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2016年第4回定例会―そえや良夫議員

 日本共産党江東党区議団を代表し、大綱3点について質問します。

  • 保育について
  • 国民健康保険制度について
  • 地域経済活性化支援について

 第1は、保育についてです。
 保育所不足は、妊娠と同時にこどもの預け先を探し始めなければならないほど深刻です。区もこの間、保育所をふやしてきましたが、ことし4月、認可保育所に入れなかった児童数は1,700人を超え、全国の大都市の中でワースト7位です。
 日本共産党は、保育所増設に向け、公有地だけでなく民有地も活用できるよう、党を挙げて支援の強化を求めてきました。これを受けて都は、このほど財務局所管の未利用地のリストを提供してきましたが、適地が少ないと聞きました。新砂保育園の整備用地は福祉保健局の管理でした。都に対し、都市整備局や港湾局などを含めた全庁的な洗い出しと情報提供を求めるべきです。伺います。
 用地確保のために保育課に不動産の専門家を任用した世田谷区は、来年4月に向けた2,200人の定員増にめどをつけ、再来年までに合わせて30園を増設する計画です。
 本区は、全日本不動産協会などと協定を結んで用地を探しているとのことですが、この4年間、実績はありません。用地確保は、人任せでなく不動産の専門家を任用し、区が本腰を入れて取り組むべき課題です。伺います。
 また、2006年に廃止された公立保育所への施設整備費の補助金を復活するよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
 次は、保育士確保についてです。
 低賃金などにより保育士が確保できない問題に対して、政府も処遇改善策を打ち出しましたが、来年度予算に盛り込んだのは月額6,000円の賃上げです。他の産業より11万円も低い賃金の改善には、ほど遠いものです。保育士配置基準と保育予算を抜本的に引き上げて、処遇改善を図るよう求めるべきです。伺います。
 また、本区も始めた借り上げ宿舎に対する家賃助成は、期間5年の暫定措置で、助成対象も新しく採用した職員と極めて限定的です。我が党は、将来にわたる保育士の処遇改善のために、期間の延長と対象の拡大を求めてきました。こうした中、都は、10月の補正予算で、採用から6年目以降の保育士も対象とする改善を図りました。本区の家賃助成についても、来年度以降、対象者を拡大すべきです。伺います。
 また、処遇改善策として設けられた家賃助成は、2020年までの暫定措置ではなく、賃金の抜本的改善が図られるまで期間を延長するよう求めるべきです。あわせて伺います。
 保育の質の確保も求められています。
 都は、認可外保育施設での事故防止、安全対策の強化のために、巡回指導を強化するとしていますが、ふだんの状況を正確につかみ、適切な指導につなげるためには、事前通告なしの抜き打ち検査とすべきです。
 また、人件費比率が極端に低い事業所には、お金の流用がないか厳密な調査をすべきです。伺います。
 そもそも、保育士不足も保育の質の低下も、国が保育に対する公的責任を投げ捨て、保育予算の削減や保育所設置基準の緩和をし、また、利益を追求する株式会社の参入に道を開き、その上、都が保育士配置基準や面積基準を緩和した認証保育所を導入したことが原因です。園庭もありベテラン保育士もいる、保護者が求める保育の質の確保のためには、国と都が進めてきた規制緩和と営利企業の参入を改めることが必要です。伺います。
 処遇を改善し、身分の保証があれば人は集まります。北区の保育士募集には、80人の募集枠に580人、本区でも、20人の募集枠に148人と、ともに7倍を超える応募がありました。保育の質を確保しながら待機児童解消を進めるための決め手は、公立保育所の増設です。区立保育所の民間委託や企業頼みはやめ、区立認可保育所の増設に力を尽くすべきです。伺います。
 第2は、国民健康保険制度についてです。
 国民健康保険制度は、他の医療保険に入れない方が最後に入る医療のセーフティーネットです。ところが、今、高過ぎる保険料を払えず、治療を中断したり、受診抑制することにより、重症化してしまうなどの事態が蔓延しています。本区でも、滞納世帯が3割を超えています。45歳の夫婦とこども1人の3人家族、夫の給与所得は170万円であるこの世帯の保険料は31万3,000円で、所得の18%にも上り、妻は「歯が痛くてもひたすら我慢する」と言います。
 区は、「制度維持のために値上げは必要」と言いますが、重い保険料負担が暮らしを圧迫し、命も健康も脅かしています。来年度以降の保険料の値上げはやめるべきです。伺います。
 国が進める国民健康保険の広域化は、国民健康保険料の算定方式の変更、一般財源で賄われていた高額療養費の国民健康保険料への算入で、区民には保険料の一層の値上げとなっています。高額療養費は従前どおり、一般財源からの繰り入れで賄うべきです。あわせて伺います。
 次は、多子世帯などに対する国民健康保険料負担の軽減についてです。
 国民健康保険の広域化に向け、所得計算から扶養控除が外されて、多子世帯や障害者のいる世帯の保険料が大幅に上がりました。その上、こどもにも一律にかかる均等割もふえ続け、今年度は1人当たり4万6,200円と、こどもが多い世帯に重くのしかかっています。
 東大和市では、3人目以降の均等割を無料にし、多子世帯の負担を軽減しています。また、特別区長会役員会での世田谷区長の「国民健康保険料はこどもの人数に比例して高くなる、多子世帯に配慮した保険料の算定の仕方が今後のテーマ」という発言には、特別区担当部長会でも共感が広がっていると聞いています。山崎区長も特別区長会で積極的に対応すべきです。伺います。
 次は、国民健康保険料の滞納処分についてです。
 区は、公平・公正な負担、制度維持を理由に、保険料滞納者に対する差し押さえを強化しています。しかし、保険料の差し押さえについても、国税徴収法が適用され、最低限の生活維持に必要なお金は差し押さえが禁止されています。ところが区は、滞納者と連絡をとる手段、分納相談の入り口として、違法な預貯金全額の差し押さえを正当化しています。
 私のところに、長期出張中の土木関係の労働者から「振り込まれた給与全額が差し押さえられ、飯も食えない」との相談がありました。この差し押さえは違法ではありませんか、伺います。
 生活を無視した差し押さえは絶対に行わないよう徹底すべきです。あわせて伺います。
 そもそも値上げと徴収強化では、制度維持はできません。国民健康保険は「助け合い」とされていた旧制度のもとでは、3割もの国民がお金がないために保険に入れず、病気が貧困を招くと社会問題になっていました。
 そのため、昭和34年に改定された新法では、第1条に「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」と明記され、助け合いから社会保障制度に発展しました。また、病気や失業中の方なども抱え込む制度のため、国民健康保険会計の2分の1は国庫負担とされました。
 今、国民健康保険会計が逼迫しているのは、昭和60年以降、政府が国庫負担率を下げ続け、当初の半分に減らしたことが要因です。制度維持のために必要なのは、国庫負担率をもとに戻すことです。見解を伺います。
 政府は、今、医療支出を減らすため、国民にさらなる負担増を押しつけようとしています。病院が出す薬代の値上げ、かかりつけ医以外の外来診療に対する窓口負担の上乗せ、65歳以上の高齢者が療養病床に入院したときの居住費の引き上げ、後期高齢者医療制度では、低所得者などへの保険料軽減特例を廃止し、保険料を現在の2倍から3倍、最大10倍にするという大変な値上げです。窓口負担も1割から2割に引き上げるなど、制度は残っても生活が破綻するという厳しい批判の声が出るほどの改悪です。改悪中止を政府に求めるべきです。伺います。
 第3は、地域経済活性化支援についてです。
 まず、小規模企業特別資金融資についてです。
 区内中小企業の景況感は、どの業種でもこの1年ずっとマイナスが続いています。区は、「アベノミクスの効果はやがてあらわれる」と言い続けてきましたが、とてもそのような状態ではありません。中小企業に対する支援の強化が必要です。
 本区の小規模企業特別資金融資の利率は、日本銀行の異常な低金利政策のもとでも1.2%のままで、23区中、上から5番目です。多くの区は1%以下で、最初の3年間は無利子の区もあります。
 荒川区は実質0.6%で、信用保証料も全額補助しています。本区でも、実質利率がゼロ%台となるように補助率を引き上げ、利子負担の軽減を図るべきです。伺います。
 次に、商店支援についてです。
 地元の商店は、消費の低迷と大型店の身勝手な出店の影響などで減り続け、近所の肉屋や米屋、荒物屋がなくなるなど、日々の買い物に困る事態が起きています。
 区が、平成25年の産業実態調査を受けて開始した生鮮三品小売店支援事業は、利用者から「おかげで商売が続けられる」などの声があり、喜ばれています。
 しかし、生鮮三品を扱う店舗は区内で約100軒、小売店全体の6%程度です。米屋、酒屋、豆腐屋など、区内の飲食料品を扱う店舗は百数十軒で、飲食店まで入れると、店舗全体の3分の1となります。商店の継続と地域の活性化には対象拡大が必要です。
 全店舗を対象にした群馬県高崎市の商店へのリフォーム助成では、ホルモン焼き屋がトイレを洋式に変え、店舗の壁紙もきれいにしたら、若い女性客が増加したなど、大きな効果があったと聞きました。商店街に人を呼び込み活性化を図るために、現在の生鮮三品小売店支援事業の対象を全ての店舗に拡大すべきです。伺います。
 次は、小規模建設業者支援についてです。
 建設職人のなり手が少ないことが大きな問題となり、職人確保を目的に、設計労務単価の引き上げが契約済みの分も含め実施されました。しかし、業界特有の重層構造のために、その効果は末端まで届いていないといいます。設計労務単価の引き上げが末端労働者の賃金に反映されているか、実態調査を行うべきです。伺います。
 また、仕事の質の確保や賃金の引き上げによって消費と経済の活性化を図るためにも、公契約条例の制定に向けた取り組みを直ちに始めるべきです。あわせて伺います。
 町場では、技能を身につけるために時間がかかる左官業などで、若い人のなり手が少なく、親方にも若い人を育てるだけの仕事も稼ぎもないため、左官や大工などの職人がいなくなることが心配だと言われています。
 我が党が繰り返し求めている住宅リフォーム助成事業は、区内の事業者に工事を発注することを条件に、区民にリフォーム代金の一部を助成することで仕事おこしを図るものであり、23区中8区、全国で3分の1を超える自治体で実施されています。
 建設、住宅にかかわる技能と業者の育成、地域経済活性化のために住宅リフォーム助成事業を速やかに実施すべきです。伺います。
 次は、地域経済活性化とカジノ法案についてです。
 カジノ法案が審議入りするとの動きが伝えられています。しかし、カジノは勤労精神を麻痺させるほか、治安の悪化、青少年の健全育成に悪影響を及ぼすことから、刑法でかたく禁じられている賭博そのものです。賭博によるギャンブル依存症の方は、厚生労働省の調査によると536万人で、覚醒剤などの違法薬物使用経験者の約2倍に上ります。
 カジノ推進派は、地域経済の活性化に有効と主張しますが、カジノは多重債務や家庭崩壊を引き起こすギャンブル依存症をさらにふやし、治安維持費や犯罪による被害など、社会政策上の支出もふやします。地域経済に悪影響を及ぼすカジノ法案は直ちに廃案とするよう求めるべきです。
 以上、伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

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