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2014年第2回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問いたします。

  1. 安倍首相の解釈改憲による集団的自衛権行使容認問題について
  2. 医療・介護総合法案について
  3. 地域経済活性化・中小業者支援について
  4. カジノ問題について

 初めに、安倍首相の解釈改憲による集団的自衛権行使容認問題について伺います。
 安倍首相は、首相の私的諮問機関である安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、いわゆる安保法制懇から、海外での武力行使を全面的に認める報告書の提出を受け、集団的自衛権行使を認める憲法解釈の変更に向けて検討していくことを表明し、今国会中での閣議決定を目指すなど、重大局面を迎えています。
 集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力を行使することです。
 安倍首相は記者会見で、「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは、憲法上許される」と述べ、邦人救出など、非現実的な事例を挙げて、海外での武力行使を合理化するなど、許されるものではありません。
 また、安倍首相が示す「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」との基準は、極めてあいまいで、内閣の判断でいくらでも広げられます。しかも、武力行使の発動は、報告書では政府が判断するとし、その判断基準は、日米同盟の信頼が著しく傷つくなどと判断すれば、武力行使ができるとしているのです。一内閣の勝手な判断で海外での武力行使が認められてよいのか、区長の見解を伺います。
 アメリカが開始したアフガニスタン・イラク戦争に日本は自衛隊を派兵しましたが、戦闘地域に行ってはならない、武力行使をしてはならないという憲法上の歯どめがありました。しかし、たとえ限定的であれ、内閣の判断で集団的自衛権行使が容認されれば、憲法の歯どめが外され、米軍とともに戦闘行動に参加できない理由がなくなります。
 石破自民党幹事長は、「自衛隊が他国民のために血を流すことになる」と述べ、多国籍軍参加による武力行使についても、「否定するものではない」と明言しています。安倍首相の「他国での戦闘に参加することはない」との発言はごまかしであり、国会答弁では戦地への派兵を否定していません。アメリカの戦争につき従い、自衛隊が世界中どこへでも参戦することになると考えますが、見解を伺います。
 戦後、歴代政権は、国の交戦権は認めないとする憲法第9条によって、集団的自衛権の行使を禁止してきました。安倍首相の判断でこの憲法解釈を変えてしまうことは、憲法を最高法規とする立憲主義の否定であって、憲法学者や日本弁護士連合会を初め、歴代の自民党幹事長、元内閣法制局長官も、解釈改憲に強く反対しています。解釈改憲は、憲法遵守の義務を負う首相として許されない行為と考えますが、区長の見解を伺います。
 安倍政権による軍事的対応一辺倒では、周辺国や世界との緊張を高め、軍事的悪循環を招くだけです。集団的自衛権行使容認に対する世論調査は、反対が50%を超え、賛成はわずか20%から30%台です。アメリカを初め世界のマスメディアからも、日本の軍国主義化に批判が強まっています。
 戦争放棄を定めた憲法第9条は、日本の侵略戦争でアジアの人々2,000万人の命を奪い、日本国民も310万人の命を失った痛恨の反省から生まれたものであり、世界の宝です。日本政府に今必要なのは、憲法第9条を掲げ、東アジア地域における平和の枠組みをつくる外交戦略とその実践だと考えますが、見解を伺います。
 平和都市宣言を掲げる本区の区長として、安倍首相に対し、集団的自衛権行使容認の撤回を強く求めるべきです。伺います。
 質問の2点目は、医療・介護総合法案について伺います。
 安倍政権が今国会に提出した医療・介護総合法案は、国民を医療や介護から追い出すものであり、国の社会保障増進義務を定めた憲法第25条を否定するものです。
 法案の医療分野では、ことし4月からの診療報酬改定による入院患者の病院追い出しに加え、病院のベッド数をさらに大幅削減するもので、高齢化がピークとなる2025年までに43万床減らすとしています。都道府県に病床再編計画をつくらせ、知事には病床削減を勧告する権限を与え、従わない病院にはペナルティーを科すというもので、患者を在宅に押し戻し、行き場のない医療難民を大量に生み出しかねません。多数の区民が利用している都立墨東病院を初め、区内の病院のベッド数にも影響を及ぼしかねず、区民の医療を奪い取るものと考えますが、見解を伺います。
 介護では、要支援者の訪問介護、通所介護を介護保険から除外し、自治体の地域支援事業に回すことや、要介護2以下の特別養護老人ホーム入所締め出しと、介護施設の入所費用を軽減する補足給付の縮小、一定所得者の介護利用料2割負担化など、介護保険制度の大改悪です。
 既に厚生労働省は、介護予防モデル事業で、要支援者の介護保険追い出しを自治体に行わせています。モデル事業に参加した荒川区では、腰痛で掃除などが困難な要支援1の80歳の区民に対し、介護保険で10年以上受けていた生活援助を、ボランティアによる家事支援に変更するよう、地域包括支援センター職員を通じて何度も迫り、半ば強制的に介護保険から締め出しています。しかも、利用料負担は、介護保険より3倍近くも支払うというのです。法案が成立すれば、こうした事態が大多数の要支援者で起こるのではありませんか。見解を伺います。
 国会審議で田村厚生労働大臣は、認知症の要支援者の地域支援事業移行について、専門的サービスが受けられるのは、要支援者の7から8%だと答弁しました。これでは9割以上の認知症要支援者が専門的介護から除外されてしまうのではありませんか。伺います。
 また、ボランティアなどでは、認知症への対応はできず、重度化は必至と考えますが、あわせて伺います。
 今、210の地方議会から、事業所や市町村に大きな混乱が生ずる、介護の社会化に逆行するとして、抗議や反対の意見書が上がっています。都内でも、多数の区市町村から、見通しが立たない、介護保険の根幹にかかわるとして、強い反発が起こっています。区は動向を注視するとの姿勢を改め、政府に制度改悪の中止を求めるべきです。伺います。
 同時に、国に対し、特別養護老人ホーム整備に向けた国庫補助の復活、低所得者への介護利用料無料化、保険料減免制度の創設を求めるべきです。
 また、医療においても、患者の窓口負担軽減、国民健康保険の都道府県化中止と国庫負担引き上げを求め、区民の国民健康保険料軽減を図るべきです。伺います。
 私ども区議団がことし4月に行った区民アンケートでは、「消費税増税などで生活が苦しくなった」が大半を占め、「消費税が増税されたのに、年金は下がり、医療・介護の負担がふえるのは納得できない」との声が上がっています。
 区長の「社会保障のために消費税増税は必要」との議論は、医療・介護総合法案のもとで成り立ちません。政府は、消費税増収分の全部を社会保障に充当したと宣伝していますが、ごまかしです。増収分5兆円のうち、4.5兆円をそれまでの一般財源と入れかえただけのことであって、社会保障への上乗せ分はわずか5,000億円、増収分の1割にすぎません。消費税増税の目的は、大企業減税と巨大開発、軍拡予算の財源確保です。
 区長は、区民生活擁護の立場に立ち、医療・介護総合法案の廃案と来年10月からの消費税10%の中止を政府に求めるべきです。伺います。
 質問の3点目は、地域経済活性化・中小業者支援についてです。
 4月からの消費税8%で、中小業者の営業が一段と厳しくなってきています。日本商工会議所や全国中小業者団体による4月の景気動向調査などでは、「売り上げが減少」、「今後の景況は大幅に悪化する」とし、その理由として、消費税分を価格に転嫁できないことや、燃料費や資材価格高騰、買い控えなどを指摘しています。
 また、政府の中小企業白書では、2013年の廃業件数が2万9,000件で、増加傾向だとしています。消費税増税後の区内中小業者の現状と今後の見通しについて、区長の認識を伺います。
 地域経済活性化に向け、新たな緊急支援策が強く求められています。これまで繰り返し求めてきた住宅や店舗に対するリフォーム等の助成実施に、今こそ踏み出すときです。
 住宅リフォーム助成制度は、10年前、全国で87の自治体が実施、現在では628の自治体に広がっています。都内でも、消費税増税を受け、豊島区が修築資金とリフォーム助成を統合して実施。大田区、目黒区は、予算や補助率を増額、拡充するなど、15の区市町で実施しています。また、店舗等のリニューアル助成制度では、小平市と荒川区がことしから実施します。区は、これら助成制度実施の広がりをどう受けとめるのか、見解を伺います。
 私ども区議団が視察した新潟県長岡市では、平成23年度から地域経済活性化等を目的に、1件の補助限度額10万円で住宅リフォーム助成を開始しました。受付会場では、申請する市民が申請日前日の朝から並ぶなど、3年間で2,795件、補助総額2億6,000万円に対し、工事総額が37億5,000万円余。経済効果は14倍以上に達していると、市の理事者が述べています。
 同じく視察した群馬県高崎市では、平成25年度から1件で100万円を限度に、まちなか商店リニューアル助成事業を実施。730件を超す商店主が利用し、「新規のお客がふえ、売り上げが伸びた」、「商売の意欲が湧いた」など、大好評となっています。
 これらの事業は、市民や商店主の需要を喚起し、地元建設業者などが仕事をこなすことで、雇用増や他産業への波及効果も大きく、地域経済活性化に大きな効果を発揮しているのです。区長の見解を伺うとともに、実施に向け、直ちに検討を始めることを求めます。伺います。
 区は昨年、産業実態調査を行い、その調査結果を参考にして、商店街空き店舗への出店助成や、小規模企業特別資金等の利子補助引き上げ、江東区中小企業活性化協議会の機能強化などを実施したことは評価するものです。
 消費税増税に伴い、売り上げ減少や電気代値上がりなど、商店街は一段と厳しさを増しています。緊急支援として、商店街装飾灯の電気代は全額補助するべきです。伺います。
 コンビニエンスストアやチェーン店が商店街に出店した際、商店会に加入しないことがこれまで問題になっています。江東区地域経済活性化基本条例に基づき、区が関与し、本社に申し入れるなど、加入促進を図るべきです。伺います。
 また、区内のある商店会の会長は、その総会の席で、「江東区の店舗売り場面積は、既に9割を大型店が占めている。規制すべきだ」と述べています。区長は、商業調整機能の復活など、大規模小売店舗立地法の見直しを政府に求めるべきです。伺います。
 江東区中小企業活性化協議会について、区は、必要に応じて専門部会を設置するとしています。商店街を応援したいという産業実態調査での消費者アンケート調査の結果からも、地域の商店街ごとに、その地域の消費者を含めた商店街振興部会の設置を提案しますが、見解を伺います。
 質問の4点目は、カジノ問題です。
 自民党、日本維新の会、生活の党3党が、昨年12月にカジノ推進法案を国会に提出したことを受け、安倍首相などを最高顧問とする与野党7党でつくる、いわゆるカジノ議連が、今国会での成立に向け審議入りを強めようとしています。
 カジノ推進派は、「カジノ開設で海外の観光客を呼び込み、地域経済を活性化させ、雇用も税収もふえる」と述べ、東京オリンピック・パラリンピックまでに1カ所から3カ所、最終的には10カ所程度を開設することをもくろんでいます。
 カジノについて区は、我が党の本会議での質問に対し、地域経済活性化が期待できるとして、合法化の中止を求める考えはないと答弁していることは問題です。ギャンブルによって地域経済活性化を期待するのは、自治体の姿勢として正しくありません。住民福祉の向上と雇用拡大や中小企業支援などに力を尽くし、地域経済活性化を図ることこそ、自治体本来の姿勢ではありませんか。
 そもそも賭博場であるカジノは刑法で固く禁じられています。賭博に対する最高裁判所の判決でも、勤労の美風を害し、国民経済の機能に重大な障害を与えると断罪しています。地域経済活性化を理由に、カジノ誘致を容認する姿勢は改めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、カジノについて区は、観光資源として有力とし、臨海部への誘致に期待を表明してきました。しかし、臨海部地域はマンションや学校もあるほか、家族連れも多く訪れる地域です。カジノによって住民や青少年に悪影響を及ぼし、犯罪集団の温床にもなるなど、まちづくりの大問題です。区民アンケートでも、カジノの臨海部誘致に反対が大多数です。区長は臨海部への誘致に反対するべきです。伺います。
 既に日本は世界一のギャンブル大国です。カジノの売り上げ世界一のマカオが2兆6,800億円、ラスベガスで4,600億円。日本は実質的ギャンブルであるパチンコ・パチスロだけで3兆9,000億円。競馬などを合わせれば年間5兆6,000億円を国民が賭博に費やしています。
 その結果、ギャンブル依存症は、厚生労働省の調査で、世界各国の有病率が1%台に対し、日本は男子で9.6%、患者数は約560万人。世界一のギャンブル依存症大国でありながら、それへの対策は皆無というのが実態です。
 ギャンブル依存症は、仕事も手につかず、返済能力を超える借金などで破産や自殺するなど、社会的損失が大きく、自己責任では済まされない重大問題です。カジノを誘致し国民をギャンブルにかき立て、ギャンブル依存症をふやすなど許されないと考えますが、区長の見解を伺います。
 カジノ合法化の動きに対し、全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会が設置され、日本弁護士連合会を初め、カジノ誘致の動きがある各地域で、市民による反対運動が広がっています。カジノについて、麻生太郎金融担当相は国会で、依存症や多重債務などの対策は重要で、総合的な検討が必要と答弁し、その害悪を認めています。カジノ合法化の中止に向け、政府などに要請することを区長に強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

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