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2020年第1回定例会―正保みきお議員

日本共産党江東区議団を代表して大綱4点について質問します。

  • 来年度予算(案)について
  • 江東区長期計画(案)について
  • 教職員の働き方について
  • 医療・介護について

大綱の第1は、来年度予算(案)について伺います。
 まず、政府の来年度予算(案)が区民生活にもたらす影響についてです。
 政府の来年度予算案は、消費税増税で深刻な打撃を受けている国民の暮らしや営業には目もくれず、大企業優遇と大軍拡を推し進める予算案となっています。一昨日、内閣府が発表した昨年10~12月期のGDPの速報値は、前期比1・6%減、年率換算で6.3%の減と大幅に落ち込み、消費税増税後、新たな消費不況に突入したと各方面から指摘されています。消費税増税が家計も経済も直撃し、商店は増税による売り上げ減少、複数税率による事務負担の増加など中小業者を深刻な苦境の淵に追い込んでいます。消費税増税と区民の暮し、中小業者の実態をどのように認識しているのか。伺います。
 国は、「全世代型社会保障のため」といって、消費税増税を強行しながら、75歳以上の医療費窓口負担を従来の2倍の負担となる2割への引き上げや、介護施設の入所者への食事負担の月2万円引き上げ、若い世代の人たちの年金を削減しようとしています。山﨑区長は「消費税増税は社会保障のため」と強弁してきましたが、国が実際やろうとしているのは社会保障の全面的な切り捨てではありませんか。今やるべきは消費税を緊急に5%に減税し景気回復を図ること、社会保障きりすてをやめ、充実に切り替えることです。財源は、富裕層と大企業優遇の不公平税制をただし、応分の負担を求めるとともに、米国いいなりの武器「爆買い」などのムダづかいをやめることです。住民の福祉と暮しを守るという自治体の長として、社会保障の切り捨てをやめよと国に意見すべきです。伺います。
 江東区の来年度予算(案)について伺います。
 予算案には、わが党が繰り返し求めた洪水ハザードマップと防災ラジオの全戸配布、子ども家庭支援センター増設、ヒアリングループ設置、産業実態調査の実施など一定の前進があります。しかし、施設使用料の20%値上げはじめ、保育料、学校給食費、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料など軒並み値上げをおこない、全世代への負担増を強いるものです。また、「行革」と称して、学校用務、学校警備、保育園給食調理の民間委託を進め、人口増にもかかわらず正規職員を削減します。技能職の退職不補充と民間委託による職員削減は、避難所となる小中学校に区職員が1人もいないなど、災害時の対応力の低下を招いています。昨年10月の台風19号の際、暴風雨の中、施錠された校門前で多くの住民が立ち往生しました。予算案は、住民の安全、福祉向上という自治体本来の役割を縮小・放棄するもので、「みんながつながる飛躍予算」などと言えるものではありません。区は、身近な区民館や文化・スポーツセンターなどの使用料値上げの理由について、「受益者負担、減価償却費の算入、将来の改修・改築にお金がかかる」などと説明しています。
 しかし、改修・改築の経費は、すべての区民に平等に利用の機会を提供するための費用であり、本来税金で賄うべきものです。安易に受益者負担の考え方を拡大することは、各施設の本来の理念にも反するものです。減価償却費を算入しない政策的判断も含め、施設使用料の値上げを中止すべきです。伺います。
 本区の基金は、この1年間だけでも新たに91億円を積み増しし、3月末時点の基金残高が過去最高の1457億円を見込んでいます。区民への負担増を行う必要など全くありません。ため込んだ基金の一部を積極的に活用し、区民の暮らしと営業を応援すべきです。
 防災分野では、広報車の導入、海抜表示板の設置、感震ブレーカ設置補助、木造家屋の簡易耐震改修費補助の実施を求めます。子育て・教育分野では、こどもの貧困が深刻化し、経済的支援が急務です。保育料の値上げ中止、就学援助の拡充、学校給食費の無料化をおこなうほか、子ども医療費助成を18歳まで広げることを求めます。福祉・医療分野では、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を求めます。放課後等ディサービス・児童発達支援等の利用料負担の軽減、標準数に不足する福祉事務所ケースワーカーの増員、感染症対策、中高年のひきこもり、虐待対応等の業務量増大に伴う保健師の増員を求めます。中小企業分野では、予算全体に占める中小企業振興予算はわずか0・9%です。仕事確保と地域経済活性化にむけ、住宅リフォーム助成、店舗改修等助成の拡充、融資の利子補助拡大、公契約条例の制定を求めます。これらの施策は、一般会計予算案のわずか1・2%、約27億円で実現できます。緊急切実な区民要望を踏まえ、一般会計予算案の組み替えを求めます。伺います。

(山﨑孝明区長の答弁)
 正保幹雄議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案についてのうち、消費税の増税と区民生活についてであります。
 現在の経済状況は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される状況である一方、海外経済の動向や新型コロナウィルスの感染拡大による経済活動への影響、消費税率の引き上げ後の消費者マインドの動向には留意する必要があると考えます。
 また、本区においても一部個人消費に厳しい側面があるものの、中小企業の状況は、横ばい傾向であると認識いたしており、納税義務者の所得は引き続き改善傾向にあることなどから、総じて区民生活は引き続き安定した状態を保っているものと認識いたしております。
 次に、社会保障の削減についてですが、国は社会保障関連経費を前年度比五・一%の増としており、消費税増収分を活用した、幼児教育・保育の無償化や保育士の処遇改善を行うほか、低所得高齢者の介護保険料の負担軽減の更なる強化や予防・健康づくり事業の推進等のための交付金を創設するなど、重要課題に的確な予算配分がなされているものと考えております。そのため、消費税増税分は社会保障のために活用されていると認識しており、見直しを国に求める考えはございません。
 次に、使用料の改定についてであります。
 文化センターやスポーツ施設等の使用料は「受益者負担の原則」に基づき、施設利用者に、ご負担いただいております。
 今回の見直しにあたり、施設の老朽化により将来の改修・改築等に多額のコストがかかることを見据え、「減価償却費」を新たに維持管理コストへ算入しておりますが、改定が必要な率から大幅に圧縮するなど、激変緩和措置を行い、利用者負担への配慮も行っております。
 受益者負担の原則は、サービスを利用し、利益を受ける特定の受益者に、応分の負担を求めることで、施設を利用しない区民との公平性を確保するために妥当な考え方であることから、使用料の改定を中止する考えはございません。
 次に、一般会計予算案の組みかえについてです。
 各分野におけるさまざまな施策についてのお尋ねですが、防災、子育て、福祉や地域経済に関する何点かのご提案については、現時点で実施する考えはございませんが、民生費については、初めて一千億円を超え、区民生活を踏まえた予算編成を行っており、喫緊の課題である防災対策などにもスピード感をもって対応しておりますので、予算の組みかえを行う考えはございません。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長並びに所管部長から答弁いたさせます。

大綱の第2は、江東区長期計画(案)について伺います。
 今後10年間の本区のまちづくりの羅針盤となる長期計画(案)が示されました。計画(案)は、江東区の人口が今後5万人増え、57万人を見込み、行政需要が増大するにもかかわらず、「労働力不足による職員の減少」を口実に、ICT(情報通信技術)による効率化の推進、民間委託、職員の削減をいっそう進めるとともに、「自己責任」「受益者負担」の考えで区民に負担増を強いるものです。その一方で、大型開発は積極的に推進するものです。
 長期計画案が大前提としている国のSociety5.0と、その自治体版の「自治体戦略2040構想」は、人工知能AIやロボットなどICTを活用した「スマート自治体」をつくり、それによって、現状の半分の職員でも運営できる自治体をつくるというものです。そのために、自治体行政の標準化を図り、「広域連携」の名のもとに、「圏域行政」「道州制」目指すものです。
 全国各地で大規模な災害が多発し、自治体職員不足による災害対応の遅れが問題となっています。災害現場において人工知能AIが生身の人の命を救うことはできません。スマート自治体にアクセスできない住民の要望をだれが正確に把握することができるでしょうか。公務員の役割を積極的に見直し、憲法が規定する「全体の奉仕者」として区職員の増員をおこない、区民の生活と人権を守る質の高い行政サービスを充実していくべきす。伺います。
 結局、ICTの利活用は、公共サービスを情報関連企業の「儲けの場」として開放するものです。それによって、住民一人一人の所得や生活向上が実現する保障はどこにもありません。行政サービスの民営化と産業化の方向ではなく、地方自治体の基本的責務である「住民の福祉の増進」の立場にしっかり立つべきです。伺います。
 長期計画案は、積極的に大型開発を推進しています。
 とくに、重点プロジェクトである「臨海部のまちづくり」は、国際会議展示施設である「MICE等の誘致」をかかげ、東京都と一緒になって大規模開発を進めるものです。東京都は2012年9月、お台場地区を「東京DAIBA・MICE/IR国際観光戦略特区」に指定し、それ以降、毎年カジノ調査を実施し、IR候補地を江東区青海に絞り込んでいます。小池知事は「IRは、MICE施設、宿泊施設、カジノ施設などで構成されている」と述べています。IRは、カジノの高収益に依存し、「顧客を貧しくすることでしか繁栄しない」「家族みんなをギャンブル依存症に誘導する」施設であり、地元自治体にはマイナスの経済効果しかありません。住民福祉の向上が使命である自治体がカジノに手を出すなど許されません。区は、カジノ頼りのMICE施設を誘致するのですか。そうでないなら、江東区にカジノは認めないとはっきり表明すべきです。伺います。
 区は、長期計画の実現に向けて、民間委託と職員の削減を一層推進するとしています。しかし、効率化を最優先する民間委託は、委託先の労働者の低賃金と不安定雇用を拡大し、区民サービスの質を低下させています。
 区職員の削減によって、人口1000人当たりの職員数が、23区平均6人台であるのに対し、本区では4人台と極めて少ない職員で仕事をしています。その結果、長時間労働が常態化し、在職死亡や中途退職、メンタル疾患による長期休職者が増加しています。今後5年間にわたって職員定数を増やさない「定員適正化計画」を見直し、人口の急増に見合った職員の採用、技能系職員も含めた大幅な人員増を行うべきです。伺います。

(大塚政策経営部長の答弁)
 次に、江東区長期計画(案)についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、行政サービスのあり方についてです。まず、職員を増員し、質の高い行政サービスを充実することについてのお尋ねですが、区の職員数については、政策形成に関するものや、区の職員が直接執行しなければならない業務以外について、区自ら実施する場合と同程度以上のサービスが効率的に提供される場合において、民間活力を導入するなど、多様化する区民ニーズに的確に応えており、行政サービスを適切に提供できる体制は確保されているものと認識しております。
 次に、行政サービスの民営化・産業化の方向性については、アウトソーシング基本方針に基づき、指定管理者制度を導入するなど、民間事業者の専門性や柔軟なサービス提供等により、利用満足度の向上も図られており、区民福祉の増進に繋がっております。また、ICTの取り組みは区民サービスの観点から必要不可欠であると考えます。
 次に、臨海部のまちづくりについてです。
 新長期計画では、臨海部のまちづくりを重点プロジェクトに掲げ、広大な水辺・緑やスポーツ・観光等を通じ、ベイエリアの魅力を最大限に活かしたまちづくりを推進することとしております。
 一方、カジノを含む統合型リゾートであるIRについては、東京都が平成30年度に、東京にIRが立地した場合に想定される姿や期待される効果をまとめておりますが、同報告書では具体的な立地場所は示されておらず、本区に対して、青海地区にIRを整備する方針で、検討を進めているとの情報提供もございません。
 また、IRは平成30年に制定されたIR整備法において、カジノのみならず、国際会議場やホテルなどを一体整備した特定複合観光施設と定義されておりますが、新たな財源の創出や観光客の増大による地域活性化、雇用創出や経済波及効果など大きな効果が期待される一方、ギャンブル依存症の問題など社会的なマイナスの影響が懸念されているのも事実であります。
 こうした懸念に対しては、カジノへの入場制限に加え、IR整備法に規定するカジノ管理委員会が先月設置されるとともに、ギャンブル等依存症対策基本法では、国・地方自治体等の責務や、依存症対策推進本部の設置が規定されるなど、依存防止のために万全の対策を講じるよう求められているところです。
 いずれにしましても、申請主体である東京都が、「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討していく」としている段階であることから、本区としては、今後も都の動向を十分に注視してまいります。
 次に、定員適正化計画についてですが、職員数については、計画に基づき、行財政改革計画(後期)における平成27年度から令和元年度までの5年間で、職員総数は削減しているものの、事務系職員は76名増員しております。
 また、令和2年度から5年間の新たな定員適正化計画においては、今後、新たな長期計画に基づく事務事業や人口増加による行政需要が見込まれておりますが、ICTの利活用を図るなど、簡素で効率的な体制を引き続き堅持しつつ、必要な人材は積極的に確保していく方針であり、定員適正化計画を見直す考えはございません。

大綱の第3は、教職員の働き方について伺います。
 教員の異常な長時間労働の是正は急務です。区教育委員会は、昨年6月、幼稚園・小・中学校教員の在校時間を調査した結果、国のガイドラインで定める「月残業45時間」をオーバーしている教員の割合が小学校で51.8%、中学校で39.6%、過労死ラインの80時間を超えて働いている教員は237人に上ります。
 東京都教職員組合江東支部の「働き方改善アンケート」には、「もう体がもちません」「今のままでは教員の仕事をやめようと考えている」など、ギリギリの気持ちが寄せられています。教員の異常な長時間労働の実態について、認識を伺います。
 安倍政権は昨年12月、「過労死が増える」「先生を続けられなくなる」などの強い反対の声を押し切って、「1年単位の変形労働時間制」を公立学校の教員に適用可能とする法案を強行成立させました。
 この改正法は、「繁忙期」の労働時間を1日10時間限度に延長する一方、「閑散期」の労働時間を短くして年平均で見かけ上、週40時間内に収めるというものです。しかし、業務量は減らず、夏休みも「閑散期」ではないため、長時間労働に拍車をかけ、子どもたちの教育も教員の健康も脅かされると批判されています。本制度に対する区教委の認識を伺います。また、制度の適用は、恒常的な時間外労働がなく、残業月45時間という国のガイドラインを遵守することが大前提だと思いますが、伺います。
 そもそも解決すべきは、平日一日平均12時間近いという教員の異常な長時間労働です。教職員組合は「今よりもっと退勤が遅くなる」と導入に反対しています。長時間労働を固定化、助長する変形労働時間制は導入すべきではありません。伺います。
 学校現場では、授業数に比べて2割も少ない教員定数で、莫大な業務量をこなしています。先生を増やすことと、業務の大幅削減こそ必要です。教職員組合の働き方改善アンケートでも、「35人以下学級の実現」「国や都の教職員定数改善」「授業持ち時間の上限設定が必要」など、教育条件への改善を求めています。
 業務の削減では、「都と区への調査報告の縮減」「実効ある休憩時間の確保」「部活動指導員の大幅増員」「土日の地域行事の引率の廃止」と続いています。
 国と都に対し、教員の定数増とともに、全学年で35人学級の実施を強く求めるべきです。また、増加するいじめや不登校の対応などで先生たちの負担が増えています。スクールソーシャルワーカーを全校に配置すべきです。業務の削減について、国は、通知で過度な授業時間数や多すぎる研究指定授業などの削減に舵を切りました。都・区の各種調査・報告書の縮減、研究協力校事業など業務の削減・簡素化を大胆に行うべきです。学力テストは、先生たちが過労死ラインで働いても授業準備など最も確保すべき時間も取れないのに、行政が「やる必要がある」といって押しつけていいのでしょうか。学力テストの中止を求めます。法改正により、勤務時間管理は、公立学校を含め使用者の義務となりました。勤務時間の正確な把握と安全配慮を求めます。以上、見解を伺います。

(岩佐教育長の答弁)
 次に、教職員の働き方についてのご質問にお答えいたします。
 はじめに、教員の長時間労働の実態についてです。本区においても、これまで「学校における働き方改革推進プラン」に基づき、勤務環境の改善を進めてきましたが、学校に求められる役割が拡大する中、教員の業務は長時間化しております。教員が心身の健康を損なうことなく児童・生徒に接する時間を十分に確保するためにも、学校の働き方改革の一層の推進が必要と認識しております。
 次に変形労働時間制についてですが、法改正により、条例で一年単位の変形労働時間制の実施が可能となったことを受け、本年一月、文部科学省から教職員の業務の適切な管理等に関する指針が示されました。本区では、変形労働時間制は教員の勤務の適正化を図る上で効果があると認識をしており、まずは、指針に則した取組みの推進を図ってまいります。
 また、変形労働時間制の導入の条件についてですが、文部科学省では、指針を遵守した上で実施するとの見解を示しているため、本区も都の条例改正を踏まえて対応をしていく考えであります。
 なお、変形労働時間制は導入すべきではないとのことですが、夏季休業中の学校閉庁日による休暇取得促進に加え、繁忙期等業務が集中した勤務の振替えを行うことにより、教員自らが資質向上のために時間を有効活用できるため、今後適切に対応していく考えであります。
 次に教員の定数増と業務の削減についてのお尋ねです。まず、教員の定数増と35人学級の実施についてですが、区立小・中学校の教員は、都教育委員会の教職員配置基準に基づいて配置されているものと認識しております。このため、教員定数を抜本的に引き上げるよう国・都に求める考えはありませんが、今後とも働き方改革を進めながら、本区の実態に即した教員配置に努めてまいります。なお、来年度はスクールソーシャルワーカーを1名増員するなど、学校への支援については、今後とも充実を図ってまいります。
 また、業務等の縮減、見直し等については、これまでも各種調査の精選、報告の簡素化等を着実に実施してきており、学校運営にかかる各業務についても効率化を進めております。お尋ねの研究協力校事業については、喫緊の教育課題等、学校運営の問題解決・授業改善に役立つ内容について取り組んでおり、当該校だけでなく、区全体の教育力の向上につながることから、今後も推進していく考えであります。
 なお、学力テストについては、各学校において調査結果を把握・分析することにより、児童・生徒一人一人の学習状況に応じた授業の実施や補習等に活用しており、児童・生徒が学習内容をしっかりと身に付け、主体的な学びの定着を図るために必要と認識しており、国、都へ中止を求める考えはありません。
 次に勤務時間の把握と教員の健康安全についてですが、来年度よりICTを活用した勤怠管理システムの導入を進めることにより、勤怠時間の正確な把握や勤怠事務の効率化を図ってまいります。また、教員の健康安全への配慮については、業務が一定時間を超えた教員に対して、産業医による健康相談体制を整えるなど、今後ともきめ細かく対応をしてまいります。

大綱の第4は、医療・介護についてです。 
 まず、国民健康保険についてです。高すぎる保険料に悲鳴が上がっており、保険料の滞納世帯は加入世帯の3割、2万世帯を超え、常態化している中で、来年度の保険料はまたも大幅な値上げです。給与所得500万円の40歳代夫婦・子ども2人の4人世帯の場合、9912円増の年額59万9533円となり、国保料の負担が所得の12%を占めます。これは、国が区市町村に対し、連続・大幅値上げの圧力をかけ、東京都が保険料値上げを抑えるための公費繰り入れの削減・廃止と国保料引き上げを迫っているからです。しかし、厚生労働省は、公費繰り入れを「自治体の判断」でできると国会で答弁しています。国や都の言いなりに大幅値上げに突き進まず、地方自治の本旨である住民福祉の増進へ、公費繰り入れを行い、高すぎる保険料の引き下げを行うべきです。伺います。
 所得のない子どもにも均等割保険料、一人5万2200円を課していることが、多子世帯にとって大きな経済負担となっています。この間、清瀬市が第2子以降の保険料を5割減額したり、昭島市も第2子の5割減額を行うなど、子どもの均等割保険料の独自減免が実施されています。山﨑区長は、区長会会長として、こどもの均等割保険料の軽減策について、特別区国保課長会等で調査研究をすすめるなど、実現にむけて尽力すべきです。伺います。
 国保料の高騰が止まらなくなったのは、国が国庫負担金を減らし続けてきたからです。全国知事会など地方3団体が求めている公費1兆円を投入すれば、協会けんぽ並みに国保料を引き下げることができます。国に財政負担を求めるべきです。伺います。
 後期高齢者医療保険についてです。
 今後2年間の75歳以上高齢者の保険料は、一人当り過去最高額の10万1053円へと値上げです。この10年間で1万6千円もの値上げは、年金が減らされる中、高齢者にとって大変重い負担です。保険料の値上げを抑えるために後期高齢者医療財政安定化基金212億円の一部を活用すれば、値上げを回避できたではありませんか。伺います。安倍政権は、後期高齢者医療保険の窓口負担を1割から2割に倍加しようとしています。これ以上の負担増は受診抑制を引き起こし、高齢者の生存権を脅かします。75歳以上の医療費窓口負担の引き上げ中止を国に求めるべきです。伺います。
 介護保険についてです。
 国は、ケアプランの有料化や要介護1、2の生活援助を区市町村の総合事業に移すなど、さらなる給付の削減・負担増を検討しています。ケアプランが有料になれば、介護保険サービスを減らしたり、利用できなくなりかねません。生活援助の削減は、在宅生活に困難をもたらし、家族介護の負担を増やします。政府が掲げる「介護離職ゼロ」政策にも反するものです。サービスの抑制や負担増につながる制度の見直しを行わないよう国に求めるべきです。伺います。
 介護現場では人手不足がいっそう深刻化しています。必要な職員を確保できないため、施設を開設できない、事業所の一部閉鎖や廃業などの事態が生じています。長寿サポートセンターの職員は「人手不足で必要な支援が困難になっている」と言います。介護を担う職員や介護職をめざす若者が、自らの専門性を発揮し、誇りを持って働き続けられるために、全産業平均よりも月額約8万円も低い賃金の大幅な引き上げ、労働条件の抜本的な改善を国に求めるべきです。また、区独自に介護従事者への家賃補助など支援を行うべきです。見解を伺い、質問を終わります。

(杉村生活支援部長の答弁)
 次に、医療・介護についてであります。まず、国民保険についてであります。
 国民健康保険料については、医療費等に必要な経費のほか、世代を超えて負担をする後期高齢者医療及び介護保険にかかる経費をもとに算定をしているものであり、受益と負担の観点から、現状の医療費等に対応する保険料となることは避けがたいものであります。
 特別区においては、令和2年度の統一保険料の算定において、本来保険料で賄うべき経費の4%を公費で賄うこと等、保険料の急激な上昇を抑えるための対策を講じており、更なる公費の繰り入れを行う考えはございません。
 さらに、こどもの均等割保険料の軽減等については、特別区長会では、国民健康保険の制度上の課題であり、国・都の責任で実施すべきものと認識しております。このため、区長会では子育て世帯にかかる均等割保険料の軽減等、制度の見直しについて国及び都に要望しており、引き続き要望実現に努めてまいります。
 また、公費の更なる増額を国に対して要望することについても、定率国庫負担金の増額等の財政支援を講じるよう、既に区長会として、国・都に強く要望しているところであります。
 次に、後期高齢者医療保険についてであります。
 令和2・3年度の保険料の算定における財政安定化基金の活用について、都広域連合は、決算剰余金186億円を見込んだこと、区市町村の一般財源負担により、保険料抑制を図ることとしたことなどから、財政安定化基金の投入を行わずとも、適切な保険料率改定ができるものとし、本基金の活用は行わないものとしたところであり、区も同様の見解であります。
 また、後期高齢者の自己負担の在り方については、政府が設置した「全世代型社会保障検討会議」において、一定所得以上の方の窓口負担を2割とする旨の中間報告がなされたところです。区としても、2022年には、団塊の世代が75歳以上となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、全世代の負担の在り方については、国における議論が必要なものと認識しており、今年夏までにとりまとめる予定の最終報告に向けて、議論の動向を注視してまいります。
 次に、介護保険についてであります。
 まず、サービス抑制や負担増につながる制度の見直しについては、全国市長会を通じ、次期制度改正に当たり、持続可能な介護保険制度の確立を図ることや、要介護1、2の方に対する生活援助を地域支援事業に移行することについて、拙速な検討を避け、慎重を期すことなどを国に求めているところであります。
 次に、介護従事者の賃金の引き上げや労働条件の抜本的な改善については、こちらも、全国市長会を通じ、一層の処遇改善を図るため、国による財源措置の拡充を求めております。さらに、区長会からも、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を求めているところであります。
 また、区独自の介護従事者への家賃補助については、介護人材の確保策として、介護職員の研修費助成など、様々な事業を区で展開をしており、更な支援策実施の考えはありません。

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