2020年第1回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱4点について質問します。

  • 来年度予算(案)について
  • 江東区長期計画(案)について
  • 教職員の働き方について
  • 医療・介護について

大綱の第1は、来年度予算(案)について伺います。
 まず、政府の来年度予算(案)が区民生活にもたらす影響についてです。
 政府の来年度予算案は、消費税増税で深刻な打撃を受けている国民の暮らしや営業には目もくれず、大企業優遇と大軍拡を推し進める予算案となっています。一昨日、内閣府が発表した昨年10~12月期のGDPの速報値は、前期比1・6%減、年率換算で6.3%の減と大幅に落ち込み、消費税増税後、新たな消費不況に突入したと各方面から指摘されています。消費税増税が家計も経済も直撃し、商店は増税による売り上げ減少、複数税率による事務負担の増加など中小業者を深刻な苦境の淵に追い込んでいます。消費税増税と区民の暮し、中小業者の実態をどのように認識しているのか。伺います。
 国は、「全世代型社会保障のため」といって、消費税増税を強行しながら、75歳以上の医療費窓口負担を従来の2倍の負担となる2割への引き上げや、介護施設の入所者への食事負担の月2万円引き上げ、若い世代の人たちの年金を削減しようとしています。山﨑区長は「消費税増税は社会保障のため」と強弁してきましたが、国が実際やろうとしているのは社会保障の全面的な切り捨てではありませんか。今やるべきは消費税を緊急に5%に減税し景気回復を図ること、社会保障きりすてをやめ、充実に切り替えることです。財源は、富裕層と大企業優遇の不公平税制をただし、応分の負担を求めるとともに、米国いいなりの武器「爆買い」などのムダづかいをやめることです。住民の福祉と暮しを守るという自治体の長として、社会保障の切り捨てをやめよと国に意見すべきです。伺います。
 江東区の来年度予算(案)について伺います。
 予算案には、わが党が繰り返し求めた洪水ハザードマップと防災ラジオの全戸配布、子ども家庭支援センター増設、ヒアリングループ設置、産業実態調査の実施など一定の前進があります。しかし、施設使用料の20%値上げはじめ、保育料、学校給食費、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料など軒並み値上げをおこない、全世代への負担増を強いるものです。また、「行革」と称して、学校用務、学校警備、保育園給食調理の民間委託を進め、人口増にもかかわらず正規職員を削減します。技能職の退職不補充と民間委託による職員削減は、避難所となる小中学校に区職員が1人もいないなど、災害時の対応力の低下を招いています。昨年10月の台風19号の際、暴風雨の中、施錠された校門前で多くの住民が立ち往生しました。予算案は、住民の安全、福祉向上という自治体本来の役割を縮小・放棄するもので、「みんながつながる飛躍予算」などと言えるものではありません。区は、身近な区民館や文化・スポーツセンターなどの使用料値上げの理由について、「受益者負担、減価償却費の算入、将来の改修・改築にお金がかかる」などと説明しています。
 しかし、改修・改築の経費は、すべての区民に平等に利用の機会を提供するための費用であり、本来税金で賄うべきものです。安易に受益者負担の考え方を拡大することは、各施設の本来の理念にも反するものです。減価償却費を算入しない政策的判断も含め、施設使用料の値上げを中止すべきです。伺います。
 本区の基金は、この1年間だけでも新たに91億円を積み増しし、3月末時点の基金残高が過去最高の1457億円を見込んでいます。区民への負担増を行う必要など全くありません。ため込んだ基金の一部を積極的に活用し、区民の暮らしと営業を応援すべきです。
 防災分野では、広報車の導入、海抜表示板の設置、感震ブレーカ設置補助、木造家屋の簡易耐震改修費補助の実施を求めます。子育て・教育分野では、こどもの貧困が深刻化し、経済的支援が急務です。保育料の値上げ中止、就学援助の拡充、学校給食費の無料化をおこなうほか、子ども医療費助成を18歳まで広げることを求めます。福祉・医療分野では、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を求めます。放課後等ディサービス・児童発達支援等の利用料負担の軽減、標準数に不足する福祉事務所ケースワーカーの増員、感染症対策、中高年のひきこもり、虐待対応等の業務量増大に伴う保健師の増員を求めます。中小企業分野では、予算全体に占める中小企業振興予算はわずか0・9%です。仕事確保と地域経済活性化にむけ、住宅リフォーム助成、店舗改修等助成の拡充、融資の利子補助拡大、公契約条例の制定を求めます。これらの施策は、一般会計予算案のわずか1・2%、約27億円で実現できます。緊急切実な区民要望を踏まえ、一般会計予算案の組み替えを求めます。伺います。

(山﨑孝明区長の答弁)
 正保幹雄議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案についてのうち、消費税の増税と区民生活についてであります。
 現在の経済状況は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される状況である一方、海外経済の動向や新型コロナウィルスの感染拡大による経済活動への影響、消費税率の引き上げ後の消費者マインドの動向には留意する必要があると考えます。
 また、本区においても一部個人消費に厳しい側面があるものの、中小企業の状況は、横ばい傾向であると認識いたしており、納税義務者の所得は引き続き改善傾向にあることなどから、総じて区民生活は引き続き安定した状態を保っているものと認識いたしております。
 次に、社会保障の削減についてですが、国は社会保障関連経費を前年度比五・一%の増としており、消費税増収分を活用した、幼児教育・保育の無償化や保育士の処遇改善を行うほか、低所得高齢者の介護保険料の負担軽減の更なる強化や予防・健康づくり事業の推進等のための交付金を創設するなど、重要課題に的確な予算配分がなされているものと考えております。そのため、消費税増税分は社会保障のために活用されていると認識しており、見直しを国に求める考えはございません。
 次に、使用料の改定についてであります。
 文化センターやスポーツ施設等の使用料は「受益者負担の原則」に基づき、施設利用者に、ご負担いただいております。
 今回の見直しにあたり、施設の老朽化により将来の改修・改築等に多額のコストがかかることを見据え、「減価償却費」を新たに維持管理コストへ算入しておりますが、改定が必要な率から大幅に圧縮するなど、激変緩和措置を行い、利用者負担への配慮も行っております。
 受益者負担の原則は、サービスを利用し、利益を受ける特定の受益者に、応分の負担を求めることで、施設を利用しない区民との公平性を確保するために妥当な考え方であることから、使用料の改定を中止する考えはございません。
 次に、一般会計予算案の組みかえについてです。
 各分野におけるさまざまな施策についてのお尋ねですが、防災、子育て、福祉や地域経済に関する何点かのご提案については、現時点で実施する考えはございませんが、民生費については、初めて一千億円を超え、区民生活を踏まえた予算編成を行っており、喫緊の課題である防災対策などにもスピード感をもって対応しておりますので、予算の組みかえを行う考えはございません。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長並びに所管部長から答弁いたさせます。

大綱の第2は、江東区長期計画(案)について伺います。
 今後10年間の本区のまちづくりの羅針盤となる長期計画(案)が示されました。計画(案)は、江東区の人口が今後5万人増え、57万人を見込み、行政需要が増大するにもかかわらず、「労働力不足による職員の減少」を口実に、ICT(情報通信技術)による効率化の推進、民間委託、職員の削減をいっそう進めるとともに、「自己責任」「受益者負担」の考えで区民に負担増を強いるものです。その一方で、大型開発は積極的に推進するものです。
 長期計画案が大前提としている国のSociety5.0と、その自治体版の「自治体戦略2040構想」は、人工知能AIやロボットなどICTを活用した「スマート自治体」をつくり、それによって、現状の半分の職員でも運営できる自治体をつくるというものです。そのために、自治体行政の標準化を図り、「広域連携」の名のもとに、「圏域行政」「道州制」目指すものです。
 全国各地で大規模な災害が多発し、自治体職員不足による災害対応の遅れが問題となっています。災害現場において人工知能AIが生身の人の命を救うことはできません。スマート自治体にアクセスできない住民の要望をだれが正確に把握することができるでしょうか。公務員の役割を積極的に見直し、憲法が規定する「全体の奉仕者」として区職員の増員をおこない、区民の生活と人権を守る質の高い行政サービスを充実していくべきす。伺います。
 結局、ICTの利活用は、公共サービスを情報関連企業の「儲けの場」として開放するものです。それによって、住民一人一人の所得や生活向上が実現する保障はどこにもありません。行政サービスの民営化と産業化の方向ではなく、地方自治体の基本的責務である「住民の福祉の増進」の立場にしっかり立つべきです。伺います。
 長期計画案は、積極的に大型開発を推進しています。
 とくに、重点プロジェクトである「臨海部のまちづくり」は、国際会議展示施設である「MICE等の誘致」をかかげ、東京都と一緒になって大規模開発を進めるものです。東京都は2012年9月、お台場地区を「東京DAIBA・MICE/IR国際観光戦略特区」に指定し、それ以降、毎年カジノ調査を実施し、IR候補地を江東区青海に絞り込んでいます。小池知事は「IRは、MICE施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されている」と述べています。IRは、カジノの高収益に依存し、「顧客を貧しくすることでしか繁栄しない」「家族みんなをギャンブル依存症に誘導する」施設であり、地元自治体にはマイナスの経済効果しかありません。住民福祉の向上が使命である自治体がカジノに手を出すなど許されません。区は、カジノ頼りのMICE施設を誘致するのですか。そうでないなら、江東区にカジノは認めないとはっきり表明すべきです。伺います。
 区は、長期計画の実現に向けて、民間委託と職員の削減を一層推進するとしています。しかし、効率化を最優先する民間委託は、委託先の労働者の低賃金と不安定雇用を拡大し、区民サービスの質を低下させています。
 区職員の削減によって、人口1000人当たりの職員数が、23区平均6人台であるのに対し、本区では4人台と極めて少ない職員で仕事をしています。その結果、長時間労働が常態化し、在職死亡や中途退職、メンタル疾患による長期休職者が増加しています。今後5年間にわたって職員定数を増やさない「定員適正化計画」を見直し、人口の急増に見合った職員の採用、技能系職員も含めた大幅な人員増を行うべきです。伺います。

(大塚政策経営部長の答弁)
 次に、江東区長期計画(案)についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、行政サービスのあり方についてです。まず、職員を増員し、質の高い行政サービスを充実することについてのお尋ねですが、区の職員数については、政策形成に関するものや、区の職員が直接執行しなければならない業務以外について、区自ら実施する場合と同程度以上のサービスが効率的に提供される場合において、民間活力を導入するなど、多様化する区民ニーズに的確に応えており、行政サービスを適切に提供できる体制は確保されているものと認識しております。
 次に、行政サービスの民営化・産業化の方向性については、アウトソーシング基本方針に基づき、指定管理者制度を導入するなど、民間事業者の専門性や柔軟なサービス提供等により、利用満足度の向上も図られており、区民福祉の増進に繋がっております。また、ICTの取り組みは区民サービスの観点から必要不可欠であると考えます。
 次に、臨海部のまちづくりについてです。
 新長期計画では、臨海部のまちづくりを重点プロジェクトに掲げ、広大な水辺・緑やスポーツ・観光等を通じ、ベイエリアの魅力を最大限に活かしたまちづくりを推進することとしております。
 一方、カジノを含む統合型リゾートであるIRについては、東京都が平成30年度に、東京にIRが立地した場合に想定される姿や期待される効果をまとめておりますが、同報告書では具体的な立地場所は示されておらず、本区に対して、青海地区にIRを整備する方針で、検討を進めているとの情報提供もございません。
 また、IRは平成30年に制定されたIR整備法において、カジノのみならず、国際会議場やホテルなどを一体整備した特定複合観光施設と定義されておりますが、新たな財源の創出や観光客の増大による地域活性化、雇用創出や経済波及効果など大きな効果が期待される一方、ギャンブル依存症の問題など社会的なマイナスの影響が懸念されているのも事実であります。
 こうした懸念に対しては、カジノへの入場制限に加え、IR整備法に規定するカジノ管理委員会が先月設置されるとともに、ギャンブル等依存症対策基本法では、国・地方自治体等の責務や、依存症対策推進本部の設置が規定されるなど、依存防止のために万全の対策を講じるよう求められているところです。
 いずれにしましても、申請主体である東京都が、「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討していく」としている段階であることから、本区としては、今後も都の動向を十分に注視してまいります。
 次に、定員適正化計画についてですが、職員数については、計画に基づき、行財政改革計画(後期)における平成27年度から令和元年度までの5年間で、職員総数は削減しているものの、事務系職員は76名増員しております。
 また、令和2年度から5年間の新たな定員適正化計画においては、今後、新たな長期計画に基づく事務事業や人口増加による行政需要が見込まれておりますが、ICTの利活用を図るなど、簡素で効率的な体制を引き続き堅持しつつ、必要な人材は積極的に確保していく方針であり、定員適正化計画を見直す考えはございません。

大綱の第3は、教職員の働き方について伺います。
 教員の異常な長時間労働の是正は急務です。区教育委員会は、昨年6月、幼稚園・小・中学校教員の在校時間を調査した結果、国のガイドラインで定める「月残業45時間」をオーバーしている教員の割合が小学校で51.8%、中学校で39.6%、過労死ラインの80時間を超えて働いている教員は237人に上ります。
 東京都教職員組合江東支部の「働き方改善アンケート」には、「もう体がもちません」「今のままでは教員の仕事をやめようと考えている」など、ギリギリの気持ちが寄せられています。教員の異常な長時間労働の実態について、認識を伺います。
 安倍政権は昨年12月、「過労死が増える」「先生を続けられなくなる」などの強い反対の声を押し切って、「1年単位の変形労働時間制」を公立学校の教員に適用可能とする法案を強行成立させました。
 この改正法は、「繁忙期」の労働時間を1日10時間限度に延長する一方、「閑散期」の労働時間を短くして年平均で見かけ上、週40時間内に収めるというものです。しかし、業務量は減らず、夏休みも「閑散期」ではないため、長時間労働に拍車をかけ、子どもたちの教育も教員の健康も脅かされると批判されています。本制度に対する区教委の認識を伺います。また、制度の適用は、恒常的な時間外労働がなく、残業月45時間という国のガイドラインを遵守することが大前提だと思いますが、伺います。
 そもそも解決すべきは、平日一日平均12時間近いという教員の異常な長時間労働です。教職員組合は「今よりもっと退勤が遅くなる」と導入に反対しています。長時間労働を固定化、助長する変形労働時間制は導入すべきではありません。伺います。
 学校現場では、授業数に比べて2割も少ない教員定数で、莫大な業務量をこなしています。先生を増やすことと、業務の大幅削減こそ必要です。教職員組合の働き方改善アンケートでも、「35人以下学級の実現」「国や都の教職員定数改善」「授業持ち時間の上限設定が必要」など、教育条件への改善を求めています。
 業務の削減では、「都と区への調査報告の縮減」「実効ある休憩時間の確保」「部活動指導員の大幅増員」「土日の地域行事の引率の廃止」と続いています。
 国と都に対し、教員の定数増とともに、全学年で35人学級の実施を強く求めるべきです。また、増加するいじめや不登校の対応などで先生たちの負担が増えています。スクールソーシャルワーカーを全校に配置すべきです。業務の削減について、国は、通知で過度な授業時間数や多すぎる研究指定授業などの削減に舵を切りました。都・区の各種調査・報告書の縮減、研究協力校事業など業務の削減・簡素化を大胆に行うべきです。学力テストは、先生たちが過労死ラインで働いても授業準備など最も確保すべき時間も取れないのに、行政が「やる必要がある」といって押しつけていいのでしょうか。学力テストの中止を求めます。法改正により、勤務時間管理は、公立学校を含め使用者の義務となりました。勤務時間の正確な把握と安全配慮を求めます。以上、見解を伺います。

(岩佐教育長の答弁)
 次に、教職員の働き方についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、教員の長時間労働の実態についてです。本区においても、これまで「学校における働き方改革推進プラン」に基づき、勤務環境の改善を進めてきましたが、学校に求められる役割が拡大する中、教員の業務は長時間化しております。教員が心身の健康を損なうことなく児童・生徒に接する時間を十分に確保するためにも、学校の働き方改革の一層の推進が必要と認識しております。
 次に変形労働時間制についてですが、法改正により、条例で一年単位の変形労働時間制の実施が可能となったことを受け、本年一月、文部科学省から教職員の業務の適切な管理等に関する指針が示されました。本区では、変形労働時間制は教員の勤務の適正化を図る上で効果があると認識をしており、まずは、指針に則した取組みの推進を図ってまいります。
 また、変形労働時間制の導入の条件についてですが、文部科学省では、指針を遵守した上で実施するとの見解を示しているため、本区も都の条例改正を踏まえて対応をしていく考えであります。
 なお、変形労働時間制は導入すべきではないとのことですが、夏季休業中の学校閉庁日による休暇取得促進に加え、繁忙期等業務が集中した勤務の振替えを行うことにより、教員自らが資質向上のために時間を有効活用できるため、今後適切に対応していく考えであります。
 次に教員の定数増と業務の削減についてのお尋ねです。まず、教員の定数増と35人学級の実施についてですが、区立小・中学校の教員は、都教育委員会の教職員配置基準に基づいて配置されているものと認識しております。このため、教員定数を抜本的に引き上げるよう国・都に求める考えはありませんが、今後とも働き方改革を進めながら、本区の実態に即した教員配置に努めてまいります。なお、来年度はスクールソーシャルワーカーを1名増員するなど、学校への支援については、今後とも充実を図ってまいります。
 また、業務等の縮減、見直し等については、これまでも各種調査の精選、報告の簡素化等を着実に実施してきており、学校運営にかかる各業務についても効率化を進めております。お尋ねの研究協力校事業については、喫緊の教育課題等、学校運営の問題解決・授業改善に役立つ内容について取り組んでおり、当該校だけでなく、区全体の教育力の向上につながることから、今後も推進していく考えであります。
 なお、学力テストについては、各学校において調査結果を把握・分析することにより、児童・生徒一人一人の学習状況に応じた授業の実施や補習等に活用しており、児童・生徒が学習内容をしっかりと身に付け、主体的な学びの定着を図るために必要と認識しており、国、都へ中止を求める考えはありません。
 次に勤務時間の把握と教員の健康安全についてですが、来年度よりICTを活用した勤怠管理システムの導入を進めることにより、勤怠時間の正確な把握や勤怠事務の効率化を図ってまいります。また、教員の健康安全への配慮については、業務が一定時間を超えた教員に対して、産業医による健康相談体制を整えるなど、今後ともきめ細かく対応をしてまいります。

大綱の第4は、医療・介護についてです。 
 まず、国民健康保険についてです。高すぎる保険料に悲鳴が上がっており、保険料の滞納世帯は加入世帯の3割、2万世帯を超え、常態化している中で、来年度の保険料はまたも大幅な値上げです。給与所得500万円の40歳代夫婦・子ども2人の4人世帯の場合、9912円増の年額59万9533円となり、国保料の負担が所得の12%を占めます。これは、国が区市町村に対し、連続・大幅値上げの圧力をかけ、東京都が保険料値上げを抑えるための公費繰り入れの削減・廃止と国保料引き上げを迫っているからです。しかし、厚生労働省は、公費繰り入れを「自治体の判断」でできると国会で答弁しています。国や都の言いなりに大幅値上げに突き進まず、地方自治の本旨である住民福祉の増進へ、公費繰り入れを行い、高すぎる保険料の引き下げを行うべきです。伺います。
 所得のない子どもにも均等割保険料、一人5万2200円を課していることが、多子世帯にとって大きな経済負担となっています。この間、清瀬市が第2子以降の保険料を5割減額したり、昭島市も第2子の5割減額を行うなど、子どもの均等割保険料の独自減免が実施されています。山﨑区長は、区長会会長として、こどもの均等割保険料の軽減策について、特別区国保課長会等で調査研究をすすめるなど、実現にむけて尽力すべきです。伺います。
 国保料の高騰が止まらなくなったのは、国が国庫負担金を減らし続けてきたからです。全国知事会など地方3団体が求めている公費1兆円を投入すれば、協会けんぽ並みに国保料を引き下げることができます。国に財政負担を求めるべきです。伺います。
 後期高齢者医療保険についてです。
 今後2年間の75歳以上高齢者の保険料は、一人当り過去最高額の10万1053円へと値上げです。この10年間で1万6千円もの値上げは、年金が減らされる中、高齢者にとって大変重い負担です。保険料の値上げを抑えるために後期高齢者医療財政安定化基金212億円の一部を活用すれば、値上げを回避できたではありませんか。伺います。安倍政権は、後期高齢者医療保険の窓口負担を1割から2割に倍加しようとしています。これ以上の負担増は受診抑制を引き起こし、高齢者の生存権を脅かします。75歳以上の医療費窓口負担の引き上げ中止を国に求めるべきです。伺います。
 介護保険についてです。
 国は、ケアプランの有料化や要介護1、2の生活援助を区市町村の総合事業に移すなど、さらなる給付の削減・負担増を検討しています。ケアプランが有料になれば、介護保険サービスを減らしたり、利用できなくなりかねません。生活援助の削減は、在宅生活に困難をもたらし、家族介護の負担を増やします。政府が掲げる「介護離職ゼロ」政策にも反するものです。サービスの抑制や負担増につながる制度の見直しを行わないよう国に求めるべきです。伺います。
 介護現場では人手不足がいっそう深刻化しています。必要な職員を確保できないため、施設を開設できない、事業所の一部閉鎖や廃業などの事態が生じています。長寿サポートセンターの職員は「人手不足で必要な支援が困難になっている」と言います。介護を担う職員や介護職をめざす若者が、自らの専門性を発揮し、誇りを持って働き続けられるために、全産業平均よりも月額約8万円も低い賃金の大幅な引き上げ、労働条件の抜本的な改善を国に求めるべきです。また、区独自に介護従事者への家賃補助など支援を行うべきです。見解を伺い、質問を終わります。

(杉村生活支援部長の答弁)
 次に、医療・介護についてであります。まず、国民保険についてであります。
 国民健康保険料については、医療費等に必要な経費のほか、世代を超えて負担をする後期高齢者医療及び介護保険にかかる経費をもとに算定をしているものであり、受益と負担の観点から、現状の医療費等に対応する保険料となることは避けがたいものであります。
 特別区においては、令和2年度の統一保険料の算定において、本来保険料で賄うべき経費の4%を公費で賄うこと等、保険料の急激な上昇を抑えるための対策を講じており、更なる公費の繰り入れを行う考えはございません。
 さらに、こどもの均等割保険料の軽減等については、特別区長会では、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施すべきものと認識しております。このため、区長会では子育て世帯にかかる均等割保険料の軽減等、制度の見直しについて国及び都に要望しており、引き続き要望実現に努めてまいります。
 また、公費の更なる増額を国に対して要望することについても、定率国庫負担金の増額等の財政支援を講じるよう、既に区長会として、国・都に強く要望しているところであります。
 次に、後期高齢者医療保険についてであります。
 令和2・3年度の保険料の算定における財政安定化基金の活用について、都広域連合は、決算剰余金186億円を見込んだこと、区市町村の一般財源負担により、保険料抑制を図ることとしたことなどから、財政安定化基金の投入を行わずとも、適切な保険料率改定ができるものとし、本基金の活用は行わないものとしたところであり、区も同様の見解であります。
 また、後期高齢者の自己負担の在り方については、政府が設置した「全世代型社会保障検討会議」において、一定所得以上の方の窓口負担を2割とする旨の中間報告がなされたところです。区としても、2022年には、団塊の世代が75歳以上となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、全世代の負担の在り方については、国における議論が必要なものと認識しており、今年夏までにとりまとめる予定の最終報告に向けて、議論の動向を注視してまいります。
 次に、介護保険についてであります。
 まず、サービス抑制や負担増につながる制度の見直しについては、全国市長会を通じ、次期制度改正に当たり、持続可能な介護保険制度の確立を図ることや、要介護1、2の方に対する生活援助を地域支援事業に移行することについて、拙速な検討を避け、慎重を期すことなどを国に求めているところであります。
 次に、介護従事者の賃金の引き上げや労働条件の抜本的な改善については、こちらも、全国市長会を通じ、一層の処遇改善を図るため、国による財源措置の拡充を求めております。さらに、区長会からも、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を求めているところであります。
 また、区独自の介護従事者への家賃補助については、介護人材の確保策として、介護職員の研修費助成など、様々な事業を区で展開をしており、更な支援策実施の考えはありません。

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区議団ニュース2020年1月号

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2019年第4回定例会―赤羽目たみお議員

日本共産党江東区議団を代表し大綱4点について質問します。

  1. 防災・災害対策について
  2. 地域医療の充実と難聴対策について
  3. 子育て支援について
  4. カジノ問題について

まず、防災・災害対策についてです。
 本年10月12日、主に関東地方を襲った超大型の台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。江東区においても荒川が氾濫する恐れがあるとして、亀戸、大島、東砂の全域と北砂の一部に警戒レベル4の避難勧告が発令され、避難所には約7千人が避難する事態となりました。
この間、日本共産党は、避難所や被害状況の調査、避難された方々から聞き取りなどを行ってきました。私自身も、自主避難所で対応にあたる中で様々な課題を感じたところです。

 まず、区民への情報提供についてです。
 多くの区民から「突然の避難勧告で驚いた」「どこに避難していいかわからなかった」という声が寄せられました。今回区は、雨や風が強くなったタイミングで突如、避難勧告を発令しましたが「荒川対岸の江戸川区と比べて初動体制が遅かったのではないか」と区民から指摘されています。まず避難準備情報を出し、障がい者や高齢者など避難行動要支援者に対し、早めの避難を促すべきだったと考えますが、見解を伺います。
 「暴風雨で防災無線が聞こえなかった」という声も多数寄せられています。防災計画では、防災無線以外に広報車を活用して避難情報等を区民に伝えるとしていますが、現在区の広報車は一台もありません。広報車を確保すべきです。伺います。さらに、荒川区や中央区等では防災ラジオを活用し、品川区では、商店街の放送設備に戸別受信機を接続して防災行政無線の放送が聞こえるようにしています。本区でも防災行政無線の内容を受信できる防災ラジオの普及支援を行うなど、対策を講じるべきです。伺います。
 災害時、多くの区民が情報を得ようと区のHPにアクセスが集中したため閲覧ができなくなってしまいました。サーバーの強化を図るべきです。SNS等を活用しての情報発信については、ホームページに繋がらなくても情報が受け取れる発信の仕方を検討すべきです。また、荒川の水位状況・避難所の開設・受入れ情報等を分かりやすく伝えると共に、多言語での発信を行うべきです。さらに、防災アプリを活用する事や避難所避難者への情報提供と共有を図るべきです。合わせて伺います。

 次に避難所についてです。
 今回、避難所が一杯になり暴風雨の中、他の避難所に移ってもらった方がいました。水害時における避難者数を想定して避難所確保に努めるべきです。また、和室のある区民館等も、避難所として開設できるよう対応すべきです。伺います。
 少なくない避難所で水没が想定される1階の体育館に避難者が誘導されました。水害時の避難については予め上階に避難するよう対応すべきです。伺います。
 避難した高齢者からは「上階へ移動するのが困難だった」、「トイレが和式だったため、立ち上がれなくなってしまった」という声が寄せられています。急いでエレベーターを設置すべきです。また、我が党が繰り返し求めている学校トイレの洋式化は大規模改修を待たず早期に改修すべきです。合わせて伺います。
 障がい者等の避難については、障害特性に合わせたスペースを確保し合理的配慮を図るべきです。伺います。
 「ペットを家において避難できない」と危険な自宅に留まった人もいました。水害時の対応においてもペット同伴の受け入れ態勢を確立しておくべきす。伺います。
 自分が住んでいる地域の危険性を事前に把握しておくことで、“いざ”という時の早めの避難行動につながります。そのため、改定されるハザードマップの全世帯への配布は必要です。説明会開催と合わせ周知徹底を図るよう求めます。伺います。

大綱2点目は、地域医療の充実と難聴対策についてです。
 国は、医療費抑制を目的として、公立・公的医療機関を再編・統合し病床数を削減しようとしています。
 厚生労働省は全国で424病院、都内では本区にある東京城東病院など10病院を突如公表したことに医療の現場から怒りの声が上がっています。区内のある病院から「救急医療にも対応し、小回りの利く城東病院の病床が削減されれば、江東区の地域医療は間違いなく後退する」という厳しい声が上がっています。区は、こうした声をどう受け止めますか、伺います。
 全国知事会、全国市長会、全国町村会は「国民の命と健康を守る最後の砦である自治体病院が、機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾」とするコメントを会長3者連名で発表しました。
 地域医療を後退させてはなりません。国や都に対し、公立・公的病院の再編・統合は行わないよう強く求めるべきです。伺います。
 東京都は、都立墨東病院を地方独立行政法人化に向け検討していることも重大な問題です。地方独立行政法人化に移行されると不採算の救急医療や周産期医療、感染症やがん医療などが廃止・縮小されかねません。区はこの間、都の動向を見守るとしていますが、傍観者的な立場を改め、地域の中核病院であり、区民が最も多く利用している都立墨東病院の地方独立行政法人化への検討は中止するよう都に求めるべきです。伺います。

 次に、本区の休日・土曜準夜間診療事業について伺います。
 現在、区内2カ所で実施されている休日・土曜準夜間診療の患者数は、昨年度1万2,762人に上り10年前から1,000人以上も増加しています。区民から「インフルエンザの流行期は、待合室は常にいっぱいで、2時間以上待つこともあり院内感染が心配」という声が寄せられており、医師会からも医師の増員等が要望されています。
 医師の増員や人口が増加している南部地域に休日・土曜準夜間診療所を開設するなど、本事業の拡充を図り、地域医療を充実するよう求めます。伺います。

 次に難聴対策について質問します。
 70歳以上の高齢者の半数は、加齢性の難聴と推定されています。難聴になると、家庭の中や社会的にも孤立しやすく、人との会話や人と会う機会が減って、引きこもりやすくなり、認知症との関連性も指摘されています。
 現在、本区が実施している補聴器の現物支給と調整は、高齢者から大変喜ばれています。区報8月号で事業のお知らせが掲載されたところ300件以上の申請があり、当初予算を上回っています。
 希望者に支給できるよう予算の増額を図るべきです。伺います。
 支給者数の増加に伴い、本庁舎での調整や相談に訪れる区民が増えており「もっと身近なところで調整してもらいたい」という声が多数寄せられています。出張所や長寿サポートセンターで調整や相談ができるよう早期に体制を充実すべきです。伺います。
 先日、豊洲文化センターのホールに設置されている、ヒアリングループを視察してきました。ヒアリングループとは補聴器の聞こえを支援するシステムであり、難聴者の方も雑音なく講演会や音楽会など文化行事を楽しむことができます。しかし、豊洲文化センターのホールにヒアリングループが設置されていることやその機能について十分に知られていません。周知を図るべきです。
 区内には、ティアラ江東や亀戸文化センターのホールにもヒアリングループが設置されていますが、老朽化して今では使えなくなっています。再度使えるように設備を改修すべきです。また、区役所の窓口や区議会議場など公共施設にヒアリングループを設置し聞こえのバリアフリーの推進を求めます。伺います。

大綱3点目、子育て支援について質問します。
 まず、児童虐待対策についてです。
 区内の虐待相談件数は昨年度1,148件、5年前の1.7倍にふえ続けています。中には、親からの暴力で病院に運ばれ保護された子どもや、スマートホンで裸を写されインターネット上に公開されてしまった子どもなど、深刻な児童虐待が発生しており、対策の強化は急務です。
 本年10月から、これまで児童相談所が対応していたケースの一部をそれぞれの自治体が担うことになりました。区は今年度、こども家庭支援課の専門職員を7名から10名にし、南砂子ども家庭支援センターの専門職員は6名から8名体制に増員を図りました。しかし、国の児童虐待防止対策総合強化プランでは、職員一人が受け持つ児童虐待相談は40ケースまでとしているのに対し、こども家庭支援課の職員は一人当たり50件を超え、南砂子ども家庭支援センターでは、職員1人で80件の相談を抱えています。複雑化する児童虐待等の問題に対しきめ細かい支援を行うため、児童虐待に対応する専門職員のさらなる増員を図ると共に、区内すべての子ども家庭支援センターで児童虐待に対応できるよう体制を強化すべきです。合わせて伺います。
 今後区は、一時保護等ができる児童相談所を2025年4月の整備を目指しています。開設の際には約90名の職員が必要ですが、どのようにして専門職を確保するのですか、伺います。
 現在、東京23区の中で、子ども家庭支援センターの運営を民間に委託しているのは江東区と品川区だけです。児童福祉の専門家は「子ども家庭支援センターの運営を委託している自治体では人材確保は困難、児童相談所の設置はありえない」と厳しく指摘しています。区直営の基幹型子ども家庭支援センターを整備し、今から人材確保に本腰を入れて取り組むべきです。伺います。

 次に、保育料についてです。
 本年10月から、子育て世帯の経済的負担の軽減を目的として幼児教育・保育の無償化が始まりました。しかし区は、無償化とならない0〜2歳児クラスの保育料を5%値上げするなど、5000世帯に1億1千万円余の負担増を押し付けようとしています。無償化の対象から外された上に保育料の負担を強いることは、子育て支援に逆行するもので、絶対に許されません。
 区はこの間、保育料の改定にあたっては、景気等の状況を踏まえて値上げを避け、据え置いてきました。今、消費税の増税や、社会保障の負担増で実質賃金は減少し、厚生労働省が行った国民生活基礎調査では、児童のいる世帯の6割以上が「生活が苦しい」と答える等、家計消費が冷え込む中で、保育料の値上げはとんでもありません。区は、保育料の値上げを撤回すべきです。伺います。

大綱4点目は、カジノ問題についてです
 東京都がカジノ誘致について、江東区の青海北側を想定して、誘致のスケジュール表までつくって、具体的かつ詳細に検討している事実が明らかになりました。
 区長は、このような事実を把握していたのですか、伺います。
 そもそもカジノとは、わが国では認められなかった民間事業者が、私的な利潤追求のために、賭博を開帳する自由を与えるもので、社会問題になっているギャンブル依存症を拡大させ、暴力団などの反社会的勢力がカジノの運営に関与することは必至です。
 さらに、犯罪の発生、治安の悪化、マネーロンダリング、青少年の育成への悪影響など、様々な弊害が懸念されています。
 カジノは負けた人のお金を儲けの原資としており、人の不幸の上に成り立つ商売です。健全な経済対策とは到底言えるものではありません。住民福祉の増進が使命である自治体が、カジノ誘致を推進することは絶対に許されないと思いますが、区長の見解を伺います。
 東京都は来年、青海地区のまちづくりについて民間業者から提案を募集するとしており、その中でカジノを含む統合型リゾートなどが提案される危険性があります。区長は東京都に対し、カジノ誘致は断念するよう求めるべきです。
 見解を伺い、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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赤羽目たみお議員の本会議質問への答弁

 次に、防災・災害対策についてお答えします。
まず、区民への情報伝達についてです。
 避難勧告についてですが、荒川の水位予測や、刻々と強まる風雨の状況から、避難準備では不足しており13日の段階では、避難勧告を出すべき状況であったと考えます。
 次に、広報車については、防災行政無線と同様、防音性の高い室内では聞き取りづらく、気象状況等の影響を受けやすいことから、こうとう安全安心メール、区ホームページ、SNSほかを用い、情報発信の重層化を強化していきます。
 また、防災ラジオについては、他に有効な情報伝達手段があり、現在のところ考えておりません。
 なお、今回の台風対応では、協定に基づき、レインボータウンFMによる防災情報の発信も行っておりましたが、このような手段による発信についても、周知に努めてまいります。
 ホームページのサーバー強化については、他区でも同様の事例が発生したことから、原因の詳細な分析を行い、対応策を検討してまいります。
 情報発信手段としてのSNSや防災アプリ等の活用については、荒川の水位状況や避難所の状況等をケーブルテレビやFMラジオ等でも情報発信するとともに、防災アプリでも有効な発信ができるよう検討してまいります。また、多言語化については、区ホームページが対応しており、活用してまいります。

 次に、避難所等についてです。
 避難者数についてですが、本区では88%の方が集合住宅に居住しており、建物内での垂直避難が可能なことから、12%の方が小中学校等に避難すると考えております。なお、避難先となる施設については、区民館等を含め、今後の台風対策等の中で検討してまいります。
 また、多くの方が避難する場合、1階にある場合も含め体育館への一時的な避難は、次の段階での円滑な避難を可能とします。その後、洪水の危機の高まりとあわせ上層階に垂直避難することが妥当であると考えております。
 エレベーターの設置については、江東区長期計画に基づき、バリアフリー化も含め計画的に進めており、また、学校トイレの洋式化についても、和式トイレの多い学校から着実に推進しております。
 また、障害のある方等配慮の必要な方については、学校ごとの防災計画で予め避難スペースを定めておくことになっていることに加え、水害時における福祉避難所の在り方の中でも、検討しております。
 また、ペットの同行避難については、今後の検討課題と認識しております。
 次に、ハザードマップの全世帯への配布についてですが、今回の台風19号を契機として、水害対策の重要性を区民に周知徹底していく必要があることは認識しております。ハザードマップのみを直ちに全戸配布することは現在のところ考えておりませんが、周知のあり方については、検討してまいります。説明会については地域で開催する防災講話等を活用してまいります。

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 次に、地域医療の充実と難聴対策についてのご質問にお答えします。
 まず、公立・公的病院の再編・統合問題についてです。国は、全国の公立病院と公的医療機関等のうち、東京城東病院を含む424の病院について、再編統合について特に議論が必要との分析をまとめ、都道府県に対し、その担う急性期機能や、必要な病床数等についての再検証を求めております。
 東京城東病院は、地域の医療機関と連携し、急性期機能を担っているほか、地域包括支援センターなど地域包括ケアに必要な機能を有しております。
 区としては、この病院が地域に必要な医療機関であると認識しており、今後の国や都の動向を注視してまいります。
 次に、都立墨東病院の地方独立行政法人化問題についてです。東京都による都立病院の経営形態の検討は、高齢患者の増加等、医療を取り巻く環境変化の中、行政的医療の提供を、継続して安定的に果たしていくための経営基盤の強化のための検討であり、一般地方独立行政法人化については、経営形態の一つとして必要な検討であると認識しております。
 次に、休日・土曜準夜間診療事業についてですが、現段階で、この事業の南部地域への拡充についての考えはありません。休日等に診察を行っているクリニックについての情報提供に努めるとともに、区内の医療環境の変化を注視してまいります。また、医師の体制については、インフルエンザの流行による混雑時の対応について、江東区医師会と協議してまいります。
 次に、補聴器支給事業についてですが、高齢者人口の増などによる実績の増加に伴う予算措置については、今後の需要量を適切に推計し対応してまいります。
 また、本庁舎以外での調整や相談の体制の充実については、現行の本庁舎における事業に余裕があり、今後の実績状況等を踏まえて検討してまいります。
 次に、ヒアリングループについてです。周知については、豊洲文化センターのホームページの器具利用の項目に記載する他、利用者との事前打ち合わせの際に、技師より機能等を説明し、利用の提案を行っております。今後も一層の周知に努めてまいります。
 また、老朽化した機材の改修については、ヒアリングループの利用状況や用途の検証等を踏まえ、検討してまいります。
 なお、他の公共施設へのヒアリングループの設置につきましても、検証等を踏まえ、検討してまいります。

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 赤羽目民雄議員のご質問にお答えいたします。
 子育て支援についてであります。
 まず、児童虐待対策のうち、職員の増員についてですが、虐待相談を受けた事案の中には、一回の訪問や相談で終結するケースもあり、ご指摘の職員一人あたりの件数を常に抱えているものではありませんが、こどもの命を守るためには体制の確保が不可欠であると認識しており、今後も、計画的な人員配置を検討してまいります。
 また、全ての子ども家庭支援センターでの虐待対応についてですが、虐待事案への対応は、通報先を限定し対象者についての正確な情報を一元的に管理したうえで、相応の経験を有する職員による対応が求められるところであります。
 このため、全てのセンターで虐待に対応するためには課題もあることから、まずはセンター間での情報共有や、虐待予防事業の拡充など各センターの機能強化について検討してまいります。
 次に、児童相談所開設に向けた専門職の確保については、先行して児童相談所を設置する他区の取り組みを参考にしつつ、東京都とも協議したうえで、本区の確保策を検討してまいります。
 次に、区直営の基幹型子ども家庭支援センターの整備は、現在、各センターの運営が民間事業者により適切に行われ、地域に根差した施設として十分に機能しておりますので、区直営のセンターを整備する考えはありません。
 次に、保育料についてですが、認可保育所の運営経費は、国や都の補助、本区の公費負担とともに、受益者である保護者に保育料としてご負担をいただくものであります。このため、本区では、行財政改革計画に基づき、四年に一度、適正な保育料について検討を行うこととしております。
 今回の検討では、前回検討時と比べ、保育士の処遇改善等、人件費の増などにより、園児一人当たりに係る経費が五パーセント増加していることや、高所得者層の割合が高くなっていることを踏まえ、保育料の改定と階層区分の見直しを行ったところであります。
 今回の保育料改定の対象であるゼロ歳から二歳児は、一人当たりに係る保育経費が高く、保護者負担も平均で二割以下となっていることから、受益者負担の原則や、在宅子育て家庭との公平性の観点からも、保育料の改定は必要と考えております。
 また、本区では多子世帯負担軽減の拡充を行い、ゼロ歳から二歳児においても経済的負担の軽減に取り組んでおり、保育料の改定については撤回をする考えはございません。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。

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 次に、カジノ問題についてのご質問にお答えします。
 まず、東京都が青海にカジノ誘致を検討していることについてです。
 東京都はこれまで、カジノを含む統合型リゾートであるIRについて、海外における事例調査を重ねた上で、平成30年度には「特定複合観光施設に関する影響調査報告書」において、東京にIRが立地した場合に想定される姿や期待される効果をまとめておりますが、同報告書では具体的な立地場所は示されておりません。
 過去に、青海地区に東京都がIRを整備することを検討していたとの報道があったことは承知しておりますが、本区に対して、東京都より、青海地区にIRを整備する方針で、検討を進めているとの情報提供はございません。
 次に、自治体がカジノを誘致することについてです。
 IRはカジノのみならず、国際会議場やホテルなどを一体整備した特定複合観光施設と定義されております。IRをめぐっては、すでに平成28年12月にいわゆるIR推進法が、昨年7月にはIR整備法が制定され、さらには来年1月にIR基本方針の策定が予定されるなど、整備に向けた動きが本格化しております。
 IRは新たな財源の創出や観光客の増大による地域活性化、雇用創出や経済波及効果など大きな効果が期待される一方、ギャンブル依存症の問題や、治安の悪化といった社会的なマイナスの影響が懸念されているのも事実であります。
 こうした懸念に対して、IR整備法では、カジノへの入場制限やカジノ管理委員会の設置が規定されるとともに、ギャンブル等依存症対策基本法では、国・地方自治体等の責務や、依存症対策推進本部の設置が規定されるなど、依存防止のために万全の対策を講じるよう求められており、IRを整備する場合には、当然のことながら、こうした法の規定を遵守して対応を行う必要があると考えております。
 次に、東京都にカジノ誘致断念を求めることについてですが、そもそも東京都はIRについて、「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討していく」としており、本区としましては、今後も都の動向を注視してまいります。

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区議団ニュース2019年11月号

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2019年第3回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問を行います。

  1. 防災対策について
  2. 子どもの貧困対策について
  3. ひきこもり対策について
  4. 消費税増税問題について

 第一は、防災対策についてです。
 首都圏を直撃した台風15号は、千葉県や東京伊豆諸島に甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げます。
地震や豪雨などによって、日本全国で毎年のように大規模な災害が発生しています。江東区でも例外ではありません。地震や台風、豪雨の発生を抑えることはできませんが、災害を最小限に食い止めることは可能です。区としても一層の防災対策の強化が求められています。

 江東5区は昨年8月、共同で作成した大規模水害ハザードマップと広域避難計画を発表しました。荒川と江戸川が氾濫した場合、江東5区の住民90%、約250万人が水害にあい、浸水は長いところで2週間以上続き、150万人が避難を余儀なくされるという衝撃的な被害想定です。
 日本共産党区議団は、区民への周知のために、今年度改定予定の洪水ハザードマップを全世帯へ配布するよう求めてきましたが、区は「区役所や出張所においてある」「インターネットからも入手できる」と全世帯への配布を拒否しています。
 江戸川区では今年5月、改定したハザードマップを全世帯に配布した上で、区内6ブロックで説明会を実施し、その後も町会や自治会などから説明会の要望が相次いでいるとのことです。
 豪雨災害が続き、区民の関心が高まっている今こそ、全世帯への配布を行い、合わせて、江戸川区のようにきめ細かく住民説明会を実施すべきではないでしょうか。伺います。
 広域避難計画では、浸水想定区域内の全ての住民に区域外への避難を求めていますが、現在、公的な広域避難場所は確保されていません。
 区域外での公的避難場所を今後どのように確保するのか伺います。江東区の場合、浸水被害が想定されていない臨海部で、避難所を確保できるのではないでしょうか。見解を伺います。
 
 また、住民および江東区への来訪者に、自分のいる場所の海抜を知らせる海抜表示を電柱や信号注などに行うよう求めてきました。区は、「街ごとまるごとハザードマップで検討する」との答弁を行なっていますが、早急に具体化すべきです。伺います。
 
 次に地震対策について伺います。
 今年6月には、山形県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生するなど、大規模地震による被害も毎年のように発生しています。日本列島の地震活動が新たに活発化していると指摘される中、首都直下型地震への対策の一層の強化が求められています。
 区は住宅の耐震化目標を来年度までに95%としているのに、達成率は81%に止まっています。目標をどう達成するつもりなのか、伺います。
 また、まず命を守るという立場で、木造戸建てについては、簡易耐震にも補助を行うとともに、マンションへの補助を1棟あたり2000万円までという現在の補助を見直し、規模に応じた補助となるよう、1戸あたり100万円に引き上げるべきです。伺います。
 また、家具等の転倒防止対策について、区として実態を調査するとともに、高齢者や障害者世帯の家具転倒防止器具設置の促進を行うべきではないか。伺います。
 東日本大震災での出火原因の54%は電気関係だったとの結果が明らかになっています。これまでの大規模地震の教訓から内閣府は、強い地震を感知した際にブレーカーが自動で落ちる「感震ブレーカー」の設置を推奨し、特に、自治体の指定する「延焼危険性や避難困難度が特に高い地域」や「防火・準防火地域」において、緊急的・重点的な普及促進が必要としています。
 23区では、すでに13区で設置補助が行われています。住宅密集地域を抱える江東区でも、火災による死者を減らすために、斡旋だけではなく設置に補助するべきです。伺います。

 ここ数年の豪雨や猛暑は、地球温暖化が原因とされています。
 江東区は、緑の中の都市「シティーインザグリーン」=CIGを推進しています。CIGビジョンで地球温暖化やヒートアイランド現象の防止に貢献することを掲げ、取り組みのひとつとして、街路樹を新たに植えたり、中木による街路樹の倍増を進めてきました。ところがその一方で、区は、毎年梅雨明けの時期に、木々の葉がほとんどなくなってしまうような高木の強剪定を行っています。街路樹の葉は、地球温暖化の要因となるCO2を吸収し、夏場の強い日差しを遮り、ヒートアイランド対策としても重要な役割を果たすにも関わらず、これではCIGの目的に反するのではないですか。強剪定はやめるべきだと思いますが、伺います。
 また江東区は、今年度、樹木医による診断で不健全の「C判定」となった街路樹を、大量に伐採しています。精密診断を行わずに、何十年もかけて育った貴重な高木を伐採するのは問題です。精密検査を行った上で判断すべきではないですか。伺います。

 第二に、子どもの貧困対策について伺います。
 江東区は昨年、共産党区議団が繰り返し求めてきた「こどもの貧困」にかかる実態調査を行いました。
 調査に携わった子ども・若年貧困研究センター長である首都大学東京の阿部彩教授は、「画期的なこと」と評価し、「施策を進めるうえで、欠かせない羅針盤となることを期待する」と述べています。 
 実態調査では、小学5年生で約18%、中学3年生では約23%の子どもが生活貧困層と考えられるという結果が示されました。
 区は、今回の「子どもの貧困」調査の結果を、どのように受け止めていますか。認識を伺います。
 またこの実態調査の結果を、今後どのように施策に反映させていくのか、伺います。
 
 今回の調査では、貧困家庭の子どもの周囲からの孤立や自宅に学習する場所がないこと、食生活の乱れなどが指摘されています。周囲の人間と関わりを持つことのできる居場所づくりが重要と考えます。
 児童館は本来、0歳から18歳までのすべての子どもを対象とする施設ですが、現状では、低年齢児が中心となっています。現在行われている児童館のあり方の検討の中で、中・高生の居場所としての役割を改めて位置付けるべきではないですか。
 また、「子ども食堂」の運営費補助など取り組みへの一層の支援を行うべきだと思いますが、伺います。
 経済的な支援の拡充も重要です。区は、就学援助の入学準備金の前倒し支給と増額を実施しましたが、国は昨年、さらに生活保護世帯の入学準備金の増額を実施しています。23区では都区の財政調整の対象となっており、葛飾区や文京区などすでに7区が引き上げを行っています。江東区でも準要保護世帯の入学準備金の増額を求めます。
 学校給食費の無償化も広がっています。北区では、今回の補正予算で第2子半額、第3子無償化を行うことになりました。江東区でも学校給食費の無償化に踏み出すべきです。伺います。
 また、塾代補助や子ども医療費の18歳までの拡充など行うべきだと思いますが、伺います。
 区はこの間、スクールソーシャルワーカーの増員を進めてきましたが、家庭への支援が行えるスクールソーシャルワーカーをさらに増員すること、また親の就業を支援するために、就職活動中や職業訓練中の子どもの保育を補償すべきです。見解を伺います。
 現在、子どもの貧困対策は各部署にまたがっていますが、施策を効果的・総合的に実施していくために、足立区のように担当部署を設置すべきではないですか。見解を伺います。

 第三にひきこもり対策について伺います。
 今年5月、川崎市でひきこもり状態にあったとされる50代の男性による殺傷事件や直後に70歳代の父親が40歳代の無業の息子を殺害する事件が発生する中で、ひきこもりの人への偏見を助長する報道や言論が流され、無関係の当事者や家族の不安が大きくなっています。生きづらい社会の中で、ひきこもりは誰にでも起こりうることで、当事者や家族への支援の一層の強化こそ求められます。
 江東区では、不登校やひきこもり、就労などの悩みを抱える15歳から40歳未満の本人とその家族を支援するため、青年相談事業「こうとうゆーすてっぷ事業」を実施しています。
 「こうとうゆーすてっぷ」では、専門の資格を持つ職員による週3回の面談での相談と週1回の電話相談のほか、居場所事業を行なっていますが、いつでも相談することができ、辛い時に立ち寄ることができるよう常時開設すべきだと思いますが、見解を伺います。
 現在、居場所事業は、亀戸の青少年交流プラザでの1箇所のみですが、深川地域にも居場所づくりをすべきではないですか。伺います。
 このゆーすてっぷは、悩みを抱える家族や本人の拠り所ともなるものですが、十分に知られているとは言えません。区報やインターネットなどで、さらに周知すべきだと思いますが、見解を伺います。
 
 内閣府は今年3月、初めて行った「中・高年のひきこもり」に関する調査結果を発表し、40歳〜64歳までのひきこもりが全国で61万3千人にのぼるとの推計値を明らかにしました。
 中・高年の「ひきこもり」のほとんどは就労経験があり、職場環境の急激な悪化、パワハラや過労などでひきこもり状態に追いやられた人が社会に戻れなくなり、長期化しているのが特徴です。専門家からは、「自己責任」と捉えるのは誤りで、このまま現状を放置すれば、近い将来膨大な「貧困高齢者」が生み出され、孤独死の激増など深刻な社会問題を引き起こしかねないと警鐘が鳴らされています。
 国の推計値に基づけば、江東区でも40歳〜64歳まででひきこもり状態にある方は、2700人ほどいると思われます。
 中・高年のひきこもり問題について区はどのように認識していますか、伺います。若者に対する支援と同様、中・高年のひきこもりについても相談窓口の設置や居場所づくりなどの支援体制を作るべきだと思いますが、伺います。
 中高年のひきこもりでは、高齢の親の介護が必要になったり、親の年金に頼る生活から生計困難になったことをきっかけに問題が顕在化するケースが多いのが特徴です。長寿サポートセンターや民生委員など現場で対応に当たる関係者向けにひきこもり支援のあり方などについて区独自に、研修を実施すべきだと思いますが、伺います。

 第四に、消費税増税問題について伺います。
 政府は10月から消費税率を10%に引き上げようとしています。8月30日に発表された7月の商業動態統計調査では、卸売・小売合わせた商業販売は、8ヶ月連続で前年同月を下回る状況です。家計消費は、8%への消費税増税以降、年間20万円も下がったままです。
 実質賃金も7ヶ月連続減少しています。OECDの調査では、過去21年間で賃金がマイナスとなっているのは、主要国で唯一、日本だけです。
 日本経済を支えてきた輸出は、米中貿易摩擦などで低迷。日韓関係の悪化で、国内消費を支えてきたインバウンド消費にも影響が出ています。
 このような状況の中での消費税増税は、あまりに無謀ではないでしょうか。見解を伺います。
 
 世論調査でも消費税増税に反対の声が多数を占めています。政府が増税後の「景気対策」として実施する複数税率やポイント還元も効果は期待できず、中小・零細企業ほど対策が遅れ、増税後の混乱は必至です。
 区内の商店からは「廃業を考えている」、複数税率に対応するレジへの買い替えも「国の補助があっても負担が重い」「本当に増税するつもりなのか」との声が上がっています。
 日本共産党は、消費税の増税に頼らなくても、大企業や富裕層への応分の負担を求めるとともに、無駄な軍事費などを見直せば、社会保障のための財源はつくれると提案してきました。
 区内経済にも、区民の暮らしにも深刻な打撃となる消費税の増税中止を求めるべきではないですか。伺います。

 現在江東区は、使用料・手数料の改定を検討していますが、負担増が相次ぐ中で、値上げは行うべきではありません。
見解を伺い、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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大つきかおり議員の本会議質問への答弁

 防災対策についてのご質問にお答えします。
 はじめに水害対策についてであります。
 まず、ハザードマップの全戸配布と住民説明会の実施についてですが、ハザードマップについては庁舎、区内出張所や図書館で配布しており、必要とする区民には提供できていると考えております。
 また、ホームページにも掲載するため、全戸配布、住民説明会いずれも実施は考えておりません。
 広域避難場所の確保については、臨海部地域を含め現在、国と都が共同座長を務める「首都圏における大規模水害広域避難検討会」にて検討を行っております。
 海抜表示については、現在、洪水・高潮浸水ハザードマップ作成のための、学識者、関係行政機関からなる検討委員会で、設置についての方針を検討しております。

 次に、地震対策についてです。
 住宅の耐震化については、簡易耐震診断の居住要件撤廃など、制度の拡充を図ってきました。
 今後も所有者に対し耐震化の意義や助成制度に関する普及啓発を進め、目標達成を目指してまいります。
 木造住宅の簡易耐震工事については、家屋全体の安全性や近隣の避難経路の確保に支障をきたす恐れもあり、助成制度の創設は難しいものと考えております。
 マンションの耐震化については、規模が大きいほど所有者が多いため、本区は耐震化アドバイザー派遣等合意形成に向けた支援を重視しており、現時点で助成額算定方法の見直しは考えておりません。
 また、家具転倒防止装置の補助については、見直しは考えておりません。
 感震ブレーカーについては、現在のあっせん制度とあわせた有効性の周知が必要であると考えており、直ちに設置助成を行う考えはありません。

 次に、猛暑対策についてです。
 CIGの目的に反する強剪定はやめるべきとのことですが、プラタナスなどの葉が広い木は、強風に対して倒れやすく、そのため台風シーズン前に剪定を行っております。今回の台風でもプラタナスなどには被害はなく、効果が確認されております。
 次に、街路樹の伐採にあたっては精密検査をして判断すべきとのことですが、精密診断を行う必要が無いほど極めて不健全で、倒木の危険があるものがC判定と定義されており、追加の調査は不要であると考えます。

 子どもの貧困対策についてであります。
 まず、子育て世帯生活実態調査についてでありますが、この調査では小学校5年生及び中学校3年生の概ね2割が生活困難層という結果となっております。この調査結果につきましては、東京都の調査結果と概ね同様の傾向であると受け止めております。
 また、施策への反映については、調査で明らかになった生活困難層の生活実態を踏まえ、次期江東区こども・子育て支援事業計画を策定する中で検討してまいります。
 次に、支援策の拡充についてでありますが、児童館につきましては、中高生の居場所として活用することについても現在検討を進めております。また、こども食堂につきましては、今年度より開始した補助事業により、2か所が新規開設されたところであります。
 次に、就学援助の入学準備金につきましては、支給を行う年度の財調単価に基づき金額を決定しており、この方針を見直す考えはありません。
 また、学校給食費については、就学援助制度により、世帯の状況に応じた対応を図っていることから、現時点でさらなる負担軽減を図る考えはありませんが、国や他自治体の動向を注視してまいります。
 塾代補助については受験生チャレンジ支援貸付事業で高校・大学等へ入学した場合に塾代等の返済が免除されます。
 また、子ども医療費助成につきましては、大きな財政負担が生じるため、現時点では対象の拡充は考えておりません。
 次に、スクールソーシャルワーカーの増員については、こどもの抱える問題の複雑化や対応件数の増加を踏まえ、今後検討してまいります。
 次に、就職活動中や職業訓練中のこどもの保育についてですが、待機児童の解消に向けた保育所の整備や、一時保育サービスの充実に、引き続き取り組んでまいります。
 次に、担当部署の設置についてですが、子どもの貧困対策は関係部署が多岐にわたるため、それぞれの専門性を発揮しながら相互連携を強化することが重要と考えており、現時点で担当部署を設置する考えはございません。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。

 次にひきこもりへの支援についてです。
 まず、こうとうゆーすてっぷ事業ですが、本区では若者やその保護者を対象に青少年相談事業としてこうとうゆーすてっぷを実施しております。
常時開設についてですが、こうとうゆーすてっぷの相談実績は概ね6割から8割程度の利用率となっているほか、居場所事業の利用者から常時開設の要望もない現状においては、今の事業体制で十分対応可能と考えております。
 また、居場所事業の実施場所ですが、青少年交流プラザはキッチン付会議室や防音の音楽スタジオなど、居場所事業に適した設備を備えるほか、自宅と青少年交流プラザの移動も回復プログラムの一環と捉えると、現段階では青少年交流プラザを拠点とした居場所事業を実施してまいります。
 事業の周知については、現在すでに区報や区のホームページをはじめ、受託事業者によるこうとうゆーすてっぷ専用ホームページを開設するなど周知に努めており、SNS等の新たな方法の検討も進めております。
 次に中高年のひきこもり支援についてです。内閣府の調査では、中高年のひきこもりは全国で61万人余であり、いわゆる「8050問題」として、親亡き後、こどもの生活が厳しくなり、高齢世帯の生活困窮者の増加を招くなど、今後の社会保障に大きな影響を及ぼすことから、本区にとっても重要な課題であると認識しております。
 中高年のひきこもりへの支援体制ですが、精神保健相談や生活困窮者の自立支援相談を行うなかで、ひきこもりと思われる事案については、東京都ひきこもりサポートネットや就労支援センターなどと連携しながら支援を行っております。
 今後も、国や都の動向を注視しながら、生活困窮者支援ネットワーク会議などを通じて関係機関との連携を深め、適切な支援体制の構築に努めてまいります。
 長寿サポートセンター職員や民生・児童委員等に対する研修についてですが、長寿サポートセンター管理者連絡会では、こうとうゆーすてっぷ等に関する情報提供を行っております。また、民生・児童委員の研修は、民生・児童委員協議会においてテーマ設定を行っていることから、区から適宜、情報提供をしてまいります。

 次に、消費税増税についてであります。
 まず、消費税増税に対する区の見解についてですが、現在の経済状況は、海外経済の不確実性には注意を要するものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、国の各種政策の効果もあり、月例経済報告においても、景気は緩やかに回復しているという基調判断が示されております。
 また、本区においては一部個人消費や、中小企業の人材確保などに厳しい側面があるものの、納税義務者の所得は改善傾向にあるなど、区民生活は総じて、安定した状態が継続されているものと認識いたしております。大嵩崎かおり議員のご質問にお答えします。
 次に、消費税増税の中止を国に求めるべきではないかというお尋ねでございますが、今回の消費税増税においては、増税前の駆け込み需要による反動減に配慮するために、子育て世帯や住民税非課税者へプレミアム付き商品券の販売や、キャッシュレス決済時のポイント還元を実施するなど、各種対策も図られております。
 また、消費税の増収分を幼児教育・保育の無償化や保育士及び介護人材、障害福祉人材の処遇改善に活用するほか、年金生活者支援給付金の支給を行うなど、将来を見据えた全世代型の社会保障制度への転換と、財政健全化を確実に進めることを目的とするものであり、増税の中止を国に求める考えはございません。
 次に、使用料等の見直しについてですが、本区ではこれまで、受益者負担の原則に基づき、施設運営の際に発生する維持管理経費や人件費などを含めた原価計算の結果や、その時々の経済情勢などを勘案しながら、スポーツ施設、文化センター等の使用料を定期的に検討し、適宜改定を行ってまいりました。
 今年度は施設の老朽化が進んでいることを鑑み、新公会計制度のもとで作成した固定資産台帳を活用し、原価計算の中に新たに減価償却費を含めた調査・分析も併せて検討しております。
 使用料の見直しについては、受益者負担の適正化を図ることで、区民サービスの維持・向上は勿論のこと、将来にわたって安定的な施設運営を図ることを目的とするもので、現在検討を進めているところであります。

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水害対策についての緊急申し入れ

江東区長 山﨑孝明 殿

水害対策についての緊急申し入れ

2019年10月30日

日本共産党江東区議団
日本共産党江東地区委員会

 超大型の台風19号では、江東区においても荒川が氾濫する恐れがあるとして、亀戸、大島、東砂を中心に警戒レベル4の避難勧告が発令され、避難所には約7000人が避難しました。
 今回、区は避難準備情報を出さず、いきなり警戒レベル4(発令対象地区の全員が避難)の避難勧告を発令したことによって、多くの区民が驚き、戸惑いを感じました。
 情報提供についても、防災無線が聞こえなかったり、区役所に電話で問い合わせても適切な対応がなされませんでした。また、区のホームページにはアクセスが集中し、開けない状況になりました。
 避難所についても、収容しきれず、他の避難所に行ってもらった事例や、少なくない避難所で水没が想定される1階の体育館に避難者を誘導しました。
 備蓄物資についても、水や毛布等の不足や、自主避難所では備蓄されている物資の提供が円滑に行われなかった事例もありました。
 体の不自由な高齢者等は、上階へ移動するのが困難だったり、洋式トイレが不足し、和式トイレに座ったまま、立ち上がれなくなる事例も生まれました。
 また、プライバシーへの配慮も不十分で、今後の重要な課題です。
 避難所へのペット同伴についても、区防災計画では避難所内に原則、小動物避難所を設置するとしているものの、区は「ペットの受け入れはしない」との対応が行われました。
 日本共産党区議団と党江東地区委員会は、この間、避難所や被害状況の調査、避難された方々から聞き取りなどを行ってきました。
 これまでに把握した切実な要望について、次の通り緊急に申し入れます。

1.情報提供について

  1. 早めの避難情報を出すなど、発令の順序・タイミングや高齢者等への避難誘導は適切に行うこと。
  2. 暴風雨時も含め、防災行政無線の難聴地域を解消すること。また、広報車を走らせること。
  3. 防災行政無線の内容を受信できる防災ラジオの普及支援を行うこと。
  4. ホームページにアクセスが集中して繋がらないことがないようサーバーを増設するなど対策を図ること。
  5. SNS等の情報発信については、リンクを貼って送信するのではなく、ホームページにつながらなくても情報が受け取れる発信の仕方について検討すること。
  6. 情報発信については、日本語だけでなく多言語対応を図ること。
  7. 防災アプリを活用すること。
  8. リアルタイムの荒川の水位状況、避難所開設・受入れ情報等を分かりやすく伝えること。
  9. 洪水高潮ハザードマップは全戸配布し、住民説明会を行うこと。

2.避難所について

  1. 水害時の避難については、避難所の上階を使うなど水害対応とすること。
  2. 和室のある区民館など今回開設されなかった公共施設についても、避難所として開設できるようにすること。
  3. 避難所でも避難者が正確な災害情報を受け取れる体制を整備すること。
  4. た、避難者がテレビ・ラジオ・インターネット等による情報を受け取れるよう配慮すること。
  5. ペット同伴の避難者への受け入れ態勢を確立すること。
  6. 必要な物資の提供(水・食料・毛布など)を適切に行うこと。
  7. エレベーター設置やトイレの洋式化など、避難所のバリアフリー化をすすめること。
  8. 女性や乳幼児等が安心して避難所で過ごせるようプライバシーへの配慮を行うこと。
  9. 簡易型の間仕切りやテントを備品として配置すること。
  10. 荒川の氾濫や堤防が決壊した場合を想定し、南部地域に必要な広域避難所を設置すること。

以上

江東区長に「水害対策について緊急申し入れ」を行いました。

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区議団ニュース2019年8月号

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2019年第2回定例会―正保みきお

  1. 国民健康保険制度について
  2. 子育て支援について
  3. 高齢者・障害者支援について
  4. 消費税増税問題について

◆(正保幹雄議員の質問)
 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。

 第一は、国民健康保険制度についてです。
 今年度の国保料は、一人当たり12万5174円と3186円の値上げとなりました。毎年値上げが繰り返され、「なんでまた値上げなのか」「もう払えない」など、高すぎる保険料に住民から悲鳴があがっています。
 国保は、加入者の8割近くが無職や非正規など低所得世帯でありながら、平均保険料は4人世帯の場合で、同じ年収のサラリーマンの健康保険料の2倍にもなります。これ以上の保険料の値上げはやめ、引き下げるべきと思いますが、伺います。
 全国知事会は、公費一兆円を投入して協会けんぽ並みに国保料を引き下げることを国に要望し続けています。公費一兆円投入すれば、30歳代の夫婦、子ども2人の4人家族の場合、現在年間42万6千円の保険料が22万2千円になり、約20万円の値下げとなります。年金収入280万円の高齢者夫婦の場合、現在15万5千円の保険料が約8万円の値下げになります。山﨑区長が、会長に就任された23区の区長会としても、公費投入のさらなる増額を国や都に強く求め、保険料を抜本的に引き下げるべきです。伺います。
 国保には、「均等割」という他の医療保険にはない「人頭税」があり、国保料を低所得者や家族が多い世帯に重い負担にしている最大の要因となっています。
 「均等割」は、一人5万2200円で、所得のない子どもにも一人増えれば5万2200円ずつ加算され、多子世帯ほど負担が重くなり、子育て支援にも逆行しています。
 「均等割」を廃止し、所得に応じた保険料にすべきです。「均等割」の廃止を国に求めるべきです。
 現在、清瀬市など都内では4つの自治体が、子どもの「均等割」保険料の減免を行っています。区独自に子どもの均等割保険料の軽減に踏み切るべきです。合わせて伺います。
 国は、区市町村が、負担軽減のため独自に行ってきた一般会計から国保会計への繰り入れをやめさせ、都道府県が示す「標準保険料」に合わせ、国保料をさらに引き上げるよう迫っています。
 区は、今後5年かけて、繰り入れをやめる考えを示していますが、繰り入れをやめた場合、年収400万円の4人家族で、年6万5千円の値上げとなり、国保料は49万円を超えます。これでは暮らしが立ちゆかなくなります。
 一般会計からの繰入れを継続し、保険料軽減を引き続き行っていくべきです。伺います。
 国保料滞納者に対する預貯金等の差押えは、この3年間だけでも900件を超え、違法な差押えが行われています。生活が苦しくて国保料を滞納した人が、銀行に振り込まれた給与や年金の全額を差押えられ、さらなる窮地に追い込まれています。
 本人10万円、家族1人につき4万5千円は、最低限の生活を維持する金額として差し押さえてはならないことになっています。中には、預金残高861円を差押えるなど、差押えありきの強権的な取り立てはやめるべきです。また、差押えを相談に来させるツールとするやり方は改めるべきです。
 足立区では、生活困窮者に対し、生活支援策を取りながら、今後の国保の支払いを優先して対応しています。滋賀県野洲市では、「滞納は生活状況のシグナル」ととらえ、福祉や様々な生活支援につなげています。生活支援・生活再建型の収納対策に転換すべきです。伺います。

◆(山﨑孝明区長の答弁)
 正保幹雄議員のご質問にお答えします。
 国民健康保険制度についてであります。まず、保険料の引き下げについてであります。
 国民健康保険は高齢者や低所得者の割合が高く、こうした方々の保険料の負担割合が高いことは認識いたしております。
 しかし、医療保険制度では、受益と負担の観点から、保険料をその財源としており、現状の医療費等に対応する保険料となることは避けがたいものであります。
 また、公費の更なる増額を、国・都へ要望することついては、既に区長会として、定率国庫負担金の増額や低所得者層へのより一層の負担軽減のための財政支援を講じるよう、国・都に強く要望しているところであります。
 次に保険料均等割額の軽減についてであります。
 多子世帯等、子育て世帯の負担にかかる均等割保険料の廃止や区独自の保険料軽減措置については、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施するものと認識いたしております。このため、多子世帯への支援など、子育て世帯の経済的負担を軽減するための均等割保険料の軽減措置をはじめとした制度の見直しについても、区長会から国及び都に要望しており、あらたに均等割の廃止を国に求める考え及び区単独で軽減策を実施する考えはありません。
 次に、一般会計からの繰り入れについてであります。
 平成30年度から都道府県が区とともに保険者となりましたが、これは都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営等を確保することや、事務の効率化、標準化、広域化を推進することが目的であります。
 保険料軽減等のための一般会計から国民健康保険会計への繰り入れ、いわゆる法定外繰り入れについては、給付等に要する費用を法定の公費負担と保険料で賄うことが原則であるため、段階的に解消する計画としております。法定外繰り入れの解消に向け、確実な保険料の収納に努めるとともに、保険料の上昇を抑制するためには、増大する医療費の削減が重要であることから、医療費の適正化事業や保健事業の充実に努めてまいります。
 次に、収納対策についてであります。
 差押については、被保険者全体の公平性や公費繰入の削減、完納している被保険者の納付意欲の低下を防止する観点から実施をしており、納付が無く、連絡も無い場合に、予告をしたうえで法令に即し執行しているところであり、強権的な取立てとの指摘にはあたらないものであります。また、生活再建の視点から、現在も収納窓口等において、分納相談や生活相談等を丁寧におこなっており、引き続き適正な収納事務を進めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。

◆(正保幹雄議員の質問)
 大綱の第2は、子育て支援についてです。
 認可保育園増設と保育の質の確保について伺います。
 改定子育て支援法は、消費税率10%への増税とセットで幼児教育と保育の「無償化」などを行うもので、出費がかさむ子育て世帯を直撃する消費税増税と引き換えで「無償化」というやり方自体は大問題です。また、認可外保育施設指導基準を満たさないベビーホテルやベビーシッターなども無償化の対象となったことから、「保育の質が置き去りにされ、子どもの安全が守られない」「待機児童の解消が先ではないか」の声が上がっています。
 今年度、江東区では、認可保育園に4836人の申し込みがありましたが、そのうち966人が希望する認可保育園に入れませんでした。区は毎年1000人分の保育施設を整備する計画ですが、保育の無償化で保育需要がさらに高まるもとで、定員増の目標をさらに引き上げ、待機児解消を図るべきです。伺います。
 区内の保育所では、保育士の低賃金や長時間労働のもとで、保育士の一斉退職や助成金の不正受給まで起きています。株式会社が運営する認可保育所では、保育士の入れ替わりが激しく、親子が楽しみにしていた夏まつりや親子クッキング、親子遠足などの行事ができなくなり、不満の声が噴出しています。
 これでは、子どもの発達を保障できる質を備えた保育といえるでしょうか。伺います。
 国は、経験を積んだ保育士の賃金増や、4月から月3000円相当の賃上げを行いましたが、他産業より10万円も低い保育士賃金の抜本的改善には及びません。
 国に対し、保育士全体の賃金底上げと、配置基準の引き上げを強く求めるべきです。
 区として、保育士への賃金助成や宿舎借上げ事業の拡充、保育の質のガイドラインを作成し、保育の質の向上を図るべきです。合わせて伺います。
 安倍政権は、待機児童対策の名で、保育士の配置基準が認可施設の半分でよい企業主導型保育を導入し、本区でも同保育所が急増しています。
 しかし、企業主導型保育は、各地で保育の質の低下に加え、定員割れや職員の一斉退職、助成金の不正受給などの問題が噴出しています。「企業主導型」の普及頼みは、自治体の責任を放棄し、園庭のないビルの一室など保育条件を引き下げ、保育士の資格要件の緩和をさらにすすめなど、安全・安心を求める親の願いに反するものです。
 保育の公的責任を放棄する政策はやめ、公立園を中心に認可保育所の増設など、国と自治体の責任を果たすべきです。見解を伺います。
 保育園等における野外活動の安全対策について伺います。
 5月8日、滋賀県大津市で散歩中の保育園児と保育士に車が突っ込み、16人が死傷するなど、幼い子どもたちが巻き込まれる痛ましい交通事故が相次いでいます。園外での遊びは子どもの発達に必要な活動であり、安全確保は極めて重要です。近年設置された保育園の多くに園庭がなく、散歩の機会が増えています。
 先般、区長に申入れを行ったところですが、散策ルートの危険な箇所の洗い出し、ガードレールや歩道の確保、園外活動における必要な職員増配置など、保育現場の意見を踏まえた、より抜本的な安全対策を求めます。
 また、今後の保育園整備にあたっては、園庭を設置すべきです。合わせて伺います。

◆(炭谷元章こども未来部長の答弁)
 次に、子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、認可保育所の増設についてであります。
 平成二十九年度から実施した待機児童解消緊急対策において、長期計画に定める毎年千人規模での保育施設の整備目標を維持しつつ、公有地を活用した保育施設の整備などの取組みにより、保育定員の確保を図り、待機児童の縮減に大きな効果を示したところであります。今後の整備目標につきましては、次期長期計画を策定する中で検討してまいります。
 次に保育の質の確保についてであります。
 まず、本区では区内全保育所に対して指導等検査を行っており、適切な人員配置のほか、運営内容などを確認しております。改善が必要な園に対しては直ちに指導を行い、保育の質を確保しております。
 また、保育士の賃金及び配置基準の引上げは、毎年、特別区長会を通じて、保育士の安定確保を国に要望しており、改めて要望する考えはございません。また、賃金改善や宿舎借り上げ事業については現行制度により継続してまいります。
 さらに、「保育の質のガイドライン」については、現在、施設検査の実施や発達支援ゼミ等の様々な研修のほか、区立保育園での保育研究指定園制度など、様々な側面で保育の質の向上を図っていることから、策定は予定しておりません。
 次に保育の公的責任についてですが、待機児童の解消にはスピード感をもって対応することが肝要であることから、これからも民間活力を最大限活用し、民設民営による認可保育所整備を進めてまいります。これにより、引き続き待機児童の解消とともに、入所児童が安全・快適に過ごすことができる施設環境を確保し、行政としての責任を果たしてまいります。
 次に、保育園等における野外活動の安全対策についてであります。
 本区では大津市の大変痛ましい事故を受け、直ちに引率ルートの確認や、緊急連絡体制の再確認、適正な引率保育士数の配置の徹底といった、散歩及び園外活動における安全確保についての注意喚起、ならびに安全点検を実施しております。園外活動における安全対策については、引き続き、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 また、保育所の整備にあたっては、保育待機児童が発生している現時点では、園庭が確保できない場合は、代替遊戯場等を設定することで認可基準を満たすことから、保育施設の確保を優先し整備を進めてまいります。

◆(正保幹雄議員の質問)
 大綱の第3は、高齢者・障害者支援についてです。
 聞こえのバリアフリーについて伺います。
 人は誰でも加齢とともに高い音から徐々に聞こえにくくなり、70歳以上の半数に難聴があるとされています。言葉が聞こえにくくなると認知機能が低下し、コミュニケーションにも支障が出て、社会的に孤立することで認知症のリスクが高まります。
 本区では、難聴の高齢者に補聴器の支給と調整を先進的に行っていますが、そのことを知らない人や、支給された補聴器が合わないという方が少なくありません。補聴器支給事業の周知とともに、本庁舎まで行かなくても、各出張所や長寿サポートセンターなど、身近な場所でも補聴器の調整を含め、相談体制の拡充や医療としての支援を行うべきと思いますが、伺います。
 また、周りの音に邪魔されずに目的の音声を補聴器に送信し、難聴者や聴覚障害者の補聴器を補助するヒアリングループを公共施設等に設置、貸出すなど、「聞こえのバリアフリー」の充実を図るべきです。
 また、補聴器の購入費は、医療費控除の対象となっていますが、健康保険適用の対象となるよう国に求めるべきです。合わせて伺います。
 次に、障害のある青年・成人の夕方や休日の居場所、余暇活動について伺います。
 本区では、余暇活動支援として、「エンジョイクラブ」を実施していますが、対象が軽度の知的障害に限られているなど不十分です。
 区内の事業所では、重度の障害者でも、気心知れた仲間とリラックスして余暇を楽しめるようにと、卒業生を対象にした集団活動を25年前から行っています。
 しかし、公的補助がないため、100名の会員を抱え、本人の会費とボランティアに頼らざるを得ない状況です。
 区は、障害者、保護者、困難な中で夕方や休日の活動支援に取り組む事業者の実態調査とニーズ調査を行い、障害者権利条約等、法の趣旨を踏まえ、余暇活動を障害者福祉計画に明確に位置づけ、障害の軽重にかかわらず必要な支援を行うべきです。
 また、国や都に対し、青年・成人の障害者が日中活動や就労後の時間に行う事業に対する十分な予算措置を講ずるよう求めるべきです。合わせて伺います。
 福祉施設の整備についてです。
 特養ホームの入所を待っている高齢者が、1300人に上っています。また、先延ばしとなっている障害者多機能型入所施設の整備も待ったなしです。さらに、南部地域の放課後等デイサービスは、場所も事業者も決まっていたにもかかわらず、児童発達支援管理責任者が確保できず、断念せざるを得ませんでした。
 区は、これらの福祉施設整備を長期計画の重点プロジェクトに位置づけながら、すべて民間に丸投げしていることは問題です。人材の確保を含め、区の責任で本腰を入れて取り組むべきです。整備用地の確保については、適当な公有地がなければ、民有地を購入してでも確保を図るべきです。あわせて伺います。

◆(堀田誠福祉部長の答弁)
 高齢者・障害者支援についてのうち、聞こえのバリアフリーについてでありますが、補聴器支給事業につきましては、事業に関連する時期に区報等による周知を図ってまいります。また、本庁舎以外における調整や相談体制等の充実につきましては、現行の区役所で行っている事業実績等を踏まえて、今後検討してまいります。
 公共施設におけるヒアリングループの設置や貸出しにつきましては、現在、豊洲文化センターのホールに設置しているヒアリングループの利用状況等を踏まえて、今後検討してまいります。
 また、補聴器の購入費を健康保険適用の対象となるよう国に求めるべきとのご提案ですが、医療保険の対象となるものは、治療上必要なものとされており、補聴器は、その対象となっておりません。また、聴力の低下が進行した場合には、障害者総合支援法による支援がありますので、補聴器の購入費を健康保険適用の対象となるよう国に求める考えはありません。
 次に、障害のある青年・成人の夕方や休日の居場所、余暇活動についてであります。障害者の余暇活動は、障害の軽重に関わらず、事業所における集団活動だけでなく、映画・音楽鑑賞やスポーツ活動、イベントなどの社会参加など、個人の意思や状況に応じて、近年、非常に多様化しております。
 様々な余暇活動がある中で、余暇活動支援につきましては、事業の有効性、財政負担、他の自治体の実施状況等を検証する必要があると考えており、このため、区としてすぐに実態調査や支援等を実施する考えはなく、国や都に対しても、予算措置を求める考えはありません。
 次に、福祉施設の整備についてであります。特別養護老人ホームの整備につきましては、あそか園およびむつみ園の移転改築により定員の増加を図ったところであります。また、障害者多機能型入所施設の整備につきましても、障害者の生活を一体的に支援する施設として、今年度設計着手に向け、全庁を挙げて検討するなど、区として積極的に取り組んでいるところであります。
 福祉施設の整備用地の確保につきましては、これまでもご答弁申し上げているとおり、区有地・都有地・国有地などの公有地はもちろんのこと、民有地の活用なども含め、様々な観点から検討を進めており、今後も、長期計画に基づき、着実に整備を進めてまいります。

◆(正保幹雄議員の質問)
大綱の第4は、消費税増税問題についてです。
 いま、10月からの消費税増税に対して、生活と商売への不安が日々高まっています。 元気な商店街として有名な砂町銀座商店街では、90年以上続いた酒屋さんが消費不況で店を閉めるなど、老舗が相次いで廃業せざるを得ない状況となっています。
 政府は、景気「悪化」を認めた3月の景気動向指数や、内需や輸出入の不振を示した1~3月期GDPに続き、5月の月例経済報告でも景気の現状判断を、「緩やかに回復している」との見方から、「弱さが続いている」と下方修正しました。
 山﨑区長は、これまで「景気の回復基調が続いている」「着実に景気回復の影響は及んできている」との認識を示してきましたが、景気が悪化していることは明らかです。経済情勢と区民の暮しの実態について、認識を伺います。
 景気悪化が鮮明になる中での、消費税増税はあまりにも無謀です。もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進的な悪税です。政府自身が、景気「拡大」「回復」と判断してきた中での過去の消費税増税でも、深刻な消費不況を起こし、経済を落ち込ませました。今回は景気後退の局面で、消費税率を10%に引き上げ、5兆円もの負担を押しつけるものです。国民の暮らしと日本経済を破綻させることは明らかです。「こんな経済情勢で消費税10%増税してもいいのか」、これが、まちの声です。最近の世論調査でも国民の多数は増税に反対です。民意に逆らう増税は絶対に許されません。区民の暮らしと地域経済に大打撃となる10月からの消費税増税の中止を政府に求めるべきです。見解を伺います。
 日本共産党は、消費税増税の中止と合わせ、①最低賃金の引上げと長時間労働の是正など8時間働けばふつうに暮らせる社会を、②低い年金の底上げや国保料の引き下げなど、暮らしを支える社会保障を③大学・専門学校の授業料を半分に減らすことや給付奨学金の支給など、お金の心配なく学び、子育てができる社会をーの3つの政策を提案しています。
 その財源は、消費税に頼らなくても、大企業や富裕層の優遇税制の是正など、大企業と富裕層に応分の負担を求めることや、兵器の〝爆買い〟や米軍への「思いやり」予算を削減することで、確保できます。
 今求められているのは、家計の負担と不安を軽減する家計応援と、格差と貧困を是正する政策ではないでしょうか。見解を求め、質問を終わります。

◆(大塚善彦政策経営部長の答弁)
 消費税増税についてのうち、今日の経済情勢と区民の暮らしの実態についてであります。
 直近の月例経済報告によると、現在の経済状況について、景気は、輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復しているとしており、先行きについても、雇用・所得環境の改善が続くなかで、国の各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復が期待されるとしております。
 しかしながら、米中の貿易摩擦から生じる中国経済の減速による影響が日本企業にも影を落としはじめているものと認識しております。
 また、本区においては一部個人消費や、中小企業の人材確保などに厳しい側面があるものの、納税義務者の所得は改善傾向にあり、生活保護受給者数は横ばいの状況であることから、区民生活は総じて、安定した状態が継続されているものと認識いたしております。
 次に、消費税増税の中止についてです。今般の増税は増収分を幼児教育・保育の無償化や保育士及び介護人材、障害福祉人材の処遇改善に活用するほか、年金生活者支援給付金の支給を行うなど、将来を見据えた全世代型の社会保障制度への転換と、財政健全化を確実に進めることを目的としております。
 また、増税前の駆け込み需要による反動減に配慮するために、軽減税率の導入や、子育て世帯や住民税非課税者へプレミアム付き商品券の販売を実施するなど、各種対策も行っていることから、増税の中止を国に求める考えはありません。
 次に、家計応援と格差と貧困を是正する施策についてです。
 本区はこれまでも、「就職サポート事業」や、「自立相談支援事業」、「まなびサポート事業」など、区民の暮らしを支える施策を、適宜実施しており、経済的な負担軽減策に取り組んでいるものと認識いたしております。
 今後も、区民生活を支えるために、多方面に渡った施策を展開してまいります。

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2019年第1回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  1. 来年度の予算編成について
  2. 子育て支援について
  3. 防災対策について
  4. 高齢者の生活支援について

 第1は、来年度の予算編成についてです。
 アベノミクスでもうかったのは一握りの富裕層と大企業だけ、国民には景気回復の実感はありません。勤労統計の偽装見直しにより、「賃金は上昇している」との政府の認識が虚構であったことが明らかになりました。
 2014年の消費税8%への増税後、平均実質賃金は年10万円以上落ち込み、家計消費は1世帯当たり25万円も減ったままです。雇用がふえたと言っても、そのほとんどは年金が少ない高齢者と勤労学生のアルバイトで、「所得環境が着実に改善」などとはほど遠い状況です。
 江東区においても、私たち共産党区議団が行ったアンケート調査では、回答をいただいた6割の方が「生活が苦しくなった」と答え、商店街でも老舗店舗が次々店を畳んでいます。
 区長はこれまで「景気は緩やかに回復」との政府見解をうのみにし、区民生活でも「着実に景気回復の影響は及んでいる」との見解を繰り返してきましたが、認識を改めるべきと考えます。まず、見解を伺います。
 次に、政府予算です。
 国民生活の困窮をよそに、自民・公明政権は10月の消費税増税にしがみつき、全世代型社会保障への転換だとして年金支給額の削減、後期高齢者医療保険料の引き上げ、要介護1・2の介護保険外しなど、高齢者福祉を軒並み切り崩し、生活保護の一層の切り下げ、幼児教育の無償化では給食費が外されるなど、全世代の暮らしを切り捨てようとしています。
 消費税の増税では、統計偽装による景気判断の根拠が崩れました。「デフレから脱却できていないのに、さらなる増税は日本経済を破壊する」、「今増税すれば、貧困と格差が拡大し、国の財政も悪化して社会保障の財源確保も不可能になる」など、多くの経済専門家が警鐘を鳴らしています。
 日本共産党は、財源確保策として、史上最高の利益を上げ、巨額の内部留保をため込んでいる大企業と、アベノミクスで莫大な資産が転がり込んだ富裕層に応分の負担を求め、アメリカの兵器を爆買いする大軍拡計画や大型開発を中止すれば、消費税を増税しなくても暮らしの財源を確保できると提案しています。
 区長は、区民生活を守る立場で、社会保障削減と消費税増税の中止を求めるべきです。伺います。
 次に、本区の予算案について伺います。
 来年度予算案では、我が党が求めてきた認可保育園の増設や学校体育館の空調設備設置、胃がん検診に胃カメラの導入、お部屋探しサポート事業の改善など、一定の前進がありますが、塩浜福祉園、保育園、学校職員の民間委託を進めて不安定雇用をふやし、オリンピックの機運醸成を言いながら、区民や障害者自身がスポーツに親しむ環境の整備はありません。
 防災対策でも、防災基金を20億円も積み立てる一方、せっかくつくるハザードマップはわずか5万部、全戸への配布も拒み、暮らしが大変になっている高齢者への経済的支援は皆無です。
 本区の昨年決算時の基金総額は1,231億円と過去最高です。最近4年間で344億円もふやし、本年度最終補正で新たに127億円もの積み増しは、異常な予算の残し方ではありませんか。区民の税金は区民の暮らしと営業を豊かにするために使うべきです。
 構成比0.9%と落ち込んでいる産業経済費は増額をし、商店街活性化、再生のためのコーディネーターの派遣、生鮮三品小売店支援事業の支援対象を全店舗に拡大、地域経済活性化協議会の部会設置と技術、営業、ITなどの専門アドバイザー配置など、本腰を入れた地域経済への支援を求めます。
 また、学校のトイレの洋式化は完了期限を決めて迅速化を図り、教育環境を守る学校施設整備費をふやすこと、高過ぎる国保料はこどもの均等割を無料とするなど、山積する区民要求に直ちに取り組むことを求めます。伺います。
 次に、民間委託についてです。
 区は、保護者の強い不安と反対の声を押し切って、塩浜福祉園の来年度からの民間委託を強行しました。保護者からは、職員体制や施設の問題など、多岐にわたる要望や提案が出されていましたが、これらにまともに応えることのない見切り発車で、保護者からは「私たちの声を聞いてくれない」と怒りの声が上がっています。
 また、新たに開始する図書館の委託では、文京区で7年間に219人の離職者を出すなど、劣悪な労働環境が問題となりました。地域の貴重な歴史的文書が廃棄されたところもあります。私たちが視察した福岡県小郡市では、「直営でこそ図書館の役割が果たせる」と、民間に委託した図書館を直営に戻しています。
 民間運営が主流となってきた保育園では、依然として深刻な保育士不足で、低賃金、過重労働のもと、定数偽装も起こり、こどもたちの安全も危うい事態です。
 結局のところ、民間委託は、住民福祉を犠牲にして、劣悪な労働条件で働く官製ワーキングプアを生み出すものではありませんか。民間委託の中止を求めます。伺います。
 次に、自治体の役割について伺います。
 政府は、昨年、自治体戦略2040構想を発表しました。「自治体の職員は今の半分でよい」として、住民との矛盾が激化している行革路線をさらに推し進め、水道事業など、もうけが見込める仕事は民間に、福祉事業などは住民のボランティア組織に委ね、自治体はその調整役とするなど、自治体の役割を変え、地域や築き上げられたコミュニティ活動を壊すとんでもない方向づけです。区として、この政府方針をどう受けとめていますか。
 区はこれまで、国の言いなりに行革を進め、景気判断や社会保障削減、憲法違反の安保法制まで「国や都の動向を見て」と追随してきましたが、国の言いなりでは、住民の暮らしと安全を守る自治体の役割は果たせません。国に対し、行革路線の押しつけをやめて、憲法25条に基づく社会保障への責任を果たすことを求めるべきです。伺います。

 次に、子育て支援について伺います。
 その第1は、児童虐待からこどもを守る対策の強化です。
 千葉県野田市で10歳の女の子が父親の虐待により命をなくしました。虐待がわかっていながらなぜ命を救うことができなかったのか。児童相談所の職員の不足や教育委員会、学校の対応など、関係者の検証が行われているところですが、虐待相談、受け付け件数ともに急増している本区においても、改めてその取り組みのいかん、体制のいかんが問われます。
 来年度、虐待対応の職員をふやすことは評価しますが、野田市の例からも、学校、保育園、家庭などを含め、こどもの生活全体を見守る支援体制の強化と専門性の向上が必要です。
 私たち会派としてこれまで、増加する虐待件数に見合った専門職員の増員とあわせて、豊洲子ども家庭支援センターなどに相談窓口を拡大すること、産後鬱、心のケアへの支援強化、スクールソーシャルワーカーの全校配置、児童相談所設置に向けた職員研修の推進なども求めてきました。こどもを見守る各部署の体制、ネットワークなど、区の支援策を見直しその拡充を求めます。伺います。
 次に、保育問題についてです。
 認可保育園の不足は依然として深刻です。今年度も3,603人の募集枠に対し、5,000人を超える申し込みがあり、1,500人程度の待機児が見込まれます。区の保育園整備目標は、隠れ待機児の入園も見込んで2,000人に引き上げることを求めます。
 北区では、緊急対策として区立園を4園開設したところ、保育士500人の応募があり、80人を採用して、区立園の設立は待機児解消の決定打となっています。本区でも、区立園の開設、民有地の買い上げも行って土地を確保し、本気で待機児をなくす取り組みとすることを求めます。伺います。
 保育の質の確保も問題です。
 保育に対する公的責任を後退させ、規制緩和で安上がり保育を進めてきたことにより、園庭のない私立保育園が半数を超えました。2階、3階建ての小規模園もふえ、保育環境の悪化は保育士の負担をふやし、重い責任と低賃金が保育士不足の要因となっています。諸外国に比べて著しく低い保育士の配置基準を引き上げるよう、国に求めること。当面、区の保育士配置の加算を公立園並みに引き上げ、株式会社の不当な利益に歯どめをかける保育人件費比率を補助金支給の要件とするなど、保育士配置と処遇改善の強化を求めます。伺います。
 次に、子育てにかかわる経済的支援についてです。
 「貧困と格差の拡大」政治のもとで、日本のこどもの貧困率は13.9%、約7人に1人が依然として貧困状態にあります。家庭環境のいかんにかかわらず、健康で健やかな成長を遂げるための支援は行政の責任です。
 就学援助では、入学準備費の支給額と支給時期が改善されましたが、義務教育の無償に照らしてさらなる拡充が必要です。
 世田谷区は来年度、就学援助の対象となる所得基準を、現行の1.24倍から1.4倍に引き上げ、給食費補助に限って申請率70%を目指すとのことです。本区も、現行の生活保護基準1.18倍を引き上げて支給対象を広げ、眼鏡、体育実技用品費など、支給対象項目の拡大を求めます。
 学校給食費は、全国82自治体で無償化を実施、424自治体が一部無償化か、または補助金の支給で保護者負担の軽減に踏み出しています。本区も無償化を進めるべきです。
 こどもの医療費助成では、本区は先駆的に中学校3年生までを対象として、子育て世帯に歓迎されてきました。さらに教育費負担の大きい18歳まで対象を広げ、病気やけがでもお金の心配なく医療を受けられる環境整備をすることを求めます。
 以上、経済的支援について見解を伺います。

 次に、防災対策について伺います。
 近年、全国各地で大きな地震や水害が次々と起こり、区民の不安が高まっています。区内のほとんどが軟弱地盤で、海水面より低い江東区において、行政の責任は重大です。
 まず、地震対策です。
 江東区は、阪神大震災で最初に命を失った方の9割近くが、建築物や家具の転倒による圧死であったとの教訓から、住宅の耐震化を進めてきましたが、計画開始から12年、耐震化を予定した2万1,000戸に対し、木造住宅33戸、マンション23件(1,610戸)と進んでいません。建物が無事であれば住民の命が助かり、避難所の負担も軽減し、減災の効果ははかり知れません。マンションでは、一昨年の補助金引き上げで改修に踏み切ったところもあり、補助金の増額は決定的です。面積や住宅戸数に応じて、1戸当たり150万円の木造住宅補助に見合った引き上げを求めます。
 また、木造住宅では構造上、耐震化が困難な住宅も多いとのことです。崩れない1部屋で命を守るための簡易耐震への補助制度の創設、高齢者、障害者を対象とした家具転倒防止器具設置の数の制限をなくすこと、火災発生を防ぐ感震ブレーカーの設置補助など、区民の命を守る取り組みを直ちに行うことを求めます。伺います。
 次に、水害対策です。
 昨年、江東5区が、荒川と江戸川の決壊を想定してつくった大規模水害ハザードマップは、区民にも大きな衝撃となり、いざというときどう行動するか、関心が高まっています。
 区が来年度つくる洪水・高潮ハザードマップは、住民が自分の居住する地域の危険度を知ることで適切な避難行動につながります。区民の手元に届け、町会・自治会などで説明会も行い、どこに逃げるか、災害弱者の支援はどうするかなど、その地域に合った避難の仕方を住民とともに考え、訓練ができるところまで支援すべきです。
 江東5区のうち、ハザードマップを全戸に配布しないのは江東区だけです。ハザードマップの全戸への配布とあわせて、各地域の海抜、浸水履歴など、危険度を知らせるための表示板を電柱や道路柱、公共施設など、目につくように表示し、住民と来訪者にもわかるようにすべきです。見解を伺います。
 ハード面の整備も重要です。
 東京都は、東日本大震災後、防潮堤、内部河川、水門・排水機場の耐震化を平成33年までに終了する計画を立てましたが、内部河川の護岸耐震化の進捗状況は、29年度着工を含め53%と聞いています。東京都に早期完了を求めること、また、耐震化率28%の区道橋の耐震化促進を求めます。伺います。

 次に、高齢者の生活支援について伺います。
 その第1は、高齢者の生活を支える経済的支援です。
 共産党区議団が昨年行った区民アンケートでは、「年金が減らされ、保険料の天引きでこれ以上切り詰められない」、「介護保険料が高過ぎる。使わなかったら返してほしい」など、医療、介護の負担の重さを訴える回答が一番多くありました。
 負担がふえている大もとは政府の悪政にありますが、江東区も、介護保険導入を機に、福祉手当の支給や障害者福祉手当の65歳以上新規受け付けをやめてしまいました。「現物給付をするから現金給付はしない」ということですが、介護保険の利用にはお金がかかり、利用しなくても保険料を払い、かえって生活は大変になっています。保険料の負担軽減と各手当支給の復活をすべきと考えますが、伺います。
 また、災害級の暑さが長く続いた昨年の夏、救急搬送された半数近くが高齢者。熱中症の4割は住宅内で発生し、その7割が高齢者とのことです。命にかかわる問題であり、クーラーのない高齢者世帯への設置補助を求めます。
 また、高齢者は節電、節約の意識が高く、クーラーがあっても使わないで熱中症になることも少なくないそうです。電気代補助制度をつくり、経済的支援でクーラー使用を呼びかけることも効果的と考えます。あわせて伺います。
 次に、住宅問題です。
 高齢であることを理由に賃貸住宅への入居を拒まれる。年金生活で収入が減り、住んでいた住宅に住み続けられない状況が深刻です。
 区が住宅探しを手伝うお部屋探しサポート事業で、来年度から大家さんの不安をなくすための死亡時補償などへの支援を行うことは前進ですが、対象が同事業の契約成立者だけでは全く不十分です。中野区のように、支援対象を賃貸住宅に居住する単身高齢者に広げ、不動産窓口での申し込みをできるようにするなど、手続や周知方法も工夫して利用しやすくすることを求めます。伺います。
 次に、家賃助成です。
 「少ない年金に対して家賃が高過ぎる」、転居したくても「払える家賃で入居できる部屋がない」と切実です。公営住宅の抽せん倍率は毎回数十倍で、何年申し込んでも入れないという声が渦巻いています。不足する公営住宅並みに所得に応じた家賃で入居できるように、家賃助成や公共住宅の借り上げをすべきです。見解を伺います。
 次に、自立しての生活ができなくなったときの住まいの支援です。
 特別養護老人ホームの待機者は1,300人、グループホームも不足し、入居費用の負担も大変です。施設の増設と支払い可能な負担で入居できるように、費用負担への支援を求め、見解を伺います。

 最後に、この場をおかりして一言申し上げます。
 私とそえや良夫議員は、今期をもって議会を引退することといたしました。今後は、一区民として、また共産党員として、よりよい社会の発展を目指して活動を続けてまいります。御指導いただきました同僚議員の皆様、区長を初め理事者の皆様に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

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2018年第4回定例会―山本真

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点質問いたします。

  1. 防災対策について
  2. こどもの放課後保障について
  3. 教育問題について

 大綱1点目は、防災対策についてです。
 この夏、地震、豪雨、台風など、大災害が相次いで発生しました。災害の危険から住民の命を守るためにも抜本的な対策が求められます。
 まず、水害対策についてです。
 私たちは、海抜表示の設置や洪水ハザードマップの全戸配布を繰り返し求めてきましたが、区は「不安をあおる」など、後ろ向きの答弁を繰り返してきました。しかし、自分たちの住む地域の理解は、いざというときの避難行動を促し、命を守ることにつながるものです。
 葛飾では、まず現状を知ってもらおうと、10年前から町中に海抜表示を集中的に設置。その後も住民の要望でふやし、現在は450カ所設置しています。東日本大震災以後には、墨田区で125カ所、品川で639カ所の海抜表示を設置しています。江東区の対応は遅過ぎです。直ちに実施を求めます。伺います。
 洪水ハザードマップの全戸配布は、全ての区民に必要な情報を届ける対策です。区はアプリで対応すると言いますが、アプリはスマートフォンがなければ利用できず、高齢の方からは「私には使うことはできないし、役所にとりに行くのも大変」との声が寄せられています。洪水ハザードマップの全戸配布を求めます。見解を伺います。
 次は、地震対策について伺います。
 現在、区内には4万4,000戸、旧耐震の建物が残されています。戸建ての住宅の耐震改修には数百万円かかり、特に高齢者のみの世帯では、改修にちゅうちょし、進みません。我が会派は、「避難路を確保するための簡易耐震改修などにも補助を」と繰り返し求めてきました。しかし、区は、一部だけでは安全性は確保できないことを理由に実施しようとしていません。放置したままのほうが危険であり、命を守る耐震改修が求められます。
 墨田区は、2006年度から簡易耐震改修制度を実施しており、改修のほとんどが簡易耐震改修です。現在までに400件の実績があります。担当の方は、「耐震改修のメニューが多めにあって初めて考えてもらえる。そこから本格的な耐震につながっている」と話します。簡易耐震改修の実施を求めます。伺います。
 マンションの耐震については、この間、1棟当たりの補助ではなく、戸数に応じた補助を求めてきましたが、区は「お金の問題のみではない」と後ろ向きでした。
 2015年に区が行ったマンション実態調査では、マンションの耐震化における問題点は、「費用の不足」が54.5%と突出しています。費用が大きな問題です。1棟当たりの補助では、大規模マンションほど助成率は低くなります。耐震補助の基準を1棟当たりではなく、住宅戸数1戸当たりの補助に見直すべきです。伺います。
 地震時に家具転倒による負傷などを避けるため、家具固定は極めて重要な対策です。現在、区では、高齢者や障害者の世帯に対する家具転倒防止の設置補助を行っていますが、設置箇所数は3カ所と少なく、テレビなどは対象からも外されています。設置箇所数の制限なく対応できるようにすべきです。伺います。
 感震ブレーカーについて伺います。
 阪神大震災、東日本大震災での火災の原因の過半数が通電火災によるものです。地震のときに自動で電気が遮断される感震ブレーカーの効果は明らかです。現在14区で助成制度があり、荒川では高齢者、障害者への無料配布が行われています。あっせんにとどまらず、設置助成をすべきです。伺います。
 ブロック塀対策についてです。
 東京都は、地震発生時のブロック塀倒壊被害を防ぐため、独自に補助制度の補正予算が計画されています。この補助制度を活用し、本区のブロック塀対策を早急に実施すべきです。伺います。
 防災に関する実態調査について伺います。
 区内の家具転倒など防災実施状況の把握は、世論調査では質問が不十分で実態はわかりません。
 静岡県では4年に1度、南海トラフ地震についての県民意識調査を行っており、家具固定を実施していない理由を詳細に聞き、対策につながる調査も行っています。防災に関する調査を実施し、防災意識の普及啓発、そして施策に反映できる調査を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
 大綱2点目は、こどもの放課後保障についてです。
 こどもの豊かな成長にとって遊びは欠かせません。遊びを保障する放課後事業について伺います。
 初めに、江東きっずクラブA登録について伺います。
 きっずAは、学校内でこどもたちに遊びと学びの場を提供するところです。この間、視察をさせていただきましたが、こどもたちの楽しく遊ぶ姿と同時に課題も感じています。それは場所と指導員体制の課題です。
 きっずAは1クラブ当たりの平均利用人数、1日約60人で、1部屋ではおさまらず、複数の少人数学習室、図書室など、教室をタイムシェアで使っています。
 しかし、あるきっずAでは、図書室で過ごしていたところに授業で図書室を使うことがわかり、移動せざるを得なくなりました。学校行事などで体育館、校庭が使えなくなり、きっずAの行事を急遽キャンセルするなども起こっていますが、きっずAの職員は間借りしている立場で裁量がありません。
 また、職員は、次々と帰ってくるこどもの受け入れや、来る予定のこどもが来ないことの確認、そして30分ごとの帰宅の対応に追われ、こどもたちに遊びを通してかかわるなど、踏み込んだ支援ができない状況です。
 きっずAのこどもたちの急な予定変更や居場所がなくなる現状を、区はどのように考えていますか、見解を伺います。
 全てのきっずAに専用室の確保と人員の増配置をできるよう見直すべきです。伺います。
 学童クラブ、江東きっずクラブB登録について伺います。
 学童、きっずBは、保護者が就労しているこどもたちに、家庭のかわりという生活の場を提供する大切な役割を果たしています。こどもが相互に関係性を構築したり、まとまって行動するには、適切な規模が必要で、おおむね40人以下とされています。大規模になるほど騒々しくなり、落ち着かず、ささいなことでけんかが起こりやすくなります。
 区は部屋当たりの面積基準で定員を出していますが、大規模化に対しては考慮されていません。そのため、現在1クラスの規模が40人を超える学童、きっずBは27クラブあり、1部屋で80人のこどもが過ごすクラブもあります。適正な規模で施設整備を行うべきです。
 また、施設整備が進まない当面の対策として、大規模による加算で職員配置を行うべきです。見解を伺います。
 きっずBに希望しても入れない保留児童が9カ所で発生しています。10名以上の保留児がいるクラブは、四砂小、東陽小、北砂小、明治小と4カ所あります。保育園卒園者の多くは学童を必要としています。保育園の需要増を考えると、今後の学童の需要も増加傾向が考えられます。
 学童やきっずBに入れないこどもの受け皿をきっずAとする対応ではなく、学童、きっずBにも入れるよう整備を求めます。伺います。
 私立学童クラブについて伺います。
 私立学童は父母が運営する学童で、6年生までの受け入れや、午後7時を超える延長保育、さらには区立学童に入れないこどもを受け入れるなど、区立学童を補完する大事な役割を果たしてきました。しかし、私立学童に対する助成は少なく、指導員の賃金は低く、保護者の負担は月額1万5,000円近くで、区立学童の3倍です。
 私立学童に対して国の放課後児童支援員等処遇改善等事業を活用し、指導員の給与を増額できるようにと、区民の方からも陳情とともに4,000を超える署名が出され、私たちも繰り返し求めてきました。しかし、区の答弁は、2016年の10月から3年間にわたりずっと「検討中」です。指導員の処遇改善、保護者の負担軽減のためになぜやらないのでしょうか。伺います。直ちに事業を活用して実施をすべきです。伺います。
 放課後児童健全育成事業に関する基準について伺います。
 厚労省は、待機児が発生しているなどの理由から、放課後事業の職員配置数や資格などを定めた国基準を事実上廃止する方針を打ち出しました。これでは、資格のない大人がたった1人で多くのこどもたちの保育に当たることも起こり得ます。保育の質の確保は、こどもの命と安全を守ることそのものです。待機児がいるから基準を切り下げて解決を図るというのは大きな間違いです。
 放課後事業は単に場所があればいい、人がいればいいというものではありません。一人一人のこどもを理解し、専門性を持った指導員の複数配置が不可欠です。国に対し、基準の見直しは撤回するよう求めるべきです。また、区として配置基準等は最低でも現行基準を守るべきです。伺います。
 江東区版・放課後子どもプランの改定について伺います。
 きっずクラブが全校展開されましたが、それが全てのこどもたちを支える受け皿にはなり得ません。江東区公共施設等総合管理計画では、幼児、児童に対する子育て支援施設について統廃合が検討され、今定例会では、住吉児童会館を廃止する条例案が出されています。それぞれの施設には独自の役割があり、安易な統廃合を行うべきではありません。こどもたちを取り巻く環境は困難を増しており、こどもたちに多様な選択肢が残されるべきです。
 放課後子どもプランに児童館、学童、きっずクラブなど、それぞれ位置づけ、発展させるべきです。私立学童についてもきちんと位置づけるべきです。区の見解を伺います。
 また、住吉児童会館は区内唯一の施設であり、児童館の基幹的な役割を果たしてきた場所です。存続させていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 大綱3点目は、教育問題について質問します。
 まず、就学援助の拡充について伺います。
 前定例会で、我が会派の質問に対し区は「入学準備費の支給時期を改善したことに続き、来年度から支給金額を引き上げる」と答弁しました。これまで私たちも繰り返し求めてきたもので評価します。
 就学援助制度は、経済的理由で就学が困難な生徒の保護者に対し、経済的支援をする制度であり、貧困と格差が拡大する中で、さらに認定基準の引き上げや修学旅行費など費用の増額、対象項目の拡大が必要です。既に23区中15区で柔道着などの体育実技用品を、墨田区では眼鏡の購入費を対象に加えています。本区でも、就学援助制度のさらなる拡充を図るべきです。伺います。
 次に、奨学資金貸付制度について伺います。
 高校を中途退学した方から、「再入学する上で費用に困っている」と相談がありました。現在、区の奨学金は中学3年生が対象になっているので、中途退学した方は利用できません。高校中退者は、さまざまな支援策の外に置かれてしまい、負の悪循環が生まれます。高校中途退学者も対象に含めるなど、奨学資金貸付制度を改善すべきです。伺います。
 区の教育委員会は、奨学資金が返せない滞納世帯の生活実態や返済能力を無視して、2015年度から回収業務を弁護士に委託し、返還を求める訴訟を起こしています。奨学金の返済をめぐって少なくない学生が自己破産をするなど、社会問題になっているときに、応援すべき区民に対し訴訟を起こしてまで取り立てを行うことは、余りにもひど過ぎます。区の教育委員会は直ちに回収業務の委託を中止するべきです。あわせて、返済不要の給付型奨学金の創設こそ図るべきです。伺います。
 次に、学校給食費の無償化について伺います。
 先日、文部科学省が発表した学校給食費の無償化等の実施状況によると、全国82自治体に学校給食の無償化が広がっています。さらに、多子世帯の無償化は104自治体で実施されています。前回定例会で我が会派の質問に区は、「他自治体の動向を注視する」と答弁しました。給食費無償化の流れは大きく広がっています。区としても学校給食費の無償化に踏み出すべきです。伺います。
 次に、学校トイレの洋式化について伺います。
 一般家庭での洋式率は90%を超えているのに対し、区内の小中学校では69%と低く、50%以下の学校も残されています。
 区は、設置率が低い学校から順次洋式化を進めていくとしていますが、いつまでに全てを完了するのか明らかにしていません。学校のトイレの洋式化は、こどもの学びにも健康にもかかわる大事な問題です。
 葛飾では3年間で全てのトイレを洋式化し、足立も年次計画を立て、期限を決めて洋式化を進めています。江東区としても、期限を決めて速やかに洋式化すべきです。伺います。
 災害時には避難所になる学校体育館のトイレを、一刻も早く洋式化すべきです。さらに、車椅子の方など、障害者が安心して利用できる多機能型トイレを設置するよう求めます。
 見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
(再) 私立学童について伺います。
 国の処遇改善事業を活用してなぜやらないのかの問いに対して、放課後事業のあり方で検討しているとの答弁でしたが、なぜやらないのかの理由になっていません。改めて答弁を求めます。

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