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2008年第4回定例会-斉藤信行議員(中小企業 職員雇用 医療充実 学校選択)

大綱4点について質問

  1. 金融危機と中小企業対策について
  2. 職員の雇用問題について
  3. 都立墨東病院と産科など、医療の充実について
  4. 学校選択制の見直しと南砂中学校について

  私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに関係理事者に4点について質問します。

  まず、金融危機と中小企業対策について伺います。
 アメリカ発の金融危機は、世界経済の大混乱を引き起こし、日本経済にも深刻な影響を与えています。大企業が派遣社員や期間社員などを雇いどめにする動きが自動車や電機産業などに広がり、下請も仕事の減少などで深刻な事態に直面しています。加えて、大銀行を先頭に貸し渋り、貸しはがしが激しさを増し、原油高騰に次ぐ金融危機が国民生活と中小企業を直撃しています。
 都内の4月から9月の企業倒産は1,480件と5年ぶりの高い水準となって、江東区内の倒産も負債額1,000万円以上が39件と、製造業、建設業などに広がっています。これから年末にかけて一層厳しさが予想されます。
 大企業の横暴な首切りや銀行の貸し渋り、貸しはがしなどをやめさせ、社会的責任を果たさせることが政治に強く求められています。今日の事態を区長はどう認識しているのか、まず伺います。
 大企業の大量解雇、雇いどめなどを中止するよう、経団連や主要企業に指導、監督を強化することなどを政府に申し入れるべきです。あわせて伺います。
 政府は、10月30日、新たな経済対策を発表しましたが、「ばくち経済」の失政のつけ回しから国民を守るための施策は全くありません。雇用、社会保障、地域経済など「内需主導」にしていくための抜本的な体質改善もありません。「定額給付金」の1回限りのばらまきで、3年後に消費税増税では景気回復にも国民の不安解消にもなりません。このような経済対策を区長はどう認識しているのか伺います。
 今、各自治体は、中小企業や区民生活を守るためのさまざまな施策を実施しています。江東区も施策の拡充や仕事の発注の仕方などを全庁的に見直していく必要があります。公共工事の分離分割発注を一層促進し、仕事をふやす努力が必要です。
 学校の水道工事の直結給水工事は、8校から10校単位で4業者に発注していますが、「3校単位の発注であれば12社から13社の業者が喜んで受注できた」との声が出ています。また、横十間川親水公園改修工事も、施工道路の延長を分割して発注するなどの工夫も必要です。仕事がなく「職人を遊ばせておくわけにはいかない」などの声にこたえていくべきです。物品購入や工事など、分離分割発注を一層促進すべきです。伺います。
 中小商店等の顧客の増加や消費の拡大を図るため、中央区はプレミアつき区内共通買物券を毎年3億3,000万円分発行し、先月さらに1億1,000万円を追加発行し、ほかの区も年末の商店支援としてプレミアつき買物券を発行しています。本区も、江東区商店街連合会と相談し、プレミア分や券の印刷代分を全額補助するなど、区内共通商品券を発行すべきと思いますが、伺います。
 区が10月から実施した「経営安定化融資」は、現時点で354件のあっせんで183件の貸し付けがなされたと聞いています。しかし、融資の改善を求める声が上がっています。「限度額を引き上げてほしい」「返済期間を延長してほしい」「借りかえができるようにしてほしい」などの要求が出ています。江戸川区は、都の融資制度も対象とした借りかえ融資制度をつくり注目されています。本区は、我が党の質問に対し、「信用保証料を全額補助している状況で借りかえは検討課題」としていますが、江戸川区も信用保証料は全額補助しながら借りかえを可能にしています。本区も借りかえができるようにすべきです。伺います。
 大田区、北区、杉並区などは、ゼロ金利融資を行い、葛飾区では運転資金の融資限度額を2,000万円に引き上げ、足立区でも利子の補助期間を3年から5年にするなど、江東区より充実した融資制度をつくっています。これから年末にかけて資金繰りが一層厳しくなるもとで、本区の融資制度を拡充すべきです。伺います。
 次に、職員の雇用問題について伺います。
 今、働く貧困層が社会問題となっております。その背景には、労働法の改悪などで派遣労働や非正規雇用の拡大など、低賃金労働者の増大があります。それは民間企業にとどまらず、自治体の公共労働にまで広がっています。
 本区も、民間委託や職員削減でアルバイトや非常勤職員が増大し、職員全体の3割を占めるに至っています。職員数は、平成9年からこの12年間で1,129人も削減しています。一方、区の人口は7万8,000人も増加し、区民1人当たりの職員数は激減しています。公務労働を無権利の安上がり労働者に置きかえる、これが正常な公務労働のあり方と考えているのか、認識を伺います。行き過ぎた職員削減によって区民要求に的確にこたえられない状態となっています。
 生活保護のケースワーカーは、社会福祉法で定められている人数より5人も不足し、「体が不自由で福祉事務所に保護申請に行けないのに来てくれない」「救急車を呼んで病院に行けと言われた」などの事態も起こっています。福祉事務所の現場では、「10人のケースワーカーが不足している」と増員を求めています。
 また、人口増に対応しなければならない豊洲出張所や砂町出張所の職員も不足し、保健所の保健師や障害者福祉課、土木部など、ほとんどの職場が人員不足となっています。
 区の職員数は現在2,956人となっていますが、東京都から交付される財政調整交付金の人件費より327人も職員を削っています。人口増に見合う職員を増員し、区民サービス向上と職員の労働条件を改善すべきです。伺います。
 次に、アルバイト、非常勤職員について伺います。
 非常勤職員とアルバイト職員は合わせて1,200人にもなります。アルバイトは時給930円になったものの、正規職員との均等待遇にほど遠い状態です。退職金も一時金もない、昇給制度もないなど、「官製ワーキングプアをつくるな」と待遇改善を求める切実な声が上がっています。賃金の引き上げなど待遇改善をすべきです。伺います。
 また、「突発的な残業に残業代が支給されない」など、労働基準法上問題です。賃金不払いを直ちに是正すべきです。伺います。
 学童クラブの非常勤職員は、4年間の有期雇用となっています。「再試験を受け直すのでは、いつ切られるか不安」「なぜ学童クラブの非常勤職員だけやるのか」と不安を抱いています。区は、「専門性が必要、優秀な人材を確保するため」と言っていますが、「それなら研修の充実で対応したほうが、非常勤職員にとっても職場にとってもはるかに有効だ」との声が上がっています。「4年有期雇用」は撤廃すべきです。また、長く勤務している非常勤職員は正規職員として雇用すべきです。あわせて伺います。
 次に、都立墨東病院と産科など、医療の充実について伺います。
 脳内出血を起こした区内の妊婦が、墨東病院など8つの病院に受け入れを断られ、最後に墨東病院で命を落とした事件は、全国に大きな衝撃を与えました。「最後のとりで」としての総合周産期母子医療センターが、その機能を果たさなかったことは極めて重大な問題です。
 その背景に医師不足が指摘されていますが、厚生労働大臣は、「都に任せておけない」などと発言しています。医師不足は政府に大きな責任があります。政府は「医療費適正化」の名で医師数を抑制し続け、日本を世界でも異常な医師不足の国にしてきました。また、診療報酬の大幅削減、国公立病院の統廃合など、構造改革路線が「医療崩壊」を加速させてきました。政府に対して、異常な医師抑制の路線を改め、計画的に増員を図り、医学部の定員をふやすなど、国の抜本的な支援強化を求めるべきです。伺います。
 我が党は事件直後、直ちに都知事や厚生労働省にその対策を申し入れました。区長会も厚生労働大臣に「緊急要望」を申し入れるなどしてきましたが、区長は、今日のような事態を引き起こした背景と「医療崩壊」をどう認識しているのか、伺います。
 都知事は、今回の事件で「医師不足は国の責任」と言っていますが、東京都の責任も重大です。
 ことし2月、江東区、墨田区、江戸川区の3区の医師会と産婦人科医会の会長6名の連名で、「総合周産期母子医療センターの継続と充実が必要」との要望書を墨東病院に提出しましたが、都からの返事はなかったと聞いています。
 ことし6月から土・日・祝日は当直の2人体制がとれず、救急搬送が受け入れられない状態となっていました。また、平成18年11月から一般外来分娩の受け付けを中止し、産科の外来診療の受け付けも中止していました。都立病院の医師の待遇も悪く、給与は平成17年度、全国61都道府県・政令指定都市の公立病院で最低水準です。医師の過酷な勤務も問題で、「いつ過労死してもおかしくない」と現場から指摘されていました。
 築地産院や母子保健院が廃止され、一部が墨東病院の産科・周産期センターに統合されました。都は、「統合することで機能が継続、拡充する」と言ってきましたが、全く逆の事態が起きています。
 区長は、都知事に「周産期医療体制の充実」を申し入れましたが、この中には、都の責任には触れず、国の責任に言及しているだけです。都に対し、医師の待遇改善や都立病院の抜本的な体制強化と充実を求めるべきです。伺います。
 都は墨東病院を独立行政法人化することを検討していますが、「都立でなくなると不採算部門が切り捨てられる」と反対運動が起きています。我が党は、この問題で区長に何回も質問してきましたが、その都度、「都の推移を見守る」と他人事のような答弁を繰り返してきました。今回の総合周産期母子医療センターが機能を果たさなかった問題を含め、都立病院の一層の充実が求められています。墨東病院は都立のまま存続させ、区民、都民の期待にこたえられる病院とするよう都に求めるべきと思いますが、伺います。
 次に、学校選択制の見直しと南砂中学校について伺います。
 学校選択制について我が党は、導入以前から地域との希薄化、小規模校と大規模校の格差の拡大、こどもの通学の安全性の問題などが生じると指摘し、導入はすべきでないと主張してきました。区教委は、学校選択制の弊害を認めようとせず推進してきましたが、今回の小学校の学校選択制の見直しは、区教委のこれまでの考えの破綻を示すものと言わざるを得ません。区教委はどう総括し、教訓をどう生かそうとしているのか、まず伺います。 この間、進めてきた学校選択制などが学校間のアンバランスを生じさせ、1年生から6年生まで1クラスの小学校が3校、一方、すべて4クラスで800人近い学校があるなど、小学校は22%が指定校以外に入学しています。今回の見直しで、学校間のアンバランスがどのように是正されると考えているのか、伺います。
 見直しの中で、小学校は、「原則として徒歩で通える学校まで」としていますが、定義があいまいで、個人差や保護者の解釈で新たな矛盾が生じかねません。原則として学区域内とすべきです。伺います。
 学校選択制で中学校はさらに学校規模の格差が拡大しています。生徒数が40人程度の学校がある一方で、700人近い学校があるなど、著しいアンバランスが生じています。特に南砂中学校は、ことしの入学生が7人で、1人転校し、6人全員が学区域外からの入学で、発達障害などを抱えています。学校全体でも41人と極端な小規模校となっています。ことし4月の学区域内の入学対象者は34人にもかかわらず、すべてほかの学校に入学するなど、異常ともいえる状態となっています。区教委はこうした事態をどう受けとめ、どう分析しているのか伺います。
 南砂中学校は、不登校を対象とした相談学級が昭和61年に設置され、さらに昨年4月に自閉症など、発達障害のこどもが通う通級学級の「つばさ教室」が設置されました。現在、通級学級に通うこどもは11名で、6名が南砂中学校に在籍しています。相談学級は29名と半年間で10名増加しています。区教委は、南砂中学校の小規模校対策の「当面の対応」として、「つばさ教室を目的に通学区域外から希望、申請があった場合でも在籍は認めない」としていますが、学校選択制を制度として認めておいて発達障害のこどもだけは認めないとするのは、新たな矛盾と差別、不公平をつくり出すことになりかねません。どう考えているのか伺います。
 地域住民は、学区域内のこどもたちが喜んでその学校に通えることを願っています。区教委は、南砂中学校を「選択される魅力ある学校づくりを目指す」として、「運動会での幼稚園や小学校との交流」「団地祭など地域との交流」などを挙げていますが、すでに学校では実施していることです。 南砂中学校全体が「不登校や発達障害のこどもだけが通う学校」との風評などで敬遠され、小規模校にさらに拍車がかかっています。区教委は、南砂中学校への「当面の対応」で小規模校の解消につながると考えているのか、伺います。
 今、区内で通級学級は南砂中学校1校しかなく、相談学級も南砂中学校と深川第六中学校の2校しかありません。発達障害のこどもたちが地域のこどもたちと教育を受け、地域のみんなで支え合って人格を形成していくことが教育本来の目的ではないでしょうか。通級学級や相談学級を特定の学校に集中させず各地域に設置していくべきです。伺います。
 南砂中学校の学区域は南砂団地が中心で、区域も狭く、生徒数も少なくなっているのが現状です。周辺にマンションができても学区域に編入せず、放置してきたことにも原因があります。今後、周辺のマンション建設時には、こうした点も考え、学区域を拡大するなど対策を講ずるべきと思いますが、伺います。
 学校の生徒の偏りの根本的な問題は、競争教育や学校選択制などが相まって生じています。大規模校は大規模化し、小規模校はクラブ活動もできないなど、ますます小規模化していく。中学校の学校選択制の廃止を含め、抜本的見直しをすべきです。このことを最後にお伺いして私の質問を終わります。(拍手)

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