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2008年第4回定例会-赤羽目たみお議員(食の安全 介護保険 高齢者支援)

  1. 食の安全について
  2. 介護保険制度について
  3. 高齢者の生活支援について

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。
  まず、食の安全について質問します。
 相次ぐ食品の偽装表示やカビ毒に汚染された輸入米、有毒な農薬が付着していた中国製の冷凍餃子など、輸入食品を初めとする食の安全・安心について、大きく関心が広がっています。
 この問題の背景には、我が国の食料自給率が世界でも異常な39%で、食料の6割以上を輸入に依存している世界最大の食料輸入大国でありながら、現在、輸入されている年間約3,400万トンの輸入食品に対し、全国31カ所の検疫所で検査に従事している食品衛生監視員は341人しかおらず、残留農薬を検査できる検疫所は全国に2カ所しかありません。こうした検査体制の不備から、検査率は輸入食品全体のわずか10.7%で、約9割の輸入食品は検査を受けずに輸入されています。
 さらに、政府は、食品衛生法を改悪し、検査結果が出るまでは輸入を認めていなかったものを、モニタリング検査という輸入流通をとめない検査としてしまいました。今回のような国民の健康と食の安全を脅かす異常な事態が起きた原因は、国の悪政によるもので、政治の責任は重大です。区長は政府に対し、問題の徹底的な解明を求めるとともに、検疫所での検査率を当面50%以上に引き上げることや、厳格な検疫、検査を実施し、結果が明らかになるまで市場に出回らないようにすること、また、世界的に見ても異常に低い食料自給率を向上させ、安全な食料は日本の大地からの原則を打ち立てるよう申し入れるべきと思いますが、見解を伺います。
 今年度の食品衛生監視指導計画案に区民から、「輸入食品の安全性に対して不安を感じている。対策を強化してほしい」という意見が寄せられました。本区における食の安全に関する情報提供や監視指導、検査の拡充が求められています。
 先日、江東区でも有害物質メラミンが混入していた商品が店頭に並び、34個も区民の手に渡ってしまいました。商品から検出されたメラミンはごく少量で、健康に影響は少なく、事業者が商品を回収したとのことですが、こうした情報を速やかに区民に知らせるべきではなかったでしょうか。区長の見解を伺います。
 次に、本区には保健所が監視指導する食品を扱う施設が1万612施設あります。これらの施設に対して指導を行い、区民などからの苦情や相談を受けている食品衛生監視員は17人で、指導する施設は1人平均600件以上抱えており、今後も大型店の出店や施設整備に伴い、指導件数の増大が見込まれます。
 また、区民や事業所からの苦情処理も大幅にふえ、昨年度の年間193件に対し、今年度は上半期だけで140件と多く、現場からはきめ細かい指導や対応は困難という声が上がっています。区民からの相談や苦情処理、施設からの問い合わせに十分こたえられるように、食品衛生監視員の増員を求めます。伺います。
 区民から寄せられた意見に対し、「加工食品の残留農薬検査も含めた検査体制の強化に努める」と区は答えていますが、食品にかかわるものだけで年間1,800件近くを検査している検査技師を、臨床検査を委託したこと等を理由に、この間8人から5人に減らしてしまいました。このままでは検査体制の強化は難しく、緊急時の対応も十分に果たせません。食生活の安全を確保するためにも検査機器の充実と検査技師の増員を求めます。伺います。
 先日、内閣府が食育に関する全国調査を行ったところ、多くの方が「食品の安全性」に不安を感じていることがわかりました。区が昨年度行った健康意識調査でも、食品添加物や衛生面に気を配ると答えた人は、回答者全体の61%に及んでおり、区民の食の安全・安心に関する不安や意識は高まっています。
 練馬区や目黒区では正しい情報を提供し、区民の知識を広げるために「食の安全・安心シンポジウム」を開催しています。中央区では、百貨店の協力を得て、食品の表示や冷蔵庫内の温度管理のチェックを実際に体験する「食品衛生監視員体験教室」を行っていて、多くの方が参加しています。
 区は、ホームページや両親学級等で情報提供し、周知、啓発を行っていますが、区民の食の安全に対する不安や疑問を解消し正しい知識を深めるためにも、周知、啓発事業を充実することを求めます。
 次に、介護保険制度について質問します。
 介護保険制度は、来年4月に3年ごとの見直しを迎えます。今回の見直しに当たり、制度当初宣伝していただれもが安心できる公的介護制度に改善することが求められています。
 この間、我が党議員の質問に対し区は、「新予防給付は給付抑制ではない」と答弁してきました。しかし、区内の83歳のある男性は、脳梗塞の後遺症で、立つと後ろに倒れてしまい、歩くのも手すりにつかまりながらやっと、病院には一人では行けないという状況ですが、新予防給付の導入で、要介護3から要支援2に下げられ、通院介助がなくなり、現在は自分でヘルパーを雇い、1時間2,400円もの実費負担を強いられています。支えている家族からも、「負担がふえて大変。自立支援どころか自立を阻害されている」という怒りの声が上がっています。新予防給付によって給付の抑制が行われていることは明らかです。こうした実態があるのに、それでも区は給付抑制ではないと言うのですか、答弁を求めます。
 渋谷区では、給付が抑制され、必要な介護が受けられなくなった軽度要介護者に対し、ヘルパーを派遣するなど、介護支援を行っています。本区としても、区独自に軽度要介護者に対し、介護支援を行うよう求めます。また、この問題の根幹が国の給付抑制政策にあることから、給付抑制撤回を国に申し入れるよう求めます。伺います。
 厚生労働省は、介護認定の調査項目から「床ずれ」「水を飲む」「火の不始末」などを削減するとしています。しかし、項目の削減によって、床ずれで背中が赤くただれ痛みに苦しむ高齢者や、水を飲むことすらできない高齢者、火を消し忘れ火事を起こす危険性の高い高齢者が介護認定に反映されなくなるのは問題です。削減される項目について、ケアマネジャーからも、「命にかかわる内容であり、介護の量や負担に影響を与える」、自治体からも、「項目の削減で情報不足となり、認定審査会の審査、判定が不安定になる」などの意見が出されています。
 区は、調査項目の削減によって高齢者の生活状態がつかみづらくなるばかりか、区民の命や健康、暮らしを守ることができなくなるのではありませんか。政府に対し、高齢者の生活状態に即しただれもが納得できる認定のあり方にするよう求めるべきです。あわせて見解を伺います。
 「2年も待っているのに特別養護老人ホームに預けられない。もう限界だ」といった介護施設に関する切実な相談が後を絶ちません。特別養護老人ホームへの入居は、全国で38万人、江東区でも1,500人が順番待ち、介護老人保健施設もあきがなく、介護施設不足は深刻です。
 さらに、政府は介護型療養病床の廃止を進めており、2012年には区内の介護型療養病床60床が廃止されようとしています。介護型療養病床が廃止されると、症状によっては新型の介護老人保健施設では受け入れができず、このままでは行くあてのない介護難民が生まれると専門家も指摘しています。区は政府に対し、療養病床削減計画の撤回を求めるとともに、特別養護老人ホームやグループホームなど、介護施設の増設を求めます。伺います。
 今回の見直しで介護保険料がどうなるかは区民生活に大きく影響します。政府は、介護保険制度の改善を求める世論や運動に押され、来年度の介護報酬を3%引き上げることを決め、介護報酬の引き上げは保険料の値上げに直結することから、国費1,200億円を投入し、保険料の上昇を抑えるとしています。しかし、介護現場からは、「3%の引き上げでは介護職員の確保や待遇改善は難しい。せめて5%以上に引き上げてほしい」という声が上がっています。また、報酬の引き上げによる保険料上昇分を全額国費で補助するのは来年度1年だけで、平成22年度は補助額を半減、平成23年度からはなくしてしまい、その分の保険料は値上がりしてしまいます。
 さらに区は、老年者控除の廃止などによる負担の増加を抑える軽減措置を、来年度から行わないとしており、高齢者の保険料負担は大幅にふえてしまいます。年金は削られているのに保険料は高くて生活が厳しいと嘆く高齢者が、今以上の値上げを容認することはできません。介護保険制度を改善するために介護報酬5%以上の引き上げを申し入れ、報酬の引き上げで保険料負担がふえないよう、国庫補助の増額を政府に求めるべきです。区としては、介護給付費準備基金を活用して保険料の値上げを抑えるとしていますが、今現在の保険料よりも値上げしないよう求めます。伺います。
 次に、高齢者の生活支援について質問します。
 この間の増税や後期高齢者医療制度の強行など、たび重なる社会保障の改悪、食材や生活用品など諸物価の値上がりで、高齢者に対する負担は増大しています。一方、年金からは保険料が天引きされるなど、毎年収入は減らされています。追い打ちをかけるように、来年からは住民税が年金から天引き、政府は3年後に消費税の増税を打ち出すなど、未曾有の負担増が襲いかかろうとしています。今でさえ生活苦で大変な暮らしを強いられている高齢者に、さらなる負担増は許されません。区長は、来年10月からの住民税の年金天引きを撤回し、重い負担となっている後期高齢者医療制度の廃止や消費税の増税中止を申し入れ、高齢者が生活の支えとしている年金を、物価高騰に合わせて引き上げるよう政府に求めるべきです。伺います。
 私たち区議団がことし7月に行った区民アンケートにも、「医療費が高くて病院に行く回数を減らした」など、区内の高齢者から切実な声が寄せられました。こうした声にこたえ、高齢者が住みなれた町で安心して暮らせるよう、生活支援の拡充を求めます。
 まず、高齢者の経済的負担の軽減についてです。
 区内の病院に家族が入院している方から、「入院代が払えず退院を迫られている。何とかしてほしい」という相談が寄せられました。1日2万4,000円という高額な差額ベッド代がかさんでしまったそうです。千代田区や新宿区では、入院時の重い保険外負担に対して補助を行っています。中野区も、ことし8月から足を踏み出しました。本区においても、高齢者の入院時の負担を軽減するために、高齢者入院見舞金制度の創設を求めます。
 高齢者のインフルエンザ予防接種について、自己負担2,200円にためらう声も上がっています。インフルエンザ予防接種の有効性は世界的にも認められており、インフルエンザにかかって亡くなった高齢者の82%は、予防接種を受けていれば亡くならずに済んだとも言われています。千代田区や港区では公費を投入して、65歳以上の方はすべて無料で予防接種が受けられるようにしています。本区でも、高齢者が健康で長生きできるようにインフルエンザ予防接種の無料化を求めます。伺います。
 高齢者の通院や社会参加のため大事な役割を果たしているシルバーパスについて、今年度はこの間の税制改定に伴い、住民税非課税から課税になった人は1,000円に据え置く特別措置がとられましたが、来年度特別措置が打ち切られてしまうと、課税対象となる人は、1,000円から2万510円へと一気にはね上がり、シルバーパスの購入をあきらめ外出を控える高齢者が増大してしまいます。区長は、特別措置の来年度継続とあわせて、住民税課税者に対し、所得に応じて3,000円、5,000円などのシルバーパスを導入し、負担軽減策を実施するよう都に申し入れることを求めます。伺います。
 次に、高齢者の就労支援についてです。
 金融危機等で景気が低迷し、高齢者を初めとする雇用状況のさらなる悪化が予想され、安定した雇用や仕事の確保など、就労支援の拡充を求める声が区民や高齢者就労団体などから広がっています。
 そうした中、東京都が公園の本来機能の回復など、雇用創出効果の高い事業を区市町村が行う場合、来年4月から支援するという新たな方針を打ち出しました。年金だけでは生活が成り立たない高齢者の雇用や仕事を確保し、就労支援を充実させる絶好の機会です。区は東京都の新たな制度を積極的に活用して、高齢者就労促進の窓口を設置することや、厚生労働省が認知した、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第5条、第40条の、自主的な高齢者就労を促進している団体を育成援助し、より効果的に高齢者就労の促進を図ることを求めます。
 区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

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