日本共産党江東区議団を代表し、質問します。
- 子ども・子育て支援新制度について
- 高齢者の見守り支援について
- 本区の水辺と緑の公園整備について
第1は、子ども・子育て支援新制度についてです。
政府は、これまでの幼稚園、保育所のあり方を大きく変える子ども・子育て支援新制度を、来年4月から本格実施させようとしています。この制度については、政府の当初案に対し、幼稚園や保育所関係者から多くの批判があって修正され、保育所に対する自治体責任の後退や幼稚園への保育の強要などは削除されました。しかし、企業が参入できる条件を緩和し、施設面積や保育士配置などが低水準でも小規模保育として認可するなど、多くの問題を抱えた制度です。本区はこれから、極めて短期間で事業実施に向けた準備を迫られることになりますが、各施設の基準設定、利用要件などは、事業全体にわたって現行水準を下げることなく、より改善されたものとなることを基本に据えるべきと考えます。まず伺います。
次に、区が対応すべき具体的課題についてです。
まず、保育施設の基準設定についてです。
本区はこれまで、保育所の保育面積や保育士配置について、国基準に上乗せして保育環境の改善をしてきました。新制度においても、本区の現行基準を守り、さらに充実を図るべきです。
また、新制度で新たに認可施設とされる小規模保育などは、保育士の配置がなくてもよいなど、保育水準に大きな格差がありながら、同じ認可施設とするのは問題です。国に改善を求めるとともに、区として、地域型保育事業の保育面積、保育士配置は、認可保育所と同じ水準の保育が受けられるように設定すべきです。
また、調理室や避難階段の設置、人員の加配など、命を守り成長保障に必要な基準は引き下げることなく、全ての施設に義務づけるべきです。伺います。
次に、認証保育所への対応についてです。
本区において、施設数で65、定員で2,000名を超える認証保育所は、新制度では位置づけがありません。今後5年間で、いずれかの認可施設へ移行することになりますが、事業者からは今後の運営について、保育所には小さく、小規模保育には広過ぎるということや、2歳までの小規模保育にして3歳からの受け皿があるのかなど、不安の声が上がっています。移行を急がせず、準備が整うまで事業継続ができるように制度として残すよう都に求めるべきです。
また、今後の方向として、保護者が強く入所を希望している認可保育所に移行できるように、施設の確保、保育士の確保について都の行政支援を求めるべきです。伺います。
次に、保育認定についてです。
新制度では、保育の必要性と必要量の認定を受けなければ、幼稚園や保育所の利用ができません。障害や育児休業などの場合、認定が受けられるのか。また、保育の受け入れ時間が異なることになれば、これまでの保育プログラムが生かせなくなるのではないかなど、不安の声が上がっています。父母や保育所の声をよく聞き、必要な保育が保障され、保育所運営に混乱のないように、要保育度の認定、保育士の配置を行うべきです。伺います。
次に、保育料についてです。
保育料は、国が示した徴収基準をもとに応能負担で区が決めます。本区の保育料はこれまでも高く、引き下げるように求めてきました。新たな保育料の設定は、現行の負担額を上回ることのないように引き下げるべきです。また、保育所以外の施設は直接徴収となるため、保護者の病気や失業などで収入が激変した場合、迅速に見直しができるようにし、保育料滞納を理由に契約解除とならないように、事業者への指導基準をつくるべきです。
新制度では、特別な保育の実施や施設整備をした場合は、保育料以外に上乗せ徴収ができることになりました。しかし、公的保育では、全てのこどもに平等で公平な保育が保障されるべきであり、保育料以外の徴収は認めるべきではないと考えます。いかがですか、伺います。
次に、財源問題についてです。
新制度では、保育の量と質の確保がうたわれてきましたが、課題となっていた保育士の給与や保育士配置の改善も極めて不十分な上、保育時間延長に対する保育士配置はわずかです。加算・増額が1割ほど見込まれるとのことですが、その実施は消費税10%の導入時にと先送りされました。保育士配置基準のさらなる改善と時間延長に見合った予算を直ちにつけるよう求めるべきです。都に対しても、財政調整算定や民間施設への補助金は、これまでどおりの水準が保てるように求めるべきです。伺います。
保育士不足の現状に対し、育児経験のある女性が一定の研修で保育ができるようにする動きがあることは問題です。こどもの命を預かり、成長、発達にかかわる専門的な知識と経験は、保育事業にとって何より大切です。
保育士不足の大きな要因は、厳しい労働条件と低い待遇にあり、60万人が資格を持ちながら働いていません。安易な資格の創設ではなく、賃金引き上げや処遇改善で保育士不足の対策をとるように求めるべきです。伺います。
次に、事業計画の策定と実施についてです。
子ども・子育て支援新制度は、これまでの保育を大きく変えて、多種多様な施設に加え、保護者の入所手続や事業所への給付なども変える大転換です。来年度実施を強行すれば現場は大混乱となり、こどもたちの保育にも影響を与えることは必至です。新制度の拙速な実施の中止を求め、こどもの成長、発達を保障する制度のあり方について、幼稚園、保育所関係者、保護者の意見も広く集め、納得、合意のできる制度とするよう改善を求めるべきです。
また、今年度、認可保育所を希望しながら入園できなかったこどもは1,446人であり、保育の待機児童対策は待ったなしです。今後の事業計画策定では、これまでの認可保育所を基本に据え、早急に待機児童をなくす計画とすべきです。あわせて伺います。
第2に、高齢者の見守り支援について伺います。
人知れずひっそりと亡くなり、死後何週間も発見されない孤立死。家族や地域とのきずなが薄れ、孤立する人がふえている状況が、無縁社会として社会問題になっています。認知症の高齢者も増加の一途で、戸惑う本人とともに、その家族も介護に疲れ切っています。
我が党が行った区民アンケートでも、「助けてください、もう限界です」と、悲痛な声が寄せられました。こうした社会状況に対し、本区の長期計画では、団塊世代の高齢化や地域力の低下などを課題として挙げながら、今後5年間の事業展開では、施設整備のほかは見守り支援協議会しかありません。それどころか、在宅高齢者の生活支援や見守りに役立ってきた高齢者福祉電話事業や高齢者緊急通報システム設置事業、おはよう訪問事業などは、介護保険制度導入以来、利用条件が厳しくされ、利用できる人数が減っているのが現状です。認知症、孤立化などに対する見守り支援の抜本的強化が必要であると考えますが、まず伺います。
次に、見守り支援の充実についてです。
緊急通報システムは、とりわけひとり暮らしの高齢者にとって、何かあったときに連絡をとることができる安心につながります。本区の緊急通報システムの支給要件には、「慢性的な疾患があり、常時見守りが必要」という項目がありますが、日ごろ元気でも、突然の発作や骨折などで倒れれば、誰かに気づいてもらうまで待つしかありません。
都の監察医務院で異常死とされた6割は、心疾患、脳梗塞などで、直ちに異変が通報されれば助かった命がたくさんあるはずです。
品川区は、今年度から、本区と同じであった慢性疾患の要件を外しました。23区中7区で、身体上の要件なく支給しています。本区も、65歳以上の希望世帯に対象の拡大を求めます。伺います。
次に、地域の見守り活動の支援についてです。
町会・自治会、見守り支援協議会などで地域の皆さんが熱心に活動されていますが、悩みも多く、孤立死をなくすことに心を砕いて活動しても、連絡がとれない、心を開いてくれないなど、高齢者に働きかける苦労をされています。今年度から災害協力隊に渡される避難行動要支援者名簿を、日常の見守り活動にも使えるようにできないかという声が寄せられています。日常のつながりがあってこそ、災害時にも的確な支援ができます。見守り活動への名簿の提供について、見解を伺います。
次に、都のシルバー交番設置事業の活用についてです。
隣の墨田区では、この制度を使った高齢者みまもり相談室を、地域包括支援センターと一体となった区域分けで設置し、専門の相談員が個別訪問や電話相談を行い、緊急通報システムの普及や介護サービスにつなげ、ひきこもりや孤立化の解消に大きな力を発揮していると評価されています。
港区でも同様に、地域包括支援センターと一体の活動で、ごみ屋敷状態であった高齢者の信頼を得て、定期的な清掃ができるようになったと報告されています。本区も制度を活用し、地域住民との協力体制の強化を図るべきです。伺います。
次に、高齢者世帯への経済的支援についてです。
高齢者の孤立化が進む要因にはさまざまな指摘がありますが、その一つが経済的な不安です。お金が心配で、親戚や友達、近所とのつき合いにも消極的になり、ひきこもり状態を加速させるというものです。
近年の年金引き下げや保険料などの負担増、医療や介護費用の増大が、こうした傾向を加速させていることは間違いありません。我が党として、これまで入院見舞金や重度介護手当の支給、紙おむつ購入の助成額の増額など、区として行うことを提案してきました。
また、家賃負担が重くのしかかっている高齢者には、家賃助成で居住の安定を図るべきと求めてきましたが、本区は全く後ろ向きです。高齢者への経済的支援を行い、生活の安定を図ることは、社会的孤立を防ぐためにも必要な施策と考えますが、伺います。
第3に、本区の水辺と緑の公園整備について伺います。
我が党が行った区民アンケートの自由記述欄では、本区の公園に関し、植木や遊具、ベンチの配置や清掃などについて、多くの要望が寄せられました。公園は区民の憩いの場として、こどもたちの遊び場として、高齢者の体操や交流の場として、災害時は避難場所として、区民生活に密着した重要な公共施設です。
しかし、本区の現状は、1人当たりの公園面積の目標を10平米と掲げているものの、城東地域では3平米に満たない地域も多く、人口がふえているにもかかわらず、既成市街地での新たな公園整備は見当たりません。空き地情報の取得に努め、民有地の購入も含め、公園整備を進めるべきではありませんか。
また、有明など、新たにつくられた町でも、「遊具のある児童遊園がない」との声が上がっています。開発計画の中に児童遊園、防災拠点、区民の憩いの施設としての公園整備を位置づけ、整備する必要があると思いますが、伺います。
次に、親水公園の整備についてです。
小名木川遊歩道の整備が間もなく終わりますが、高齢者からは、「適所にトイレが欲しい」という声があります。また、「進開橋から大島橋まで大島側には出入り口がなく、何かあっても出られず不安」とのことです。改めて住民の意見を聞き、大島一丁目側に出入り口をつくるか、北砂側に渡る歩道橋設置をするなど改善を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、工事が始まっている横十間川では、進捗状況に合わせて工事に間に合うように、近隣住民の要望をよく聞き、よりよいものとすることを求めます。あわせて伺います。
次に、竪川河川敷公園の改善についてです。
昨年度整備が終わりましたが、「お金のかけ過ぎではないか」という指摘が目立っています。朝6時の開園時間をもっと早くすることや、フットサルコートは区民開放するか、利用料金を下げるなど、工夫して利用しやすくするべきです。池のコイが浮いていたり、水面の藻の繁殖が目立っていることなども批判されています。清掃回数をふやすなど、維持管理にもっと予算をつけるべきと考えます。あわせて伺います。
次に、仙台堀川公園の改修についてです。
今年度、改修業者をプロポーザル形式で募集しました。基本構想はできているものの、竪川河川敷公園の整備に対する意見を見ても、区民はなれ親しんだ樹木や植え込みなどががらりと変わることを望んではいないと思います。改修に当たっては、手を入れなければならない老朽施設と側道の無電柱化などの必要工事のほかは、区民の意見を広く求め、ともにつくり上げる立場で、区が責任を持って整備に当たるべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)