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2011年第4回定例会-菅谷俊一議員(防災・放射能汚染・TPP)

2011年11月24日(水)2011年第4回定例会-菅谷俊一議員

  1. 防災対策について
  2. 福島原発事故に伴う放射能汚染問題について
  3. TPP・環太平洋連携協定問題について

[議会発言映像=クリック](区議会サイトへ)
日本共産党区議団を代表して、大綱3点について質問いたします。
質問の1点目は、防災対策について伺います。
3月11日の東日本大震災を受け、国及び都の防災会議は、東京都の被害想定の見直しに向けた検討を始め、これまでの地震想定マグニチュード7.3から関東地震のマグニチュード8級を想定する方向が検討されています。
一方、国や都の被害想定の見直し待ちではなく、港区を初め都内の自治体でも、地域防災計画の見直し、総点検の動きが強まっています。
世田谷区は、原子力発電所の事故や津波対策を含む70項目の災害対策の総点検を行い、地域防災計画を見直します。また、町田市も、原子力災害への対応を盛り込むなど、地域防災計画の見直しの検討が行われています。
これまで区は、被害想定や地域防災計画の見直しは、国や都の改定待ちとしてきました。本区は、大半が海抜ゼロメートル地帯に加えて、分厚い軟弱地盤上に立地するなど、地震や水害に極めて弱い地域です。関東大震災の経験や東日本大震災を踏まえ、区が独自に災害想定を引き上げ、原子力災害への対応を含む地域防災計画の総点検、見直しが急務だと思いますが、区長の見解を伺います。
首都での大地震発生の確率が高まるもとで、第1に急ぐべき課題は、木造家屋などの耐震化の促進です。特別区協議会で震災対策の講演会が開催され、阪神・淡路大震災では、発生15分で3,300人が家屋倒壊で命を落としたとして、住宅の耐震補強と家具の転倒防止の必要性が改めて強調されました。区が8月に行った防災に対する区政モニターアンケートでも、区に望む防災対策のトップは、家屋の耐震補強の充実です。
ところが、区の住宅耐震化の取り組みの現状は、目標の2万7,000戸に対し、住宅耐震改修の助成制度開始以来5年間で、木造住宅では17件、病院などの民間特定建築物の実績はありません。木造家屋の耐震化の平均費用は約300万円と聞いております。耐震改修の助成額の再引き上げなど、耐震化促進を強化するべきです。伺います。
また、区は、部分耐震などの簡易耐震改修への補助を行っていません。未耐震の住宅には、高齢者世帯も多く、経済的困難等を抱えています。地震発生時の家屋倒壊から何よりも住民の命を守ることを最優先に据えて、23区で広がっている部分耐震や耐震シェルター設置にも助成を行うべきです。伺います。
第2には、65歳以上の高齢者世帯などに対する家具転倒防止器具取付事業の改善、普及です。
現在、ひとり暮らしを含む高齢者世帯、約4万3,000世帯に対し、取りつけ実績は約1,700世帯です。東日本大震災以降、申請がふえ、取りつけまでに3カ月も待たされると聞いています。現在の1社のみの業者対応を改め、本区と提携がある住宅リフォーム協議会などを活用するなど、器具取りつけを早め、普及促進を図るべきです。また、器具取りつけ数を、区民の希望に応じてふやし、ガラス飛散防止フィルムの張りつけなども助成対象にすることを求めます。伺います。
第3には、帰宅困難者対策と高層住宅対策について伺います。
港区は、東日本大震災時に多数の帰宅困難者を抱え、高層住宅のエレベーターが長時間停止したことなどの事態を踏まえ、10月に防災対策基本条例を制定しました。条例には、区内事業者に対する責務として、周辺地域住民の安全確保や区の防災対策事業への協力とともに、一斉帰宅の抑制と帰宅困難者への食料備蓄を定めています。
また、高層住宅の対策では、防災計画策定や救出、避難に必要な用具の備蓄と、建築主には備蓄スペースの確保を定め、区長はそのために必要な支援を行うとしています。
本区には、12階建て以上の高層住宅で680棟以上、17階建て以上の超高層住宅では117棟もありますが、マンション等の建設に関する条例で災害用格納庫の設置を定めたほかは、防災の啓発活動が中心です。区内の高層住宅や大規模、中規模の主要な事業所、大学などに対し、防災計画策定や防災機材の備蓄、帰宅困難者対策としての食料備蓄などについて、実態調査を早急に行うべきです。
また、本区も、条例化に向けた検討が必要と考えますが、区長の見解を伺います。
第4には、津波、高潮などの水害対策について伺います。
津波対策を求める我が党の本会議質問に対して、これまで区は、「都の被害想定の見直しを待ってから」との消極的な姿勢でした。品川区の濱野区長は、「東京湾が震源の場合も想定し、対応可能な部分を先に進める」として、護岸調査や避難方法、過去の津波、高潮の被害などの基礎調査を行い、津波・高潮ハザードマップ作成を目指すとしています。
港区では、学識経験者による津波・液状化対策に関する検討部会を設置し、被害予測と対策の方向を今年度中に示すとしています。東京都待ちの姿勢を改め、津波対策の検討を始めるべきです。伺います。
防潮堤の強化も急務です。大きな津波ではなくても、直前の直下型大地震で防潮堤や水門が破壊され、水害発生の危険もあることを専門家から指摘されています。現在、東雲や有明地区等の一部では、防潮堤の耐震補強が未完了と伺っています。関東地震級の揺れや地盤の液状化による側方流動などにも対応する耐震補強とともに、津波対策に向けた護岸のかさ上げなど、都に緊急要請すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
津波や洪水などの水害時に区民が避難できるよう、区と区内大手企業4社とで災害時協定を結んだことは一歩前進です。大阪市では、32万人分の津波避難ビルの確保に向け、公共施設185カ所の指定を初め、ホテルプラザオーサカの指定など、1万棟を対象に働きかけるとしています。
本区でも、津波避難ビルの指定促進に向け職員を増員するなど、事務所ビルや高層住宅の所有者、居住者への働きかけを急ぐことを求めます。伺います。
区は、津波の想定が決まれば、洪水ハザードマップとは別に津波ハザードマップが必要だとしています。指定された津波避難ビルを表示するなど、地域別の津波ハザードマップ作成を急ぎ、区民に全戸配布することを求めます。伺います。
また、区は、津波や洪水による浸水は長期間となり、水害用機材の備蓄は困難としていますが、これでは住民の命と暮らしは守れません。公共施設に水害用機材の配置を、消防署など関係機関と協議、連携して検討すべきと思いますが、伺います。
質問の2点目は、福島原発事故に伴う放射能汚染問題について伺います。
福島第一原発事故の発生から8カ月がたちましたが、いまだに毎時数億ベクレルの放射性物質が環境に放出され、収束の見通しがついていません。千葉県柏市では、市の所有地から極めて高い放射能が測定されたほか、足立区を初め、都内各地でも許容放射線量の年間1ミリシーベルトを超える場所が、住民グループなどによる自主的な測定で相次いで見つかり、自治体によるきめ細かな測定と速やかな除染が求められています。
こうした中で、「放射能からこどもを守ってほしい」との区民要望の高まりを受けて、区は、学校や保育園、公園などの空間放射線量の測定については、516施設から537施設にふやし、測定ポイントも、現行4地点から側溝や雨水ますなどを加え、10地点にするとしています。
こどもが集まる場所の測定ポイントは、10地点と限定するのではなく、放射能がたまりやすい場所をきめ細かく測定することが、保護者、住民の安心につながると思いますが、伺います。
また、専門家は、公共施設以外の民有地なども含め、放射性物質が集中しやすい場所を測定し、早く除染することが重要だと指摘しています。
柏市を初め、新宿区や中央区、港区では、住民の希望に応じて測定器を貸し出し、放射線量が高い場所は再測定して除染するとしています。区として、測定器を十分確保し、区民への貸し出しを行うなど、住民参加のもと地域ぐるみで取り組めるための支援も必要と思いますが、伺います。
現在、都は、江東区内にある都立公園や都立高校、特別支援学校などでの放射能の測定調査を行っていません。都に対して直ちに実施するよう求めるべきです。あわせて伺います。
「年間1ミリシーベルト以上の箇所は、除染の支援を行う」との国の基本方針が示され、区は、国の基準や指針などに準拠して除染を行うとしています。こどもが集まる保育園や幼稚園、小学校などは、地表50センチメートルで1時間当たり0.23マイクロシーベルトを超える箇所、また、中学校では、地表1メートルで0.23マイクロシーベルトを超えた箇所としています。
川崎市では、市長が、「国の決める数値よりも厳しく、きめ細かに対応し、市民の不安を解消する」として、地表5センチメートルで毎時0.19マイクロシーベルト以上の値で除染を進めています。
放射能による健康被害には、これ以下の放射線量なら安全という「しきい値はない」という国際的な共通認識に基づき、せめて川崎市の基準で除染することを求めます。伺います。
放射能汚染の広がりに対し、安全な食品を求める区民や国民世論が高まり、国は食品の暫定規制値を来年4月から見直すとし、セシウムでは、暫定規制値の5分の1にするとしています。水や牛乳などの飲み物では、現行1キログラム当たり200ベクレルが40ベクレルに、また、米や野菜などの食べ物では500ベクレルが100ベクレルになると予想されます。しかし、国際的な基準から見れば、この見直した値でもまだ高く、飲み物では、WHO(世界保健機関)が、セシウムで10ベクレル、食べ物では、ロシア、ベラルーシのこどもへの規制値は、セシウムで37ベクレル、ドイツ放射線防護協会では、成人でも8ベクレルです。
区は、国に対して、国際的基準を踏まえた規制値の再検討とともに、こどもの規制値はより厳しい設定にするよう求めるべきです。伺います。
同時に、最新の検査機器を最大限確保し、万全の検査体制の構築を国に要請すること。また、自治体の検査機器購入に対する補助制度の拡充も要請するべきです。あわせて伺います。
区においては、牛乳などの放射能検査を実施したほか、学校給食の食材検査に向け、検査機器の購入を決めたことは評価するものです。今後、区民が希望する食材検査にも対応するよう、体制整備の拡充を求めます。伺います。
次に、江東区地先の中央防波堤埋立処分場への放射性廃棄物の受け入れについて伺います。
都は、高放射能で汚染された23区内の下水汚泥焼却灰や清掃工場のごみ焼却灰を、中央防波堤埋立処分場に持ち込み、埋め立てや一時保管を行ってきました。下水汚泥焼却灰だけでも1日100トン排出され、既に2万5,000トン受け入れたと伺っています。10月時点でも、1キログラム当たりで、葛西水再生センターの下水汚泥焼却灰が1万9,000ベクレル、江戸川清掃工場の焼却灰で1万3,000ベクレルの高い放射能が計測され、都民や区民から不安の声が上がっています。
こうしたもとで都は、最高で1万7,000ベクレルを計測した多摩地域の下水汚泥焼却灰の持ち込みまで開始しています。現在、下水汚泥焼却灰の埋め立て場所からは、年間許容量の1ミリシーベルトを超す放射線量が測定されています。都は、一連の高放射能焼却灰の最終処分場持ち込みに際して、区民への説明会を行っていません。放射能汚染に対する区民の不安が大きく広がっています。区南部地域などで住民説明会を実施し、住民の理解と合意のもとで行うべきではありませんか。また、区としても、こうとう区報などで区民に随時現況を知らせるべきです。区の見解を伺うとともに、都に対して、住民説明会の実施と多摩地域内での処理体制の早期確立を求めるべきです。伺います。
質問の3点目は、TPP・環太平洋連携協定問題について伺います。
11月11日、野田首相はTPP交渉参加に向け、関係国との協議に入ることを表明しました。日本共産党は、全国で急速に広がる反対世論を無視し、国民への説明もないままTPP参加に踏み出したことに強く抗議し、その撤回を強く求めるものです。
TPPは関税を原則撤廃して農産物の輸入を完全に自由化し、さらに、非関税障壁という貿易制限も撤廃されます。TPP推進の中心はアメリカであり、国内では大企業、財界です。アメリカと財界の要求のままにTPPに突き進むならば、国民生活と日本経済は大打撃を受けることは避けられません。
第1に、TPPへの参加は、国民への安定的な食料供給を土台から破壊します。関税がゼロになれば、農林水産省の試算では、現行40%の食料自給率が13%に急落し、米の生産の90%は破壊され、農林水産物の生産は4兆5,000億円減少、雇用も350万人減るとしています。特に東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県の農林水産業は、TPPで壊滅的な打撃を受け、震災からの復興の基盤を奪うものと考えますが、区長の見解を伺います。
第2の問題は、日本の貿易制限が規制緩和、あるいは撤廃され、アメリカ型のルールが強要される危険です。アメリカの通商代表部の外国貿易障壁報告書に、対日要求が明示され、そこには牛肉のBSE対策に対する規制緩和、残留農薬や食品添加物の規制緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務撤廃など、日本国民の食の安全を脅かす要求が列挙されています。
医療では、混合診療の全面解禁や株式会社の病院経営への参入、HIVで大問題になった血液製剤を初め、医薬品等の輸入規制撤廃を要求しています。混合診療が全面解禁されれば、健康保険が適用されない自由診療が拡大され、金持ちしかよい医療が受けられないなど、日本の公的医療保険制度が解体されてしまうとして、日本医師会や日本歯科医師会などが強く反対しています。
さらには、政府や自治体が行っている公共事業や物品購入などの官公需に、米国企業を参入させることも要求しています。本区を初め、地方自治体が行っている地元の中小企業や建設業者などへの優先発注、あるいは分離分割発注なども、受注機会を阻害する貿易障壁だとして廃止の危険が指摘されているのです。区民の命と暮らしを脅かし、本区の地域振興策も否定するTPPに対して、区長の見解を伺います。
TPP参加は、アメリカの言われるままに日本を売り渡す亡国の道です。全国の農業団体や医療団体、消費者団体、中小業者団体などが連日反対運動を繰り広げ、TPP参加に反対する国民世論が日に日に高まっています。既にTPP参加に関する意見書が44の道府県議会で採択され、市町村を入れれば全国の約8割の地方議会が「反対」、または「慎重な対処」を求めて政府に意見書を提出しています。区長として、政府に対し、TPP参加撤回の要請を行うことを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

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