区議団ニュース2021年4月号

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2021年第1回定例会―大つきかおり議員

日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について伺います。

  • 新型コロナウイルス対策について
  • 来年度予算編成と行財政運営について
  • 国民健康保険制度について

 第一は、新型コロナウイルス対策についてです。
 はじめに、新型コロナでお亡くなりになった方にお悔やみを申し上げるとともに、療養中の方にお見舞いを申し上げます。また、保健所職員、医療従事者、ケア労働に携わる皆さんに、感謝申し上げます。

 2月7日までだった緊急事態宣言が1ヶ月延長されましたが、医療機関は依然逼迫し、亡くなる方も急増、飲食店だけではなく幅広い業種に深刻な影響が広がっています。
 感染拡大を抑えるためには、罰則ではなく、国民の自覚的行動と社会的連帯、補償と検査・医療体制の強化こそ必要です。

 濃厚接触者の追跡調査が追いつかなくなるもと、東京都は「優先度を考慮して調査を行う」ことを各保健所に指示しました。これまでであれば、濃厚接触者としてPCR検査を受けていた人が認定されず、結果として感染を拡大させてしまうことが懸念されます。
 保健所の人員を増やし、調査できる体制をとるべきではないですか?伺います。

 ワクチン接種が始まりましたが、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかります。「ワクチン頼み」で、感染対策の基本的取り組みが疎かにされれば、宣言解除後、再び感染が急拡大する懸念があります。新規感染者が一定減少している今こそ、無症状感染者を徹底して拾い上げ、保護する検査戦略が必要です。

 江東区では、感染を早期に発見するため、高齢者や障害者の通所施設の職員・入所者のPCR等、社会的検査への補助を行っていますが、実施は、対象となる316施設のうち、45施設にとどまっています。

 施設の職員からは、陽性が判明した場合、事業が継続できなくなることや休業により収入が減少すること、実施する人の同意書を取ることや3日前から利用者の行動を記録するよう区から求められることなどが負担になっているとの声が寄せられています。
 事務の簡素化や事業継続できるよう支援体制を作るなど、検査を受けやすいようにすべきではないですか。伺います。

 また社会的検査は定期的に実施することが必要で、専門家は週1回程度が望ましいと指摘しています。東京都も再度の補助を行うことになりました。
 都の補助を活用し、定期的な検査が実施できるようにすべきではないですか、伺います。

 第3波では、園児や児童・生徒などの感染も増加しています。保育士からは「もし自分が感染したら子どもたちにうつしてしまうのではないかと不安で精神的に疲れている」との声が寄せられています。江戸川区では社会的検査で認可保育園のクラスターも確認されました。
 子どもが集団生活を行う学校、保育園などの教職員についても社会的検査を実施し、感染拡大を未然に防止すべきではないですか。伺います。

 つぎに、医療体制の強化について伺います。
 江東区は、新型コロナウイルスのワクチン接種を、区内6ヶ所のスポーツセンターでの集団接種と150の医療機関での個別接種で対応するとしています。
 4月から始まる高齢者への接種では、申し込みから接種まで、きめ細かな支援が必要です。また、区民自らが接種するかどうか判断できるよう十分な情報提供を行うべきだと思いますが、伺います。

 江東区は、区独自に医療機関への補助を行なっていますが、更なる支援が必要です。
 国に対しコロナ患者を受け入れている医療機関だけでなく、全ての医療機関を対象とした減収補填を求めるべきではないですか。
 また、区独自に医療従事者への慰労金支給などを行うべきではないですか。伺います。

 東京都は、都立病院をより民間に近い経営形態にする、地方独立行政法人化を行おうとしています。
 都立病院は、140年前にコレラやチフスなど感染症の流行に伴い開設され、民間医療機関だけでは担いきれない不採算医療を担ってきました。
 新型コロナ対応でも、都立病院や公社病院をコロナ専門病院に転換するなど、都が直接責任をもって都民の命を守る役割を果たしています。行政的医療を将来にわたり充実するためには、行政の責任をしっかり果たすことこそ必要です。
 都立病院・公社病院の独法化はきっぱり中止するよう求めるべきではないですか。見解を伺います。

 つぎに、くらしと営業を守る施策について伺います。
 コロナの影響で倒産する事業者が増えています。区内事業者からは「これ以上持ちこたえられない」など悲鳴の声が寄せられています。
 昨年9月で受付を終了した区独自の中小企業への家賃給付金事業は、予算額15億円に対し執行率は約40%です。
 予算を余らせるのではなく、再度実施すること、また、家賃以外の駐車場や備品のリース料など固定費にも補助を行うべきではないですか。
 また国に対し、持続化給付金、持続化家賃給付金の再度の支給を求めるべきです。伺います。

 コロナ対策特別融資の開始から1年が経ち、コロナの影響が続く中、早ければ5月にも返済が始まります。
 返済猶予期間を延長するとともに、2年目以降の金利についても0%にすべきです。伺います。

 生活に困窮する方の相談も増えています。最後のセーフティーネットとなっているのが生活保護制度ですが、親族への「扶養照会」が申請の障害になっています。
 コロナの影響で働いていた飲食店を雇い止めされ、私の所に相談にきた70代の方も、「親族に知られたくない」と頑なに申請を拒否しました。
 厚生労働省は、扶養照会は法的な義務ではないと国会で答弁しています。江東区ではどのような対応をしていますか、申請の妨げとなる扶養照会はやめるべきです。伺います。

 また、新型コロナの影響で一時的に収入が減少し保護が必要になった場合、通勤に必要な自動車、自営のための店舗や機械器具等の保有を認めるとの通達が出ていますが、相談者に説明されていない例がありました。
 コロナ禍における対応を職員に徹底し、相談者にもきちんと説明すべきです。伺います。

 生活保護は、憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づく制度ですが、受給者に対するバッシングや制度への不理解から申請をためらう方も多いのが実態です。
 区民が申請をためらうことのないよう、制度についての広報を行うべきです。伺います。

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(北村健康部長の答弁) 
 新型コロナウイルス対策についてのご質問にお答えします。
 まず、検査体制の拡充についてのご質問のうち、積極的疫学調査についてであります。
 感染症対策において、積極的疫学調査の的確な実施と、その結果による感染拡大防止の指導は、最も重要で、対策の根幹に関わるものと認識しております。
 本区においては、従来より専門職による丁寧な疫学調査を実施しており、中でも特に対策が重要となる医療機関、高齢者施設、障害者施設、特別支援学校などの調査は、直接医師、保健師が複数名出向き重点的に感染状況等の調査を行っています。
 新型コロナウイルス感染症の市中感染者が増加し、感染経路不明者が増える蔓延期の段階における対応として、積極的疫学調査やその後の対応について優先事項を整理して実施する等の都の通知についてですが、区では、通常14人の職員体制を65人に増強し、通知を上回る内容の積極的疫学調査を行い、濃厚接触者にはPCR検査を実施しております。
 今後も引き続き、患者発生状況に合わせた保健所の体制強化を図り、的確に積極的疫学調査等を行い、感染症蔓延防止に努めてまいります。
 次に、高齢者・障害者施設における社会的検査についてです。
 まず、介護・障害福祉サービス事業所に対するPCR検査費用補助事業は、感染者を早期に発見し、事業所内の感染拡大防止を図るもので、行動記録確認などの事前準備は、迅速な初動体制を確保するために必要なものと認識しております。
 次に、事業所に対する検査費用補助事業を継続すべきとのことですが、事業所における感染状況や現在実施中の検査費用補助事業の検査状況、そしてワクチン接種の動向などを踏まえ、総合的に判断してまいります。
 なお、区独自の事業者支援については、通所施設休止時の特例的な報酬算定の取扱いもあることから考えてはおりません。
 次に、子育て施設における社会的検査についてでありますが、家庭内感染が増加している現状や、検査翌日には感染する恐れも否定できないことから、感染拡大防止のためには積極的疫学調査を確実に実施することが重要と考えております。このため、学校や保育園の教職員について社会的検査を実施する予定は現在のところございません。
 次に、医療体制の強化についてお答えいたします。
 まず、ワクチン接種についてです。
 本区は、現在、週3万人接種の体制を整備し、高齢者については、開始から3か月以内の早期に接種が終了する準備を進めております。予約につきましては、Webによるほか、オペレーター100人により、電話での予約受付を行います。また、ワクチン接種に関する情報発信につきましては、個別通知のほか、区報、区ホームページ等で、随時周知を行ってまいります。
 次に、医療機関への支援についてです。区では、これまで、コロナ患者の入院、夜間受け入れのための病床を確保した医療機関への謝金、年末年始に発熱患者等を診療した医療機関、調剤対応した薬局、救急病院に対し、東京都の協力金に上乗せする形で謝金の支給をしてまいりました。現時点では、全ての医療機関に対する減収補填を国に求める考えはなく、また、区独自の医療従事者への慰労金の支給についても考えておりません。
 次に、都立病院・公社病院の独立行政法人化についてです。
 都では、都立病院が担うべき役割を安定的に果たし続けていくため、都立病院と公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行することとし、令和4年度内を目途として地方独立行政法人を設立するとしております。
 地方独立行政法人化の目的は、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が更に深刻化していく中でも、都立病院の役割である行政的医療の安定的・継続的な提供や都の医療政策への貢献などを引き続き確実に果たしていくためのものとしており、中止を求める考えはありません。
 次に、くらしと営業を守る施策の拡充についてお答えします。
 まず、中小企業への支援についてです。
 本区で実施してきた持続化家賃給付金については、国や都の支援も含め、重層的に手厚い支援を行ってきたと考えており、本区事業の更なる延長や拡大は考えておりません。
 また、国の持続化給付金及び持続化家賃給付金については、効果的に実施されたと考えており、再度の支給を国に求める考えはありません。
 本区のコロナ対策緊急融資については、今後、返済が順次始まることから、現状を踏まえた支援策については、すでに検討しているところです。
 次に、生活保護についてです。
 まず、扶養照会についてですが、生活保護法では扶養義務者の扶養等は「保護に優先して行われる」と定められており、今後も国や都の指針に沿って適切に扶養照会を行ってまいります。
 また、相談者への対応につきましては、面接相談員は相談者の状況を詳しくお聞きするとともに、国の通知なども踏まえ、生活保護制度の説明等を行っております。今後も、相談者の立場に寄り添い、正確でわかりやすい説明に努めてまいります。
 さらに、生活保護法の周知につきましては、これまでも区報、ホームページ、関係部署や関係機関での案内の設置など、幅広く周知を行っているところであります。今後も、時宜を捉えて効果的な周知を行うなど、あらゆる機会を通じ、生活保護制度の周知徹底に努めてまいります。

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 第二は、来年度予算編成と行財政運営についてです。

 江東区の来年度一般会計予算案は、約2171億円で、今年度当初予算と比べ38億円、1・8%増となっています。
 貧困と格差の増大、年金、医療、介護などの社会保障改悪と消費税増税に加えコロナの影響で失業や倒産も増加するなど区民のくらしと営業は深刻です。区民生活が厳しくなっている今こそ、暮らし、福祉を支える予算編成が求められます。

 予算案では、子ども家庭支援センターの増設や高齢難聴者への補聴器支給事業に現金支給を追加すること、また、男性D V・LGBT相談窓口の設置、文化センターなど施設使用料の据置措置の延長など、我が党も提案してきた区民要求の前進があるものの、オストメイト用装具等購入費助成事業の廃止、国民健康保険や後期高齢者医療保険の保養施設の利用費助成の廃止、国民健康保険料や介護保険料の値上げなどが行われます。
 コロナ禍で区民生活が大変な中、福祉施策の廃止や負担増など行うべきではありません。撤回すべきです。また、施設使用料の値上げは据え置き措置の延長ではなく中止すべきです。あわせて伺います。

 くらしを守る施策も不十分です。新型コロナ対策では、新規の支援策はほとんどありません。感染拡大を防ぐための社会的検査の拡充や濃厚接触者の調査を行うトレーサーの増員など保健所体制を強化すべきです。

 中小企業支援では、再度の家賃給付の実施とともに、コロナ対策特別融資や小規模特別融資の利子補助の引き上げなど事業継続のための支援が必要です。
 また子育て支援では、園庭のある認可保育園の増設、子ども医療費無料化の18歳までの引き上げ、学校給食費の無償化、給付型奨学金制度の実施など経済的支援を求めます。

 高齢者・障害者支援では、不足が深刻な特別養護老人ホームの増設、要介護度4・5の高齢者への重度介護手当の支給、失語症者の意思疎通支援者派遣事業の実施を求めます。

 さらに防災対策では、木造住宅の簡易耐震制度の導入やマンション耐震化助成の引き上げ、海抜表示板の設置など行うべきです。

 区の基金は毎年膨らみ、2019年度決算時点で基金総額は、過去最高の1512億円、何にでも使える財政調整基金だけでも303億円にのぼります。
 基金の一部を活用し、コロナ禍で苦しむ区民のくらしを守るための施策を拡充すべきです。伺います。

 来年度は、保育園給食調理業務や小名木川児童館、きっずクラブや学校用務業務、ごみ収集運搬業務などの民間委託が行われます。
 きっずクラブでは、委託替えが相次いでいます。委託先企業で働く労働者の賃金は安く、離職率は13%から14%で区の職員の5倍近くにもなります。安上がりの労働への置き換えは、地域との連携や安定した事業運営という点からも問題です。
 民間委託は中止し、直営を維持すべきです。伺います。
 労働者の適正な労働環境を整備することにより、良質な公共サービスを提供することを目的とした公契約条例が全国で広がり、23区でもすでに10区が制定しています。
 江東区でも公契約条例を制定すべきです。伺います。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大や近年の大規模災害では、区民生活を支える公務労働がいかに重要かが浮き彫りになりました。
 ところが江東区は、人口が増加しているにもかかわらず、「定員適正化」の名の下に、職員を削減してきたために、今年1月時点での職員一人当たりの区民の人数は193人で、特別区平均の153・7人を大きく上回っています。

 福祉事務所では職員一人当たりの担当数は平均100人で、国が示す標準の80人を遥かに超えています。きめ細かな対応が必要な高齢者や今後の生活保護受給者の増加にも対応できるよう増員が必要です。また、保健師不足も深刻です。職員組合からは、来年度7人の増員要求が出ていますが、純増は4人に止まっています。
 定員適正化計画を見直し、人口増加に見合った職員の増員を行うべきです。伺います。

 つぎにジェンダー平等社会の実現について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性蔑視発言を行ない、国内外から批判の声が相次ぐ中、辞任しました。女性が意見を持ち、発言することを侮辱、差別するなど絶対に許されません。

 今回の事態は、日本社会の歪みを改めて浮き彫りにしました。日本のグローバル・ジェンダーギャップ指数は、153カ国中121位で、特に男女の賃金格差や政策・意思決定の場での女性の割合が少ないなど「経済」と「政治」の分野で著しく遅れた状況です。
 区長は、今回の森前会長の発言や日本の遅れた現状について、どのように認識していますか、伺います。

 ジェンダーとは、生物学的な男性、女性という区別ではなく、「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担など、「社会的・文化的に創り上げられた性差」と定義されています。国連は、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」(SDGs)の全てに「ジェンダーの視点」をすえることを強調しており、江東区でも「ジェンダー平等」の実現は重要です。

 区の臨時・非常勤職員の8割は女性で、保育や児童虐待、女性相談など重要な仕事を担っています。男女の賃金格差をなくすためにも、正規職員の約3分の1程度にとどまる非正規労働者の賃金を引き上げるべきです。伺います。

 また意思・政策決定の場での女性の比率を増やため、現在、課長級以上の管理職114人のうち17人、14.9%にとどまっている女性管理職を増やすべきです。伺います。

 さらに審議会等の女性の割合は、区が掲げる目標値40%に対し、30%という状況です。災害対策には女性の視点を取り入れることが重要ですが、防災会議は15・7%、消防団運営委員会には女性は一人もいません。
 女性の割合が低い審議会については、直ちに改善すべきです。伺います。
 
 日本は国連から夫婦同姓の義務づけの是正勧告を何度も受けています。また、性暴力やDV、ハラスメントをなくすための法整備やLGBTQに対する差別的扱いの解消なども、国際的に見て立ち遅れており、早急に改善が必要です。
 男性も女性も、多様な性をもつ人々も、誰もが尊厳を持ち、自分らしく生きられるジェンダー平等社会の実現に、引き続き力を尽くす決意を申し上げ、次の質問に移ります。

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(山﨑区長の答弁)
 大嵩崎かおり議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算編成と行財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、来年度予算についてのうち、福祉施策の廃止、負担増についてですが、厳しい歳入環境が見込まれる中、既存事業については、事業の必要性や費用対効果などを精査し、事業の見直しを行うことで、扶助費の拡充や新たな施策展開の財源確保に努めております。その結果、事業廃止等に至ったものであり、撤回する考えはありません。
 また、施設使用料の値上げ中止についてですが、特例的措置として実施している改定前料金への据置き対応の延長は、コロナ禍における施設の利用制限の状況等を総合的に勘案し、実施するものであります。改定については、維持管理コストと使用料分析などを踏まえ、区民負担の公平性の確保と受益者負担の原則に基づき、適正な料金設定を決定したものであり、施設使用料の改定を中止する考えはありません。
 次に、くらしを守る施策の拡充についてです。
 令和三年度は、財政調整基金から七十八億円を繰入れ、生活困窮者や障害者等に対する「生活・住まい」の支援や、児童・生徒への「学び」の支援の拡充などに取組んでおります。本区としては、既に区民の暮らしの支援を積極的に実施しているものと認識しております。
 次に、行財政改革についてですが、本区では、区民サービス向上や行政コスト削減の目的により民間委託を進めていることから、今後、民間委託を中止する考えはありません。
 次に、公契約条例制定についてですが、条例化をめぐる他区の動向についてはその検討状況を含め、注視しております。
 しかし、本区は、労働者の適正な労働条件の確保について、これまで同様、国が労働法制のなかで対応すべきものとの認識であり、条例制定に向けた検討は、現在のところ、考えておりません。
 次に、職員の増員についてですが、本区では、定員適正化計画に基づき技能系職員を退職不補充とする一方、事務職や技術職等については、人口増加に伴う行政需要の増大を踏まえ、職員の増員を図っております。
 今後も、必要な人材の確保とあわせて、事務事業の見直しや民間委託を進めていくことから、定員適正化計画の計画値で行政需要に対応できるものと認識しており、計画の見直しは、考えておりません。
 なお、定年延長など今後の社会情勢の変化については、注視してまいります。
 次に、ジェンダー平等社会の実現についてです。
 まず、日本の現状についてです。日本のジェンダーギャップ指数を上げるためにも、本区といたしましては、次期第7次男女共同参画行動計画に掲げた目標の達成に向けて努めてまいります。
 次に、男女の賃金格差についてですが、会計年度任用職員に占める女性の割合が高い理由は、比較的短時間勤務の業務が多く、応募される方自体が女性が多いと聞いており、保育園の朝・夕の保育などが挙げられます。
 会計年度任用職員の報酬については、勤務時間と職務内容に応じた額を設定しており、正規職員同様、男女の賃金格差はありません。
 次に、女性管理職の割合については、「江東区職員のしごと生活応援プラン」において2025年度の目標数値を25%と掲げており、働きやすい職場作りや能力開発支援等に取り組んでおります。
 また、審議会の女性比率については、他区においても同程度の比率となっております。本区としては、引き続き、次期第7次行動計画においても、目標の評価指標に掲げており、関係所管に対し、関係団体からの推薦にあたっての柔軟な対応や公募委員を増加するなど、女性委員の比率向上を働きかけてまいります。

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第三は、国民健康保険制度についてです。

 国の仮係数による算定結果では、来年度の保険料は一人あたり15万7968円、今年度15万3633円と比べ4335円の負担増です。
 毎年の保険料値上げで、加入者の3割の世帯が滞納せざるを得ず、短期証や資格証など正規の保険証がもらえない世帯も3000世帯を超えています。今でも高い保険料がコロナ禍でさらに引き上げとなれば、より一層深刻な事態を招くことになります。
 激変緩和策にとどまらず、一般財源の繰り入れなどあらゆる努力で、来年度の保険料を値上げせず、引き下げを行うべきではないですか。
 また、国保財政の運営主体である東京都に対し、保険料負担軽減のための独自の財政支出を求めるべきです。伺います。

 高すぎる国民健康保険料の原因は、国が国庫負担を減らしてきたためです。全国知事会などが求めるように公費負担を1兆円増やせば、サラリーマンなどが加入する協会けんぽ並みに保険料を引き下げることが可能です。
 国に対し、高すぎる国民健康保険料の抜本的な引き下げのための公費投入を求めるべきではないですか。伺います。

 国や東京都は、一般会計からの法定外繰入を解消させるため、各自治体に保険料値上げと徴収強化を求めています。
 この方針のもと江東区は、コロナ禍にもかかわらず、令和2年度、資産調査を倍に増やし、232件もの差し押さえを行なっています。
 暮らしの実態を顧みない差し押さえは行うべきではありません。伺います。

 国は、未就学児の国保料の均等割を、現行から5割軽減することを明らかにしました。
 我が党議員団も、子育て世帯の保険料負担を軽減するため、子どもの均等割減免を条例提案するなど、繰り返し実施を求めてきました。
 子どもの均等割減免は大きな前進ですが、実施は2022年度からです。
 国に対し、来年度から直ちに実施すること、また18歳までのすべての子どもへと対象を引き上げるよう求めるべきではないですか。
 また、国が実施しない場合でも区長会として、来年度から子どもの均等割軽減を実施すべきだと思いますが、見解を伺います。

 新型コロナの影響で収入が減少した世帯を対象に実施されている保険料の減額免除制度には、12月末までで7238世帯もの申請がありました。しかし、「雑所得」が対象となっていないため、フリーランスの方の負担は重いままです。
 国に対し、フリーランスなど「雑所得」で確定申告をしている方も減免の対象とするよう求めるべきではないですか。
 また国が実施しないのであれば区として独自に減免を行うよう求めます。

 新型コロナに感染したり、濃厚接触者となって仕事を休んだ場合に傷病手当金が支給されますが、支給対象が給与所得者に限定されています。
 自営業者も傷病手当金支給の対象とするよう国に求めるべきではないですか。伺います。

 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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(武田生活支援部長の答弁)
 国民健康保険制度についてであります。まず、来年度保険料についてであります。
 令和3年度の国民健康保険料については、新型コロナウイルス感染症の拡大により、被保険者の所得環境が引き続き厳しいことが想定されております。このため、特別区長会では、保険料の抑制が必要であるとの認識に立ち、2月の特別区長会において、特別区全体での一般財源の繰り入れを29億円増額し、保険料で賄うべき賦課総額を抑制することで保険料率を算定し、一人当たりの保険料を本来より、1838円引き下げる決定を行ったところであります。
 また、更なる公費の増額等を、国・都へ要望することについては、特別区長会として、定率国庫負担金の増額や低所得者層へのより一層の負担軽減のための財政支援を講じるよう、これまでも国・都に強く要望しており、今後も引き続き要望を行ってまいります。
 次に、徴収強化についてであります。差押については、被保険者全体の公平性や公費繰り入れの削減、完納している被保険者の納付意欲の低下を防止する観点から実施しており、納付が無く、連絡も無い場合に、予告をした上で法令に即し執行しているところであります。なお、現在も収納窓口等において、それぞれの生活実態を踏まえながら丁寧に分納相談や生活相談等を行っており、引き続き適正な徴収事務を進めてまいります。
 次に、こどもの均等割の軽減についてであります。
 今般、こどもの均等割軽減について国が制度改正を行ったことは、特別区長会において、長年要望を続けてきた成果であると認識しております。
 制度の早期開始や対象年齢の拡大を国に求めること、並びに特別区で実施すべきとのご意見でありますが、こどもの均等割の軽減については、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施すべきものと認識しております。
 次に、保険料の減免についてであります。
 新型コロナウイルス感染症にかかる保険料の減免については、国の基準に基づき実施しており、雑所得については継続的な収入とするか否かの判定が困難である等の理由から対象としておりません。減免の対象とならない場合でも、支払いが困難な場合には分割納付などで対応をしており、雑所得を対象とするよう国へ求めること、および区独自に対象とする考えはありません。
 次に、傷病手当金についてでありますが、国は、他の健康保険制度との均衡を図る観点から、支給対象者を給与等の支払いを受ける被用者としております。本区においても、制度の趣旨を踏まえ、対象者を国と同様としているところであり、対象者の拡大について区独自で実施すること、および国に要望する考えはありません。

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区議団ニュース2021年1月号

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2020年第4回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問します。

  • 新型コロナウイルス対策について
  • 障害者支援について
  • 介護保険について

第一は、新型コロナウイルス対策についてです。
 新型コロナ感染が急拡大し、東京都では警戒度を最高レベルに引き上げました。本区でも、感染者数が拡大し、接触歴の不明者も増加し、季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されます。

 検査と医療体制の拡充についてです。
 私たちはこれまで、感染拡大を防止するため、幅広くPCR検査を行うよう繰り返し求めてきました。しかし、区は「行政検査の趣旨に合わない」と拒否しています。現在、感染拡大の第3波に見舞われており、症状のある人や濃厚接触者に限定せず、幅広く検査を行い、無症状で感染力のある人を早期に発見して、感染拡大を事前に防止するための社会的検査が求められています。
 東京都は、PCR検査目標を引き上げるとともに、高齢者や障害者施設の入所者と職員15万人を対象に、PCR検査の独自支援を始めました。
 世田谷区は、社会的検査として高齢者や障害者施設、保育園などの従事者にPCR検査を順次実施し、その検査によって特養ホーム職員から多数の無症状感染者が判明しています。区は、社会的検査の必要性についてどのように考えているのか、伺います。

 区は、今回の補正予算で、都の補助を活用し、デイサービスやショートステイなど通所施設の利用者と職員を対象にPCR検査を実施します。補助対象となっていない保育園・幼稚園、学校、学童クラブなどにも拡充するよう都に求めるべきです。伺います。

 江戸川区は今月から、高齢者、障害者施設に加え幼稚園、保育園、学校などに従事する約2万人に、唾液による検体検査を行っています。保育園や幼稚園、学校などは、「蜜」が避けにくく、感染拡大が懸念されます。クラスターが発生すれば多大な影響が懸念される保育園、幼稚園、学校、学童クラブの施設に、公費による社会的検査を定期的に行い、感染拡大を事前に防止すべきです。伺います。

 保健所体制の拡充についてです。
 保健所では、医師、保健師、専門医の3人1チームで、感染者の接触履歴を追跡しています。しかし、接触履歴の不明者が増加し、追跡調査は時間と労力もかかり保健所の過重負担となっています。現在の急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握・保護していくため、区として感染追跡を専門に行うトレーサーを確保し、保健所体制を強化するとともに、国の責任で緊急にトレーサーの養成・確保を図るよう求めるべきです。伺います。

 地域医療への支援と連携についてです。
 どの医療機関でもコロナ感染者の受診がありうる緊張状態の中で診療しています。受診抑制による患者減は、コロナ患者を受け入れていない病院や診療所でも深刻となっています。地域医療を支える区内の病院、診療所に対し、感染防護具や医療用資器材を支援するとともに、国に対し、医療機関への減収補てんを求めるべきです。伺います。
 また、保護者が感染し、養育困難となった医療的ケアが必要な重度障害児の保護について、医師会・医療機関と協議し、病院のベッドを確保するなど、対応を図るべきと思いますが、伺います。

 区民の暮らしと営業、雇用への支援についてです。
 区内中小企業は、消費税10%に続くコロナ禍のもとで、業況は全業種で悪化しており、「このままではとても年を越せない」「事業の継続をあきらめるしかない」という悲鳴が上がっています。東京商工リサーチの調査では、31万社が廃業の危機に瀕し、雇用者数もリーマンショックを上回る勢いで、非正規雇用を中心に100万人以上減っています。これから年末に向けてリストラが急加速する危険性があり、事態は極めて深刻です。
 雇用調整助成金や持続化給付金、住居確保給付金の延長と給付内容の拡充を図るよう国に求めるべきです。また、区独自のコロナ対策資金融資は12月末で終了としていますが、さらに延長すべきです。伺います。また、区の持続化支援家賃給付金は、当初、対象5千件、15億円の予算をつけながら、実際に対象業者に届いているのはその半分以下です。今回、食品卸売事業者について、事務所等が区内にあれば給付対象としますが、家賃を払っている区内事業者すべてを対象とすべきです。さらに、家賃給付を1回限りとせず、コロナ収束まで事業を維持ができるよう継続的に支援すべきです。伺います。

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(山﨑孝明区長の答弁)
 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてのご質問のうち、検査と医療体制の拡充についてであります。
 社会的検査の必要性についてでありますが、検査の効果を高めるためには、定期的な実施が必要であり、区としては、これまで同様積極的疫学調査を基本に、感染拡大防止に努めてまいります。
 また、今般、東京都の補助制度を活用し、重症化リスクの高い高齢者・障害者施設における検査を実施することといたしましたが、保育所や小・中学校など、こどもに関する施設に対する都等の補助制度につきましても、必要であると考えております。
 なお、公費による定期的な社会的検査の実施につきましては、現時点で、実施する考えはありません。
 次に、保健所体制の拡充についてであります。
 急速に感染が拡大している中、積極的疫学調査を始め、電話相談対応、PCRセンターの運営、患者搬送など、保健所の業務は、多岐に渡っております。
 国の責任による感染追跡の専門のトレーサーの人材育成や確保については、保健所体制の強化につながるものと考えますが、区としては、これまで、非常勤の公衆衛生専門医師の採用や、保健師業務の民間活力の活用等により、積極的疫学調査の体制を強化してまいりました。引き続き、体制整備に努めてまいります。

 次に、地域医療への支援と連携についてであります。
 区内全ての病院、診療所に対する感染防護具などの支援についてですが、これまで、マスクや防護服などを医療機関に提供しており、また、感染防護具を始め、医療用消耗品について、流通が滞った場合の緊急対応用に備蓄を行ったところであります。
 また、医療機関への減収補填につきましては、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れなどを行っている医療機関に対し、入院患者受け入れ等に対する補助を行っておりますが、国の動向については、注視してまいります。
 また、保護者が新型コロナウイルスに感染し、養育困難となった医療ケアが必要な重度の障害児の対応についてでありますが、保護者の意向を踏まえつつ、医療機関への入院による対応など、引き続き、関係機関と連携してまいります。
 次に、区民の暮らしと営業、雇用への支援についてであります。
 雇用調整助成金の特例措置延長と拡充等の国への要望につきましては、地域経済対策等の充実を特別区長会を通じて、行っているところであります。
 本区のコロナ対策資金融資の延長及び金利負担の引下げにつきましては、国や都の動向を注視し、適切に取り組んでまいります。
 家賃給付事業の継続的な実施につきましては、今回、国の「GO TO イート キャンペーン」を側面から支援する目的として、食品卸売業者等支援の対象の拡充を図ることとしております。
 本区としましては、家賃給付事業に限ることなく、引き続き、中小事業者に対する適切な支援を継続してまいります。

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大綱の第2は、障害者支援について伺います。
 まず、障害者の意思疎通支援の拡充についてです。
 今年4月、「江東区手話言語の普及及び障害者の意思疎通の促進に関する条例」が施行され、障害者の意思疎通手段の環境整備と施策の推進が求められます。
 補聴器や人工内耳を利用されている難聴の方の支援として、わが党が繰り返し提案してきたヒアリングループが障害者窓口に設置されました。議会でも傍聴席へのヒアリングループや音声認識システムの導入を予算要望しています。聞こえのバリアフリーを促進するため、ヒアリングループを本庁舎のすべての窓口、出張所、文化・コミュニティ施設などにも拡充すべきです。伺います。また、難聴高齢者に支給している補聴器を、ヒアリングループにも対応できる機種に改善すべきです。さらに、補聴器の調整は極めて重要です。身近な出張所や高齢者施設でも相談、調整ができるようにすべきです。伺います。

 失語症者への支援についてです。
 失語症は、脳卒中や事故が原因で言葉に関わる脳の領域が損傷を受け「話す、聞く、読む、書く」などの言語機能が低下する病気です。失語症のある人は、全国に50万人いると推定され、その9割は脳の血管障害による発症で、当事者や支援者は「まったく言葉の分からない外国に突然放り出された状態」といい、特に若い方は、孤独感、疎外感から引きこもる人も多いと伺っています。
 世田谷区では、15年前から独自に「失語症会話パートナー」を養成し、コミュニティ技術を学んだボランティアが、失語症サロンの場や、コミュニケーションが求められる病院や区役所、銀行などへ行くのに会話サポート派遣事業を行っています。
 厚労省は、2018年度から失語症者をサポートする人材の養成を都道府県の必須事業としました。都は、昨年度から意思疎通支援者養成講習を実施し、豊島区は今年度から支援者派遣事業を始めました。失語症者の社会復帰と家族を支援するため、江東区においても失語症者への理解促進と支援者派遣事業を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

 障害者施設の整備についてです。
 関係者の長年の努力によって、障害者入所施設が令和5年度の開設に向け進んでいます。区が購入した塩浜の都有地に、民設民営で施設を整備し、入所支援、生活介護、短期入所などを行うとしています。入所の選定基準や医療的ケアが必要な方の受入れ態勢など、どのように検討されているのか、当事者・家族の意向を十分反映させた施設にすべきと思いますが、伺います。
 区は、扇橋にある障害者福祉センターの指定管理について、令和6年度の大規模改修を機に、管理運営を現在の江東区社会福祉協議会から委託先を変更する方向です。
 しかし、同センターの今後の在り方や将来ビジョンについて、何ら検討もせずに“委託替えありき”の進め方は余りにも乱暴です。障害者福祉センターは、障害者福祉の中核、基幹的な役割を担っており、障害を持った方が増加する中で、支援体制の拡充こそ必要です。
 本来、区直営とすべきと考えますが、区が100%出資し、職員も派遣している区直結の社会福祉協議会が今後も役割を担うべきです。委託替えは止めるよう求めます。伺います。

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(市川障害者福祉部長の答弁)
 次に、障害者支援についてお答えいたします。
 まず、障害者の意思疎通支援の拡充についてのうち、ヒアリングループの設置拡充についてですが、ヒアリングループは、現在、障害者支援課窓口に設置し、今年度より使用を開始したところです。今後の設置拡充につきましては、使用状況や区民の声などを踏まえながら、対応を考えてまいります。
 また、高齢者用補聴器のヒアリングループ対象機種への変更についてでありますが、箱型補聴器については既に対応しております。耳掛け型補聴器での導入については、価格が高価であることから、今後、技術革新による価格の低下を待って対応を検討してまいります。また、補聴器の調整の拡充につきましては、現在、一日平均で7人程度の利用となっており、現時点では拡充を行うことは考えておりません。
 次に、失語症者への支援についてです。失語症者についての理解促進を図るべきとのことですが、現在、失語症に関する啓発としては東京都から送付されたしおりを配架し、広く区民に配布しているところです。失語症は見えない障害で、広く認知されておらず、周囲の人の正しい理解と適切な対応が求められていることから、区報の活用など機会をとらえて理解促進に努めてまいります。
 また、失語症者への意思疎通支援者派遣の事業実施についてですが、失語症者に関する国等の調査結果を見ますと、日常生活においてコミュニケーション支援が必要な場面が多く、自立した生活を送る上で様々な困難を抱えており、区としても支援の必要性を認識しているところであります。一方で、派遣事業実施に当たっては、対象者の定義、支援の方法、マッチング方法などの課題に加え、安定した支援者の確保も不透明な状況にあることなどから、先行自治体の動向など派遣事業のあり方について研究を進めてまいります。
 次に、障害者施設の整備についてのうち、まず、障害者入所施設の入所選定基準などの検討状況についてであります。施設入所の選定基準や医療的ケアが必要な障害者の受け入れについては、国の基準のほか、事業者公募で示した条件や提案書、または本区の施設入所を希望する障害者の状況などを勘案し、今後、整備事業者と協議を進めていくところであります。
 また、当事者家族の意見反映につきましては、整備事業者決定前後より区内の障害者団体から意見をいただいているほか、今年度に入ってから整備事業者も交えた意見交換会を開催しているところです。団体からいただいた意見につきましては、整備事業者と協議し、対応可能なものについては整備・運営を検討する中で反映してまいります。
 次に、障害者福祉センターの指定管理者変更の方向性についてです。現指定管理者である江東区社会福祉協議会が地域福祉計画の策定に合わせ、地域福祉の推進に向けて取り組みを充実させていくという方針により、同法人の指定管理期間については、令和4年度までとしたところであります。

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大綱の第3は、介護保険について伺います。
 第8期の保険料についてです。
 介護保険料は、3年ごとに改定され、20年前の制度開始時は2900円だったのが現在は5400円と約2倍に負担が増えています。年金は減り続ける一方、保険料負担が重くのしかかっています。介護保険会計は黒字で、基金残高は約40億円に上っています。この基金を活用して、来年度からの保険料の値上げは回避すべきです。伺います。

 総合事業についてです。
 厚労省は、要介護1、2の生活介助を総合事業に移行することを「引き続き検討」としながらも、「事業対象の弾力化」として、区の総合事業の対象にできるとしています。
 しかし、これは要介護者の利用実績をつくり、要介護者の生活介助を介護給付から外し、総合事業に移行するための途をつけるものです。
 総合事業は、ボランティアが主体となっているなど専門職以外による安上がりのサービスを拡大するものです。低い報酬や担い手不足が深刻で、事業所の撤退や新規利用者を断るケースが生じています。そういう中で、新たに要介護者を総合事業の対象とすれば、担い手不足に拍車をかけ、要支援の人の必要なケアが行えず、状態の悪化が懸念されます。
 要介護者を総合事業の対象にするかどうかは、自治体の判断となっており、区は、要介護者を総合事業の対象にすべきではありません。国に対し、要介護1、2の生活介助の介護保険外しの検討を中止するとともに、それにつながる総合事業の「対象弾力化」を撤回するよう求めるべきです。また、本区の総合事業の低い報酬単価の引き上げを求めます。伺います。

 介護職員の処遇改善についてです。
 いま、コロナ禍のもと、エッシェンシャルワークを充実させ、ケアに手厚い社会が求められています。介護従事者は、自らコロナに感染しないか、利用者に感染させないか、不安と緊張の中、ストレスを蓄積しながらも、利用者の生活を支えるために働いています。
 しかしながら、介護労働者の平均賃金は全産業平均より月10万円も低く、さらに長時間・過密労働など劣悪な労働環境にあります。昨年度、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善が行われましたが、介護現場からは「職員全体の賃上げにはならない」との批判が出ています。ケアマネジャーや事務職員を含め、介護職員全体の処遇改善を図るため、介護報酬の抜本的な増額、底上げとともに、利用者の負担増に跳ね返らないよう国庫負担割合の引き上げを国に強く求めるべきです。伺います。

 特養ホームの整備についてです。
 「特養ホームに申し込んだが2年待っても入れない。もう限界です」との声が寄せられています。特養ホームの待機者は、1400人を超える一方、入所できた人は年間300人程度となっており、施設整備は待ったなしです。長期計画では、3施設の整備を掲げていますが、それだけでは足りません。施設整備には用地を確保した後、最低でも3年を要します。用地の確保について、現在、目ぼしい用地はあるのか、全庁挙げて整備促進すべきです。取り組み状況を含め伺います。

 重度の介護高齢者への送迎支援についてです。
 区は昨年3月、年間延べ800人が利用していた重度の要介護高齢者が特養ホーム短期入所を利用する際の送迎費助成を「都の補助金が打ち切られた」などを理由に廃止してしまいました。
 この助成事業は、ストレッチャーを利用し、介助がなければ車両の利用なしにショートステイに行けない方を支援するもので、まさに命綱となっていたものです。
 この送迎助成をやめたことで、一気に往復約2万円もの自己負担が発生し、短期入所をあきらめたり、回数を減らさざるを得なくなっています。重度の要介護高齢者と家族の負担を軽減するため、送迎費助成を復活すべきです。見解を求め、質問を終わります。

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(堀田福祉部長の答弁)
 次に、介護保険についてのご質問にお答えします。
 まず、第8期の保険料についてです。
 本区の後期高齢者人口は増加しており、これに伴い、今後介護サービス需要も増加する見込みであります。
 介護保険制度を持続的に維持するためには、高齢者に一定の負担を求めることは必要であり、今後の介護サービスの給付増を考えると、保険料の上昇を避けることは困難であります。しかしながら、これまでのように介護給付費準備基金を有効に活用し、負担軽減を図ってまいります。

 次に、総合事業についてです。
 まず、総合事業対象者の弾力化についてですが、国や他団体の動向を注視し、慎重に検討してまいります。
 次に、国に対して弾力化の検討の中止及び弾力化そのものの撤回を求めるべきとのことですが、その考えはありません。
 総合事業のサービス単価を引き上げることにつきましては、サービス内容や利用者数などを勘案し、事業の持続性が確保できるよう、総合的に検討すべきと考えております。

 次に、介護職員の処遇改善についてです。
 厚生労働省の調査では、介護従事者の平均給与の上昇が報告されており、特定処遇改善加算を取得している事業所も増加傾向にあることから、処遇改善の効果が出てきているものと考えております。
 また、国への要望につきましては、全国市長会を通じて、一層の処遇改善を図るための財政措置の拡充を求めていることから、改めて要望する考えはございません。
 次に、特養ホームの整備についてです。新規施設整備の用地確保につきましては、都有地の活用を東京都に申し入れたほか、国有地や区有地、民有地も含め、候補地の検討を行っております。また、待機者の減少に繋げるため、特別養護老人ホームあそか園及びむつみ園の移転改築により、定員の増加を図ってまいります。
 これまでも特別養護老人ホームの整備につきましては、全庁連携の上、整備候補地の検討等に取り組んでおり、今後も、より一層の連携を図りながら着実に整備を進めてまいります。
 次に、重度の介護高齢者への送迎支援についてです。平成30年度まで実施しておりました法人立施設短期入所送迎助成事業につきましては、短期入所を実施している区内14施設のうち半分程度の利用に留まっていたことや、短期入所利用者のうち1割程度の方のみの利用であったことなどから、事業の見直しを行ったところです。
 移動において車いすやストレッチャ―が必要な方の短期入所への送迎につきましては、基本的には、各施設の送迎体制において対応するものと考えており、現在のところ、助成の復活について検討する考えはありません。
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区議団ニュース2020年11月号

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2020年第3回定例会―赤羽目たみお議員

日本共産党江東区議団を代表し大綱4点質問します。

  1. 区民のくらしと営業を守ることについて
  2. 新型コロナウイルスの検査体制の拡充等について
  3. 防災対策について
  4. 教育問題について

第1は、区民のくらしと営業を守ることについてです。

 今年4月~6月期のGDPは、年率換算で28・1%も落ち込み、3四半期連続のマイナスです。新型コロナの影響が出る以前からマイナスとなっており、消費税を10%に引き上げて大打撃を受けているところに、新型コロナが襲ったその結果です。
 消費税の大増税は、重大な経済失政だったのではないでしょうか。
 日本経済はこれまで、内需と家計を犠牲にして、大企業優先、外国頼みでしたが、これがどんなに脆弱か明らかになりました。
 GDPの6割を占める内需と家計、中小企業に、経済政策の軸足を移すべきです。そのための決定打は、消費税減税です。新型コロナで苦しむ所得の少ない方、中小事業者にとって一番の支援になり、消費を活発にする決め手になります。
 今こそ消費税減税を求めるべきです。伺います。

 新型コロナ感染拡大の影響で仕事を失う方や生活困窮者が増える中、国は、10月から生活保護費を削減するとしています。
 今でさえ厳しい保護利用者のくらしに追い打ちをかけるもので容認できません。
 国に生活保護費の削減中止を求めるべきです。伺います。
 江東区の住居確保給付金、8月末の申請件数は837件、これは昨年の42倍へと激増しています。新型コロナ対策の「生活福祉資金」の貸し付け事業に、1万件を超える相談が寄せられており、申請件数は5千件以上と殺到しています。
 今後も景気や雇用回復の見通しが立たず、生活保護利用者は急増すると思われます。
 生活保護は国民の権利であることを周知するとともに、受給者の増大に対応できるようケースワーカーの増員を図る等、福祉事務所の体制を強化すべきです。伺います。

 商店の倒産や廃業が相次いでおり、さらなる支援が必要です。
 江東区が事業者を対象に実施している持続化支援家賃給付事業の支給決定は、当初見込みの3割にも満たない状況です。
 申請者の住所が区外にある場合や、親族間の賃貸契約も支給対象に加えるとともに、家賃だけでなく駐車場代やリース料等の固定費についても支給すべきです。また、申請期限をさらに延長するよう求めます。伺います。
 魚屋や精肉店、青果店の店舗改修等に助成する「生鮮三品小売店支援事業」は、利用した業者から「助かった」という声が寄せられています。
 新型コロナ感染症対策で店舗改修が必要となっていることから、区内全業種に対象を広げるなど事業を拡充すべきです。伺います。

 障害者就労施設は、コロナ禍で地域のお祭り等が軒並み中止され、また店舗販売や企業などへの出張販売も中止、製造した物品を販売する機会が減少しています。また業者からの受注作業も減り障害者に支払われる工賃等の確保が厳しい状況です。
 施設を利用する障害者から「はしの袋入れは半減、入浴剤の袋詰めは在庫の山。給料も先月の半分でした」と悲痛な声が上がっています。
 減収補填を国に求めるべきです。また、区として仕事確保と工賃への補助を行うべきです。伺います。

大綱2点目、新型コロナウイルスの検査体制の拡充等についてです。

 東京都では昨日、新たに195名の感染が発表されました。専門家は、新型コロナウイルス感染の急速な増加が懸念され、引き続き警戒が必要と指摘しています。
 新型コロナ感染症は感染力のある無症状の人が感染を拡げている特徴があります。こうした無症状の人を見つけ出し保護・隔離することが感染拡大を防ぎ、経済や社会活動を進めるカギとなります。
 そのためにPCR検査が重要です。無症状感染者は、咳等は出しませんが、唾液にウイルスがいれば、会話等でしぶきを飛ばし感染させる可能性があります。唾液や鼻の粘液にウイルスがいるかどうかを調べることが大切で、PCR検査が一番適しています。
 PCR検査を大規模に実施することは重要と考えます。区の認識を伺います。

 東京都医師会をはじめとする医療団体や専門家が、住民全体を対象としたPCR検査の実施を要請しました。これを受けて国は事務連絡を出し「感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査する」という方針を打ち出しました。しかし、検査体制を拡充する国の財政措置はなく、すべて自治体任せとなっています。
 国の責任で財政措置を行い、検査体制を拡充するよう求めるべきです。伺います。

 全国の自治体で、感染拡大を抑え込む為、独自にPCR検査体制を拡充し、広く住民への検査を実施する動きが起こっています。
 千代田区は、介護施設の全職員を対象に定期的なPCR検査を実施。世田谷区は高齢者介護施設や障害者施設、保育園、幼稚園などの職員への検査を実施します。
 江東区は、特養ホームの新規入所者や障害者施設の一部の利用者に限り、検査費用を助成する方向ですが、高齢者施設や障害者施設の全職員・利用者に対象を広げるべきです。また、保育園、幼稚園、学校などの全職員や利用者についても定期的にPCR等検査を実施すべきです。伺います。
 次に保健所体制の強化についてです。
 現在、新型コロナ感染に対応している保健予防課は、他部署からの応援も含めた臨時的人員増で対応していますが多忙を極めています。また、保健師を応援に出している部署は、虐待対応や育児支援など保健所本来の仕事が追いつかず、保健師は土日も出勤しています。そのため、過労死ラインである月80時間以上の残業が続き、保健予防課の時間外手当の予算を使い切っています。
 常勤保健師の増員をはかり保健所体制を強化すべきです。また、必要な時間外手当をきちんと確保すべきです。伺います。

 次に情報開示についてです。
 区は、検査数の把握は困難として新規陽性者の公表に止まっていますが、すでに都内14区市では検査数、陽性率が明らかにされています。
 情報を公開することは、区民と共に感染予防対策に取り組む上で重要です。
 江東区としても、医師会や区内医療機関に協力を求め、日ごとのPCR検査数、陽性率などを公開すべきです。伺います。

大綱3点目は防災対策についてです。

 激甚化する自然災害への防災対策は新型コロナウイルス感染の防止策と合わせて取り組むことが求められています。
 先日、主に九州地方を襲った台風10号では、新型コロナの影響で避難所の受け入れ人数を減らしたため、定員に達した避難所が相次ぎ避難所不足が問題となりました。
 区は、昨年の台風19号を受けて文化センターや、スポーツセンターを加え82カ所を拠点避難所として指定しています。しかし、避難所となっている学校の体育館は、従来350人程の収容を想定していますが、新型コロナへの対応により約3割、120人程しか受け入れができません。
 先月3砂小学校で行われたコロナ対応の避難所の開設・運営訓練では、避難者の受付段階で密となり混乱が生じることも明らかになっています。
 さらに避難所を増やすべきです。また、避難所に指定している都立高校は開設・運営する体制が確保されておらず、訓練も行われていません。学校等と連携し避難所体制を確保すべきです。伺います。
 この間、水害ハザードマップが区内全世帯に配布されましたが「見方がわからない、自分が住んでいる地域は安全なのか」と区民から声が上がっています。
自分が住んでいる地域の状況を事前にきちんと知ってもらうことは重要です。
 配布だけに留めず、密を避けて説明会を開催する等、区民への周知を強めるべきです。伺います。

 多摩市では、スマートフォンのアプリを活用して災害時の避難所の空き情報を予め知らせ、空いている避難所に行ってもらう取り組みを行っています。
 本区でも、防災アプリを活用して空き情報を知らせるなど、混乱を避ける対応を図るべきです。伺います。

 現在、障害者等の要配慮者も一旦、学校などの一次避難所に避難し、その後指定された障害者や高齢者施設など福祉避難所に移送するとしています。しかし、小・中学校の中には、トイレの洋式化やエレベーターの設置が進んでいない所も多く、また、支援する人員が配置されていないことから、「避難したくてもできない」と声が上がっています。
 一次避難所と同様に福祉避難所に直接避難できるよう、避難所体制の見直しを図るべきです。伺います。

 次に災害時の情報伝達についてです。
 区は、災害時に必要な情報が得られるよう、防災・備蓄ラジオを全世帯に配布しています。ラジオが届いた区民から、レインボータウンFMの放送が聞こえないという声があがっています。
 難聴地域を調査し中継アンテナを増設することや、災害時には、現在の出力20ワットから100ワットに出力を上げて放送ができる臨時災害放送局の開設・運用を検討する等、災害情報が住民に伝わるよう改善を図るべきです。伺います。

大綱4点目、教育問題についてです。

 いま、子どもたちは、コロナ感染に怯え、学習の遅れや進路への不安、部活動の制限、夏休みの短縮など、かつてない不安とストレスを抱えています。
また、学校再開後、教室は蜜の状態に戻されました。40人学級では感染予防の為の十分な距離を確保できない事が課題となっています。教育委員会はどのように対応しているのか、伺います。

 新型コロナ対応の分散登校を経験した子どもたちから「勉強が楽しくなった」という声があがり、教員からも「子ども一人一人の表情がよくわかる」と少人数学級の良さが実感となって広がっています。
 少人数学級は子どもたちを新型コロナから守ると同時に、子どもに行き届いた教育条件と考えますが、区の見解を伺います。

 全国知事会長、全国市長会長、全国町村会長の3者連名で緊急提言を出し、少人数編成を可能とする教員の確保を国に要請しました。さらに、国の諮問機関である中央教育審議会も新型コロナ感染を防ぐため、少人数学級を可能とする指導体制等を求めています。
 今こそ少人数学級を進めるべきです。国と東京都に対し、教員と教室を増やす予算措置等を求めるべきです。伺います。

 教職員はコロナ禍のもと、授業内容の見直しや校内の消毒など負担が増えています。学校主事など、感染防止のための人員を増配置すべきです。
 また、テストの採点やプリントの配布・回収等を補助するスクールサポートスタッフを全校に配置するとしていますが、未配置の学校が20校も残されています。全校配置を急ぐべきです。伺います。

 教育委員会はICT教育の推進として、小・中学生に、一人一台のタブレット端末の配布を検討しています。
 ICTの活用を否定するものではありませんが、導入時に巨額な費用がかかり、ランニングコストは全て区の負担になることや全家庭でWi-Fi環境が整備されていない中、学びの格差が拡大してしまうこと。さらに、タブレット使用による子どものネット依存症や目などへの健康被害など様々な問題が指摘されています。
 こうした問題にどのように対応するのか、伺います。

 子ども一人一人の成長を支えるには、教員がそれぞれの学びや生活に寄り添い応答することが必要です。これは教員と子どもとの人格接触を通じて成立するという、教育の原点そのものです。
 ICT教育は専門家や教職員、保護者の声も聴きながら慎重に検討を重ねることが必要と考えます。教育委員会の見解を伺い、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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答弁:くらしと営業について

 区民の暮らしと営業を守ることについてのご質問にお答えします。
 まず、消費税問題についてです。消費税減税を求めるべきとのことですが、消費税については、その増収分を幼児教育・保育の無償化や保育士及び介護人材、障害福祉人材の処遇改善に活用するほか、年金生活者支援給付金の支給を行うなど、将来を見据えた全世代型の社会保障制度への転換と、財政健全化を確実に進めることを目的とするものであり、減税を国に求める考えはありません。
 次に生活保護についてです。国に生活保護費の削減中止を求めるべきとのことですが、生活保護基準は、国が物価水準等を調査、検討し、審議されたものであり、中止を国に求める考えはありません。
 また、生活保護制度の周知については、既にホームぺ―ジ、区報等で実施しており、今後も、様々な機会を通じて周知に努めてまいります。さらに、福祉事務所の体制強化については、全庁的な組織及び人員計画の中で、今後の業務の質・量等を勘案しながら、検討してまいります。
 次に、区内業者への支援についてですが、持続化支援家賃給付事業につきましては、国や都の対策も含め、手厚い支援が受けられる環境が整ってきたと考えており、本区事業の再度の延長や拡大は考えておりません。
 また、生鮮三品小売店支援事業における店舗改修費の全業種への拡充についてですが、新型コロナウイルス感染症対策としての店舗改修費は、既に都において業種を問わず、助成制度が創設されております。
 本区では、産業会館で相談窓口を開設しており、国や都の制度も含め、丁寧な対応に努めることで、引き続き効果的な支援を行ってまいります。
 次に、障害者施設への支援についてです。まず、障害者就労施設の減収補填についてですが、国では、就労継続支援B型の基本報酬の算定区分について、前年度ではなく前々年度の平均工賃を適用することもできるとしていることから、国に減収補填を求める考えはありません。
 また、障害者就労施設の仕事確保と利用者の工賃補助についてですが、区では、「るーくる」における商品販売機会の拡大や企業からの発注情報の提供などにより、継続的に仕事確保と工賃確保に向けた取組を実施しており、利用者に対し工賃補助を行う考えはありません。

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答弁:新型コロナウイルスの検査体制の拡充について

 新型コロナウイルスの検査体制の拡充についてのご質問にお答えいたします。
 まず、PCR検査についてです。
 本区では、PCR検査は、症状のある方や濃厚接触者に対して実施しております。検査陽性者を速やかに発見し、医療機関へつなぐことが本検査の目的であり、現時点において、PCR検査を大規模に実施する予定はございません。
 国の財政措置支援につきましては、これまでも国や都の補助金の活用を視野に入れて、PCR検査の体制を整備してまいりました。引き続き、国に対して、財政措置を求めてまいります。
 また、高齢者施設などの全職員や利用者に対するPCR検査につきましては、行政検査の趣旨に合わないため、実施する予定はございません。
 次に、保健所体制の強化についてですが、保健所における新型コロナウイルス感染症対応において、保健師は、電話相談対応、PCRセンター運営、患者搬送、濃厚接触者の健康観察、積極的疫学調査、他団体や病院との連絡調整など、多岐に渡る業務に従事しております。
  現在の保健師体制は、保健予防課職員のほか、保健相談所等からの応援体制を組むとともに、会計年度任用職員の活用や電話相談窓口の民間委託などにより、保健師の負担軽減と、感染症拡大防止に重要な積極的疫学調査に重点的に人材を充てております。引き続き、民間活力の活用を検討してまいります。
 なお、時間外勤務につきましては、縮小に努め、手当につきましても、適切に執行管理してまいります。
 次に情報開示についてです。
 区内におけるPCR検査数及び陽性率についての公開ですが、PCR検査については、区がPCRセンターなどで実施しているほか、発熱外来を設置している医療機関や、東京都と契約している医療機関で行政検査を実施しております。
 医療機関で実施しているPCR検査の実施状況については、東京都が把握し、東京都全体の日別の状況を公開しております。区として、区内医療機関から情報を収集し、公表することについては、医療機関の負担を増すことになります。現下の医療機関の感染症対応の状況を踏まえると、検査数についての協力を求める状況にはないものと考えております。
 情報発信の在り方については、引き続き、個人情報の保護に留意しつつ、検討してまいります。

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答弁:防災対策について

 次に、防災対策についてのご質問にお答えします。
 まず、避難所の確保等についてのうち、避難所の増についてです。区では現在、拠点避難所である区内の小中学校等におきましては、体育館に加え、教室の活用について、検討を進めております。
 また、文化センターやスポーツセンターといった区施設の活用を図るなど、避難所の拡充を進めております。他方、避難所の拡充には、新型コロナウイルス感染症への対応に伴う物理的制約や人員配置上の課題があります。区民に対しては、避難所への避難以外の選択肢として、自宅での「在宅避難」や親戚・知人宅への「縁故避難」も検討していただくよう、区報で周知しております。
 次に、都立高校との連携による避難所の確保についてです。都立高校は、地域防災計画上、指定避難所となっておりますが、連絡体制の構築や従事職員の配置等について検討を進めているところであります。
 次に、水害ハザードマップについてですが、今後、区が行う防災講話の中で、ハザードマップの活用方法や、ハザードマップを踏まえた避難などについて、引き続き、説明してまいります。
 次に、防災アプリの活用についてですが、本年7月に防災アプリを改修し、こうとう安全安心メールの掲載内容を連携表示することで、避難所情報を発信できるよう機能を拡充しております。
 次に、福祉避難所についてですが、地域防災計画上、福祉避難所は、自宅や避難所での生活が困難で、介護などのサービスを必要とする高齢者や障害者等の要配慮者を一時的に受け入れ、保護するための施設として位置付けております。
 このため、まずは拠点避難所で受け入れ、避難所での生活の可否を確認したうえで、避難所での生活が困難な方を優先して福祉避難所へ移送することとなり、引き続き、現在の計画に基づき対応してまいります。
 次に、災害時の情報伝達についてです。まず、難聴地域を調査し中継アンテナを増設することにつきましては、ラジオの聞こえ方は、受信場所周辺の建物の配置状況に影響されることもあり、地域の特定は難しいものと認識しております。
 また、臨時災害放送局につきましては、災害時に市町村によって開設される臨時の放送局で、総務省が管轄しておりますが、東京区においては、電波利用が乱立しており、出力を上げての放送は、他の放送局との干渉が発生することから、現状、難しいものと認識しております。

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答弁:教育問題について

 次に教育問題についてのご質問にお答えいたします。まず、少人数学級についてのお尋ねのうち教室における感染防止の対応についてです。各学校では江東区立学校感染症予防ガイドラインに基づき、密室空間にならぬよう常に換気を行い、座席の間隔を空けるとともに、話し合い活動は一定の距離を保ち回数や時間を絞るなど工夫して対応しております。
 なお、分散登校時における少人数での学級運営は、コロナ禍でのこどもたちの不安感にもきめ細かく寄り添うことができ、このような状況下では有効な手立てであったと認識しております。
 また、少人数学級を進めるべきとのお尋ねですが、現在、都からの加配教員に加え、本区独自に任用した講師の活用や柔軟な教室利用により少人数指導を行っているところですが、特別区教育長会でも要望を出しているところであり、引き続き国や都の動向を注視していく必要があると考えております。
 次に、教員の負担軽減についてです。コロナ禍における消毒等による教員への負担ですが、国により消毒の簡素化が示されたこと等から、区としても軽減に向けてガイドラインの改定を行いました。コロナ対策としては、現在の人員での対応で可能と考えております。
 また、スクールサポートスタッフについては、大規模校など学校規模に応じた増員も行っており、引き続き、全校配置を目指してまいります。
 次に、ICT教育についてですが、コロナ禍において、オンラインによる学習は、こどもたちの学びを止めないために不可欠であり、本区では現在改定を進めている第2期教育推進プラン江東に位置付け、一層の取り組みを進めていく考えであります。このことにより学びの格差や健康被害等の問題が生じるとのご指摘ですが、通信環境が整わない家庭には、ルーターの貸与等を行うとともに、学習を進めるにあたっては、保護者と連携しながら教員が適切な支援を行っていくため、学びの格差は生じないものと考えております。また、タブレット使用による健康被害については、国がGIGAスクール構想を構築する段階で、専門家より健康上の問題はない旨の回答を得ております。区としてもタブレット端末を使用しない時間や、適切に休憩をとることなどで対応するとともに、家庭での活用についても保健指導等を通して対処していく考えであります。
 また、ICT教育を進めるにあたり、様々な意見を聞きながら進めるべきとのことですが、本区で進める新しい学びのスタイルは、タブレット端末を活用しながら双方向のコミュニケーションを深めていくことを考えており、主体的、対話的で深い学びの推進につながるものと考えています。今後、GIGAスクール構想の取組を進めていくことにより、授業作りの在り方を含め、こどもたちの学習が大きく変わっていくことから、区としても、さらに研究を進め、学校、家庭とも十分連携しながら取組を進めてまいります。

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区議団ニュース2020年7月号

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2020年第2回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区義団を代表し、新型コロナウイルス感染症対策について質問を行います。

  • 新型コロナウイルス感染症対策について
    1. 検査・医療体制の拡充について
    2. 中小企業支援について
    3. 生活支援について
    4. 高齢者・障害者施設への支援について
    5. 子育て支援・教育について
  • 本会議 答弁

 はじめに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方に、お悔やみを申し上げるとともに、今なお治療中の方にお見舞い申し上げます。そしてこの間、患者の治療に奮闘されている医療関係者の皆さん、保健所をはじめとした区の職員の皆さん、保育や介護などエッセンシャルワークに携わる皆さんに心から感謝申し上げます。
 
 わが党はこの間、区内中小業者、介護や障害施設への聞き取りを行うとともに、区民の皆さんから寄せられる声をもとに、検査体制の拡充、暮らしの支援など区長に求めてきました。緊急事態宣言は解除されましたが、東京では再び新規感染者が増加し、区民の暮らしの厳しさも増しています。区として、さらなる対策が必要だとの立場から、以下質問を行います。

第一に、検査・医療体制の拡充についてです。
 東京都の新型コロナウイルスの感染者数は、5408人。江東区では229人と報告されていますが、日本のPCR検査数は世界と比べて極端に少なく、実際の感染者は、陽性確認者の10倍はいると指摘されています。
 感染拡大防止と経済活動再開を両立させるためにも、検査数を抜本的に増やし、感染の全体像を把握することが不可欠だと思いますが、区の見解を伺います。

 全国の医療機関や介護施設で集団感染が発生しています。区内の北砂ホームでは、入所者・職員合わせて51名が感染し、入所者5名がお亡くなりになりました。
 症状がある方のPCR検査を速やかに実施することはもちろんですが、基礎疾患を持ち、感染すると重症化する高齢者や障害者施設の利用者、職員、また子どもたちが集団生活を行う保育園や学校の教職員、さらに、薬の飲めない妊婦に対して、区独自にPCR検査や、より簡易な抗原検査などを実施すべきではないですか。伺います。
 
 江東区では、4月23日から区医師会の協力のもと設置された、PCR検査センターでの検体採取がスタートしましたが、検査センターには独自の事務局体制がなく、区の保健所に設置された帰国者・接触者センターで受付を行っています。
 保健所の負担軽減と検査数の増加に対応できるよう、保健所を通さずに検査できる体制にすべきではないですか。伺います。

 秋には、インフルエンザや風邪が流行し、新型コロナウイルスの患者との区別が困難になります。発熱などの症状のある患者が直接受診できる発熱外来の設置が求められます。
 医療機関が発熱外来を設置・運営するための設備や防護服等の確保に対して、財政支援を行うとともに、医師会と協力して、区として発熱外来を設置し、PCR検査センターと連携して検査を実施する仕組みを作るべきではないでしょうか。伺います。

 区は、感染拡大に対して、保健予防課の保健師だけでは対応できず、他の業務に携わる保健師や臨時雇用を行うなどして対応してきました。
 そもそも保健所では業務量の増大で平常時でも残業が常態化しており、職員組合からは今年度9名の保健師の増員要求がありましたが、3名しか増員されていません。
 常勤の保健師や医師を増員するなど職員体制の拡充が必要ではないですか。伺います。

 現在、PCR検査などに携わる職員の特殊勤務手当は、1日わずか270円です。
 感染の危険と隣り合わせで業務を行う職員の特殊勤務手当を大幅に増額すべきではないですか。伺います。

 江東区の感染症マニュアルでは、感染者情報の公開について、人数だけではなく年齢や性別などを公表することになっています。しかし現在は、東京都が発表する感染者数しか公表していません。墨田区では、感染症法に基づくものであることを明記し、プライバシーへの配慮を求めた上で、区独自の感染者情報を開示しています。
 区民に適切な行動を促す上で、感染症マニュアルに基づき、情報を公開すべきではないですか。伺います。

 感染症対策における公立・公的病院の役割は重要です。感染症病床全体の約9割を公立・公的病院が担っており、東京都でも新型コロナウイルスの感染者を真っ先に受け入れたのが、都立墨東病院や公社荏原病院です。
 感染症対策における公立・公的病院の役割について、区はどのように認識しているのか伺います。

 政府は、公立・公的病院の統廃合で20万床もの病床を削減する「地域医療構想」を推進しようとしています。東京都も「新たな病院運営改革ビジョン」を決定し、財政削減のために都立病院・公社病院の民営化を進めようとしています。効率性や経済性が優先されれば、感染症や難病、災害医療といった行政的医療を担うことができなくなります。
 公立・公的病院の統廃合、都立病院の民営化は中止するよう国や都に求めるべきではないですか。伺います。

第二に、中小企業支援について伺います。
 区内経済と区民の暮らしも深刻な打撃をうけています。区内の商店からは、「いつまで持つかわからない」など悲痛な声が寄せられています。
 わが党も提案してきた中小企業への家賃補助が実施されることになりましたが、さらなる支援が必要です。

 新型コロナウイルス特別融資については、感染の長期化に対応するため、利子負担をなくし無利子にするとともに、返済期間を延長すること。また、小規模事業者特別融資など既存融資の利子補助を引き上げるとともに、借り換え融資を創設すべきだと思いますが、伺います。

 中小零細業者からは、家賃だけではなく機械のリース料や仕事で使う自動車の駐車場などの固定費への支援を求める声が寄せられています。
 区の家賃補助については、家賃以外の固定費にも当てられるよう補助対象の拡充を行うよう求めます。伺います。

第三に、生活支援について伺います。
 コロナ解雇が全国で1万人を超えていると報道されています。先日は、「建設現場の仕事がなくなり1週間野宿をしていた」という方から相談が寄せられました。今後さらに生活に困窮する方が増加していくことが懸念されます。

 1人10万円の特別定額給付金の郵送での申請が始まり、6月中旬には振込が行われます。生活保護を受けている方からは、本人確認の添付書類がわからないなどの相談も寄せられています。
 生活保護受給者、住民基本台帳に登録されていない方、DVや虐待被害者、そして高齢者、障害者などにもきちんと給付が行われるよう、きめ細かな対応を行うべきだと思いますが、伺います。

 住居確保給付金は、5月末までで1427件の相談がありました。そのうち275件の申請がありましたが、73件が未処理となっており、支給までに時間がかかっています。
 職員を大幅に増員し、速やかに給付すべきです。伺います。

 また、社会福祉協議会が受付窓口となっている緊急小口資金の相談は、約3800件、申請は2000件にのぼります。区民からは「電話が繋がらない」との声が寄せられています。
 職員や電話回線を増やすための補助を行い、相談体制を拡充すべきではないですか。また、労金や郵便局でも申請が行えることについて区報等使い、周知すべきだと思いますが、伺います。

 国民健康保険加入者が新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触で仕事を休まざるを得なくなった場合に、傷病手当金が支給されることになりましたが、対象は給与所得者に限定されています。感染した時に誰もが安心して休める環境を整備することは重要です。
 自営業者やフリーランスも傷病手当金支給の対象とすべきではないですか。伺います。

第四は、高齢者・障害者施設への支援についてです。
 高齢者の介護施設や障害者の福祉施設などでは、利用自粛で、施設の収入が大幅に減っています。区内のリハビリ等を行う介護施設では、この間700万円から800万円も減収。障害者の就労支援施設は、地域の会社からの仕事が大幅に減り、利用者への工賃も払えない状況です。
 国は通所施設に対し、利用者に電話することで通所と同じ報酬を支払う「代替措置」を実施していますが、放課後等デイサービスの職員からは、子どもが通所できず、ただでさえ大変な保護者の負担となり、実態に合わないとの声が上がっています。
 区は、介護事業所や障害者施設に対し、最大で50万円の補助を行うことになりましたが、1回限りの補助では不十分です。高齢者、障害者の暮らしを支える福祉施設の事業が継続できなくなることは、何としても食い止めなければなりません。
 前年同月と比べ減収となった分について補助するなど、支援を拡充すべきです。伺います。

 また、電話での「代替措置」を行なった場合、利用者は通所しなくても利用料の支払いが発生します。
 区として利用者の自己負担分を補助すべきです。伺います。

 集団感染が発生した北砂ホームでは、職員31人が自宅待機となり、入居者80人に対し勤務できる職員は6人しか残りませんでした。北砂ホームは、同じ法人の運営する特養や病院、系列病院のサポートで、なんとか介護を続けることができましたが、小さな事業者では、介護崩壊になりかねません。
 入所施設で集団感染が発生し、職員の多くが仕事に従事できなくなった場合、区として職員の確保など支援を行うべきではないですか。伺います。

最後に、子育て支援・教育について伺います。
 新型コロナウイルスによって格差と貧困が一層広がっています。政府は第2次補正で、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当の増額を行うことになりました。
 区としても児童育成手当の増額を行うべきではないですか。伺います。
 また、教育費の負担を軽減する就学援助については、前年所得にかかわらずコロナの影響で所得が減少した世帯についても対象とすること、そして給食費補助については、休校期間中についても昼食費として支給するべきではないですか。伺います。

 臨時休園となっていた認可保育園は、6月1日から再開され、現在は「登園自粛要請」が出されています。再開を歓迎する一方で、免疫力も弱く、自ら手洗い・うがいなどができない乳幼児の感染を心配する声も寄せられています。
区として、新型コロナウイルスに対応する感染防止の「ガイドライン」を策定し、保育園への指導を行うべきではないですか。伺います。

 江東区では現在、育児休業を取得している保護者の復職期限を8月第2週まで延長していますが、足立区や港区などでは、すでに10月まで大幅に延長しています。
 保育園では3密は避けられず、感染対策で保育士たちの負担も増大しています。復職期限を延長すれば、保護者も安心して登園の自粛が可能となり、保育士の負担も軽減できます。
 江東区でもさらに、復職期限を延長すべきではないですか。伺います。

 小中学校も6月1日から再開されました。3ヶ月にもわたる休校で、子どもと保護者は疲弊し、教職員も経験したことのない負担と混乱の中に置かれています。
 何より長期に授業がなかったことは、子どもの学習に相当の遅れと格差をもたらしました。
 一人ひとりの子どもに丁寧に教えるとともに、学習が遅れた子どもへの個別の手立てが必要です。また、学習の遅れを取り戻すためだからと教科書全てを駆け足で消化するようなやり方、夏休みや冬休みのむやみな短縮、子ども達の成長に必要な行事の安易な削減を行うべきではないと考えますが、見解を伺います。

 現在区は、学年ごとに曜日を決め、なおかつ1クラスを2つに分けるなどして少人数での授業を実施しています。しかし今後、40人学級に戻れば、感染拡大防止のための「身体的距離の確保」を取ることは難しくなります。
 子どもへの手厚く柔軟な教育のためにも、感染症対策のためにも、教員を大幅に増やし、引き続き20人程度の授業が行えるようにすべきです。伺います。 

 長期の休校や外出自粛、感染への不安など、子どもたちは様々なストレスをため込んでいます。
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員し、子どもたちの心のケアをしっかりと行うべきだと思いますが、伺います。

以上見解をうかがい、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

2020年第2回定例議会・本会議 答弁

(1)検査・医療体制の拡充について

 次に、検査・医療体制の拡充についてのご質問にお答えいたします。
 まず、感染拡大防止と経済活動再開を両立させるためのPCR検査の拡充についてですが、東京都が示したロードマップでは、「迅速に検査を受けられる体制の充実」を掲げており、区としても、関係機関と連携し、必要な方が迅速に検査を受けられる体制整備に努めているところであります。
 また、高齢者、障害者施設の利用者・職員、保育園・学校の教職員、妊婦へのPCR検査についてですが、国は、5月末に、都道府県等に対して、濃厚接触者と検査を希望する妊婦については、症状のない方についても検査の対象とする旨を通知しており、引き続き、必要な方の検査を実施してまいります。
 次に、PCR検査センターの体制拡充についてです。現在も、東京都の指定医療機関については、保健所を介さなくともPCR検査を実施することができます。医師が検査を必要とした場合には、直接、都の指定医療機関に連絡することにより、多くの検査が実施されております。
 また、発熱外来の設置についてですが、現在、都の指定医療機関がこの外来を担っておりますが、これは、感染拡大防止対策が十分に施されている医療機関であり、区独自でこのような外来を設置することは、現段階で困難なため、今後の検討課題とさせていただきます。
 次に、保健師・医師の増員についてですが、保健師については、平時における事業に必要な職員数を配置しております。今回の対応では、啓発事業などの延期、中止や、集団健診などの実施方法の見直しにより、感染症に関する電話相談体制を強化しております。医師については、東京都全体で公衆衛生医師が不足している状況ではありますが、今回の感染症対策においては、非常勤医師を採用し、必要な医師の確保に努めたところでございます。
 また、職員の特殊勤務手当の増額については、国や都、他区の支給状況等を踏まえて、適切な手当額を支給してまいります。
 次に、感染者情報の公開についてですが、患者の中には、周囲に感染したことを知られたくないとの思いから、年代、性別についても、個別の公表を拒む方がおられます。感染症患者の情報については、人権等の観点から、特に慎重に取り扱う必要があり、区内発生の個別の公表については考えておりません。
 次に、感染症対策における公立・公的病院の役割についてですが、今回の感染症対応にあたり、東京都は、4月には、都立公社病院を中心に、民間医療機関の協力も得て、3,300床の病床を確保したとしており、今後についても、ロードマップにおいて、都立公社病院を中心とした病床の確保を掲げています。引き続き、都立公社病院における感染症対応を期待しているところであります。
 また、公立・公的病院の統廃合及び都立病院の民営化の中止については、国は、公立・公的医療機関等の将来に向けた担うべき役割などについて、地域医療構想調整会議での議論を求めております。また、東京都は、医療を取り巻く環境の変化に対応するために、都立病院の経営形態について検討するとしております。区としては、引き続き、これらの動向を注視してまいります。

(2)中小企業支援について

 次に、中小企業支援についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、融資制度の拡充についてです。本区の新型コロナウイルス感染症対策資金は、返済期間が最長六年でも二年目以降の利子負担が0.3%と大変に低く、ゆとりをもった返済ができる制度として実施しております。
 その他既存の融資資金につきましても、一定の利子補助や信用保証料補助を行っており、現時点で変更の予定はありません。
 次に、「持続化支援家賃給付金」の支給対象の拡充についてです。給付の対象につきましては、固定費の中でも大きな割合を占める家賃を給付の対象とすることとしました。その他固定費等につきましては、国の持続化給付金等を活用していただきたいと考えております。

(3)生活支援について

 次に、生活支援についてのうち、特別定額給付金についてであります。
 住民基本台帳に登録されていない方については国の指針等に基づいて対応しております。また、配偶者からのDVにより本区に避難されている方や、虐待被害者の方には申出書等に基づき、個別に対応することで、確実に支給できるよう特段の配慮を行っております。さらに、障害者や生活保護受給者などの方々についても関係部署と連携し、的確に支給できるよう丁寧に事務を進めております。
 次に、住居確保給付金についてでありますが、新たに郵送申請の受付を行うとともに、課内で応援体制を構築した結果、五月末時点で申請件数二七四件のうち、二〇〇件の支給決定を行ったところであります。今後も応援体制等を継続してまいりますので、職員の増員は考えておりません。
 次に、緊急小口資金についてでありますが、区の補助金については、社会福祉協議会で柔軟に執行できるように対応しており、増額する予定はありません。
 また、労働金庫等での申請については、六月十一日付区報で周知を図ってまいります。
 次に、国民健康保険の傷病手当金についてであります。
 傷病手当金については、国は、他の健康保険制度との均衡を図る観点から、支給対象者を給与等の支払いを受ける被用者としております。本区においても、対象者を国と同様としているところであり、現時点において、対象者を拡大する考えはありません。

(4)高齢者・障害者施設への支援

 次に、高齢者・障害者施設への支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、減収分への補助についてであります。現在、区独自の緊急支援事業を実施しており、国や都の新たな支援事業も予定されていることから、その動向を注視してまいります。
 次に、利用者自己負担分への補助についてであります。通所自粛中における電話での安否確認や相談支援等は利用者の健康管理や生活の質を維持するためのものであり、一定の額の自己負担はやむを得ないものと認識しております。このため、利用者の自己負担額に対して、区が独自に補助を行う考えはありません。
 次に、集団感染発生時の支援についてであります。区といたしましても、集団感染が発生した施設に対して、一定の支援が必要になると認識しております。そのため、今後早急に介護事業者の団体と協議し、集団感染発生時における事業者と区の役割について整理することとしております。

(5)子育て支援・教育について

 大嵩崎かおり議員のご質問にお答えします。
 新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 まず、子育て支援・教育についてのご質問のうち、経済的支援についてでありますが、国のひとり親世帯臨時特別給付金は、現行の児童扶養手当に相当する支給額に加え、支給対象を拡大するなど、ひとり親世帯に配慮したものとなっております。このため、お尋ねの児童育成手当の増額は考えておりませんが、今後も国や都の支援策を注視しながら、子育て支援の充実を図ってまいります。
 また、就学援助における収入が減少した方への認定と、臨時休業中の給食費相当額を準要保護者へ支給することについては、国からの通知も踏まえ、対応する準備を進めているところであります。
 次に、保育所の新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインの策定についてですが、本区ではかねてより厚生労働省の「保育所における感染症ガイドライン」や通知等に基づき、基本的な対策を講じております。また、保育園の再開にあたっては、職員・園児の健康管理、行事運営及び保育活動等に関する留意点を取りまとめ、既に各園に通知したところであり、引き続き保育園における感染拡大防止に努めてまいります。
 次に、育児休業を取得している保護者の復職期限の延長についてであります。
 区といたしましては、現に保育サービスを必要とされる方との公平性にも留意すべきと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況に鑑み、復職期限の延長を図ってまいりました。
 今後につきましても、引き続き都内の感染状況等、動向を注視して判断してまいります。

 次に、学校の再開についてであります。
 はじめに、学習の遅れへの対応ですが、学校再開後しばらくは分散登校と学級を2つに分けた少人数での指導を行い、学習格差が生じないよう一人一人の学習状況を丁寧に把握しながら、理解が不足しているこどもには個別指導を進めていきます。また、こどもたちの学びの保証のためには、夏休み等、長期休業の短縮や、オンライン学習による授業の補完、行事の精選等、年間の指導計画の修正は必要と考えております。制限のある中での教育活動ではありますが、友達同士の関りなど、学校で育むべき指導については、工夫して取組んでまいります。
 次に、教員の増員についてですが、本区では、すでに、小1支援員やスタンダード強化講師など、独自に人材を確保しており、これらを少人数指導や補習等に効果的に活用することでこどもたちの学習の充実を図っております。
 次に、こどもたちの心のケアについてですが、スクールカウンセラーは、学校規模や相談件数等に応じて配置しており、更に重篤な案件についての緊急配置も行っております。
 また、スクールソーシャルワーカーは、教育推進プランに則り、順次増員を図っており、今後も適切な配置を進めてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。

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区議団ニュース2020年4月号

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2020年第1回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱4点について質問します。

  • 来年度予算(案)について
  • 江東区長期計画(案)について
  • 教職員の働き方について
  • 医療・介護について

大綱の第1は、来年度予算(案)について伺います。
 まず、政府の来年度予算(案)が区民生活にもたらす影響についてです。
 政府の来年度予算案は、消費税増税で深刻な打撃を受けている国民の暮らしや営業には目もくれず、大企業優遇と大軍拡を推し進める予算案となっています。一昨日、内閣府が発表した昨年10~12月期のGDPの速報値は、前期比1・6%減、年率換算で6.3%の減と大幅に落ち込み、消費税増税後、新たな消費不況に突入したと各方面から指摘されています。消費税増税が家計も経済も直撃し、商店は増税による売り上げ減少、複数税率による事務負担の増加など中小業者を深刻な苦境の淵に追い込んでいます。消費税増税と区民の暮し、中小業者の実態をどのように認識しているのか。伺います。
 国は、「全世代型社会保障のため」といって、消費税増税を強行しながら、75歳以上の医療費窓口負担を従来の2倍の負担となる2割への引き上げや、介護施設の入所者への食事負担の月2万円引き上げ、若い世代の人たちの年金を削減しようとしています。山﨑区長は「消費税増税は社会保障のため」と強弁してきましたが、国が実際やろうとしているのは社会保障の全面的な切り捨てではありませんか。今やるべきは消費税を緊急に5%に減税し景気回復を図ること、社会保障きりすてをやめ、充実に切り替えることです。財源は、富裕層と大企業優遇の不公平税制をただし、応分の負担を求めるとともに、米国いいなりの武器「爆買い」などのムダづかいをやめることです。住民の福祉と暮しを守るという自治体の長として、社会保障の切り捨てをやめよと国に意見すべきです。伺います。
 江東区の来年度予算(案)について伺います。
 予算案には、わが党が繰り返し求めた洪水ハザードマップと防災ラジオの全戸配布、子ども家庭支援センター増設、ヒアリングループ設置、産業実態調査の実施など一定の前進があります。しかし、施設使用料の20%値上げはじめ、保育料、学校給食費、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料など軒並み値上げをおこない、全世代への負担増を強いるものです。また、「行革」と称して、学校用務、学校警備、保育園給食調理の民間委託を進め、人口増にもかかわらず正規職員を削減します。技能職の退職不補充と民間委託による職員削減は、避難所となる小中学校に区職員が1人もいないなど、災害時の対応力の低下を招いています。昨年10月の台風19号の際、暴風雨の中、施錠された校門前で多くの住民が立ち往生しました。予算案は、住民の安全、福祉向上という自治体本来の役割を縮小・放棄するもので、「みんながつながる飛躍予算」などと言えるものではありません。区は、身近な区民館や文化・スポーツセンターなどの使用料値上げの理由について、「受益者負担、減価償却費の算入、将来の改修・改築にお金がかかる」などと説明しています。
 しかし、改修・改築の経費は、すべての区民に平等に利用の機会を提供するための費用であり、本来税金で賄うべきものです。安易に受益者負担の考え方を拡大することは、各施設の本来の理念にも反するものです。減価償却費を算入しない政策的判断も含め、施設使用料の値上げを中止すべきです。伺います。
 本区の基金は、この1年間だけでも新たに91億円を積み増しし、3月末時点の基金残高が過去最高の1457億円を見込んでいます。区民への負担増を行う必要など全くありません。ため込んだ基金の一部を積極的に活用し、区民の暮らしと営業を応援すべきです。
 防災分野では、広報車の導入、海抜表示板の設置、感震ブレーカ設置補助、木造家屋の簡易耐震改修費補助の実施を求めます。子育て・教育分野では、こどもの貧困が深刻化し、経済的支援が急務です。保育料の値上げ中止、就学援助の拡充、学校給食費の無料化をおこなうほか、子ども医療費助成を18歳まで広げることを求めます。福祉・医療分野では、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を求めます。放課後等ディサービス・児童発達支援等の利用料負担の軽減、標準数に不足する福祉事務所ケースワーカーの増員、感染症対策、中高年のひきこもり、虐待対応等の業務量増大に伴う保健師の増員を求めます。中小企業分野では、予算全体に占める中小企業振興予算はわずか0・9%です。仕事確保と地域経済活性化にむけ、住宅リフォーム助成、店舗改修等助成の拡充、融資の利子補助拡大、公契約条例の制定を求めます。これらの施策は、一般会計予算案のわずか1・2%、約27億円で実現できます。緊急切実な区民要望を踏まえ、一般会計予算案の組み替えを求めます。伺います。

(山﨑孝明区長の答弁)
 正保幹雄議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案についてのうち、消費税の増税と区民生活についてであります。
 現在の経済状況は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される状況である一方、海外経済の動向や新型コロナウィルスの感染拡大による経済活動への影響、消費税率の引き上げ後の消費者マインドの動向には留意する必要があると考えます。
 また、本区においても一部個人消費に厳しい側面があるものの、中小企業の状況は、横ばい傾向であると認識いたしており、納税義務者の所得は引き続き改善傾向にあることなどから、総じて区民生活は引き続き安定した状態を保っているものと認識いたしております。
 次に、社会保障の削減についてですが、国は社会保障関連経費を前年度比五・一%の増としており、消費税増収分を活用した、幼児教育・保育の無償化や保育士の処遇改善を行うほか、低所得高齢者の介護保険料の負担軽減の更なる強化や予防・健康づくり事業の推進等のための交付金を創設するなど、重要課題に的確な予算配分がなされているものと考えております。そのため、消費税増税分は社会保障のために活用されていると認識しており、見直しを国に求める考えはございません。
 次に、使用料の改定についてであります。
 文化センターやスポーツ施設等の使用料は「受益者負担の原則」に基づき、施設利用者に、ご負担いただいております。
 今回の見直しにあたり、施設の老朽化により将来の改修・改築等に多額のコストがかかることを見据え、「減価償却費」を新たに維持管理コストへ算入しておりますが、改定が必要な率から大幅に圧縮するなど、激変緩和措置を行い、利用者負担への配慮も行っております。
 受益者負担の原則は、サービスを利用し、利益を受ける特定の受益者に、応分の負担を求めることで、施設を利用しない区民との公平性を確保するために妥当な考え方であることから、使用料の改定を中止する考えはございません。
 次に、一般会計予算案の組みかえについてです。
 各分野におけるさまざまな施策についてのお尋ねですが、防災、子育て、福祉や地域経済に関する何点かのご提案については、現時点で実施する考えはございませんが、民生費については、初めて一千億円を超え、区民生活を踏まえた予算編成を行っており、喫緊の課題である防災対策などにもスピード感をもって対応しておりますので、予算の組みかえを行う考えはございません。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長並びに所管部長から答弁いたさせます。

大綱の第2は、江東区長期計画(案)について伺います。
 今後10年間の本区のまちづくりの羅針盤となる長期計画(案)が示されました。計画(案)は、江東区の人口が今後5万人増え、57万人を見込み、行政需要が増大するにもかかわらず、「労働力不足による職員の減少」を口実に、ICT(情報通信技術)による効率化の推進、民間委託、職員の削減をいっそう進めるとともに、「自己責任」「受益者負担」の考えで区民に負担増を強いるものです。その一方で、大型開発は積極的に推進するものです。
 長期計画案が大前提としている国のSociety5.0と、その自治体版の「自治体戦略2040構想」は、人工知能AIやロボットなどICTを活用した「スマート自治体」をつくり、それによって、現状の半分の職員でも運営できる自治体をつくるというものです。そのために、自治体行政の標準化を図り、「広域連携」の名のもとに、「圏域行政」「道州制」目指すものです。
 全国各地で大規模な災害が多発し、自治体職員不足による災害対応の遅れが問題となっています。災害現場において人工知能AIが生身の人の命を救うことはできません。スマート自治体にアクセスできない住民の要望をだれが正確に把握することができるでしょうか。公務員の役割を積極的に見直し、憲法が規定する「全体の奉仕者」として区職員の増員をおこない、区民の生活と人権を守る質の高い行政サービスを充実していくべきす。伺います。
 結局、ICTの利活用は、公共サービスを情報関連企業の「儲けの場」として開放するものです。それによって、住民一人一人の所得や生活向上が実現する保障はどこにもありません。行政サービスの民営化と産業化の方向ではなく、地方自治体の基本的責務である「住民の福祉の増進」の立場にしっかり立つべきです。伺います。
 長期計画案は、積極的に大型開発を推進しています。
 とくに、重点プロジェクトである「臨海部のまちづくり」は、国際会議展示施設である「MICE等の誘致」をかかげ、東京都と一緒になって大規模開発を進めるものです。東京都は2012年9月、お台場地区を「東京DAIBA・MICE/IR国際観光戦略特区」に指定し、それ以降、毎年カジノ調査を実施し、IR候補地を江東区青海に絞り込んでいます。小池知事は「IRは、MICE施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されている」と述べています。IRは、カジノの高収益に依存し、「顧客を貧しくすることでしか繁栄しない」「家族みんなをギャンブル依存症に誘導する」施設であり、地元自治体にはマイナスの経済効果しかありません。住民福祉の向上が使命である自治体がカジノに手を出すなど許されません。区は、カジノ頼りのMICE施設を誘致するのですか。そうでないなら、江東区にカジノは認めないとはっきり表明すべきです。伺います。
 区は、長期計画の実現に向けて、民間委託と職員の削減を一層推進するとしています。しかし、効率化を最優先する民間委託は、委託先の労働者の低賃金と不安定雇用を拡大し、区民サービスの質を低下させています。
 区職員の削減によって、人口1000人当たりの職員数が、23区平均6人台であるのに対し、本区では4人台と極めて少ない職員で仕事をしています。その結果、長時間労働が常態化し、在職死亡や中途退職、メンタル疾患による長期休職者が増加しています。今後5年間にわたって職員定数を増やさない「定員適正化計画」を見直し、人口の急増に見合った職員の採用、技能系職員も含めた大幅な人員増を行うべきです。伺います。

(大塚政策経営部長の答弁)
 次に、江東区長期計画(案)についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、行政サービスのあり方についてです。まず、職員を増員し、質の高い行政サービスを充実することについてのお尋ねですが、区の職員数については、政策形成に関するものや、区の職員が直接執行しなければならない業務以外について、区自ら実施する場合と同程度以上のサービスが効率的に提供される場合において、民間活力を導入するなど、多様化する区民ニーズに的確に応えており、行政サービスを適切に提供できる体制は確保されているものと認識しております。
 次に、行政サービスの民営化・産業化の方向性については、アウトソーシング基本方針に基づき、指定管理者制度を導入するなど、民間事業者の専門性や柔軟なサービス提供等により、利用満足度の向上も図られており、区民福祉の増進に繋がっております。また、ICTの取り組みは区民サービスの観点から必要不可欠であると考えます。
 次に、臨海部のまちづくりについてです。
 新長期計画では、臨海部のまちづくりを重点プロジェクトに掲げ、広大な水辺・緑やスポーツ・観光等を通じ、ベイエリアの魅力を最大限に活かしたまちづくりを推進することとしております。
 一方、カジノを含む統合型リゾートであるIRについては、東京都が平成30年度に、東京にIRが立地した場合に想定される姿や期待される効果をまとめておりますが、同報告書では具体的な立地場所は示されておらず、本区に対して、青海地区にIRを整備する方針で、検討を進めているとの情報提供もございません。
 また、IRは平成30年に制定されたIR整備法において、カジノのみならず、国際会議場やホテルなどを一体整備した特定複合観光施設と定義されておりますが、新たな財源の創出や観光客の増大による地域活性化、雇用創出や経済波及効果など大きな効果が期待される一方、ギャンブル依存症の問題など社会的なマイナスの影響が懸念されているのも事実であります。
 こうした懸念に対しては、カジノへの入場制限に加え、IR整備法に規定するカジノ管理委員会が先月設置されるとともに、ギャンブル等依存症対策基本法では、国・地方自治体等の責務や、依存症対策推進本部の設置が規定されるなど、依存防止のために万全の対策を講じるよう求められているところです。
 いずれにしましても、申請主体である東京都が、「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討していく」としている段階であることから、本区としては、今後も都の動向を十分に注視してまいります。
 次に、定員適正化計画についてですが、職員数については、計画に基づき、行財政改革計画(後期)における平成27年度から令和元年度までの5年間で、職員総数は削減しているものの、事務系職員は76名増員しております。
 また、令和2年度から5年間の新たな定員適正化計画においては、今後、新たな長期計画に基づく事務事業や人口増加による行政需要が見込まれておりますが、ICTの利活用を図るなど、簡素で効率的な体制を引き続き堅持しつつ、必要な人材は積極的に確保していく方針であり、定員適正化計画を見直す考えはございません。

大綱の第3は、教職員の働き方について伺います。
 教員の異常な長時間労働の是正は急務です。区教育委員会は、昨年6月、幼稚園・小・中学校教員の在校時間を調査した結果、国のガイドラインで定める「月残業45時間」をオーバーしている教員の割合が小学校で51.8%、中学校で39.6%、過労死ラインの80時間を超えて働いている教員は237人に上ります。
 東京都教職員組合江東支部の「働き方改善アンケート」には、「もう体がもちません」「今のままでは教員の仕事をやめようと考えている」など、ギリギリの気持ちが寄せられています。教員の異常な長時間労働の実態について、認識を伺います。
 安倍政権は昨年12月、「過労死が増える」「先生を続けられなくなる」などの強い反対の声を押し切って、「1年単位の変形労働時間制」を公立学校の教員に適用可能とする法案を強行成立させました。
 この改正法は、「繁忙期」の労働時間を1日10時間限度に延長する一方、「閑散期」の労働時間を短くして年平均で見かけ上、週40時間内に収めるというものです。しかし、業務量は減らず、夏休みも「閑散期」ではないため、長時間労働に拍車をかけ、子どもたちの教育も教員の健康も脅かされると批判されています。本制度に対する区教委の認識を伺います。また、制度の適用は、恒常的な時間外労働がなく、残業月45時間という国のガイドラインを遵守することが大前提だと思いますが、伺います。
 そもそも解決すべきは、平日一日平均12時間近いという教員の異常な長時間労働です。教職員組合は「今よりもっと退勤が遅くなる」と導入に反対しています。長時間労働を固定化、助長する変形労働時間制は導入すべきではありません。伺います。
 学校現場では、授業数に比べて2割も少ない教員定数で、莫大な業務量をこなしています。先生を増やすことと、業務の大幅削減こそ必要です。教職員組合の働き方改善アンケートでも、「35人以下学級の実現」「国や都の教職員定数改善」「授業持ち時間の上限設定が必要」など、教育条件への改善を求めています。
 業務の削減では、「都と区への調査報告の縮減」「実効ある休憩時間の確保」「部活動指導員の大幅増員」「土日の地域行事の引率の廃止」と続いています。
 国と都に対し、教員の定数増とともに、全学年で35人学級の実施を強く求めるべきです。また、増加するいじめや不登校の対応などで先生たちの負担が増えています。スクールソーシャルワーカーを全校に配置すべきです。業務の削減について、国は、通知で過度な授業時間数や多すぎる研究指定授業などの削減に舵を切りました。都・区の各種調査・報告書の縮減、研究協力校事業など業務の削減・簡素化を大胆に行うべきです。学力テストは、先生たちが過労死ラインで働いても授業準備など最も確保すべき時間も取れないのに、行政が「やる必要がある」といって押しつけていいのでしょうか。学力テストの中止を求めます。法改正により、勤務時間管理は、公立学校を含め使用者の義務となりました。勤務時間の正確な把握と安全配慮を求めます。以上、見解を伺います。

(岩佐教育長の答弁)
 次に、教職員の働き方についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、教員の長時間労働の実態についてです。本区においても、これまで「学校における働き方改革推進プラン」に基づき、勤務環境の改善を進めてきましたが、学校に求められる役割が拡大する中、教員の業務は長時間化しております。教員が心身の健康を損なうことなく児童・生徒に接する時間を十分に確保するためにも、学校の働き方改革の一層の推進が必要と認識しております。
 次に変形労働時間制についてですが、法改正により、条例で一年単位の変形労働時間制の実施が可能となったことを受け、本年一月、文部科学省から教職員の業務の適切な管理等に関する指針が示されました。本区では、変形労働時間制は教員の勤務の適正化を図る上で効果があると認識をしており、まずは、指針に則した取組みの推進を図ってまいります。
 また、変形労働時間制の導入の条件についてですが、文部科学省では、指針を遵守した上で実施するとの見解を示しているため、本区も都の条例改正を踏まえて対応をしていく考えであります。
 なお、変形労働時間制は導入すべきではないとのことですが、夏季休業中の学校閉庁日による休暇取得促進に加え、繁忙期等業務が集中した勤務の振替えを行うことにより、教員自らが資質向上のために時間を有効活用できるため、今後適切に対応していく考えであります。
 次に教員の定数増と業務の削減についてのお尋ねです。まず、教員の定数増と35人学級の実施についてですが、区立小・中学校の教員は、都教育委員会の教職員配置基準に基づいて配置されているものと認識しております。このため、教員定数を抜本的に引き上げるよう国・都に求める考えはありませんが、今後とも働き方改革を進めながら、本区の実態に即した教員配置に努めてまいります。なお、来年度はスクールソーシャルワーカーを1名増員するなど、学校への支援については、今後とも充実を図ってまいります。
 また、業務等の縮減、見直し等については、これまでも各種調査の精選、報告の簡素化等を着実に実施してきており、学校運営にかかる各業務についても効率化を進めております。お尋ねの研究協力校事業については、喫緊の教育課題等、学校運営の問題解決・授業改善に役立つ内容について取り組んでおり、当該校だけでなく、区全体の教育力の向上につながることから、今後も推進していく考えであります。
 なお、学力テストについては、各学校において調査結果を把握・分析することにより、児童・生徒一人一人の学習状況に応じた授業の実施や補習等に活用しており、児童・生徒が学習内容をしっかりと身に付け、主体的な学びの定着を図るために必要と認識しており、国、都へ中止を求める考えはありません。
 次に勤務時間の把握と教員の健康安全についてですが、来年度よりICTを活用した勤怠管理システムの導入を進めることにより、勤怠時間の正確な把握や勤怠事務の効率化を図ってまいります。また、教員の健康安全への配慮については、業務が一定時間を超えた教員に対して、産業医による健康相談体制を整えるなど、今後ともきめ細かく対応をしてまいります。

大綱の第4は、医療・介護についてです。 
 まず、国民健康保険についてです。高すぎる保険料に悲鳴が上がっており、保険料の滞納世帯は加入世帯の3割、2万世帯を超え、常態化している中で、来年度の保険料はまたも大幅な値上げです。給与所得500万円の40歳代夫婦・子ども2人の4人世帯の場合、9912円増の年額59万9533円となり、国保料の負担が所得の12%を占めます。これは、国が区市町村に対し、連続・大幅値上げの圧力をかけ、東京都が保険料値上げを抑えるための公費繰り入れの削減・廃止と国保料引き上げを迫っているからです。しかし、厚生労働省は、公費繰り入れを「自治体の判断」でできると国会で答弁しています。国や都の言いなりに大幅値上げに突き進まず、地方自治の本旨である住民福祉の増進へ、公費繰り入れを行い、高すぎる保険料の引き下げを行うべきです。伺います。
 所得のない子どもにも均等割保険料、一人5万2200円を課していることが、多子世帯にとって大きな経済負担となっています。この間、清瀬市が第2子以降の保険料を5割減額したり、昭島市も第2子の5割減額を行うなど、子どもの均等割保険料の独自減免が実施されています。山﨑区長は、区長会会長として、こどもの均等割保険料の軽減策について、特別区国保課長会等で調査研究をすすめるなど、実現にむけて尽力すべきです。伺います。
 国保料の高騰が止まらなくなったのは、国が国庫負担金を減らし続けてきたからです。全国知事会など地方3団体が求めている公費1兆円を投入すれば、協会けんぽ並みに国保料を引き下げることができます。国に財政負担を求めるべきです。伺います。
 後期高齢者医療保険についてです。
 今後2年間の75歳以上高齢者の保険料は、一人当り過去最高額の10万1053円へと値上げです。この10年間で1万6千円もの値上げは、年金が減らされる中、高齢者にとって大変重い負担です。保険料の値上げを抑えるために後期高齢者医療財政安定化基金212億円の一部を活用すれば、値上げを回避できたではありませんか。伺います。安倍政権は、後期高齢者医療保険の窓口負担を1割から2割に倍加しようとしています。これ以上の負担増は受診抑制を引き起こし、高齢者の生存権を脅かします。75歳以上の医療費窓口負担の引き上げ中止を国に求めるべきです。伺います。
 介護保険についてです。
 国は、ケアプランの有料化や要介護1、2の生活援助を区市町村の総合事業に移すなど、さらなる給付の削減・負担増を検討しています。ケアプランが有料になれば、介護保険サービスを減らしたり、利用できなくなりかねません。生活援助の削減は、在宅生活に困難をもたらし、家族介護の負担を増やします。政府が掲げる「介護離職ゼロ」政策にも反するものです。サービスの抑制や負担増につながる制度の見直しを行わないよう国に求めるべきです。伺います。
 介護現場では人手不足がいっそう深刻化しています。必要な職員を確保できないため、施設を開設できない、事業所の一部閉鎖や廃業などの事態が生じています。長寿サポートセンターの職員は「人手不足で必要な支援が困難になっている」と言います。介護を担う職員や介護職をめざす若者が、自らの専門性を発揮し、誇りを持って働き続けられるために、全産業平均よりも月額約8万円も低い賃金の大幅な引き上げ、労働条件の抜本的な改善を国に求めるべきです。また、区独自に介護従事者への家賃補助など支援を行うべきです。見解を伺い、質問を終わります。

(杉村生活支援部長の答弁)
 次に、医療・介護についてであります。まず、国民保険についてであります。
 国民健康保険料については、医療費等に必要な経費のほか、世代を超えて負担をする後期高齢者医療及び介護保険にかかる経費をもとに算定をしているものであり、受益と負担の観点から、現状の医療費等に対応する保険料となることは避けがたいものであります。
 特別区においては、令和2年度の統一保険料の算定において、本来保険料で賄うべき経費の4%を公費で賄うこと等、保険料の急激な上昇を抑えるための対策を講じており、更なる公費の繰り入れを行う考えはございません。
 さらに、こどもの均等割保険料の軽減等については、特別区長会では、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施すべきものと認識しております。このため、区長会では子育て世帯にかかる均等割保険料の軽減等、制度の見直しについて国及び都に要望しており、引き続き要望実現に努めてまいります。
 また、公費の更なる増額を国に対して要望することについても、定率国庫負担金の増額等の財政支援を講じるよう、既に区長会として、国・都に強く要望しているところであります。
 次に、後期高齢者医療保険についてであります。
 令和2・3年度の保険料の算定における財政安定化基金の活用について、都広域連合は、決算剰余金186億円を見込んだこと、区市町村の一般財源負担により、保険料抑制を図ることとしたことなどから、財政安定化基金の投入を行わずとも、適切な保険料率改定ができるものとし、本基金の活用は行わないものとしたところであり、区も同様の見解であります。
 また、後期高齢者の自己負担の在り方については、政府が設置した「全世代型社会保障検討会議」において、一定所得以上の方の窓口負担を2割とする旨の中間報告がなされたところです。区としても、2022年には、団塊の世代が75歳以上となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、全世代の負担の在り方については、国における議論が必要なものと認識しており、今年夏までにとりまとめる予定の最終報告に向けて、議論の動向を注視してまいります。
 次に、介護保険についてであります。
 まず、サービス抑制や負担増につながる制度の見直しについては、全国市長会を通じ、次期制度改正に当たり、持続可能な介護保険制度の確立を図ることや、要介護1、2の方に対する生活援助を地域支援事業に移行することについて、拙速な検討を避け、慎重を期すことなどを国に求めているところであります。
 次に、介護従事者の賃金の引き上げや労働条件の抜本的な改善については、こちらも、全国市長会を通じ、一層の処遇改善を図るため、国による財源措置の拡充を求めております。さらに、区長会からも、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を求めているところであります。
 また、区独自の介護従事者への家賃補助については、介護人材の確保策として、介護職員の研修費助成など、様々な事業を区で展開をしており、更な支援策実施の考えはありません。

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