カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , , パーマリンク

2018年第2回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  • 高齢者の生活支援について
  • 住宅問題について
  • 若者支援について

 第1は、高齢者の生活支援についてです。
 高齢者の貧困状況が深刻です。国民生活基礎調査に基づく分析では、「生活が苦しい」と答える世帯が年を追うごとに増加し、最低生活費未満で生活する世帯が4分の1、貯蓄があってもいつなくなるかわからない不安を抱えているとのことです。
 江東区でも、高齢者の生活保護受給世帯はふえて、全体の6割を占め、共産党区議団が行ったアンケート調査には、「長生きすることが人生の最大のリスク」、「80歳の今でも働いているが病気になったら生活できない」など、悲痛な声がたくさん寄せられました。
 戦争を体験し、後の日本経済の土台をつくってきた高齢者が、老人漂流社会、老後破産、長寿という悪夢などと、社会問題となる高齢者の生活困窮状況をどう認識していますか、まず伺います。
 高齢者の経済的困窮は、友達との交流ができないなど、社会参加の機会の減少、食費の節約からくる健康阻害など、心身を害する要因ともなっています。健康で文化的な生活を保障する区の役割として、経済的支援が求められます。
 まず、医療・介護の負担軽減です。
 入院時の差額ベッド代について、厚生労働省は、治療上の必要で個室を利用する場合に加えて、大部屋が満室のときも差額ベッド代は取れないとの通知を出しました。区報で取り上げるなど、医療関係者や区民に周知すべきです。
 また、月に二、三万円もかかる入院時のおむつ代は、現在の7,500円を実態に見合って引き上げるとともに、せめて日用品等の購入費用として入院見舞金制度の創設を求めます。
 在宅の介護では、利用料負担の心配なく介護保険を利用できるように、介護手当の支給制度の創設を求めます。
 さらに、区が行う見守り事業は、この間、廃止や利用条件を制限する傾向にありますが、むしろ拡充すべきです。
 福祉電話は、今年度から新規受け付けがなくなりました。しかし、外部との連絡や救急車の要請など、低所得で電話が持てない世帯にとって福祉電話は命綱です。新規受け付けの復活を求めます。
 緊急通報システムの補助、声かけ訪問などは、利用対象の制限をなくし、必要な人が利用できるようにすべきです。伺います。
 次に、長寿サポートセンターについてです。
 「夫が夜徘徊して寝られない」、「介護者が疲れで入院した」など、高齢化の進行の中、長寿サポートセンターはすぐに駆けつけてくれる頼りになる存在ですが、仕事量が多く、8時、9時までの残業が常態化しているとのことです。
 今後さらに、地域包括ケアのかなめとして、町会・自治会、医療関係者や警察など、地域と連携した役割が求められるとなると、とても人が足りません。権利擁護、病気予防、地域福祉など、本来業務をしっかり進めるためにも、介護予防プラン作成のケアマネジャーの定員をふやすべきです。
 また、困難事例やトラブルを抱えたときの同行支援、仕事のバックアップ、スキルアップを行う基幹型センターの設置を求める声が上がっています。
 高齢者の生活を支える仕事を事業者任せにせず、区直営で基幹型センターを整備し、センター間の調整や指導、助言を初め、困難事例にはともに出向いて解決に努めることで、地域の状況もわかり、実効ある区の施策につながると考えますが、見解を伺います。
 次に、介護の総合事業についてです。
 要支援の介護が総合事業に移行したことにより、利用者からは、「時間が短くなって、今までしてもらっていたことができなくなった」などの声が寄せられています。
 総合事業は、住民等の主体により多様なサービスを提供すると取り組まれてきましたが、事業開始から2年、期待された住民主体のサービスはわずか数%、今後の見通しも需要を満たすことを期待できるものではありません。
 事業所提供の基準緩和サービスも、今年度から単価アップを図ったものの、大手事業者が撤退を表明するなど、そもそもの人手不足もあって受け入れが困難になっていると聞いています。
 区は今年度で現行相当のサービスを打ち切る方針ですが、受け皿のない現状では介護難民をふやすことになります。総合事業の現行相当は残し、サービス提供や事業所運営が適切に行われているか実態を把握し、報酬単価の引き上げ、人材確保支援を強化すべきです。また、政府に対し、要支援者の介護は介護保険に戻すことを求めるべきです。伺います。
 質問の第2は、住宅問題です。
 東京都の昨年の調査では、住居を持たないネットカフェ難民が、都内で1日約4,000人に上ることがわかりました。10年前の国の調査では、全国で5,400人ということですから、不安定な生活の広がりは明らかです。また、ことし高齢者が死亡した無料低額宿泊所の火災では、劣悪な住環境が改めて問題となりました。
 本区においても、大部屋をカーテンで仕切り、2段ベッドを置いただけの宿泊所に、何年も居住する状況について、会派として改善を求めてきた経緯があります。住まいがあっても、狭くてバリアフリーの改修ができない、家賃が払えないなど、住まいの不安はそのまま生活の不安です。
 会派のアンケートに寄せられた声も、「都営住宅に何年申し込んでも当たらない」、「働いているが、貯金がなくなったら住むところがない」と切実です。住宅施策の抜本的拡充が必要であると考えますが、見解を伺います。
 昨年10月、改定住宅セーフティネット法が施行されました。高齢者や障害者などの入居を拒まない賃貸住宅や空き家を登録してもらい、家主には住宅改修費や家賃低減補助を行う仕組みですが、江東区の登録物件はいまだありません。東京都は、さきの法律に基づき、提供物件の改修費や低所得者への家賃軽減費などの補助を行う制度をつくりました。この制度も活用し、登録物件の確保に努めるべきです。伺います。
 次に、本区のお部屋探しサポート事業です。
 支援対象を高齢者だけでなく、障害者、ひとり親家庭に広げましたが、29年度実績は、158件の相談件数に対し契約成立10件と少なく、改善が必要です。
 品川区では、社会福祉協議会と連携して、定期的安否確認と急病などの緊急時にも対応するほか、葬儀や家財撤去を代行する支援を行います。
 本区としても、高齢入居者の孤独死などに不安がある家主に対し、こうした支援を行うべきと考えます。また、相談窓口も、何回も区役所に通わなくてもよいように、不動産業者の代理申請を認めるなど、改善すべきです。あわせて伺います。
 次に、公営住宅の増設についてです。
 都営住宅の申し込みは高倍率が続き、とりわけ高齢者住宅は数十倍の厳しい状況です。住宅確保が困難な住民にとって、公営住宅の提供は最も確実な手段であるのに、都営住宅の戸数はふやさない方針です。
 区内では、築年数の長い都営住宅の建てかえ、高層化が進み、敷地に余裕が出ています。住宅戸数をふやすように都に求めるべきです。また、本区の区営住宅の検討においても、住宅戸数をふやすことを求めます。伺います。
 公共住宅であるUR住宅の活用も急ぐ必要があります。
 本区にはUR住宅が1万6,000戸もありますが、高齢化が進み、入居世帯の5割が公営住宅入居階層に当たるとの調査もあります。
 国交大臣の基本方針では、UR住宅は、住宅確保要配慮者の居住の安定を担う重要なストックとして位置づけられ、借り上げ公営住宅や地域優良賃貸住宅として活用することも検討と明記されました。国において収入に応じた家賃設定を行うことが必要ですが、区としては、高齢者住宅としての借り上げ、家賃助成を実施すべきです。伺います。
 質問の第3は、若者支援についてです。
 内閣府は今年度、40歳から59歳を対象に、ひきこもりの実態調査を行います。これまで若者特有の問題とされてきたひきこもりやニートの状態が継続したまま年を重ね、親も高齢になり、収入減や病気などで一家が孤立、困窮するケースが顕在化しているということです。
 80代の親が50歳代の子の生活を支える8050問題と社会問題になるほどにその対象者数も多く、長期化が進んでいる状況は、今後の社会にとって問題であるというだけでなく、本人や家族にとってはつらく、苦しい生活を長期に過ごしていることでもあり、早い時期からの支援強化が求められます。
 そこでまず、ひきこもり、無業状態にあるなど、生きづらさを抱えている若者支援について伺います。
 本区の総合相談窓口であるこうとうゆーすてっぷを、区役所青少年課を中心に行っています。しかし、実施の基本は週3日で、午後1時から5時、電話相談は午後5時から7時の週1回です。
 青年の悩みは、本人も家族もなかなか人には話しにくく、相談者の多くが本人より保護者や親戚関係者であることを考えると、いつでも相談できる常設か、少なくとも土日、平日夜の実施をすべきです。
 また、広報広聴課発行の江東区の相談案内に青少年相談は紹介されていません。広く周知すべきと考えますが、あわせて伺います。
 次に、若者支援の取り組み体制についてです。
 自立した社会参加に踏み出すには、生活の立て直しと就労への展望を持った支援が不可欠です。ゆーすてっぷでは、訪問支援で就労に結びつけたり、インテーク会議で他機関とのつながりができた例があると聞いていますが、こうした取り組みを抜本的に前に進める体制の整備を求めます。
 例えば本区の事業で、保護課の就労センターなど、各種就労支援事業があり、経済課はこうとう若者・女性しごとセンターを実施するなど、青年の自立支援にかかわる事業がいろいろありますが、そのほとんどが事業委託で、実施場所、事業者、区の担当課も別々です。心の悩みや発達障害などは、保健所、医療機関などとの連携も必要です。
 2010年に施行された子ども・若者育成支援推進法は、若者の抱える問題の深刻化に対応するには、従来の縦割りの対応では限界があるとして、支援の総合的推進のための枠組みの整備、各機関の連携、調整のためのネットワーク整備を目的に制定されましたが、本区の取り組みは不十分です。青年支援の総合計画をつくり、相談から支援事業につなげるための支援コーディネーターや、地域協議会の設置など、各機関との連携に責任を負うコンシェルジュとしての区の役割強化を含め、体制を整備すべきです。伺います。
 次に、青少年の居場所づくりと活動の拠点整備についてです。
 ひきこもりや無業状態など、今日の若者の抱える問題の背景には、競争教育の中での自己肯定感の不足、経済格差の広がりの中で、家庭環境の悪化や労働者使い捨ての社会環境など、さまざまな要因があります。
 ちょっとしたつまずきでも、孤独な環境でなかなか立ち直れない、自分に自信が持てず、人と触れ合うのが怖くなる、こういう青年にほっとできる居場所を提供する。ちょっと上のお兄さん、お姉さんがいて、つまずいても大丈夫という大人がいる、何かあれば相談できる、グループ活動にも参加でき、そこで自信をつけて社会とのつながりがつけられる、そうした活動ができる場所が必要であるというのが、先進的な取り組みを行っている自治体の教訓です。そこで、青少年活動の拠点機能を持った基幹センターの整備を求めます。
 江東区では、ジュニアリーダーの育成や青少年を地域で支える青年館活動は、かつて深川、亀戸両青年館で行われていましたが、青少年センターに縮小され、今は区役所4階が活動拠点になりました。これでは青年から見えません。青少年課は庁内から出て青年育成の活動拠点を地域に移し、総合相談や就労支援など、ワンストップで行う体制をつくるとともに、亀戸の青少年交流プラザを含め、ブランチとしての地域センターを区内各所に設け、地域と一体で青年問題に取り組む体制をつくるなど、青少年支援の予算と施策の抜本的拡充を求めます。
 見解を伺い、質問を終わります。(拍手)


(再) 高齢者の生活困窮に対する区の見解なんですが、高齢者の生活が大変になっているということはお認めになった。しかし、健康で文化的な生活を保障することは国の役割だということで、江東区としては、さまざまな経済的な支援の提案をさせていただきましたけれども、こうした経済的支援については、区としてはやる考えはないということなのか。この辺をお答えいただきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です