カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , , パーマリンク

2016年第2回定例会―すがや俊一議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について伺います。

  1. 平和と憲法問題について
  2. 暮らしと経済について
  3. 防災対策について
  4. 羽田空港国際便増発に伴う飛行経路変更計画について

 質問の前に、このたび発生しました熊本地震で亡くなられ、また被災された方々に心からの御冥福とお見舞いを申し上げます。また、一日も早い復興を願うものであります。
 それでは、質問に入ります。
 大綱の1点目は、平和と憲法問題について伺います。
 安全保障法制、いわゆる戦争法が3月29日に施行されました。戦争法をこのまま放置すれば、極めて重大な問題が起こると考えます。これまで区長は、戦争法である安全保障法制について、「国民の命と平和を守るため」、「本区の平和都市宣言の趣旨と同じ」、「憲法第9条のもとで許される国際貢献活動」などと答弁してきました。
 しかし、戦争法は、戦闘地域における米軍等への兵たん活動での武器使用、戦乱地域での治安活動による武器使用、地球的規模での米軍護衛のための武器使用、そして集団的自衛権発動による他国への武力行使などを可能とさせ、これら全ては戦後初めて自衛隊が外国人を殺傷し、みずからも戦死者を出すことにつながるのです。
 圧倒的多数の憲法学者や日本弁護士連合会などから、「安全保障法制は憲法違反」との声が上がり、マスコミの世論調査でも、「安全保障法制に反対」が過半数を超えています。戦争法の廃止を求める2,000万人統一署名も1,200万筆に達しています。区長はこれらの世論を受けとめ、政府に対し、戦争法である安全保障法制の廃止を求めるべきです。伺います。
 同時に、安倍内閣が憲法第9条の解釈変更により、強行して戦争法を成立させたことは、立憲主義の破壊です。立憲主義とは、憲法で政権を縛ることです。どんな政権であっても憲法の枠組みの中で政治を行うべきであり、一内閣により憲法第9条の解釈を変更することは許されないのです。立憲主義に基づく政治への回復が今必要と考えますが、区長の見解を伺います。
 さらに重大な問題は、安倍首相が「憲法を改正していく、自民党は憲法改正草案を決めている、参議院議員選挙でこの草案を示していく」と述べ、自民党改憲案による憲法改憲を明言していることです。
 自民党改憲案は、憲法第9条第2項を削除して国防軍の創設を明記し、海外での武力行使を何の制約もなしに行えるようにしています。
 また、緊急事態条項を創設することで、首相が緊急事態を宣言すれば、内閣の命令で国民の基本的人権を制約できるなど、専制政治が可能になります。さらには、基本的人権は永久の権利とした憲法第97条を削除し、公益及び公の秩序の名のもとで基本的人権を制約する仕組みとするなど、憲法によって権力を縛るという立憲主義が全面的に否定され、逆に憲法で国民を縛りつけるものになっているのです。
 自民党改憲案は、人類普遍の原理とされている基本的人権を否定し、恒久平和主義を投げ捨てる戦争国家の再来とするものであり、戦前の社会に逆戻りさせるものと考えますが、区長の見解を伺います。
 改憲派は、「占領国から押しつけられた憲法」、「北朝鮮や中国との関係からも改憲が必要」と主張しています。しかし、現行憲法は、日本の国会がみずから制定したものです。また、軍事対軍事の対応では軍事的緊張を高めるだけであり、憲法第9条を生かした平和外交こそ、アジアと世界から信頼される道です。国民主権と基本的人権の尊重、恒久平和主義を掲げる現行憲法は、世界に誇れる先進的なものです。
 ことし4月の世論調査では、「改憲不要」が昨年より7ポイントふえて55%に、逆に「改憲が必要」は6ポイント減り37%です。特に憲法第9条は「変えないほうがよい」が68%に達しています。
 憲法第99条は区長に憲法尊重擁護義務を課しています。憲法を守る立場に立つべきと考えますが、区長の答弁を求めます。
 次に、大綱の2点目は、暮らしと経済について伺います。
 まず、安倍政権の経済政策、アベノミクスについてです。
 この間、区長は、「企業業績も雇用環境も改善した」、「景気も緩やかな回復基調」との見解を繰り返し述べ、アベノミクスに賛成してきました。しかし、区内業者や区民からは、「仕事が減り続けている」、「何一つよくなっていない」との声が上がり、マスコミのどの世論調査でも、「景気がよくなったとは思わない」という回答が8割以上です。
 直近の区内の中小企業景況調査でも、景況感が悪化しています。区長はこうした状況をどう受けとめるのか、大企業がもうかれば、やがて家計に回るというアベノミクスの破綻は明らかだと考えますが、区長の見解を伺います。
 アベノミクスの3年間で大企業の内部留保が300兆円以上にふえ、富裕層の資産も7.2兆円から15.4兆円となり、実に2倍以上にふえました。一方で国民は、貯蓄ゼロ世帯が470万世帯もふえて1,890万世帯で、全世帯の3分の1以上になるなど、アベノミクスがもたらしたものは格差と貧困の拡大です。区長の見解を伺うとともに、アベノミクスの中止を求めるべきです。
 格差と貧困をなくすために、税金の集め方や使い方を変えることが、今、切実に求められています。安倍政権は庶民に消費税8%への増税を押しつけ、大企業には4兆円の減税を実施します。さらには、パナマ文書により、大企業や資産家の税金逃れが日本でも400件に上ることなどがわかり、税金の不公平が大問題になっています。
 商店街からは、「消費税10%では商売が続けられない」との悲鳴が上がるなど、消費税は区民の暮らしと地域経済を壊す最悪の税金です。アベノミクスと消費税増税路線の破綻が明らかになる中、安倍首相は消費税10%への増税先送りを表明しました。区長は政府に対し、先送りではなく消費税10%への増税の断念、中止を求めるべきです。伺います。
 大企業への4兆円減税の中止、研究開発減税などの大企業優遇税制の見直し、高額な株取引や配当への適正課税、タックスヘイブンへの課税など、税金の集め方を変えれば、消費税に頼らなくても社会保障の拡充など、暮らしを支えるための財源は十分確保できます。区長の見解を伺います。
 税金の使い方としては、社会保障を拡充して暮らしを安定させることが重要です。安倍政権は毎年5,000億円の社会保障費の自然増分を削減し、格差と貧困の拡大に追い打ちをかけています。社会保障費の削減をやめ、年金減額の中止、医療費の窓口負担や国民健康保険料の負担軽減、介護保険料・利用料の負担軽減など、国の責任で実施するよう区長は求めるべきです。伺います。
 格差と貧困の解消には、安心して働ける労働のルール確立も必要です。2つのアルバイトをかけ持ちしても月に15万円前後の収入であるため、家賃を払うと生活困難になるなど、今、青年などを使い捨てにするブラックな労働環境が社会問題になっています。残業時間規制の法制化やサービス残業の根絶、正社員雇用の促進に向けた労働者派遣法の抜本改正など、区長として政府に求めるべきです。伺います。
 区政においても、格差と貧困の解消に向け、区民生活や中小業者への支援が急務です。区長は、敬老祝金の縮小など福祉削減の行革を推進する一方で、基金をふやし続け、900億円以上に達しています。
 我が党は、区民の暮らしを支えるために、毎年、当初予算の修正案を提出してきました。本年の修正額は、予算総額の約0.4%、7億8,000万円余で、財政運営上、また、将来的にも全く問題のない規模です。税金の使い方を改め、高齢者入院見舞金制度の創設や子ども医療費無料化の対象を18歳まで拡大するなど、医療や介護における負担を軽減するべきです。伺います。
 また、区内中小業者への支援強化として、地域経済の活性化に大きな効果がある住宅リフォーム助成制度を実施し、労働者の処遇改善を促進する公契約条例を制定するべきです。伺います。
 大綱の3点目は、防災対策についてです。
 4月14日と16日に発生した九州熊本地方を中心とする連続した震度7の大地震などで、地震関連死を含む死者が69人、住宅被害は12万8,000棟以上に及び、今なお7,000人以上の避難生活者がいるなど甚大な被害となっています。
 気象庁が「今までに経験したことのない想定外の地震」との見解を示す中、住宅を初め、役場や病院、避難所となる学校も使用不能になるなど、建物への被害は特に甚大で、国の復興支援策の拡充が急務です。
 被災地でのアンケート調査では、7割の方が住宅支援の拡充を求めています。被災者生活再建支援法における住宅再建の支援金の上限額は300万円ですが、500万円に引き上げを求める声が上がっています。区は政府に対し、支援金の引き上げと半壊世帯への支援金上限額も500万円にするよう求めるべきです。
 また、激甚災害に指定された場合における復旧費用の自治体負担分を見直し、全額を国庫負担とするよう求めるべきです。あわせて伺います。
 熊本地震を踏まえ、今後発生が予想されている首都直下地震に備えるために、本区の防災対策の拡充、再検討が必要と考えます。特に民間住宅の耐震化を促進させることが極めて重要です。
 本区では4万4,000戸の未耐震住宅があり、そのうち8,800戸が木造住宅です。本区は、民間建築物耐震促進事業を10年前から開始しましたが、木造住宅では32件、マンションでは16件の利用にとどまっています。
 北砂地域の不燃化特区事業での1,000戸の戸別訪問調査では、耐震化しない理由として「費用の調達が困難」が一番多く占めています。木造住宅の耐震改修工事における150万円の助成限度額を見直し、引き上げるべきです。また、マンションについても、耐震改修工事における1棟当たり2,000万円の助成限度額を見直し、1戸当たりの助成限度額を100万円にすることを求めます。
 また、経済的理由や既存不適格建築物などで助成要件を満たさない場合でも、命を守ることを最優先にして、部分耐震改修にも助成するべきです。あわせて伺います。
 地震による火災の予防に効果を発揮する感震ブレーカーの設置については、足立区や品川区など6区で助成が始まっています。本区でも直ちに助成することを求めます。伺います。
 熊本地震では、住宅被害に伴う仮設住宅の確保が問題になっています。本区の計画では、首都直下地震での全壊家屋が8,010戸との想定に対し、仮設住宅は区内の公園18カ所で2,000戸としています。そのほかは民間借上住宅と公営住宅等で対応するとしていますが、全壊家屋数に対して不十分と考えます。
 熊本地震を踏まえ、被害想定と仮設住宅の確保について再検討するべきと考えますが、見解を伺います。
 災害時における要支援者対策についても、再検討が必要と考えます。現行では、小中学校など、拠点避難所に避難した後で、指定された特別養護老人ホーム等19カ所の福祉避難所に移るとしています。しかし、熊本地震では、障害者等が避難した拠点避難所において、「誰も面倒を見てくれない」、「避難所で嫌がられ、行くところがない」など、生活に困難を来した事例が少なくありません。そこで、要支援者の避難については、福祉避難所を一次避難所に指定し、直接避難できるように見直すべきです。
 既に荒川区では、福祉施設など28カ所を一次避難所に指定し、発災時の開設訓練を行っています。直接避難に向けた福祉避難所の職員体制の強化を初め、民間の福祉作業所も一次避難所にするよう検討するべきです。
 同時に、発災時での職員体制の支援とともに、災害備蓄物資の支援などを行うことを求めます。伺います。
 大綱の4点目は、羽田空港国際便増発に伴う飛行経路変更計画についてです。
 国土交通省は、羽田空港発着の国際便増発計画に伴い、これまでの海上を中心とする飛行経路から都心上空を飛行する計画を進め、ことし8月にも決定する予定です。この計画が決定されれば、離陸機は本区上空で高度900から1,200メートルの低空飛行となるほか、新宿区から品川区などの都心部も、着陸機による高度900から300メートルの低空飛行にさらされます。
 こうした事態に対し、本区や江戸川区、品川区など、関係区の住民から計画の撤回を求める声が強まり、羽田増便による都心低空飛行計画に反対する東京連絡会が結成され、NHKなどのマスコミが取り上げるなど、反対運動が広がってきています。
 この間、我が党は、離陸機による江東区上空の低空飛行計画について、騒音や健康被害、安全性の問題を指摘し、国に計画の撤回を求めることを要求してきましたが、区は「騒音は単発で低レベル、問題はない」、「騒音による健康被害は起こらない」などと述べ、容認する姿勢です。
 環境は区民の共有財産、環境保全は権利であり責務だとして、行政と議会、区民が一体となって航空機騒音の発生に抗議した江戸川区と比べ、本区の姿勢は区民の環境を軽視するものと言わざるを得ません。騒音問題について、改めて伺います。
 現在、江戸川区の葛西、清新町では、68から74デシベルの騒音を発する着陸機が頻繁に通過し、地元住民からは「うるさくて仕事にならない」など、多数の苦情が寄せられています。清新町の騒音レベルは、離陸機の飛行経路となっている本区では大島・亀戸地域に該当します。高度がより低い東砂地域はもとより、広範囲で騒音被害が発生することは必至と考えますが、区の見解を伺います。
 航空機による大気汚染も問題です。環境省が行った国内空港での調査では、航空機の排出ガスの特殊性として、PM2.5(2,500ナノメートル)より微小の20ナノメートル以下のナノ粒子を大量に発生させます。これを吸い込むと肺胞に沈着し、血管やリンパ節に入り込み、炎症や血栓を発生させ、心臓、肝臓、脳などに障害を起こします。特に高齢者やこども、アレルギー体質の方や病気を患っている方に影響をもたらすことが、米国などによる国際的な疫学調査で示されています。健康被害を避けるためにも、住宅地域が広がる本区での低空飛行はやめるべきです。区の見解を伺います。
 区は都の連絡会を通して、「教室型説明会の実施を国に求める」と答弁してきましたが、いまだに国土交通省は実施していません。実際の飛行経路は3キロメートル余りの幅があり、区内の広範な地域で環境被害が発生することが想定されます。区民からも教室型説明会の実施を求める声が強まっています。区内全域での早期実施に向け、区として直接国に強く要請するべきです。伺います。
 これまで区は、万全な安全対策を国に要請するとしていましたが、成田空港周辺では、昨年度だけでも部品等の落下物事故が5件も発生しています。国際便増発を理由に、住民を落下物等の事故の危険にさらすことは許されません。区の見解を伺います。
 この間、国土交通省は、江戸川区による飛行中止を求めた訴訟や大田区などからの要請を受け、騒音の軽減や安全性を考慮するとして、都心上空の飛行を避け、東京湾上空を飛行することを40年間にわたるルールとしてきました。羽田空港発着国際便の増発を理由に、このルールを破って、江東区上空や都心部を低空飛行することは、余りにも無謀であり、住民の理解を得ることはできません。区の見解を伺うとともに、区長は飛行計画の撤回を求めるべきです。東京湾上空の現行ルートにすることを強く求め、質問を終わります。(拍手)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です