カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , パーマリンク

2017年第2回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  • 保育問題について
  • 国民健康保険制度について
  • 塩浜福祉園の民営化について

 第1は、保育問題についてです。
 今年度、認可保育所に入所できなかった待機児童は、育児休業や認証保育所入所者などを除いた区の定義でも322人と昨年より45人ふえ、認可保育所を希望しながら入れなかった児童は1,727人もいました。区はこの状況に対し、定員をふやしても供給が需要を生むのだと説明していますが、このような言い訳は通用しません。
 低年齢児の入所では、両親ともに8時間以上の勤務が最低条件で、加点、優先順位がないと入れないところもあります。入所のために育児休業を早く切り上げて認証保育所に預ける、育児に保障された短時間勤務をやめるなどの不合理な状況も残されています。働かないと生活できない、仕事を続けたいという切実な願いに対し、施設が大幅に不足しているのは明らかです。
 育児休業者や認可外保育施設入所者を待機者から外すなど、見せかけの待機児童減らしはやめ、保育所の整備目標は、認可保育所入所希望者数に引き上げるべきです。
 土地の確保、保育士の確保に必要な職員体制を強化し、待機児童ゼロに向け本腰を入れた取り組みを行うことを求めます。伺います。
 昨年、「保育園落ちた、日本死ね」と、痛烈な批判を浴びた政府の待機児童対策は、保育士配置基準の緩和、小規模保育所での受け入れ枠の拡大など、詰め込みと質の低下につながる安易な規制緩和で済まそうとしています。また、特別区長会でも、採光基準の緩和など、保育環境の悪化を認める要望を上げているのは問題です。
 これまでの規制緩和で園庭のない保育所がふえ、体力の低下や、公園の場所とりも問題となっています。また、窓がなく空気の流れが弱い部屋では、感染症などが蔓延しやすいとの現場報告もあります。
 これらは、こどもたちの健康と成長、命にもかかわる問題であり、待機児童解消を理由とした規制緩和は許されません。区として現行基準を守るとともに、政府に対し、これ以上の規制緩和を行わないように求めるべきです。伺います。
 次に、保育の質の確保についてです。
 日本における保育の最低基準は、施設でも人員配置でも極めて低いレベルにあることは厚生労働省も認めているところで、江東区を初め多くの自治体では、国の低い配置基準に上乗せ配置をして、保育の質の確保を図ってきました。しかし、株式会社の参入で、保育のかなめとなる保育士の人件費が削減されています。保育の公定価格では、運営費の7割が人件費と想定されていますが、区内の私立保育園では人件費率が5割を切っている施設が多数あります。
 この人件費率の低さについて、区は、労使間での契約行為であり区として関与しないという見解ですが、人件費率の低い法人では、低賃金に加えて、短時間保育士や非常勤保育士などが主力となって保育をすることによる責任の重さ、体力の不安、休暇がとれないなどの劣悪な保育環境が報告されているところであり、「こどもたちに向き合う時間がとれない」、「サービス残業、仕事の持ち帰りが常態化し、疲れ切っている」と退職に追い込まれ、保育士不足にもつながっています。これは、保育の質にかかわる大問題ではありませんか。
 同じ私立保育園でも8割前後をキープしている施設もあります。人件費率を事業者の評価基準に位置づけ、世田谷区のように最低5割とすることを補助金支出の条件にするなど、実効ある対策をとるべきです。
 また、検査、指導も大切です。不正運営で認定を取り消された兵庫県姫路市の認定こども園では、定期検査では問題が見つからず、日時を知らせない特別監査で不正が明らかになりました。市の担当者は、「市への文書報告に嘘はないという思い込みがあった」と語っています。職員体制を強化し、日時を通知しない抜き打ちでの訪問検査、指導を行うべきと考えますが、あわせて伺います。
 次に、区立保育園の民間委託についてです。
 第1回区議会定例会に、区立保育園は出張所管内にゼロ歳児保育の実施園を1つ残し、あとは全て民営化するとの驚くべき方針が示されました。待機児童の増加、保育士不足、保育中の死亡事故の増加など問題山積の保育状況をつくり出してきた原因が、保育予算の削減のためにこどもたちの命を預かるという大事な仕事を民間会社のもうけのために投げ出してきたことにあるという自覚は、全くないのですか。
 ベテランの保育士と若い保育士がバランスよく配置され、園庭もあり、伸び伸びと活動できる保育園という、区立保育園で一定充足されてきた環境が、民間活力の導入とともに崩されてきたではありませんか。
 保育士募集でも、区立保育園には7倍の高倍率で応募がありました。経費削減で保育環境を悪化させる民営化路線はきっぱりやめ、国や都にも必要な施設整備費、運営費を求めて、区立保育園を保育事業の基本に据えるべきです。見解を伺います。
 次に、国民健康保険制度について伺います。
 来年4月からの国民健康保険制度広域化に向けての準備が進められています。都が保険者となる大きな制度変更で、ことし12月には納付金の算定方法を定める条例がつくられ、各自治体に納付金の額と標準保険料率が示されると聞いています。
 既に国には納付金と標準保険料率の試算結果が報告されているそうですが、区民には全く知らされていません。保険料が上がるのか、下がるのか、23区統一保険料は今後どうしていくのか、区民の暮らしと医療にかかわる大問題です。試算結果を含め、情報を公開して区民参加で検討を進めるべきではありませんか。伺います。
 次に、保険料についてです。
 国民健康保険の加入世帯は、かつての農林水産業、中小企業にかわって、今日では非正規労働者、低所得の高齢者が大半を占め、所得水準も1990年代の半分近くに落ち込んでいます。
 一方、保険料は、この15年間で均等割だけでも71%も値上げとなりました。今年度に平均7,252円もの大幅値上げとなった議論の中では、広域化に向けて縮減させてきた高額療養費分の繰り入れ割合の縮小を抑制し、値上げ幅を抑えたと聞いていますが、それでもモデルケースの夫婦2人こども2人で給与収入300万円の世帯の可処分所得は、保険料支出により生活保護基準以下となります。世帯収入に対し、保険料負担はもう限界です。
 区は、高額療養費分の繰り入れをやめるのは法令によるものとしていますが、厚生労働省は、広域化のもとでも公費繰り入れは自治体の判断との見解です。これ以上の値上げを抑えるために、一般会計への繰り入れは今後とも必要であると思いますが、見解を伺います。
 また、広域化に向けて、保険料設定の基準を旧ただし書き方式に変えたことにより保険料負担が大きくなった多子世帯、障害者世帯について、人的控除を反映した負担となるように軽減を図るべきです。あわせて答弁を求めます。
 次に、保険料徴収についてです。
 高過ぎる保険料が払えず、やむなく滞納状態となっている世帯に、保険証を発行せず、短期被保険者証、資格証明書に置きかえたり、年金や給料、売掛金などの生活費が通帳に振り込まれた直後の預金通帳を差し押さえたりするなど、人権無視、違法な徴収強化をすべきではないと求めてきました。
 先日相談があった自営業の方は、経営が厳しい時期に滞納した保険料の分納返済中に、返済額の増額を求められ、同時にその返済が滞ったときには、「保険証の返還と財産の差し押さえ処分を受けても異議は申しません」という誓約書への署名捺印を求められたそうです。しかし、返済の自信がなく署名を拒んだところ、保険証が発行されなかったということです。以後1年間、保険証のない状況にありました。
 区は保険料徴収について、無理な取り立てはしていない、きめ細やかな対応をしていると繰り返していますが、払いたくても払えないで不安の中にいる区民に対し、誓約書への署名捺印を保険証発行の条件として求めることは、問答無用に区民を追い詰めるものであり、やめるべきです。
 保険料徴収の停止、減免対象の拡大、徴収の猶予なども工夫し、生活と営業を継続できる相談支援体制に徹するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、持続可能な国民健康保険制度の構築について伺います。
 区は、国民健康保険制度について、社会保障制度と認めながら、制度の持続のため、助け合いの制度だからと、保険料値上げを正当化してきました。しかし、高い保険料が払えずに保険証が使えなかったり、受診抑制が広がっている現状では、もはや社会保障制度とは言えません。国民健康保険制度を国民皆保険制度として持続させるには、国民健康保険収入に占める国庫負担が20%前後と低下している現状を放置せず、給付費の6割が国庫負担という、かつての水準に引き上げることが唯一の道ではありませんか。伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者が生きていくために必要な支援を益として、利用者負担を求める応益負担に批判が高まり、人権侵害であると訴訟で争われました。訴訟原告団と国が和解した基本合意では、応益負担制度を廃止し、憲法に基づいて新たな総合的な福祉制度をつくることが合意されましたが、その後つくられた障害者総合支援法でも、また、昨年の障害者総合支援法見直しの中でも、応益負担の仕組みは残され、関係者から厳しい批判が寄せられています。
 その一つが、65歳を超えた障害者が半強制的に介護保険に移行させられている問題です。それまで無料で使えていたサービスが、1割負担となって利用を控えざるを得ない状況が問題となり、来年から一定の見直しが行われますが、詳細は未定で、全ての障害者を対象としない見込みです。
 また、介護保険優先原則では、入浴サービスの回数が減る、移動支援に制限がある、長年通っていた通所施設を変更するなどの問題が生じています。
 区として、国に対し介護保険優先原則の法改定を求めると同時に、サービス提供の実態を調査し、利用者負担への補助制度の創設を含め、サービス利用が問題なく行われるように支援することを求めます。伺います。
 また、利用者負担では、世帯収入を基準とするため、障害児を抱えた世帯の負担が大きく、負担額の上限が月3万7,200円の階層の負担軽減が求められています。国に対し制度改定を求めるとともに、本区として、利用料補助制度の創設をすべきと思いますが、伺います。
 次に、塩浜福祉園の民営化についてです。
 さきの本会議で、民営化の中止を求める我が党議員の質問に対し、区は「指定管理者制度では、直営に比べ、専門性の確保と柔軟なサービス提供による安定的、向上的な支援ができる」と答えていますが、これは障害者福祉の現状を全く理解していない考えです。
 区内にある民間の障害者施設のほとんどは、行政の手が届かない中で、家族や障害者本人がお金を集め、場所を探して、大変な努力をして築き上げてきたものです。多くのボランティアの力を借り、働く職員もボランティア精神があってようやく続けられている劣悪な労働環境で、体を壊したり、賃金も低く、結婚したら生活できないので離職せざるを得ない厳しい状況で頑張っていることを、区はどう受けとめているのでしょうか。
 他の自治体の施設を見学した家族会が、直営で専門職を直接採用している区もあることを知り、江東区もぜひ参考にしてほしいと願うのは当然です。
 重度の障害者の受け入れに当たって、公立の福祉園だからこそ、看護師を初め人的配置をきちんと行え、専門性を高めるスキルも蓄積、発展させることができる安定した運営ができるのではありませんか。伺います。
 今後の運営を考えるとき、家族会との関係は何よりも大切です。利用者の生活を支え、その状況と必要な支援に一番精通し、理解があるのが家族の皆さんです。環境の変化に敏感な利用者にとって、今日まで築かれてきた職員との関係は、何より大切なものとの声も寄せられています。民間委託ありきではなく、家族会との信頼関係の上に、利用者の生活の安定と向上を正面に据えた運営の検討を進めるべきです。伺います。
 さらに、区内にある民間の障害者施設では利用者の高齢化が進み、医療的ケアが必要になると利用できなくなるという問題が起こっています。法人向けの看護師配置のための補助金支給を検討すべきと思いますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です