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2014年第4回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱2点にわたって、区長及び関係理事者に質問を行います。

  1. 江東区の行財政運営と来年度予算編成について
  2. 江東区のまちづくりについて

 初めに、大綱の第1は、江東区の行財政運営と来年度予算編成についてです。
 安倍首相が衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。これは、消費税大増税や集団的自衛権の行使容認、医療・介護など社会保障の改悪、さらに原発再稼働や労働者派遣法の改悪など、国民の声に背を向け、悪政を次々と強行してきたことに、国民の怒りと批判が広がり、安倍政権が追い詰められた結果です。
 この間、山崎区長は、社会保障の改悪を容認し、「推移を見守る」、「動向を注視する」などと答弁するだけで、政府に改悪中止を求める姿勢はありません。
 また、集団的自衛権の行使容認でも、「集団的自衛権は抑止力だ」、「江東区平和都市宣言も同じ趣旨だ」などと答弁しましたが、江東区平和都市宣言は、「二度と戦争はしない」、「武力は放棄する」とした憲法第9条に基づいて行われたものであり、他国とともに戦争をし、際限のない軍拡競争をもたらす抑止力論とは相入れないものです。
 さらに、消費税増税でも、区長は増税を容認し、増税後も景気は上向いているなどとの認識を示すなど、政府の主張をそのまま繰り返すだけです。
 地方自治体の最も重要な仕事は、住民福祉の向上です。区民福祉を向上させ暮らしを守るためには区民の立場で悪政をやめさせることが必要ではないでしょうか。区長の見解を伺います。
 安倍政権は、総選挙を前に、来年10月からの消費税率10%への増税を1年半ほど先送りするとしました。これは安倍政権の経済失政をみずから認めたということにほかなりません。
 この間のアベノミクスによる異次元の金融緩和による物価の上昇と消費税率8%への増税によって、暮らしも経済も深刻な状況です。GDPは2期連続減少、実質賃金は15カ月連続マイナス。区民からは、「年金も減らされ、消費税の増税で、これ以上どこを削ればいいのか」、「売り上げが減って商売が続けられない」など、深刻な声が寄せられています。アベノミクスによって暮らしが悪化し、景気が落ち込む悪循環に陥っています。大企業が利益を上げれば景気はよくなるという安倍政権の経済対策を大もとから見直すことが必要ではないでしょうか。区長の見解を伺います。
 日本共産党は、「消費税に頼らない別の道がある」と、国民の立場に立った改革の提案を行ってきました。第1は、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源を確保すること。第2には、大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得をふやす経済対策によって税収をふやすことです。この2つの方策をあわせてとれば、社会保障や暮らしのための財源、財政再建のための財源もつくれます。
 消費税率10%への増税は、何年先に実施しようと、経済と暮らしを破壊する悪政に変わりはありません。政府に対し、先送りではなく、きっぱり中止するよう求めるべきではないでしょうか。区長の見解を伺います。
 山崎区長は、この間、国の悪政に追随するだけでなく、行財政改革と称し、生活保護の健全育成費や中学卒業者自立支援金の廃止、ひとり親家庭休養ホーム事業や景気対策融資など、区独自の施策を廃止しました。
 また、保育料の値上げ、スポーツセンターや文化センターの使用料の値上げと駐車場の有料化、胃がん、大腸がん、子宮頸がんなど、無料だったがん検診も有料化し、国民健康保険料は毎年値上げを繰り返すなど、負担増を実施するとともに、区民を生活保護に追い込むほどの保険料や区民税の徴収強化を進めてきました。
 さらに、この間、毎年人口が増加しているにもかかわらず、区の職員を削減し、学校や保育所の給食調理業務や用務業務、学童保育クラブや児童館、福祉会館などの民間委託を行い、区みずからが不安定、低賃金の労働者を増加させてきました。
 このような区民犠牲の行財政改革を行う一方、区は基金をため込み、平成25年度決算時点で基金総額は過去最高の886億円にも膨らんでいます。区民への負担増や施策の切り捨て、不安定雇用を広げながら莫大な基金をため込む区民犠牲の行財政改革は見直すべきではないでしょうか。見解を伺います。
 区はさらに、今後、行財政改革の後期計画を策定し、引き続き民間委託の推進、区民への負担増、徴収強化を進めようとしています。
 第3回区議会定例会で報告された、計画に盛り込む個別項目には、生活保護事業のあり方の検討が新たに盛り込まれ、生活保護の訪問業務まで民間委託しようとしています。生活保護の訪問業務は、被保護世帯の生活実態を把握するなど、プライバシーにかかわる業務です。また、ケースワーカーは、被保護世帯の生活実態を把握した上でどのような支援が必要か判断するなど、極めて重要な業務を行っています。
 区は民間委託への検討の理由を、被保護世帯数の増加や支援の多様化に対応するためとしていますが、そもそも被保護世帯が増加しているにもかかわらず、十分な職員の増員を行ってこなかったことこそ問題です。
 被保護世帯の増加と支援の多様化に対応するためと言うのであれば、民間委託ではなく、社会福祉士の資格を持った専門職員を増員すべきではありませんか。見解を伺います。
 また、窓口業務のあり方検討では、豊洲シビックセンター内出張所での業務見直しを踏まえ、区民課等の窓口業務のあり方を検討することが新たに盛り込まれました。住民票や戸籍の記載内容は極めて重要な個人情報で、委託業者に幾ら守秘義務を課しても常に情報漏えいの危険にさらされることになります。窓口業務の民間委託は行うべきではありません。見解を伺います。
 さらに、後期計画では、後期高齢者医療保険料の徴収強化や庁舎駐車場の有料化の検討など、新たな区民への負担増が盛り込まれています。
 後期高齢者医療保険料は、見直しのたびに保険料が引き上げられ、年金の引き下げや消費税の増税で、払いたくても払えない状況が広がっています。保険料の滞納が発生しているのは、年金から天引きできない年間18万円以下の年金しかもらっていない世帯です。徴収強化策だとして正規の保険証を取り上げ、短期被保険者証や資格証明書になってしまえば、病院にかかれなくなり、命にかかわる事態になりかねません。資格証明書や短期被保険者証の発行は行うべきではありません。見解を伺います。
 また、庁舎駐車場の有料化は、相談や手続など、必要性があって区役所に来る区民に対して負担を求めるものです。気軽に来庁してもらうことこそ必要ではないでしょうか。受益者負担という理由で新たな負担を求めることはやめるべきです。見解を伺います。
 次に、本区の来年度予算編成について伺います。
 安倍政権のもと、区民の暮らしは厳しくなるばかりです。生活保護世帯は、10月時点で7,700世帯を超え、前年と比べ170世帯近く増加しています。国民健康保険料が払えない世帯は約3万世帯、被保険者の4割近くにも達しています。また、就学援助を受けるこどもの数も、小学生で22.6%、中学生では38.5%にもなっています。
 日本共産党江東区議団が実施した区民アンケートでは、暮らしが厳しくなったと答えた人が6割を超えています。区長は区民の生活実態について、どのように認識しているのか、伺います。
 安倍政権による悪政が進められているときだからこそ、区政が区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきです。日本共産党江東区議団は、この間、区民アンケートに取り組むとともに、障害者や中小業者、医療関係者など、区内のさまざまな団体の皆さんとの懇談会を実施し、区民要望を伺ってきました。区長には、区民から寄せられた要望や区政の重要課題について、462項目に上る予算要望書を提出していますが、来年度の予算編成に当たり、区民生活の実態を踏まえ、以下の視点を盛り込むことを求めるとともに、見解を伺います。
 第1は、暮らしが厳しくなる中、命と健康を守るため、国民健康保険料や介護保険料の引き下げ、有料化したがん検診を無料に戻すこと、また、入院見舞金や重度介護手当の支給など、医療や介護の負担軽減策を実施することが必要だと思いますが、伺います。
 第2は、公立保育所の増設や特別養護老人ホーム、障害者のグループホームなど、不足する福祉施設について、民間任せの姿勢を改めて、区の責任で増設すべきだと思いますが、伺います。
 第3は、こどもの貧困などが社会問題になる中、23区で一番高い保育料の引き下げ、こどもの医療費助成を18歳まで引き上げること、就学援助の対象拡大など、子育てや教育にかかる負担の軽減を行うべきだと考えますが、伺います。
 第4は、消費税増税で景気が悪化する中、景気対策融資の実施や、仕事おこしのための住宅リフォーム助成、店舗・設備改修助成など、中小企業への直接支援を行うなど、地域経済を支える中小企業支援を抜本的に強化すべきだと思いますが、見解を伺います。
 第5は、これ以上の民間委託は行わず、暮らしや福祉を支え、災害時などでも重要な役割を果たす区の正規職員の増員を図るべきだと思いますが、見解を伺います。
 国民健康保険料を1人当たり年間1万円引き下げるのに必要な予算は約13億円、介護保険料を年間5,000円引き下げるには約6億円、がん検診を無料に戻すには約2,600万円、子ども医療費助成の18歳までの引き上げは約2億円あれば可能です。区の財政状況や886億円にも膨らんだ基金を活用すれば、財政的にも十分に実現できます。見解を伺います。
 大綱の第2は、江東区のまちづくりについてです。
 2002年、小泉内閣は、都市再生の名のもとに都市再生特別措置法を制定し、規制緩和で東京一極集中を進めてきました。
 東京都では、石原都政のもとで世界都市・東京を目指すとし、都心部を中心に同時多発的な開発を打ち出し、国と一緒になって大規模開発を進めてきました。
 江東区では、豊洲や有明など、臨海地域が国の都市再生緊急整備地域に指定され、超高層マンションが次々と建設されてきました。
 山崎区長は、この間、国や都の都市再生路線に追随し、「人口は力だ」と言って、学校受け入れ困難地区でのマンション建設を抑制する条例を廃止し、みずから大規模開発を促進してきました。一方、公共施設の整備は立ちおくれ、保育所や学校の教室不足は深刻な状況です。
 安倍内閣は成長戦略に基づき、都市再生特別措置法の改正や国家戦略特区で一層の規制緩和を行い、舛添都知事も東京大改造を掲げ、年内に長期ビジョンを策定するとともに、さらなる東京・都心集中を進める都市計画マスタープランの改定を行う予定です。
 これ以上の大規模開発促進は、江東区の公共施設の不足を一層深刻にしてしまいます。国や都の規制緩和による大規模開発促進政策への追随はやめ、見直しを求めるべきではないでしょうか。伺います。
 これまで住宅がほとんどなかった有明地域では、この間、大規模マンションが次々と建設される一方、人が生活する上で必要な施設などの整備が大きく立ちおくれる状況です。
 日本共産党江東区議団が実施した区民アンケートでも、有明地域には「公園がない、幼稚園がない、児童館も図書館もない」など、公共施設の整備を求める声が寄せられています。図書館や文化センター、子育て施設など、区として早急に整備をすべきではないでしょうか。伺います。
 また、有明北地区では、大手開発業者による1,750戸の大規模マンション建設計画を初め、オリンピック・パラリンピック後には、競技施設跡地は住宅用地として開発が進められていく予定です。
 東京都の地区計画では、有明北地区の人口フレームは3万8,000人ですが、区が今後行う公共施設の整備は、(仮称)第二有明小・中学校と保育所が1園しかありません。
 現在、人口2万9,000人の豊洲地域では、学校や保育所の不足が深刻です。公共施設を整備するための用地の確保も大変困難です。豊洲小学校や豊洲北小学校は増築を繰り返し、工事期間中はこどもたちにも負担がかかり、工事後も校庭が狭くなり、教育環境が悪化しました。
 豊洲地域以上の人口フレームを持つ有明地域で同じ過ちを繰り返さないためにも、人口フレームに見合った公共施設の整備計画を策定すべきではないでしょうか。また、東京都に対し、都有地の提供を求めるべきではないでしょうか。伺います。
 次に、辰巳団地の建てかえ問題について伺います。
 辰巳団地ではようやく建てかえ工事が始まりました。公共事業での入札不調などが相次ぐ中、工期のおくれなどが発生しないよう、着実な実施が求められます。
 辰巳団地は建設されてから47年余りたちますが、この間、一度も大規模修繕が行われていません。共用廊下の手すりもペンキがぼろぼろに剥げ、排水管清掃のたびに下水管が破損するなど、施設の老朽化は深刻です。全体の建てかえが終了するのは10年以上も先になります。建てかえが後になるところについては、耐震工事だけでなく、建物や設備の修繕を行うよう求めるべきではないでしょうか。伺います。
 この間、高齢者住宅、シルバーピアの設置を求める私の質問に対し、区は、東京都とも相談して検討していきたいと答弁していますが、いまだ具体化されていません。辰巳団地では高齢化が進み、3,200世帯の団地で70歳以上の居住者が約2,000人で、ひとり暮らし高齢者も増加しています。見守り支援を行うことのできるシルバーピアの設置を早急に都と協議すべきではないでしょうか。見解を伺います。
 辰巳団地の建てかえ計画では、新たに高齢者の福祉施設用地が確保されていますが、内容の具体化はまだこれからです。地域包括支援センターや特別養護老人ホーム、地域交流スペースなど、高齢者の生活を総合的に支援するための施設を整備すべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、カジノ解禁問題について伺います。
 安倍政権は、カジノ賭博場の合法化を成長戦略の目玉と位置づけ、カジノを解禁しようとしています。江東区臨海部にカジノが設置されれば、江東区のまちづくりに悪影響をもたらします。
 区長は、会議施設や展示施設、宿泊施設やこどもたちも遊べるレクリエーション施設とセットでカジノをつくる統合型リゾート(IR)について、観光振興や雇用創出など、経済活性化につながるとして、カジノ解禁を容認する立場を表明しています。
 IR施設の収益の約8割はカジノ賭博だと言われています。賭博は新たな付加価値を生み出すものではなく、単に人のお金を巻き上げるだけで、負ける人が多ければ多いほど収益が上がるような仕組みは、まともな経済対策とは言えません。
 また、IR施設は、顧客を全て囲い込み、周辺地域で使われるお金がカジノに全て吸い上げられてしまうことになり、江東区の観光振興にも役立たないと思いますが、見解を伺います。
 カジノは、健康で文化的な社会の基盤をなす勤労の美風を害し、暴力団の暗躍、犯罪の発生、風俗環境の悪化、青少年の健全育成への悪影響、ギャンブル依存症など、さまざまな問題を引き起こします。だからこそ賭博は現在、犯罪として刑法で禁じられています。
 私たち日本共産党江東区議団が行った区民アンケートでも、賛成が2割弱なのに対し、反対は6割近くにも上ります。江東区の健全な発展にとって大変な悪影響をもたらすカジノを解禁しないよう政府に求めるべきではありませんか。
 以上、区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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