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2006年第3回定例会-きくち幸江議員

  1. 介護保険について
  2. 障害者支援について
  3. ごみ問題について

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。
 第一は介護保険についてです。
 介護保険制度は今年4月から全面改訂され、多くの高齢者が容赦なく公的な介護サービスを奪われています。「予防重視型システム」への転換を名目に、「要介護度が低い」とされた高齢者は、ホームヘルパーやディサービスなどの時間や回数を減らされる、車椅子や介護ベッドが使えなくなるなど、制度成立当初から言われていた「保険あって介護なし」の状況が一層ひろがりました。要介護者と家族の生活を守るために、自治体として実態に即した支援を行うことが求められています。
 この10月からは、介護度1以下の人が介護ベッドを使えなくなります。「ベッドがあるから起き上がることができるが、なくなったら一人ではトイレに行けない」「ふとんから起き上がるとき転倒を繰り返す」など悲痛な声があがっています。介護ベッドは自立した生活に必要なのです。区内の介護度1以下のベッド利用者は6月時点で446名、社会福祉協議会が行うリサイクルベッドで対応できるのは現在、ほんの数台ということですから、多くの人は自分で購入するかレンタルになります。安いところでも購入には十数万円、レンタルで月3000円から一万円を越す業者もあり、経済的に余裕がない人は「布団で寝たきり」になることを余儀なくされてしまいます。
 10月を前に、港区では独自に自立支援ベッドの貸し出し事業をはじめるほか、新宿、豊島、北区など一斉に、あっせんや利用料補助に乗り出しています。江東区でも利用の対策をとるべきです。伺います。
 また、新しく要支援1・2とされた人は「新予防給付」の対象となり家事援助型サービス給付が制限されました。1時間30分が限度で、週1回。買い物や食事作りが困難なひとには生存に関わる問題です。
 独自のヘルパー制度をつくり、無料で派遣する区もあります。江東区でも必要な人には、福祉施策として生活支援のヘルパー派遣事業を行う必要があると思いますが伺います。
 次に地域包括支援センターについて伺います。
 地域包括支援センターは、予防給付のケアプランを作成するほか、相談事業や虐待の防止、支援困難ケースへの対応など、ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者が増える中で、今後期待される施設です。2万人から3万人に一個所設置することとされていますが、現在4箇所しかありません。介護保険事業計画では予防給付のケアプランだけでも一ヶ月に1772人が想定され、現在でもその仕事に追われる状況と聞いています。在宅支援センターや事業所の力を借りるとしても、介護報酬は介護プラン作成の1万円に対して4000円と低く設定され、継続しての協力をお願いするには無理があります。センターの職員人数を増やして体制を整えること、今後中学校区にひとつくらいを目標に整備すべきではありませんか。伺います。
 次に区民の苦情受付についてです。今回の制度改定により、昨年10月から特養ホームなどの施設利用では、食費や居住費などの負担が大幅に跳ね上がりました。利用者からはいろんな意見や相談があったと思いますが、事業計画で示されている17年度の苦情件数はたったの7件しかありません。介護保険制度が、よりよい制度として改善されるためにも、直接利用者と接している施設やケアマネージャー、地域の介護支援センターなどに寄せられる意見や苦情を日常的に受け止め、意見・要望としてカウントし、区民にも明らかにするシステムが必要ではありませんか。伺います。
質問の第2は障害者施策についてです。
 障害者自立支援法は、障害者の皆さんが国会前で抗議の座り込みを続ける中、政府与党によって強行可決され、成立しました。施行から半年、障害者とその関係者からは「自立支援ではなく自立阻害」「看板に偽りあり」とあらためて悲鳴があがっています。その最大の問題は、サービス利用に原則1割負担を求め、障害が重い人ほど負担が大きくなる応益負担の導入です。
 働くことが大好きで作業所に通っていたある障害者は、朝10時から4時まで働いて一ヶ月の工賃5千円から6千円。4月からは利用料と給食費で2万5千円の負担となり、泣く泣く作業所を去りました。人として、働くことは喜びであり、誇りでもありますが、「工賃より負担のほうが高い。何のために働いているのかわからない」「働くためになぜ利用料を払わなければならないのか」と働く意欲をなくす状況も報告されています。かけがえのない活動の場を奪われる障害者の状況をどう受け止めていますか。江東区はノーマライゼイション推進プラン21をつくり、「人間性の尊重」「自立と連帯」「生活の質の向上」を基本理念としてこれまで障害者施策では先進的な役割を果たしてきました。しかし、自立支援法によって今起きている事態はこの理念に逆行するものではありませんか。伺います。
 区は応益負担について、先の本会議答弁では「低所得者にはきめ細かな負担軽減策がある」「持続可能な制度として止むを得ない」としていますが、負担が一番低く設定されている低所得1の階層でも、月6万6200円の傷害年金収入の2割近くを利用料として払うことになっています。減免の対象外である一般階層でも、本人の収入は障害者年金と手当、わずかな工賃という人が大半で、家族によって生活が支えられています。障害者の自立どころか、家族にとっても利用料負担が重くのしかかることになります。
 政府に対し、利用料の応益負担をただちに改めるよう求めるべきです。伺います。
 自立支援法のあまりに過酷な負担強化に対し、全国各地の自治体で支援策が打ち出されています。都内でも、荒川区で在宅の全サービスを3%負担としたほか、台東区で通所授産施設の利用料を無料にするなど、23区中19区で食事代の助成や利用料の無料化など、何らかの形で課税世帯も含めた支援をおこないます。江東区では重度の障害者を対象とした補助制度を作りましたが、現在対象者は16名で、重い負担と将来への不安におびえる障害者とその家族に安心を与えるものとはとても言えません。実態を調査し、一般世帯を含めた利用料や食事代などの負担軽減策を抜本的に拡充すべきと思いますが伺います。
 また、区の裁量で行われる地域生活支援事業も横並びで負担が生じるのではないかと不安の声があがっています。サービス低下をさせないことを基本に必要な手立てをとるべきとおもいますが、あわせてお答えください。
 施設運営の事業者も苦境に陥っています。前年度に比べて1割から2割の減収が見込まれ、職員削減や開所日数を増やす、利用者が楽しみにしている行事を取りやめるなどの経営努力をしても施設の存続が危ぶまれる事態が訴えられています。区は施設への補助について「今しばらく状況を見る」としていましたが、もともと財政基盤の弱い障害者施設では待ったなしの支援が求められています。せめて昨年並みの運営水準を保てるよう、補助金の増額をすべきと思いますが、伺います。
 障害程度区分によるサービス提供も10月から本格実施となりますが、知的や精神の障害区分は身体に比べ軽くなる傾向が指摘され、必要なサービスが受けられるか不安の声が上がっています。国会での法案審議の際には「サービス水準は低下させない」という答弁が繰り返されました。障害程度区分はあくまでも目安で、サービスの上限ではないことを徹底し、必要なサービスが提供できるよう支給決定をすべきと思いますが伺います。
 次に小規模作業所についてです。日中活動の場として大きな役割を果たしている小規模な通所授産施設や訓練施設は新たな施設体系のどこかに入ることになりますが、国の負担が明確になっている介護給付や訓練等給付の施設は、利用者の要件が厳しく現状に合いません。要件の緩和を政府に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、区の裁量で行う地域活動支援センターは補助基準がきわめて低く「現在の法定施設との格差を固定するもの」との批判が上がっています。政府に対し、地域活動支援センターの補助金額を引き上げるよう求めることこと。また、事業責任者の区としては法内施設にふさわしく、現行の運営水準を上回る内容で実施すべきと思いますが、見解を伺います。
 つぎにゴミ問題について伺います。
 江東区は一般廃棄物処理基本計画の改定作業中ですが、検討課題とされている内容はこれまでのゴミ行政の方向を大きく変えるものとなっています。
その第一は廃プラスチックの焼却です。電気エネルギーとしてリサイクルするといいますが、効率が悪い上に、温度調節が難しく、全国ではダイオキシンが大量に放出される事故が相次ぐなどの問題点が明らかになっています。強調されている最終処分場の延命のためには、まず資源回収の努力こそ実施されるべきです。プラスチック製容器包装の資源回収事業は現在、杉並区・中の区、豊島区で行われていますが、さらに、新宿区、江戸川区が資源回収を表明しました。江東区は今、迷惑負担の公平を訴えて23区にゴミ問題を提起していますが、ゴミ量全体を減らすという、ごみ問題の根本的解決にむけた先進的な取り組みをしてこそ、他区に認められる説得力をもつ主張になると考えます。見解をうかがいます。
 また、23区区長会では、廃プラスチックの焼却を平成20年に本格実施することを確認し、今年度すでに品川区など4区でモデル事業が開始されていることは区の自治権にも関わる問題です。区長がかってにきめるべき事ではなく、資源回収やごみ減量策と合わせ、区民とともに結論を出すべき問題と考えますが、見解を伺います。
 次に家庭ゴミの有料化についてです。
 お金を払うという負荷をかけることによりゴミ減量効果が期待されていますが、各地の取り組みでは結局「お金を出せば捨ててもよい」という区民の減量意識の後退でリバウンド現象も報告され、また、不法投棄などのモラル低下も心配されます。なにより格差社会の拡大で生活にあえぐ区民に対し、所得に関係なく出さざるを得ない家庭ごみにまで負担を強いることはすべきではありません。見解をうかがいます。
 つぎに清掃一部事務組合による合弁会社の設立についてです。
 23区と東京ガスの出資による合弁会社の設立が突然浮上しました。清掃一組は「アウトソーシングの一層の推進と収益性の高い電気事業の実現を目指す手法」と説明していますが、会社となれば当然利益追求が目的ですから、収益をあげようと思えばどんどん燃やす、燃やせば電気として売れるということになり、安定的な運営というだけでも、常に一定のゴミ量が必要になります。廃プラスチックの焼却と期を一にして会社設立が浮上したことは、大量生産・大量消費路線をそのままに、燃やして埋める従来のゴミ処理路線に戻るものであり、「循環型社会」を目指すごみ行政の基本理念に逆行します。
 合弁会社への出資はやめ、区長は区長会において合弁会社設立の撤回を求めるべきと考えますが見解を伺い、質問を終わります。

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