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2021年第1回定例会―大つきかおり議員

日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について伺います。

  • 新型コロナウイルス対策について
  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 国民健康保険制度について

 第一は、新型コロナウイルス対策についてです。
 はじめに、新型コロナでお亡くなりになった方にお悔やみを申し上げるとともに、療養中の方にお見舞いを申し上げます。また、保健所職員、医療従事者、ケア労働に携わる皆さんに、感謝申し上げます。

 2月7日までだった緊急事態宣言が1ヶ月延長されましたが、医療機関は依然逼迫し、亡くなる方も急増、飲食店だけではなく幅広い業種に深刻な影響が広がっています。
 感染拡大を抑えるためには、罰則ではなく、国民の自覚的行動と社会的連帯、補償と検査・医療体制の強化こそ必要です。

 濃厚接触者の追跡調査が追いつかなくなるもと、東京都は「優先度を考慮して調査を行う」ことを各保健所に指示しました。これまでであれば、濃厚接触者としてPCR検査を受けていた人が認定されず、結果として感染を拡大させてしまうことが懸念されます。
 保健所の人員を増やし、調査できる体制をとるべきではないですか?伺います。

 ワクチン接種が始まりましたが、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかります。「ワクチン頼み」で、感染対策の基本的取り組みが疎かにされれば、宣言解除後、再び感染が急拡大する懸念があります。新規感染者が一定減少している今こそ、無症状感染者を徹底して拾い上げ、保護する検査戦略が必要です。

 江東区では、感染を早期に発見するため、高齢者や障害者の通所施設の職員・入所者のPCR等、社会的検査への補助を行っていますが、実施は、対象となる316施設のうち、45施設にとどまっています。

 施設の職員からは、陽性が判明した場合、事業が継続できなくなることや休業により収入が減少すること、実施する人の同意書を取ることや3日前から利用者の行動を記録するよう区から求められることなどが負担になっているとの声が寄せられています。
 事務の簡素化や事業継続できるよう支援体制を作るなど、検査を受けやすいようにすべきではないですか。伺います。

 また社会的検査は定期的に実施することが必要で、専門家は週1回程度が望ましいと指摘しています。東京都も再度の補助を行うことになりました。
 都の補助を活用し、定期的な検査が実施できるようにすべきではないですか、伺います。

 第3波では、園児や児童・生徒などの感染も増加しています。保育士からは「もし自分が感染したら子どもたちにうつしてしまうのではないかと不安で精神的に疲れている」との声が寄せられています。江戸川区では社会的検査で認可保育園のクラスターも確認されました。
 子どもが集団生活を行う学校、保育園などの教職員についても社会的検査を実施し、感染拡大を未然に防止すべきではないですか。伺います。

 つぎに、医療体制の強化について伺います。
 江東区は、新型コロナウイルスのワクチン接種を、区内6ヶ所のスポーツセンターでの集団接種と150の医療機関での個別接種で対応するとしています。
 4月から始まる高齢者への接種では、申し込みから接種まで、きめ細かな支援が必要です。また、区民自らが接種するかどうか判断できるよう十分な情報提供を行うべきだと思いますが、伺います。

 江東区は、区独自に医療機関への補助を行なっていますが、更なる支援が必要です。
 国に対しコロナ患者を受け入れている医療機関だけでなく、全ての医療機関を対象とした減収補填を求めるべきではないですか。
 また、区独自に医療従事者への慰労金支給などを行うべきではないですか。伺います。

 東京都は、都立病院をより民間に近い経営形態にする、地方独立行政法人化を行おうとしています。
 都立病院は、140年前にコレラやチフスなど感染症の流行に伴い開設され、民間医療機関だけでは担いきれない不採算医療を担ってきました。
 新型コロナ対応でも、都立病院や公社病院をコロナ専門病院に転換するなど、都が直接責任をもって都民の命を守る役割を果たしています。行政的医療を将来にわたり充実するためには、行政の責任をしっかり果たすことこそ必要です。
 都立病院・公社病院の独法化はきっぱり中止するよう求めるべきではないですか。見解を伺います。

 つぎに、くらしと営業を守る施策について伺います。
 コロナの影響で倒産する事業者が増えています。区内事業者からは「これ以上持ちこたえられない」など悲鳴の声が寄せられています。
 昨年9月で受付を終了した区独自の中小企業への家賃給付金事業は、予算額15億円に対し執行率は約40%です。
 予算を余らせるのではなく、再度実施すること、また、家賃以外の駐車場や備品のリース料など固定費にも補助を行うべきではないですか。
 また国に対し、持続化給付金、持続化家賃給付金の再度の支給を求めるべきです。伺います。

 コロナ対策特別融資の開始から1年が経ち、コロナの影響が続く中、早ければ5月にも返済が始まります。
 返済猶予期間を延長するとともに、2年目以降の金利についても0%にすべきです。伺います。

 生活に困窮する方の相談も増えています。最後のセーフティーネットとなっているのが生活保護制度ですが、親族への「扶養照会」が申請の障害になっています。
 コロナの影響で働いていた飲食店を雇い止めされ、私の所に相談にきた70代の方も、「親族に知られたくない」と頑なに申請を拒否しました。
 厚生労働省は、扶養照会は法的な義務ではないと国会で答弁しています。江東区ではどのような対応をしていますか、申請の妨げとなる扶養照会はやめるべきです。伺います。

 また、新型コロナの影響で一時的に収入が減少し保護が必要になった場合、通勤に必要な自動車、自営のための店舗や機械器具等の保有を認めるとの通達が出ていますが、相談者に説明されていない例がありました。
 コロナ禍における対応を職員に徹底し、相談者にもきちんと説明すべきです。伺います。

 生活保護は、憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づく制度ですが、受給者に対するバッシングや制度への不理解から申請をためらう方も多いのが実態です。
 区民が申請をためらうことのないよう、制度についての広報を行うべきです。伺います。

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(北村健康部長の答弁) 
 新型コロナウイルス対策についてのご質問にお答えします。
 まず、検査体制の拡充についてのご質問のうち、積極的疫学調査についてであります。
 感染症対策において、積極的疫学調査の的確な実施と、その結果による感染拡大防止の指導は、最も重要で、対策の根幹に関わるものと認識しております。
 本区においては、従来より専門職による丁寧な疫学調査を実施しており、中でも特に対策が重要となる医療機関、高齢者施設、障害者施設、特別支援学校などの調査は、直接医師、保健師が複数名出向き重点的に感染状況等の調査を行っています。
 新型コロナウイルス感染症の市中感染者が増加し、感染経路不明者が増える蔓延期の段階における対応として、積極的疫学調査やその後の対応について優先事項を整理して実施する等の都の通知についてですが、区では、通常14人の職員体制を65人に増強し、通知を上回る内容の積極的疫学調査を行い、濃厚接触者にはPCR検査を実施しております。
 今後も引き続き、患者発生状況に合わせた保健所の体制強化を図り、的確に積極的疫学調査等を行い、感染症蔓延防止に努めてまいります。
 次に、高齢者・障害者施設における社会的検査についてです。
 まず、介護・障害福祉サービス事業所に対するPCR検査費用補助事業は、感染者を早期に発見し、事業所内の感染拡大防止を図るもので、行動記録確認などの事前準備は、迅速な初動体制を確保するために必要なものと認識しております。
 次に、事業所に対する検査費用補助事業を継続すべきとのことですが、事業所における感染状況や現在実施中の検査費用補助事業の検査状況、そしてワクチン接種の動向などを踏まえ、総合的に判断してまいります。
 なお、区独自の事業者支援については、通所施設休止時の特例的な報酬算定の取扱いもあることから考えてはおりません。
 次に、子育て施設における社会的検査についてでありますが、家庭内感染が増加している現状や、検査翌日には感染する恐れも否定できないことから、感染拡大防止のためには積極的疫学調査を確実に実施することが重要と考えております。このため、学校や保育園の教職員について社会的検査を実施する予定は現在のところございません。
 次に、医療体制の強化についてお答えいたします。
 まず、ワクチン接種についてです。
 本区は、現在、週3万人接種の体制を整備し、高齢者については、開始から3か月以内の早期に接種が終了する準備を進めております。予約につきましては、Webによるほか、オペレーター100人により、電話での予約受付を行います。また、ワクチン接種に関する情報発信につきましては、個別通知のほか、区報、区ホームページ等で、随時周知を行ってまいります。
 次に、医療機関への支援についてです。区では、これまで、コロナ患者の入院、夜間受け入れのための病床を確保した医療機関への謝金、年末年始に発熱患者等を診療した医療機関、調剤対応した薬局、救急病院に対し、東京都の協力金に上乗せする形で謝金の支給をしてまいりました。現時点では、全ての医療機関に対する減収補填を国に求める考えはなく、また、区独自の医療従事者への慰労金の支給についても考えておりません。
 次に、都立病院・公社病院の独立行政法人化についてです。
 都では、都立病院が担うべき役割を安定的に果たし続けていくため、都立病院と公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行することとし、令和4年度内を目途として地方独立行政法人を設立するとしております。
 地方独立行政法人化の目的は、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が更に深刻化していく中でも、都立病院の役割である行政的医療の安定的・継続的な提供や都の医療政策への貢献などを引き続き確実に果たしていくためのものとしており、中止を求める考えはありません。
 次に、くらしと営業を守る施策の拡充についてお答えします。
 まず、中小企業への支援についてです。
 本区で実施してきた持続化家賃給付金については、国や都の支援も含め、重層的に手厚い支援を行ってきたと考えており、本区事業の更なる延長や拡大は考えておりません。
 また、国の持続化給付金及び持続化家賃給付金については、効果的に実施されたと考えており、再度の支給を国に求める考えはありません。
 本区のコロナ対策緊急融資については、今後、返済が順次始まることから、現状を踏まえた支援策については、すでに検討しているところです。
 次に、生活保護についてです。
 まず、扶養照会についてですが、生活保護法では扶養義務者の扶養等は「保護に優先して行われる」と定められており、今後も国や都の指針に沿って適切に扶養照会を行ってまいります。
 また、相談者への対応につきましては、面接相談員は相談者の状況を詳しくお聞きするとともに、国の通知なども踏まえ、生活保護制度の説明等を行っております。今後も、相談者の立場に寄り添い、正確でわかりやすい説明に努めてまいります。
 さらに、生活保護法の周知につきましては、これまでも区報、ホームページ、関係部署や関係機関での案内の設置など、幅広く周知を行っているところであります。今後も、時宜を捉えて効果的な周知を行うなど、あらゆる機会を通じ、生活保護制度の周知徹底に努めてまいります。

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 第二は、来年度予算編成と行財政運営についてです。

 江東区の来年度一般会計予算案は、約2171億円で、今年度当初予算と比べ38億円、1・8%増となっています。
 貧困と格差の増大、年金、医療、介護などの社会保障改悪と消費税増税に加えコロナの影響で失業や倒産も増加するなど区民のくらしと営業は深刻です。区民生活が厳しくなっている今こそ、暮らし、福祉を支える予算編成が求められます。

 予算案では、子ども家庭支援センターの増設や高齢難聴者への補聴器支給事業に現金支給を追加すること、また、男性D V・LGBT相談窓口の設置、文化センターなど施設使用料の据置措置の延長など、我が党も提案してきた区民要求の前進があるものの、オストメイト用装具等購入費助成事業の廃止、国民健康保険や後期高齢者医療保険の保養施設の利用費助成の廃止、国民健康保険料や介護保険料の値上げなどが行われます。
 コロナ禍で区民生活が大変な中、福祉施策の廃止や負担増など行うべきではありません。撤回すべきです。また、施設使用料の値上げは据え置き措置の延長ではなく中止すべきです。あわせて伺います。

 くらしを守る施策も不十分です。新型コロナ対策では、新規の支援策はほとんどありません。感染拡大を防ぐための社会的検査の拡充や濃厚接触者の調査を行うトレーサーの増員など保健所体制を強化すべきです。

 中小企業支援では、再度の家賃給付の実施とともに、コロナ対策特別融資や小規模特別融資の利子補助の引き上げなど事業継続のための支援が必要です。
 また子育て支援では、園庭のある認可保育園の増設、子ども医療費無料化の18歳までの引き上げ、学校給食費の無償化、給付型奨学金制度の実施など経済的支援を求めます。

 高齢者・障害者支援では、不足が深刻な特別養護老人ホームの増設、要介護度4・5の高齢者への重度介護手当の支給、失語症者の意思疎通支援者派遣事業の実施を求めます。

 さらに防災対策では、木造住宅の簡易耐震制度の導入やマンション耐震化助成の引き上げ、海抜表示板の設置など行うべきです。

 区の基金は毎年膨らみ、2019年度決算時点で基金総額は、過去最高の1512億円、何にでも使える財政調整基金だけでも303億円にのぼります。
 基金の一部を活用し、コロナ禍で苦しむ区民のくらしを守るための施策を拡充すべきです。伺います。

 来年度は、保育園給食調理業務や小名木川児童館、きっずクラブや学校用務業務、ごみ収集運搬業務などの民間委託が行われます。
 きっずクラブでは、委託替えが相次いでいます。委託先企業で働く労働者の賃金は安く、離職率は13%から14%で区の職員の5倍近くにもなります。安上がりの労働への置き換えは、地域との連携や安定した事業運営という点からも問題です。
 民間委託は中止し、直営を維持すべきです。伺います。
 労働者の適正な労働環境を整備することにより、良質な公共サービスを提供することを目的とした公契約条例が全国で広がり、23区でもすでに10区が制定しています。
 江東区でも公契約条例を制定すべきです。伺います。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大や近年の大規模災害では、区民生活を支える公務労働がいかに重要かが浮き彫りになりました。
 ところが江東区は、人口が増加しているにもかかわらず、「定員適正化」の名の下に、職員を削減してきたために、今年1月時点での職員一人当たりの区民の人数は193人で、特別区平均の153・7人を大きく上回っています。

 福祉事務所では職員一人当たりの担当数は平均100人で、国が示す標準の80人を遥かに超えています。きめ細かな対応が必要な高齢者や今後の生活保護受給者の増加にも対応できるよう増員が必要です。また、保健師不足も深刻です。職員組合からは、来年度7人の増員要求が出ていますが、純増は4人に止まっています。
 定員適正化計画を見直し、人口増加に見合った職員の増員を行うべきです。伺います。

 つぎにジェンダー平等社会の実現について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性蔑視発言を行ない、国内外から批判の声が相次ぐ中、辞任しました。女性が意見を持ち、発言することを侮辱、差別するなど絶対に許されません。

 今回の事態は、日本社会の歪みを改めて浮き彫りにしました。日本のグローバル・ジェンダーギャップ指数は、153カ国中121位で、特に男女の賃金格差や政策・意思決定の場での女性の割合が少ないなど「経済」と「政治」の分野で著しく遅れた状況です。
 区長は、今回の森前会長の発言や日本の遅れた現状について、どのように認識していますか、伺います。

 ジェンダーとは、生物学的な男性、女性という区別ではなく、「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担など、「社会的・文化的に創り上げられた性差」と定義されています。国連は、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」(SDGs)の全てに「ジェンダーの視点」をすえることを強調しており、江東区でも「ジェンダー平等」の実現は重要です。

 区の臨時・非常勤職員の8割は女性で、保育や児童虐待、女性相談など重要な仕事を担っています。男女の賃金格差をなくすためにも、正規職員の約3分の1程度にとどまる非正規労働者の賃金を引き上げるべきです。伺います。

 また意思・政策決定の場での女性の比率を増やため、現在、課長級以上の管理職114人のうち17人、14.9%にとどまっている女性管理職を増やすべきです。伺います。

 さらに審議会等の女性の割合は、区が掲げる目標値40%に対し、30%という状況です。災害対策には女性の視点を取り入れることが重要ですが、防災会議は15・7%、消防団運営委員会には女性は一人もいません。
 女性の割合が低い審議会については、直ちに改善すべきです。伺います。
 
 日本は国連から夫婦同姓の義務づけの是正勧告を何度も受けています。また、性暴力やDV、ハラスメントをなくすための法整備やLGBTQに対する差別的扱いの解消なども、国際的に見て立ち遅れており、早急に改善が必要です。
 男性も女性も、多様な性をもつ人々も、誰もが尊厳を持ち、自分らしく生きられるジェンダー平等社会の実現に、引き続き力を尽くす決意を申し上げ、次の質問に移ります。

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(山﨑区長の答弁)
 大嵩崎かおり議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算編成と行財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、来年度予算についてのうち、福祉施策の廃止、負担増についてですが、厳しい歳入環境が見込まれる中、既存事業については、事業の必要性や費用対効果などを精査し、事業の見直しを行うことで、扶助費の拡充や新たな施策展開の財源確保に努めております。その結果、事業廃止等に至ったものであり、撤回する考えはありません。
 また、施設使用料の値上げ中止についてですが、特例的措置として実施している改定前料金への据置き対応の延長は、コロナ禍における施設の利用制限の状況等を総合的に勘案し、実施するものであります。改定については、維持管理コストと使用料分析などを踏まえ、区民負担の公平性の確保と受益者負担の原則に基づき、適正な料金設定を決定したものであり、施設使用料の改定を中止する考えはありません。
 次に、くらしを守る施策の拡充についてです。
 令和三年度は、財政調整基金から七十八億円を繰入れ、生活困窮者や障害者等に対する「生活・住まい」の支援や、児童・生徒への「学び」の支援の拡充などに取組んでおります。本区としては、既に区民の暮らしの支援を積極的に実施しているものと認識しております。
 次に、行財政改革についてですが、本区では、区民サービス向上や行政コスト削減の目的により民間委託を進めていることから、今後、民間委託を中止する考えはありません。
 次に、公契約条例制定についてですが、条例化をめぐる他区の動向についてはその検討状況を含め、注視しております。
 しかし、本区は、労働者の適正な労働条件の確保について、これまで同様、国が労働法制のなかで対応すべきものとの認識であり、条例制定に向けた検討は、現在のところ、考えておりません。
 次に、職員の増員についてですが、本区では、定員適正化計画に基づき技能系職員を退職不補充とする一方、事務職や技術職等については、人口増加に伴う行政需要の増大を踏まえ、職員の増員を図っております。
 今後も、必要な人材の確保とあわせて、事務事業の見直しや民間委託を進めていくことから、定員適正化計画の計画値で行政需要に対応できるものと認識しており、計画の見直しは、考えておりません。
 なお、定年延長など今後の社会情勢の変化については、注視してまいります。
 次に、ジェンダー平等社会の実現についてです。
 まず、日本の現状についてです。日本のジェンダーギャップ指数を上げるためにも、本区といたしましては、次期第7次男女共同参画行動計画に掲げた目標の達成に向けて努めてまいります。
 次に、男女の賃金格差についてですが、会計年度任用職員に占める女性の割合が高い理由は、比較的短時間勤務の業務が多く、応募される方自体が女性が多いと聞いており、保育園の朝・夕の保育などが挙げられます。
 会計年度任用職員の報酬については、勤務時間と職務内容に応じた額を設定しており、正規職員同様、男女の賃金格差はありません。
 次に、女性管理職の割合については、「江東区職員のしごと生活応援プラン」において2025年度の目標数値を25%と掲げており、働きやすい職場作りや能力開発支援等に取り組んでおります。
 また、審議会の女性比率については、他区においても同程度の比率となっております。本区としては、引き続き、次期第7次行動計画においても、目標の評価指標に掲げており、関係所管に対し、関係団体からの推薦にあたっての柔軟な対応や公募委員を増加するなど、女性委員の比率向上を働きかけてまいります。

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第三は、国民健康保険制度についてです。

 国の仮係数による算定結果では、来年度の保険料は一人あたり15万7968円、今年度15万3633円と比べ4335円の負担増です。
 毎年の保険料値上げで、加入者の3割の世帯が滞納せざるを得ず、短期証や資格証など正規の保険証がもらえない世帯も3000世帯を超えています。今でも高い保険料がコロナ禍でさらに引き上げとなれば、より一層深刻な事態を招くことになります。
 激変緩和策にとどまらず、一般財源の繰り入れなどあらゆる努力で、来年度の保険料を値上げせず、引き下げを行うべきではないですか。
 また、国保財政の運営主体である東京都に対し、保険料負担軽減のための独自の財政支出を求めるべきです。伺います。

 高すぎる国民健康保険料の原因は、国が国庫負担を減らしてきたためです。全国知事会などが求めるように公費負担を1兆円増やせば、サラリーマンなどが加入する協会けんぽ並みに保険料を引き下げることが可能です。
 国に対し、高すぎる国民健康保険料の抜本的な引き下げのための公費投入を求めるべきではないですか。伺います。

 国や東京都は、一般会計からの法定外繰入を解消させるため、各自治体に保険料値上げと徴収強化を求めています。
 この方針のもと江東区は、コロナ禍にもかかわらず、令和2年度、資産調査を倍に増やし、232件もの差し押さえを行なっています。
 暮らしの実態を顧みない差し押さえは行うべきではありません。伺います。

 国は、未就学児の国保料の均等割を、現行から5割軽減することを明らかにしました。
 我が党議員団も、子育て世帯の保険料負担を軽減するため、子どもの均等割減免を条例提案するなど、繰り返し実施を求めてきました。
 子どもの均等割減免は大きな前進ですが、実施は2022年度からです。
 国に対し、来年度から直ちに実施すること、また18歳までのすべての子どもへと対象を引き上げるよう求めるべきではないですか。
 また、国が実施しない場合でも区長会として、来年度から子どもの均等割軽減を実施すべきだと思いますが、見解を伺います。

 新型コロナの影響で収入が減少した世帯を対象に実施されている保険料の減額免除制度には、12月末までで7238世帯もの申請がありました。しかし、「雑所得」が対象となっていないため、フリーランスの方の負担は重いままです。
 国に対し、フリーランスなど「雑所得」で確定申告をしている方も減免の対象とするよう求めるべきではないですか。
 また国が実施しないのであれば区として独自に減免を行うよう求めます。

 新型コロナに感染したり、濃厚接触者となって仕事を休んだ場合に傷病手当金が支給されますが、支給対象が給与所得者に限定されています。
 自営業者も傷病手当金支給の対象とするよう国に求めるべきではないですか。伺います。

 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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(武田生活支援部長の答弁)
 国民健康保険制度についてであります。まず、来年度保険料についてであります。
 令和3年度の国民健康保険料については、新型コロナウイルス感染症の拡大により、被保険者の所得環境が引き続き厳しいことが想定されております。このため、特別区長会では、保険料の抑制が必要であるとの認識に立ち、2月の特別区長会において、特別区全体での一般財源の繰り入れを29億円増額し、保険料で賄うべき賦課総額を抑制することで保険料率を算定し、一人当たりの保険料を本来より、1838円引き下げる決定を行ったところであります。
 また、更なる公費の増額等を、国・都へ要望することについては、特別区長会として、定率国庫負担金の増額や低所得者層へのより一層の負担軽減のための財政支援を講じるよう、これまでも国・都に強く要望しており、今後も引き続き要望を行ってまいります。
 次に、徴収強化についてであります。差押については、被保険者全体の公平性や公費繰り入れの削減、完納している被保険者の納付意欲の低下を防止する観点から実施しており、納付が無く、連絡も無い場合に、予告をした上で法令に即し執行しているところであります。なお、現在も収納窓口等において、それぞれの生活実態を踏まえながら丁寧に分納相談や生活相談等を行っており、引き続き適正な徴収事務を進めてまいります。
 次に、こどもの均等割の軽減についてであります。
 今般、こどもの均等割軽減について国が制度改正を行ったことは、特別区長会において、長年要望を続けてきた成果であると認識しております。
 制度の早期開始や対象年齢の拡大を国に求めること、並びに特別区で実施すべきとのご意見でありますが、こどもの均等割の軽減については、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施すべきものと認識しております。
 次に、保険料の減免についてであります。
 新型コロナウイルス感染症にかかる保険料の減免については、国の基準に基づき実施しており、雑所得については継続的な収入とするか否かの判定が困難である等の理由から対象としておりません。減免の対象とならない場合でも、支払いが困難な場合には分割納付などで対応をしており、雑所得を対象とするよう国へ求めること、および区独自に対象とする考えはありません。
 次に、傷病手当金についてでありますが、国は、他の健康保険制度との均衡を図る観点から、支給対象者を給与等の支払いを受ける被用者としております。本区においても、制度の趣旨を踏まえ、対象者を国と同様としているところであり、対象者の拡大について区独自で実施すること、および国に要望する考えはありません。

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