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2013年第2回定例会-きくち幸江議員

日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  1. 区民の暮らしと経済政策について
  2. TPP交渉への参加について
  3. 憲法問題について

第1は、区民の暮らしと経済政策についてです。
自民党政権にかわって5カ月余、株価が上がった、景気がよくなるとの期待感もつかの間、投機マネーにより株価は乱高下を繰り返し、アベノミクスなる経済政策は制御不能になりつつあります。一部の大資産家や大株主が何百億円、何千億円と資産をふやす一方、庶民に景気回復の実感はありません。
統計数値を見ても、ことし3月までの労働者の所得、設備投資、雇用、いずれも改善の傾向はなく、中小企業向け融資も史上最低です。実体経済を立て直すことなく、異常な金融緩和でバブルを起こす政策をこのまま続ければ、インフレによる物価の高騰や資産家と一般国民の格差の拡大、長期金利上昇により消費や設備投資が一層冷え込み、日本経済は大変な混乱に陥ることになります。政府の経済政策と区民生活への影響をどう受けとめていますか。まず伺います。
我が党はこれまで、デフレから脱却し景気回復を図るには、国民総生産の6割を占める内需をふやすという立場から、さまざまな提案をしてきました。
提案の第1は、雇用環境の改善です。労働法制の規制緩和によるワーキングプアが問題となっているのに、アベノミクスの成長戦略では、さらなる規制緩和で、解雇の自由化や残業代未払いの合法化を進めるなど、企業にとっては都合のよい、働く者を使い捨て自由にする法律をつくろうとしています。今でもひどい働かされ方で、体や心を壊され、若い世代は低賃金で結婚できない、結婚しても経済的理由で離婚に至る事態が深刻で、こどもの貧困も進行しています。これがまともな社会と言えるでしょうか。
260兆円にも膨らんだ大企業の内部留保金、そのほんの1%で、8割の大企業が月1万円の賃上げと非正規社員の時給を100円上げることができるということです。政府に対し、労働法制の規制緩和はやめ、正規雇用を基本とした法規制に改めること、中小企業に支援をして、最低賃金を引き上げるよう求めるべきと思いますが、伺います。
また、本区としても、区内の事業所に雇用拡大の申し入れを行うとともに、現在行っている中小企業若者就労マッチング事業の拡充を図り、技術力や精神面にも幅を広げた若者支援、就労支援に取り組むことを求めます。伺います。
さらに、公契約条例の制定についてです。
今年度の公共工事の設計労務単価が引き上げられました。国土交通省の通達では、その背景として、ダンピング受注の激化と下請へのしわ寄せが労働者の賃金低下をもたらしており、このままでは技能承継がされず、将来の災害対応やインフラの維持・更新にも支障を及ぼすおそれがあるとしています。
労務単価の引き上げが、下請代金や賃金の引き上げにつながる実効ある仕組みをつくるのが公契約条例です。公契約条例は、建設業界だけでなく人材不足の保育や福祉など、本区の仕事を請け負う多くの労働者の賃金水準の向上にもつながります。都内でも新たに足立区が制定を決めるなど、動きが広がっています。本区としても、公契約条例制定の検討に入ることを求めます。伺います。
提案の第2は、中小企業の振興です。
事業所数の99%、雇用の7割を占める中小企業が元気にならなければ、日本経済の復活はありません。しかし、長引く景気低迷に加えて、円安によるガソリン代などの燃料や資材の値上げの影響が、中小業者の経営にも襲いかかっています。
本区は、今年度、産業実態調査を行いますが、円安による影響と支援策も展望した調査項目を入れること、職員も特別の体制をとって面接による聞き取り調査を行い、将来のまちづくり、産業づくりの基礎をつくる調査とするよう求めます。伺います。
また、商店街では、大型店の出店と消費の低迷で、商店街の存続そのものが危ういとの不安も寄せられています。商店街の調査は個店の調査で終わらせず、地域の特徴、消費者の需要、空き店舗を活用した集客の可能性など、商店街ごとの要望を聞きながら展望の出せる調査とすることを求めます。伺います。
提案の第3は、消費税増税を中止させることです。
来年、再来年と消費税の連続増税を実行に移す動きがあります。しかし、中小・零細企業では、景気回復の見通しがない上、ほとんどの零細業者は消費税を販売価格に転嫁できないでいます。区長はこの間の答弁で、消費税は公平な税と答えていますけれども、決して公平ではなく、中小業者や低所得者に負担の大きい逆進性は政府も認めるところですが、今回、救済の対策はやらないということです。
売り上げが伸びない上に材料費が上がり、さらに消費税が上がったら首をくくるしかないと、悲痛な声が寄せられているように、消費税の増税は、頑張っている事業者に廃業を通告することにもなります。区内業者を守る立場で、消費税増税の中止を求めるべきと思いますが、伺います。
提案の第4は、社会保障の充実で暮らしを安定させ、消費購買力を伸ばすことです。
大企業には、減税などの大盤振る舞いをする一方で、ことし10月からの年金給付の引き下げを初めとして、国民の暮らしを支える社会保障制度を大幅に改悪する議論が進められています。
年金支給開始年齢は70歳まで先延ばし、医療・介護保険制度の利用料負担の引き上げと給付の引き下げ、保険料の大幅値上げなどが言われる中で、将来不安は高まり、庶民の財布のひもはかたくなるばかりです。業績の上がっている大企業に応分の負担を求めて財源をつくり、年金、医療、介護、保育、障害者福祉などについて、現状を引き下げるのではなく引き上げ、生活への不安の解消を図るように、国と自治体が責任を果たすべきときと思いますが、区長の見解を伺います。
さらに、生活保護制度についてです。
生活保護基準の引き下げが、最低賃金や課税基準などに連動して、国民の生活水準そのものを切り下げるものであるという指摘をこれまでしてきました。政府は、さらに生活保護の申請要件や扶養義務者への調査を強化するなど、窓口で申請書を渡さず追い返す水際作戦を合法化しようとしています。これでは、行政が相談を受けながら餓死や孤独死に追いやる状況を当たり前につくり出す人権侵害そのものです。
日本弁護士連合会からは、「生存権保障を空文化させるものであって到底容認できない」と声明が出され、国連からも、生活保護を恥と思う気持ちを根絶するため国民を教育することや、申請手続の簡略化を日本政府に求める勧告が出されました。先進国として恥ずかしいことです。国民の生存権、人権にかかわる問題として、生活保護制度改悪の中止を求めるべきと思いますが、伺います。
第2に、TPP交渉への参加について伺います。
安倍政権は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加を表明し、手続に入っています。例外なき関税と非関税障壁の撤廃が大原則とされ、関税の撤廃では、国内の農林水産業や地場産業などが壊滅的打撃を受けます。
非関税障壁の撤廃では、国民皆保険制度が破壊され、食品安全基準や添加物規制なども緩和が求められます。自治体の公共事業も外国企業に開放することになり、本区が行っている地元業者優先発注、総合評価制度なども認められず、地域経済にも大きな影響を与えます。だからこそこれまでに9割の都道府県、8割の市町村議会から、反対や慎重にという意見書や決議が採択され、農業団体を初め、医師会や消費者団体など、幅広い層で強力な反対の声が広がっています。区長は、TPP参加による地域経済と区民生活への影響をどう受けとめていますか。伺います。
安倍首相は、「守るべきものは守る」と言っていますが、後から参加する日本は、既に合意された事項は全て承認するしかなく、年内にも妥結という交渉の最終段階にある中で、首相の言葉は全く国民を欺くものです。
また、TPP交渉に参加するためのアメリカとの事前協議では、既に高い入場料を払わされました。牛肉の輸入、かんぽ生命保険、自動車などでアメリカの要求を丸のみにし、さらに、交渉妥結までには、保険や知的財産権など、アメリカからの積年の要求に全て決着をつけることを約束させられています。
とりわけアメリカが導入を迫っているISD条項が導入されれば、日本の行政や司法判断、法律なども、アメリカの多国籍企業に都合が悪いとなれば制度変更を求められるなど、国の主権さえ侵害される事態も起こります。
安倍首相は、「アジア・太平洋地域の活力を取り込む」と言いますが、経済が発展している中国、韓国、タイ、インドなどは参加していません。結局、アメリカ主導の経済に日本を従属させ、一部の多国籍企業だけが恩恵を受ける代償に、日本の国を丸ごとアメリカに売り渡すことになります。
農林水産業を守り、国民皆保険制度を守り、日本の国益を守るには、TPP交渉から撤退するしかありません。政府に対し、TPP参加を撤回するよう強く求めるべきと思いますが、伺います。
第3に、憲法問題について伺います。
安倍首相は、憲法第96条の憲法改定要件を引き下げて、憲法を変えやすくすることを参議院議員選挙の争点にすると表明しました。しかし、これには全国の弁護士会から反対決議が次々に上がり、改憲論者にも反対の声が広がっています。この問題が単なる形式論や手続論ではないからです。
近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために憲法によって国家権力を縛るという考え方に立っています。そのために憲法の改定要件も、時の権力者の都合のよいように変えることが難しくされているのであって、アメリカやフランスなど、先進国では当たり前のことです。この要件を一般の法律並みに変えてしまっては、憲法が憲法でなくなってしまいます。安倍首相の目指す憲法改定要件の緩和は、近代立憲主義の否定につながるものと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、憲法を変えやすくしてどのような憲法をつくろうとしているのかという問題です。
自民党は昨年4月に憲法草案をまとめ、公表しています。日本を「天皇をいただく国家」と規定し、憲法第9条第2項を削除して国防軍を創設、集団的自衛権の発動を認めるとしています。社会保障における国の役割を弱め、集会・結社の自由に制限をつけ、基本的人権を規定する条項は全文削除するなど、人権を保障するための憲法の役割を180度変えて、国の統治を目的に、国民には義務を押しつけるものとなっています。これでは歴史の進歩に逆行し、戦前の日本に逆戻りさせるようなものと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、こうした憲法改定案の背景にある歴史認識についてです。
麻生副総理ら閣僚が靖国神社に参拝し、安倍首相がまさかきを奉納する事態が起こりました。さらに、首相の村山談話、河野談話の見直し発言、また、同じ改憲派である橋下大阪市長の従軍慰安婦をめぐる発言などに、警戒や抗議の波紋がアジア各国やアメリカでも広がっています。
靖国神社はA級戦犯を合祀しているだけでなく、過去の日本軍による侵略戦争を自存自衛の正義の戦い、アジア解放の戦いと美化、正当化し、宣伝する施設であり、ここへの参拝はこの趣旨を認めると宣言するものです。
日本の過去の戦争が明確な侵略戦争であったことは、ポツダム宣言やサンフランシスコ平和条約を持ち出すまでもなく、国際的に確定しています。もし安倍政権がこれを否定するようなことになれば、戦後国際政治の秩序を丸ごと否定することになり、国際社会で生きる道はありません。過去の歴史にきちんと向き合い、誤りは正してこそ、国際社会に認められ、名誉ある地位を得られる国に足を踏み出せると考えます。区長の見解を伺います。
次に、憲法第9条についてです。
押しつけられた憲法という意見もありますが、現行憲法には、恒久平和、国民主権、基本的人権の尊重、議会制民主主義、地方自治という、世界でも極めてすぐれた思想が盛り込まれています。とりわけ憲法第9条は、多くの犠牲を出したさきの侵略戦争の反省のもとに、日本の国として二度と戦争はしない、軍隊は持たない、交戦権は認めないと、世界に向けて公約したものです。
区長は、さきの本会議答弁で、領有権問題や北朝鮮の無法に対して、憲法第9条の見直しについて意見があると説明していますが、世界の流れは、紛争の対話による解決です。東南アジア諸国は、紛争の対話による解決の枠組みをつくり、域外にも広げています。紛争はなくならないかもしれないが、戦争にしないことは人類の英知でできる。この平和への流れを先駆的に刻んだ憲法第9条を生かして、北朝鮮問題や中国との紛争問題も、道理に立った外交交渉による解決を目指すことを求めるべきと思いますが、区長の見解を伺います。
第4に、高齢者の住宅問題について伺います。
住宅は、人として生きていく基盤であるにもかかわらず、国や都の公的支援が縮小され、さまざまな問題が生じています。
民間賃貸住宅に居住する高齢者では、居住環境のよさを求めれば家賃が高く入れない、家賃が安いアパートでは、狭い、風呂がない、トイレが共同で和式など、高齢になって要介護にでもなればとても居住できない環境にあります。
昨年から区の相談窓口が改善され、あっせんの効果は上がっていますが、払える家賃と求める居住環境の間には距離があると聞いています。家主やディベロッパーに対し、高齢者住宅への理解を求め、バリアフリー化や緊急連絡設備などへの支援を行うと同時に、賃貸住宅に居住する低所得の高齢者への家賃助成制度の創設が必要であると考えますが、伺います。
UR賃貸住宅では、民営化路線の中で、3年ごとの家賃値上げが大変な負担で、公営住宅への入居希望が絶えません。長年住みなれた家であり、設備的には要介護になっても生活できる環境です。UR都市機構と政府に対し、これ以上の家賃値上げはやめ、収入に応じた家賃制度となるよう求めるとともに、当面区として、借り上げや家賃助成など、継続居住への支援策を求めます。伺います。
都営住宅では、入居者を絞り込むための収入基準の引き下げ、承継者の制限で高齢化が加速しています。
承継問題では、親の介護で仕事をやめざるを得なかったのに、親を見送ると同時に住まいを追い出されるなど、相談が相次いでいます。高齢化で自治会役員のなり手がいない、病気やけが人で役員会が成立しないこともあるなど、住民同士の見守りもままならず、役員や清掃などができない世帯に金銭の負担を求めるところもあると聞いています。区はこうした状況をどう受けとめていますか。入居収入基準、使用承継基準をもとに戻すこと、「住まいは人権」の立場で、都営住宅の新規建設を東京都に強く求めるべきです。伺います。
また、5階建ての区営住宅で、いまだにエレベーターが設置されていない状況があります。住民合意を困難にしている共益費負担を求めることはやめ、住宅設置者の責任でエレベーターを設置し、バリアフリー化を図るべきと思いますが、伺います。
また、低所得者向けの住宅が圧倒的に不足している中で、無料低額宿泊所が問題となっています。行政支援のすき間を埋める緊急の入所施設として区内でもふえていますが、二段ベッドにカーテンで仕切るだけの個人スペースなど、劣悪な状況にもかかわらず、食事が提供されることで高齢者が住み続ける状況があると聞いています。住環境や食費などについて区として一定の基準をつくるなど、適切な指導や援助が必要と考えますが、伺います。
高齢になれば認知症や要介護になることは必然ですが、在宅での生活が困難なとき、ケアハウス、グループホーム、サービスつき住宅など、メニューはあっても絶対数が足りないことと同時に、入居費用が高過ぎて低所得者が締め出されてしまう施設があります。応能負担で入れるように国に制度設計を求めると同時に、実態を調査し、当面の補助制度をつくるべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
(山崎孝明区長登壇)

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