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2013年第4回定例会-そえや良夫議員

 日本共産党区議団を代表し、大綱4点について質問します。

  1. 特定秘密保護法案について
  2. 来年度予算編成について
  3. 介護保険について
  4. オリンピックとまちづくりについて

 第1は、特定秘密保護法案についてです。
 政府が今国会に提出した特定秘密保護法案は、首相など行政機関の長が、安全保障に著しい支障を来すおそれがあると判断したものを特定秘密と定め、国民がその秘密を漏らしたり、秘密にアクセスしたと判断されれば、最高10年の懲役などに処するものです。しかし、国民には何が秘密か全く知らされません。しかも、秘密の範囲は政府の判断一つで幾らでも広げられる仕組みです。そのため国民は、何が秘密かわからないまま突然逮捕され、罰せられることになりかねません。
 例えば国民が、原発や米軍基地の被害実態、TPPによる農業や食品の安全への影響などを調べようとすることも処罰の対象となります。国民が必要な情報にアクセスできる権利、知る権利を奪うものです。認識を伺います。
 次に、言論、表現、報道の自由との関係についてです。
 特定秘密保護法案では、特定秘密を持つ人に情報を求めることも処罰の対象です。たとえ情報を得ることができなくても、唆しや扇動の罪で処罰されます。
 法案には、取材について、法令違反や著しく不当な方法でなければ処罰しないとありますが、得ようとする情報が特定秘密に指定されていれば犯罪であり、取材の自由を奪う本質は変わりません。結局、言論、表現、報道の自由も奪われます。認識を伺います。
 次に、基本的人権についてです。
 法案にはプライバシー侵害となる身辺調査を行うことが明記されました。公務員だけでなく、政府と取り引きをする民間企業の従業員、その家族や同居人、さらには配偶者の家族も調査対象です。しかも秘密のうちに犯罪歴や飲酒の節度、経済状況など、個人情報が警察などにより洗いざらい調べ上げられます。憲法違反の重大な人権侵害です。認識を伺います。
 最後は、特定秘密保護法案に対する態度についてです。
 外交上、防衛上どうしても秘密にしなければならないことは、現在ある法律で十分対応できます。安倍政権が狙うのは、国や政権にとって都合の悪いものは全て国民の目から隠し、国が情報を統制し、世論を誘導して、政府や時の権力者の意のままに政治も国民も動かして、海外でアメリカと一体に軍事行動をする国へ日本をつくりかえることです。
 特定秘密保護法案は憲法を破壊し、戦争への道を突き進むためのものとして反対する声と運動が、法曹界、学者・研究者、マスメディア、出版人、テレビキャスター、市民・労働団体、女性などに燎原の火のように広がっています。特定秘密保護法案は廃案にするしかありません。見解を求めます。
 第2は、来年度予算編成についてです。
 政府の2014年度一般会計概算要求総額は99兆円を超え、過去最高となりました。その特徴は、270兆円もの内部留保を持つ大企業に、消費税増税に伴う景気腰折れ対策として、法人実効税率の引き下げや不要不急の大型プロジェクト、軍事費の大幅増など大盤振る舞いをし、さらに、復興特別法人税も今年度限りとしました。
 一方、庶民には消費税の大増税、受け取る年金を大幅削減の上、社会保障は改革プログラム法で解体。雇用でも、雇用調整助成金を半減した上、労働者派遣法の改悪や首切り自由化など、労働法制の大改悪を進めようとしています。区民の暮らしにも地域経済にも大きな打撃となります。認識を伺います。
 次に、本区の来年度予算編成についてです。
 区長も認めるように、長引く不況などで区民の暮らしは本当に大変です。国の悪政から住民の暮らしを守る防波堤として、自治体の役割を発揮することが求められています。しかし、区はこの間、行財政改革や効率化の名目で、正規職員の削減と民間委託の拡大、施設使用料や事業系ごみ・粗大ごみの収集手数料、放置自転車撤去手数料の値上げ、がん検診の有料化など、区民負担増の一方でため込みをふやし続けてきました。
 来年度予算編成に当たっては、決算時で830億円を超える基金を活用し、住民福祉の向上という自治体本来の立場で進めるよう求めるものです。
 まず、職員確保についてです。
 人口増加と国や都からの事務移管で仕事量がふえ続けています。機械的な人員削減をやめ、必要な職員はきちんとふやすべきです。
 福祉事務所のケースワーカーは、法定の担当件数80件の2倍近い140件を受け持つ職員もいるなど、深刻な不足となっており、27人の人員増が求められ、また、区民課からも、窓口業務を含む14名の人員増が求められています。区民サービスに直結する問題です。現場の求めに沿って職員確保を行うべきです。伺います。
 次は、民間委託についてです。
 来年度、千田児童館・福祉会館の運営を株式会社に委託することに対し、利用する児童の保護者や高齢者から、「従業員がころころかわるのは困る」など、不安と反対の声が上がりました。委託先の労働者は、低い賃金で過重な労働や責任が求められるため、定着率が悪く、区民サービスの低下を招きかねません。
 また、保育士の処遇の悪さが保育士不足を招き、待機児童解消の障害になるとして大きな社会問題になっています。必要な職員を確保し、民間委託は中止すべきです。
 また、こどもたちの給食調理業務や学校用務業務など、区民の命や健康に直接かかわる部門、災害時に区民を守るのに必要な学校の夜間警備などは直営に戻すべきです。伺います。
 次に、区の仕事にかかわる労働者の処遇の問題です。
 区は委託先の労働者の処遇について、民民のことなどとしてまるで関与してきませんでした。その結果、多くの委託先で労働者は契約社員やパート中心になり、直営と同じ仕事をしながら賃金は半分以下。住民福祉の向上を図るべき自治体がこんな働かせ方でよいと考えているのですか。伺います。
 公契約条例を制定し、区の仕事にかかわる全ての労働者の適正な労働条件の確保に取り組むべきです。あわせて伺います。
 区は、職員全体の4分の1を占める非常勤、臨時などの非正規職員の賃金を4年以上も引き上げず、官製ワーキングプアと言われる状態を放置しています。速やかに改善すべきです。伺います。
 次に、保健・医療に係る区民負担についてです。
 国民健康保険料は、賦課方式の変更などによりこの2年間で大幅な値上げとなりました。保険料滞納世帯が4割にも上る異常な事態が何年も続くなど、保険料負担はとうに限界を超えています。賦課方式を住民税方式に戻すとともに、高過ぎる保険料の引き下げを図るべきです。
 来年はまた、後期高齢者医療保険料の見直しも行われます。年金が減り続けるもとでの保険料の引き上げに、「暮らしていけない」など、不安が広がっています。後期高齢者医療保険料の値上げは中止すべきです。
 国は、がん検診の受診率向上を目的に、大腸がん検診などに50%の国庫補助を始めました。本区が今年度から有料にした、胃がんなど4種のがん検診の無料化を復活すべきです。あわせて伺います。
 子育て支援では、待機児童解消と良質な保育の確保のために、都有地、国有地なども活用した区の責任による認可保育所の増設、小1支援員の通年配置と幼稚園への支援員配置、出産一時金の引き上げなど、拡充を求めます。
 高齢者支援策では、民間からの借り上げも活用したシルバーピアの増設、インフルエンザの予防接種は65歳以上を無料とすること、さらに、重度介護手当制度創設や特別養護老人ホームの増設など、充実を求めます。
 中小・小規模事業者支援策では、予算全体のわずか1.1%という本区の中小企業予算を抜本的に引き上げ、仕事起こしや中小・小規模事業者同士の情報交換などのための環境づくり、江東区中小企業新製品・新技術開発補助金の引き上げ、商店街振興など支援を強化すべきです。伺います。
 第3は、介護保険についてです。
 11月14日に厚生労働省が示した介護保険制度の見直し方針は、要支援者に対する訪問介護、通所介護の保険外し、特別養護老人ホームへの入所制限と利用料軽減措置の大幅縮小、一定所得以上の人の利用料を2倍に値上げするというものです。保険料は年金天引きなど、有無を言わさず取り立てながら、介護が必要と認定されても保険給付を大幅に縮小する見直し方針に、介護保険制度を壊すものと厳しい批判の声が広がっています。
 区は、見直し後の要支援者に対する訪問介護、通所介護について、介護保険のサービス事業者も活用しながら、基本的に同等のサービスが提供できるよう体制を整えると答えています。しかし、事業所はこの考えには無理があると言います。訪問介護は、専門職としてのヘルパーが、仕事として定期的に訪問し、生活援助を行いながら、さまざまな不安を抱える高齢者の生活全体を支えており、さらに、守秘義務があるので、医療との連携を図ることができるもので、とても弁当業者やボランティアでできる仕事ではないと言います。
 また、保険から外されて報酬単価がボランティア並みに下げられたら、ヘルパーにも敬遠され、事業所の存続自体も危ぶまれると言います。
 デイサービスについても、現行サービスの大半を取り上げ、機能訓練や入浴だけに制限すれば、少なくない事業者の存続は困難になると言います。区が活用するという事業所もヘルパーもいなくなるのではありませんか。認識を伺います。
 要支援者に対する給付削減は、結局、利用者や自治体に重い負担増を強いるものです。そのため、自治体の長からも中止を求める声が広がっています。政府に対し、要支援者に対する訪問介護、通所介護の保険外しをやめるよう求めるべきです。伺います。
 次に、特別養護老人ホームへの入所制限についてです。
 厚生労働省は、当初特別養護老人ホームへの入所は、要介護3以上の人に制限するとしていました。しかし、認知症高齢者の家族などから厳しい批判を受け、要介護1、2でもやむを得ない事情があれば認めると見直しました。しかし、あくまでもこれは特例とし、要介護3以上という原則はそのままです。特別養護老人ホーム入所者の約1割は要介護1の人であり、軽度者の入所はセーフティーネットの役割を果たしています。重度者に制限する見直しは撤回を求めるべきです。伺います。
 次は、利用料の問題です。
 厚生労働省は、現行1割の利用料を、所得が一定以上ある人は2倍の2割に値上げすると言います。保険からの支払いを減らすのが目的で、年金収入が280万円以上の人などが対象とされています。都市部の高い家賃や生活費、おむつ代など、多額の保険外費用もあり、1割負担でも大変という実態を顧みないものです。利用料値上げをやめるよう求めるべきです。伺います。
 特別養護老人ホームなどの施設利用者の入所費用を軽減する補足給付は、本人が住民税非課税の人が対象で、本区でも約8割の人が受けています。見直し案のように配偶者の所得の有無も判断基準にされれば、年金収入が153万円の配偶者に年間240万円近い費用負担が求められ、入所できなくなります。所得の少ない人を特別養護老人ホームから排除する補足給付の基準見直しを中止するよう求めるべきです。伺います。
 次は、制度の抜本改革についてです。
 介護保険制度のたび重なる改悪は、介護の必要な高齢者がふえているにもかかわらず、もともと低い国の負担割合を据え置いてきたことが原因です。国の制度として保険料、利用料の減免制度をつくるとともに、生活援助などの給付制限やサービス取り上げ、特別養護老人ホームの入所制限、利用料の大幅引き上げをやめさせ、高齢者の安心を支える社会保障制度とするために、国庫負担割合を抜本的に引き上げるよう求めるべきです。伺います。
 第4は、オリンピックとまちづくりについてです。
 御承知のように、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりました。我が党は、IOCの決定を尊重し、オリンピック精神あふれる大会、また、都民、区民の暮らしや環境との調和のとれた無理のない大会となるように努力するものです。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックは、既存施設をできるだけ活用したコンパクトな大会を目指すとしてきました。ところが、国立競技場は、観客席を現在の5万5,000席から8万席へ、4割ふやすために建て直し、延べ床面積は現在の5.6倍、建設費は当初計画を大きく上回る1,850億円としています。ロンドンでは、オリンピック・パラリンピック後も見据え、増設分の観客席は仮設とし、経費を安く抑えました。東京でも将来の活用を見据え、現在の施設を最大限活用し、無駄のない効率的な施設整備とすべきです。伺います。
 次に、競技施設建設と環境についてです。
 カヌー(スラローム)競技予定地の葛西臨海公園は、野鳥の楽園と呼ばれ、東京都が絶滅危惧種としている植物や昆虫、鳥類など、26種の生息が確認されています。自然保護団体は、施設建設により生物の生息環境が破壊され、取り返しのつかない環境悪化が起きるとして見直しを求めています。
 区内の夢の島公園や有明テニスの森公園でも、大会終了後に木を植え直したとしても、緑が大幅に減少すると指摘されています。競技施設建設が自然環境を壊すことがないよう、場所の変更も含め、計画の見直しを求めるべきです。伺います。
 次に、区民スポーツとの関係についてです。
 馬術競技予定地の夢の島競技場は、区内小中学生の陸上競技の決勝大会などで年間約31万人が利用しています。野球場は8面、少年野球場は4面で、13万8,000人が利用しています。これだけの施設が本大会の2年前から使えなくなってしまいます。区内の都有地なども活用し、区民スポーツが制限されないよう、代替施設の確保を求めるべきです。伺います。
 次に、オリンピックに便乗した動きについてです。
 オリンピック・パラリンピック東京開催に便乗し、戦略特区推進を打ち上げ、建物の容積率など、さまざまな規制を緩和し、大型開発推進のてこにしようとの動きがあります。本区ではこれまで、規制緩和による乱開発で保育所や小学校の不足など、大変な負担を強いられてきました。オリンピック・パラリンピックに便乗した規制緩和と大型開発をやめるよう求めるべきです。伺います。
 中でもカジノ解禁の突破口にしようというのは問題です。区は前定例会で、カジノは観光資源として有力、経済波及効果や雇用創出効果などを挙げ、臨海副都心地区への誘致に期待を表明しました。
 しかし、賭博はギャンブル依存症や返済能力を超える借金、仕事も手につかないなど、大きな社会的損失をもたらします。特にカジノは、青少年への悪影響、犯罪の誘発、組織犯罪集団の介入など、さらに大きな悪影響が指摘されています。こうした問題は法律や治安面の対策などでは解決できないと思いますが、区長の見解を伺います。
 また、カジノの合法化を中止するよう求めるべきです。伺います。
 区は、オリンピック・パラリンピック開催に係るまちづくり基本構想策定を、民間事業者に委託することとしました。大会の円滑な実施に向けた支援や、大会後の将来を見据えたまちづくりの計画を検討するためと言いますが、そのあり方や策定方法まで求めています。大型開発に道を開く区民不在の丸投げではありませんか。どのような町をつくっていくかは、本来区民とともに区が直接責任を持って進めるべきものです。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

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