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2017年第2回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。

  • 豊洲市場問題について
  • 区の「行革」について
  • 仙台堀川公園の再整備について
  • 平和と憲法問題について

 第1は、豊洲市場問題についてです。
 生鮮食料品を扱う市場の一番の基準は、食の安全・安心です。ところが、東京ガス工場跡地の豊洲市場では、ことし2月に行った地下水調査に続いて4月の調査でも、同じように環境基準の100倍のベンゼンを初めシアンなど、高濃度の有害物質が検出されました。
 区長は、豊洲市場予定地の土壌と地下水が、広範囲にわたり深刻に汚染されていることが決定的になった事実をどのように受けとめているのか、伺います。
 これまで東京都は、土壌汚染対策として、「操業由来の汚染を全て除去、浄化し、土壌も地下水も環境基準以下にする」と都民に約束してきました。ところが、5月18日、東京都の専門家会議の会合で平田座長が、「無害化の約束はできない」、地下水の汚染について「環境基準以下にできない」と発言したことに続き、小池都知事が6月1日の都議会での所信表明で、「かつての都知事が市場業者や都民に約束した、豊洲市場の無害化は達成できていない」と公式に認め、陳謝しました。これは、豊洲市場移転計画の破綻を認めた重大な言明だと思いますが、区長の見解を伺います。
 土壌汚染も地下水汚染も無害化しないまま対策を進めようとしても、都民、区民の理解を得られないことは明らかです。見解を伺います。
 豊洲市場の主な建物の下には盛り土がないことが、共産党都議団の調査で判明しました。3月19日の東京都の専門家会議は、盛り土がないために将来想定されるリスクとして「地下空間には気化した水銀、ベンゼン、シアン化合物を含むガスが浸入する」、「1階床面のコンクリートにひび割れ等が生じて、地上部分への空気の侵入、拡散が発生する」と指摘しました。土壌汚染によって、地下も地上も危険であることは明瞭です。山崎区長は、「地上は安全だから早期移転を」と主張されていますが、その主張は成り立たないと思います。伺います。
 もともと豊洲市場予定地は東京ガス工場跡地で、約30年間の操業により、有害物質を含むコールタールを大量に地面に流したために、地中深くまで高濃度に汚染された場所です。
 4月10日、参議院決算委員会で農林水産大臣は、土壌汚染対策法上にかかわって、「東京都が汚染を残した状態で卸売市場の用地にすることは想定し得ない」と答弁しています。なぜなら、地震による液状化や施設の老朽化などで、汚染物質が生鮮市場に上がってきたら甚大な被害をもたらすからです。政府、農林水産省の見解について、区長の認識を伺います。
 江東区は、土壌汚染の無害化を市場移転受け入れの大前提として、徹底した土壌汚染対策の確実な履行を東京都に求めてきました。しかし、市場移転受け入れの大前提である土壌汚染の無害化ができなかった以上、市場移転受け入れは白紙撤回すべきです。伺います。
 土壌が汚染されたひどい土地への移転計画が進められてきた背景には、食の安全・安心よりも豊洲の大規模事業に加えて、築地市場跡地の再開発の狙いがあります。「築地市場でも有害物質が出た」などという報道がされましたが、豊洲市場とは汚染のレベルが違います。生鮮市場をどうするのかという問題は、50年、100年単位で考えるべきものです。食の安全・安心を守るために、豊洲市場への移転はきっぱり中止し、80年余の歴史で安全が実証され、世界的ブランドとして確立している築地での再整備をすべきです。
 東京都の市場問題プロジェクトチームの小島座長は、築地市場の改修は、費用の面、工事期間の面、営業との両立の面など、十分可能だとする案を示しました。また、同チームは、先日発表した第1次報告書案で、豊洲市場へ移転した場合、巨額赤字が発生し、市場会計の赤字額は60年間で1兆円を超えるとしました。築地市場で必要な対策は、豊洲市場と比べたら極めて軽微なもので済むことは間違いありません。都民、専門家の英知を集め、市場関係者の合意を得ながら、築地市場の再整備に本格的に踏み出すことを都知事に求めるべきです。見解を伺います。
 第2は、区の「行革」について伺います。
 まず、男女共同参画推進センターの相談事業の業務委託についてです。
 ことし3月、江東区行財政改革計画(後期)の改定が示され、この中には男女共同参画推進センターの相談事業の見直しが突然盛り込まれました。
 取組方針では、相談事業の委託化を視野に入れ、相談体制を検討するとしながら、実際には8月までに委託事業者を決め、来年1月から相談事業の業務委託を始めようとしています。何の議論もないまま行財政改革計画に盛り込み、強引に進めることは、余りにも乱暴です。区は、「あくまで計画、これで決めたということではない」と所管委員会で答弁していますが、どのような検討をしてきたのか、伺います。
 区は相談事業の委託理由について、相談者が急増したためとしていますが、これは配偶者からの暴力被害などに悩んでいる女性が多いということです。
 これまで本区の相談事業では、十数年の業務経験豊かな3人の区の非常勤職員が、専門相談員として解決に当たってきました。東京都や関係部署からも、江東区は非常によくやっているとの高い評価を受けており、相談員1人当たりの処理件数は全国一と聞いています。
 相談から自立まで切れ目のない支援を行っている、配偶者暴力相談支援センターとしての役割がますます高まっています。区の相談窓口は、被害者とそのこどもの駆け込み寺であり、利用者急増への対応は、業務委託ではなく人員体制の拡充で行うべきです。伺います。
 専門相談員は、保護課の婦人相談員や児童相談所など、関係部署との連携を図り、解決に当たっています。業務委託の場合、請負契約上、相談員は区や関係機関に直接相談ができず、委託会社が区と連絡調整した後の対応となるため、DV被害者、そのこどもへの対応がおくれ、命にかかわる大問題となりかねません。区の認識を伺います。
 江東区男女共同参画条例は、区長が人権侵害に対応するための男女共同参画相談員を置き、男女共同参画相談員は必要な調査、助言、関係行政機関との連携を行うことについて規定しています。
 相談事業の業務委託計画は撤回し、区の非常勤職員が相談業務を担い、関係行政機関との円滑な連携を通じて、配偶者暴力相談支援センターとしての機能強化を図っていくべきです。伺います。
 次に、技能系職員の退職不補充についてです。
 区は、この間、技能系職員は退職不補充だとして、土木職員などを減らし続けてきました。その結果、直営作業員による班体制の維持が困難となっています。災害時における直営班のメリットには大きいものがあります。
 2011年3月11日の東日本大震災の対応においても、道路事務所と水辺と緑の事務所の業務職員が、24時間体制で初動時の一斉点検や危険回避、応急措置等の災害復旧、陳情の対応に当たったと聞いています。
 道路保全係、水辺と緑の事務所の両事務所の直営体制は、緊急時の迅速な対応、日常的な安全点検など、必要だと考えますが、区の認識を伺います。
 墨田区では、風水害、その他自然災害に対応するため、必要な人員の定数化を図っています。
 本区においても、技能系職員の退職不補充方針を改め、必要な人員の定数化を検討するとともに、新規採用を計画的、継続的に行うべきです。伺います。
 次に、定員適正化計画についてです。
 人口急増やオリンピック・パラリンピックを初め、ますます多様化する行政需要に応えるための人員体制の確立が急務です。ところが、職員削減に伴う長時間・過重労働によって、慢性的な残業と人員不足が恒常化し、メンタル不全が原因で職場を去る方もふえています。平成31年までの5年間を、平成26年度の実績2,755名を上回らないとする定員適正化計画は、職場の実態と大きく乖離しています。抜本的に見直すべきです。伺います。
 第3は、仙台堀川公園の再整備について伺います。
 仙台堀川公園は、水と緑豊かな区民の森として多くの人々に親しまれ、絶滅危惧種のタカ科、ツミが営巣するなど、大きく育った多様な樹木が豊かな環境をつくっています。散歩やジョギング、バードウオッチングを楽しむ方、保育園や幼稚園、小学校にとっての自然観察の場となり、八つ橋の池はザリガニ池と呼ばれ、都会の中で自然を感じ、生き物、命を学ぶことができるかけがえのない場所となっています。
 「シティ・イン・ザ・グリーン」を推進する江東区として、仙台堀川公園の価値をどのように評価しているのか。三十数年かけてつくり上げてきた区民の森を、将来に継承していくべきと思いますが、あわせて伺います。
 今回の再整備計画案は、公園両側道路の無電柱化に伴う道路拡幅のため、1.1キロメートルにわたって公園幅を実質7メートル削り取り、ツミがすむ松など、豊かな森の木を大量に伐採するもので、その数は桜を含め全樹木の約6割、2,800本にも上ります。
 さらに、道路拡幅のために、雨水対策だと言って川の水が流れる水路を埋め立てて暗渠化し、カワセミやカルガモ、魚がすむ環境を壊すものです。
 多くの住民の方が、「既存の樹木を残してほしい」、「川を埋めないでほしい」などの声を上げ、区の環境事業にかかわる団体、個人の方も、「生物多様性豊かな自然環境が失われる」と警鐘を鳴らし、抜本的見直しを求めています。樹木の大量伐採、水路の埋め立てによる暗渠化、公園面積の削減はやめるべきです。伺います。
 再整備に当たって、公園の現状を変えず、老朽化した施設の改修にとどめ、その上で、既存園路をそのまま活用した歩行者と自転車のゾーン区分を行うなど、地域課題について住民の意見を取り入れて解決を図っていくべきです。伺います。
 今回の再整備計画案は、側道の無電柱化工事と一体的に行うものとしています。無電柱化は必要です。しかしながら、電線共同溝方式による無電柱化は、地上機器を設置するための歩道幅員を確保することが必要となり、そのための道路拡幅が、公園面積の削減や河川の暗渠化、樹木の大量伐採を招く計画となっています。
 現在の幅員が6.5メートルの道路を拡幅しなくても無電柱化は可能です。無電柱化に伴う地上機器の設置場所については、既存の城東公園や亀高公園、区民農園、学校などの公共施設や民地など、道路外の敷地の活用を図るべきです。伺います。
 電柱による架線配線に比べ、10倍から20倍の費用が必要とされている高規格で高価な電線共同溝方式が妥当かどうか、低コスト手法の新たな技術の導入に向け検討を進めている国や東京都と連携し、電気事業者の意見も踏まえ、整備手法の検討、整備費用の大幅縮減を行うべきです。伺います。
 これから区は、10月までに6回の意見交換会の場所をつくると聞いています。この意見交換会で、区民から出された提案や意見をどのように再整備計画案に反映させていくのでしょうか。
 同公園の再整備計画案は、両側側道の無電柱化と一体整備するものであるため、公園と道路の両方について意見交換会のテーマとすべきです。あわせて伺います。
 区民の財産である仙台堀川公園の再整備計画案は、修正案に対するアンケートを実施するなど、広く区民の声を反映した計画にすることを強く求めるものです。伺います。
 第4は、平和と憲法問題について伺います。
 北朝鮮は、5月29日、再び弾道ミサイルの発射を強行しました。たび重なる暴挙に厳しく抗議します。この問題の解決は、国連安全保障理事会が声明を表明しているように、外交的解決しかありません。日本を初め関係国が6カ国協議を含め、対話による解決を図る努力を抜本的に強めるよう求めるものです。
 安倍首相は、2020年までに「憲法第9条第1項、第2項をそのまま残し、第3項に自衛隊を明記する」という憲法第9条の改定を表明しました。これは、自衛隊の存在をただ追認するだけのものではありません。首相が憲法第9条に改憲の焦点を当てたことは、日本を本格的に海外で戦争する国にしていこうとする危険きわまるものです。
 安倍首相が憲法第9条改憲の具体的な中身にまで立ち入り、2020年を施行期限とまで明示したことは、首相の憲法尊重擁護義務を定めた憲法第99条に反する発言であり、改憲案の発言権を持つ国会に対する行政権の不当な介入と言わざるを得ません。行政の長としての区長の見解を伺います。
 安倍首相の改憲発言を、陸海空の全自衛隊を統括する統合幕僚長が「非常にありがたい」と発言したことは、公務員の憲法尊重擁護義務を完全に無視し、文民統制の原則を踏みにじる暴言です。区長の認識を伺います。
 歴代自民党政権は、戦争はしないという憲法第9条第1項、戦力は持たないという第2項があるために、自衛隊を戦力には当たらない、自衛のための必要最小限の実力と位置づけてきました。そのために、安全保障法制が成立した後でも、自衛隊が武力行使を目的として戦闘に参加することはできません。ところが、憲法第9条に第3項を追加し、「但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」と、例外規定として書き込めば、憲法第9条第2項が空文化し、海外での武力行使が無制限に可能になります。この憲法第9条改憲について、区長の見解を伺います。
 安倍首相は、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、安全保障法制、戦争法、そして内心を処罰し、物言えぬ監視・密告社会をつくる共謀罪法案の強行採決など、海外で戦争する国づくりへ暴走を重ねています。専守防衛の志を持ち、災害のときには体を張って救援や復旧に頑張っている自衛隊員を、日本の防衛とは関係なく、海外で殺し殺される戦場に送ってもいいのか、区長の見解を伺います。
 NHKの調査では、憲法第9条改定反対が57%に上り、朝日新聞の調査では、63%が第9条改定反対と回答しています。共同通信社の調査では、日本が戦後、海外で武力行使をしなかった理由に、75%が憲法第9条を挙げています。どの世論調査でも、国民の圧倒的多数が、「憲法第9条を変えてはならない」と考えていることを、区長はどのように認識しているのか、伺います。
 東京大空襲では、江東区を初め、下町一帯が焼け野原となり、一夜にして10万人余のとうとい命が奪われました。江東区民は、政府の行為によって二度と再び戦争の惨禍を起こしてはならないと誓い、憲法第9条に基づいた平和都市宣言を行いました。
 宣言は、我が国が日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を堅持していくことを強く求めています。今こそ区長が、江東区平和都市宣言の精神に立って、憲法第9条を尊重、擁護する立場を区民に明確に示すことを求めるものです。伺います。
 日本国憲法は、第9条という世界で最も進んだ恒久平和主義の条項を持ち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項も盛り込まれています。思想信条の違い、政治的立場の違いを超え、良識ある保守の方々とも手を携えて、世界に誇る憲法第9条を守り抜くことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)

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