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2016年第1回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について伺います。

  1. 子育て支援について
  2. 介護保険について
  3. 国民健康保険について

 第1に、子育て支援について伺います。
 日本のこどもの相対的貧困率は16.3%、ひとり親家庭では54.6%と突出して高く、OECD加盟34カ国の中で最悪の状況です。小学生のこどもを持つ母親からは、「パートで働いても月8万円から9万円。家賃と水光熱費を払うと残るお金はほとんどない」、「暮らしていくのがやっと」と、悲痛な声が寄せられています。
 国の推計値からすると、江東区でも18歳以下のこども、約7万6,000人のうち、1万2,000人余りが貧困状況にあることになります。区として、こどもの貧困対策の抜本的な強化が求められていますが、区の来年度予算では、学習支援事業の若干の充実があるものの、従来の対策にとどまっていると言わざるを得ません。支援策の強化を直ちに行うべきです。
 我が党区議団は、これまでも経済的支援として就学援助の拡充を求めてきました。江東区の就学援助の認定基準は生活保護基準の1.18倍で、23区平均の1.2倍を下回る状況です。対象者の拡大を行うとともに、制服代など、実態に見合った金額への引き上げ、対象項目の拡大を行うべきです。伺います。
 こどもの貧困対策に力を入れてきた足立区では、来年度から100万円を上限に、半額を返済不要とする償還免除型の奨学金を創設します。江東区でも独自の給付型奨学金を創設すべきだと思いますが、見解を伺います。
 また、子ども医療費助成制度については、18歳までの全てのこどもを対象とする制度へと拡充すべきです。見解を伺います。
 国は来年度、低所得のひとり親世帯の第2子、第3子に対する児童扶養手当を増額します。しかし、ひとり親世帯の約6割はこどもが1人です。第2子分についても増額するとともに、所得制限を見直し、対象を拡大するよう国に求めるべきではないですか、伺います。
 また、この間、国は子育て世帯の生活保護費の削減を行ってきましたが、こどもの貧困対策に逆行するものであり、撤回を求めるべきです。伺います。
 我が党区議団はこの間、こどもの貧困対策の強化を図るためにも、区内の実態調査を行うよう求めてきました。しかし、区は、国が全国調査を実施するので動向を注視していくと述べ、区内の状況をみずから把握しようとする姿勢が見られません。
 昨年、全ての小学校1年生を対象に実態調査を行った足立区では、さらに来年度、ひとり親家庭の実態調査を実施します。また、北区や練馬区でも実態調査を行う予定です。
 子どもの貧困対策の推進に関する法律では、地方自治体に対し、地域の状況に応じた施策の策定と実施を求めるとともに、こどもの貧困に関する調査及び研究を行うことを求めています。国の対応を待つ姿勢を改め、こどもの貧困対策を区の重要課題と位置づけて、担当部署を設置するとともに、実態調査を行い、支援策の強化を図るべきだと思いますが、見解を伺います。
 次に、保育施策について伺います。
 まず、保育料についてです。
 区は、保育料の改定に伴う負担軽減策として今年度実施した暫定措置を、来年度は行わないとしています。今年度は約7割の世帯が保育料の軽減措置を受けています。働く人たちの実質賃金が減少しているもとで新たな負担増を行うことは、子育て支援に逆行します。引き続き負担軽減策を行うべきです。
 また、国は来年度、低所得世帯の第2子と第3子の保育料免除の拡充と対象の拡大を行います。区も来年度、第2子の保育料減免の拡充を行いますが、さらに減額率の引き上げと対象の拡大を行うべきだと思いますが、あわせて伺います。
 次に、保育施設の拡充についてです。
 昨年4月時点で認可保育所に入れなかったこどもは1,396人で、認可保育所の不足は深刻です。区は今年度、保育定員を1,000人分拡大する計画でしたが、土地や保育士の確保が困難なことから、約680人分の定員増にとどまっています。区が来年度、保育士確保策として家賃助成を実施し、低賃金の保育士への処遇改善を支援することは評価しますが、一方で、公立保育所のさらなる民間委託を実施する計画です。公立保育所の民間委託は、結果的に低賃金、不安定の保育士をふやすことにほかなりません。計画どおりに保育所を整備するためにも、公立保育所の民間委託は中止し、民間保育所だけでなく公立保育所についても増設すべきではないでしょうか、見解を伺います。
 第2に、介護保険について伺います。
 我が党区議団は、この間、4月からの介護保険制度改正の影響について、区内の訪問介護事業所や通所介護事業所などの実態調査を行いました。アンケートや聞き取りを行う中で、介護事業所の深刻な実態が浮き彫りになりました。
 介護報酬引き下げの影響については、回答を寄せたほとんどの介護事業所が「厳しい」と答え、多くの介護事業所で、職員体制の見直しや労働強化を行わざるを得ない状況になっています。
 ある介護事業所は人件費を減らすため、一般職員の残業を減らし、その分の仕事を残業代のつかない管理職がやらざるを得ない状況になっているとのことでした。「スタッフが不足する中、職員は疲弊し切っている」との声も寄せられています。介護報酬引き下げによって、区内の介護事業所にどのような影響が出ているのか、区としても実態を調査すべきです。伺います。
 区は前定例会において、介護報酬引き下げの影響について質問した我が党議員に対し、「認知症加算や中重度者ケア体制加算など新たな加算も受けることにより、経営努力に取り組んでいると考える」と答弁しています。しかし、実際には加算を受けるのは容易ではないことも明らかになりました。
 認知症加算を受けるためには、認知症介護の専門職員の配置が必要ですが、資格を取るための東京都の認知症介護実践者研修は、募集枠も少なく、受けたくても受けられない状況です。現在東京都では、東京都社会福祉協議会に委託し実施していますが、公益社団法人日本認知症グループホーム協会にも委託するなどして、研修の募集枠を大幅にふやすよう東京都に求めるべきではないですか。伺います。
 また、中重度者ケア体制加算を受けるには看護師の配置が必要ですが、人件費も高い上、サービスプランもふやさなければならず、提出書類もふえるなど事務量も増大し、とても採算が合わないとの声が寄せられています。さらに、小さな介護事業所からは、どのような加算があるのかわからないとの声も寄せられました。加算の取得状況や取得していない理由などを調査するとともに、区として丁寧な情報提供と、加算を取得するための支援を行うべきではないですか、伺います。
 介護人材を確保するための介護職員処遇改善加算については、処遇が「改善された」との回答が多数でしたが、離職抑制効果については、ほとんどの介護事業所が「効果がない」と答えています。介護事業所からは、「いつ加算が廃止されるか不安で、基本給への反映をちゅうちょせざるを得ない」、「現在の介護報酬では、生活の安定が保証される常勤職員の配置はできない」などの声が寄せられています。介護報酬自体を減らしておきながら、幾ら処遇改善加算を行っても、結局は、介護人材の確保には大きな効果がないことは明らかです。介護報酬の引き上げを行うとともに、保険料や利用料の負担増とならないよう、別枠で国庫負担をふやして抜本的な処遇改善策を行うよう、国に求めるべきではないですか、伺います。
 次に、介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。
 来年度から実施される総合事業について、現在のところ75事業所が参入を予定しているとのことです。しかし、私たちの調査では、総合事業を「実施する」と回答している介護事業所でも、「とりあえず申し込んだが、採算を考えると実際にはできない」、「既に、要支援高齢者の新規受け入れをお断りしている」などの声が寄せられました。今でも運営が厳しい状況がある中、介護報酬の少ない要支援高齢者を実際に受け入れる介護事業所が不足することが懸念されます。このような実態を区はどのように認識していますか、伺います。
 区は、要支援高齢者へのホームヘルプサービスを、区による14時間の研修を受けた人が実施できるようにしようとしています。介護事業所からは、「14時間の研修を受けただけの人を採用するのは怖い」、「利用者の顔色を見て体調を判断したり、服薬の対応もあるので、無資格の人が現場に入るのは危険」などの声が寄せられました。介護事業所がこれまでどおりのサービスを提供できるように、介護報酬の引き上げを行うべきではないですか、伺います。
 次に、特別養護老人ホームの増設について伺います。
 江東区の特別養護老人ホームの入所待機者は、昨年11月時点で1,768人、要介護4・5の方だけでも880人で、特別養護老人ホームの増設は切実な問題です。しかし、区内では来年度、塩浜に15番目の特別養護老人ホームが整備されるのみで、それ以降の計画がありません。辰巳団地や豊洲四丁目団地など、都営住宅の建てかえにより生まれる都有地、また国有地を活用するとともに、亀戸、西大島での大規模再開発なども利用して、特別養護老人ホームの増設を行うべきです。見解を伺います。
 第3に、国民健康保険について伺います。
 国民健康保険料は毎年のように値上げされ、保険料が払えない滞納世帯は加入世帯の3割、2万5,000世帯を超える異常事態となっています。区民からは、「負担はもう限界だ」との悲鳴が上がっているにもかかわらず、区は来年度も保険料の値上げを行おうとしています。年間の均等割額を1,500円引き上げ4万6,200円にするとともに、所得割率を0.45ポイント引き上げます。その結果、1人当たりの保険料は11万1,189円となり、今年度と比べ4,644円の負担増です。これで14年連続の値上げです。
 年金の引き下げ、個人消費の落ち込みで、区内中小企業の経営状況も厳しい中、これ以上の値上げは行うべきではありません。見解を伺います。
 全国知事会は、政府が国民健康保険の都道府県化を求める過程で、国民健康保険料が高過ぎるのには、国民健康保険制度の構造的問題があるとして、抜本的な公費投入を要求しました。その結果、2018年度からをめどに3,400億円の公費を投入することになり、今年度から1,700億円の保険者支援が実施されています。来年度は支援金を活用し均等割額の減額対象の拡大を行うとのことですが、高過ぎる保険料の負担を軽減するには十分とは言えません。国に対し支援金の増額を求めるべきです。伺います。
 また、来年度も、23区が独自に保険料軽減のために行ってきた高額療養費の一部を一般財源で賄う、保険料軽減策の縮小が行われます。一般財源からの支出の縮小は中止すべきです。伺います。
 高過ぎる保険料を押しつけ、滞納世帯をふやす一方で、滞納世帯への徴収強化が行われてきました。江東区でも、わずかな預貯金や生命保険などの財産の差し押さえ件数は、5年前の6倍にも増加しています。国は、滞納世帯への徴収強化策として、都道府県調整交付金配分ガイドラインを策定し、国民健康保険事業の広域化などとあわせて、収納率の向上に資する取り組みについて、交付金を加配するとしています。
 また、東京都もこれを受け、収納率向上にかかわる取り組み成績が良好であることを、国民健康保険の調整交付金の配分基準とし、差し押さえや資格証明書の発行割合が多い自治体に、交付金を多く配分する仕組みをつくっています。十分な財政支援を行わず、高過ぎる保険料を押しつけ、納付困難な状況をつくり出しておきながら、差し押さえや医療機関への受診を困難にする資格証明書の発行数を競わせるような方針は、到底容認できません。国と東京都に方針の撤回を求めるべきです。
 また、区も、短期被保険者証や資格証明書の発行、強引な差し押さえを行わないよう求めますが、見解を伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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