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2010年第2回定例会-斉藤信行議員(中小企業 地域主権 賃貸住宅 火葬場)

  1. 日本経済と中小企業対策及び振興について
  2. 地域主権改革について
  3. 旧公団賃貸住宅と東京都公社賃貸住宅について
  4. 公営火葬場と公園墓地について

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに関係理事者に、4点について質問いたします。
 まず第1は、日本経済と中小企業対策及び振興について伺います。
 日本の経済危機は、リーマンショック以降、特に深刻で2009年のGDP(国内総生産)は、前年比マイナス6.1%と、世界の中で最もひどい落ち込みとなっています。江東区の平成21年10月から12月の中小企業景況調査でも、全業種で悪化していると分析しています。中小業者は「仕事がない」、「ビル掃除のアルバイトで工場家賃を払っている」、「出口が見えない」と悲観し、みずから命を絶つ人など、深刻な事態となっています。
 経済危機から国民生活と中小企業を守るには、日本経済の異常なゆがみを正し、ルールある経済社会を築くことが必要となっています。
 私たち日本共産党は、4月22日、中小企業を本格的に支援する5つの提言を発表し、中小企業団体との懇談を重ね、政府にその対策を求め幅広い共同の運動を進めています。
 1つ目は、大企業と中小企業の公正な取り引きを保障するルールをつくって、下請代金の買いたたきや、一方的な発注打ち切りをやめさせることです。
 2つ目は、本格的な中小企業支援策を進めるため、国の中小企業予算をふやし、中小企業センターをつくり、製品開発や販路開拓など専門家が支援し、また、農商工連携の取り組みを支援することです。
 3つ目は、中小企業を支援する税制と社会保障の仕組みをつくり、所得税法第56条を廃止し、事業主、家族従業者の経費を認めることや、国保料の軽減、消費税増税に反対して中小企業の負担を軽減することです。
 4つ目は、同時に「中小企業憲章」と「中小企業振興条例」を制定し、中小企業、自営業者を日本経済の根幹と位置づけ、政策の総合的見直しを行うことです。
 5つ目は、かつてない経営危機に襲われている町工場を守るため、借り工場の家賃や機械・設備のリース代など、緊急・直接支援を行うことです。国会の我が党の論戦で、政府はリース会社に支払い猶予に応じるよう要請通知を出しました。
 区長は、今の日本経済の現状と江東区の中小企業の実態をどう認識し、どのような対策が必要とお考えか、伺います。
 次に、本区の具体的対策について伺います。
 1つ目は、中小企業予算である産業経済費の増額です。
 本区の産業経済費はここ5年間、一般会計に占める割合が0.9%と低く、墨田区の2%、大田区の1.4%より下回っています。商店街はアリオ北砂の開店で大きな打撃となっています。中小企業予算を増額し、商店街の装飾灯の全額補助や防犯カメラのメンテナンス料の補助、買物共通券の印刷代補助、工場家賃の緊急支援など、中小企業施策を拡充すべきです。伺います。
 2つ目は、公共事業を前倒しして中小企業に仕事が回るようにすべきです。
 江東区長期計画では、今後、橋梁の改修、地区集会所の耐震工事、小中学校、幼稚園、保育園、道路の改修などが予定されています。危機的状態にある中小企業に仕事が行くよう工事を前倒しすべきです。また、入札制度に地元貢献度などを考慮した総合評価方式の対象工事を拡大すべきです。総合評価方式の対象工事は、昨年度は9.2%、今年度も10%台しかありません。対象工事や範囲を拡大し、区内業者に受注機会を広げるべきです。あわせて伺います。
 3つ目は、新しい住民サービスと施策の向上を図ることです。
 品川区は、ことしの4月から「住宅エコポイント」と連動させた住宅リフォーム助成制度を実施しました。住宅リフォーム助成は全国の自治体にも広がって、中小零細業者の仕事確保に効果を上げています。本区も住宅リフォーム助成を実施すべきです。
 また、区内の木材産業から、「公共工事の資材は区内で調達してほしい」との要望も出されています。地場産業の育成や資材の活用など、工事の発注に当たって、こうした声を反映させる仕組みづくりをすべきであります。あわせて伺います。
 中小企業や商店に対する区道上のそで看板や日よけなどの道路占用料は全額免除すべきです。伺います。
 小規模事業者登録制度の制定も必要です。区が発注する少額な工事や修理、物品購入など、小規模事業者が登録して積極的に受注機会を提供する制度ですが、区は実施しておりません。未登録業者略式登録名簿と称して、名簿に掲載されている業者が、何の品物を扱っているのか、どういう工事や修理ができるのかも全く記載のない不備な名簿です。ほかの区は要綱を定めて実施し、登録名簿には業種名の記載があり、板金、タイル工事、電気、畳、室内装飾など、あらゆる業種が記載され、物品でも文具事務用品や荒物雑貨、運動用品など細かな品物が記載され、この名簿に基づき物品購入や工事の発注をしています。本区は要綱もなく、業種名も物品の記載もないなど、極めて不備な名簿となっています。本区も条例や要綱を定めて、だれでも一目でわかる利用しやすい小規模事業者登録制度を実施すべきです。伺います。
 次に、地域主権改革について伺います。
 政府は、今国会に地域主権改革推進一括法案を提出していますが、道州制の導入を念頭に、福祉施設などの最低基準を緩和するなど、「地域主権」の名で国の責任を放棄し、地方に責任を転嫁するもので、小泉構造改革路線と同じと言わざるを得ません。
 保育所や特別養護老人ホームなど、福祉施設の設備、運営基準を国の最低基準を撤廃し、ガイドラインをつくって地方の条例にゆだねようとするものです。
 厚生労働省は6月中に省令を改定し、特別養護老人ホームの居室面積基準などを引き下げ、1室当たり13.2平米(約8畳)以上とされている個室面積を約6畳に引き下げ、地方が従うべき基準とすることを考えています。
 職員配置基準も引き下げられたら、今でも夜間の介護など一人一人に目が届かず重労働となっており、基準の引き下げは、職員と入居者に耐えがたい負担となりかねません。
 認可保育所も、全国一律の保育所面積、基準を都市部で撤廃し、詰め込み保育で待機児を解消しようとするもので、保育環境、保育水準を悪化させるものとの批判が上がっています。
 江東区内のある私立認可保育所では、「園庭もなく園児全員が集えるホールもない」、「ふえる入園希望者に対応するため、事務室や休憩室をつぶし保育スペースに充て、待機児解消のため増員してきた」と言います。「これ以上一人もふやせない」、「基準を下げ人数が多くなれば、ひっかきやかみつきなど確実にこども同士のトラブルがふえ、発達に悪影響を及ぼしかねない」と語っています。
 区長は、「基準緩和は、自治体に権限を移譲し待機児解消に向けた歓迎すべきこと」「区は国基準を上回っている」と言いますが、国の基準を上回っているのは、これまで長い歴史の中で父母や保育関係者が運動を続け、自治体と一緒に築いてきたものです。詰め込み保育につながる基準緩和がどうして「歓迎される」ことですか。保育水準は下げないと明言できますか、お答えください。
 財源も特定財源から一般財源化され、自治体の財政の逼迫度に応じて保育水準に差が出て、廃園も全国で起きていると聞きます。
 小泉内閣時代の三位一体改革で地方への権限移譲、特定財源から一般財源を拡大するとしたことに、本区も含め地方は歓迎との態度をとりました。結果は、わずかな権限移譲だけで大幅な地方交付金の削減で地方は財政難に陥り疲弊していきました。今回の地域主権改革も、国の責任を地方に押しつけ財源措置を縮小しようとするものです。今後、国からの財政措置について、区長は確実に措置されると認識しているのか、伺います。
 国が最低基準を定めているのは、憲法に基づいて国民生活の最低基準をすべての国民に保障するためのものです。国はこの最低基準を引き上げるべきで、引き下げなど本末転倒と言わなければなりません。区長は引き下げに反対し、最低基準の引き上げを求めていくべきです。伺います。
 次に、旧公団賃貸住宅と東京都公社賃貸住宅について伺います。
 全国公団住宅自治会協議会は、5月26日、政府の事業仕分けで都市再生機構(UR)、旧公団住宅を民営化すべきとしたことに抗議し、公共住宅を守るため緊急集会を千代田区で開き、全国116の団地代表と与野党の国会議員などが参加しました。
 集会では、200万人近いUR賃貸住宅居住者の存在と国民生活を無視し、公共住宅を根本から瓦解させるものと強く抗議し、断固反対との態度を明らかにしました。
 UR賃貸住宅は、近傍同士の住宅の家賃と均衡を失しないようにと、既に市場家賃が導入され、高齢者、低所得者は耐えがたい家賃負担となっています。民営化されたら住み続けることが困難となり、住宅の喪失にもつながり、人権問題となりかねません。
 大島六丁目団地では、世帯主の65%が60歳以上で低収入化が進み、家賃負担が重いという世帯が9割を超えています。高齢者や低所得者が安心して住み続けられるようにすることが、政府と自治体、都市再生機構の役割ではないでしょうか。
 UR賃貸住宅が民営化されれば、公社住宅など他の公共住宅にも大きな影響を与えることになります。区長は民営化に反対し公共住宅を守るよう、政府や関係機関に働きかけるべきです。伺います。
 南砂二丁目公社住宅など、区内の公社住宅も高齢化と低収入化が進み、居住者から「何とか都営住宅に移れないか」との声が上がっています。3年ごとの家賃値上げで、ことしの10月から家賃が年間3万円も値上げされようとしています。江東区内の値上げ対象団地は、南砂住宅のほか、越中島、東雲、西大島、亀戸、南砂七丁目など9団地に及び、居住者は、「これからどうやって生活したらいいのか」と途方に暮れる状態となっている人もいます。
 区長は、東京都と住宅供給公社に家賃の値上げを中止するよう求めるべきです。また、高齢者、低所得者が住み続けられるよう、家賃減免の拡充や応能家賃制度の導入を求めるべきと思うが、あわせて伺います。
 都営住宅の空き家募集は募集戸数も少なく、地元割り当てなど、60倍、70倍と高く、石原都知事になってから新規住宅は1戸も建てていません。不況と高齢化、貧困化で家賃が払えず、長く住みなれたところを離れざるを得なくなる事態も広がっています。東京都に対して、都営住宅の建設を求めるべきです。伺います。
 高齢化に伴い、高齢者住宅の建設や増設が必要です。申し込んでも100倍以上の倍率で、何年も申し込み続け亡くなっていく人も少なくありません。民間住宅の借り上げや新規建設など、計画をアップすべきです。また、高齢者、低所得者への家賃助成も実施すべきです。あわせて伺います。
 生活保護の住宅扶助が、ひとり暮らしで5万3,700円、2人以上で6万9,800円と低く、ふろもない民間の木造共同アパートを探すにも苦労する実態です。政府に都心の実態に見合った家賃基準の引き上げを求めるべきです。伺います。
 次に、公営火葬場と公園墓地について伺います。
 墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)では、墓地、納骨堂または火葬場の管理及び埋葬等が公衆衛生、公共の福祉から支障なく行われることを目的とすると定められています。
 2000年12月の墓地埋葬法の厚生省通知、「墓地経営・管理の指針等」では、「墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られる」として、墓地には公共性や安定性、永続性が求められることの通知を各自治体に送っています。
 今、都区の事務配分に関する協議が進められ、現在までの検討状況では、墓地経営の許可、埋葬に関しては、都から区へ事務移管する方向で一致しています。
 今後、事務移管に伴い、公営墓地、納骨、火葬場の管理や新設は、各区や23区が共同で行うことが求められ、条例制定や体制整備が必要となってきます。今後、事務移管に伴いどう対応するつもりか、まず伺います。
 現在、23区内の火葬場は10カ所で、都立は瑞江葬儀所の火葬場1カ所だけです。江東区民は、都立瑞江葬儀所を中心に、民間の町屋斎場、四ツ木斎場を利用していますが、瑞江は冬や夏などは利用者数が多く、5日間も待たされるなどの状態となっています。
 臨海斎場は、大田区、品川区、港区、目黒区、世田谷区など5区が共同で設置し、広域斎場組合が運営して、当該区民が比較的安く利用しています。今後の高齢化の進行などを考えれば、公営火葬場の増設は避けて通れません。各区や23区が共同して取り組む必要があります。現状の火葬場の状況や今後の必要性について、どう考えているか伺います。
 葬儀と墓地に対する考え方も大きく変化してきています。共同で納骨する共同墓地やマンション墓地、海や山への散骨、樹木の下に埋葬する自然葬など、多様化しています。
 東京都霊園問題調査会の調査では、都民の3人に1人がお墓を持っておらず、このうち約50%が「近い将来、お墓が必要になる」と回答しています。今後、高齢化や団塊の世代がその年齢に達するころ、墓地需要は一層深刻となることが予想されます。
 都立霊園の応募状況は、昨年2009年度で小平霊園で27.9倍、青山霊園で21.6倍などで、応募条件も厳しく、「墓がない、墓が持てない」などの人が、自宅で遺骨を保管せざるを得ない状況が増加しています。
 墓地の供給は自治体の役割というのが法律の建前であり、浦安市は、平成4年に海を臨む4万坪に1万4,000基を計画し、市民が浦安をふるさととして安心して生活できるように、将来にわたって安定して墓所を供給していく計画と聞いています。横浜市や川崎市、さいたま市、船橋市などほとんどの自治体が墓地公園、霊園などを設置しています。
 本区も「海の見える緑あふれる公園墓地構想」を検討し、共同墓地などを含め、お墓に困っている区民に提供していくべきと思うが、このことを最後にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)

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