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2017年第1回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問いたします。

  • 来年度の予算編成について
  • 行財政改革における民間委託等について
  • 公共施設等総合管理計画の骨子案について
  • 豊洲市場問題について

 質問の1点目は、来年度の予算編成について伺います。
 初めに、政府の経済政策と来年度予算について伺います。
 安倍政権が進める経済政策、アベノミクスの4年間は、大企業、富裕層へ富を集中させる一方で、中間所得層を疲弊させ、貧困層を増大させるなど、日本社会の格差を深刻なものにしています。
 大企業の利益はこの3年間で1.5倍にふえ、内部留保は過去最高の386兆円に達しています。
 一方、労働者の実質賃金は4年間で19万円減少し、家計消費も実質16カ月連続マイナスです。政府の国民生活基礎調査でも、「生活が苦しい」が18%もふえて60%に達し、「普通」は16%減って36%に落ち込んでいます。
 本区の区税収入を見ても、非課税世帯や年収200万円以下の貧困層がふえ、生活保護世帯も7,700世帯、約1万人になるなど、貧困が広がっています。
 区の景況調査でも厳しい状況が続き、地元商店街からは、「閉店がふえている。景気は悪くなる一方だ」との声が上がっています。
 アベノミクスで景気は回復基調だと主張してきた区長の認識は、区民の生活実態と乖離していると考えますが、区長の見解を伺います。
 安倍政権のもとで、年金の削減や医療・介護の負担増など、社会保障改悪が行われてきました。政府の来年度予算は、後期高齢者医療保険料の引き上げを初め、70歳以上の高額療養費の患者負担増、介護利用料の3割負担導入など、格差と貧困に追い打ちをかけます。
 さらに、政府の来年度予算額は、社会保障を切り捨てながら、戦争法である安全保障法制を推し進めるために軍事費を増大させ、過去最大の約5兆1,250億円です。区長は政府に対し、4兆円にも及ぶ大企業減税をやめ、海外派兵のための軍事費を削減し、社会保障や暮らしに回すことを求めるべきです。伺います。
 次に、本区の来年度予算編成について伺います。
 安倍政権のもとで格差と貧困が広がり、区民の暮らしは一層厳しいものになっています。これまでの景気は回復基調だとして、区民の暮らしを直視しない区長の姿勢を改め、区民生活を守るために力を尽くすことが、今、切実に求められています。ところが、区の来年度予算では、約1,000人の定員増を図る認可保育所の整備などがあるものの、オリンピックのカウントダウンイベントに約2,100万円を使うなど、オリンピック・パラリンピック関連事業には新たに約7億円を投入します。
 その一方で、深刻な介護士不足に対応する就労支援事業の拡充分は360万円にすぎないばかりか、区民の暮らしを支えるための新たな経済的支援策はありません。
 中でもオリンピック・パラリンピック開催を理由にして、通常の建設費と比べて極めて高い120億円余を投入する(仮称)第二有明小・中学校の建設は問題です。学校施設に格差をつける特別な校舎建設よりも、学校現場から強い要望が上がっている雨漏りやトイレなどの改修に力を尽くすべきです。伺います。
 また、来年度予算では、女性や母子家庭などで銀行融資が受けられないときに、無利子で修学資金などが借りられる女性福祉資金を廃止し、高齢者のためのバリアフリー改修費の助成や無利子で耐震補強改修費を融資あっせんする住宅修築資金融資あっせん事業も切り捨てます。生活支援に必要な女性福祉資金、住宅修築資金融資あっせん事業の存続を求めます。伺います。
 区立亀高保育園の民営化も問題です。
 運営費が大幅に削られたため、人件費が抑えられた上に、延長保育が義務づけられる結果、過重労働となって保育士の退職につながるなど、保育士不足の解消に逆行します。
 待機児童が増加し、認可保育園不足が深刻なさなかに、保育の質が高く運営が安定している公立保育園を民営化する必要性など全くありません。民営化の中止を求めます。伺います。
 本区は人口増により行政需要が高まっていますが、人口1,000人当たりの職員数は23区中最低に近く、福祉事務所だけで27人も不足しており、過重労働によるメンタル不調がふえ、業務に支障を来しています。退職不補充など、職員削減による定員適正化計画を見直し、職員組合が求めている164人の職員増員に応えるべきです。伺います。
 区は、住民税の強権的な徴収強化を続けています。税法上、差し押さえ禁止である年金などを全額差し押さえ、区民を生活困窮に追い込んでいます。差し押さえありきの徴収強化はやめ、区民の生活実態に即した税務行政とするべきです。伺います。
 1,000億円を超す基金の一部を活用し、区民生活支援を最重点に据え、区内経済を支えている中小企業のための予算を強化するなど、予算の修正を求めます。
 今、高齢者からは、「夫の介護でお金がかかり預金もなくなった」など、悲痛の声が寄せられています。高齢者入院見舞金制度や重度介護手当を創設するべきです。
 こどもの貧困が深刻さを増し、生活支援が急務です。保育料軽減や就学援助の拡充、学校給食費の負担軽減を行うほか、子ども医療費助成制度は18歳まで対象を広げることを求めます。
 また、地元建設業者からは、「地域の仕事が少ない。賃金、単価も上がらず苦しい」などの声が上がっています。
 来年度予算に占める産業経済費の割合は、わずか0.9%です。地域経済活性化に向け、住宅リフォーム助成制度の実施、店舗改修助成制度の拡充、公契約条例の制定、制度融資の利子補助拡充などを行うべきです。あわせて伺います。
 質問の2点目は、本区の行財政改革における民間委託等について伺います。
 区は、重度の障害者が通所している塩浜福祉園を民営化する計画を立てています。区は、利用者の家族会に対し、指定管理者の導入に向け、事業者選定の事前調査を提案してきましたが、家族会がアンケートを行った結果から、事前調査に同意しないことを区に伝えました。ところが、区は家族会の同意など関係ないとの姿勢であり、家族会からは、「民間委託ありきで信頼関係が持てない」との声が上がっています。これは、「利用者との信頼関係を基本に取り組む」とする区の方針に背くものであり、民営化ありきの姿勢を改め、家族会の声を受けとめるべきです。伺います。
 他の自治体の施設を見学した家族会は、民営化した障害者施設では、人件費削減で職員配置が少ないこと、一方で、他区の区直営の福祉園では、介護職に区の職員を配置するなど、専門的機能が充実していると指摘しています。
 重度障害者の保護者からは、「うちの子は環境変化で一、二カ月間、食事も水もとれず10キロもやせたことがあります。区の職員と長年培ってきた信頼関係は命にかかわる大切なものなのです」と述べ、区直営での存続を切望しています。
 区は、塩浜福祉園の民営化を中止し、介護職などに区職員を配置するなど、専門的機能を充実することを求めます。伺います。
 次に、区立図書館の民間委託について伺います。
 区は、既に民間委託した窓口業務に加え、図書館全体の民営化を検討しています。私たち区議団は、民間委託した佐賀県の武雄市図書館と、民間委託後に直営に戻した山口県の下関市立中央図書館を視察しました。
 武雄市図書館は、TSUTAYAなどを中心に運営している営利企業に運営を委託しましたが、市民の調査研究に欠かせない貴重な歴史資料や書籍を大量に廃棄し、歴史資料館を潰してレンタルビデオ店にするなど、収益第一の商業施設的な運営となっています。
 一方、下関市立中央図書館は、紀伊國屋書店が主体の管理会社に運営を委託しましたが、収益を上げるために人件費を削り、32人の司書を25人に削減するなど、図書館の役割を低下させたなどの理由で直営に戻しました。
 図書館は、図書館法で「教育と文化の発展に寄与し、教養、調査研究などに資することを目的とする」と定められており、サービス利用料は無料が原則です。
 視察した2カ所の図書館の実例は、民間企業への委託が利益最優先となり、図書館本来の目的と役割が果たせないことを端的に示していると考えますが、区の見解を伺います。
 図書館の民間委託の検討は中止し、直営を維持するべきです。同時に、司書を区の正規職員として増配置するなど、図書館機能を充実することを求めます。伺います。
 次に、本区の非常勤職員の雇用問題について伺います。
 区は、学童クラブを初め、江東きっずクラブ、げんきっずなどで働く区の非常勤指導員に対して、雇いどめ、首切りを行おうとしています。これまで区は、民営化する場合でも、配置転換などで1人も雇いどめはしませんでした。また、区は昨年の10月に、全員を継続雇用することを表明しており、今回の雇いどめ、首切りは極めて不当で許されないものです。しかも、継続雇用を希望している非常勤指導員のうち、誰が雇いどめに指名されるのか、期日も含めて不明としたことから、非常勤指導員全員に大きな不安が広がるなど、手続上も不当のきわみです。
 学童クラブなどの非常勤指導員は、正規職員と協力しながら、こどもたちの安全と健やかな成長のために大きな役割を果たしています。雇用など、住民生活を守ることが自治体の責務です。首切りを中止し、全員の雇用を継続するべきです。伺います。
 質問の3点目は、本区の公共施設等総合管理計画の骨子案について伺います。
 区は、政府の要請に基づき、公共施設などの管理の基本方針を定める江東区公共施設等総合管理計画の策定に向け、骨子案を発表しました。
 公共施設等総合管理計画策定の背景には、安倍政権が決定した日本再興戦略があり、その狙いは、公共施設の統廃合、集約化によりコスト削減を図ること、公共施設などの維持管理を民間企業に委ねて利益確保の場にすることにあります。
 新宿区は、公共施設等総合管理計画素案を発表しました。財源不足を理由に、区施設の総床面積を22%削減して不動産活用を図り、施設使用料の値上げなどを計画しています。
 また、練馬区の素案でも、財政難を理由に、小中学校の統廃合、出張所の廃止のほか、児童館も含め、区民館、地区集会所など44カ所を廃止するなど、区民サービスを大幅に切り捨てます。
 本区の骨子案では、今後30年間の改修・改築費用等の推計は約4,625億円、年平均で約154億円が必要と試算し、今後、既存施設については廃止、縮小、統合などを検討するとしています。新宿区や練馬区と同様に、多数の公共施設を廃止、縮小する区民サービス切り捨ての計画にするべきではありません。伺います。
 川崎市では、道路や橋梁などのインフラ資産の長寿命化とあわせて既存の公共施設も長寿命化させ、財政負担の軽減を図るとしています。本区でも、既存施設の廃止計画などではなく、長寿命化を検討するべきです。伺います。
 また、本区の骨子案には、開発が進む南部地域では、人口増を踏まえ、子育て関連施設などの新規整備を行うとしています。しかし、有明地区については、公共施設の整備計画が具体化されていません。子ども家庭支援センター等々、必要な施設の整備計画の具体化を図るべきです。伺います。
 国の公共施設等総合管理計画策定の指針では、議会や住民との十分な情報共有を求めていますが、本区が行っているのは区報による意見聴取だけです。計画策定の段階から十分な情報公開と地域別の丁寧な住民説明会を実施し、住民合意の計画にすることを求めます。伺います。
 質問の4点目は、豊洲市場問題について伺います。
 1月14日、都が実施した地下水モニタリング調査の最終結果が公表され、観測井戸201カ所のうち72カ所で環境基準を超す有害物質が検出されました。発がん性のあるベンゼンが35カ所で環境基準を超え、最大で79倍。また、検出されてはならない猛毒のシアンも39カ所で検出され、ヒ素は20カ所で環境基準を超えるなど、豊洲市場の全街区において汚染が確認されました。
 この調査結果について、都の専門家会議ではショッキングな数値であり、盛り土の再汚染がないとは言い切れないとして、今、地下水の再調査が行われています。
 今回の結果は、この間、我が党が、「都の土壌汚染対策は汚染物質を全て除去していない」、「環境基準を超す汚染土壌、地下水が取り残されている」と指摘してきたことのあかしだと考えますが、区の見解を伺います。
 そして、都の地下水の再調査はわずか29カ所で実施するにすぎません。区民の不安が広がる中で、安全・安心を担保するためにも、201カ所全ての観測井戸で調査するよう都に求めるべきです。
 また都は過去8回の地下水モニタリング調査について、土壌汚染対策工事を行ったゼネコンや地下水管理システムを設計した企業に発注した上に、都の職員が検査に立ち会っていないなど、検査結果の信憑性がありません。過去8回の調査結果の全面検証と結果の報告を都に求めるべきです。あわせて伺います。
 今回の地下水モニタリング調査の結果を見ると、汚染された地下水が上昇し、海抜1.8メートルを大幅に超え、盛り土が再汚染されている可能性が強まっています。都に対して盛り土の汚染調査の実施を求めるべきです。伺います。
 また、都の専門家会議による土壌汚染対策は、日本環境学会の専門家などから、有楽町層以下の地下水調査の未実施や、地下水管理の困難性などが指摘され、絵に描いた餅と批判されてきました。真に食の安全・安心を確保するために、専門家会議と異なる見解の専門家を配置して、これまでの汚染調査や土壌汚染対策工事などの徹底検証と本区への説明を都に求めるとともに、区みずからも検証し、区民への説明責任を果たすべきです。伺います。
 また、東京ガス豊洲工場跡地購入を強引に進めてきた石原元都知事などの責任と真相解明を求める世論が強まっています。この間、我が党都議団は、都議会に百条委員会の設置を繰り返し求めてきましたが、設置が合意され、真相の解明に向けて重要な前進となります。また、都においても全容を解明し、公表する責任があります。これまでの検証は求めないとする区の姿勢を改め、都に対して全容解明を求めるべきです。伺います。
 仲卸などの市場関係者からも、「豊洲市場の安全宣言はもう無理」、「市場にできる場所ではない」との声が上がっています。移転の白紙撤回は現実的ではないとする区の考えを見直し、豊洲への移転は一旦白紙撤回し、市場関係者などを含めて、築地における市場再整備の検討を行うよう都に求めるべきです。
 以上、区長に伺い質問を終わります。(拍手)

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