- 防災対策について
- 教育問題
- 高齢者の生活支援について
日本共産党江東区議団を代表して質問します。
質問の第1は、防災対策についてです。
中国四川省の大地震で犠牲になられた方々に慎んで哀悼の意を捧げ、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
顧みて本区でも、いつ来てもおかしくないと言われている大地震に備え、災害の被害を最小限に食いとめる対策の一層の強化を求めるものです。
江東区では、耐震改修促進法に基づいた計画をことし3月策定しました。地震で想定される被害の半減を目指すという計画の策定自体は評価できますが、対策の具体性、緊急性が問題です。
以下、内容について伺います。
まず、住宅の耐震化です。
計画では、耐震化の必要な住宅を4万7,000戸と推定し、平成27年度までに国の目標を上回る95%の達成を目指すとしています。
しかし、平成18年度から実施した木造住宅の無料耐震診断と工事助成の2年間の実績は、耐震診断104件、耐震工事はたったの1件です。支援対策の抜本的な強化が必要ではないでしょうか。
墨田区では、倒壊危険度の高い地域を緊急対応地域として指定し、助成額を上乗せしています。また、対象住宅の調査で、負担可能な額は20万円から30万円という世帯が多かったことから、最低限居住者の命を守るための居室のみの耐震化、住宅避難出口の確保など、簡易改修にも工事費を助成することにしたそうです。
江東区には、倒壊危険度最高の5の地域が10地域、倒壊危険度4の地域は26地域もあります。地盤の弱い下町地域の危険度が高いことも指摘されてきました。地域の実情をよく調査し、本区においても助成額の引き上げと簡易改修への助成を実施すべきと思いますが、伺います。
また、室内に設置することで命を守ることのできる耐震シェルターや耐震ベッド、この助成も墨田区、杉並区に続いて今年度は新宿区、荒川区など、新たに助成を決める自治体が一気に広がっています。
本区の木造住宅地域でも、建て替えもままならない住宅が多いという現状に即して、住民の命を守ることを最優先とした耐震シェルターや耐震ベッドへの助成を行うべきと思いますが、伺います。
次に、マンションの耐震化についてです。
計画では、旧耐震の建物が200棟と推測し、改修費用の助成で充実を図るとしていますが、分譲住宅では、億単位の費用を要する工事について、住民合意を図るだけでも大変です。また、賃貸住宅では、家賃収入によるオーナーの個人負担となり、直ちに耐震工事に取りかかることは困難であると考えます。
改修助成額の増額とあわせてマンション相談窓口を強化して、全対象住宅の管理組合、住宅管理者に対し、耐震診断の実施を前提に説明会や相談会を行うなどの支援強化が必要です。伺います。
住宅の耐震化を初め、災害に強い町をつくるには、住民との連携が欠かせません。総合的な施策として挙げられている防災マップは、自分の住んでいる地区の危険度がわかるように改善をして、全戸に配布すること。高齢者、障害者に実施している家具転倒防止器具の取りつけは3カ所という数の制限をなくすこと。危険なブロック塀は調査結果に基づいて個別に対策を立てるなど、改善を求めます。
また、災害弱者の救済、避難路の確保などは地域住民の協力なしにはできません。災害協力隊の活動支援を強化し、地域ごとの相談会や説明会の開催、防災を目的とした地域協議会の育成など、地域ぐるみの防災対策ができるように積極的な働きかけを求めます。そのためにも防災課の位置づけと役割を引き上げるべきではないかと考えますが、見解を伺います。
次に、公共施設の耐震化です。
学校施設については来年度終了の予定ですが、その他の公共施設は、民間と同じ平成27年度までに完了の計画では区の姿勢が問われます。昨年耐震診断を行った13施設でも、危険度の高いAランク4施設は耐震工事を前倒しするものの、Bランクの工事は平成22年度以降としています。今年度は残り13施設の診断結果が出るほか区営住宅、学童クラブ、橋梁などの耐震化も進めなければなりません。診断結果で工事が必要となった施設は直ちに着工すべきではありませんか、伺います。
また、保育園、学童クラブなどが併設されている都営住宅や公社・旧公団住宅は、その多くが昭和40年代の建設で旧耐震です。都の計画では、平成24年度までに診断を終え、耐震化完了目標はやはり平成27年度です。保育園などの福祉施設が併設された建物は、優先して工事を行うことを求めるべきではありませんか、伺います。
次に、公共施設並みの位置づけで支援すべき民間特定建築物についてです。
私立の学校、幼稚園、保育所、病院、特別養護老人ホームなど、20カ所が旧耐震と推定されています。補助金制度をつくったものの、これらの福祉、教育施設では、事業の性格上、工事費用の捻出は困難が予想されます。工事中の仮施設の必要が生じた場合の手だてなど、特別の支援が必要であると考えます。直ちに事業者との相談体制をとり、補助金の増額、仮施設への支援などを行う必要があると思いますが、伺います。
最後に財政問題です。
耐震改修促進法の施行は、あまりにもおくれている建物の耐震化を進めようということではありますが、おくれの原因となっている財政の裏づけが不十分です。これまで学校の耐震化のおくれが何度も指摘されながらなかなか進んでこなかった原因も、財政問題にあることが明らかになっています。学校を初め公共施設、民間建築物の耐震化も含め、国と都の財政支援を抜本的に強化するよう求めるべきと思いますが、見解を伺います。
質問の第2は教育問題についてです。
まず、学校選択制度について伺います。
我が党はこれまでも選択制にかかわるさまざまな問題点を指摘してきましたが、実施7年目を迎えて、教育上放置できない状況が進んでいます。
第1に学校規模の違いが広がっている問題です。特に中学校が深刻で、ことしの入学者ではもっとも多い学校が221人6クラスであるのに対し、7人1クラスの学校がありました。大規模校では、空き教室がない、校庭を交代で使うなどの不自由が生まれていますし、小規模校では、少ない教員数に事務処理や校外活動の仕事が集中し、学校人数に応じて配分される図書費などが不足するという財政面も問題です。
この間、各学校で運動会が行われましたが、大規模校では「こどもが多過ぎて自分の子が見つけられなかった」という声がある一方、小規模校では、「最初から最後までこどもたちの出番が多過ぎて疲れてしまった」という状況です。
学校選択制度によって学校規模の極端な違いが進んでいる状況を区教委はどう受けとめていますか。特に小規模校では、「学校がなくなるのではないか」という心配が小規模化を加速させるという状況です。区教委は学校選択制度によって人数が少なくなっていることを理由に、学校を廃校にしないということをまず表明すべきだと思いますが、伺います。
第2の問題は、地域との関係が薄れてきていることです。
ある小学校の歓送迎会での町会役員さんの挨拶では、「町の中に帽子の色がいろいろにふえている。この学校はうちの地域だと思って応援してきたが、よその子が多いようなのでこの辺で少し手を引かせていただきたい」と言われました。
今年度の入学生徒数では、学区域内の生徒数より区域外からの入学者のほうが多い学校が、小学校、中学校ともに4校もあります。こどもたちを地域で見守り、直接支える活動を初め、登下校の安全、パトロール、学校行事への協力など、教育上も学校運営上もますます大切になっている地域との関係が後退していることを、区教委はどのように考えていますか、伺います。
第3の問題は、学校選択制度により本来の教育活動が妨げられていることです。この間の入学児童の動きを数字で見ると、ことし「げんきっず」開設により入学数が倍加した毛利小学校に顕著なように、改築されたきれいな学校、小学校での「げんきっず」の実施、中学校では風評を含めた成績の評価など、本来の教育内容とは離れたところでこどもたちが移動していることは明らかです。
人数の少ない学校では、こどもたちは「自分が悪いのか」と胸を痛める、学校長が生徒を集めるために生徒の家を訪問する、地域の皆さんからは、「校舎をきれいにしてくれたら」と率直な声が上がっています。
元来規模の大小にかかわらず、どの学校でも学校なりのよさを生かしてこどもたちに意欲と誇りを持たせ、必要な学力や社会性を身につけさせる努力を行ってきたはずが、教育内容に関係なく「大きい学校はよい学校」であるかのような評価がまかり通って、こどもたちを初め学校関係者が振り回されています。弊害の多い学校選択制度は見直すべきではありませんか、伺います。
学校選択制度の陰では、学区域のもともとの生徒数に大きな違いが生まれている状況が放置されてきました。大規模な団地の高齢化や新規マンション建設で町の様子が大きく変わっているのに学区域はそのままで、隣接する学区域のもともとの生徒数が大きく違っている状況があります。
また、自宅から遠い学校に通わざるを得なかったかつての状況を改善できる条件があるのに、手がつけられていません。新規マンション建設や地域の実情に合わせた学区域の見直しが必要ではありませんか。弊害の多い学校選択制度は見直す方向で、学区域のあり方を含め、保護者、学校関係者、地域、こどもたちの中での検討を始めるべきと思いますが、見解を伺います。
次に、学力テストについて伺います。
4月22日、再開後の第2回目の全国一斉学力テストが実施されました。区教委は「学力向上につながる」として一斉テストを認めてきましたが、テストが返されたのは実施から半年後、しかも答案はなく答えのシートのみで、生徒はどこをどう間違ったのか点検することもできませんでした。生徒本人の学力向上につながらないことは明らかです。
前回の学力テストの後、全国で1位の秋田県では、成績が悪かった学校の学校長が教育委員会に呼び出される、教師が見せしめに始末書を書かされるなどの事態が起こりました。
また、採点をしたベネッセの進研ゼミの案内が生徒に対して執拗に行われ、「何もしないと点数が下がる」などのおどし文句もあったということから、保護者からは税金でテストを請け負った企業が、個人情報を悪用してもうけようとしているという声も寄せられています。
こどもと学校を点数競争に追い込み、学校教育をゆがめる学力テストは中止をすべきです。見解を伺います。
次に、学習指導要領の改訂についてです。
3月、学習指導要領が改訂されました。改悪された教育基本法、学校教育法に基づいたもので、国民の学力への不安や願いにこたえたものにはなっていません。ゆとり教育をやめ、知識を詰め込めとばかりに過密な内容で、小学校1年生が毎日5時間授業となるなど、勉強についていけないこどもや勉強嫌いなこどもをますますふやすことになります。
指導方法についても細かく例示され、道徳教育推進教師の配置で復古的、形式的な道徳の押しつけ、条件整備のないままに小学校での外国語活動、中学体育の「武道」必修化などを行うなど、全体として教師の自主性、創造性を奪い、教育の国家統制を強める憲法違反の内容です。
OECDが行う国際的な学力比較で1位となったフィンランドの教育が注目されていますが、ここでは、かつての詰め込みの教育を改めて、学習指導要領は3分の1を減らし、国は到達度の基準を示すだけ、何を使ってどう教えるかは学校現場に任せるという改革を行ったことが広く知られてきました。日本の改革に比較してあまりに対照的です。学習指導要領の法的拘束力については、これまでも議論のあったところですが、そのあり方も含め、学校、保護者、こどもたちはもとより、国民的な討論を行うことを政府に求めるべきです。見解を伺います。
次に、高齢者の生活支援について伺います。
「構造改革」の掛け声のもとに国民に押しつけられた増税と社会保障の切り捨ては、特に高齢者に重くのしかかっています。平成18年度からの老年者控除の廃止など、高齢者ねらい撃ちの課税強化、平成19年度には住民税フラット化、介護保険料値上げと続き、年金収入240万円のひとり暮らし世帯では、平成17年度に7万1,700円であった税と保険料が、今年度は19万8,760円と、たった3年間で3倍近くにはね上がりました。加えて、ことしの物価高と後期高齢者医療制度の実施で、「これでは生きていけない」「早く死ねということか」と悲鳴が上がるのも当然です。高齢者が大切にされず早く死にたいと思わせる状況を区長はどう受けとめていますか。
江東区として、生活困窮の大もとにある国の法律を改めさせるために力を尽くすと同時に、きめ細かな区独自の施策を展開し、「長生きしてよかった」と高齢者が実感できるようにすべきです。
江東区の財政は、各種控除廃止によるだけでも年間約7億円の増収になっているとのことです。これらの増収分は高齢者の生活支援に充てるべきと思いますが、見解を伺います。
区の仕事の第1に、入院時の負担軽減策を求めます。「救急車で運ばれたが、保証金の10万円がなくて帰ってきた」「差額ベッド代が1日3万円を超える。とても払えないのでほかの病院を探してほしい」など、病気の心配よりお金の心配という相談が相次いでいます。ぐあいが悪いのに「お金がかかるのでは」と病院に行かず、家族にも黙っているという人もいました。
千代田区では、入院時の洗濯代、日用品代など、保険外の負担について月2万円、年10万円を限度に実費支援をしています。今年度、新宿区では負担軽減支援を始めました。江東区としても、入院時の負担軽減策を行うよう求めますが、伺います。
次に、重度介護手当の創設です。
介護保険制度ができて老人福祉手当がなくなりました。現金給付はやめて介護そのものを提供するといううたい文句でしたが、利用するには一部負担がある上に、重度の要介護の場合は、家族の援助なしには生活できず、依然として介護疲れによる殺人や自殺が後を絶ちません。
重度介護手当を支給することで介護保険を利用しやすくし、介護者を励まし、要介護者の気持ちを少しでも楽にすることができます。重度介護手当の創設を求めます。伺います。
次に、住宅の問題です。
税、保険料の急激な負担増に加えて、旧公団住宅、公社住宅では、近傍同種を基準とした3年ごとの家賃の大幅な値上げが、年金収入の高齢者には重くのしかかっています。公営住宅に申し込んでもなかなか入れず、「住むところがなくなるのではないか」という不安は大変なもので、外にはなるべく出かけない、洋服は買わない、食べる物を減らすなど、孤独死が問題になっている中で孤立せざるを得ないような生活状況に追い込まれています。
区はこれまで「国や都で検討すべきこと」と、この問題に向き合おうとしていません。しかし、政府は住民の願いとは逆に、公営住宅法施行令を改悪し、来年度から公営住宅入居基準を引き下げ、入居できる世帯そのものを少なくしようとしています。また、都市再生機構では、これに合わせて減免対象基準を引き下げる方向と聞いています。
これまで減免をされていた高齢者の世帯は、家賃の大幅な値上げを求められることになります。居住者は負担能力に応じた減免制度を求めています。政府と都市再生機構に対し、減免制度の後退をやめ、むしろ拡充するよう求めるべきです。伺います。
また、公営住宅の建設も求められています。民間賃貸住宅に居住する高齢者は、家賃が安いところに住まわざるを得ないため、おふろがない、狭い外階段、ベッドが置けない部屋など、高齢者の生活には過酷な居住環境にあります。高齢者の住まいの確保は、憲法の定める国と自治体の役割です。政府と東京都に対し、入居対象者の拡大と公営住宅の建設を求め、区としても高齢者の居住実態を調査し、住宅の借り上げ、家賃補助の実施を行うべきと思いますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)