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2018年第2回定例会―そえや良夫議員

 日本共産党区議団を代表し、大綱3点について質問します。

  • 教員の働き方改革について
  • 中小企業支援について
  • 羽田新飛行ルートについて

 第1は、教員の働き方改革についてです。
 昨年6月、東京都教育委員会が行った教員の勤務実態調査では、過労死ラインと言われる月80時間以上の時間外勤務をしている教諭の割合は、小学校で約4割、中学校で約7割に上ります。そのため、本区教職員組合のアンケートに、半数を超える教員が「日々疲れを感じる」と答えるなど、実に7割以上が過労状態であることが示されています。そういう中でも、ほぼ全ての教員がこどもと向き合える時間が欲しいと求めています。長時間過密労働の改善は、教職員の健康問題にとどまらず、こどもと向き合う時間や教育の質を確保し向上させる上からも、緊急に解決すべき待ったなしの課題です。
 東京都教育委員会がことし2月発表した働き方改革推進プランは、業務の役割分担や組織運営の見直し、時間管理と意識改革が柱です。
 業務見直し案には、給食の時間を学校外の人に見てもらうことや、学習評価、授業準備、学校行事の準備、運営など、幅広い分野で補助要員の導入、民間委託を検討することも盛り込まれています。しかし、教組のアンケートでは、6割以上の教員が、生活指導、学習指導などに関する業務は、現状通り教員が行うのがよいと答えています。業務の役割分担などの見直しは現場の声を尊重して進めるべきです。伺います。
 次に、教員定数の見直しについてです。
 学習指導要領の改訂で、標準授業時間数がふやされ、小学1年生から毎日5時間授業、4年生以上では水曜日以外は6時間授業となっています。文科省は、授業時間数と同じだけ授業準備の時間が必要としていますが、こどもたちの下校後に翌日の準備を始めれば残業になるのは当たり前です。「授業準備がせめて定時間内に終わるようにしてほしい」との声に応えて、教員をふやし、1人が受け持つ授業時間数を減らすべきです。
 少人数学級は一人一人に目が届くなど、高い教育効果とともに、担任の負担を減らす効果も大きいと文科省も認めています。ところが、小学1年生に導入された後、財政上の理由で7年間もとまったままとなっています。長時間過密労働の解消、教育の質の確保と向上に向け、国に教員定数の抜本的引き上げ、35人学級の全学年での速やかな実施を求めるべきです。伺います。
 また、養護教諭の全校複数配置や小規模校への理科、家庭科などの専科教員の配置を求めるべきです。あわせて伺います。
 次は、過度な競争主義をもたらす、教師にもこどもにも負担となっている学力テストについてです。
 全国学力テストは、こどもの学力の状況を調べる、指導の改善に役立てるなどを理由に導入されましたが、教師とこどもを自治体間競争に巻き込み、自治体による独自のテストまで行われています。しかし、テストの結果がわかるのは半年後で、指導の改善には役立たないと指摘されています。それどころか、「テストの準備や調査のために時間がとられ、授業時数が確保できない」との声も上がっています。
 広島県は、業務改善の面から、県独自の学力テストを中止しました。こどもと教師に心理的にも大きな負担となっている学力テストの中止を、国と都に求めるべきです。また、本区独自のテストは中止すべきです。伺います。
 次は、区独自の取り組みについてです。
 国や都が示す改革方針は、具体化までに相当時間を要することが予想され、区独自にできることは直ちに始めることが必要です。
 こどもたちをめぐるさまざまな問題に対応するためのスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増配置、担当教諭の負担軽減とともに、高い教育効果も確認されている学校司書の全校配置、部活動の外部指導員の全校配置など、積極的に取り組むべきです。伺います。
 大綱第2は、中小企業支援についてです。
 区は、区内中小企業の景況について、製造業を除く3業種で業況の持ち直しが見られるなどの認識を示してきました。しかし、平成21年から28年の7年間、全ての業種で事業所数は減少し、全体では約1割の減、製造業では3割もの減となっています。
 卸・小売業は全体では1割の減ですが、区商連加盟の商店会は、平成11年の52から40へと激減しました。商店街には住宅やコンビニ、大手スーパー系のミニスーパーが目立つなど、大変な状況になっています。区内商工業者の実態について、認識を伺います。
 製造業でも卸・小売業でも、地元中小業者の減少傾向に歯どめをかけ、地域経済の活性化を図るためにも支援の強化が必要です。まず、実態調査が重要です。
 今回視察した大阪八尾市では、条例に位置づけられた産業振興会議の政策提言を市の政策に取り込みながら中小企業支援を進めています。その際、何より重要なのが、商工業者の実態を正確につかみ、課題を明確にすることだと言います。そのため同市では、全業種対象に悉皆調査を行い、また、日常的に市職員が町に出て、毎年500件ぐらいの事業所を訪問しているとのことです。
 本区は、平成25年に製造業と商店街について実態調査を行い、その結果は、生鮮三品商店助成事業や江東ブランド推進事業に生かされました。しかし、このときの調査対象となった製造業と商店街は区内全事業所の半分程度で、建設、運輸など9,000を超える事業所は対象外とされました。改めて全業種にわたる実態調査を行うべきです。伺います。
 次に、中小企業活性化協議会についてです。
 本区は、区内中小企業の活性化について、協議、調整と検討をするために、中小企業活性化協議会を設置しています。部会を設置し、専門的な検討を行うことも規定していますが、この14年間、部会が設置されたことは一度もなく、協議会本体の会議も、事務局である区からの報告と質疑、各団体からの短い報告で終わっています。
 八尾市の産業振興会議が政策提言の場と位置づけられ、これまで90件以上が市の政策に生かされたことと比べ、大きな違いです。八尾市の取り組みを教訓に、本区の活性化協議会に学識経験者や公募区民を加え、部会を設置し、継続的な議論を行って政策提言もできる組織に高めるべきです。まとまった提言は、区も積極的に中小企業政策に生かす双方向の取り組みを進めるべきです。伺います。
 次に、相談体制についてです。
 本区の中小企業相談員は、中小企業診断士5人と商業診断士2人の計7人で、経営相談が中心です。常駐する相談員は週4日は1名のみで、体制の強化が必要です。
 2,000を超える製造事業所があることも踏まえ、製造部門、技術部門の相談員を増配置し、製造業の高度化支援などを含め、産業会館に来れば全ての相談に対応できるよう、産業会館機能の強化も図るべきです。伺います。
 次に、商店支援についてです。
 平成27年から始まった生鮮三品商店支援事業は、この3年間で18件が利用し、「おかげで事業を継続できた」、「備品を買い入れ、売り上げがふえた」など好評です。しかし、対象となる商店はもとより100件程度です。商店街の活性化に向け、飲食店を含む全ての店に支援の対象を拡大すべきです。伺います。
 空き店舗活用支援事業は、この3年間、徐々にふえて、昨年度の補助件数は11件になりました。しかし、対象が江商連加盟商店街とされているため、4分の1の商店会は対象外です。小さくなった商店会を差別し、地域再生の道を閉ざすやり方は改め、全ての商店会を対象にすべきです。伺います。
 大綱第3は、羽田新飛行ルートについてです。
 国は、国際競争力を高めるために羽田空港の機能強化が必要として、新たに都心上空に低空の飛行ルートを設定しようとしています。羽田空港発着便は、これまで騒音影響や落下物対策のため、高度1,800メートル以下は陸地を飛ばない、海から入り海から出るという大原則が確立されてきました。この大原則を覆す新ルートは、住民に墜落や落下物の危険、騒音など、安全面でも環境面でも新たな危険と負担をもたらすものです。
 5月24日、熊本空港を離陸した日航機からのエンジン部品落下事故は、本区上空に羽田空港出発機の低空ルートを設定することの危険性を改めて浮き彫りにしました。認識を伺います。
 次に、落下物対策についてです。
 国は昨年、飛行機からの部品落下が相次いだことを受けて、11月、落下物総合対策推進会議を設置、ことし3月にまとめを発表しました。その柱は、航空会社による点検整備の強化と部品脱落を見つけた場合の国交省への報告義務づけ、事故に対する損害補償からなっています。
 しかし、この総合対策についてのレクチャーで、「落下物をゼロにできるか」との質問に、国交省は「ゼロを目指す」と繰り返すだけで、「ゼロにする」とはついに答えませんでした。
 また、羽田空港の検査体制の弱さも浮き彫りになりました。航空会社による胴体周りの点検は、検査員が1人で行う目視検査だけ、国交省の検査員はわずか9人で、1日に検査できるのは10機程度、とても十分な対策とは言えないとの指摘に、国交省からの明確な答えはありませんでした。
 区は、落下物対策について、国に整備体制の強化を求めるとしてきましたが、新たな対策でも、落下物をゼロにできる保証はないと思いますが、区の見解、伺います。
 次に、国の対応についてです。
 国交省は、「羽田新飛行ルート設定は、地元の理解を得て進める」と国会で答えています。また、新ルート設定に関する最新の広報紙では、環境対策や安全対策などについて丁寧に説明してきたと強調しています。しかし、区内で過去4度開かれた説明会は、いずれもオープンハウス型で、国の取り組みについての情報提供が中心、住民の質問に対する適切かつ正面からの答えはありません。一方、参加者が共通の理解を得るのに有効として求めている教室型の説明会は、いまだに開かれておりません。
 区も、28年11月に教室型説明会の開催を申し入れましたが、国交省はその後、2度の説明会を行いながらいまだに実施しておりません。国の対応は、区に対しても区民に対しても余りに誠意がありません。認識を伺います。
 我が党が先日行ったアンケートの中間集計でも、「反対」51%、「よくわからない」23%、「計画を知らない」が16%となっています。とても区民の理解が得られたと言える状態ではありません。住民の合意がないまま新飛行ルートでの運用は行わないよう、国に求めるべきです。伺います。
 区は、羽田空港の機能強化は国際競争力の強化のために必要との立場ですが、国が当面新飛行ルートで運用を目指すとしている午後3時から7時の時間帯は、アジア便と北米便が集中する時間帯です。羽田で乗り継げば、乗客はアジアと北米との移動が効率よくでき、航空会社は乗客がふえて収益性を向上させることができます。つまり、午後3時から7時までの時間帯で羽田発着便をふやしても、乗り継ぎ客がふえるだけで、日本への観光客の増加などによる経済効果はほとんど期待できません。航空会社の利益のために住民の安全を犠牲にする新飛行ルートの撤回を国に求めるべきです。
 以上伺い、質問を終わります。(拍手)


(再) 航空機からの落下物対策です。
 落下物が落ちれば、それだけで区民の命にかかわります。ゼロにできるというふうな確信があるのかどうか、そこのところをぜひ示していただきたいと思います。

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