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2008年第3回定例会-そえや良夫議員(介護保険 高齢者医療 スポーツ振興)

  1. 介護保険について
  2. 後期高齢者医療制度について
  3. スポーツ振興について

日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について質問します。
 第1は、介護保険についてです。
 介護保険制度は、第4期目に向けた見直し作業が行われています。過去2回の見直しでは、介護報酬が連続してマイナス改定となり、介護の人材不足や劣悪な労働条件、深刻な経営危機の原因になっています。
 介護保険施設に対する実態とかけ離れた低い職員配置基準と人件費比率の設定が経営を困難にしています。実態に即した基準の見直しと介護報酬の引き上げを国に求めるべきです。伺います。
 人材確保のために賃金を初め労働条件の改善は急務です。区内の特別養護老人ホームで働く28歳男性の所定内賃金はおよそ17万円で、手取りはわずか12万円程度といいます。しかし、仕事はきつく、連続3時間を超える入浴介助で脱水症状を起こすこともあるといいます。厚生労働省の調査でも、労働者の7割が腰や腕、肩の痛みなど健康被害を訴えています。現場ではこのような劣悪な労働条件と精神的ストレスから、10年ぐらい頑張り続けた人が突然やめていく一方、人を募集してもほとんど応募がないといいます。人材不足により区内2つの特別養護老人ホームで定数いっぱいまで受け入れられない状態となっています。
 また、ショートステイでも、ベッドをフルに活用できず、2カ月前の申し込みでいっぱいとなり、急な不幸があってもどうにもならない状態となっています。
 もともとの施設不足に加え人材不足が、必要なサービスを受けられない事態を招いています。区は保険者としての責任を果たすためにも、全産業労働者平均と比べ著しく低くなっている賃金の大幅引き上げ、少なくとも3万円の賃上げを国の一般財源で緊急に行うよう国に求めるべきです。伺います。
 介護報酬単価が大都市と地方とでほとんど差がないことが、生活費がかさむ大都市での人材確保をさらに難しくしています。大都市での生活に見合う賃金を保証するための助成制度創設を都に求めるべきです。伺います。
 また、千代田区が24時間対応の施設に対し行った家賃助成は、事業者に大変喜ばれています。本区でも、家賃助成など、独自の労働者定着促進策を講じるべきです。あわせて伺います。
 次に、新予防給付導入に伴う問題についてです。
 新予防給付の導入で大変な介護の取り上げが行われました。介護ベッドは典型的で、2006年3月時点で、要介護1及び経過的要介護の人、646人が利用しておりました。それが同年10月には要介護1の人、わずか5人のみとなりました。
 また、介護報酬の算定方法変更による介護の取り上げも行われました。要介護1の人も要支援2の人も身体状況は同じなのに要支援2とされると、受けられる介護サービスは大幅に減らされました。ヘルパーから「人間らしい介護ができない」との声が寄せられたほどです。介護予防の名による介護の取り上げをやめるよう国に求めるべきです。伺います。
 さらに、認定基準が厳しくなり、より軽度に判定されるケースがふえた、認定調査が機械的になり、高齢者の実態を詳しくとらえようとしなくなったとの指摘も広がっています。
 腰の骨を折り、退院してきたひとり暮らしの女性は、最初の6カ月は要支援2と認定されましたが、次の認定審査で要支援1に下げられ、生活援助が週3回から2回に減らされました。腰を伸ばすと痛みが走り、伝い歩きがやっとで、買い物に行くこともできないため、減らされた1回分を自費で頼んだといいます。必要な人が必要な介護を受けられるよう、機械的な調査と厳しい認定基準は直ちに改善すべきです。
 また、国が第4期目に向けて計画している調査項目の削減は中止するよう求めるべきです。あわせて伺います。
 次に保険料の問題です。
 今の制度では、利用者の増加や介護サービスの充実に伴う給付の増加が、そのまま保険料の値上げに直結します。前回の改定でも保険料が値上げされ、「高過ぎる」との不満が広がっています。介護サービスの充実を図るとともに、保険料の引き上げを招かないよう、国に国庫負担の引き上げを求めるべきです。伺います。
 また、本区保険料設定に当たっては、値上げを抑えるとともに一層の多段階化など、減免制度を拡充すべきです。あわせて伺います。
 第2は、後期高齢者医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度は、開始から半年がたちました。この間、政府は「国民の理解を得るため」と8億円以上もの税金をつぎ込み、「保険料が安くなる」などの宣伝を繰り返し行いました。しかし、「保険料が高くなった」「何で勝手に天引きか」など、怒りは広がるばかりで、政府は年金天引きの見直しを余儀なくされました。
 安くなるとしていた保険料も、80歳と79歳のご夫婦、55歳で病気がちの娘さん3人の家族の国保料が、年額約3万5,000円だったところ、両親は後期高齢者医療制度に、また、娘さんは国保にそれぞれ加入することとなり、世帯合計では2倍以上の年額約7万6,000円にはね上がりました。
 政府は、以前より高くなった人たちの保険料を引き下げるため、従来均等割7割減額だった人たちの割引率を、85%に引き上げる追加の軽減措置をとりました。この対象者は、後期高齢者とされた人たちの4割に当たります。所得にかかわりなくだれもが一律に負担する均等割保険料を、国保に比べ大幅に高くしたことが原因です。
 しかも、この保険料は2年ごとの見直しで、その都度高齢者の負担割合も保険料も限りなく上がっていく仕組みです。一時しのぎの暫定措置で済む問題ではありません。
 医療費負担の痛みは現役世代にも及んでいます。後期高齢者医療制度開始に伴う拠出金の大幅増加に耐え切れず、西濃運輸健保組合が9月1日付で解散したのを初め、ことし4月以降の半年間で13の健保組合が解散しています。
 区は「世代間の公平を図り、全世代を支える制度」と言ってきましたが、相次ぐ健保組合の解散は現役世代にも絶えがたい負担となっていることの証明です。認識を伺います。
 医療費抑制を目的に外来診療に導入された包括医療制は、35都府県の医師会が「質の高い医療を提供できない」と次々にボイコット、区内でも従来どおりの診療報酬体系を継続しているところが多いといいます。医療を担う側からの拒否回答です。
 また、終末期相談支援料は、「治療を打ち切り、早く死ねということか」と大問題になり、凍結に追い込まれました。
 もはやこの制度が持続可能などと言えないことは明らかです。その場しのぎ、小手先の手直しでは済まされません。75歳という年齢によって差別することがそもそも間違いです。廃止以外にありません。速やかに後期高齢者医療制度の廃止を国に求めるべきです。伺います。
 社会保障に必要な財源は、年間5兆円にまで膨れ上がった軍事費、環境破壊の公共事業費などむだ遣いの見直し、大企業に対する行き過ぎた減税を取りやめれば十分賄えます。
 日本医師会も医療費削減の原因と指摘する、毎年2,200億円もの社会保障費の機械的削減の中止と、これまで削減した1兆6,000億円の復活を国に求めるべきです。伺います。
 最後に、スポーツ振興について伺います。
 体育スポーツを行うことはすべての人にとって基本的権利であり、スポーツは健全な身体と健康の増進とともに、全面的でバランスのとれた人間の発達にも貢献するなどの効果も持っています。こうしたスポーツを身近で手軽に、生涯を通じて行えるよう、施設などの整備を進めることは国や自治体の責務です。
 ことし7月、東京都はスポーツ振興基本計画を策定し、「スポーツを通じて次代を担うこどもたちに夢を与える」「スポーツ人口のすそ野を広げる数値目標」などを盛り込みました。
 しかし、東京都の施設状況は、総務省の調査でも、人口100万人当たりの社会体育施設数は全国46位、多目的運動広場は47位と最低クラスです。
 その結果、公共スポーツ施設に何を望むかという都の調査では、施設数の増加を求める声が44.7%で1位となっています。都に対し、スポーツができる施設と広場の拡充を求めるべきです。伺います。
 また、区内にある都の施設、辰巳の森海浜公園内の少年広場は水はけが悪く、前日雨が降れば使用できません。この広場の利用機会をふやすため、人工芝にするなどの改修を求めるべきです。あわせて伺います。
 また、区民の間では、区内に硬式野球ができる球場を、低料金で使えるフットサルコートを、公園にバスケットボードをなど、さまざまな要求が渦巻いています。サッカーや野球チーム関係者は、練習場所の確保が大変と言います。区はこうした区民のスポーツ要求にこたえ、施設の整備、拡充に努めるべきです。
 都のスポーツ振興基本計画には、スポーツを行う場の提供のために未利用の都有地の区市町村への貸し付けも盛り込まれました。都に申し入れ、区内にたくさんある、あいている都有地の整備、活用を図るべきです。伺います。
 スポーツ施設と駐車場などの利用料を低く抑え、だれもが利用しやすくしなければなりません。駐車料金を安く抑えたという有明スポーツセンターでさえ、施設を2時間使用すると駐車料金も同じだけかかります。また、少年野球の関係者は、ボランティアで道具を運び、こどもを送迎しています。施設利用者の駐車料金は無料にすべきです。伺います。
 次に、障害者・高齢者のスポーツについてです。
 障害者団体や障害者のスポーツにかかわる方々は、障害者は体を動かすことが大好き、体力の維持向上にも有効で、スポーツ施設やインストラクターなど、条件さえあればもっと機会をふやしたいと言います。
 しかし、障害者水泳教室も行っているスポーツ会館でさえ、プールには障害者用の更衣室がなく、ある障害者団体はシャワーもロッカーもトイレもない救護室で着がえているといいます。障害者が利用しやすいよう施設の改修を進めるべきです。伺います。
 また、ある作業所では指導員が確保できなくなり、プールの使用を取りやめたといいます。障害者スポーツの振興のためにも、区として指導員の育成と確保を図るべきです。伺います。
 2年前に高齢者のスポーツ施設利用を有料化し、その際、団体利用に割引を設けなかったことが自主クラブの運営を困難にしました。高齢になっても多くの区民がスポーツを楽しめるよう、団体利用についても高齢者割引を実施すべきです。また、小さな自主クラブが活動しやすいよう、貸し出し規模のきめ細かい対応を求めます。あわせて伺います。
 最後に、スポーツ振興条例についてです。
 心身の全面的発達に大きな意義を持つスポーツを、希望するだれもがいつでも気軽に行えるためには、身近に低料金で利用できる施設、指導員の確保が欠かせません。これは民間任せではできない仕事です。埼玉県や同県長瀞町など、幾つかの自治体でスポーツ振興条例をつくり、スポーツ振興の意義、自治体が果たすべき責務、学識経験者などによる審議会設置などを盛り込んだ条例を制定し、取り組みを進めています。本区でもスポーツ振興条例を制定し、より多くの区民がスポーツを楽しめる環境整備に努めるべきです。伺います。
 東京オリンピックについての各種世論調査を見ても、「必要ない」という声が大勢を占めています。都民、区民の合意も得られないまま多額の税金をつぎ込むオリンピックに突き進むことはやめるべきです。都に対し、オリンピック招致を中止するよう求めるとともに、都民、区民がより多く、より身近にスポーツを楽しめるための環境整備にこそ力を注ぐよう、都に求めるべきです。あわせて伺い、質問を終わります。(拍手)

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