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2018年第2回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問を行います。

  • 豊洲市場問題について
  • 生活困窮者支援について
  • 保育問題について
  • 憲法と平和問題について

 第1に、豊洲市場問題について伺います。
 豊洲新市場の開場予定日まで4カ月となりましたが、土壌汚染問題、施設の欠陥と使い勝手の悪さの問題、にぎわい施設計画の問題など、混迷は深まるばかりで、何一つ解決していません。
 築地市場の女性でつくる築地女将さん会は4月11日、都に対し、開場延期、移転中止、築地での再整備を要請しました。
 3月に行ったアンケートでは、水産仲卸業者の7割が、市場移転の中止、凍結を求め、10月11日の開場日設定についても、8割が「納得していない」と回答しています。
 水産卸売場から水産仲卸売場までのターレの移動時間が、今までの6倍もかかることや、トラックの荷台の扉が横開きで使えず、荷物の積みおろしに時間がかかること、店舗面積が狭いことなど、これまでも指摘されてきましたが、5月10日に行われた集荷の搬出入を行う習熟訓練に参加した業者からも、追加工事が必要との声も上がっています。このまま開場されれば混乱は必至です。
 市場業者の理解も得られず、施設の問題も解決されないまま市場の開場を強行すべきではないと思いますが、伺います。
 市場移転の最大の問題は土壌汚染問題です。東京都は、「土壌も地下水も環境基準値以下にする」との都民への約束を反故にし、追加対策工事で済まそうとしていますが、汚染が残されたままでは食の安全は確保できません。
 4月3日に発表された昨年12月からことし2月の地下水モニタリング調査の結果では、46カ所中39カ所の調査地点から、環境基準を超える汚染物質が検出されています。ベンゼンは最高で130倍、検出されてはいけない猛毒のシアンは検出下限値の14倍、シアンやヒ素は前回調査より上昇傾向にありました。区は今回の調査結果をどのように受けとめているのか、伺います。
 都の専門家会議は、地下水から汚染が検出され続けていることについて、「環境基準は超えているが大きく変化はしていない」、「地下水管理システムで地下水を回収するから、中長期的に水質は改善していく」と述べていますが、いつ改善するのか具体的な見通しを示せていません。そもそも、土壌汚染対策で除去したはずの汚染が検出されること自体問題で、これまでの土壌汚染対策の失敗は明らかです。失敗した土壌汚染対策を提言した専門家会議がいくら大丈夫だとお墨つきを与えても、全く信頼できないのではないですか。伺います。
 豊洲新市場では、汚染地下水が上昇して地上に出てきてしまわないようにするために、市場の敷地の3つの街区をそれぞれ遮水壁で囲み、敷地外との地下水の移動を防いだ上で、ポンプによって地下水を吸い上げ、地下水位を海水面のプラス1.8メートルで保つ地下水管理システムが設置されています。
 しかし、地下水管理システムが本格稼働してから1年半も経過するのに、海水面のプラス1.8メートルという地下水位を達成できているのはわずか4割にすぎません。
 地下水位の変動を分析した研究者からは、遮水壁を隔てた市場の内側と外側の地下水位の変動がリンクしており、地下水管理システムが機能していないか、もしくは遮水壁が機能していない可能性があると指摘されています。
 地下水管理システムや遮水壁がうまく機能していなければ、汚染地下水を回収することはできず、地下水の上昇で揮発した汚染物質が地上に暴露してしまうおそれがあります。
 区は、遮水壁や地下水管理システムの有効性について、調査、分析を求めるべきではないですか。伺います。
 ぐるり公園と市場の敷地の境界の遮水壁が地上面より2メートルも低いことから、地上面まで上昇した汚染地下水が遮水壁を乗り越えて、ぐるり公園の土壌も汚染しているのではないかという可能性が指摘をされています。
 区長は、盛り土の再調査について、調査を求めるつもりはないと答弁してきましたが、ぐるり公園の安全性を確保するためにも、盛り土の調査とともに、ぐるり公園の土壌の調査を求めるべきではないですか。伺います。
 食の安全・安心は何よりも優先されなければなりません。汚染が残されたままでは将来にわたって不安を抱えることになり、江東区にとっても、また都民にとってもよいことではありません。食の安全が確保できない豊洲東京ガス工場跡地への築地市場の移転は、撤回を求めるべきです。伺います。
 第2に、生活困窮者支援について伺います。
 格差と貧困が広がる中、離婚や病気、障害や失業、借金など、さまざまな事情で生活困窮に陥り、その結果、税金を滞納してしまう方も少なくありません。区は、払いたくても払えない人まで一律に悪質だとし、放置すれば公平を失するとの考えから、わずかな預貯金や給与の差し押さえを行っています。
 けがをして仕事ができなかったことをきっかけに、税金の滞納が膨らみ、預貯金の全額を差し押さえられてしまった区民の方は、「差し押さえを解除してもらわないと生活できない」、「どうやって生活すればいいのか」と訴えましたが、窓口の職員からは、「自分で考えてください」と冷たく言われ、結局、生活保護を受けざるを得ない状況に追い込まれました。
 私が5月に視察した滋賀県野洲市では、差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税してもらうほうが長期的な納税額が大きく、親身に相談に乗る頼りがいのある行政でこそ、今後の長期的な納税意欲の向上につながるとの考えから、滞納は生活困窮のシグナルと捉え、滞納者の生活再建を支援し、税金等の滞納を解消しています。
 野洲市長は、「税金を納めてもらう以前に、市民の生活が健全でなければならない。市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒」と述べています。
 江東区でも、滞納は生活困窮のシグナルとの立場に立ち、生活困窮にまで追い込む強制徴収はやめ、まずは生活再建のための支援を行う生活再建型の滞納整理へと転換を図るべきではないでしょうか。伺います。
 税金の滞納をしている場合、その背景には失業や借金、家族の問題などを抱えていることが多く、また、税金だけではなく、国民健康保険料など、ほかの支払いも滞っている場合があります。
 野洲市では、庁内で情報を共有して、横の連携を図るため、市が扱う債権の管理台帳を整備し、税情報を持つ納税課が債権を一元的に扱うとともに、市民生活相談課と連携し、仕事、生活、借金などに悩む相談者をたらい回しせず、生活再建のための包括的な支援を行っています。
 江東区でも、区民税等の滞納をしている区民の生活再建を包括的に支援する生活支援課を設置すべきではないでしょうか。伺います。
 区は、現在、生活困窮者自立支援法に基づく自立支援相談を、民間事業者に委託して実施していますが、民間委託の場合、区の職員が委託先職員に直接指示を行えば偽装請負になるため、対等な立場で業務を行うことは困難です。また、包括的な支援を行うためにも、債権の滞納情報などを庁内で共有することが必要ですが、個人情報の取り扱いという点から民間委託は問題です。
 自立支援相談は、民間委託ではなく区の職員が直接行うべきではないですか。伺います。
 また、現在、任意事業の家計相談については実施されておりませんが、家計の立て直しをアドバイスする家計相談事業についても実施すべきだと考えますが、伺います。
 江東区では、28年度、4,431件の区税の差し押さえを実施していますが、一方で、徴収猶予はゼロ件、生活困窮を理由とした換価の猶予もわずか2件しか行われていません。
 野洲市では、市民生活相談課に相談が寄せられた段階で、まずは徴収を停止し、滞納の原因を探り、解決のための支援を行います。その上で、支払い困難となれば、債権管理審査会の審査を経た上で債権放棄を行っています。
 江東区でも、税金や保険料が払えないとの相談があった段階で、まずは徴収停止を行い、滞納原因の解決に当たるべきではないでしょうか。伺います。
 第3に、保育問題について伺います。
 江東区の保育園不足は引き続き深刻です。ことし4月時点での待機児童数は、国基準で76人とのことですが、認証保育所に入所できたこどもは除かれており、実際には認可保育園に申し込んでも入れなかった待機児童数は1,503人に上っています。
 ゼロ歳児のお子さんが認可保育園に入れなかったという区民の方は、「やむを得ず満員電車で職場近くの企業内保育園に預けようと覚悟していた」、「近所の認証保育所にあきが出てほっとしたけれど、認可保育園をふやしてほしい」と、切実な声を寄せています。
 1,500人を超すこどもが認可保育園に入れなかったということについて、区はどのように認識していますか。伺います。
 区は、今年度から認可保育所の空きスペースを利用した定期利用保育や、自宅に保育士を派遣する居宅型保育を新たに実施しています。しかし、定期利用保育は2歳児の1年間だけで、3歳児以降の保育が保障されるわけではありません。
 また、居宅型保育も、保育士が1人で保育することから、安全面や他人が自宅に入ることにちゅうちょする方も少なくありません。
 小規模保育所も2歳児までが対象で、3歳児以降の保育が保障されていないことや、転園によるこどもの負担も問題です。
 認可保育園への入園を希望するこどもの保育を保障するために、毎年1,000人の保育所の定員増の目標を引き上げるとともに、ゼロ歳から5歳までの認可保育所の整備を基本に増設を行うべきではないでしょうか。伺います。
 認可保育園の整備が進まない大きな原因となっている保育士不足も依然として深刻です。保育士が集まらないため、区内でも認証保育所の閉園やゼロ歳児保育が廃止されるなどの事態が起きています。
 さらに、昨年は、保育所の事務職員の内部告発によって、保育士がそろわないのに、書類上保育士がいるかのように見せかけていたことが発覚をし、補助金の返還を求める事件まで発生しました。
 保育士基準を満たさないまま保育をすることは、こどもたちの安全や命にかかわる問題であり、決して許されることではありません。再発防止のために検査体制を強化するとともに、保育士不足という根本問題を早急に解決しなければなりません。
 この間、国の処遇改善やキャリアアップ補助など、都独自の賃金引き上げ策などが実施されてきましたが、一般労働者と比べ、月額10万円も低い保育士の給与を改善するには十分とは言えません。また、今年度実施する国の処遇改善加算も、一部の職員にだけ4万円の昇給を義務づけるもので、所長や主任保育士との給与額の逆転や他の職員との格差が大きくなるなど、現場からは新たな矛盾が生じるとの声が上がっています。
 また、13時間保育が行われるなど、保育時間が長時間化する中で、保育士の負担も増加し、働き続けられない要因にもなっており、保育士の配置基準の見直しも必要です。
 保育士の処遇改善と安定した保育を実施するために、国の保育所運営費基準の引き上げ、保育士の配置基準の見直しを国に求めるべきではないですか。
 また、区として、保育士を増配置するための補助を拡充すべきだと思いますが、伺います。
 区は、ことし4月から区立南砂第四保育園の民営化を実施し、さらに今後、辰巳第二、東砂第三、亀高第二保育園の民営化を実施することを明らかにしています。
 区立直営保育園では、ほとんどの職員が定年まで仕事を続け、離職率は2%から3%弱なのに比べ、民営化された保育園での離職率は、28年度で平均20%、多い園では47%と、半分近い保育士が入れかわっている保育園もありました。
 民営化によって経費を削減できると言いますが、公立園に比べ保育士の給与などが低く抑えられているためです。保育士の処遇を改善し、保育士の確保を進めていかなければならないときに、処遇の安定した公立保育園を民営化することは、区みずからが安上がりの労働者をつくり出し、待機児解消にも逆行するものです。これ以上の民営化は中止し、社会福祉法人など、民間事業者には新たな保育園整備に力を尽くしてもらうべきではないでしょうか。伺います。
 大綱4点目は、憲法と平和問題についてです。
 安倍政権のもと、憲法改悪が行われようとしています。自民党が3月の党大会で取りまとめた憲法改正の条文案では、憲法9条2項の後に「前条の規定は、自衛の措置をとることを妨げない」として、自衛隊を明記する条文を加えるとしています。
 安倍首相は、9条に自衛隊を書き込んでも何も変わらないと言いますが、前条の規定は妨げないというのは、海外での武力行使を禁じてきた9条2項の制約を取り払うということです。
 また、自衛の措置には集団的自衛権も含まれ、日本が攻撃を受けていなくても自衛隊が米軍などと一緒に武力行使ができることになり、海外での無制限の武力行使に道を開くことになります。何も変わらないというのは、全くのごまかしではありませんか。区長の見解を伺います。
 安倍政権は、憲法違反の戦争法、安保法制を強行し、政府も憲法上認められないとしてきた空母の保有を検討、長距離弾道ミサイルを導入して敵基地攻撃能力の保有にまで踏み出すなど、専守防衛をかなぐり捨て、さらに自衛隊の日報隠蔽など、シビリアンコントロールも大きく崩れています。
 憲法9条が変えられ、米軍とともに海外での武力行使を行えば、常に他国からの攻撃やテロの脅威にさらされるなど、日本の安全、国民の命を守るどころか、逆に危険にさらされることになるのではないでしょうか。伺います。
 日本は、15年間にわたる侵略戦争で、310万人以上の日本国民と2,000万人を超すアジアの人々を犠牲にしてきました。江東、墨田など下町一帯も、東京大空襲によって一夜にして10万人近くの方が命を失いました。
 日本国憲法は戦争の反省の上に立ってつくられたものであり、戦後70年、憲法が一度も変えられなかったのは、悲惨な体験から戦争に反対し、平和を求めた国民の声があったためです。
 江東区は、平和都市宣言で、再び戦争の惨禍を繰り返してはならないことを強く世界の人々に訴えるとしています。区長として憲法9条の改悪に反対すべきです。伺います。
 昨日、史上初の米朝首脳会談が行われました。長年にわたって厳しく敵対してきたアメリカと北朝鮮が、初の首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築を進め、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意したことに対して、私たち日本共産党は心から歓迎を表明するものです。
 今回の米朝首脳会談は、非核化と平和体制構築に向けたプロセスの開始であり、目標を達成するためには、共同声明の合意の具体化と誠実に履行するための真剣で持続的な努力、国際社会の協調した取り組みが必要です。
 安倍政権は、この間、北朝鮮の核開発は国難だとまで言って、憲法9条改定の必要性と軍事力強化を強調し、対話を否定し、圧力一辺倒の対応に終始してきました。しかし、今、日本政府に求められているのは、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致問題や過去の清算など、両国間の懸案事項を包括的に解決し、国交正常化のための努力を図り、開始された平和のプロセスを促進する役割を果たすことです。
 今後、速やかに日朝首脳会談を行うべきだと思いますが、区長の見解を伺います。
 日本共産党は、決して戦争にしてはならないとの立場から、一貫して対話による平和的解決を主張し、4月上旬には、朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制の構築を一体的、段階的に進めることを関係各国に要請してきました。
 開始された平和のプロセスが成功をおさめるならば、地域の情勢を一変させるものとなります。日本共産党は、引き続き北東アジア地域の平和体制の構築に向け努力することを表明し、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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