日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問します。
- 区民税の徴収、滞納処分問題について
- 認可保育所の増設について
- 防災対策について
- 原発問題について
第1は、区民税の徴収、滞納処分問題についてです。
区は、区民税等の収納対策本部と滞納処分を専門に行う特別整理係を設置し、行財政改革計画の中で、差し押さえなど滞納処分の強化を行っています。区民からは、「徴収、滞納処分のやり方が余りにもひど過ぎる」という相談が寄せられています。
高齢者でひとり暮らしの女性は、区民税23万円を滞納し、国税還付金の全額が差し押さえとなりました。この方の収入は年金のみで月3万5,000円、今は翻訳の仕事もなく、預貯金はゼロ、差し押さえによって生活困窮に追い込まれました。
徴収確保を優先させ、納税者の生活保障を損なう結果を招くことは、それ自体自己矛盾であり、無益にして有害な執行ではありませんか。国税徴収法第153条並びに地方税法第15条の7には、地方自治体の長は、滞納処分を執行することによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行を停止できると定めています。法令に基づき直ちに滞納処分の執行停止を行うべきです。伺います。
運送会社所有のトラックでコンテナ運送を請け負っている運転手の方は、区民税の滞納で18万円の売掛金、事実上の労働賃金が差し押さえとなりました。その結果、8,000円しか手元に残らず、これでは生活がやっていけないと徴収職員に窮状を訴えたところ、「自分で考えてください」とはねつけられました。完納するまで毎月の賃金は差し押さえられ、生活保護を受けざるを得なくなりました。
国税徴収法第151条並びに地方税法第15条の5は、自治体の長は、滞納者の事業継続、生活の維持を困難にするおそれがある財産の差し押さえを猶予し、または、解除することができると、換価の猶予を定めています。法令と社会的妥当性に基づき、この人の差し押さえを解除すべきです。伺います。
納税義務を果たすために生存権が脅かされてはなりません。生活困窮者をさらに窮地に追い込む税金の取り立ては、憲法第25条の精神に反し、地方自治の本旨とも相入れません。納税者の個々の実情に対する配慮を怠り、人権、生存権さえ踏みにじり、最低限の生活と営業の継続に欠かすことができないなけなしの財産を、差し押さえて納付を迫る強引な滞納整理は即刻やめるべきです。伺います。
さきの国会の質疑の中で新藤義孝総務大臣は、「全国の税務担当課長会で、滞納処分で生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、執行を停止することができると発言している。徹底するよう働きかける」と答弁しています。この趣旨を十分踏まえて対応すべきではありませんか。伺います。
京都府では、地方税法第15条の7第1項第2号の滞納処分の執行停止の要件である、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときについて、税条例で具体的基準を定めています。本区でも、生計費需要額など適用要件の基準を条例等で定めるべきです。伺います。
国税庁通達、納税の猶予等の取扱要領は、納付することが困難である旨の申出等があった場合には、その実情を十分調査し、納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配慮するとしています。徴収の猶予が許可されると、新たな滞納処分が禁止され、安心して分納でき、完納できなければ1年延長の申請が可能となります。また、一定の要件で差し押さえの解除や延滞税の減額・免除ができるなど、納税者に有利な方向で納税緩和ができます。
ところが、本区での分納は、徴収職員の裁量権にすぎず、分納の金額も期間も制約され、何より延滞税は残るというものです。区民が徴収猶予の申請ができるよう、申請書を窓口に用意するなど、法に基づいた納税緩和措置を積極的に図るべきです。伺います。
国税徴収法制定にかかわった民法学者、我妻栄氏は、「国税徴収法精解」の著書の中で、「国税徴収法によって国が与えられている強権力と裁量権は真に悪質な滞納者に対してのみ行使するもので、大多数の善良な納税者に対して決して行使してはならないものである」と書いています。納税者の基本的人権や生存権、財産権を保障する立場に立った税務行政を強く求めるものです。伺います。
第2は、認可保育所の増設についてです。
杉並区や大田区、江戸川区など、23区の中で認可保育所に申し込んだのに入れなかったこどもの母親が集団で、保育士などの職員数、施設の広さ、園庭などの環境が整っている認可保育所の増設を求めて行政不服審査の訴えをしました。
江東区では、ことし4月からの入園のため、認可保育所に3,447人が申し込みましたが、そのうち入れなかったこどもは1,338人となり、昨年度より約300人増加しました。4月からの入園に合わせて職場復帰を考えていたが、希望者多数で入所できないという通知に、「目の前が真っ暗になった」、「朝、目が覚めると、ああ、保育園どうしようと、そのことばかり考えている」などの切実な声が、私たちにも多数寄せられています。認可保育所の増設を求めての行政不服審査の訴えを区はどのように認識しているのか、伺います。
東京都社会福祉協議会の調査では、保育所の利用希望者の半数が認可・認証保育所を並行して申し込みつつ、最も希望する保育サービスは認可保育所が8割との結果が出ています。本区でも、圧倒的多数の保護者は、施設の面積、設備、保育士の配置、保育内容、応能負担の保育料などから、認可保育所を求めています。この保護者の要望に真摯に応え、認可保育所の大幅な増設をすべきです。伺います。
保育の質を支えるための国際的な共通認識は、1つ目は施設の面積や設備、2つ目は保育者の配置や年齢に応じた集団の規模、3つ目は保育内容、4つ目は保育の専門性となっています。これらを充実していくことが保育の質を向上させることになると思いますが、区の認識を伺います。
横浜市は、待機児童数全国ワースト1位から待機児童をゼロにしたと報道されています。しかし、この待機児童ゼロには大きな問題があります。
1つ目は、認可保育所580カ所の25%を株式会社が占めていることです。全国平均はわずか2%です。株式会社参入を一気に進めたことで矛盾が生まれています。ビルのテナントを借り上げ内装を整備すると市の補助金が受けられるため、横浜市では、園庭のないビル内の企業園が次々とつくられました。保育士の入れかわりも激しく、開園して半年で半数以上の保育士が退職したという園が複数あります。経営の悪化から企業が撤退し、別企業が引き継いだという事態も生まれており、株式会社による運営の不安定さは拭えません。
2つ目は、定員拡大や弾力化、面積基準の引き下げなどによるこどもの詰め込みです。定員増を図るために園庭やプールをなくして園舎を増築したり、ホールを潰して保育室にしているため、保育環境が悪化しています。
3つ目は、待機児童の定義を変え、意図的とも言える待機児童減らしをしていることです。
安倍首相は、横浜方式を全国に広げ、5年間で待機児童ゼロを達成したいと表明し、企業による保育所経営を一気に推し進めようとしていますが、保育環境を悪化、後退させる横浜方式をお手本にすべきではありません。見解を伺います。
厚生労働省は、認可保育所への株式会社の参入を一層促す通知を、自治体に送付しました。通知は、自治体の判断で株式会社を排除することがないように戒めるものです。しかしながら、自治体が株式会社の参入に慎重なのは、株式会社が運営する保育所で、突然の閉園や職員の激しい入れかわりなどの問題が生じているからではないでしょうか。営利を目的とする株式会社が保育になじむのかという疑問は、保護者や保育関係者に根強くあります。
さらに、2015年からの新システムでは、現行制度では認められていない株主配当が認められ、株主配当のために人件費が抑制される危険があります。保護者はこどもの安全や健やかな育ちを願い、認可保育所の増設を求めています。そのためには、保育士の人材確保や十分な配置が欠かせません。人で成り立つ保育で利益を上げようとすれば、削られるのは人件費です。保育でもうけを上げる仕組みを前提とした株式会社参入は、保護者の願いに応えるものとは到底言えません。本区では、認可保育所への株式会社の新たな参入を認めるべきではありません。見解を伺います。
認可保育所を増設する上で、用地確保が重要です。認可保育所整備のための国有地及び都有地の活用について、情報提供と無償貸与などを求めるなど、よりよい条件で活用できるよう、国と都へ繰り返し働きかけていくべきです。伺います。
また、保育士の質の向上を図るためにも、保育士の採用と定着を図ることは欠かせません。都は、国の補正予算に基づき、保育士の処遇改善に要する費用を含めた安心こども基金を積み増ししています。保育士の処遇改善を積極的に図るべきです。伺います。
第3は、防災対策について伺います。
東日本大震災を踏まえ、東京都は昨年12月、堤防や内部護岸、水門、排水機場などの施設が最大級の地震にも耐えられるよう、耐震・耐水対策の方針を発表し、2021年度までの10年間の新たな整備計画をつくりました。
都は、整備を進めるに当たって、地盤が低い地域を優先するとしていますが、ゼロメートル地帯である本区における対象箇所を明確化し、整備スケジュールを区としてきちんと把握し、早期整備について繰り返し都に働きかけるべきと思いますが、伺います。
区内には、古い基準で建築された木造住宅が1万軒以上残されています。これら古い住宅の耐震改修への助成制度の利用者は、7年間でわずか24件という状況です。助成制度の活用が低調なのは、耐震改修の結果、家屋の1階も2階も倒壊しない耐震性能とならなければならず、古い家屋ほど改修費用が膨らみ、自己負担額が大きくなるからです。住民の命を守る立場で要件を緩和し、助成額の増額と部分耐震にも助成すべきです。
また、経済的な理由で大がかりな耐震改修ができない場合、家屋が倒壊しても一定の空間を確保することで命を守る耐震シェルター設置にも支援を行うべきです。あわせて伺います。
今年度から区内の全中学校が、災害時の拠点避難所に指定されました。区は、今後、学校避難所を中心とした災害救助活動を展開するとしていますが、町会・自治会ごとに組織されている災害協力隊を、どの学校避難所の運営に当たってもらうのか、調整が必要だと考えますが、伺います。
災害が長期化する場合、避難所が避難者の生活の場となります。区は、避難者のプライバシー確保のため、体育館等の居住スペースに区切りが必要だとしていますが、学校備蓄物資に間仕切りはありません。備蓄資機材として配備すべきと思いますが、伺います。
避難所となる学校体育館や公共施設などでの震災時の安全確保を図るため、天井の耐震性や設置物の落下対策について、診断調査と必要な耐震改修を求めます。伺います。
震災時等におけるエレベーター閉じ込め対策について、区役所庁舎の各エレベーター内に設置しているエレベーターチェアは、非常時にトイレとして使用でき、水や懐中電灯などの非常用品が収納されています。公共施設等への拡充を求めます。伺います。
区は要援護者を、1次避難所から2次避難所、福祉避難所へ搬送、入所させるとしていますが、今の17カ所の2次避難所では足りません。ふやすべきです。
また、1次避難所での混乱を避けるため、要援護者が福祉避難所として指定されている施設などへ直接避難できる体制も含め、前もって整えておく必要があると思いますが、あわせて伺います。
古い民間住宅の敷地内に埋設されている白ガス管などの腐食しやすい旧式のガス管の交換が、ガス漏れの危険があるのに進んでいません。国土交通省によれば、旧式ガス管の未更新は319万本も残っているといいます。個人住宅敷地内のガス管が個人資産として扱われ、更新費用が自己負担となっているため、更新が進んでいないのが現状です。
国土交通省は、耐震上危険なガス管の取りかえは、住宅の耐震改修や建てかえとあわせて行う場合、また、自治体が住宅改修と切り離してガス管の交換だけを支援する制度を設計した場合でも、国の耐震改修促進事業の補助対象になると言っています。地域防災対策上、白ガス管の実態について、ガス事業者に情報提供を求めるとともに、白ガス管の交換を促進するよう働きかけるべきです。また、危険な老朽ガス管の交換について、国の助成制度を活用した区の支援制度の創設を提案します。あわせて見解を伺います。
第4は、原発問題について伺います。
東京電力福島第一原子力発電所は、収束どころか事故の真っただ中にあります。この事故によって、周辺住民を初め、多くの人たちがふるさとを離れざるを得なくなり、今も多数の人たちが避難生活を続けています。
東京電力福島第一原子力発電所では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やすために原子炉内に水を送り続けなければなりません。ところが、原子炉建屋などに地下水が1日400トン流入し、高濃度の放射能汚染水がどんどん増加しています。汚染水を入れるタンクの増設を怠ったためタンクが足りなくなって、タンクのかわりに汚染水を入れた地下貯水槽から汚染水が漏れるという大事故を引き起こしました。放射能汚染水漏れの事故は69回も発生しています。放射能汚染水に含まれる放射性物質の量は、事故で大気中に飛散した量の10倍と推定されるほど巨大な量に達しています。このような巨大な放射能を含む大量の汚染水が、外部に流出する危機的状況の瀬戸際にまで陥っているのが、東京電力福島第一原子力発電所の現状です。とても収束した状況ではないと思いますが、認識を伺います。
ここまで事態を悪化させた根本には、汚染水はいずれ海に捨てればいい、海に捨てれば薄まるだろうという無責任きわまる発想があります。どんな形にせよ、汚染水の海への放出は絶対にやってはならないと思いますが、見解を伺います。
政府に対し、収束宣言をきっぱりと撤回すること、収束と廃炉を、日本の英知を結集した大事業と位置づけてやり抜くよう強く求めるべきです。伺います。
安倍首相は、「世界最高レベルの安全基準で安全が確認された原発は再稼働する」と言い、原発再稼働と原発輸出政策を進めようとしています。しかし、事故の原因もわかっていない、収束もできていない状況で、どうして再稼働など許されるでしょうか。原発に絶対安全はありません。それは、日本国民が体験し、政府も認めたことです。政府に対し、原発の再稼働と輸出政策を直ちに中止することを求めるべきです。原発と人類は共存できません。即時原発ゼロの政治決断を強く求めるべきです。あわせて伺います。
再生可能エネルギーは、風力、太陽光、地熱、小水力など、多様なエネルギーを組み合わせ、普及が進めば進むほど供給が安定します。
日本は、多様で豊かな再生可能エネルギーの宝庫です。原発の40倍とも言われる巨大なその潜在力を生かし、自然エネルギーの普及に対する区独自の支援策の拡充を求めるものです。
また、災害対策上、区内の拠点避難所や避難場所、公園等での小風力、太陽光発電等の積極的な活用を図るべきです。あわせて伺い、私の質問を終わります。(拍手)