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2007年第3回定例会-大つきかおり議員(後期高齢者医療 介護保険 障害者)

  1. 後期高齢者医療制度について
  2. 介護保険制度について
  3. 障害者自立支援法について

 区長並びに理事者のご答弁を求めます。
 第1は、後期高齢者医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度が来年4月から始まります。これまで子どもなどの扶養になっていて保険料を支払う必要がなかった人も含め、75歳以上のすべての人が保険料を支払わなければなりません。月額1万5,000円以上の年金をもらっている人は、年金から天引きです。厚生労働省の試算では、年間保険料は全国平均で7万4,400円、介護保険料と合わせると、毎月1万円以上が年金から引かれてしまうことになります。この間、高齢者には老年者控除の廃止などによる大増税、国民健康保険料や介護保険料の引き上げなど、相次ぐ負担増が行われています。「こんな保険料はとても払えない」「医者にもかかれなくなってしまう」という不安の声が広がっています。区長は、こうした区民の声をどう受けとめているのか、まず伺います。
 後期高齢者医療制度は、都道府県ごとにつくられた広域連合が運営の主体となり、保険料も広域連合が条例を制定して決定します。8月31日、東京都後期高齢者医療広域連合議会の全員協議会で、初めて東京の保険料試算が示されました。それによると、東京の平均保険料は、最も高い場合で年額15万5,000円と全国平均の2倍以上、最も低い場合でも年額9万6,000円で、全国平均の1.29倍にもなることが明らかとなりました。低所得者も一律に負担する均等割は、どのケースも年額4万7,000円と設定されています。現在、国民健康保険料の均等割が年額3万5,000円ですから、低所得者には重い負担増を強いるものです。全員協議会でも、「こんな金額は納得できない」「地元の住民にとても説明できない」など批判の声が相次いだそうです。区長は特別区長会の代表として広域連合協議会に出席していますが、どのような意見を述べているのでしょうか。広域連合に対し、高額な保険料設定とならないよう求めるべきではないでしょうか。また、保険料を抑えるためにも、政府に対し、国庫負担の増額を求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 後期高齢者医療制度では、健康診査の実施は広域連合の努力義務とされました。健診に対する国や都の財政負担がなくなったため、保健事業として実施するには全額保険料で賄わなければなりません。広域連合では保険料を低く抑えるために、健診項目の縮小や有料化の検討がされています。しかし、健診項目の縮小や有料化は、病気の早期発見、早期治療という医療の基本に逆行することではありませんか。区長は、これまでどおりの健診を実施するよう広域連合に求めるとともに、国や都に対し、財政支援を行うよう求めるべきではありませんか。
 また、広域連合の保健事業が縮小された場合でも、区としてはこれまでと同様の健診を実施すべきだと思いますが、見解を伺います。
 後期高齢者医療制度では、保険証の取り上げも問題です。これまで国民健康保険制度では禁じられていた高齢者への「短期証」や「資格証明書」の発行が法改正で実施可能になりました。少ない年金でやっと生活しているお年寄りに高い保険料負担を負わせて、払えなければ保険証を取り上げ、医者にかかれなくしてしまうことは、国民皆保険制度の趣旨に反するのではないでしょうか。区長は、高齢者からの保険証取り上げを行わないよう広域連合に求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 厚生労働省は、「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療の提供」を口実に、後期高齢者には、現役や前期高齢者とは別立ての「包括払い」の診療報酬体系を導入しようとしています。病気ごとに治療費の上限が決められ、その範囲でしか保険のきく医療ができないなど、75歳になった途端、必要な治療が受けられなくなります。年齢によって医療に差別を持ち込むなど、あってはならないことではないでしょうか。政府に対し、「差別医療」の導入はやめるよう求めるべきだと思いますが、伺います。
 政府は昨年、後期高齢者医療制度の導入を初めとする医療改革を強行しましたが、その最大のねらいは、国の医療費削減です。高齢者に大幅な負担増や差別医療を導入し、国の医療に対する責任を後退させることは、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めた憲法25条に反するものです。けさの新聞報道では、新たな保険料徴収の一部凍結も検討されているとのことですが、政府に対し、直ちに後期高齢者医療制度を凍結し、抜本的な見直しを行うよう求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 昨年4月に介護保険法の改悪が実施されて1年半がたちましたが、今、さまざまな問題が浮き彫りとなっています。1つが介護サービスの抑制です。「予防重視」の名のもとに、新たに要支援1・2が創設され、これまで要介護1であった人の大半が要支援2に変更されています。ヘルパーの訪問時間が大幅に削られ、掃除だけで時間がいっぱいになってしまい、病院や買い物への同行ができなくなってしまったなど、必要なサービスが受けられなくなっています。これまでヘルパーさんの手をかりて何とか生活をしてきたお年寄りを介護給付費抑制のために「軽度者」と決めつけ、介護サービスの取り上げを行うことは許せません。
 法改正で要支援1・2の人については、介護事業者に支払われる介護報酬が定額制となり、ヘルパーが月何回、何時間訪問しても1カ月の報酬は変わらないため、事業所も「要介護」のときと同じように、ヘルパーの訪問回数や時間を維持することが難しくなっています。区としても、高齢者への影響を把握し、必要なサービスが提供されるよう事業者に求めるとともに、政府に対し、認定基準の抜本的な見直しと介護報酬の改善、要支援1・2の人の利用限度額の引き上げを求めるべきだと思いますが、あわせて伺います。
 この間、「日中独居」の高齢者への生活援助型の訪問介護の利用制限も問題になっています。掃除、洗濯、炊事などの生活援助が利用できるのは、原則高齢者だけの独居世帯とされています。しかし、家族は家計を支えるため、朝から晩まで働き、その上、介護で疲れ切っています。家族の介護負担の軽減、介護の社会化という当初の看板からすれば、昼間ひとり残された高齢者へのサービス提供は当然です。国は「同居家族がいても、日中仕事に出ていて、高齢者がひとり残される場合には介護給付の対象となる」という国会答弁を行っています。区は日中独居の高齢者についても、実態に即した生活援助を実施すべきだと思いますが、伺います。
 また、昨年の法改正で、要支援1・2、要介護1の高齢者は、介護保険での介護ベッドや車いすなど、福祉用具の利用ができなくなりました。区は介護ベッドを利用できなくなった高齢者に対し、購入費の助成を独自に実施しましたが、3月までで終了となっています。高齢者の生活支援のために、ことしも引き続きベッドの購入費の助成を実施するとともに、マットレスの購入費用についても助成を行うべきだと思いますが、あわせて伺います。
 介護施設の不足も依然として深刻です。現在、江東区の特別養護老人ホームの待機者は1,500人を超える深刻な状況です。ことし新たに1カ所特養ホームが開設されましたが、待機者の数は一向に減りません。悲しいことに、昨年は287人もの方が入所できないまま亡くなっています。「何とか特養ホームに入れないだろうか」という区民の声は切実です。私の近所の、要介護度4でほとんど寝たきり状況のひとり暮らしの方は、夕方6時にヘルパーさんがおむつ交換に来た後は、翌朝8時まで全くのひとりです。また、パートで生活を支えながら親の介護を行っていた40代の方は、介護疲れからとうとう倒れてしまいました。こういう状況でも、特養ホームへすぐには入所できません。昨年の医療改悪による療養病床の削減で、病院から追い出される高齢者もふえています。区として引き続き、特別養護老人ホームの増設を行うよう求めますが、いかがですか。
 また、自宅での介護を支援するために、重度要介護高齢者へ重度介護手当を支給する制度を創設するよう求めますが、お伺いいたします。
 特養ホームの設置が進まない原因の一つは、特養ホームの整備のための区の財政負担や、介護保険料にはね返るという問題とともに、介護報酬が低過ぎるために、特養ホームの経営自体が困難な状況にあることです。都内の特養ホームの24.3%は赤字経営で、人件費を削減するために労働条件の切り下げもせざるを得ず、必要な人材すら確保できなくなっています。政府に対し、介護施設の報酬の引き上げと施設整備の計画数、国の財政負担の引き上げを行うよう求めるべきです。
 また、介護報酬引き上げによって利用料の負担が重くならないよう、軽減対策の実施をあわせて政府に求めるべきだと思いますが、区長の見解を伺います。
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 障害者自立支援法が昨年4月に施行、10月から本格実施となりました。福祉サービスや自立支援医療への原則1割の応益負担の導入による重い利用料負担が障害者とその家族を苦しめ、深刻な不安を与えています。私たちが実施した区民アンケートでも、「通所施設の工賃は1カ月5,000円なのに1万円の利用料を支払うことになりました。支払えないと通所できません。障害者はどこに行けばいいのでしょうか」「月2万円も負担がふえ、とてもきついです。そのうち生きていけなくなります」など悲痛な声が寄せられています。厚生労働省の調査でも、ことし2月時点で1,625人もの方が負担増を理由に入所・通所施設の利用を中止せざるを得なくなるという実態が明らかになっています。これまで区は障害者への負担増について、「障害者もサービスを支える一員となってもらうため」とか、「持続可能な制度の確立のためにやむを得ない」との答弁を行っています。しかし、障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援を「利益」だとみなして負担を課すという応益負担制度は、障害者の自立を支援するどころか、自立を阻害するものではないでしょうか。
 この間、障害者自立支援法の見直しを求める障害者、施設関係者による史上空前の運動が広がる中、政府も本格実施からわずか2カ月の12月、1,200億円に上る特別対策を実施せざるを得なくなりました。しかし、これは根本的な問題の解決にはほど遠いものです。政府に対し、応益負担制度の撤回を行うよう求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 江東区ではこの間、通所施設利用者の給食費負担の独自軽減対策を実施しています。しかし、サービスを利用すればするほど負担が重くなるという問題を改善するには至っていません。ことしは定率減税の廃止により、新たに住民税非課税から課税となってしまった世帯は、負担上限額が引き上がり大変な負担増となっています。区としても一層の負担軽減対策の実施が求められています。荒川区では、一般世帯も含め、すべての在宅サービスの利用料負担を3%に軽減しています。また、新宿区でも、4月から通所を含むすべてのサービスの利用料負担を3%に軽減しています。本区でも給食費だけではなく、福祉サービスの利用料負担についても軽減対策を実施すべきだと思いますが、伺います。
 障害者施設や事業所の実態も深刻です。この間、報酬単価の引き下げや日払い方式への変更によって収入が大幅に減り、運営が困難になっています。区内の通所施設では、ぎりぎりの職員で運営しなければならず、利用者が楽しみにしていた外出を伴う行事もできなくなってしまったそうです。ボーナスカットや昇給停止など、労働条件も下げざるを得ず、職員も「このまま働き続けられるだろうか」と将来への不安を抱えています。障害者の社会参加を保障するためにも、民間の障害者施設や事業所の安定的な運営が求められています。政府に対し、報酬単価の引き上げと月払い方式へ戻すことを求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 昨年度、区は新制度への移行で運営費が大幅に減収となる施設に対し、独自助成を実施してきましたが、ことしも引き続き助成を行うよう求めます。また、今後、新体系へ移行する小規模作業所や通所授産施設については、これまで実施してきた家賃助成を継続するよう求めますが、見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)

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