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2014年第3回定例会―そえや良夫議員

 日本共産党区議団を代表し、大綱4点について質問します。

  1. 集団的自衛権行使について
  2. 消費税増税と中小事業者支援について
  3. 自治体の役割を投げ出す本区の行財政計画について
  4. 子ども・子育て支援新制度について

 第1は、集団的自衛権行使についてです。
 7月1日、安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定をした後も、国民の批判が広がり続けています。世論調査では、「反対、評価しない」が、閣議決定直後から過半数にのぼり、8月上旬の調査では6割近く、20歳から30歳の若者では7割近くに達しています。自民党元幹事長の古賀誠さんや小林節慶応義塾大学教授、公明党の元副委員長だった方などが、安倍政権の危険な暴走に、「戦争の怖さを知らないもの」、「憲法第9条を壊す」、「立憲主義を否定」など、厳しく批判しています。
 安倍首相は、国内では「閣議決定によっても何も変わらない、今までどおり」と言いながら、外遊先では、「閣議決定を具体化するために法体系を一新する」と、危険な狙いを隠しません。日本の進路にかかわる重大な問題です。
 ところが、区長は、前定例会での我が党議員の質問に、「国や国会の動向を見守る」と繰り返し、何一つまともに答えませんでした。あなたは集団的自衛権行使を容認するのですか、伺います。
 本区でも、自衛隊が住民基本台帳を閲覧し、18歳から26歳までの若者に入隊を働きかけています。戦争になればこうした若者が戦場に駆り出され、殺し合いをさせられます。また、戦場に行かなくても、戦争が起これば多くの国民が犠牲になります。
 原爆で多くの命を奪われた広島・長崎市でのことしの平和祈念式典では、被爆者から集団的自衛権行使容認の閣議決定に批判が相次ぎました。
 3月10日の東京大空襲で数万人もの犠牲者を出した本区は、平和を希求する江東区民の強い願いに基づき、「我が国が日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念と、「非核三原則」を堅持していくことを強く求める」との平和都市宣言を採択しています。集団的自衛権行使は、この本区平和都市宣言と相入れないものと思いますが、認識を伺います。
 また、憲法尊重・擁護義務を持つ区長として、同じく憲法擁護義務を持つ政府に対し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するよう求めるべきではありませんか、伺います。
 第2は、消費税増税と中小事業者支援についてです。
 4月からの消費税増税強行に、高齢者は「年金は下げられ、消費税も保険料も上げられて暮らしていけない」と悲鳴を上げています。都内屈指の商店街、砂町銀座商店街でも、「昨年より売り上げが1割減った」などの声が上がっています。区長は我が党の質問に対して、「消費税増税は社会保障のために必要」と答えてきました。しかし、ことしの消費税増税分5兆円のうち、社会保障のために使われたのはわずか1割、5,000億円にすぎません。消費税増税が社会保障のためどころか、区民の暮らしや営業に深刻な打撃となっています。区長の認識を伺います。
 消費税増税を機に個人消費も国内総生産も大きく落ち込み、最近の世論調査では、来年10月の消費税増税について、見送り、反対が、合わせて8割に上ります。政府に対し、来年10月の増税中止を速やかに決断するよう求めるべきです。伺います。
 次に、国の経済施策についてです。
 安倍政権の経済政策でもうけをふやしたのは大企業だけで、末端まで潤うどころか、実質所得は低下し、景気の先行きが懸念されています。この上、さらに大企業のもうけのために、労働法制の改悪や外形標準課税の拡大などで暮らしや中小企業を痛めつければ、景気は悪化するばかりです。
 「アベノミクスは失敗しつつあるのか」との社説を掲げたイギリスの経済誌フィナンシャル・タイムズは、創出された雇用の多くは低賃金と指摘し、正社員と非正規雇用労働者との格差を縮める必要性を強調しています。国に対し、実質所得をふやし、GDPの6割を占める個人消費を拡大する政策に切りかえるよう求めるべきです。伺います。
 次に、区内中小事業者への支援体制についてです。
 安倍政権の経済政策が区内中小事業者の経営を一段と困難にしています。ことし6月に制定された小規模企業振興基本法を踏まえ、区独自の支援を強化し、地域経済の活性化に力を尽くすべきです。区長、伺います。
 区は、昨年、製造業と商店街を対象に産業実態調査を実施しました。しかし、委託業者によるアンケート調査がほとんどで、区職員もかかわった訪問調査は製造業の26社のみ、商店街は歩いて視察しただけ。調査報告には、具体的な支援策もありません。
 同様の調査を行った荒川区では、区の職員が巡回相談員と一緒に事業所を訪問調査、猛暑の中で働く現場を見て、小規模事業者を対象に、上限100万円、補助率25%の荒川区小規模事業者経営力強化支援事業を始めました。墨田区は、17人の巡回指導員を中心に3,551社を訪問調査、並行して行った事業承継等についてのアンケート調査とあわせて、区域内の産業・技術の集積を継承するための取り組みを強化しています。
 区長の中小事業者支援に対する構えが問われます。本区の製造業の事業所数は、墨田区とほぼ同じです。しかし、巡回相談員は、墨田区17人に対し本区はわずか5人、3分の1以下です。経済課職員も巡回相談員も大幅に増員し、支援体制を抜本的に強化すべきです。伺います。
 次に、具体的な支援策についてです。
 製造業の調査では、加工を中心とする事業者の4割近くが機械、設備の老朽化で、また、2割以上が建物の老朽化で困っていると答えています。一方、経営状況は横ばい、または不振が、あわせて6割以上を占め、老朽化した設備等の改善を決断しにくい実情がうかがえます。速やかな訪問調査と改修に対する助成事業を行うべきではありませんか。伺います。
 商店街については、役員の高齢化が進んでいることなどを踏まえ、早めに個店支援策にかじを切りかえる方向も必要との指摘があります。老朽化した設備や地代の更新などを機会に、廃業している商店は少なくありません。「ことみせ」のような個店紹介事業では間に合いません。商売の継続、世代継承を支援するためにも、設備や備品などの更新に対する補助事業に速やかに踏み出すべきです。伺います。
 区内の小規模事業所のうち建設業の数は、小売り、飲食業に次ぐ大きな位置を占めています。しかし、依然仕事が少ないなど苦労をしています。中小建設業者の支援を地域経済活性化のためと位置づけた住宅リフォーム助成は、全国的には5つの県と556区市町村で、都内でも4区5市1町で実施され、業者からも利用した住民からも大変喜ばれています。本区でも速やかに取り入れるべきです。伺います。
 第3は、自治体の役割を投げ出す本区の行財政計画についてです。
 歴代政府は財界の言いなりに、行革の名のもと、社会保障費削減と規制緩和を進め、自治体に対しては、民間活力の活用などとして正規職員を削減し、非正規労働者への置きかえと民間委託の拡大を押しつけてきました。その結果、低賃金、不安定労働が拡大し、区民サービスが低下するなど、さまざまな問題が起きています。
 保育所の運営委託は、運営費3,500万円の引き下げと、直営時には実施しなかった長時間保育の実施が最低条件となっています。価格を引き下げ、より多くの仕事を求める、まるで大企業の下請いじめではありませんか。
 しわ寄せを受けた保育士は、重い責任と劣悪な処遇のため、わずかなきっかけで退職、保育士がころころ変わり、経験年数が浅い保育士が多いことに、保護者からも不安の声が上がっています。さらに、保育士が確保できず、こどもを定員まで受け入れられない事態まで起きています。さらなる運営委託は中止すべきです。
 給食調理業務の民間委託では、こどもたちに安全な給食を保障するために、新たに各園ごとに非常勤栄養士を配置しています。
 また、委託先労働者は、期間12カ月の契約社員での募集も多く、賃金は区職員の半分程度、一緒に働くパート労働者の時給も900円前後にすぎません。民間委託の拡大は、低賃金、不安定雇用を拡大しています。しかも、民間委託は経費削減にもなっていません。給食調理業務を委託した23園の平均委託料は、1園当たりおよそ1,380万円で、直営で調理する人件費を上回り、民間委託にかかる経費全体では、年間合わせて9,000万円を超える支出増加となっています。委託業者をピンはねでもうけさせているだけではありませんか。保育所給食調理業務の民間委託拡大は中止すべきです。伺います。
 次に、技能系職員の削減問題についてです。
 区は、道路や街路灯などの点検・補修作業や集中豪雨の際の対応など、区民の安全確保に欠かせない技能系職員の削減を推し進めてきました。その結果、土木事務所の職員は、平成12年の70人から24人に、およそ3分の1に減らされ、今では集中豪雨でも当日では土のうも持ってきてもらえません。
 また、道路事務所では、昨年まで職員が3つの班をつくって区内を巡回し、点検・補修などを行ってきました。それがことしから2班体制に縮小され、8月から11月までの4カ月間だけ民間委託で補充されました。しかし、不良箇所を見つけても、作業の中身は区職員の判断が必要で、緊急時の対応におくれが出る心配があります。技能職の業務委託は、技能の継承を困難にし、区民の安全をないがしろにするものです。技能系職員を採用し、正規職員による保守点検体制を強化すべきです。伺います。
 次に、窓口業務の民間委託についてです。
 窓口業務の民間委託についての我が党議員の質問に、区は前定例会で、既に実施している足立区の状況を注視すると答えました。
 その足立区の民間委託について、東京法務局は、戸籍受け付けは判断業務であり、民間がやることは戸籍法違反として改善を指示。この指示に基づいて、区の職員が関与したら、今度は東京労働局が、偽装請負に当たり、労働者派遣法違反と断定しました。しかも、区民からは、「2月に入籍、4月に養子縁組の手続をしたが、ともに1日がかり」という批判も寄せられ、記者会見で足立区の近藤区長は、「窓口で長時間待たせてしまった」と謝罪。委託前に比べて経費が1,188万円余計にかかることも認めました。
 窓口業務は、区民の生死や所得状況などの人権、プライバシーにかかわる情報を取り扱うもので、ベネッセ事件のように流出したら取り返しがつきません。窓口業務の委託は検討そのものを取りやめ、正規職員による安全で良質な区民サービスの提供体制を強化すべきです。伺います。
 次に、行財政改革と区民の暮らしについてです。
 区は、施設使用料などの定期的な値上げや区税、国民健康保険料の徴収強化を行革の柱の一つに位置づけ、一昨年は文化・スポーツ施設の使用料、利用料の大幅値上げ、昨年は無料で行ってきたがん検診の有料化、さらに今後も受益者負担の名目で区民への負担強化を進めようとしています。また、財政基盤の強化を掲げ、特別区民税、国民健康保険料滞納者の生活費を差し押さえるような徴収強化。そうしてため込んだ基金は過去最高。本末転倒です。住民福祉向上という自治体の本旨に立ち返り、ため込み主義を改めて、区民負担の軽減、暮らし応援に切りかえるべきです。伺います。
 第4は、子ども・子育て支援新制度についてです。
 新制度は、保育の市場化を目指した制度改革をベースに従来の規制を緩和するもので、不安と改善を求める声が上がっています。しかし、区の保護者に対する直接の説明はいまだに一度も行われず、保育園に国がつくったパンフレットを置いておくだけ。余りにもひど過ぎます。全ての保護者に速やかにわかりやすく説明すべきです。伺います。
 次に、保育施設及び運営に関する基準を定める条例についてです。
 本区では、こどもたちの安全で健やかな保育を保障するために、国が定めた最低基準に上乗せして、区独自の保育面積や保育士の配置基準をつくってきました。
 例えばゼロ歳児室1人当たりの保育面積は、国の基準3.3平方メートルに対し、本区は5平方メートルに。保育士の配置も、1歳児では、こども6人に保育士1人の国基準に対し、本区はこども5人に保育士1人、さらにゼロ歳児が9人以上いる保育所に看護師を配置するなどです。
 しかし、区が新たに定める施設及び運営に関する基準を定める条例案には、これまで積み上げてきた肝心の上乗せ部分は全く記載がありません。区は新制度になっても、認可保育所の面積基準や保育士の配置基準は、現在の水準と変わらず、維持・継続すべきと答えてきました。それならば新たに定める条例に、これまで本区がつくり上げてきた基準を明記すべきです。伺います。
 また、新制度では、新たにゼロ歳から2歳児を対象にした、定員19人から6人の小規模保育と5人以下の家庭的保育が、認可施設とされますが、その保育士配置基準の引き下げは、こどもの命にかかわる重大問題です。
 小規模保育B型では、保育士が職員数の半分で、小規模保育C型と家庭的保育では、保育士がいなくても認可施設とされます。現行では、認可外とされる水準への引き下げです。しかし、保育施設での死亡事故は、厚生労働省の調査でも、ゼロ歳から2歳児が8割を占め、しかも、保育士の配置等が不十分な認可外施設での事故は、認可施設の2倍以上に上ります。新たに認可される小規模保育などの保育士配置基準の引き下げは、こどもの命を脅かすものです。現行認可基準の引き下げは許されません。小規模保育の施設と運営基準に現行の区の基準を盛り込むべきです。伺います。
 次に、施設の安全基準についてです。
 新制度で、建物の4階以上に保育室を設置する場合に、これまで義務づけられてきた屋外避難階段の設置が外されたのは問題です。ビルの一室での保育が想定される小規模保育は、こどもの安全や災害時の避難を考慮し、設置は原則2階までとし、3階以上となる場合は、屋外避難階段等の設置を義務づけるべきです。伺います。
 次に、放課後児童健全育成事業についてです。
 現在、学童クラブ及び江東きっずクラブB登録事業は、家庭にかわる居場所を保障するため、各施設とも教員、保育士などの資格を持つ2人以上の指導員により運営されています。ところが、新制度に伴って示された条例案では、有資格者は1人以上とされています。新制度移行に紛れてのこどもの保育環境の引き下げは許せません。現行どおり2名の有資格職員の配置とすべきです。伺います。
 次に、待機児童対策についてです。
 待機児童解消に向け、保育施設の増設が図られていますが、一方で、園庭がない保育園がふえ、公園への園児の集中、水遊び、プール遊びができないなど、施設面での新たな課題が生まれています。
 また、民間委託の拡大や営利目的の株式会社の参入が、保育士の処遇を悪化させ、保育士の入れかわりが激しくなって、保育士の質の低下が心配されています。
 特に株式会社が運営する認可保育所では、園長自体が開園後1カ月や半年程度で交代する例があり、1年程度での交代も珍しくありません。安定した保育を保障する上で極めて重大な事態です。実態を調査し、問題ある法人には改善を求めるべきです。伺います。
 保育環境と質を維持しながら待機児童解消を進めるためにも、民間任せにせず、都有地活用の新たな制度も活用し、区立認可園の増設を図るべきです。
 以上、伺って質問を終わります。(拍手)

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