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2008年第1回定例会-正保みきお議員(後期高齢者医療 地域経済 防災)

  1. 後期高齢者医療制度の問題
  2. 江東区地域経済活性化基本条例について
  3. 地域防災計画について

日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。
 第1は、後期高齢者医療制度の問題です。
 後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を後期高齢者と呼び、ほかの世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押しつけるものです。
 今、この制度の中止、撤回、見直しを求める意見書が505の地方議会で可決され、東京でも全62区市町村議会の77%に当たる48議会に上るなど、高齢者、国民の怒りが急速に広がっています。高齢者の怒りは負担増だけでなく、人間としての存在が否定されたような扱いを受けることへの深い憤りです。
 政府・与党は、国民の激しい怒りを前に高齢者の負担のごく一部の一時的な凍結を打ち出していますが、一時しのぎの部分凍結などという小手先の見直しをしなければならないこと自体、制度の破綻を自ら認めたものです。区が主催した説明会でも、「わずかな年金から保険料を天引きするなんてひどい」「年寄りは長生きするな、生きるなというのと同じではないか」「受ける医療が決まっていないのに、何で保険料だけ先に押しつけるのか」、怒りの発言が相次ぎました。区長は、高齢者のこの怒りの声をどのように受けとめているのですか、まず伺います。
 東京都後期高齢者医療広域連合は、1月24日、低所得者対策として保険料の軽減策を打ち出しました。これは、保険料負担の軽減を求めてきた区民、都民の世論と運動が広域連合を動かした成果です。しかし、低所得者対策とはいっても年金収入153万円以下の後期高齢者が軽減対策の対象から外されているなど、極めて不十分なものです。江東区では後期高齢者3万2,000人の6割が年金収入153万円以下であり、区内後期高齢者の約9割が、今、払っている国民健康保険料よりも負担増となります。東京都に対し、さらなる保険料軽減のための財源を強く求めるべきです。
 また、高齢者医療確保法は、区市町村が独自で保険料を軽減することを認めています。江東区独自に、低所得者に対する軽減策を実施すべきです。あわせて伺います。
 4月から75歳以上は、後期高齢者の健康診査に切り離されます。厚生労働省は、健康診査を申し込む75歳以上の人に、血圧や血糖、コレステロールを下げる薬を使用している人は既に治療中で生活習慣病の必要な検査をしているとみなし、健診の対象から除外してもらうと、都道府県に指示しました。薬の服用だけで「治療している」と機械的に判断することは他の病気を見落とす危険があり、早期発見、予防に逆行するものです。74歳までは高血圧の薬を飲んでいても健診を受けることができるのに、75歳になった途端に「健診の必要なし」とされる理由がどこにあるのでしょうか。区は、これまでの基本健診と同様に、すべての後期高齢者を対象とした健康診査を実施すべきです。見解を伺います。
 また、政府に対し、高齢者の健康に直結する健康診査の改悪を直ちに中止するよう求めるべきです。伺います。
 中央社会保険医療協議会、中医協は、2月13日、診療報酬の改定案を厚生労働大臣に答申しました。改定案は、外来医療で後期高齢者診療料を導入。また、高齢者の検査回数がふえても診療報酬はふえないように制限を設け、さらには長期入院にならない体制をとった医療機関を評価し、終末期も過剰医療をしない確約をとった医療機関の報酬を高くするなど、75歳以上の医療を差別、制限する内容です。医療給付費を減らすため、強引に退院を勧め、患者や家族に犠牲を転嫁することは、新たな医療難民、介護難民をつくることになりかねません。今回の中医協の診療報酬改定案に対する区長の認識を伺います。
 政府は、医療費削減と言いますが、高い薬価や高額医療機器などにもメスを入れつつ、公共事業や軍事費などの浪費を見直し、大企業、大資産家に応分の責任を求めるなら、消費税に頼らなくても公的医療保障を拡充できます。戦中、戦後の苦難を乗り越え、日本の復興に貢献されてきたお年寄りを医療費の削減を目的にして差別することなど、絶対に許せません。後期高齢者医療制度そのものの中止、撤回を政府へ求めるべきです。伺います。
 第2は、江東区地域経済活性化基本条例についてです。
 私たち区議団は、中小企業は地域経済の主役という立場から、中小企業振興を区政の柱に位置づけ、振興施策の実施を区長の責務とする中小企業振興基本条例の制定を早くから繰り返し求めてきました。都内で初めて条例を制定した墨田区の条例や、国の中小企業基本法の改定後に全国に先駆けて制定した大阪府八尾市の条例には、中小企業施策の実施を区長の責務、市の責務であると明確に書いています。今回提案されている本区の条例案には、そのことを明確に規定していません。区の条例案に対するパブリックコメントでも、区や区長の責務を入れてほしいとの区民意見が多数寄せられています。中小企業振興策の策定と実施は区の責務だという積極的な姿勢を、条例の中に明確に規定すべきです。見解を伺います。
 私たち区議団は昨年12月、大阪府八尾市の中小企業サポートセンターを視察しました。八尾市は、条例制定後短期間に中小企業振興のための施策を体系化し、具体的な施策のメニューをそろえてきたことや、中小企業サポートセンターを開設し、多様な専門分野のコーディネーターが市職員と市内中小企業へ直接出向いていって実践的なサポートをするなど、積極的な施策を展開しています。八尾市の産業振興担当者は、「条例をつくっても実行しないと絵にかいたもち、中小企業を本当に支援するのかどうか、このスタンスが一番大事だ」と語っています。本区の新年度予算には、区独自の新たな中小企業振興策が見当たりません。条例制定をした後、どのような施策展開をしていくつもりですか、答弁を求めます。
 八尾市では、産業振興会議を設置し、市民や商工業者を委員として、市と市民、商工業者とのコミュニケーションを通じて合意を得ながら、市長へ政策提言を行っています。本区では、江東区地域経済活性化基本条例制定後の運営組織として、現在の江東区中小企業活性化協議会を活用するとしています。しかし、この協議会には、消費者、区民が入っていません。消費者団体や区民、学識経験者、専門家をメンバーに加え、地域経済の活性化を図るための具体的な施策提言も行える体制に再構築する必要があると考えますが、見解を伺います。
 私たち区議団は、区内中小零細企業の実態をまずはよく把握し、それを土台に実効性ある施策を展開すべきと繰り返し求めてきました。八尾市では、地域の産業集積の実態把握に努め、産業集積の基盤強化などを基本施策として位置づけました。墨田区でも、区職員が区内へ出ていって調査し、その実態調査に基づいて、独自の施策メニューを積極的に展開しています。本区でも、条例の制定を機に江東区中小企業活性化協議会と連携して、地域経済の担い手である区内中小企業の実態調査を求めるものです。伺います。
 第3は、地域防災計画についてです。
 本区では、東京都防災会議の首都直下型地震の被害想定を踏まえ、地域防災計画の見直しを行いました。マグニチュード7.3の東京湾北部地震が発生した場合、江東区では揺れと液状化、火災で約1万7,000棟が全壊、死者300人余り、負傷者約8,000人、帰宅困難者約12万5,000人と被害想定をしています。区の防災計画見直しでは、被害を半分に減らす減災目標を定め、10年以内に達成するとしました。減災の考え方は重要です。しかし、災害による死者は一人も出さないという姿勢と対策こそ、区民の命を守る自治体の責務だと考えますが、見解を伺います。
 阪神・淡路大震災の最大の教訓は、住宅がつぶれなければ、ほとんどの方が命を失うことはなかったことです。区内には1981年以前の古い耐震基準でつくられた住宅が約4万7,000戸あり、そのうち木造住宅が約1万6,000戸あります。今、北砂の木造住宅密集地域の防災整備事業が継続して実施されていますが、この地域以外にも危険度の高い地域が残されています。昨日、東京都が公表した「地震に関する地域危険度測定調査」では、北砂六丁目、大島七丁目、東砂五丁目の住宅密集地域が建物倒壊と火災の総合危険度が最も高い地域として指摘されています。これら災害に弱い木造住宅密集地域を優先し、住民参加で耐震化を進めるべきと思いますが、伺います。
 通常、木造住宅の耐震改修には200万円以上の費用がかかると言われています。本区では、戸建て木造住宅の耐震改修に工事費用の半分、上限50万円を助成していますが、昨年度の実績はゼロ、本年度は現在まで1件です。現行の助成制度は、1階、2階両方が工事後に耐震性を採点した評点が1.0以上にならないと、助成対象となりません。そのため改修前に評点が低ければ低いほど費用が膨らみ、低所得者には使いづらい制度となっています。墨田区や杉並区では、改修後の評点が1.0に到達しなくても耐震性能が向上すれば助成の対象としています。昨年度の実績は、墨田区で15件、杉並区では60件で利用されています。墨田区の担当者は、「建物の崩壊から完全に避難できる時間を確保できれば区民の命を救える、そのために日常生活している居間や寝室、玄関等の部分的な簡易改修にも助成している」と語っています。本区でも簡易改修に対して助成することで、区民自ら捻出できる費用の範囲で命のセーフティーネットが向上するものと思います。木造住宅の耐震改修後の評点が1.0以下の簡易改修に対しても、助成の対象とすべきです。伺います。
 私たち区議団は、マンションの耐震改修工事に助成すべきと繰り返し求めてきました。新年度予算案で、マンション耐震改修工事に1,000万円の助成が盛り込まれたことは一歩前進です。しかし、マンションの耐震改修には多額の費用がかかり、なかなか改修が進まないのが現状です。賃貸、分譲マンションの部分的な簡易改修に対しても助成を図るべきと思いますが、伺います。
 小中学校の耐震化については何より最優先して行うよう繰り返し提案してきましたが、区はあと2年で耐震補強工事を終わらせる計画です。さらに前倒しで促進を求めるものです。伺います。
 区は、小中学校以外の保育園や幼稚園、障害者施設、区民体育館など41の区立施設の耐震化について、9年後の2015年完了を目標としています。これらの施設は、乳幼児や障害者など災害弱者が利用している施設であるとともに、災害時における避難所となる防災計画上、特に重要な機能を果たす施設です。もっとスピードを上げて耐震化を進めるべきです。見解を伺います。
 震災により住む家を失い、自力で家を確保できない被災者に応急的な仮設住宅を建設するのは東京都の仕事ですが、その建設用地の確保は区の役割となっています。マグニチュード7.3の東京湾北部地震が発生した場合、応急仮設住宅用地がどれだけ必要なのか、区は想定していません。1カ月後の避難所生活者が10万4,005人に上ることからも、相当数の仮設住宅と、その用地確保が必要です。現在、仮設住宅建設候補地は16カ所の区立公園で約600戸分、区内4カ所の都立公園で約1,600戸分、合わせて約2,200戸分しかなく、充足しているとは言えません。区は、直下型地震の新たな被害想定に基づき、区立公園や区内のオープンスペースを応急仮設住宅の建設用地として拡充を図るべきです。また、木場公園などの都立公園や海上公園などのオープンスペースを震災時の応急仮設住宅建設候補地として確保するため、早急に東京都と協議することを求めます。いかがですか。あわせて答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

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