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2008年第4回定例会-正保みきお議員(子育て 学童保育 障害者)

  1. 子育て支援について
  2. 学童保育問題について
  3. 障害者施策の拡充について

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問します。
  質問の第1は、子育て支援についてです。
 企業が経営する東京都の認証保育所で、虚偽申請による補助金の不正受給や経営難を理由とした閉園が相次いでいます。先月末日には、首都圏で保育所や学童保育を経営する株式会社エムケイグループが経営難により、29園の閉鎖を通告、東中野駅前の認証保育所を開園2カ月で突然閉園し、働く親を路頭に迷わせました。
 東京一多い34カ所の認証保育所を整備し、そのうち、企業経営が23カ所ある本区として、これらの事態をどう認識しているのか、見解を伺います。
 このような事業者を認証し、開設を認めた東京都の責任を明らかにし、抜本的な再発防止策を講じるよう東京都へ申し入れるべきです。伺います。
 私たちは、規制緩和による保育への企業参入について、人件費削減による保育の質の低下、採算がとれなければいつでも保育園経営を投げ捨てていくなどの問題点を指摘してきました。本区では、営利企業による認証保育所ではなく、国と自治体が責任を持つ認可保育所の増設で待機児の解消を進めるべきです。見解を伺います。
 今、厚生労働省は、保育園と保護者の直接契約方式の導入、施設や職員などの最低基準の廃止を検討しています。
 直接契約は、保育をもうけ優先の市場にゆだね、国や自治体の保育実施の責任をなくすものです。最低基準の廃止は、国による規制をなくし、企業の参入をしやすくするものです。
 区は、本年第2回区議会定例会での我が党の本会議質問に対し、「最低基準が区市町村ごとの条例で定められるようになるので、地方分権推進の観点から望ましい」と答弁していますが、とんでもありません。国の最低基準では、保育所など、児童福祉施設は「最低基準を超えて、常にその設備及び運営を向上しなければならない」としています。国や自治体には、この最低基準の水準を確保するために財政負担を行うよう法で義務づけています。最低基準の廃止は、国の財政負担の責任を放棄するものです。
 だからこそ全国保育協議会など関係団体は、「国の責任で築いてきた公的な保育制度の基盤を崩し後退させるもの」「保育の最低基準は崩してはならない」として断固反対しているのです。「望ましい」などと言ってはいられません。区の認識を伺います。
 政府に対し、直接契約制度の導入と最低基準廃止の検討をやめ、国と自治体が責任を持つ公的保育制度の拡充を求めるべきです。伺います。
 ファミリー・サポート事業の拡充についてです。
 本区では、生後4カ月から小学校3年生までのこどもの育児支援を行うファミリー・サポート事業を展開しています。この事業の対象と活動内容を拡充し、産前1カ月前や産後43日からも家事や育児に利用できるようにするなど、産前産後の母子が安定した生活をするための事業としてレベルアップを図ってはどうか。また、利用料が1児童1時間当たり800円、または1,000円と高額であり、だれにも利用しやすいサービスとするために、利用料負担の軽減を実施すべきと思いますが、あわせて見解を伺います。
 出産育児一時金についてです。
 出産の際の分娩費用は負担が重く、平均して約50万円の費用がかかります。国の出産育児一時金の支給額は現在35万円ですが、23区では、国の額に上乗せ増額してきた経過があります。大都市部での出産費用が高額な実情を踏まえ、特別区として出産育児一時金の増額を検討すべきです。
 また、出産育児一時金を医療機関が被保険者にかわって直接受け取る「受け取り代理制度」の利用者は、わずか1割程度です。制度の周知徹底を図り、出産入院費は出産育児一時金との差額を払えば済むようにすべきです。あわせて伺います。
 私立幼稚園の保護者負担の軽減についてです。
 私立幼稚園の保護者に対する区の負担する保育料補助金を8,600円に改定し11年が経過しました。私立と区立の園児数の割合が、本区と類似する新宿区の場合、保育料補助金が1万5,000円です。他区の状況や公私間格差を踏まえ、保護者負担の軽減を拡充すべきです。また、東京都と国に対し、補助金の拡充を求めるべきです。あわせて伺います。
 質問の第2は、学童保育問題です。
 江東区が学童クラブ事業を委託した財団法人東京YMCAで、区から支払われた委託運営費をだまし取っていたという詐取事件が起こりました。同法人の男性管理職が超過勤務手当を水増し請求し、約30万円詐取し、遊興費に使ったほか、江東区へ人件費を過大申告し、委託費約950万円が同法人に内部留保されていたことがわかりました。区は委託契約の解除も含め、区の責任で原因究明と再発防止策を講ずるべきと思いますが、見解を伺います。
 区は、外部委託の大きなメリットの一つに「人件費の削減」を上げてきました。しかし、削減どころか、人件費の水増し請求がノーチェックでまかり通るなど言語道断です。江東区の業務委託先すべての立入調査や会計監査の実施を行い、管理・監督責任を果たすべきです。伺います。
 現在、小学生の放課後生活、地域生活をどう安全で豊かなものにしていくかが大きな課題となっています。
 学童クラブは、保護者が働いて昼間家にいないなどの理由で、小学校1年生から3年生を対象にして、放課後の時間に指導員が保護者のかわりに家庭的機能の補完をしながら「生活の場」を提供し、家庭状況を踏まえて子育てを支援する場所であり、こどもたちの成長と発達にとって欠かすことのできないものです。学童保育が果たしてきた役割、重要性、必要性について、区の認識を伺います。
 江東区では、人口の急増と共働き家庭やひとり親家庭の増加などで、学童クラブに入所する児童が年々ふえ続け、対象学年の約3割に当たる約3,000人が学童クラブへ通っています。今後、さらに1,000人の利用希望者の増加が予測され、そのうち700人は大規模マンションが急増している南部地域で見込まれています。南部地域に学童クラブの設置を求めます。伺います。
 先月、区はすべての児童のための安全な遊び場を提供するなどを理由に、学童クラブを放課後全児童対策事業のげんきっずに一体化し、段階的に学童クラブ事業を廃止していく方針を打ち出しました。
 本来「生活の場」の確保を目的とした学童クラブと、全児童の放課後の「遊びの場」の提供を目的としたげんきっずとでは、事業の目的も内容も実施状況も大きく異なります。無理やり両事業を一体化すれば、こどもの放課後や夏休みなどの生活を脅かすことになりかねません。
 渋谷区では、全児童対策事業の全校での実施を理由に、学童保育事業を廃止しました。全児童対策では十分な専用スペースが確保できず、「雨の日は、畳6畳分のスペースに40人ものこどもが鈴なりになってビデオを見ている」「お昼寝は教室の中なので眠れない」、また、こども一人ひとりに目が届かず、「こどもが顔に落書きされ、そのままの顔で帰された。連絡さえない」「つまらないと言って行きたがらない」など、こどもと親の声が相次いでいます。
 行き場をなくしたこどもたちは、「親のいない家に上がり込んで遊んでいた」「近くの商店でたむろしていた」などの実態が報告されています。これではすべてのこどもたちに安心した放課後の遊び場や居場所を提供できないのは明らかです。江東区ではそうならない保証がありますか、伺います。
 働く親を持つこどもたちには学童保育が保障される必要があります。だれでも安心して遊べる居場所、遊び場の提供のためには、児童館や児童遊園、げんきっず、校庭開放など、さまざまな施設や事業、活動を連携して取り組むことが必要です。全児童対策のげんきっずでは、学童クラブのかわりはできません。
 区は、「学童クラブをなくさないで」と願う親の声を受けとめ、学童クラブ、げんきっず、それぞれの事業を複眼的に充実、発展させていくべきです。見解を伺います。
 質問の第3は、障害者施策の拡充についてです。
 障害者自立支援法は、障害者と家族、施設や事業所の運営に深刻な影響を及ぼしています。とりわけ応益負担の導入は、「働きに行くのになぜ利用料を払わなければならないのか」「生きるための最低限の支援になぜ利用料が必要なのか」との疑問と不安が広がっています。
 また、報酬の単価引き下げと月額払いから日払いへの変更は、事業所経営を脅かし、職員の労働条件を引き下げ、退職者の増加、募集しても集まらないなど、人手不足が深刻化しています。
 ことし区が実施した障害者実態調査には、身体障害者の33%、知的障害者の50%、精神障害者の24%の方が、「利用者負担を感じている」と答え、事業者の45%が「採算が厳しい」、57%で「スタッフの報酬確保が課題」と回答しています。区は、障害者と家族、施設や事業所の実態をどのように認識しているのか、伺います。
 政府は、「特別対策」と「緊急措置」を講じ、利用者負担を軽減するなどの見直しを行いました。しかし、「緊急措置」は1年限りのものであり、しかも応益負担や日払い方式はそのまま残すなど、抜本的な問題解決になっていません。
 政府に対し、福祉サービス及び自立支援医療における応益負担制度を速やかに撤回すること、また、事業所運営の報酬単価の引き上げとともに、月額払い方式へ戻すよう強く求めるべきです。あわせて伺います。
 本区の独自施策である通所施設への食費の軽減が、今年度をもって3年間の実施期間が終わります。引き続き、来年度以降も継続して実施すべきです。
 また、日常生活用具給付事業として、排せつ管理用具のストマ用装具で3%への負担軽減が行われていますが、他の日常生活用具給付においても負担軽減を行うべきと思います。あわせて伺います。
 東京都の事業である低所得者に対するホームヘルプでの3%への負担軽減についても、今年度で終了を迎えます。東京都に対し、事業の継続を求めるべきです。伺います。
 困難事例に対する対応についてです。
 通所授産施設との懇談の中で、「区の紹介で通所を希望するNさんは、当初てんかんの発作があると聞いていたが、後に高次脳機能障害で感情の抑制が困難だとわかった。しかし、区の担当課にはケース記録もなく対応に苦慮している」と伺いました。「区はとにかく受け入れ先を決めればいいのか」と不信の声が生まれています。
 障害者が地域生活する上で生じる課題は、地域の課題として共有し、その解決に向けて継続して支援すべきです。地域の連携や困難事例への対応のあり方に対する定期的な協議、調整や情報の共有、発信などを担うべき地域自立支援協議会の役割、機能の強化を求めます。見解を伺います。
 通所施設への家賃助成についてです。
 現在、障害者の通所施設に対し家賃助成を行っています。しかし、心身・知的障害者の通所施設には家賃の9割を助成する一方で、精神障害者の通所施設には5割の助成のままです。施設関係者からは、「同じ自立支援法のもとで、どうして助成基準が違うのか」との不満の声が出ています。「障害者施策の一元化」という法の趣旨を踏まえ、精神障害者の通所施設にも家賃の9割が助成されるよう見直しを求めます。伺います。
 福祉ホームについて伺います。
 日常生活に困難がある重度身体障害者は、区内に十分な入所施設がないため、都外の施設を探さざるを得ず、住みなれた江東区内に福祉ホームを整備してほしいという要望が多数寄せられています。
 福祉ホームは、身体障害者の地域生活を支援する観点から、国や都の制度として実施され、法的にも自治体の実施する地域生活支援事業に位置づけられています。本区障害福祉計画に福祉ホームの整備を位置づけるべきです。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)

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