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2016年第2回定例会―山本真議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点伺います。

  1. 保育施策について
  2. 障害者支援について
  3. 青年支援について

 大綱の1点目は、保育施策についてです。
 初めに、国の待機児童対策について伺います。
 江東区で認可保育所に入れなかった人は1,717人、認証保育所等にも入れず、行き場のない人が277人と、去年より110人ふえています。1歳半のお子さんがいる方から、「認可のほかに認証20園にも申し込んだが、全て落ちた。2人で働かないと生活ができないので、今は貯金を切り崩している」との話を伺いました。待機児童対策は待ったなしです。
 この間、国の打ち出した緊急対策では、一層の規制緩和で、国の基準に合わせ、面積基準や人員基準の引き下げが打ち出されています。認可保育所の国基準では、1歳児6人に対し保育士1人ですが、区の基準では、1歳児5人に対し保育士1人と、国基準よりも上乗せしてきました。
 1歳児の食事では、誤嚥や窒息を起こすリスクもあり、待機児童対策だとしても引き下げは危険です。現在の区基準を引き下げ、保育の質を落としてこどもを詰め込む対応はすべきではありません。区の見解を伺います。
 区は、家庭的保育事業の小規模保育で、保育士配置基準の見直しや、保育士の資格がない人を保育士とみなすやり方を導入しようとしています。ことしの3月に都内で起きた死亡事故では、保育士の資格がない非常勤職員が異変に気づかなかったとされています。保育の専門性を確保することは、こどもの命を守ることにもつながります。保育士配置基準の見直しは改めるべきです。区の見解を伺います。
 続いて、保育士の処遇改善について伺います。
 保育士の確保が進まない背景には、保育士の労働環境の劣悪さがあります。保育士は全産業の賃金の平均と比較しても、月額10万円ほど低い状況です。保育士の低賃金は、国の基準が低過ぎることによってもたらされています。国でも処遇改善を進めていますが、10万円の差を埋めるにはほど遠い金額です。保育士の配置基準も実態に合わず、足りない状況です。保育士の抜本的な賃上げ、実態に合った人員配置基準を国に求めるべきです。伺います。
 区でも、保育士確保のため家賃補助を開始したことは、緊急対策としては評価できます。しかし、採用後5年目までの職員に対してと限定的であり、期限つきでは安定的な運営にはつながりません。対象を6年目以上の職員にも広げ、期間も延ばし、安心して働き続けられるよう、区としての支援の強化を求めます。伺います。
 次に、土地の確保について伺います。
 昨年の保育所増設は、定員1,000人増という目標に対して定員680人増にとどまりました。区は保育所の土地の確保が困難だと言います。しかし、現在、東陽一丁目には保育所を建てるのに十分な面積の未利用地が多数あります。また、今後、都営豊洲四丁目団地建てかえに伴い空地ができるなど、区内には多くの公有地ができます。区内の公有地を積極的に取得し、民間貸与することも含めて活用するべきです。そして、国や東京都に対して、国有地、都有地の無償貸与など、土地を確保しやすい制度を求めていくべきです。伺います。
 今後もファミリータイプマンションの建設が次々と計画されています。そのような地域においては、必要な土地は民有地を買ってでも確保すべきです。あわせて伺います。
 保育施策の最後は、公立保育園の民営化について伺います。
 今後も新たな公立保育園の民営化計画が進められようとしています。保育所の新たな民営化計画は、国や自治体の保育に対する責任を投げ捨て、安上がりの保育を進めるものです。こうした民間任せの保育政策が、保育士の劣悪な労働環境を生み出し、今日の保育士不足や待機児童を増加させる原因となっています。保育士が足りないと言われているときに、保育士が確保されている公立保育園を民営化する必要はありません。公立保育園の民間委託は中止すべきです。伺います。
 大綱の第2点目は、障害者支援についてです。
 障害者総合支援法の見直しについて伺います。
 さきの国会で、障害者総合支援法の見直しが行われました。今回の見直しでは、今まで障害者と国との間で約束されていた基本合意や骨格提言の焦点である応益負担や介護保険優先原則の見直しは全くなく、障害者たちの願いを踏みにじるものです。障害者団体からも、今後の障害者施策に大きな後退をもたらすものだと、抗議声明が出されています。区として、今回の障害者総合支援法の見直しをどのように評価していますか。
 区としても、障害者の声に応え、国に対し、応益負担の見直しや介護保険優先原則の見直しなど、基本合意や骨格提言に基づいた立場で求めるべきです。区の見解を伺います。
 次に、障害者施設で働く職員の確保について伺います。
 区内の障害者施設の多くは、保護者や住民がつくり、障害者福祉を進めてきました。しかし、これらの職場で働く方の待遇は決してよくはありません。現場からは、「グループホームでは、実態に合わせて夜間3人の職員を配置している。しかし、人員配置分の1人分しか報酬が出ない」、また、「車椅子を利用する障害者8人の方に対して、配置基準は職員4人。トイレ介助で職員2人が行くということもあり、2人で7人の人を見ている」などの声があります。実態に合わない配置基準で運営が行われているため、過重労働、低賃金で離職する方も多く、毎年1割近くの方がやめていく職場があります。
 国は福祉・介護職員に処遇改善加算も行っていますが、障害者に直接かかわる支援員だけで事務職などにはついていません。ある事業所では、支援員と事務職員とで給与の差がつけられないと、処遇改善加算をもらえないところがあります。国に対し、処遇改善加算の対象を事務職員などへも拡大することを求めるべきです。そして、運営の実態に即して、運営費や補助金の抜本的な引き上げをすることを区として求めるべきです。伺います。
 また、ことしから始まった保育士に対する家賃補助と同様の制度を障害者施設職員にも求めます。区の見解をあわせて伺います。
 次に、塩浜福祉園について伺います。
 塩浜福祉園は今まで、重度の障害で、ほかの施設に断られた方たちの最後の受け皿にもなってきた施設です。区立施設として安定的な運営がされ、障害者や家族の方からも喜ばれています。しかし、昨年、民間委託をする計画が突然保護者に伝えられたため、不安が広がっています。保護者の中には、民間委託ありきの進め方に不信感を持つ方もいます。
 今、塩浜福祉園に対して、保護者から「時間を延長してほしい」、「介護職員を配置してほしい」、「泊まりなど外出時の保護者の付き添いをなくしてほしい」など、さまざまな要求が出されています。今、区がやるべきことは民間委託ではなく、まず現在の状況でこれらの利用者の要望に応えることです。区の見解を伺います。
 今、民間施設では職員の確保が困難で、募集をしても応募がなく、常に欠員を抱えている状態です。塩浜福祉園は最後の受け皿となってきた施設だからこそ、身分がきちんと保障されている公立での運営が必要です。
 また、民間で働く職員からも、「今まで区立で先駆的にやってきたことで水準も引き上がっている。今後も区立で運営してほしい」との声があります。塩浜福祉園は、今後も自治体の責任で運営を行うべきであり、民間委託は中止すべきです。伺います。
 次に、障害者多機能型入所施設について伺います。
 ある障害者の保護者の方から伺い、ショックだった言葉があります。「この子たちよりも長生きしたい」という言葉でした。自分の後に誰が我が子を見てくれるのか、せめて自分がみとってからにしたいという、とても切ない言葉です。
 保護者の方が安心して任せられる施設が必要です。そのような願いから、障害者多機能型入所施設の計画が出されました。しかし、長期計画の前期終了年の平成26年に建てることが計画されながら実施されず、後期計画の平成31年に設計着手となっています。障害者や家族の方の声に応えて、障害者多機能型入所施設の計画を前倒しして建設をしていくよう求めます。
 大綱の3点目は、青年支援について伺います。
 まずは、青年支援の必要性について伺います。
 今、青年はさまざまな困難な状況に置かれています。幾つか実態を紹介します。
 高校を卒業後に上京し、居酒屋に勤めた男性は、昼の12時から朝の4時まで仕事で、1週間休みなしのときもあり、働き続け、鬱病になり退社をしました。また、生活保護を受給している30歳代の女性は、10歳代から親子関係が悪く、中学校でいじめを受け、不安障害を発症し、仕事をしたくてもできずにいます。また、別の20歳代の男性は、大学の学費が高く、卒業してから奨学金の返済に追われていますが、仕事も非正規雇用しかなく、実家も出られない状況です。
 このような実態は決して特殊なものではありません。困難の背景には、高い学費、雇用や労働環境の悪化、支える家族機能の縮小や住宅政策の不備などがあり、個人の責任だけではありません。また、個人や家族だけでの解決は困難であり、社会的な支援が求められます。
 区として、このような青年の実態をどのように考えていますか。区として、青年たちの実態把握や青年たちへのサポートをより強くする必要があります。区の見解を伺います。
 次に、支援のネットワークづくりと総合窓口の設置について伺います。
 現在、区の青少年施策として青少年センター、こうとう若者・女性しごとセンター、こうとうゆーすてっぷなどがあります。しかし、困難を抱えた利用者が適切な支援にたどり着けるとは限りません。現に、就労支援を中心に行うこうとう若者・女性しごとセンターにひきこもり支援が必要な方が来ることがあるそうです。これは足を捻挫した人が歯医者に来ているようなもので、そこでは十分な支援はできません。また、せっかく来た人に適切な支援が行えず、支援が中断してしまいます。
 複雑な問題を抱える青年に支援をする際、まず利用者に関する情報収集、分析、何が課題なのかを把握するアセスメントが重要になります。そして、適切な支援の場へつなぐ必要があります。そこで、専門職員を配置してアセスメントを行える総合相談窓口が必要です。
 例えば、青少年センターに青年に対する総合窓口を設け、適切な支援につなげられるようにするなど、個々に行われている支援を連携させることで、より効果的な支援が行えます。支援ネットワークの形成と総合支援窓口の設置を求めます。
 あわせて、違法な働かせ方から青年を守ることも視野に入れ、例えば東京都労働相談情報センター亀戸事務所などもネットワークに入れることを求めます。伺います。
 次に、青少年センターについて伺います。
 青少年センターを利用していた高校生からも話を伺いました。「学校の部活動で何もしてこなかった。でもある日、友達にライブに誘われて、それをきっかけに青少年センターに通うようになった。みんなで話し合って一からライブをつくり上げていくことが楽しかった。今まで自分がやりたいことも自分の長所もわからなかったけれども、いろいろな人とかかわる中で、将来の夢を見つけることができた」と話をしていました。
 青年の時期は将来を模索する大切な時期です。このような時期に同世代と共通のテーマでぶつかり合いながら、自分を見つめ、将来を見定めていく、このような場所はとても重要です。
 青少年センターの利用者は、近隣の亀戸や大島などが中心ですが、身近なところにこのような青年を支援する施設が必要です。そこで、亀戸だけでなく、南部にも青少年センターが求められます。
 そして、今後もこのような居場所や連携の中心的な役割を果たす青少年センターは、区が責任を持って運営を行うべきで、民間委託はやめるべきです。区の見解を伺います。
 最後に、青少年団体の施設利用について伺います。
 経済力の低い高校生たちにとって、施設の使用料が無料であるということが文化活動につながり、「この青少年センターがあったからこそバンドの活動ができた」と、大変喜ばれています。このような機会を全区的に保障するためにも、江東区文化センターや豊洲シビックセンターなどにある音楽スタジオなどで、青少年団体の利用は無料にするという対応が必要ではないでしょうか。青少年団体の登録をどこの施設でも行えるようにし、公共施設の無料化をするよう求めます。区の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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