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2007年第2回定例会-すがや俊一議員(格差貧困 オリンピック招致 臨海開発)

  1. はじめに
  2. 広がる格差と貧困から区民生活を守ることについて
  3. オリンピックの東京招致問題
  4. 臨海副都心開発について

 日本共産党江東区議団を代表して大綱3点について質問します。
 はじめに、自治体の果たす役割について伺います。
 地方自治体が果たさなければならない役割は、言うまでもなく、地方自治法の第1条が定める「住民の福祉の増進を図る」ことにあります。これは、国民主権及び、国民の生存権を保障した憲法からも当然のことです。
区長就任にあたり、自治体の使命と役割について、どのようなお考えなのか、まず伺います。
 この間、江東区は、国や都に追随して、住民税増税をはじめ、医療・介護の負担増、老人福祉手当廃止など、この4年間で218事業もの住民サービスを削減、開発事業者優先のまちづくりを容認するなど「都や国の下請機関」ともいうべき区政運営が行われてきました。こうした区政運営を転換し、いまこそ江東区が「住民の福祉と暮らしを守る」という自治体本来の役割を発揮しなければならないと考えるものですが、区長の区政運営に対する基本的な姿勢を伺った上で、以下、具体的問題について質問します。
 大綱の1点目は、広がる格差と貧困から区民生活を守ることについてです。
 昨年の国の「家計調査」では、勤労者世帯の年収が10年間で87万円減収し、「貯蓄ゼロ」という世帯が4世帯に1世帯にも広がり、増えつづけています。また、全労働者の4人に1人が年収150万円以下であり、一生懸命働いても、1カ月の収入が10万円前後という「ワーキングプア」の実態がテレビなどでも放映され、大きな問題となっています。
 区内でも、納税者の6割近くが所得200万円以下の低所得層であり、生活保護受給者は10年前の2倍・4、800世帯以上です。小・中学生の子をもつ世帯では、およそ3世帯に1世帯が就学援助を必要としています。糖尿病や高血圧症等の持病をかかえたお年寄りからは、「お金が無いので、医者に行きたくてもいけない」など、悲痛の声が寄せられているのです。
区長は、こうした区民の声をどう受け止めるのか、区民生活に対する区長の認識について伺います。
 こうした区民の低所得化・貧困化を拡大してきた原因は、政府による増税と社会保障改悪による連続した負担増、派遣労働など労働法制の改悪などを推進してきた「構造改革路線・大企業中心政治」によることは明かと考えます。 区長の見解を伺うとともに、政府に対して、貧困と格差を広げる構造改革路線の中止を要請するべきではありませんか。伺います。 次は、住民税大増税問題と負担軽減対策についてです。
 昨年、年金生活の高齢者を中心に、年金控除の縮小や老年者控除の廃止、低所得高齢者の住民税非課税限度額廃止など住民税大増税が行われ、多くの区民から「何かの間違いではないのか」といった問い合わせや苦情、抗議が区に殺到しました。さらに今年の6月には、「定率減税全廃」で住民税などが1兆7千億円もの大増税となります。一方、史上空前の利益を上げている大企業や大金持ちには、今年度1兆7千億円もの大減税が行われるのです。
 区内で年金232万円で暮らしている単身高齢者は、一昨年年額4千円だった住民税が、昨年には11倍の45,800円。今年の6月からは住民税フラット化と定率減税廃止で約10万円、2年前の25倍の住民税負担に「年金は下がったのにあまりにもひどすぎる」と話していました。
区長は政府に対し、「庶民に増税、大企業は減税」という「逆立ち税制」の是正と、定率減税廃止の撤回など、住民税増税の中止を強く求めるべきです。伺います。
 東京都は今年3月、「低所得者の税負担に配慮する」として、都民税の軽減措置を行うことを発表しました。また、都内では、所得125万円以下の高齢者については、住民税を非課税に戻すことを求める動きが強まっています。都総務局も「立法上、違法・無効とはいえない」との回答を示したと聞いており、区として実施は可能ではありませんか。しかも、実施に伴う区税の減収額は、年間8千万円で済むのです。昨年の低所得高齢者の住民税非課税措置の廃止で、新たに課税となった高齢者は1万1千人にも及んでいます。 国保料や高額療養費をはじめ、介護保険料・利用料など、住民税を基準とする負担増を回避するためにも、区として、所得125万円以下の高齢者の住民税非課税措置を復活することを求めます。伺います。
 要介護認定者への障害者控除適用によって、高齢者・区民の住民税負担を軽減する対策がすでに23区中17区で実施され、大田区では「要支援以上」を障害者控除の対象としています。わが党区議団の再三の実施要求に対して区は、「今後の検討課題」との答弁を繰り返しています。納税者の権利として受けられるべき税控除を、これ以上先送りすることは断じて認められません。
ただちに「要支援以上」を障害者控除適用とすることを求めます。伺います。
 次に国民健康保険や介護保険制度での区民負担軽減について伺います。
 この間、わが党区議団は、連続した住民税大増税に伴い、住民税と連動する国保料や介護保険料などが雪だるま式に負担増となることを指摘し、区に負担軽減対策を一貫して求めてきました。その結果区は、国保料や介護保険料・利用料負担などの激変緩和を実施してきましたが、それも今年度で終了し、来年度以降、大変な負担増となります。
 また区は、国民健康保険料を毎年値上げしてきたことにより、低所得層を中心に、およそ3世帯に1世帯が保険料が払えないという状況になっています。また、患者が全額窓口負担となる資格証明書の発行が、今年の5月で743件となっていることも大きな問題です。
区として国保料負担の新たな軽減対策を行うことを要求するものです。また、国保料引き下げと自治体の財政負担を減らすためにも国庫負担率を50%に引き上げることを国に求め、同時に、国民健康保険証の取り上げはやめるべきです。伺います。
 老人医療費の自己負担増が続くもとで、昨年4月に介護保険料が引き上げられ、本区では、低所得層が7割以上となっている高齢者の生活が逼迫しています。来年4月からは、後期高齢者医療制度による新たな保険料の年金天引きが始まり、生活困難がより広がることは必至です。
住民税増税に伴う激変緩和策の継続とともに、区が実施している介護保険料・利用料の負担軽減策のさらなる拡充を求めるものです。伺います。 次は、住民サービスの向上を妨げ、不安定就労と格差を広げる自治体の民間委託、民営化の問題です。
 これまで区は、多くの区民の声を無視して学校や保育園の給食調理、図書館等の受付窓口業務などを民間委託してきました。これらの現場で共通しているは、パート主流による人の入れ替わりで、技能の蓄積や継承、専門知識が養われる保障がないことです。しかも図書館では、窓口業務を利用した個人情報の流用事件もおこっています。また、業務委託の現場では、派遣された労働者に対し、区職員が業務改善に向けて直接指示ができないなど、公共サービスの向上に問題をきたしているのです。 これらの業務委託は見直し、区職員による提案の活用など、住民の利益と安全を守ることを最優先にした効率的な運営で公共サービスの向上を図るべきです。区長の見解を伺います。
 また区は、特養ホームや保育園などの民営化を押し進めてきました。しかし、委託先の社会福祉法人では、東京都の補助金が削減されてきたために、運営責任者からも「サービス水準の維持に努力しているが、人件費が確保できない」との声が上がっているのです。結果として、経験豊かな職員配置が困難となり、低賃金の非正規職員を増やさざるをえず、格差が広がっているのです。 こうした問題に対する区長の見解を伺うとともに、区長は都に対し、社会福祉法人への人件費補助の増額を求めるべきです。伺います。
 アウトソーシングの推進で正規職員を非正規雇用に置き換えてきた結果、江東区で働く公務労働者4,600人の内、実に3割・1,400人以上が非正規雇用となり、時給も保育のパート職では890円という低賃金です。区みずから不安定就労を増大させ、貧困と格差をつくりだす「アウトソーシング基本方針」は撤回することを求めます。また緊急対策として、本区で働くパート職の時給を1,000円に引き上げ、全国一律1,000円の最低賃金の法制化を政府に求めるべきです。伺います。
 大綱2点目は、オリンピックの東京招致問題です。
 区長は、所信表明で「オリンピック招致を全面的にバックアップする」とし、また、新聞紙上では「東京が世界一の環境都市、安全都市などをつくる計画がないと誘致できない」と述べています。しかし、環境都市や安全都市などの整備は、そもそもオリンピックの誘致とは関係なく、「都民の安全と福祉の増進を図る」という自治体本来の仕事として、都や区が率先して行うべきものです。「オリンピック誘致のため」との発想は本末転倒であり、オリンピックをテコに大型開発を進めるための口実と考えるものです。
 何よりも、東京招致をめぐる一番の問題は、その招致目的が歪んでいることです。石原知事は「オリンピックをテコに都市と社会を変革する」と述べ、東京湾の大開発や環状道路などの大型幹線道路整備などに7兆円近くも投資する計画です。また、臨海部を中心とした会場施設整備関連でも1兆5千億円以上もの財政投入が見込まれるなど、「巨大開発・浪費型オリンピック」の推進です。これでは、「諸国民の相互理解を増進し、世界平和と国際親善に貢献する」というオリンピックの目的と相いれないばかりか、 「巨大化傾向を抑える」としたIOC基準に照らしても、世界の支持を得られるとは思えません。区長の見解を伺うものです。
 石原都政は、「都市再生」の名のもとに臨海開発など大型開発に一兆円を投入する一方、6年間で540億円、全国で一番福祉予算を削減してきました。そして今度は、オリンピックに毎年1千億円を積み立てておきながら、多くの都民や区民が必要としている都営住宅建設や、全国で東京都だけが実施していない30人学級などをも拒否し、都立病院の統廃合など、今後も医療や福祉を削る計画なのです。区長は、「誰がなんと言ってもやるべきだ」と表明していますが、こうした態度は「住民合意」を大切にするオリンピックの理念に反するものであり、区民からは、「オリンピックより生活支援に力を入れて欲しい」との声が上がっているのです。
区長は石原都知事に対して、1千億円の積立計画を撤回し、都民の福祉や医療、住宅などの生活支援に回すことを要求するべきです。
 また区として、有料化した高齢者のプール利用料などの無料化復活をはじめ、子どもたちのサッカー場や硬式野球場の整備など、区民の身近なスポーツ振興にこそ力を尽くすべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
 質問の最後は、臨海副都心開発についてです。
 バブル経済崩壊と共に計画が破綻した臨海副都心開発は、都民や区民の立場にたった開発の抜本的な見直しがなされないまま、石原都政のもとでも強引に進められてきました。都民の財産である都有地を企業誘致のために売却し、「24時間眠らない世界情報都市をつくる」と出発したにもかかわらず、結婚式場がつくられたり、テレコムセンターなど情報集積エリアに大江戸温泉が出現したり、さらには、商業施設などのビル群に近接して観覧車が回っているなど、 「企業誘致のためなら何でもあり」とも言うべきまちづくりが行われてきました。都民や区民不在の「理念なきまちづくり」の典型と考えますが、区長の見解を伺います。
 昨年5月、東京都港湾局所管の第三セクターで、貸しビル事業を行っている東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の3社が経営破綻し、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。一昨年3月の労働経済局所管の第三セクター、タイム24と東京ファッションタウンの経営破綻に続くものです。この破綻処理によって東京都が債権放棄する財政負担は、資本金や貸付金など、合計380億円にのぼります。「都民の税金は1円も使わない」として始めた臨海副都心開発。区もこれまで「臨海開発と共生する」として開発を後押してきました。 このような破綻に対し、石原知事と共に臨海開発を推進し、第三セクターへの都財政投入に賛成してきた区長の見解を求めるものです。
 経営破綻した3社の処理策で東京都は、3社を統合した新会社を設立させ、都として新に300億円相当の土地を現物出資し、ひき続き貸しビル事業を行うとしています。しかし、利潤追求の営利事業である貸しビル事業に公共性などありません。区長は都知事に対し、破綻3社処理後の新会社への都財政投入をやめ、ビル経営から手を引くよう申し入れるべきです。伺います。
 さらに東京都は、今年になって持株会社「東京臨海ホールディング」を設立して都財政50億円を投入しました。そして今後は、東京テレポートセンターなど破綻3社処理後の新会社をはじめ、株式会社「ゆりかもめ」など他の第三セクター4社をすべて統合し、今後も開発を進めるとしています。しかし、臨海開発を推進するための「臨海開発会計」は、黒字だった港湾局の埋め立て関連2会計を統合したものの、すでに黒字分を失っていると聞いています。区長は、先の区長選挙で「税金のムダ遣いをなくす」との公約を掲げています。
この公約の立場に照らせば、破綻した臨海開発への都の税金投入こそ最大のムダ遣いであり、ただちに石原都知事に「開発中止」を申し入れるべきです。そして都の財政運営を、都民の医療と福祉、教育中心に転換するよう、都知事に要請することを区長に求め、質問を終わります。

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