では間に合いません。商売の継続、世代継承を支援するためにも、設備や備品などの更新に対する補助事業に速やかに踏み出すべきです。伺います。
区内の小規模事業所のうち建設業の数は、小売り、飲食業に次ぐ大きな位置を占めています。しかし、依然仕事が少ないなど苦労をしています。中小建設業者の支援を地域経済活性化のためと位置づけた住宅リフォーム助成は、全国的には5つの県と556区市町村で、都内でも4区5市1町で実施され、業者からも利用した住民からも大変喜ばれています。本区でも速やかに取り入れるべきです。伺います。
第3は、自治体の役割を投げ出す本区の行財政計画についてです。
歴代政府は財界の言いなりに、行革の名のもと、社会保障費削減と規制緩和を進め、自治体に対しては、民間活力の活用などとして正規職員を削減し、非正規労働者への置きかえと民間委託の拡大を押しつけてきました。その結果、低賃金、不安定労働が拡大し、区民サービスが低下するなど、さまざまな問題が起きています。
保育所の運営委託は、運営費3,500万円の引き下げと、直営時には実施しなかった長時間保育の実施が最低条件となっています。価格を引き下げ、より多くの仕事を求める、まるで大企業の下請いじめではありませんか。
しわ寄せを受けた保育士は、重い責任と劣悪な処遇のため、わずかなきっかけで退職、保育士がころころ変わり、経験年数が浅い保育士が多いことに、保護者からも不安の声が上がっています。さらに、保育士が確保できず、こどもを定員まで受け入れられない事態まで起きています。さらなる運営委託は中止すべきです。
給食調理業務の民間委託では、こどもたちに安全な給食を保障するために、新たに各園ごとに非常勤栄養士を配置しています。
また、委託先労働者は、期間12カ月の契約社員での募集も多く、賃金は区職員の半分程度、一緒に働くパート労働者の時給も900円前後にすぎません。民間委託の拡大は、低賃金、不安定雇用を拡大しています。しかも、民間委託は経費削減にもなっていません。給食調理業務を委託した23園の平均委託料は、1園当たりおよそ1,380万円で、直営で調理する人件費を上回り、民間委託にかかる経費全体では、年間合わせて9,000万円を超える支出増加となっています。委託業者をピンはねでもうけさせているだけではありませんか。保育所給食調理業務の民間委託拡大は中止すべきです。伺います。
次に、技能系職員の削減問題についてです。
区は、道路や街路灯などの点検・補修作業や集中豪雨の際の対応など、区民の安全確保に欠かせない技能系職員の削減を推し進めてきました。その結果、土木事務所の職員は、平成12年の70人から24人に、およそ3分の1に減らされ、今では集中豪雨でも当日では土のうも持ってきてもらえません。
また、道路事務所では、昨年まで職員が3つの班をつくって区内を巡回し、点検・補修などを行ってきました。それがことしから2班体制に縮小され、8月から11月までの4カ月間だけ民間委託で補充されました。しかし、不良箇所を見つけても、作業の中身は区職員の判断が必要で、緊急時の対応におくれが出る心配があります。技能職の業務委託は、技能の継承を困難にし、区民の安全をないがしろにするものです。技能系職員を採用し、正規職員による保守点検体制を強化すべきです。伺います。
次に、窓口業務の民間委託についてです。
窓口業務の民間委託についての我が党議員の質問に、区は前定例会で、既に実施している足立区の状況を注視すると答えました。
その足立区の民間委託について、東京法務局は、戸籍受け付けは判断業務であり、民間がやることは戸籍法違反として改善を指示。この指示に基づいて、区の職員が関与したら、今度は東京労働局が、偽装請負に当たり、労働者派遣法違反と断定しました。しかも、区民からは、「2月に入籍、4月に養子縁組の手続をしたが、ともに1日がかり」という批判も寄せられ、記者会見で足立区の近藤区長は、「窓口で長時間待たせてしまった」と謝罪。委託前に比べて経費が1,188万円余計にかかることも認めました。
窓口業務は、区民の生死や所得状況などの人権、プライバシーにかかわる情報を取り扱うもので、ベネッセ事件のように流出したら取り返しがつきません。窓口業務の委託は検討そのものを取りやめ、正規職員による安全で良質な区民サービスの提供体制を強化すべきです。伺います。
次に、行財政改革と区民の暮らしについてです。
区は、施設使用料などの定期的な値上げや区税、国民健康保険料の徴収強化を行革の柱の一つに位置づけ、一昨年は文化・スポーツ施設の使用料、利用料の大幅値上げ、昨年は無料で行ってきたがん検診の有料化、さらに今後も受益者負担の名目で区民への負担強化を進めようとしています。また、財政基盤の強化を掲げ、特別区民税、国民健康保険料滞納者の生活費を差し押さえるような徴収強化。そうしてため込んだ基金は過去最高。本末転倒です。住民福祉向上という自治体の本旨に立ち返り、ため込み主義を改めて、区民負担の軽減、暮らし応援に切りかえるべきです。伺います。
第4は、子ども・子育て支援新制度についてです。
新制度は、保育の市場化を目指した制度改革をベースに従来の規制を緩和するもので、不安と改善を求める声が上がっています。しかし、区の保護者に対する直接の説明はいまだに一度も行われず、保育園に国がつくったパンフレットを置いておくだけ。余りにもひど過ぎます。全ての保護者に速やかにわかりやすく説明すべきです。伺います。
次に、保育施設及び運営に関する基準を定める条例についてです。
本区では、こどもたちの安全で健やかな保育を保障するために、国が定めた最低基準に上乗せして、区独自の保育面積や保育士の配置基準をつくってきました。
例えばゼロ歳児室1人当たりの保育面積は、国の基準3.3平方メートルに対し、本区は5平方メートルに。保育士の配置も、1歳児では、こども6人に保育士1人の国基準に対し、本区はこども5人に保育士1人、さらにゼロ歳児が9人以上いる保育所に看護師を配置するなどです。
しかし、区が新たに定める施設及び運営に関する基準を定める条例案には、これまで積み上げてきた肝心の上乗せ部分は全く記載がありません。区は新制度になっても、認可保育所の面積基準や保育士の配置基準は、現在の水準と変わらず、維持・継続すべきと答えてきました。それならば新たに定める条例に、これまで本区がつくり上げてきた基準を明記すべきです。伺います。
また、新制度では、新たにゼロ歳から2歳児を対象にした、定員19人から6人の小規模保育と5人以下の家庭的保育が、認可施設とされますが、その保育士配置基準の引き下げは、こどもの命にかかわる重大問題です。
小規模保育B型では、保育士が職員数の半分で、小規模保育C型と家庭的保育では、保育士がいなくても認可施設とされます。現行では、認可外とされる水準への引き下げです。しかし、保育施設での死亡事故は、厚生労働省の調査でも、ゼロ歳から2歳児が8割を占め、しかも、保育士の配置等が不十分な認可外施設での事故は、認可施設の2倍以上に上ります。新たに認可される小規模保育などの保育士配置基準の引き下げは、こどもの命を脅かすものです。現行認可基準の引き下げは許されません。小規模保育の施設と運営基準に現行の区の基準を盛り込むべきです。伺います。
次に、施設の安全基準についてです。
新制度で、建物の4階以上に保育室を設置する場合に、これまで義務づけられてきた屋外避難階段の設置が外されたのは問題です。ビルの一室での保育が想定される小規模保育は、こどもの安全や災害時の避難を考慮し、設置は原則2階までとし、3階以上となる場合は、屋外避難階段等の設置を義務づけるべきです。伺います。
次に、放課後児童健全育成事業についてです。
現在、学童クラブ及び江東きっずクラブB登録事業は、家庭にかわる居場所を保障するため、各施設とも教員、保育士などの資格を持つ2人以上の指導員により運営されています。ところが、新制度に伴って示された条例案では、有資格者は1人以上とされています。新制度移行に紛れてのこどもの保育環境の引き下げは許せません。現行どおり2名の有資格職員の配置とすべきです。伺います。
次に、待機児童対策についてです。
待機児童解消に向け、保育施設の増設が図られていますが、一方で、園庭がない保育園がふえ、公園への園児の集中、水遊び、プール遊びができないなど、施設面での新たな課題が生まれています。
また、民間委託の拡大や営利目的の株式会社の参入が、保育士の処遇を悪化させ、保育士の入れかわりが激しくなって、保育士の質の低下が心配されています。
特に株式会社が運営する認可保育所では、園長自体が開園後1カ月や半年程度で交代する例があり、1年程度での交代も珍しくありません。安定した保育を保障する上で極めて重大な事態です。実態を調査し、問題ある法人には改善を求めるべきです。伺います。
保育環境と質を維持しながら待機児童解消を進めるためにも、民間任せにせず、都有地活用の新たな制度も活用し、区立認可園の増設を図るべきです。
以上、伺って質問を終わります。(拍手)