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2017年第2回定例会―山本 真議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点質問します。

  • 教育について
  • 介護について
  • 中小企業支援について

 大綱1点目は、教育についてです。
 まず初めに、学習指導要領の改訂についてです。
 文部科学省は9年ぶりに小中学校の学習指導要領を改訂しました。今回の改訂では、学習内容を中心に示していたこれまでとは大きく異なり、国としてこどもたちに身につけさせる資質、能力を定め、その達成を中心に据えています。こどもがどのような資質、能力を形成するのかということは、自分がどのような人間になるかという人格の自由の問題であり、こどもを中心に国民みずからが考えることです。国家権力により決められて上から押しつけるやり方は、憲法の保障する個人の尊厳に反するものではないでしょうか。教育委員会の見解を伺います。
 また、教育目的の達成のために授業方法や評価の方法まで細かく規定することは、学習内容の大まかな基準という、学習指導要領の性格を逸脱する大きな問題です。教育は、教師の自主性や創造性が保障されてこそ、こどもが感動する生き生きとしたものになります。教育への国家統制ではなく、教師の自主性を尊重し、豊かな授業と教育が進められることが必要だと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
 続いて、教育勅語について伺います。
 安倍内閣が教育勅語について、教材としての使用を認める閣議決定をしました。教育勅語は、当時、学校教育の中でこどもたちに一字一句暗記、暗唱させ、国家のために命を投げ出すことを徹底してたたき込み、こどもを臣民として育て、侵略戦争に駆り立てたものです。戦後、教育勅語は、国民主権を掲げる憲法の理念に反するとして、1948年に国会で公式に否定されています。
 また、教育勅語はいいことも書いてあるからと、評価できるものではありません。例えば、「夫婦相和し」ですが、当時の女性には参政権もなく、女性からの離婚もできない男尊女卑の社会が前提としてあり、現在のような夫婦が対等平等で、尊重し、協力し合う価値観ではありません。基本的人権が保障されなかった時代背景を問わずにいいこととして教えることは、人権教育をゆがめるものです。
 教育勅語は、現憲法のもと、どのような形であれ肯定的に扱うべきものではないと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
 次に、教育費の負担軽減について伺います。
 就学援助の入学準備費前倒し支給について伺います。
 私たちの会派は、前倒し支給について繰り返し提案し、昨年度は条例提案もしてきました。また、ことしの3月31日には、文部科学省から就学援助についての新たな通知が出されました。この通知には、援助を必要とする時期に速やかな支給が行えるよう、中学校等だけでなく、小学校等についても、入学前に支給できるようにしたと書かれています。
 入学準備費の前倒し支給は今、全国で広がっています。現在、都内でも板橋区や世田谷区など、8つの自治体で実施され、さらに来年度からは、足立区など11の自治体で実施される予定です。また、武蔵野市では、高校生にも対象を広げ、支給を開始しています。
 区は今まで、私立学校入学者や転出者に対しても支給してしまうのが問題だという答弁をしており、支給を拒んでいます。しかし、今回の通知では、国立学校や私立学校に通う児童・生徒にも対応することを求めています。
 また、転出者に対しては、先行自治体では転出先の自治体に通知するなどして、二重払いにも十分に対応しています。そのため、私立学校入学者や転出者がいるということは、やらない理由になりません。
 江東区でも、この通知の趣旨に基づき、入学前に支給すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、同通知では、要保護世帯に対する入学準備費の補助額が引き上げられたことも示されています。この通知を受け、狛江市、府中市、小金井市でも、今年度、早速入学前の3月支給をすると同時に、準要保護世帯の入学準備費を要保護世帯への補助額と同水準に引き上げています。準要保護世帯の入学準備費を要保護世帯と同水準に引き上げるべきです。伺います。
 大綱2点目は、介護についてです。
 まず、介護保険制度の改悪についてです。
 5月26日、国会で審議が十分にされないまま、介護保険法が強行採決され、改悪されました。今回の改悪は、利用料負担を3割に引き上げ、経済的な負担をふやすものとなっています。低賃金で職員の人材不足が問題になっていますが、介護報酬の引き上げも人員配置の見直しも行っていません。
 さらに、自治体間で競争させ、給付を抑えた自治体には財政的に優遇をするなどし、介護サービスの縮小が加速する危険があると指摘されています。これでは、さらなる負担増と給付の抑制が押しつけられ、介護サービスが必要な人に届かず、公的介護保険に対する信頼を崩すことになります。区は国に対し、介護保険制度の改悪の中止を求めるべきです。区の見解を伺います。
 来年度は介護保険料の見直しの年です。見直しのたびに介護保険料、利用料の負担は重くなり、区民生活を限界まで圧迫しています。
 介護保険料、利用料の負担を抑えつつ制度を充実させて、本当に持続可能な制度とするためには、国庫負担の割合を大幅にふやすしかありません。区は国に対し、国庫負担の割合をふやすよう求めるべきです。区の見解を伺います。
 次に、総合事業についてです。
 要支援1・2の方は、総合事業の基準緩和サービスに移行させられました。しかし、基準緩和サービスは報酬単価が低く、区内事業者の負担が重いため、基準緩和サービスの提供を拒む事業者が多く、受け入れ体制が整っていません。そのため現在では、多くが今までどおりの現行相当サービスで対応している状況です。
 そもそも総合事業は無理のある制度です。区は、このような事業者の声をどのように受けとめ、応えていくつもりでしょうか、区の認識を伺います。
 また、この現行相当サービスの対応は経過措置であり、国は今年度末までの移行を進めようとしているため、現場からは、このまま続けられるのかという不安の声が上がっています。もし現行相当サービスが打ち切られることになれば、要支援者への介護は奪われます。区として、来年度以降も現行相当サービスの継続を行うべきです。見解を伺います。
 次は、長寿サポートセンターの配置についてです。
 区は、ことしの3月で、高齢者の暮らしを支えていた長寿サポート東陽南を廃止しました。廃止の理由として、電話を受けたら職員が訪問することと、区役所でも対応できるということを挙げています。しかし、初めての方の場合は直接来庁する方も多く、電話があれば十分というわけではありません。
 また、相談業務については、長寿サポートセンターにつなぐだけで、区役所で相談支援を直接行うわけではありません。
 東陽一・二丁目の地域の方からは、「江東ホームは近かったのに、東陽六丁目まではとても歩いていけない」との声が寄せられています。高齢者にとって、歩いていける身近な場所に配置されているというのは極めて大事なことです。東陽一・二丁目にも長寿サポートセンターを配置すべきと考えますが、区の見解を伺います。
 次は、長寿サポートセンターの職員体制についてです。
 長寿サポートセンターには、高齢者の権利擁護や認知症予防など、高齢者の生活を支える役割があります。その役割の一つに、要支援者のケアプランの作成がありますが、現在配置されている職員数では足りず、権利擁護などを行う専門3職種の職員もケアプランの作成を行っている状況です。
 現場で働く方からも、今後、要支援者のケアプランの作成がふえると、専門3職種の職員がその仕事に手をとられ、総合相談事業に支障が出るとの声が上がっています。区は現場の声に応え、必要な人員の配置ができるよう支援すべきと考えますが、区の見解を伺います。
 次に、特別養護老人ホームについて伺います。
 現在、特別養護老人ホームの待機者は1,400人を超えています。我が会派は特別養護老人ホームの増設を繰り返し求め、ようやく長期計画に新たな特別養護老人ホームの増設が盛り込まれましたが、2019年度に設計に着手するというだけで、具体的な内容については明らかにされていません。早期に計画を具体化すべきです。伺います。
 ここ数年で、特別養護老人ホームに申し込み、入れないまま亡くなられた方が、毎年300人から400人ほどとなっており、全く足りていない状況です。さらに次の整備を計画すべきです。見解を伺います。
 大綱3点目は、中小企業支援についてです。
 区内の中小企業景況調査によると、景気がよくなる見通しを持てない業者が多数います。区内の業者は、「いくら待ってもよくなるどころか悪くなる一方だ」と言います。アベノミクスの効果は中小企業に全く届いていません。区として、中小企業支援を拡充し、応援することが重要です。
 そこで、商店街支援について伺います。
 閉店が相次ぐ中で、商店街の運営そのものが困難になりつつあります。閉店したお店が住宅に変わったら、そこはもう二度とお店になることはなく、商店街の機能が失われていきます。活気ある商店街づくりのための支援を充実させるべきです。
 そこで伺います。
 1つ目に、商店街空き店舗活用支援事業についてです。
 この事業の補助対象は、江東区商店街連合会への加盟商店会に限られていますが、現在区内に54ある商店会のうち14の商店会は加盟していません。加盟していない商店会にも対象を広げるべきです。伺います。
 2つ目に、装飾灯の電気代補助についてです。
 商店が住宅に変わる中で、残ったお店で商店街の装飾灯の維持を行うため負担が増しています。残った商店がさらなる負担を負うことになれば閉店が加速します。電気代の全額補助を行うべきです。伺います。
 3つ目に、生鮮三品小売店支援事業の対象拡大についてです。
 この間、区は、「三品」で効果を確かめると答弁してきました。利用した人からは、「この制度があったから事業が継続できた」との声が寄せられています。いち早く全店舗に広げるべきです。予算を引き上げ、全店舗への拡充を実施するよう求めます。見解を伺います。
 次に、建設業者の支援についてです。
 建設業界では、賃金が低く、担い手が減少し、技術の継承が困難になっています。そこで、技能労働者の適切な確保を目的として、公共工事設計労務単価が2013年から4回にわたって引き上げられました。しかし、引き上がった分が重層下請構造のもとで中抜きされている実態が浮き彫りになっています。
 都内の建設団体への調査では、設計労務単価が建設業の全職種の平均で1日4,632円も引き上がっているのに対し、職人の賃金は755円しかふえていません。差が余りにも大き過ぎではないでしょうか。区の発注する公共工事で直ちに実態を調査し、必要な手だてをとるべきです。区の見解を伺います。
 また、工事費の中には、社会保険料の事業主負担分である法定福利費がひとくくりに示されています。中抜きされる過程の中で、この法定福利費分までもが下請に回っていない実態があります。そのため、下請を行う事業所の経営を圧迫し、労働者を解雇する事態が発生しています。
 国は元請企業に対し、法定福利費を別枠で明示した見積書をつくり、下請にまで法定福利費の適切な支払いや状況の確認をするよう指導しています。区で発注する工事も、国の指針に沿った対応をすべきです。区の見解を伺います。
 また、一人親方が社会保険に加入していないことを理由に、現場から排除されている実態もあります。この対応は、国の指針に違反するものです。区の発注工事において、現場に入れるよう周知徹底することを求めます。伺います。
 最後は、公契約条例についてです。
 公契約条例は都内でも6つの自治体で制定され、さらに広がろうとしています。区はこの間、公契約条例に対して、国が取り組むべき課題であるとし、労働条件は労使間で決定することであり、区が行うものではないという答弁を繰り返してきました。しかし、これは自治体の仕事として取り組むべき課題です。
 今年度、公契約条例の制定を進めようとしている目黒区では、その理由として、労働者や事業者の育成によって、区で行う契約の品質向上を図り、ひいては区民サービスの向上に、また、地域経済の活性化につなげていきたいと述べています。
 労働者や業界の健全な発展に寄与することは、よりよい住民福祉の向上につながるものであり、自治体の役割として取り組むべき課題です。本区でも公契約条例を制定すべきと考えますが、区の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

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