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2014年第2回定例会―斉藤信行議員

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について伺います。

  1. 地方自治体をめぐる状況とその役割について
  2. 労働法の改悪について
  3. 教育問題について

 まず、第1は、地方自治体をめぐる状況とその役割についてです。
 安倍政権による地方交付税の削減、福祉・医療の大改悪、加えて高齢化と人口減少などにより、自治体は厳しい状況に置かれ、住民福祉の増進という使命が果たせない状況に追いやられつつあります。
 23区でも、法人住民税の一部国税化で独自財源が539億円も国に吸い上げられ、本区も30億円減収の影響を受けます。特別区長会の対応のおくれもあり、23区の独自財源である法人住民税の一部国税化を許したことに、区長はどのような認識をお持ちか。消費税が10%に引き上げられたら、さらに国税化が拡大されると危惧されています。国税化の撤回と復元を国に求めて、今後どう運動していくつもりか、伺います。
 今、自治体は、平成の大合併で住民に身近な仕事が遠くなり、交付金削減の追い打ちで一層疲弊しています。政府は、財界、大企業の要求に沿って、地方を大再編する道州制の導入への動きを強めています。これに対し、全国町村会や自治体の首長、議会、住民から、「中央集権が強まる」、「地方自治の破壊だ」と、厳しい批判の声が上がっています。道州制は23区の統合にも連動するもので、住民不在、地方自治破壊の道州制には反対すべきです。伺います。
 地方自治体は、最も身近な住民自治として、命と暮らしを守る防波堤の役割が一層求められています。山崎区政は、この間、行財政改革と称し、民間委託、職員削減、非正規雇用の拡大など、自治体の役割を放棄し、加速させています。本区は、既に120もの施設を民間に委託し、利潤追求の株式会社にまで委託しています。自治体の仕事は利潤を目的にするものではなく、株式会社に委託すれば、そのしわ寄せが労働者の低賃金や労働条件の悪化を招き、利益をさらに上げるため、委託料の引き上げ要求へとつながりかねません。
 株式会社に委託している自転車駐車場で働いている人は、時給870円で、最低賃金869円を1円上回るだけであり、法違反ぎりぎりの状態で、「ひど過ぎる」との声も上がっています。
 区が委託している保育園でも、賃金が低く仕事はきついなど、ある保育園では平成22年度で10人、平成23年度で6人も保育士がやめ、他の保育園でも同様の事態が起き、園児への影響も懸念されます。
 学校給食調理業務でも、パートで時給900円前後と賃金が低く、入れかえが激しく、ワーキングプアを生み出しています。こうした民間委託の実態をどう受けとめているのか。賃金の引き上げを委託先に求めるべきです。伺います。
 公共サービス基本法は、「良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるため、労働条件の確保、労働環境の整備に必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と、委託先についても自治体にその責任を課しています。ところが、本区は、委託先の労働者の賃金、労働条件の把握もしていません。法に基づき労働条件を把握し、必要な施策を講ずるべきです。伺います。
 自治体と契約する事業者に、一定額以上の賃金の支払いを求める公契約条例を制定する自治体が広がっています。都内でも渋谷区、新宿区、台東区、足立区、千代田区、国分寺市、多摩市などに広がっています。良質なサービスを提供し、労働条件の改善から本区も公契約条例を制定すべきです。伺います。
 次に、窓口業務の民間委託について伺います。
 区は、窓口業務の民間委託に向け、有限責任監査法人トーマツに調査を委託し、その報告書が1月に提出されました。それによると、平成27年4月の実施を想定し、ことしの8月から事業者選定に入るとされています。今後、窓口業務を民間委託するつもりか、伺います。
 足立区が、戸籍、住民票などに関する窓口業務を1月から民間会社に委託しました。さまざまな問題が発生しています。東京労働局の立ち入り調査まで行われ、委託先の労働者の業務実態が、違法な偽装請負の疑いで改善指示が出されました。戸籍や課税、国民健康保険など、区民のプライバシーが委託によって外部に漏れるなどの危険性があります。サービスが向上するどころか、手話通訳や外国人の通訳も簡単に利用できなくなり、待ち時間が逆に長くなるなど、住民から厳しい批判と、直営に戻すことを求める声が上がっています。こうした実態をどう認識しているのか、伺います。
 平成27年オープン予定の豊洲シビックセンターの窓口業務について、住民票や戸籍などに関するものを含め、民間に委託することを検討していると聞いています。戸籍や個人のプライバシーに係る窓口業務は、足立区の例にあるように民間委託すべきではありません。伺います。
 職員を削減し続け、際限のない民間委託を進め、地方自治体の役割をみずから否定するような行革は、矛盾が広がる一方です。根本的に見直すべきです。伺います。
 第2に、労働法の改悪について伺います。
 安倍政権は、成長戦略において、企業が世界一活躍しやすい国にするとして、法人税のさらなる減税や派遣労働の規制緩和、残業代ゼロなど、労働法の大改悪をやろうとしています。労働者派遣法は何度も改悪され、低賃金で不安定な雇用で働く労働者をふやし続けてきました。それでも「派遣労働者の常用雇用代替の禁止」、「派遣労働は一時的・臨時的業務に限定」という大原則を取り外すことはできませんでした。企業が雇用主としての責任を果たすためには、直接雇用が基本であり、間接雇用は例外的な場合だけというのが、戦後の労働法制の根幹であり、世界で確立している原則だからです。
 こうした雇用の大原則を投げ捨て、一層大規模かつ公然と正社員を派遣労働者に置きかえることができるようにする派遣労働の拡大は、労働者全体の賃金を引き下げるとともに、異常な長時間労働など、労働条件の悪化をもたらします。労働組合の連合、全労連、全労協など、ナショナルセンターの違いを超えて反対に立ち上がっています。全労働者に影響する労働者派遣法改悪に反対し、政府に撤回を求めるべきです。伺います。
 厚生労働省は、5月28日、産業競争力会議に残業代ゼロ制度の導入を示しました。現行労働基準法では、1日8時間、週40時間と定め、これを超えて働かせる場合は、労使協定を結んで残業代を支払うよう厳しく規制しています。これがなくなれば労働者は際限なく働かされ、いくら働いても残業代も支払われず、過労死しても自己責任として片づけられかねません。
 厚生労働省は、月80時間以上の残業は極めて危険性が高いとして、過労死との関連性を認めています。長時間労働やサービス残業が区役所内にも存在しています。首相は、残業代ゼロは対象が限定的と言っていますが、産業競争力会議で幅広い労働者を対象にする意見も出されるなど、一度導入すれば対象は拡大されていきます。労働者・若者の使い捨てやブラック企業の一層の横行を招きます。
 今、サービス残業の根絶、最低賃金1,000円以上、解雇規制など、人間らしく働けるルールの確立こそ必要ではないでしょうか。区長は区役所の労働実態を是正するとともに、特別区長会や全国市長会にも呼びかけ、労働法の改悪に反対していくべきです。あわせて伺います。
 第3に、教育問題について伺います。
 教育委員会制度の改変に、教育関係者、父母から不安と反対の声が相次いでいます。教育委員会制度は、戦前の軍国主義教育の反省の上に立って、教育行政を文部省、行政の直接的な指導と統制のもとから外し、教育の政治的中立性、専門性を確保しようとしてつくられた制度です。今の教育委員会はさまざまな問題を抱えながらも、区長から独立した合議制のもと、政治的中立と安定した教育行政が行われるようにしたものです。
 ところが、政府が国会に提出している法案は、首長の権限を強化し、国も積極的に関与できるようにする。教育委員会委員長と教育長を統合し、新教育長を新たに設け、首長に任命・罷免する権限を持たせる。自治体の教育政策の大もととなる大綱の決定権を首長に与えるなど、「首長がかわるたびに教育方針が変わりかねない」との声や、「教育の自主性を破壊するもの」、「教科書選定で自主性が消える」など、批判と反対の声が上がっています。こうした教育関係者や父母の声をどう受けとめているのか、伺います。
 教育長は、我が党の質問に対し、「国会の議論を注視していく」と答え、教育委員会制度改変の本質には全く触れようとも、見解を表明しようともしませんでした。全国では多くの教育委員や教育長が、教育の自主性、政治的中立性に懸念を表明する意見を述べています。改めて教育長の見解を伺います。
 次に、教科書選定について伺います。
 沖縄県八重山地区の竹富町が、地区内の他の市町が使っている育鵬社版とは違う中学公民教科書を採択し、使用していることに、下村文部科学大臣が同町教育委員会に、育鵬社版の採択を強要するなど、異常な政治介入を行って国民から強い批判が上がりました。
 教科書調査委員もPTA連合会も校長会も、育鵬社版導入に反対していました。育鵬社の公民教科書は、戦前の大日本帝国憲法を美化し、南京大虐殺や従軍慰安婦など、歴史の事実を消し去ろうと意図するものです。今、全国的に靖国派と言われる勢力が、育鵬社の教科書を採択させようと画策しています。
 侵略戦争を美化し、アジア解放のための戦争と教える歴史逆行の特異な教科書を全国の学校で使わせようとする、これらの勢力の圧力に区教育委員会は左右されてはなりません。教科書選定は、現場の自主性と住民自治が大切にされなければなりません。現場で教える教師の意見を最大限尊重して選ぶべきです。教科書選定に対する教育委員会の見解を伺います。
 次に、全国学力テストについて伺います。
 4月22日、国語と算数・数学の2教科のテストが行われました。文部科学省は、8月下旬をめどに、都道府県別の平均正答率を公表するとしています。これまで文部科学省は、序列化や過度な競争を招くことを理由に、市町村や学校ごとの平均点公表を禁じていました。安倍内閣はそれを覆し、自治体の判断で公表可能としました。こどもが傷つき、点数を上げるためのテストの練習や、朝の時間に学校独自のテストが行われるなど、競争教育を一層激化させるものとなっています。このような全国学力テストは中止すべきです。そして、結果の公表はすべきではありません。あわせて伺います。
 安倍政権は、集団的自衛権の行使や戦争ができる国づくりを教育分野に広げようとしています。我が党はこうした動きを絶対に許さない国民運動を展開することを表明し、私の質問を終わります。(拍手)

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