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2008年第1回定例会-あぜ上三和子議員(予算編成 公契約条例 温暖化防止)

  1. 区民生活と本区の予算編成について  
  2. 公契約法と公契約条例について
  3. 地球温暖化防止対策について

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問をいたします。
 第1の質問は、区民生活と本区の予算編成についてです。
 今「構造改革」の名のもとに、雇用の破壊、庶民増税や医療・介護の負担増などが推し進められ、格差と貧困があらゆる分野に拡大して、庶民の暮らしは大変です。区内でも、課税所得200万円以下が約55%、12万人にも及び、中学生の就学援助家庭は37%にふえ、国民健康保険の滞納世帯は加入世帯の3分の1を超える約3万3,000世帯に上っております。「貯金も底をつきました。孫にお年玉も上げることができない自分が情けない。長生きし過ぎたのでしょうか」、高齢者の方から寄せられた声です。区長は、こうした区民の生活実態をどう認識されているのか、まず伺います。
 今、最も身近な自治体である江東区の予算編成に求められているのは、国や都の負担増や社会保障の切り捨てから区民の暮らしを守ることです。ところが、山崎区長の初の本予算編成を見ますと、これまで我が党が求めてきた認可保育園の増設や、認可外保育施設の保育料補助の拡大、マンションへの耐震補強工事の助成など、一定の前進は見られておりますが、高齢者や障害者の不安と苦しみを取り除く積極的な経済的支援はなく、逆に国民健康保険料や保育料の値上げ、保育園の民営化促進など、従来どおりの区民負担増と民間委託促進の「行革予算」と言わざるを得ません。
 しかも区税収入は、定率減税全廃や住民税フラット化など、この間の区民に痛みをもたらした相次ぐ増税などで過去最高の407億円。その上、国民健康保険料では、老年者控除の廃止などによる激変緩和措置をやめるため、1.3倍もの値上げになる高齢者も出てきます。さらに後期高齢者医療制度では、75歳以上になると、受けられる医療で差別され、一方保険料は負担軽減をしたとしても、9割の方が国民健康保険料よりも高くなり、年金から天引きをされる。これでは区民はたまったものではありません。
 区長は、予算編成に当たって「区民の声にしっかりと耳を傾ける」とおっしゃっていましたが、区政世論調査で一番多かった高齢者対策の要望にどうこたえたというのでしょうか。この間の増税、介護や福祉の切り捨ての中で、最も負担がふえたのは高齢者です。火災警報器の設置、江東さざんかカードでの支援では「ぬくもり予算」とはとても言えないのではないでしょうか。基金は来年度111億円取り崩しても、年度末の基金残高は特定目的基金だけでも600億円です。
 新たな負担増をやめ、高齢者の暮らし、応益負担で苦しむ障害者に対する支援を強化すべきです。介護保険料・利用料の負担軽減、低所得者への家賃補助、入院見舞金の創設、小規模多機能施設への運営費補助などを盛り込むことを提案いたしますが、伺います。
 オリンピック招致応援活動に区民の貴重な税金を約1,400万円も使うのは無駄遣いです。区長が石原知事とともに進めているオリンピック招致活動は、今や都政の最大の焦点となっています。石原知事は、東京富裕論が出るからと、高齢者に対する経済的給付を退け、特別養護老人ホームの整備、運営費補助の削減や、30人学級の先送り、都立病院の縮小などを行う一方で、オリンピック招致活動は聖域扱いです。都立で建設するメーンスタジアム関連だけでも4,700億円、招致活動経費で100億円、これだけでも都立病院への年間補助の150年分です。しかも計画が明らかになる中で、夢の島競技場や辰巳国際水泳場周辺の緑をつぶして新たに競技場を建設することがわかりました。「オリンピックより命と暮らしを守ってほしい」、区民の声は切実です。オリンピック招致活動への税金投入をやめ、石原知事に対しても、計画を中止するよう求めるべきです、伺います。
 区長は、社会保障の財源として「消費税を上げるしかない」と、医療・介護保険制度特別委員会で発言されておりますが、とんでもありません。原油の高騰でガス、電気料金の値上げや物価上昇でぎりぎりの生活が一層脅かされているというのに、その上消費税増税では、暮らしが立ち行かなくなってしまいます。無駄な公共事業や不透明で膨大な軍事費など、税金の使い方を見直し、庶民には増税、大企業には減税の逆立ちした税金の集め方こそ正すべきです。区長は、区民生活を守る立場で、国に対し消費税増税に反対の意見を上げるべきだと思いますが、伺います。
 また区長は所信表明で、道路特定財源の暫定税率堅持を要請するとしていますが、改めるべきです。そもそも道路特定財源は今後10年間で59兆円を使うことを前提としたもので、そのうち通学路やバリアフリー対策などに使うお金はたったの1割で、むしろ第二東京湾横断道路など無駄な道路づくりの温床となっています。区財政に10億円の影響があるとしていますが、道路特定財源を一般財源化させ必要な財源をしっかり交付させることこそ求めるべきではありませんか、伺います。
 次に民間委託、アウトソーシングについて伺います。
 公立保育園の民営化は、豊洲、毛利保育園での経験でも明らかになったように、7,000万円浮くと言われた経費は、引き継ぎ経費などを加えるとむしろ超過支出になって、民営化でコスト削減という理屈は成り立たなくなっています。何よりもこどもたちに不安と混乱を招いたことの責任は重大です。公立保育園の民営化は撤回すべきと考えますが、伺います。
 区長が、目玉としている認定こども園の最大の特徴は、「利用者と事業所の直接契約で入所決定も事業所が行う」「保育料も事業所の自由設定」だということです。政府の規制改革会議の答申では、認定こども園の実施状況を踏まえ、この方式を保育所においても導入することを検討するとしていますが、まさに公的保育の基盤を壊すための突破口として位置づけられたものです。しかも都の認定基準は、特例事項を設けて現行保育水準を下げられるようにしており導入すべきではありません。認定こども園ではなく、保育園と幼稚園をつくるべきではありませんか、伺います。
 放課後子ども教室は、何の検証もないまま企業に委託をしていますが、学校現場では、高学年の授業の妨げになってしまったり、廊下に机を置くなどの防災安全上の問題などが起こっています。民間丸投げの姿勢を改め、学校現場とよく話し合って進めるべきではありませんか、伺います。
 学校給食は、直営が10校となってしまいましたが、直営での給食があるからこそ、給食の質のレベルを保っています。今、他の自治体では、学校給食で冷凍食品を使っていたことが明らかになり、改めて民間委託が問題になっています。現行の直営方式を存続し、安全でおいしい給食の水準を維持すべきと思いますが、伺います。
 今、人口が急増している本区がやるべきことは、「アウトソーシング基本方針」を撤回し、区民の福祉や教育に行政責任をしっかりと果たすことではありませんか、伺います。
 第2の質問は、公契約法と公契約条例についてです。
 2年前の江東区議会において全会派一致で、公契約法の制定を求めることを柱とした意見書を提出しましたが、こうした意見書は全国で広がり、すでに541地方議会で採択されています。その背景には、公共工事においてダンピング受注で下請、孫請や末端の労働者に低単価、低賃金という深刻な実態が横行し、それを是正しようという運動の広がりがあります。
 この公契約法の原点となっているのが、国際労働機関ILOの「公契約における労働条項に関する条約」です。この条約では、公的機関は、住民の税金を使う公的事業で働く労働者に、人間らしい労働条件を保障する責任があることを明確にしています。すでにこの条約を批准した国は59カ国、さらに11カ国が批准を検討しているなど、国際的な労働基準になってきています。ところが、日本政府は、「賃金決定に国が介入してはならない」などを理由にいまだこの条約を批准していません。政府に対し、一刻も早い条約批准と公契約法制定を求めるべきと思いますが、伺います。
 自治体の取り組みも重要です。函館市では、市の公共工事における現場の労働者への賃金支払いについて適正な支払い努力を要綱で定め、受注している事業者に雇用期間や賃金などを記載する労働条件通知書を提出させています。国分寺市では、「適正な労働条件と賃金水準の確保に努めること」などを盛り込んだ「市の調達に関する基本指針」を昨年7月に策定し、下請や末端労働者を守る取り組みを前進させています。
 しかし本区では、最低制限価格の設定や、下請契約における代金や支払いの適正化についての文書の発行など、この間一定の努力はあるものの、昨年度の落札状況を見てみますと、予定価格の8割を切った工事が、電気工事で半分近く、道路補修工事では半分以上にもなっています。今、原油の高騰と資材の高騰が重なる中で予定価格の8割を切ると、原価割れ、採算割れと言われています。印刷に至っては予定価格の4割を切った入札は、昨年度5件もありました。工事契約における最低制限価格を引き上げるとともに、印刷など他の契約においても最低制限価格を設定し、下請や労働者にしわ寄せがいかないようにすること、また地元業者の健全育成に資するとともに、品質を確保することが求められているのではないでしょうか、見解を伺います。
 さらに元請、下請間の適正な契約のために、労務単価や下請代金の報告書を提出させること、あわせて地元中小企業の育成に努めるための簡易型の総合評価制度を導入することを提案いたしますが、伺います。
 今、公的サービスの民間委託が全国的にふえる中で、委託先の会社で働く労働者に雇用不安や賃金低下の問題が起きています。本区でも、委託先において労働組合の交渉で改善させたものの、仕事を覚えるのに1年かかる職場で、1カ月ごとの雇用という劣悪な雇用形態をとっていた企業がありました。公契約条例を制定し、労働者の権利と仕事の質をしっかり担保すべきではないでしょうか、伺います。
 第3の質問は、地球温暖化防止対策についてです。
 地球温暖化が進めば、グリーンランドの氷が解けて海面が6メートル上がると指摘されていますが、地球温暖化を食いとめるために温室効果ガスの排出量を減らすことは待ったなしの課題です。ところが日本では、議長国でありながら、京都議定書で約束した温室効果ガスの1990年比6%削減どころか、逆に6.4%もふやしてしまいました。
 日本での温室効果ガスのうち、ふえ続けているのは二酸化炭素ですが、全排出量の8割を占める企業、公共部門の増加が主な原因です。日本政府が、ヨーロッパなどですでに実行されている産業界との削減協定も結ばず、日本経団連の環境自主行動計画に任せてきたことの結果で、まさに政治の責任です。また昨年12月のバリ国際会議では、2020年までに先進国が温室効果ガスの30%削減をしようと、ヨーロッパなどから提起されましたが、この数値目標に反対し、国際社会の足を引っ張ったのがアメリカ、カナダと日本政府です。こうした日本政府の温暖化対策に対する対応のおくれについてどう認識されていますか。
 政府に対し、一刻も早く産業界との削減協定を結び、化石燃料にかわる再生可能エネルギーへの転換に取り組むよう求めるべきと思いますが、あわせて伺います。
 本区としても、さらなる地球温暖化防止対策に取り組む必要があると考えますが、以下、具体的に提案し、伺います。
 まず、区内の温室効果ガス排出削減の目標を明確にすることです。
 本区は、人口とオフィスの急増で、エネルギー消費は確実に毎年増加しています。区内エネルギー消費実態の把握と公表を急いで行い、庁内の範囲にとどめている現行の温室効果ガス排出量の削減目標を区内全域での削減目標に拡大し、より具体的に区民、事業者に働きかけていくことが重要です。江戸川区では具体的数値目標を示し、1人1日1キログラムの二酸化炭素削減を提起し、千代田区では温室効果ガス25%削減を明記した条例を制定しています。区内消費エネルギーの実態把握と二酸化炭素の排出削減目標の設定を求めますが、伺います。
 大量生産、大量消費、大量廃棄を改めることは急務です。区は、日々の小さな積み重ねが大きな成果につながると、「チームマイナス6%」への参加を呼びかけていますが、こうした努力とは裏腹に廃プラスチックの焼却を進めています。サーマルリサイクルでの売電には一定の発熱能力を確保する必要があり、燃やすごみをふやすことになって、結局地球温暖化防止と相反するのではないでしょうか、そのことに対する区の認識を伺いたいと思います。
 ペットボトルと白色トレー以外の容器包装プラスチックも、資源回収している区はすでに12区になっています。本区としても燃やさない決断をし、分別品目、資源回収の拡大を図るべきです。また発泡トレーは10月から回収拠点を拡大することは前進ですが、より身近なところで分別、資源回収をしてこそ区民の意識は高まります。全域回収を求めますが、あわせて伺いたいと思います。
 区が率先して自然エネルギーを活用することも大切です。総合実施計画では、公共施設の改築の際に太陽光熱利用や雨水利用などを活用するとしていますが、2カ年計画では、改築7施設に対し自然エネルギー活用は2施設にとどまっています。公共施設の改修・改築においては、もっと積極的に取り組む必要があると思います。同時に国や都に対し、自然エネルギー活用の補助制度を求めるべきと思いますが、あわせて伺います。
 区民への普及、啓発も促進すべきです。足立区などでは、区民が気軽に活用できるよう太陽光発電の助成制度を行っています。また墨田区や葛飾区などでは、雨水貯留槽設置に対する助成を行って雨水利用を促進しています。設置コストも比較的安い太陽光利用も含め、助成制度の創設を提案いたしますが、伺います。
 交通量の多い本区において自動車公害を減らす取り組みは重要です。大気観測局の増設や道路緑化、自転車専用道路の設置拡充など早急な対策を国と都に求めると同時に、その内容を具体的に環境行動計画に盛り込むことが必要ではないでしょうか。またバイオディーゼル燃料は、大気中の二酸化炭素の増減に影響がないため、廃食油を回収してバイオディーゼル燃料として利用することが地球温暖化や大気汚染の防止に有効です。事業者と提携し廃食油の回収を継続的に行い、庁有車で積極的に活用することを提案しますが、あわせて伺います。
 区民参加で環境行動計画をしっかりと見直し、知恵と創意あふれる取り組みで足元から地球温暖化防止対策を前進させるよう強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)

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