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2008年第3回定例会-あぜ上三和子議員(物価 築地市場 子育て 公営住宅法)

  1. 原油高騰、物価値上げに対する緊急対策について
  2. 築地市場の豊洲・東京ガス工場跡地への移転問題について
  3. 子育て家庭への経済的支援について
  4. 公営住宅法施行令改定問題について

  私は、日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問いたします。
 第1の質問は、原油高騰、物価値上げに対する緊急対策についてです。
 物価上昇を92%の国民が実感している、日銀の「生活意識調査」での結果です。今回の物価高騰がとりわけ深刻なのは、庶民の所得が下がっているもとで、生活必需品の物価が高騰し、暮らしと営業を直撃しているということです。それに加えて、保険料などの負担増と区民生活の困難と不安は増大しています。私ども区議団のアンケート調査でも、「1カ月6万円の年金で、パートの仕事がなくなったら暮らしていけない」「通院を減らさざるを得ない」など、多くの深刻な声が寄せられています。区民が不安を募らせているこうした事態を区長はどう受けとめていますか、まず伺います。
 こうした中、政府は「緊急総合対策」を打ち出しましたが、構造改革路線がもたらした危機に対する対策もなく、急激な価格上昇の主因である投機マネーの暴走も野放しのままです。政府に対し、国際的な投機マネー規制の実施とともに、漁業者への燃油代補助の厳し過ぎる条件の是正、社会保障の抑制政策の中止など、実効ある緊急対策を講ずるよう求めるべきと思いますが、伺います。
 次に、本区の対策について伺います。
 私たち区議団は、これまで区としての緊急対策を議会でも申し入れでも提案し、早急な実施を求めてきましたが、区の公共工事における単品スライド条項実施や緊急融資を行ったこと、学校給食の食材費補助を行うことなどは、一歩前進と評価しております。しかし、さらなる改善・充実が必要な問題も生じており、その実施を求め、伺いたいと思います。
 まず、中小零細企業対策です。
 緊急融資については、区のあっせんが9月19日現在、112件、実行はこれからという段階ですが、「原材料が毎月のように上がって返済を考えると厳しい」「この苦しい時期に少しでも支出を抑えたいので借りかえも認めてほしい」などの切実な声が上がっています。こうした中小零細企業の声を受けとめ、借りかえを認めるよう改善すべきと思いますが、伺います。あわせて、返済の据置期間と返済期間の延長を求めますが、伺います。
 さきの第2回定例会において、我が党が本区の発注する随意契約についても、資材高騰分を上乗せするよう求めた際、区は「物価の動向等を踏まえつつ、適正な価格で対応すべきもの」と答弁されました。しかし実態は、現場任せになっていて、請け負った業者が赤字覚悟で資材高騰分を抱え込んでいるなどの問題が起こっています。実態を調査し、資材高騰分を上乗せするなど対策を検討すべきと思いますが、伺います。
 次に、学校給食についてです。肉の分量を減らす、魚や調味料を安価なものに変えるなど、現場では大変な努力と工夫がされていますが、「もうやりくりでは限界」との声が上がり、このたび区として食材費2,700万円の補助を行うこととなりました。物価高騰は、育ち盛りのこどもを持つ家計をも直撃していることから、区として来年度も補助を継続し、給食費の値上げは避けるべきだと思いますが、伺います。
 特別養護老人ホームや障害者施設への影響も深刻です。我が党の都議団の調査でも、8割の施設が物価高騰で影響が出ていると回答しました。
 送迎、食材、光熱水費、作業の原材料など、さまざまな分野で影響を受け、運営の困難さを助長しています。そのため、わずかな工賃をさらに下げざるを得ない、職員給与を減額せざるを得ないなど現場では大変な事態が起こっています。区として、直ちに施設への影響調査を行い、ガソリン代補助など必要な援助を行うべきと思いますが、伺います。
 第2の質問は、築地市場の豊洲・東京ガス工場跡地への移転問題についてです。
 東京都が、築地市場の移転を予定している豊洲の東京ガス工場跡地では、この間の調査で、環境基準をはるかに上回るベンゼン、シアン化合物、砒素など、広く汚染されている深刻な実態が明らかになっています。
 しかしながら東京都から諮問を受けた「専門家会議」は、7月26日「地下2メートルまでの土壌をすべて入れかえるほか、地下水位を管理しながら水質浄化するなどの汚染対策を実施すれば、移転しても危険はない」と事実上の「安全宣言」の最終報告を東京都に提出しました。
 これに対し「リスク管理で安全と言われても食品を扱う場所として本当に大丈夫なのか」「リスクを残して移転すべきではない」など、不安と反対の声が上がっています。私ども区議団のことし7月に行った区民アンケートでも、8割以上の方が移転に反対でした。
 区は、この問題について「区民生活の安全が大前提」と言われてきましたが、この最終報告をどう受けとめているのか、まず伺います。
 専門家会議の調査自体にも大きな疑問の声が日本環境学会の専門家などから上がっています。
 「地下の軟弱な粘土層、有楽町層を不透水層と断定し、その下は汚染ゼロと見なしているが、有楽町層は全く水を通さないわけではなく、有楽町層内部までボーリング調査が必要であること」「液状化の調査が未実施であること」など、調査の不備が指摘されています。
 また、地下水の遮水や地下水浄化など、対策の困難さも指摘されています。現に専門家会議の座長がかかわった「大阪アメニティパーク土壌・地下水汚染対策」では、厚さ50センチのコンクリート製遮水壁でも、建物地下の湧き水を遮水できなかったように、矢板で完全に遮水することは困難だとの指摘もあります。
 区は、これまで東京都に対しては十分な説明と協議を求めていくとしていました。未実施の有楽町層内部までのボーリング調査や不安が指摘されている地下水浄化対策など、再調査をするよう東京都に求めるべきと思いますが、伺います。
 さらに、掘削した汚染土壌の処理をどうするのかという問題です。
 都は都内での処理を前提にしていますが、その量は大型ダンプで18万台分以上、100万立方メートルに及ぶものです。都が主張する短期間での汚染土壌処理などはとても無理なことだと思いますが、区の認識を伺います。
 これだけ問題を抱えているにもかかわらず、東京都は、最終報告書を金科玉条として移転のための土壌汚染対策工事の新技術や工法を公募し、非公開の技術会議を設置、そこでたった3カ月で土壌汚染対策計画を策定しようとしています。
 しかも座長は専門外で、そのほかのメンバーについては氏名を公表しません。都民の目の届かないところで秘密裏に計画を策定するなど言語道断です。技術会議は公開し、メンバーには日本環境学会などの専門家を入れるよう東京都に求めるべきと思いますが、伺います。
 区の清掃港湾・臨海部対策特別委員会において、都は、現地再整備について「4、5ヘクタール必要な種地がないこと、アスベスト問題で、現地再整備は不可能」と断言していましたが、種地については、中央区が提案している代替地活用で可能です。にもかかわらず中央区と話し合いもせずに現地再整備は不可能だと断定しているのは問題です。また、飛散性のアスベストは既に完全除去されており、建材に含まれているアスベストについては、大阪市の中央卸売市場でできたように、ブロックに分けて十分な隔離を行えば現地再整備は可能です。現地再整備を求めるべきと思いますが、伺います。
 また、東京都は現地再整備より豊洲移転の方が安いと、こともあろうに財政効率を移転の理由に上げました。しかし専門家会議でさえ、汚染土壌対策経費が当初見込みの倍となるとしています。総事業費5,000億円を超えると言われ、豊洲移転は、現地再整備費用の倍の規模です。安いというのは、築地市場売却を前提にした理屈です。都心の一等地である築地市場の跡地をオリンピックのメディアセンターのために、その後の再開発のために民間に売り飛ばす、何が何でも豊洲に移転ありきの都の姿勢は、断じて許されるものではありません。
 築地市場は、水産物では世界最大の市場であり、都民の貴重な台所です。命と健康に直結する食の安全・安心を最優先にし、豊洲の東京ガス工場跡地への移転は白紙撤回するよう東京都に求めるべきです。答弁を求めます。
 第3の質問は、子育て家庭への経済的支援についてです。
 「こどもは欲しいけれど、生活が大変で出産費用をためる余裕はありません」という声が寄せられました。若い世代での2人に1人は非正規労働といった不安定雇用、増税、教育費用の増大の中で、子育てにかかわる経済的負担が子育て世帯を苦しめています。
 厚生労働省の調査では、4歳6カ月のこどもを持つ親の7割近くが子育て費用を負担に感じていました。さらに、こどもが成長するに従って教育費が負担となって、「教育関係費」が家計の消費支出に占める割合は、この30年で約5%から約12%と2倍以上にふえ、家計を圧迫しています。
 本区の調査でも、家族に中学校卒業前のこどもがいる回答者の「子育て施策の要望」の一番が経済的負担の軽減です。子育てにかかわる経済的負担の現状を、区はどう認識しているのか、まず伺います。
 何よりも親の経済的事情でこどもの学び、成長する権利が奪われるようなことがあってはなりません。どの子もみんな成長できるよう、親を援助するのは国、都及び区の責任です。しかし、日本の子育て家族政策に対する財政支出の割合は、GDPの0.75%とフランスの4分の1、スウェーデンの5分の1にすぎないのが現状です。家族政策予算の抜本的引き上げを政府に求めるべきと思いますが、伺います。
 とりわけ経済的困難を極めている母子家庭の支援は重要です。ところが、国はことしから児童扶養手当を支給開始から5年たったら支給額を最大で半減するという改悪を行い、さらに来年4月からは、生活保護の母子加算を廃止するという、母子家庭の2つの命綱を断ち切ろうとしています。政府に対し、児童扶養手当削減の撤廃と母子加算の継続を求めるべきと思いますが、伺います。
 区として、経済的支援の拡充も図るべきです。
 今年度から妊産婦健診助成を拡充したことは前進ですが、出産にかかるお金は若い世代にとって大変な負担です。現在、墨東病院では一般分娩を受け付けていないため、民間の産院などを利用せざるを得ず、最低でも50万円から60万円はかかります。
 厚生労働省は、こうした事態の中で、出産一時金を38万円まで引き上げることを検討していますが、既に港区では、公的医療保険から支給される出産一時金を差し引いて50万円まで出産費用を助成する制度を区独自に実施しています。本区でも、出産助成を実施するよう求めますが、伺います。
 保育料も大きな負担になっています。認証保育所での補助を所得によっては2万円まで拡大しましたが、それでも月3万円を超える保育料の自己負担は大変です。認可保育園の増設、改築による定員拡大を前倒しするとともに、認可外保育施設の保育料補助を拡充すべきと思いますが、伺います。
 「制服代が高額で大きな負担になっている」「卒業アルバムもお金がかかって大変」など、就学にかかわる費用の増大に保護者は悲鳴を上げています。そうした中、就学援助は子育て世代になくてはならない重要な経済的支援策となっています。しかし、就学援助の入学準備金や卒業アルバム費などは実態からかけ離れて低過ぎる、また、小学校5、6年生の社会見学は、就学援助の対象になっていないなど、就学援助の内容改善が必要です。
 さらに、現在江東区では対象者の収入基準が、生活保護世帯の1.18倍です。全区平均の1.2倍に直ちに引き上げ、対象者を広げ、教育費の保護者負担を軽減すべきだと思いますが、こうした改善について伺います。
 林間学校における障害児対応の介助員の保護者負担は早急な改善が必要です。障害児の親にとって大きな負担になっているばかりでなく、経済的な理由で参加ができない児童・生徒をつくってはなりません。保護者負担にすべきではないと思いますが、伺います。
 第4の質問は、公営住宅法施行令改定問題についてです。
 昨年12月、政府は、公営住宅法施行令改定を強行しました。これにより、来年4月から都営住宅の収入上限基準は、現行の月収20万円から15万8,000円に引き下げられ、入居の収入基準が厳しくなります。また、居住者に明け渡しを求める高額所得者の基準も、現行39万7,000円から31万3,000円に下がってしまいます。これによって約30%の居住者の家賃が値上げとなり、6、7%の居住者は収入超過で明け渡しを迫られます。
 本区の6月の区営住宅の応募倍率が、平均で60.6倍、最高は178倍だったことにも示されているように、今、貧困化が進む中で住宅困窮者がふえており、公営住宅不足の問題を入居対象者の足切りと追い出しで解決させようというのは、本末転倒と言わなければなりません。今、切実に求められているのは公営住宅の増設です。区の認識を伺います。
 私は、この問題で先日、国土交通省に交渉に行ってきましたが、国土交通省も大都市居住者の生活実態を踏まえた基準については「勉強したい」と答えました。
 政府に対し、施行令の改悪の撤回を求めるとともに、大都市居住者の生活実態に合った基準設定で入居の拡大を図るよう求めるべきと思いますが、伺います。また、この施行令は区営住宅も対象となりますが、家賃の値上げや強制退去はやるべきでないと思いますが、伺います。
 UR賃貸住宅、公社住宅も深刻です。これまで収入上限基準以下の世帯は家賃の減免対象となっていましたが、この引き下げで減免が外れる世帯が生まれてしまいます。「減免が外れたら住み続けられない」と居住者の中には、不安が広がっています。また、「80歳、70歳を過ぎてからの引っ越し先はとても見つかりません」と、住宅の相談は後を絶ちません。
 減免が外れると家賃が払えない、公営住宅を何度申し込んでも入れない、こうした人たちが本当に安心して江東区に住み続けられるために、区として家賃補助制度を創設すべきではないでしょうか。誠意ある答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)

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