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2016年第2回定例会―赤羽目たみお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。

  1. こどもの貧困対策について
  2. 介護保険制度について
  3. 高齢者の住まいの確保と見守り支援について

 まず、大綱の1点目、こどもの貧困対策について伺います。
 こどもの貧困が大きな社会問題になる中で、江東区内でも経済的な理由で林間学校に行けない子や、給食のない夏休みに痩せてくる子がいると、学校現場から心配の声が寄せられています。また、親の離婚歴や虐待も貧困に大きく影響していることが国の調査で明らかになっており、区の新規虐待相談受理件数は、2012年度の223件から2014年度には385件と増加し、親から暴力を受ける子や何日も入浴させてもらえない子など、放置できない状況があります。
 私たち区議団は、これまで足立区や荒川区など先進自治体の例を示し、こどもの貧困について実態調査を行うよう求めてきました。しかし、区は、「都や国の調査を研究していく」と述べるにとどまり、区内の貧困の実態に向き合う姿勢が見られません。実態調査を行った足立区では、こどもの置かれているさまざまな生活環境を把握し、居場所づくりや学習支援など、貧困克服に向け事業を展開しています。
 先般、国は、こどもの貧困解消に向けて、自治体が地域の実態をつかんで必要な支援計画をつくり、地域と一緒にこどもたちを支援につなげる自治体向けの新たな交付金制度を創設しました。区はこの間、こどもの貧困は経済的な理由だけで起きている問題ではないとの認識を示しています。だからこそ、この制度を活用するなどして、区内のこどもが置かれている実態を調査し、それをもとに貧困対策を進めるべきと思いますが、区長の見解を伺います。
 次に、子ども家庭支援センターの拡充について伺います。
 こどもの貧困を解決するため、子育て世帯への相談体制の拡充も必要と専門家も指摘しています。現在、区は、区内5カ所の子ども家庭支援センターで、子育てに関するさまざまな相談を受け、一時預かりなどを実施して子育て世帯への支援を行っていますが、亀戸地域には設置されていません。今後、大幅な人口の増加が見込まれる亀戸地域、有明地域に整備するとともに、子育て世帯の抱える問題が複雑化する中で、よりきめ細やかな相談対応や子育て支援を行うため、基幹型の子ども家庭支援センターを整備すべきです。伺います。
 次に、現行の子育て支援策の拡充について伺います。
 まず、認可外保育施設における保育料の保護者負担の軽減についてです。
 先日、区内の認証保育所にお子さんを預けている保護者から、「区からの補助金が支給されるまで、月7万円の保育料の負担が重く家計を圧迫しているので、もっと早く補助金を支給してほしい」という声が寄せられました。
 現在、区は、認可外保育施設を利用する家庭の保育料負担を軽減するため、補助金を世帯の所得に応じて年3回、9月、1月、5月に支給しています。子育て世帯の負担を軽減するため、源泉徴収票で前年度所得を把握し補助額を決定する方式を導入するなどして、支給時期を早めるとともに、年度内の支給回数をふやすなど改善すべきです。伺います。
 次に、就学援助の拡充についてのうち、中学生の入学準備費について伺います。
 区は現在、就学援助の入学準備費を中学1年生の8月末に、準要保護世帯に2万6,860円を支給しています。しかし、制服や体操服、靴やかばんなどに5万円から8万円もかかり、支給額では十分に補えません。さらに、保護者は、3月には高額な費用を全額用意しなければならず、制服や学用品をそろえるために借金をした家庭もあると聞いています。
 板橋区や世田谷区では、就学援助を実情に合わせて小学6年生の3月時点で支給しています。区としても、就学援助の支給額を実情に見合うよう引き上げるとともに、支給時期を早めるなど改善すべきです。伺います。
 次に、学校給食費の負担軽減について伺います。
 学校給食費は、小学校で平均5万円、中学校では約6万円が保護者負担となっており、区民から「少しでも負担を軽くしてほしい」という声が上がっています。品川区、葛飾区では、多子世帯に給食費の補助を行い、文京区ではひとり親家庭を実質無料にしています。江東区も給食費負担の軽減を図るべきです。伺います。
 次に、大綱の2点目、介護保険制度について伺います。
 「介護の社会化」をうたって発足した介護保険制度は、この間のたび重なる制度改悪や介護報酬の引き下げで、深刻な事態が広がっています。これまで国の責任で行ってきた要支援者の訪問介護と通所介護を区市町村任せにする総合事業が、江東区でもことし4月から始まりました。区内のケアマネジャーからは、「要支援者を受け入れてくれる事業所が見つからない」、区内の介護事業所からは、「区の総合事業は赤字になるので、実施をためらっている」との声が寄せられています。
 我が党は、報酬単価が低い総合事業では、介護事業所の経営をさらに困難にし、要支援者の利用を断らざるを得ない事態が起きると指摘してきました。区長はこの現状をどう受けとめますか、見解を伺います。
 介護事業所がこれまでどおりのサービス提供ができるよう、区の事業費単価を引き上げるべきです。伺います。
 さらに、利用料2割負担の導入や、介護施設に入居する低所得者への補足給付の縮減で、「生活が厳しくなり、介護サービスの利用を控えている」という声も寄せられています。これまでにも増して、必要なサービスを受けられない状態は深刻化し、高齢者の暮らしを圧迫しています。区長は制度改定による区内高齢者への影響を直ちに調査し、必要な介護が受けられるよう対策を行うべきです。伺います。
 今こそ、介護保険制度の充実が求められています。ところが政府は、要介護1・2の生活援助サービスを保険給付の対象から外すことや、生活援助サービスや住宅改修、車椅子など福祉用具レンタルの利用料を原則自己負担にすることなど、軽度の利用者に対するサービス削減を狙っています。
 制度改悪について、日本医師会は、「要介護1・2の人を切り捨てることはできない。家族介護が必要となり、介護離職ゼロも達成できなくなる」と指摘しています。また、全国市長会は、「重度化を防いでいる軽度者への支援をやめるのは本末転倒」と厳しく批判しています。軽度の利用者に対するサービスの削減が、区民の暮らしを破壊し、要介護度の重度化を招くことは明らかだと思いますが、区長の見解を伺います。
 さらに政府は、要介護1・2の通所介護も保険給付の対象から外して自治体の事業に移行することや、利用料の負担上限額の引き上げ、65歳から74歳の利用料を原則2割負担にすることなどについても検討し、来年の通常国会に法案を提出するとしています。社会保障費の大幅削減のために、次から次へと介護保険制度の改悪を進め、高齢者と家族に苦難と犠牲を強いることは許されません。区長は政府に対し、介護保険制度改悪の検討中止を求めるとともに、国庫負担割合を引き上げて、誰もが安心できる介護保険制度に改善するよう、区として国に求めるべきです。あわせて、区長の見解を伺います。
 介護を支える介護職員の不足は深刻です。我が党区議団が事業所を対象に行った調査でも、「新しい職員が入職してきてもすぐにやめてしまって定着しない」、「待遇をよくしたいがお金がない」といった声が多数寄せられました。人材確保が難しい原因の根底には、全産業と比較して10万円も低い賃金や長時間労働の蔓延など、処遇の悪化があります。区長は政府に対し、さらなる介護職員の賃金引き上げなど、処遇改善を行うよう求めるとともに、区としても、人材確保のために介護職員への家賃補助を復活させるなど、介護職員確保に力を尽くすべきです。あわせて伺います。
 次に、大綱の3点目、高齢者の住まいの確保と見守り支援について伺います。
 貧困と格差が広がる中で、高齢者から生活支援の拡充が強く求められています。先日、区内の80歳代の男性から、「建てかえを理由に家主から月内の引っ越しを求められたが、不動産屋を何軒回っても希望に合う物件が見つからない、どこか住めるところはないか」と相談が寄せられました。
 現在、区は、こうした高齢者に対し、高齢者世帯民間賃貸住宅あっせん事業を行っていますが、昨年度は122件の相談件数に対して、成約件数はわずか7件にとどまっています。その大きな理由は、高齢者の緊急時の対応など、貸主さん側の不安が大きいことがあり、高齢者のわがままで成約に至らないのではありません。見守り事業などと連携の強化を図りながら、区が直接貸主さんに高齢者世帯民間賃貸住宅あっせん事業への理解を求め、高齢者の受け入れが可能な物件をふやしていくなど、積極的な取り組みを行うべきです。伺います。
 また、家賃や契約金、転宅費用など、経済的負担が重いことも成約が進まない原因となっています。低所得の高齢者に転居時の費用補助や住宅家賃に助成金を出し、入居を支援すべきです。伺います。
 現在、相談窓口では、週に1回、3件しか相談を受けないことから、1カ月以上先まで予約が埋まっており、緊急な相談に対応することはできません。高齢者の切実な住まいの要望に応えるために、相談窓口の受け入れ体制を強化すべきです。伺います。
 住宅確保が困難な高齢者を支援するためにも、区として住宅を整備することは重要です。区はこれまで、高齢者住宅の建設を拒み続けていますが、空き家住宅1戸に対して、応募倍率が100倍を超える高齢者住宅もあり、住宅の不足は深刻です。
 江戸川区では、住宅整備や家賃補助を行う際に国が補助金を出す地域優良賃貸住宅制度を活用して、高齢者住宅を建設しています。江東区としても、この制度を活用するなどして高齢者住宅を建設するとともに、UR賃貸住宅など公的住宅を借り上げ、住宅を確保すべきです。伺います。
 次に、高齢者が安心して暮らし続けるため、さらなる施策の拡充が必要です。昨年、区内の大規模な集合住宅で、高齢の兄妹が死後数カ月たってから発見されるという痛ましい事故が起きてしまいました。このような事故を防ぐためにも、江東区の見守り事業の拡充を急ぐべきです。
 区は、平成23年度から社会福祉協議会に委託し、地域団体が主体となって区内の高齢者を見守る高齢者地域見守り支援事業を行い、事業開始からこれまで50地域を支援してきたとしています。しかし、地域の高齢化や財政支援が乏しいことから体制確保が困難になり、見守りを休止してしまう地域があります。さらに、今年度、区は新たに8地域を支援するとしていますが、募集に対し5地域からしか応募がなく、見守り支援が広がっているとは言えません。高齢者地域見守り支援事業を充実させるためには、財政支援の拡充を図るなど区の直接支援を強め、地域住民の協力のもとに、区が中心となって見守り支援を地域に広げていくべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 区が主体となって行う見守り事業も急ぎ拡充を図るべきです。高齢者の異変に早期に気づき、暮らしを支える高齢者緊急通報システムは、慢性疾患があるなど、日常生活を営む上で常時注意が必要な高齢者という厳しい身体要件があるため、設置件数が年々減少傾向にあることは極めて問題です。区はこの間、「総合的な観点からシステムの活用を検討する」と答弁してきましたが、区長は検討段階にとどめず、急ぎ要件を緩和するとともに、費用負担を軽減し設置を促進すべきです。伺います。
 さらに、見守り事業として区が行っている食事サービス、声かけ訪問、電話訪問などは、本人の希望があれば複数の事業が同時に受けられるようにすべきです。また、訪問回数もふやすなど、見守り事業の改善を図るよう求めます。
 以上、区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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