2017年第2回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。

  • 豊洲市場問題について
  • 区の「行革」について
  • 仙台堀川公園の再整備について
  • 平和と憲法問題について

 第1は、豊洲市場問題についてです。
 生鮮食料品を扱う市場の一番の基準は、食の安全・安心です。ところが、東京ガス工場跡地の豊洲市場では、ことし2月に行った地下水調査に続いて4月の調査でも、同じように環境基準の100倍のベンゼンを初めシアンなど、高濃度の有害物質が検出されました。
 区長は、豊洲市場予定地の土壌と地下水が、広範囲にわたり深刻に汚染されていることが決定的になった事実をどのように受けとめているのか、伺います。
 これまで東京都は、土壌汚染対策として、「操業由来の汚染を全て除去、浄化し、土壌も地下水も環境基準以下にする」と都民に約束してきました。ところが、5月18日、東京都の専門家会議の会合で平田座長が、「無害化の約束はできない」、地下水の汚染について「環境基準以下にできない」と発言したことに続き、小池都知事が6月1日の都議会での所信表明で、「かつての都知事が市場業者や都民に約束した、豊洲市場の無害化は達成できていない」と公式に認め、陳謝しました。これは、豊洲市場移転計画の破綻を認めた重大な言明だと思いますが、区長の見解を伺います。
 土壌汚染も地下水汚染も無害化しないまま対策を進めようとしても、都民、区民の理解を得られないことは明らかです。見解を伺います。
 豊洲市場の主な建物の下には盛り土がないことが、共産党都議団の調査で判明しました。3月19日の東京都の専門家会議は、盛り土がないために将来想定されるリスクとして「地下空間には気化した水銀、ベンゼン、シアン化合物を含むガスが浸入する」、「1階床面のコンクリートにひび割れ等が生じて、地上部分への空気の侵入、拡散が発生する」と指摘しました。土壌汚染によって、地下も地上も危険であることは明瞭です。山崎区長は、「地上は安全だから早期移転を」と主張されていますが、その主張は成り立たないと思います。伺います。
 もともと豊洲市場予定地は東京ガス工場跡地で、約30年間の操業により、有害物質を含むコールタールを大量に地面に流したために、地中深くまで高濃度に汚染された場所です。
 4月10日、参議院決算委員会で農林水産大臣は、土壌汚染対策法上にかかわって、「東京都が汚染を残した状態で卸売市場の用地にすることは想定し得ない」と答弁しています。なぜなら、地震による液状化や施設の老朽化などで、汚染物質が生鮮市場に上がってきたら甚大な被害をもたらすからです。政府、農林水産省の見解について、区長の認識を伺います。
 江東区は、土壌汚染の無害化を市場移転受け入れの大前提として、徹底した土壌汚染対策の確実な履行を東京都に求めてきました。しかし、市場移転受け入れの大前提である土壌汚染の無害化ができなかった以上、市場移転受け入れは白紙撤回すべきです。伺います。
 土壌が汚染されたひどい土地への移転計画が進められてきた背景には、食の安全・安心よりも豊洲の大規模事業に加えて、築地市場跡地の再開発の狙いがあります。「築地市場でも有害物質が出た」などという報道がされましたが、豊洲市場とは汚染のレベルが違います。生鮮市場をどうするのかという問題は、50年、100年単位で考えるべきものです。食の安全・安心を守るために、豊洲市場への移転はきっぱり中止し、80年余の歴史で安全が実証され、世界的ブランドとして確立している築地での再整備をすべきです。
 東京都の市場問題プロジェクトチームの小島座長は、築地市場の改修は、費用の面、工事期間の面、営業との両立の面など、十分可能だとする案を示しました。また、同チームは、先日発表した第1次報告書案で、豊洲市場へ移転した場合、巨額赤字が発生し、市場会計の赤字額は60年間で1兆円を超えるとしました。築地市場で必要な対策は、豊洲市場と比べたら極めて軽微なもので済むことは間違いありません。都民、専門家の英知を集め、市場関係者の合意を得ながら、築地市場の再整備に本格的に踏み出すことを都知事に求めるべきです。見解を伺います。
 第2は、区の「行革」について伺います。
 まず、男女共同参画推進センターの相談事業の業務委託についてです。
 ことし3月、江東区行財政改革計画(後期)の改定が示され、この中には男女共同参画推進センターの相談事業の見直しが突然盛り込まれました。
 取組方針では、相談事業の委託化を視野に入れ、相談体制を検討するとしながら、実際には8月までに委託事業者を決め、来年1月から相談事業の業務委託を始めようとしています。何の議論もないまま行財政改革計画に盛り込み、強引に進めることは、余りにも乱暴です。区は、「あくまで計画、これで決めたということではない」と所管委員会で答弁していますが、どのような検討をしてきたのか、伺います。
 区は相談事業の委託理由について、相談者が急増したためとしていますが、これは配偶者からの暴力被害などに悩んでいる女性が多いということです。
 これまで本区の相談事業では、十数年の業務経験豊かな3人の区の非常勤職員が、専門相談員として解決に当たってきました。東京都や関係部署からも、江東区は非常によくやっているとの高い評価を受けており、相談員1人当たりの処理件数は全国一と聞いています。
 相談から自立まで切れ目のない支援を行っている、配偶者暴力相談支援センターとしての役割がますます高まっています。区の相談窓口は、被害者とそのこどもの駆け込み寺であり、利用者急増への対応は、業務委託ではなく人員体制の拡充で行うべきです。伺います。
 専門相談員は、保護課の婦人相談員や児童相談所など、関係部署との連携を図り、解決に当たっています。業務委託の場合、請負契約上、相談員は区や関係機関に直接相談ができず、委託会社が区と連絡調整した後の対応となるため、DV被害者、そのこどもへの対応がおくれ、命にかかわる大問題となりかねません。区の認識を伺います。
 江東区男女共同参画条例は、区長が人権侵害に対応するための男女共同参画相談員を置き、男女共同参画相談員は必要な調査、助言、関係行政機関との連携を行うことについて規定しています。
 相談事業の業務委託計画は撤回し、区の非常勤職員が相談業務を担い、関係行政機関との円滑な連携を通じて、配偶者暴力相談支援センターとしての機能強化を図っていくべきです。伺います。
 次に、技能系職員の退職不補充についてです。
 区は、この間、技能系職員は退職不補充だとして、土木職員などを減らし続けてきました。その結果、直営作業員による班体制の維持が困難となっています。災害時における直営班のメリットには大きいものがあります。
 2011年3月11日の東日本大震災の対応においても、道路事務所と水辺と緑の事務所の業務職員が、24時間体制で初動時の一斉点検や危険回避、応急措置等の災害復旧、陳情の対応に当たったと聞いています。
 道路保全係、水辺と緑の事務所の両事務所の直営体制は、緊急時の迅速な対応、日常的な安全点検など、必要だと考えますが、区の認識を伺います。
 墨田区では、風水害、その他自然災害に対応するため、必要な人員の定数化を図っています。
 本区においても、技能系職員の退職不補充方針を改め、必要な人員の定数化を検討するとともに、新規採用を計画的、継続的に行うべきです。伺います。
 次に、定員適正化計画についてです。
 人口急増やオリンピック・パラリンピックを初め、ますます多様化する行政需要に応えるための人員体制の確立が急務です。ところが、職員削減に伴う長時間・過重労働によって、慢性的な残業と人員不足が恒常化し、メンタル不全が原因で職場を去る方もふえています。平成31年までの5年間を、平成26年度の実績2,755名を上回らないとする定員適正化計画は、職場の実態と大きく乖離しています。抜本的に見直すべきです。伺います。
 第3は、仙台堀川公園の再整備について伺います。
 仙台堀川公園は、水と緑豊かな区民の森として多くの人々に親しまれ、絶滅危惧種のタカ科、ツミが営巣するなど、大きく育った多様な樹木が豊かな環境をつくっています。散歩やジョギング、バードウオッチングを楽しむ方、保育園や幼稚園、小学校にとっての自然観察の場となり、八つ橋の池はザリガニ池と呼ばれ、都会の中で自然を感じ、生き物、命を学ぶことができるかけがえのない場所となっています。
 「シティ・イン・ザ・グリーン」を推進する江東区として、仙台堀川公園の価値をどのように評価しているのか。三十数年かけてつくり上げてきた区民の森を、将来に継承していくべきと思いますが、あわせて伺います。
 今回の再整備計画案は、公園両側道路の無電柱化に伴う道路拡幅のため、1.1キロメートルにわたって公園幅を実質7メートル削り取り、ツミがすむ松など、豊かな森の木を大量に伐採するもので、その数は桜を含め全樹木の約6割、2,800本にも上ります。
 さらに、道路拡幅のために、雨水対策だと言って川の水が流れる水路を埋め立てて暗渠化し、カワセミやカルガモ、魚がすむ環境を壊すものです。
 多くの住民の方が、「既存の樹木を残してほしい」、「川を埋めないでほしい」などの声を上げ、区の環境事業にかかわる団体、個人の方も、「生物多様性豊かな自然環境が失われる」と警鐘を鳴らし、抜本的見直しを求めています。樹木の大量伐採、水路の埋め立てによる暗渠化、公園面積の削減はやめるべきです。伺います。
 再整備に当たって、公園の現状を変えず、老朽化した施設の改修にとどめ、その上で、既存園路をそのまま活用した歩行者と自転車のゾーン区分を行うなど、地域課題について住民の意見を取り入れて解決を図っていくべきです。伺います。
 今回の再整備計画案は、側道の無電柱化工事と一体的に行うものとしています。無電柱化は必要です。しかしながら、電線共同溝方式による無電柱化は、地上機器を設置するための歩道幅員を確保することが必要となり、そのための道路拡幅が、公園面積の削減や河川の暗渠化、樹木の大量伐採を招く計画となっています。
 現在の幅員が6.5メートルの道路を拡幅しなくても無電柱化は可能です。無電柱化に伴う地上機器の設置場所については、既存の城東公園や亀高公園、区民農園、学校などの公共施設や民地など、道路外の敷地の活用を図るべきです。伺います。
 電柱による架線配線に比べ、10倍から20倍の費用が必要とされている高規格で高価な電線共同溝方式が妥当かどうか、低コスト手法の新たな技術の導入に向け検討を進めている国や東京都と連携し、電気事業者の意見も踏まえ、整備手法の検討、整備費用の大幅縮減を行うべきです。伺います。
 これから区は、10月までに6回の意見交換会の場所をつくると聞いています。この意見交換会で、区民から出された提案や意見をどのように再整備計画案に反映させていくのでしょうか。
 同公園の再整備計画案は、両側側道の無電柱化と一体整備するものであるため、公園と道路の両方について意見交換会のテーマとすべきです。あわせて伺います。
 区民の財産である仙台堀川公園の再整備計画案は、修正案に対するアンケートを実施するなど、広く区民の声を反映した計画にすることを強く求めるものです。伺います。
 第4は、平和と憲法問題について伺います。
 北朝鮮は、5月29日、再び弾道ミサイルの発射を強行しました。たび重なる暴挙に厳しく抗議します。この問題の解決は、国連安全保障理事会が声明を表明しているように、外交的解決しかありません。日本を初め関係国が6カ国協議を含め、対話による解決を図る努力を抜本的に強めるよう求めるものです。
 安倍首相は、2020年までに「憲法第9条第1項、第2項をそのまま残し、第3項に自衛隊を明記する」という憲法第9条の改定を表明しました。これは、自衛隊の存在をただ追認するだけのものではありません。首相が憲法第9条に改憲の焦点を当てたことは、日本を本格的に海外で戦争する国にしていこうとする危険きわまるものです。
 安倍首相が憲法第9条改憲の具体的な中身にまで立ち入り、2020年を施行期限とまで明示したことは、首相の憲法尊重擁護義務を定めた憲法第99条に反する発言であり、改憲案の発言権を持つ国会に対する行政権の不当な介入と言わざるを得ません。行政の長としての区長の見解を伺います。
 安倍首相の改憲発言を、陸海空の全自衛隊を統括する統合幕僚長が「非常にありがたい」と発言したことは、公務員の憲法尊重擁護義務を完全に無視し、文民統制の原則を踏みにじる暴言です。区長の認識を伺います。
 歴代自民党政権は、戦争はしないという憲法第9条第1項、戦力は持たないという第2項があるために、自衛隊を戦力には当たらない、自衛のための必要最小限の実力と位置づけてきました。そのために、安全保障法制が成立した後でも、自衛隊が武力行使を目的として戦闘に参加することはできません。ところが、憲法第9条に第3項を追加し、「但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」と、例外規定として書き込めば、憲法第9条第2項が空文化し、海外での武力行使が無制限に可能になります。この憲法第9条改憲について、区長の見解を伺います。
 安倍首相は、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、安全保障法制、戦争法、そして内心を処罰し、物言えぬ監視・密告社会をつくる共謀罪法案の強行採決など、海外で戦争する国づくりへ暴走を重ねています。専守防衛の志を持ち、災害のときには体を張って救援や復旧に頑張っている自衛隊員を、日本の防衛とは関係なく、海外で殺し殺される戦場に送ってもいいのか、区長の見解を伺います。
 NHKの調査では、憲法第9条改定反対が57%に上り、朝日新聞の調査では、63%が第9条改定反対と回答しています。共同通信社の調査では、日本が戦後、海外で武力行使をしなかった理由に、75%が憲法第9条を挙げています。どの世論調査でも、国民の圧倒的多数が、「憲法第9条を変えてはならない」と考えていることを、区長はどのように認識しているのか、伺います。
 東京大空襲では、江東区を初め、下町一帯が焼け野原となり、一夜にして10万人余のとうとい命が奪われました。江東区民は、政府の行為によって二度と再び戦争の惨禍を起こしてはならないと誓い、憲法第9条に基づいた平和都市宣言を行いました。
 宣言は、我が国が日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を堅持していくことを強く求めています。今こそ区長が、江東区平和都市宣言の精神に立って、憲法第9条を尊重、擁護する立場を区民に明確に示すことを求めるものです。伺います。
 日本国憲法は、第9条という世界で最も進んだ恒久平和主義の条項を持ち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項も盛り込まれています。思想信条の違い、政治的立場の違いを超え、良識ある保守の方々とも手を携えて、世界に誇る憲法第9条を守り抜くことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)

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区議団ニュース2017年7月号

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2017年第1回定例会―赤羽目たみお議員

 平成29年度江東区一般会計予算に対する修正案について、御説明いたします。
 消費税の増税や年金の削減、医療や介護など、社会保障費の負担増で、労働者の実質賃金は、4年前と比較して年収は19万円の減少、家計消費も15カ月連続で落ち込んでいます。さらにことしは、国による社会保障費削減計画のもと、医療や介護など、一層の負担増が実施されようとしており、江東区には、区民の暮らしを守る自治体本来の役割を果たすことが強く求められています。
 本修正案の柱として、第1に、区民の強い要望である医療や介護、教育にかかる経済的負担の軽減、中小企業支援の充実や防災対策の強化を図ります。
 第2には、区民の立場で不要不急の事業を削減し、区政史上最高額の積立基金を活用するなど、区民要望に積極的に応える財源を確保するものです。
 以下、主な内容について御説明いたします。
 平成29年度一般会計予算において、歳入歳出予算、1,996億4,200万円に13億3,694万円余を増額して、総額2,009億7,894万9,000円といたしました。これは予算原案に対して0.67%の増となるものです。
 まず、歳入についてです。
 第16款財産収入は、株式会社東京臨海ホールディングスへの出資金、2億4,000万円を取りやめるものです。
 第17款寄付金は、平成29年度に収入見込みのマンション建設に伴う公共施設整備協力金の一部、6億5,500万円余を、当初予算に計上いたしました。
 第18款繰入金は、財政調整基金から新たに4億4,000万円余の繰り入れを行いました。
 次に、歳出についてです。
 第1款議会費及び第2款総務費は、議長交際費、区長交際費をそれぞれ3割削減し、副区長を、2人体制を1人体制に見直しして経費を節減する一方、日本国憲法施行70周年を記念して講演を実施するなど、平和都市宣言趣旨普及事業の拡充や公契約条例制定のための調査費を計上いたしました。
 第3款民生費は、女性福祉資金貸付事業の継続や障害児通所サービスの利用料負担の軽減、高齢者の入院助成金や重度介護手当を支給、介護従事者を確保するため家賃助成事業を復活します。
 保育・子育て支援では、私立保育所巡回指導の充実や、こどもの貧困の区内実態調査の実施、子ども医療費助成の対象年齢を18歳まで拡充いたします。
 生活保護事業では、標準数に比べ不足しているケースワーカーを17名増員するなど、民生費全体で10億円余を増額いたします。
 第5款産業経済費は、小規模企業特別融資の利子補助率を引き上げるとともに、景気対策融資を実施、さらに生鮮三品小売店支援事業の対象を拡大するなど、商工振興費を2億2,000万円余増額いたします。
 第6款土木費は、全体で2,000万円余を増額いたします。これは、地下鉄8号線建設基金10億円の積み増しを中止し、音楽道路事業を取りやめる一方、住宅修築資金融資あっせん事業の継続、お部屋探しサポート事業の拡充、マンション耐震改修に対する助成金の増額や、老朽建築物除却助成の交付対象を拡大するなど、災害対策や住宅支援策を一層強化するものです。
 第7款教育費は、就学援助の入学準備費の支給額引き上げや、中学校入学前に入学準備費を支給します。
 さらに、私立学童クラブ補助事業を充実し、指導員の処遇を改善するなど、教育費全体で9,400万円余を増額いたします。
 以上、御理解の上、御可決くださいますようお願い申し上げ、提案説明といたします。

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2017年第1回定例会―赤羽目たみお議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問します。

    • 子育て支援について
    • 介護保険制度について
    • 国民健康保険など医療保険制度の問題について

     まず、大綱1点目、子育て支援について伺います。
     先日、区内のひとり親家庭の保護者から、「夜間や休日もこどもを家に残し働いて、年収は約300万円。生活はぎりぎりで、こどもと向き合う時間がとれない」という声が寄せられました。
     現在、こどもの6人に1人、ひとり親家庭では2人に1人が貧困状態に置かれており、ひとり親家庭に対する支援策の拡充が必要です。
     昨年、国は、児童扶養手当法の一部を改定し、多子加算を増額しました。しかし、こどもが1人の家庭への手当は増額されなかったため、本区でもひとり親家庭の6割に当たる約1,800世帯は増額されませんでした。
     そもそも、児童扶養手当を受給できる所得基準が厳しく、こどもが1人の場合、年間所得が約230万円を超えると一切支給されません。さらに、手当の支給は、4カ月分まとめて年3回の支給となっており、家計のやりくりが大変という声が上がっています。
     区長は国に対し、こどもが1人の家庭に対する支給額の引き上げや厳しい所得基準の見直し、年3回の分割支給から毎月支給への変更など、児童扶養手当のさらなる改善を求めるべきです。伺います。
     また、本区が支給している児童育成手当についても改善すべきです。
     現在、区内のひとり親世帯は一月、1万3,500円が支給されていますが、20年以上、支給額の見直しが行われていません。支給時期についても、児童扶養手当と同じく、まとめて年3回の支給となっています。区長は、ひとり親世帯への生活支援のため、支給額の引き上げや分割支給から毎月支給に変更するなど、改善を図るべきです。伺います。
     次に、教育費の負担軽減について伺います。
     学校入学時に購入するかばんや制服の代金が保護者にとって重い負担となっていることから、我が党は、就学援助の入学準備費を入学前の3月に支給することや、支給額の引き上げを求めてきました。区はこれまで、私立学校に入学するこどもにも支給することになるなどとして、入学準備費の3月支給を拒んできました。しかし、子育て世帯の負担軽減として、支給時期を改善した自治体は全国で80区市町村に及んでいます。都内では5区2市で実施され、さらに4区8市で検討されるなど、今急速に広がっています。区長は、こどもの貧困対策を前進させるため、本区の支給時期を直ちに改善すべきです。
     また国も、入学時にかかる保護者負担と就学援助費が大きく乖離している現状を認め、来年度から生活保護世帯と同程度に困窮している要保護世帯に対する入学準備費の支給単価を、2倍に引き上げました。区は、今回の支給単価の引き上げにより、就学援助費が増額となる要保護世帯を把握し、直ちに支給できるよう対応すべきです。同時に、準要保護世帯に支給している入学準備費についても、実情に合わせ引き上げるべきです。伺います。
     次に、学校給食の無償化について伺います。
     区はこれまで、学校給食法で食材費は保護者の負担となっていることを理由に、年間4万円から5万円の費用を保護者から徴収しています。しかし、家計負担の軽減による子育て支援として、学校給食を無償化する自治体がふえています。都内でも、葛飾区では多子世帯の、文京区ではひとり親世帯の学校給食を無償化しています。本区でも、子育て世帯の負担軽減として、学校給食の無償化に踏み出すべきです。伺います。
     子育て支援の最後の質問は、緊急一時保育の改善についてです。
     区は現在、保護者の出産や病気による入院など、緊急の理由で一時的に保育ができなくなった場合、こどもを認可保育所などで預かる事業を行っています。
     先日、前置胎盤のため、入院もしくは在宅で絶対安静と医者から診断された保護者が、自宅での安静を選び、3歳のこどもを緊急一時保育に預けようとしたところ、入院していないことを理由に断られてしまいました。区長は、入院時に限らず、自宅安静が必要と診断された場合や、同じ病名で再入院となった場合でも利用できるように、緊急一時保育を改善すべきです。伺います。
     大綱2点目、介護保険制度について伺います。
     介護保険制度は、介護の社会化を図ることを目的として創設されましたが、3年ごとの制度改定のたびに負担増やサービスの切り下げが行われ、保険あって介護なしの状況が広がっています。
     国は、要介護1・2の方への訪問介護などを保険給付から外すことは国民の強い反対で中止したものの、給付費の削減を目的として、2017年度から一月の介護サービスの自己負担上限額を7,200円も引き上げることや、現役世帯の保険料値上げにつながる介護保険料の総報酬割を導入するとしています。
     2018年度からは、一定所得以上の方に利用料3割負担を押しつけることや、生活援助に対する人員基準を緩和して単価を引き下げ、ケアプラン作成に自己負担を導入するなど、介護保険制度のさらなる大改悪を狙っています。
     制度改悪について、介護保険制度創設時に厚生労働省の老健局長だった堤修三氏は、「高い保険料をとっておきながら給付を抑えることは、国家的な詐欺」と厳しく批判しています。
     これまで区長は国の動向を見守ると答弁してきましたが、制度改悪が行われれば、耐えがたい負担増と介護の切り捨てを区民に押しつけることとなり、今以上に生活が厳しくなることは明らかです。介護保険制度の改悪中止を求めるとともに、国庫負担割合を引き上げて介護保険制度を改善するよう、区として国に求めるべきです。伺います。
     国による制度改悪のもとで、江東区には、介護サービスを保障する役割が強く求められています。
     まず、介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。
     昨年4月から、要支援者の訪問介護、通所介護が介護保険給付から外され、区が実施する総合事業に移されました。我が党はこれまで、報酬単価が低いため、介護事業所の経営を悪化させ、要支援者の利用を拒む事態が起きると指摘してきましたが、その指摘どおり、報酬に応じたサービス提供ができないので要支援者の受け入れが難しい実態となっています。
     区長は、高い保険料をとっておきながらサービスが提供できていない現状をどのように受けとめ、今後対応していくのですか。低い報酬単価を直ちに引き上げ、要支援者に必要な介護サービスを提供できるようにすべきです。伺います。
     次に、地域包括支援センターについて伺います。
     高齢者の介護予防や権利擁護、虐待、認知症への対応や相談など、高齢者の生活全般を支える地域包括支援センターについて、我が党は早急に整備、拡充するよう求めてきました。来年度からようやく21カ所に整備されますが、東陽南の在宅介護支援センターを地域包括支援センターにせず、廃止することは極めて問題です。
     廃止されると東陽地域包括支援センターが担う高齢者は6,000人以上となり、国が示した設置基準を超えてしまうことや、利用者から遠い場所となり、きめ細やかな支援ができません。東陽地域の住民からも、身近な場所に残してほしいとの強い声が上がっています。将来の高齢者人口の増加を見据え、東陽南の在宅介護支援センターを地域包括支援センターとして残し、地域住民の願いに応えるべきです。伺います。
     次に、介護人材確保策の拡充について伺います。
     区民待望の塩浜の第15特別養護老人ホームは、介護職員の確保ができず、現在でも98床のベッドのうち50床があいている状況です。
     介護職員が確保できない原因は、全産業の平均月額給与と比較して10万円も低い賃金など、劣悪な処遇にあります。国は、来年度、処遇改善し、賃金を月額1万円引き上げるとしていますが、さらなる賃金の引き上げなど、介護職員の処遇改善を行うよう、区長は国に求めるべきです。
     来年度から、区の就職面接会に参加した方が区内の介護事業所に就職した際、就労準備金を支給する事業などを開始することには一定の評価をしますが、人材確保のために介護職員への家賃補助を復活させるなど、さらなる介護職員確保策の拡充を図るべきです。あわせて伺います。
     大綱3点目、国民健康保険など医療保険制度の問題について伺います。
     来年度の国民健康保険料について、1人当たり平均7,252円もの大幅な値上げが提案されています。今回の値上げは、加入者全員が負担する均等割額が3,300円も値上げされ、過去5年間で最高の負担増となり、国民健康保険加入者の大半を占める低所得者や高齢者、多人数世帯にとって非常に厳しい内容となっています。
     例えば年収400万円の40歳代夫婦とこども2人の世帯では、今回2万9,000円も値上げされ、48万4,801円にはね上がり、算定方式が変更された6年前と比べると、13万2,000円もの大幅な負担増で、家計に深刻な打撃を与えます。収入が一向にふえない中で厳しい暮らしを強いられている区民に、さらなる負担増は許されません。区長は来年度の国民健康保険料の値上げを撤回すべきです。伺います。
     保険料値上げの要因は、医療給付費の増加と、2018年度からの広域化に向けて、これまで保険料の値上げを抑えてきた高額療養費への一般財源の繰り入れの割合を縮小したことです。国民健康保険制度の広域化のために高額療養費への一般財源の繰り入れをやめるとしていますが、繰り入れが全てなくなれば、大幅な負担増が区民に襲いかかります。区長は、国民健康保険制度の広域化中止を国に求めるべきです。また、高額療養費への一般財源の繰り入れ割合の縮小を撤回すべきです。あわせて伺います。
     国は、保険料を引き下げるため、保険者支援金として自治体に1,700億円を投じました。立川市はこの財源を趣旨どおり全額保険料の引き下げに充て、昨年度、保険料の値下げを実現しました。江東区にも約5億円が配分されます。この財源を保険料の引き下げに充て、23区一体となって国民健康保険料の負担軽減を行うべきです。伺います。
     区は、保険料が高過ぎて払えない滞納者に対して、正規の保険証の取り上げや預金などの差し押さえを行っています。先日、私たち区議団に、振り込まれた給料全額が差し押さえられ、御飯も食べられないといった相談が寄せられました。区は、差し押さえは相談につなげるための手段などとしていますが、生活が成り立たなくなるほどの差し押さえは違法です。強権的な差し押さえは是正すべきです。
     また、窓口で全額自己負担となる資格証明書の発行は、医療機関での受診を困難にして健康状態を悪化させます。資格証明書の発行は中止すべきです。あわせて伺います。
     次に、多子世帯に対する保険料負担の軽減について伺います。
     これまで国は、子ども医療費に助成を行う自治体に対し、国庫負担金を減額するペナルティーを科していましたが、子ども医療費無償化の拡充を求める強い世論に押され、就学前のこども分までのペナルティーを廃止しました。それに伴い本区でも、3,700万円ほどの新たな財源が生まれました。この間の保険料の算定方式の変更で、多子世帯の負担は他の世帯と比べ重くなっています。区長は、この財源を活用して多子世帯の保険料負担を軽減すべきです。
     さらに、就学以降についても、子ども医療費助成の減額ペナルティーを撤廃し、国の制度として子ども医療費の無償化を実施するよう求めるべきです。あわせて伺います。
     高齢者医療の充実、負担の軽減も強く求められています。しかし、国は、社会保障削減計画のもと、ことし8月から医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度における70歳以上の自己負担上限額の引き上げや、療養病床に入院する65歳以上の方の居住費を年間1万8,000円も値上げ、さらには、これまで徴収してこなかった重症患者にも居住費負担を強いるとしています。
     75歳以上の後期高齢者医療では、ことし4月から、低所得の世帯に対する保険料の軽減措置が縮小され、所得割は5割軽減から2割軽減へ移行し、低所得の区民、5万7,000人の負担が重くなります。この間、年金が削られ、高齢者の暮らしが厳しさを増しています。追い打ちをかけるさらなる負担増は、区民生活を破壊するものです。区長は、高齢者を狙い撃ちにした医療保険制度の改悪中止を国に求めるべきです。区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
     御清聴ありがとうございました。(拍手)

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2017年第1回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問いたします。

  • 来年度の予算編成について
  • 行財政改革における民間委託等について
  • 公共施設等総合管理計画の骨子案について
  • 豊洲市場問題について

 質問の1点目は、来年度の予算編成について伺います。
 初めに、政府の経済政策と来年度予算について伺います。
 安倍政権が進める経済政策、アベノミクスの4年間は、大企業、富裕層へ富を集中させる一方で、中間所得層を疲弊させ、貧困層を増大させるなど、日本社会の格差を深刻なものにしています。
 大企業の利益はこの3年間で1.5倍にふえ、内部留保は過去最高の386兆円に達しています。
 一方、労働者の実質賃金は4年間で19万円減少し、家計消費も実質16カ月連続マイナスです。政府の国民生活基礎調査でも、「生活が苦しい」が18%もふえて60%に達し、「普通」は16%減って36%に落ち込んでいます。
 本区の区税収入を見ても、非課税世帯や年収200万円以下の貧困層がふえ、生活保護世帯も7,700世帯、約1万人になるなど、貧困が広がっています。
 区の景況調査でも厳しい状況が続き、地元商店街からは、「閉店がふえている。景気は悪くなる一方だ」との声が上がっています。
 アベノミクスで景気は回復基調だと主張してきた区長の認識は、区民の生活実態と乖離していると考えますが、区長の見解を伺います。
 安倍政権のもとで、年金の削減や医療・介護の負担増など、社会保障改悪が行われてきました。政府の来年度予算は、後期高齢者医療保険料の引き上げを初め、70歳以上の高額療養費の患者負担増、介護利用料の3割負担導入など、格差と貧困に追い打ちをかけます。
 さらに、政府の来年度予算額は、社会保障を切り捨てながら、戦争法である安全保障法制を推し進めるために軍事費を増大させ、過去最大の約5兆1,250億円です。区長は政府に対し、4兆円にも及ぶ大企業減税をやめ、海外派兵のための軍事費を削減し、社会保障や暮らしに回すことを求めるべきです。伺います。
 次に、本区の来年度予算編成について伺います。
 安倍政権のもとで格差と貧困が広がり、区民の暮らしは一層厳しいものになっています。これまでの景気は回復基調だとして、区民の暮らしを直視しない区長の姿勢を改め、区民生活を守るために力を尽くすことが、今、切実に求められています。ところが、区の来年度予算では、約1,000人の定員増を図る認可保育所の整備などがあるものの、オリンピックのカウントダウンイベントに約2,100万円を使うなど、オリンピック・パラリンピック関連事業には新たに約7億円を投入します。
 その一方で、深刻な介護士不足に対応する就労支援事業の拡充分は360万円にすぎないばかりか、区民の暮らしを支えるための新たな経済的支援策はありません。
 中でもオリンピック・パラリンピック開催を理由にして、通常の建設費と比べて極めて高い120億円余を投入する(仮称)第二有明小・中学校の建設は問題です。学校施設に格差をつける特別な校舎建設よりも、学校現場から強い要望が上がっている雨漏りやトイレなどの改修に力を尽くすべきです。伺います。
 また、来年度予算では、女性や母子家庭などで銀行融資が受けられないときに、無利子で修学資金などが借りられる女性福祉資金を廃止し、高齢者のためのバリアフリー改修費の助成や無利子で耐震補強改修費を融資あっせんする住宅修築資金融資あっせん事業も切り捨てます。生活支援に必要な女性福祉資金、住宅修築資金融資あっせん事業の存続を求めます。伺います。
 区立亀高保育園の民営化も問題です。
 運営費が大幅に削られたため、人件費が抑えられた上に、延長保育が義務づけられる結果、過重労働となって保育士の退職につながるなど、保育士不足の解消に逆行します。
 待機児童が増加し、認可保育園不足が深刻なさなかに、保育の質が高く運営が安定している公立保育園を民営化する必要性など全くありません。民営化の中止を求めます。伺います。
 本区は人口増により行政需要が高まっていますが、人口1,000人当たりの職員数は23区中最低に近く、福祉事務所だけで27人も不足しており、過重労働によるメンタル不調がふえ、業務に支障を来しています。退職不補充など、職員削減による定員適正化計画を見直し、職員組合が求めている164人の職員増員に応えるべきです。伺います。
 区は、住民税の強権的な徴収強化を続けています。税法上、差し押さえ禁止である年金などを全額差し押さえ、区民を生活困窮に追い込んでいます。差し押さえありきの徴収強化はやめ、区民の生活実態に即した税務行政とするべきです。伺います。
 1,000億円を超す基金の一部を活用し、区民生活支援を最重点に据え、区内経済を支えている中小企業のための予算を強化するなど、予算の修正を求めます。
 今、高齢者からは、「夫の介護でお金がかかり預金もなくなった」など、悲痛の声が寄せられています。高齢者入院見舞金制度や重度介護手当を創設するべきです。
 こどもの貧困が深刻さを増し、生活支援が急務です。保育料軽減や就学援助の拡充、学校給食費の負担軽減を行うほか、子ども医療費助成制度は18歳まで対象を広げることを求めます。
 また、地元建設業者からは、「地域の仕事が少ない。賃金、単価も上がらず苦しい」などの声が上がっています。
 来年度予算に占める産業経済費の割合は、わずか0.9%です。地域経済活性化に向け、住宅リフォーム助成制度の実施、店舗改修助成制度の拡充、公契約条例の制定、制度融資の利子補助拡充などを行うべきです。あわせて伺います。
 質問の2点目は、本区の行財政改革における民間委託等について伺います。
 区は、重度の障害者が通所している塩浜福祉園を民営化する計画を立てています。区は、利用者の家族会に対し、指定管理者の導入に向け、事業者選定の事前調査を提案してきましたが、家族会がアンケートを行った結果から、事前調査に同意しないことを区に伝えました。ところが、区は家族会の同意など関係ないとの姿勢であり、家族会からは、「民間委託ありきで信頼関係が持てない」との声が上がっています。これは、「利用者との信頼関係を基本に取り組む」とする区の方針に背くものであり、民営化ありきの姿勢を改め、家族会の声を受けとめるべきです。伺います。
 他の自治体の施設を見学した家族会は、民営化した障害者施設では、人件費削減で職員配置が少ないこと、一方で、他区の区直営の福祉園では、介護職に区の職員を配置するなど、専門的機能が充実していると指摘しています。
 重度障害者の保護者からは、「うちの子は環境変化で一、二カ月間、食事も水もとれず10キロもやせたことがあります。区の職員と長年培ってきた信頼関係は命にかかわる大切なものなのです」と述べ、区直営での存続を切望しています。
 区は、塩浜福祉園の民営化を中止し、介護職などに区職員を配置するなど、専門的機能を充実することを求めます。伺います。
 次に、区立図書館の民間委託について伺います。
 区は、既に民間委託した窓口業務に加え、図書館全体の民営化を検討しています。私たち区議団は、民間委託した佐賀県の武雄市図書館と、民間委託後に直営に戻した山口県の下関市立中央図書館を視察しました。
 武雄市図書館は、TSUTAYAなどを中心に運営している営利企業に運営を委託しましたが、市民の調査研究に欠かせない貴重な歴史資料や書籍を大量に廃棄し、歴史資料館を潰してレンタルビデオ店にするなど、収益第一の商業施設的な運営となっています。
 一方、下関市立中央図書館は、紀伊國屋書店が主体の管理会社に運営を委託しましたが、収益を上げるために人件費を削り、32人の司書を25人に削減するなど、図書館の役割を低下させたなどの理由で直営に戻しました。
 図書館は、図書館法で「教育と文化の発展に寄与し、教養、調査研究などに資することを目的とする」と定められており、サービス利用料は無料が原則です。
 視察した2カ所の図書館の実例は、民間企業への委託が利益最優先となり、図書館本来の目的と役割が果たせないことを端的に示していると考えますが、区の見解を伺います。
 図書館の民間委託の検討は中止し、直営を維持するべきです。同時に、司書を区の正規職員として増配置するなど、図書館機能を充実することを求めます。伺います。
 次に、本区の非常勤職員の雇用問題について伺います。
 区は、学童クラブを初め、江東きっずクラブ、げんきっずなどで働く区の非常勤指導員に対して、雇いどめ、首切りを行おうとしています。これまで区は、民営化する場合でも、配置転換などで1人も雇いどめはしませんでした。また、区は昨年の10月に、全員を継続雇用することを表明しており、今回の雇いどめ、首切りは極めて不当で許されないものです。しかも、継続雇用を希望している非常勤指導員のうち、誰が雇いどめに指名されるのか、期日も含めて不明としたことから、非常勤指導員全員に大きな不安が広がるなど、手続上も不当のきわみです。
 学童クラブなどの非常勤指導員は、正規職員と協力しながら、こどもたちの安全と健やかな成長のために大きな役割を果たしています。雇用など、住民生活を守ることが自治体の責務です。首切りを中止し、全員の雇用を継続するべきです。伺います。
 質問の3点目は、本区の公共施設等総合管理計画の骨子案について伺います。
 区は、政府の要請に基づき、公共施設などの管理の基本方針を定める江東区公共施設等総合管理計画の策定に向け、骨子案を発表しました。
 公共施設等総合管理計画策定の背景には、安倍政権が決定した日本再興戦略があり、その狙いは、公共施設の統廃合、集約化によりコスト削減を図ること、公共施設などの維持管理を民間企業に委ねて利益確保の場にすることにあります。
 新宿区は、公共施設等総合管理計画素案を発表しました。財源不足を理由に、区施設の総床面積を22%削減して不動産活用を図り、施設使用料の値上げなどを計画しています。
 また、練馬区の素案でも、財政難を理由に、小中学校の統廃合、出張所の廃止のほか、児童館も含め、区民館、地区集会所など44カ所を廃止するなど、区民サービスを大幅に切り捨てます。
 本区の骨子案では、今後30年間の改修・改築費用等の推計は約4,625億円、年平均で約154億円が必要と試算し、今後、既存施設については廃止、縮小、統合などを検討するとしています。新宿区や練馬区と同様に、多数の公共施設を廃止、縮小する区民サービス切り捨ての計画にするべきではありません。伺います。
 川崎市では、道路や橋梁などのインフラ資産の長寿命化とあわせて既存の公共施設も長寿命化させ、財政負担の軽減を図るとしています。本区でも、既存施設の廃止計画などではなく、長寿命化を検討するべきです。伺います。
 また、本区の骨子案には、開発が進む南部地域では、人口増を踏まえ、子育て関連施設などの新規整備を行うとしています。しかし、有明地区については、公共施設の整備計画が具体化されていません。子ども家庭支援センター等々、必要な施設の整備計画の具体化を図るべきです。伺います。
 国の公共施設等総合管理計画策定の指針では、議会や住民との十分な情報共有を求めていますが、本区が行っているのは区報による意見聴取だけです。計画策定の段階から十分な情報公開と地域別の丁寧な住民説明会を実施し、住民合意の計画にすることを求めます。伺います。
 質問の4点目は、豊洲市場問題について伺います。
 1月14日、都が実施した地下水モニタリング調査の最終結果が公表され、観測井戸201カ所のうち72カ所で環境基準を超す有害物質が検出されました。発がん性のあるベンゼンが35カ所で環境基準を超え、最大で79倍。また、検出されてはならない猛毒のシアンも39カ所で検出され、ヒ素は20カ所で環境基準を超えるなど、豊洲市場の全街区において汚染が確認されました。
 この調査結果について、都の専門家会議ではショッキングな数値であり、盛り土の再汚染がないとは言い切れないとして、今、地下水の再調査が行われています。
 今回の結果は、この間、我が党が、「都の土壌汚染対策は汚染物質を全て除去していない」、「環境基準を超す汚染土壌、地下水が取り残されている」と指摘してきたことのあかしだと考えますが、区の見解を伺います。
 そして、都の地下水の再調査はわずか29カ所で実施するにすぎません。区民の不安が広がる中で、安全・安心を担保するためにも、201カ所全ての観測井戸で調査するよう都に求めるべきです。
 また都は過去8回の地下水モニタリング調査について、土壌汚染対策工事を行ったゼネコンや地下水管理システムを設計した企業に発注した上に、都の職員が検査に立ち会っていないなど、検査結果の信憑性がありません。過去8回の調査結果の全面検証と結果の報告を都に求めるべきです。あわせて伺います。
 今回の地下水モニタリング調査の結果を見ると、汚染された地下水が上昇し、海抜1.8メートルを大幅に超え、盛り土が再汚染されている可能性が強まっています。都に対して盛り土の汚染調査の実施を求めるべきです。伺います。
 また、都の専門家会議による土壌汚染対策は、日本環境学会の専門家などから、有楽町層以下の地下水調査の未実施や、地下水管理の困難性などが指摘され、絵に描いた餅と批判されてきました。真に食の安全・安心を確保するために、専門家会議と異なる見解の専門家を配置して、これまでの汚染調査や土壌汚染対策工事などの徹底検証と本区への説明を都に求めるとともに、区みずからも検証し、区民への説明責任を果たすべきです。伺います。
 また、東京ガス豊洲工場跡地購入を強引に進めてきた石原元都知事などの責任と真相解明を求める世論が強まっています。この間、我が党都議団は、都議会に百条委員会の設置を繰り返し求めてきましたが、設置が合意され、真相の解明に向けて重要な前進となります。また、都においても全容を解明し、公表する責任があります。これまでの検証は求めないとする区の姿勢を改め、都に対して全容解明を求めるべきです。伺います。
 仲卸などの市場関係者からも、「豊洲市場の安全宣言はもう無理」、「市場にできる場所ではない」との声が上がっています。移転の白紙撤回は現実的ではないとする区の考えを見直し、豊洲への移転は一旦白紙撤回し、市場関係者などを含めて、築地における市場再整備の検討を行うよう都に求めるべきです。
 以上、区長に伺い質問を終わります。(拍手)

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区議団ニュース2017年4月号

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2016年第4回定例会―赤羽目たみお議員

 議員提出議案第20号、江東区就学援助費支給条例について、御説明申し上げます。
 就学援助は、学校教育法第19条の規定に基づき、経済的理由により就学困難な児童・生徒の保護者に対して、本区が必要な援助を行うことによって、義務教育の円滑な実施を図ることを目的としています。
 現在、同制度の支給時期は8月以降となっており、入学準備費は学校指定の制服やかばんを購入する際に間に合わず、保護者から改善を求める声が上がっています。文部科学省も、児童・生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるように十分配慮するよう自治体に通知を出しています。
 本条例案は、国の要請や保護者の願いに応え、江東区就学援助費支給要綱を条例化し、事業の安定化を図るとともに、中学校への入学準備費の支給時期を早めるものです。あわせて、支給対象に私立小中学校に在籍する児童・生徒の保護者を含めるものです。
 以下、条例案の主な内容について、御説明いたします。
 第1条では目的を、第2条では支給対象として、区内に住所を有する小中学生の保護者で、生活保護法に規定する要保護者、または要保護者に準ずる程度に生活が困窮している準要保護者とし、第3条では支給費目を定め、第4条、第5条では申請、支給認定の決定等についてそれぞれ規定し、第7条では支給方法を定めました。
 第8条では、支給の時期を別表に定め、入学準備費については、これまでの8月支給から、入学する年度の前年度の3月に支給できるようにするものです。
 第9条では、受給者の住所または氏名に変更があった場合等の届け出について定め、第10条では虚偽の申請、その他不正な行為があった場合の認定の取り消しを規定いたしました。
 なお、この条例の施行に関し必要な事項は別に定めることとし、本条例の施行日は平成29年1月1日といたしました。
 以上をもって提案説明といたします。
 よろしく御審議の上、御可決くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

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2016年第4回定例会― 大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問を行います。

  • 豊洲市場問題について
  • 来年度予算編成と区民の暮らしについて
  • 平和と憲法問題について

 大綱の第1は、豊洲市場問題について伺います。
 東京都は、11月1日、豊洲市場の建物下に土壌汚染対策として行うはずだった盛り土がなかった問題について、2回目となる自己検証報告書を公表し、地下空間を設ける意思決定をした当時の中央卸売市場の幹部の懲戒処分を発表しました。
 今回の検証結果は一歩前進ではありますが、なぜ専門家会議に報告しなかったのか、なぜ環境影響評価書の変更手続を行わなかったのか、さらに、当時の最終意思決定権者である石原元都知事の責任など、全容が解明されているとは言えません。区はこの第二次自己検証報告書をどのように受けとめていますか。また、全容解明のため、さらに検証を進めるよう求めるべきではないですか、伺います。
 区長からは、前回本会議での我が党の質問に対し、「東京都に早急な説明を求め、実態を把握してまいりたい」、「東京都からの詳細な説明を受けた上で、適切な対応を図ってまいります」との答弁がありましたが、いまだ区として正式な説明を受けていません。なぜ、直接説明を求めないのですか。区として東京都からの詳細な説明を求めるべきです。伺います。
 2008年に専門家会議が提言した土壌汚染対策の柱は、汚染された土壌が直接さらされないように4.5メートルの盛り土を施すことと、汚染の可能性がある地下水は、ポンプでくみ上げるなどして上昇させないようにすることというものでしたが、建物下には盛り土がされておらず、また、地下水管理システムも本格稼働したものの、本来予定していた揚水量をはるかに下回るなど、地下水管理システムが機能していない可能性が極めて強く、東京都の土壌汚染対策の2つの柱は破綻しています。
 この間、豊洲市場予定地の地下水からは環境基準値を超えるベンゼンやヒ素が検出され、地下空間の大気中からは、国の指針値の7倍の水銀も検出されています。土壌が再汚染され、いつ高濃度の汚染が出てきてもおかしくないと指摘されています。
 また、そもそもこの専門家会議が提言した土壌汚染対策については、有楽町層以下の調査を行っていないことや、地下水管理の難しさなどについて、日本環境学会の学者など、外部の専門家からは、「絵に描いた餅だ」、「これでは土壌はきれいにならない」との批判の声が上がっていました。東京都の不十分な土壌汚染対策に対し、物を言ってこなかった区の責任も重大です。
 区長は、2008年に提言された土壌汚染対策の不十分さについて、どのように認識していますか。伺います。
 小池都知事が土壌汚染問題を検証するために再発足させた専門家会議が、この間、2回開催され、地下水や大気の汚染が検出された原因について説明を行っていますが、「地下水の汚染は徐々に低下していく」、「大気中の水銀は換気をすれば大丈夫」など、科学的な分析を欠いたあくまでも見解を述べているにすぎません。
 これまでの東京都の不備とごまかしに満ちた土壌汚染対策に対する検証や反省もなしに議論することは、非科学的で逆立ちした考えであり、破綻した土壌汚染対策をいくら取り繕っても食の安全・安心を確保することはできません。食の安全・安心を確保するためにも、豊洲の東京ガス工場跡地への移転計画は一旦白紙撤回し、市場関係者や消費者、都民も参加して、市場の再整備について議論を行うよう東京都に求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 専門家会議に出席したある市場関係者の方は、「自分の信念を曲げて断腸の思いで移転の準備をしてきた」と発言していましたが、東京都が市場関係者や都民の根強い反対の声に背を向けたまま移転計画を強引に進めてきた責任は、極めて重大です。
 今回、東京都は、築地市場の豊洲への移転、開場計画の延期に伴う市場関係者への損失補償について、中央卸売市場会計から補償金を支払うとともに、つなぎ融資を実施すると発表しました。東京都の政策判断で移転、開場延期を決めた以上、補償は当然のことであります。補償については、市場関係者の負担にならないように、東京都の責任で速やかに実施するよう求めるべきです。伺います。
 大綱第2は、来年度予算編成と区民の暮らしについて伺います。
 区長は、この間、政府の言い分をうのみにし、「アベノミクスで景気は緩やかな回復基調にある」、「雇用・所得環境も改善」と述べてきました。しかし、大企業がもうけ続ける一方で、労働者の賃金の伸び悩みと消費税増税の影響により、日本経済の6割を占める個人消費は停滞を続けています。
 今月14日に発表されたことし7月から9月期の国内総生産速報値でも、成長は専ら輸出頼みで、個人消費は前期比でわずか0.1%の伸びにとどまり、より生活実感に近い名目では0.1%の減少です。雇用でも、正規雇用が21万人増に対し、非正規雇用は69万人の増で、不安定、低賃金の労働者がふえているにすぎません。
 江東区中小企業景況調査でも、景況指数はマイナス状況が続いており、商店を営む方からは、「店舗を借りているところはみんなやめてしまった」、「自分もいつやめようか」という声が出るなど、深刻でとても景気がよくなっているとは言えない状況です。
 区の税収も、1人当たりの納税額はふえているものの、非課税世帯と年収200万円以下の世帯が増加し、生活保護世帯は7,500世帯を超える状況が続いています。格差と貧困が拡大しているのではないでしょうか。区長は、区民の暮らしの実態についてどう認識しているのか、伺います。
 大企業や大資産家が利益やもうけをふやしさえすれば、いずれ国民経済に回ってくるというアベノミクスの破綻を認め、国民の暮らしを土台から温める経済政策に転換することこそが唯一最大の経済政策です。
 日本共産党は、日本経済を好循環へと転換させるため3つのチェンジを提案しています。
 第1に、税金の集め方のチェンジです。消費税率10%への増税はきっぱり中止し、税金は応能負担の原則に立ち、大企業や大資産家にその能力に応じた負担を求める改革を進めること。
 第2に、税金の使い方のチェンジです。大型開発へのばらまきをやめ、社会保障、若者、子育てに優先して使うこと。
 第3に、働き方のチェンジです。労働者派遣法の抜本改正など、非正規雇用から正規雇用への流れをつくること、残業時間の上限を法律で規制することで長時間労働をなくすことなど、人間らしく働けるルールへとチェンジすることです。
 区内経済と区民の暮らしを守るためにも、政府に対し、経済政策の転換を求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 先日、私のところにがん治療のため入院中だという71歳の女性から電話がありました。年金が2カ月で5万円しかないため、働いていたが、仕事もできなくなり蓄えも底をつき、「これからどうやって生活していったらいいかわからない、治療費も払えない、助けてください」と、切実な相談でした。
 この間、安倍政権は、社会保障費の自然増すら押さえ込み、70歳以上の高齢者の医療費に係る窓口負担の2割への引き上げや介護保険制度の改悪など、社会保障の改悪を進めてきました。
 平成29年度予算では、厚生労働省の概算要求段階で、6,400億円に抑えた自然増をさらに1,400億円カットし、後期高齢者医療制度における保険料軽減措置の撤廃、70歳以上の高齢者の高額療養費や高額介護サービス費の月額負担上限額の引き上げや、さらなる年金削減の仕組みもつくろうとしています。
 負担増やサービスの切り下げで、区民が必要な医療や介護から締め出されれば、重症化、重度化が進み、かえって将来の社会保障費を膨張させかねません。
 また、年金削減は高齢者の暮らしを破壊し、将来への不安を一層増大させ、消費を抑制させるなど、区内経済にとってもマイナスです。政府に対し、社会保障の改悪を行わないよう求めるべきではないですか。伺います。
 次に、本区の来年度予算編成と区政運営について伺います。
 格差と貧困を拡大させるアベノミスクや相次ぐ社会保障の削減で、区民の暮らしは厳しくなるばかりです。身近な江東区政が、区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たさなければなりません。
 来年度予算編成に当たっては、第1に、区民の暮らしを支える経済的支援の充実を図るよう求めます。
 高齢者の医療や介護の負担を軽減するため、高齢者入院見舞金制度や重度介護手当の創設を行うこと、また、こどもの貧困が深刻な中、保育料の負担軽減、就学援助の拡充など、教育費の負担軽減を行うよう求めます。また、国民健康保険料の値上げは行わないよう求めます。
 第2に、区内経済を支える中小企業支援の強化を求めます。
 予算に占める割合がわずか1%という中小企業予算を抜本的にふやし、店舗改修助成の対象を生鮮三品から全業種へ拡大することや、仕事確保のための住宅リフォーム助成制度の創設に足を踏み出すべきです。伺います。
 第3に、区民の暮らしを支える公共施設の整備を区の責任で進めることです。
 深刻な不足が続く認可保育所とともに、児童虐待が増加する中で、子ども家庭支援センターの増設を直ちに行うべきです。また、家族介護の負担を軽減し、高齢者の暮らしを支えるため、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備についても、長期計画に盛り込み、整備を進めるべきです。さらに、関係者からも切実な声が出ている、障害者多機能型入所施設の整備を前倒しして実施するよう求めます。
 第4に、正規職員の増員と非正規職員の処遇改善を行うことです。
 江東区では人口が急増し、区がやらなければならない仕事がふえているにもかかわらず、定員適正化の名のもとに職員数を削減し、公共施設の民間委託を推進してきました。区の正規職員数は現在2,756人で、平成8年から1,330人も削減しています。一方で、人口は増加し、人口1,000人当たりの職員数は5.6人となり、23区中、下から3番目に少ない状況です。
 区は、少数精鋭で職員の研修なども行って、サービス向上に努めていくなどと述べていますが、福祉事務所では、生活保護を担当するケースワーカーが不足し、国の1人当たり80人という基準をはるかに超えて、平均で100人、多い方では120人を担当せざるを得ない状況です。これでは十分な支援は行えません。職員労働組合からは、来年度、福祉事務所で27人、区民課で14人、障害者支援課で12人など、合計164人の人員要求が出されています。定員適正化計画を見直し、正規職員の増員を行うよう求めます。見解を伺います。
 区は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に派遣する区職員の穴埋めのため、任期つき職員の採用を行おうとしています。雇用期間は最長でも3年で、まさに使い捨ての働かせ方にほかなりません。公正で安定した行政運営を行う点からも、任期つき職員の導入はやめるべきです。伺います。
 また、非正規職員の処遇改善も急務です。非正規職員は区の職員全体の約4分の1を占め、区の業務を進めていく上で重要な役割を担う一方で、給与や待遇は低く抑えられたままです。時給を直ちに1,000円以上に引き上げること、また、交通費の全額支給、昇給制度の導入など、処遇改善を行うべきです。伺います。
 第5に、民間委託の見直しです。
 区は、来年度から亀高保育園や青少年センターの民間委託を行います。また、行財政改革計画では、来年度、塩浜福祉園の民間委託や次期の公立保育園の民営化計画を決定するとともに、図書館についても、民間委託化の検討を行うとしています。
 公立保育園の民間委託では、運営費が減らされる一方で、2時間延長保育の実施が義務づけられるなど、仕事量は増大します。結果として、公立よりも人件費が低く抑えられ、過重労働となるため、保育士の退職につながるなど、公共施設の民間委託は福祉現場の人手不足解消に逆行するものです。
 また、公共施設の指定管理は、期間を定めて指定されるため、図書館の管理などでは専門性、継続性、熟練度の蓄積が望めません。さらに、営利施設ではない図書館運営を営利企業などに委ねることになれば、結局、利用者へのサービス水準や職員の処遇にしわ寄せがいくことになります。これ以上の公共施設の民間委託は行うべきではありません。伺います。
 区は、区民犠牲の行財政改革を推進する一方で、基金のため込みを行ってきました。平成27年度決算では、新たに約128億円の積み増しを行い、基金総額は約1,070億円と過去最高となっています。過度な基金のため込みをやめ、区民への経済的支援や公共施設の整備、職員の増員を行うよう求めます。見解を伺います。
 大綱の第3は、平和と憲法問題について伺います。
 政府は、南スーダンへPKO派遣する自衛隊に、駆けつけ警護と宿営地の共同防護の新たな任務を付与しました。新たな任務は、武力行使を禁止した憲法第9条に明らかに違反するもので、決して許されるものではありません。区長は、江東区平和都市宣言にも反する新たな任務の付与の撤回を求めるべきです。伺います。
 南スーダンでは、7月に首都ジュバにおいて、大規模な武力紛争が起きたにもかかわらず、政府は、「衝突は起こっているが戦闘ではない」との詭弁を弄し、現地の深刻な実態を認めようとしません。
 7月の戦闘では中国のPKO隊員2人が死亡し、内戦の激化でケニアの部隊も撤退しました。新任務付与によって、自衛隊員が他国の人を殺し、殺される取り返しのつかない事態になりかねません。
 国際連合からの報告でも、和平合意は崩壊したと断定しており、自衛隊派遣の前提となるPKO参加5原則は完全に崩れています。政府に対し、南スーダンからの速やかな撤退を求めるとともに、憲法第9条に立った非軍事の人道支援、民生支援を抜本的に強化する方向に転換することを求めるべきです。見解を伺います。
 今月、衆参両院の憲法審査会が再開されました。安倍政権と自由民主党は衆参両院で改憲勢力が3分の2の議席を占めたことを背景に、改憲発議に向けた論議を推進しようとしています。
 自由民主党の憲法改正推進本部は、2012年に発表した自由民主党の憲法改正草案を、そのまま憲法審査会に提案することはしないとしたものの、歴史的公文書だとして温存し、撤回していません。
 自由民主党の憲法改正草案は、過去の侵略戦争を反省した現憲法の前文を削除し、戦力を持たないと定めた第9条第2項を削除して国防軍の創設を明記するなど、憲法の平和原則を踏みにじるものです。
 さらに、憲法第97条、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利」と明記した条文は丸ごと削除し、国民の権利を公益及び公の秩序で制限できるようにするなど、政府を縛る憲法を逆に国民を縛るものに変えてしまうものです。
 区長は、「国民主権主義、恒久平和主義、基本的人権の尊重の3つの基本原理を継承していくことは欠かせない」と述べていますが、自由民主党の憲法改正草案は、現憲法の基本原理を覆すものではないですか。見解を伺います。
 ことしは憲法が公布され、ちょうど70年目となりますが、一度も改正されず現在に至っているのは、日本国憲法が世界でも先駆的なもので、国民に定着しているからではないでしょうか。
 日本共産党は綱領で、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」と明記しています。
 今、変えるべきものは憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治です。政府に対し、憲法改悪を行わないよう求めるべきです。見解を伺います。
 10月27日、軍縮問題を扱う国連総会第一委員会は、核兵器禁止条約について交渉する国際連合の会議を来年開くとした決議案を、圧倒的な賛成多数で採択しました。核兵器のない世界へ向けての扉を開く画期的な決議であるにもかかわらず、日本政府はアメリカの圧力に屈し、決議案に反対したことは、余りに情けない態度であり、失望と憤りが広がっています。世界で唯一の戦争被爆国でありながら、その悲劇を二度と繰り返させず、核保有国に核兵器廃絶を迫るという姿勢はどこにもありません。区長は、こうした政府の対応についてどのような見解をお持ちですか。政府に対して抗議すべきではありませんか。伺います。
 江東区も参加する平和首長会議は、今月7日、8日に千葉県佐倉市で開かれた第6回国内加盟都市会議の総会で、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」に対し平和首長会議として賛同、協力することとした総括文書を採択しました。区として、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」に取り組むなど、核兵器禁止条約の成立に向けて、世論と運動を広げる取り組みを行うべきではないでしょうか。見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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2016年第4回定例会―そえや良夫議員

 日本共産党江東党区議団を代表し、大綱3点について質問します。

  • 保育について
  • 国民健康保険制度について
  • 地域経済活性化支援について

 第1は、保育についてです。
 保育所不足は、妊娠と同時にこどもの預け先を探し始めなければならないほど深刻です。区もこの間、保育所をふやしてきましたが、ことし4月、認可保育所に入れなかった児童数は1,700人を超え、全国の大都市の中でワースト7位です。
 日本共産党は、保育所増設に向け、公有地だけでなく民有地も活用できるよう、党を挙げて支援の強化を求めてきました。これを受けて都は、このほど財務局所管の未利用地のリストを提供してきましたが、適地が少ないと聞きました。新砂保育園の整備用地は福祉保健局の管理でした。都に対し、都市整備局や港湾局などを含めた全庁的な洗い出しと情報提供を求めるべきです。伺います。
 用地確保のために保育課に不動産の専門家を任用した世田谷区は、来年4月に向けた2,200人の定員増にめどをつけ、再来年までに合わせて30園を増設する計画です。
 本区は、全日本不動産協会などと協定を結んで用地を探しているとのことですが、この4年間、実績はありません。用地確保は、人任せでなく不動産の専門家を任用し、区が本腰を入れて取り組むべき課題です。伺います。
 また、2006年に廃止された公立保育所への施設整備費の補助金を復活するよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
 次は、保育士確保についてです。
 低賃金などにより保育士が確保できない問題に対して、政府も処遇改善策を打ち出しましたが、来年度予算に盛り込んだのは月額6,000円の賃上げです。他の産業より11万円も低い賃金の改善には、ほど遠いものです。保育士配置基準と保育予算を抜本的に引き上げて、処遇改善を図るよう求めるべきです。伺います。
 また、本区も始めた借り上げ宿舎に対する家賃助成は、期間5年の暫定措置で、助成対象も新しく採用した職員と極めて限定的です。我が党は、将来にわたる保育士の処遇改善のために、期間の延長と対象の拡大を求めてきました。こうした中、都は、10月の補正予算で、採用から6年目以降の保育士も対象とする改善を図りました。本区の家賃助成についても、来年度以降、対象者を拡大すべきです。伺います。
 また、処遇改善策として設けられた家賃助成は、2020年までの暫定措置ではなく、賃金の抜本的改善が図られるまで期間を延長するよう求めるべきです。あわせて伺います。
 保育の質の確保も求められています。
 都は、認可外保育施設での事故防止、安全対策の強化のために、巡回指導を強化するとしていますが、ふだんの状況を正確につかみ、適切な指導につなげるためには、事前通告なしの抜き打ち検査とすべきです。
 また、人件費比率が極端に低い事業所には、お金の流用がないか厳密な調査をすべきです。伺います。
 そもそも、保育士不足も保育の質の低下も、国が保育に対する公的責任を投げ捨て、保育予算の削減や保育所設置基準の緩和をし、また、利益を追求する株式会社の参入に道を開き、その上、都が保育士配置基準や面積基準を緩和した認証保育所を導入したことが原因です。園庭もありベテラン保育士もいる、保護者が求める保育の質の確保のためには、国と都が進めてきた規制緩和と営利企業の参入を改めることが必要です。伺います。
 処遇を改善し、身分の保証があれば人は集まります。北区の保育士募集には、80人の募集枠に580人、本区でも、20人の募集枠に148人と、ともに7倍を超える応募がありました。保育の質を確保しながら待機児童解消を進めるための決め手は、公立保育所の増設です。区立保育所の民間委託や企業頼みはやめ、区立認可保育所の増設に力を尽くすべきです。伺います。
 第2は、国民健康保険制度についてです。
 国民健康保険制度は、他の医療保険に入れない方が最後に入る医療のセーフティーネットです。ところが、今、高過ぎる保険料を払えず、治療を中断したり、受診抑制することにより、重症化してしまうなどの事態が蔓延しています。本区でも、滞納世帯が3割を超えています。45歳の夫婦とこども1人の3人家族、夫の給与所得は170万円であるこの世帯の保険料は31万3,000円で、所得の18%にも上り、妻は「歯が痛くてもひたすら我慢する」と言います。
 区は、「制度維持のために値上げは必要」と言いますが、重い保険料負担が暮らしを圧迫し、命も健康も脅かしています。来年度以降の保険料の値上げはやめるべきです。伺います。
 国が進める国民健康保険の広域化は、国民健康保険料の算定方式の変更、一般財源で賄われていた高額療養費の国民健康保険料への算入で、区民には保険料の一層の値上げとなっています。高額療養費は従前どおり、一般財源からの繰り入れで賄うべきです。あわせて伺います。
 次は、多子世帯などに対する国民健康保険料負担の軽減についてです。
 国民健康保険の広域化に向け、所得計算から扶養控除が外されて、多子世帯や障害者のいる世帯の保険料が大幅に上がりました。その上、こどもにも一律にかかる均等割もふえ続け、今年度は1人当たり4万6,200円と、こどもが多い世帯に重くのしかかっています。
 東大和市では、3人目以降の均等割を無料にし、多子世帯の負担を軽減しています。また、特別区長会役員会での世田谷区長の「国民健康保険料はこどもの人数に比例して高くなる、多子世帯に配慮した保険料の算定の仕方が今後のテーマ」という発言には、特別区担当部長会でも共感が広がっていると聞いています。山崎区長も特別区長会で積極的に対応すべきです。伺います。
 次は、国民健康保険料の滞納処分についてです。
 区は、公平・公正な負担、制度維持を理由に、保険料滞納者に対する差し押さえを強化しています。しかし、保険料の差し押さえについても、国税徴収法が適用され、最低限の生活維持に必要なお金は差し押さえが禁止されています。ところが区は、滞納者と連絡をとる手段、分納相談の入り口として、違法な預貯金全額の差し押さえを正当化しています。
 私のところに、長期出張中の土木関係の労働者から「振り込まれた給与全額が差し押さえられ、飯も食えない」との相談がありました。この差し押さえは違法ではありませんか、伺います。
 生活を無視した差し押さえは絶対に行わないよう徹底すべきです。あわせて伺います。
 そもそも値上げと徴収強化では、制度維持はできません。国民健康保険は「助け合い」とされていた旧制度のもとでは、3割もの国民がお金がないために保険に入れず、病気が貧困を招くと社会問題になっていました。
 そのため、昭和34年に改定された新法では、第1条に「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」と明記され、助け合いから社会保障制度に発展しました。また、病気や失業中の方なども抱え込む制度のため、国民健康保険会計の2分の1は国庫負担とされました。
 今、国民健康保険会計が逼迫しているのは、昭和60年以降、政府が国庫負担率を下げ続け、当初の半分に減らしたことが要因です。制度維持のために必要なのは、国庫負担率をもとに戻すことです。見解を伺います。
 政府は、今、医療支出を減らすため、国民にさらなる負担増を押しつけようとしています。病院が出す薬代の値上げ、かかりつけ医以外の外来診療に対する窓口負担の上乗せ、65歳以上の高齢者が療養病床に入院したときの居住費の引き上げ、後期高齢者医療制度では、低所得者などへの保険料軽減特例を廃止し、保険料を現在の2倍から3倍、最大10倍にするという大変な値上げです。窓口負担も1割から2割に引き上げるなど、制度は残っても生活が破綻するという厳しい批判の声が出るほどの改悪です。改悪中止を政府に求めるべきです。伺います。
 第3は、地域経済活性化支援についてです。
 まず、小規模企業特別資金融資についてです。
 区内中小企業の景況感は、どの業種でもこの1年ずっとマイナスが続いています。区は、「アベノミクスの効果はやがてあらわれる」と言い続けてきましたが、とてもそのような状態ではありません。中小企業に対する支援の強化が必要です。
 本区の小規模企業特別資金融資の利率は、日本銀行の異常な低金利政策のもとでも1.2%のままで、23区中、上から5番目です。多くの区は1%以下で、最初の3年間は無利子の区もあります。
 荒川区は実質0.6%で、信用保証料も全額補助しています。本区でも、実質利率がゼロ%台となるように補助率を引き上げ、利子負担の軽減を図るべきです。伺います。
 次に、商店支援についてです。
 地元の商店は、消費の低迷と大型店の身勝手な出店の影響などで減り続け、近所の肉屋や米屋、荒物屋がなくなるなど、日々の買い物に困る事態が起きています。
 区が、平成25年の産業実態調査を受けて開始した生鮮三品小売店支援事業は、利用者から「おかげで商売が続けられる」などの声があり、喜ばれています。
 しかし、生鮮三品を扱う店舗は区内で約100軒、小売店全体の6%程度です。米屋、酒屋、豆腐屋など、区内の飲食料品を扱う店舗は百数十軒で、飲食店まで入れると、店舗全体の3分の1となります。商店の継続と地域の活性化には対象拡大が必要です。
 全店舗を対象にした群馬県高崎市の商店へのリフォーム助成では、ホルモン焼き屋がトイレを洋式に変え、店舗の壁紙もきれいにしたら、若い女性客が増加したなど、大きな効果があったと聞きました。商店街に人を呼び込み活性化を図るために、現在の生鮮三品小売店支援事業の対象を全ての店舗に拡大すべきです。伺います。
 次は、小規模建設業者支援についてです。
 建設職人のなり手が少ないことが大きな問題となり、職人確保を目的に、設計労務単価の引き上げが契約済みの分も含め実施されました。しかし、業界特有の重層構造のために、その効果は末端まで届いていないといいます。設計労務単価の引き上げが末端労働者の賃金に反映されているか、実態調査を行うべきです。伺います。
 また、仕事の質の確保や賃金の引き上げによって消費と経済の活性化を図るためにも、公契約条例の制定に向けた取り組みを直ちに始めるべきです。あわせて伺います。
 町場では、技能を身につけるために時間がかかる左官業などで、若い人のなり手が少なく、親方にも若い人を育てるだけの仕事も稼ぎもないため、左官や大工などの職人がいなくなることが心配だと言われています。
 我が党が繰り返し求めている住宅リフォーム助成事業は、区内の事業者に工事を発注することを条件に、区民にリフォーム代金の一部を助成することで仕事おこしを図るものであり、23区中8区、全国で3分の1を超える自治体で実施されています。
 建設、住宅にかかわる技能と業者の育成、地域経済活性化のために住宅リフォーム助成事業を速やかに実施すべきです。伺います。
 次は、地域経済活性化とカジノ法案についてです。
 カジノ法案が審議入りするとの動きが伝えられています。しかし、カジノは勤労精神を麻痺させるほか、治安の悪化、青少年の健全育成に悪影響を及ぼすことから、刑法でかたく禁じられている賭博そのものです。賭博によるギャンブル依存症の方は、厚生労働省の調査によると536万人で、覚醒剤などの違法薬物使用経験者の約2倍に上ります。
 カジノ推進派は、地域経済の活性化に有効と主張しますが、カジノは多重債務や家庭崩壊を引き起こすギャンブル依存症をさらにふやし、治安維持費や犯罪による被害など、社会政策上の支出もふやします。地域経済に悪影響を及ぼすカジノ法案は直ちに廃案とするよう求めるべきです。
 以上、伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

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区議団ニュース2017年1月号

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