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2007年第4回定例会-斉藤信行議員(後期高齢者医療 まちづくり 築地市場)

  1. 後期高齢者医療制度について
  2. マンション急増問題とまちづくりについて
  3. 豊洲の築地市場移転と土壌汚染問題について

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに関係理事者に大綱3点について質問をします。
 まず第1は、後期高齢者医療制度についてです。
 来年4月から、後期高齢者医療制度が実施されようとしています。75歳以上を「後期高齢者」と呼んで他の世代から切り離し、負担増と差別医療を押しつけるものです。実施を前に、高齢者、国民、医療関係者などから批判の声が高まっています。
 政府・与党は、国民の怒りが広がる中で、70歳から74歳の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げることを1年間凍結、また、75歳以上で被用者保険の被扶養者だった人の保険料徴収も半年間凍結するとしています。昨年の通常国会で強行した制度そのものが多くの矛盾があることを自ら認めるものです。
 高齢者はこの間、住民税の増税、介護保険料の値上げ、医療の窓口負担引き上げなど、相次ぐ負担増に悲鳴を上げてきました。そうした中で、後期高齢者医療制度を導入して、区は「区民への十分な周知と相談体制の整備を図る」としていますが、区民から到底納得が得られるものではありません。制度そのものに問題があります。この制度に対し、区長はどのような認識をお持ちか、まず伺います。
 次に、保険料についてであります。
 政府は後期高齢者医療の保険料額を全国平均で7万4,000円と説明してきましたが、1万円近くも上回り、東京都は10万2,900円となり、現行の国民健康保険料より高くなる人がほとんどです。しかも、保険料は2年ごとに改定され、医療給付費の増加や後期高齢者の人口増に応じて自動的に引き上がる仕組みとなっています。広域連合で、保険料を下げるため国の負担をふやすよう要望しているとのことですが、国の負担をふやさなければ、高齢者と自治体の負担がますますふえていくことは確実です。この制度を導入した政府と与党に国庫負担の大幅引き上げをさらに強く要求すべきです。伺います。
 次に、資格証明書の発行問題です。
 保険料を滞納したら保険証を取り上げられます。現行の老人保健制度では、75歳以上の高齢者は、被爆者や障害者と同じく保険証の取り上げが禁止されています。医療を奪われたら、直ちに命にかかわるからです。区は「交付委員会を設けて慎重な運用を行う」「負担能力があって滞納しているケースに資格証明書を発行する」と言っていますが、保険料の収納率を98%と見込み、「年金からの天引きの人はほとんど徴収できる」としています。あとの2%の人は、年金から天引きができない無年金者や低所得者です。高齢者の命にかかわる保険証の取り上げは行うべきではありません。伺います。
 次に、診療報酬についてです。
 後期高齢者の診療報酬は、包括払い(定額制)とし、保険が使える医療に上限をつけようとするものです。そうなれば、手厚い治療を行う病院は赤字となり、医療内容を制限せざるを得なくなります。75歳以上の患者に特別な診療報酬体系を持ち込み、「過剰な延命治療は行わない」という誓約書をとったり、終末期の患者に在宅死を選択させて退院させた場合には、診療報酬を加算し、一層の病院追い出しを進めようとしています。さらに、今後6年間で長期療養病床を23万床削減しようとするなど、「医療難民」が多数出ると懸念されています。こうした差別医療の診療体系は、ヨーロッパ諸国など国民皆保険制度が確立している国の中ではありません。
 区はこうした差別医療に対し、「国への要望は広域連合の中で議論していく」としていますが、直ちに国へ見直しを求めるべきと思うが、伺います。
 日本の総医療費はGDPの8%で、サミット参加7カ国で最下位です。政府は「医療の財政負担が大変」と言いますが、高薬価や高額医療機器などにメスを入れ、大企業の不公平税制など、歳入・歳出の改革で財源を確保するならば、公的医療保障を拡充し、高齢者医療も充実することは可能です。
 今、後期高齢者医療制度に多くの国民や高齢者、医療機関などから見直しを求める声が高まっています。4月実施の凍結と中止を求めるべきと思うが、伺います。
 次に、マンション急増問題とまちづくりについて伺います。
 本区にマンションの急増が始まったのは平成13年ころからであり、この6年間で約2万7,000戸のマンションが増加しました。その結果、学校、保育園など公共施設の不足やさまざまな問題が生じています。マンション急増の背景には、政府が進めてきた「都市再生」と不可分の関係にあります。
 政府は平成11年、経済戦略会議の答申に基づき、都市再生をてこに土地の流動化を図り、不良債権の処理を促進することや、国際競争力のある都市の再生を目指すとして、業務・商業施設など大規模開発を進め、六本木ヒルズを初め、丸の内、秋葉原、品川開発など次々と都心の大規模開発を推し進めてきました。その結果、都心やその周辺にはマンション建設が相次ぎ、江東区は工場移転跡地や都心への利便性とも相まって、マンションが急増する結果となりました。区長は本区のマンション急増と政府の進める都市再生の関係をどう認識しているのか、まず伺います。
 本区の南部地域にマンションが急増しているのは、臨海副都心開発や、都市再生特別措置法に基づく緊急整備指定地域に豊洲、東雲などを政府が指定したことなどが背景ともなっています。これまで区は、臨海副都心開発を「本区のイメージアップにつながる」と推進し、また、緊急整備地域の指定に対し、「都市活力の向上を図るもの」と大規模開発を推進する立場をとってきました。マンション急増は、都市再生、臨海副都心開発などと深く連動しており、当然予測はできたことです。しかし、区は、公共施設建設を積極的に進めてこなかったため、保育園の待機児が23区で最悪という今日の事態をつくり出したのです。区長はこの点、どう認識しているのか伺います。 次に、マンション建設計画の調整に関する条例について伺います。
 マンション急増対策として、平成14年4月に学校への受け入れが困難な地区として5カ所を指定し、その後、さらに2地区を追加指定して、マンション建設業者に建設の中止、延期を求めてきました。区の指導に従わなかった業者も一部ありますが、建設の歯どめとなってきたことは明らかです。
 今回、この地域指定を全部解除する条例案が提案されています。その根拠として、受入困難地区内の5,000平方メートル以上の大規模敷地16件の地権者にヒアリングを行った結果、12件は「当面、マンション建設はないことが判明した」との理由であります。しかし、区は16カ所の場所を明らかにしていません。16カ所とは、どこの場所で、どんな内容でヒアリングを行ったのか伺います。
 区はことしの6月に出した「マンション急増対策の現状と課題」の中で、今後の見通しとして、「受入困難地区指定がなくなった場合、一気にマンション建設計画が噴出する」と分析しています。政府は、都市再生特別措置法を2012年まで延長し、都市開発をさらに進めようとしています。大規模敷地の地権者がマンションを建設するかどうかは経済活動の利潤との関係で決めるもので、区のヒアリングした内容が続くものとは思えません。この点、区長はどう考えているのか伺います。
 学校の受入困難地区の指定は、条例の施行規則で「毎年見直すものとする」としています。今、急いで一斉に指定を解除する必要はありません。状況を十分に見極めて、個別地域ごとに対応すべきです。伺います。
 公共施設の必要数も「マンション建設は今後も予断を許さない」とする判断のもとで、6月に学校や保育園、学童クラブなど整備数が示されました。しかし、16カ所の土地所有者のヒアリングの後、公共施設の必要数も変更しています。区の公共施設建設計画は、これまでも人口増に追いつかず、さらに保育園など民間任せ、民間建設に期待するという姿勢が今日の事態をつくっています。学校はもちろん、保育園、幼稚園、学童クラブ、高齢者施設などは人口増に見合って、区の責任で建設すべきです。伺います。
 次に、マンションの公共施設整備協力金について伺います。
 30戸以上のマンション建設に1戸当たり125万円の公共施設整備のため、協力金を指導要綱に定めて事業者に求めています。今回の指導要綱の条例化に当たり、「協力金は条例化せず、新指導要綱で対処する」としていますが、これまで協力金を払わない業者も出ています。指導要綱は、いわば内規にすぎず、法律上では条例、規則のような強い拘束力を持っていません。鎌倉市などは、協力金を条例化しています。本区も協力金は条例化すべきです。伺います。
 また、協力金の減額基準があいまいです。学校や保育園、道路、公園などの土地や施設の提供があった場合、協力金を一定の基準で相殺するとしていますが、近隣住民が事実上使えない集会所や、公開空地なども減額対象にするなど、区民から「業者の言いなりではないか」などの批判の声が上がっています。恣意的要素が入らないよう、厳格な基準をつくって条例及び規則で定めるべきです。伺います。 次に、ワンルームマンションについて伺います。
 区は、ワンルームマンション建設の増加に伴い、これまで指導要綱の改正など一定の強化を行ってきました。我が党は繰り返し駐車場や駐輪場の設置緩和などの特例を廃止することなど、指導の強化を求めてきました。今回、指導要綱を条例に格上げすることに伴い、規制緩和措置を廃止するなど、評価すべき点はあります。しかし、ワンルームマンションにはいろいろな問題があります。自転車やバイクの放置、ごみ出し、地域とのかかわり、また、投資目的や居住者の住民登録率が低い、建物の老朽化によるメンテナンスの不安、管理人がマンションを掛け持ちで回り常駐していないなど、まちづくりからも問題があります。各区でも規制の強化や地域との関連づけなど、さまざまな対策を講じています。
 豊島区では、8戸以上の建設は1戸当たり50万円の税金を課しています。また、新宿区では、30戸以上に家族向け住宅の設置や、希望する高齢者の受け入れなどを条例で定めています。さらに、条例の適用範囲も10戸以上、15戸以上と、本区の20戸以上よりも厳しくしています。
 本区もワンルームマンションが急増している現状で、条例の適用範囲の戸数の引き下げや、家族向け住宅の設置など、さらに条件を強化すべきと思うが、伺います。
 次に、豊洲の築地市場移転と土壌汚染問題について伺います。
 築地市場の豊洲移転に市場関係者や都民から不安の声が高まっています。10月5日、1,500人の市場関係者などが食の安全を訴え、土壌汚染のある豊洲移転に反対する集会とデモ行進を行いました。多くのマスコミが報道するなど、都民の大きな関心事となっています。私たち共産党区議団は、都議団と市場関係者らとともに、環境省や農林水産省に出向き、食の安全を守るよう要請するなどしてきました。
 東京都は、都民の食の安全に対する不安の高まりの中、ことしの8月、豊洲の土壌汚染の追加調査を行いました。その結果、環境基準の1,000倍を越えるベンゼンやシアン、鉛、砒素など有害物質が相次いで検出されました。東京都の専門家会議は11月5日、豊洲の移転用地のほぼ全域の4,100カ所で再調査を実施すると発表しました。
 第2回区議会定例会で、我が党が土壌汚染の再調査を東京都に求めるべきだと質したのに対し、「人体に影響を及ぼすほど汚染された土地とは認識していない」「調査結果は法律上問題ない」「再調査を求める考えはない」などと答弁しています。地元区としてあまりにも環境や食の安全に対する認識が欠如した答弁と言わざえるを得ません。今でもこのような認識を持っているのか、改めて伺います。
 私たち共産党区議団がことしの7月に行った区民アンケートでも、豊洲への築地市場の移転に58%の人が「反対」、「わからない」が18%、「賛成」は17%と低く、「口に入るものを扱う施設をどうして有害物質のある跡地に建てるのか」などの声も寄せられました。豊洲への移転は、区民の理解が得られていません。こうした区民の声を区長はどう受けとめているのか伺います。
 東京ガスは、汚染された土壌を処理するとして、平成13年2月から処理作業を行ってきました。平成19年4月に「土壌汚染の処理を完了した」と東京都に報告しています。都は本区に平成18年3月と10月に、5街区と7街区の土壌処理完了届の報告を事務的に送ってきました。しかし、この場所から環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されています。区は土壌汚染処理の詳細な報告や説明を都にも東京ガスにも求めていません。豊洲への市場の受け入れを本区が表明した際、「決して無条件に認めるものではない」と表明しています。なぜ詳細な説明や資料を求めてこなかったのか伺います。
 東京都は再調査を実施するものの、東京ガスが当時操業していた地盤、地表から2.5メートル付近から下で、粘土層の上端までとし、地表部や粘土層は対象としていません。土壌汚染対策法では、地下10メートルまで調査対象であり、土壌汚染対策法に基づく調査を求めるべきと思うが、伺います。
 再調査して汚染物質が検出された場合、汚染処理を行うのは濃度が「環境基準の10倍を超えた場合に限る」との意向を専門家会議が示しているとの報道もあり、環境基準以上はすべて処理するよう都に求めるべきです。伺います。
 築地市場の豊洲移転の不安は、土壌汚染だけでなく、軟弱地盤で地下水位が高いため、地盤沈下の発生が懸念されています。また、地震時の液状化による交通の遮断、さらに、世界最大の水産物マーケットとしてのブランドが移転で継承できないなど、関係者や都民からこうした声が広がっています。本区にとっても、南部地域の交通量の増加、交通渋滞、大気汚染などが懸念されています。区長はこうした一つ一つの声をどう受けとめているのか伺います。
 豊洲の東京ガス跡地は、食品を扱う場所として余りにも問題が多く、不適切な場所です。移転の再検討と中止を求めるべきです。伺います。 次に、土壌汚染対策法について伺います。
 土壌汚染対策法は、平成17年4月に改定され、「使用が廃止された有害物質使用の工場などの土地の調査」を義務づけていますが、附則第3条で、「この法律の施行前に廃止された工場又は敷地には適用しない」としており、豊洲の東京ガスの跡地は適用されず、多くの識者や市場関係者から法改正を求める声が上がっています。本区は工場跡地が多く、今後もほかの場所で起こりかねない問題です。国に法改正を求め、豊洲の市場移転予定地などにも適用できるよう働きかけるべきと思うが、このことを最後に伺って、私の質問を終わります。(拍手)

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